JP7027959B2 - 積層白色ポリエステルフィルムおよび被記録材 - Google Patents
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Description
再生紙は、その主な原料が回収した使用済みの用紙であるが、回収された使用済みの紙から再生紙を作るには、ある程度の量の新たな木材資源も必要であり、仮に再生紙の利用率が上がったとしても木材資源が消費されることに変わりはなく、再生紙の利用は森林環境を保護するための抜本的な解決策にはならない。また、リサイクルの工程にもエネルギーを要するため、省エネルギーの観点からも課題がある。
また、再生紙は、上質紙と比べて未だ品質が劣っており、再生紙からなる複写用紙を用いた場合には、紙の白色度が下がって色目がグレーがかるため、印刷したときの発色度合が落ちて画像品質が劣化する傾向にある。
さらに、再生紙は、製造コストがかかって上質紙よりも割高になりやすい。
これらの種々の問題があるため、上質紙に代わる用紙として利用は定着していないのが実状である。
しかし、かかる被記録材は、ポリマー層のコストを抑えるためポリマー層の厚みを薄くし、あくまでもベースには紙を必要としている構成から、完全に木材資源を用いないわけでは無いため、森林環境を保護するための解決策にはなっていない。また、紙を用いている以上、記録された画像は紙の繊維内部に含浸するため、剥離除去性能は不十分となる。
また、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、架橋剤を含有する機能層を有することで強固な機能層とすることができ、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として複写機内の搬送工程における削れ防止、傷付き防止や、画像形成物質による浸食を低減することで、文字や画像のにじみがなく正確に記録することができる。さらに、機能層の各種の機能を保持することができるため、文字や画像を除去した後に被記録材として再利用が可能である。
本発明を実施するための形態の一例として、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、架橋剤を1重量%以上含有する機能層を有する積層白色ポリエステルフィルム(「本積層白色ポリエステルフィルム」と称する。)について説明する。
本積層白色ポリエステルフィルムの基材となるポリエステルフィルムは、少なくとも主成分樹脂としてのポリエステルと、ポリエステルに非相溶なポリマーとを含むポリエステル樹脂層を備えているのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、ポリエステル樹脂層を構成する樹脂成分のうち最も含有割合の多い樹脂の意味である。当該主成分樹脂は、ポリエステル樹脂層を構成する樹脂成分のうち30重量%以上、中でも50重量%以上、その中でも80重量%以上(100重量%を含む)を占める場合を想定することができる。
中でも、ポリエステルフィルムは、2層以上に積層されていることが好ましく、両表層と中間層とからなる3層構成(表層/中間層/表層)がより好ましい。
なお、多層構成が2層である場合とは、2つの表層によって構成されることを意味し、具体的には、各層を構成するポリエステルの種類や、含有する粒子等の配合が異なる組成の2層によって形成される場合等が挙げられる。
基材としてのポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。
その芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステルに非相溶なポリマーをポリエステルフィルム中に含有させることで、少なくとも一軸方向に延伸したポリエステルフィルムに無数の極微細な空洞を含有させることができる。当該極微細な空洞によって、ポリエステルフィルムは光を散乱させ、白色不透明をもたらすだけでなく、ポリエステルフィルムの見掛け密度を低減させることができる。そればかりか、ポリエステルフィルム表面に印刷されたトナー等の熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質を容易に剥離除去できる効果を発現させ得ることも見出した。
ポリエステルに非相溶なポリマーを含有する表層は、ポリエステルフィルムにおける両側であっても、一方の側のみであってもよいが、両側の表層に含有することが好ましい。中でも、ポリエステルフィルムの表層にポリエステルに非相溶なポリマーを含有することによって、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いた時、積層白色ポリエステルフィルム表面に印刷されたトナー等の熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質を、容易に定着させ、容易に剥離除去できる。
すなわち、ポリエステルフィルムの表層に微細な空洞を有したり、表面が粗面化したりすることにより、画像形成物質が良好に定着するためのアンカー効果を発現することができる。また、ポリエステルに非相溶なポリマーを表層に含有することにより、画像形成物質の定着力を調節することが可能となるため、容易に剥離除去することも可能となる。なお、驚くべきことに、このような効果は、ポリエステルフィルムの表面に後述する機能層を設けた場合においても、同様に、或いはより一層顕著に発現することができる。
また、十分な隠蔽性および軽量化を確保するために、必要に応じてポリエステルに非相溶なポリマーを中間層に含有させてもよい。
一方、上限としては、通常50ml/10分以下、好ましくは40ml/10分以下、より好ましくは30ml/10分以下、さらに好ましくは25ml/10分以下である。上記範囲の場合、横延伸時のクリップ外れの回避も可能となり、生産性を保持することが可能となる。
一方、ポリエステルフィルム中におけるポリエステルに非相溶なポリマーの含有量の上限は、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有するポリエステル層において、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下、最も好ましくは25重量%以下である。当該範囲で使用することにより、生成する空洞の量が多すぎず、延伸時の破断を抑えやすい傾向がある。
なお、非相溶なポリマーの含有量は、NMR、IR等の分析手段により測定することができる。
また、ポリエステルフィルムが多層構成である場合、上記の含有量は特定の層中の含有量を意味しており、具体的には、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層における含有量を意味する場合や、中間層における含有量を意味する場合がある。
中間層における再生品の含有量は、色調規制の他に、固有粘度低下による製膜安定性の面から、中間層に対して95重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。中間層における再生品の含有量の下限は限定されず、0重量%でもよいが、コストダウンの観点からは、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上である。
ポリエステルフィルムが単層の場合でも、2層以上の場合でも、さらなる隠蔽性や白色度の向上を目的として、金属化合物粒子を含有させることも可能である。
上記ポリエステルフィルムが2層以上である場合は、金属化合物粒子も上記ポリエステル樹脂層中に含有させることが好ましい。ポリエステルフィルムが3層以上の構成である場合は、表層であっても、中間層であっても構わないが、隠蔽性や白色度の向上を効果的なものとするためには、表層に含有することが好ましい。
用いる金属化合物粒子としては、公知の酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等を挙げることができ、中でも酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属化合物粒子、その中でも隠蔽性や白色度向上の観点から、酸化チタンが特に適している。
上記金属化合物粒子の形状は、特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
なお、ポリエステルフィルムが多層構成である場合、特定の層中の含有量を意味し、具体的には、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層における含有量を意味する場合や、中間層における含有量を意味する場合がある。
また、本積層白色ポリエステルフィルムの取り扱い性、易滑性を向上させるため、ポリエステルフィルムに前記で例示した金属化合物粒子以外の粒子が含まれていてもよい。
前記で例示した金属化合物粒子以外の粒子として、具体的にはシリカ粒子、有機粒子等が挙げられる。
有機粒子としては、具体的にアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。中でも特に少量で効果が出やすいという点で、シリカ粒子が好ましい。
なお、ポリエステルフィルムが多層構成である場合、特定の層中の含有量を意味し、具体的には、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層における含有量を意味する場合や、中間層における含有量を意味する場合がある。
本積層白色ポリエステルフィルムの基材としてのポリエステルフィルムが、非相溶なポリマーを含有しているため、押出成形されたシートを少なくとも一軸方向に延伸することで、フィルム内部に微細な独立空間(空洞)を得ることができる。よって、当該空洞のさらなる微細化、或いは、隠蔽性や白色度を増すために、例えば界面活性剤、蛍光増白剤等を配合してもよい。
本積層白色ポリエステルフィルムの基材としてのポリエステルフィルムが、2層以上の多層構成の場合、2層であればいずれか1層、3層以上であれば表層が、金属化合物粒子や、金属化合物粒子以外の粒子を含有する層であることが好ましい。
ポリエステルフィルムの厚みは、10μm以上或いは1000μm以下であることが好ましく、中でも20μm以上或いは500μm以下、その中でも30μm以上或いは400μm以下、その中でも38μm以上或いは350μm以下であるのがさらに好ましい。
上記範囲で使用することで、フィルムの硬さ(コシ)や取り扱い性を十分なものとすることができ、複写機内の搬送工程におけるフィルムの詰まりを低減することができる。
ポリエステルフィルムの見掛け密度は、下限が0.7g/cm3以上であり、好ましくは0.75g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上である。見掛け密度の下限を上記範囲とすることで、フィルムの強度を保持でき、情報印字媒体である複写用紙やプリンター用紙の紙に代わる被記録材として用いる際の、複写機内の搬送工程におけるフィルムの詰まりを低減することができ、最適な印刷をすることが可能となる。
一方、見掛け密度の上限は1.3g/cm3以下、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.1g/cm3以下である。見掛け密度の上限を上記範囲とすることで、大量の印刷物を持ち運びする際の作業負担が軽減され、さらにはフィルム(シート)の輸送過程で発生するCO2削減による環境負荷低減やコストダウン対応が可能となる。
ポリエステルフィルムの見掛け密度は、主成分樹脂であるポリエステルよりも比重の軽い非相溶樹脂を配合し、少なくとも一軸方向に延伸することにより、フィルム内部に極微細な独立空洞の形成を調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
ポリエステルフィルムの表面の算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601(2001)により準拠する。算術平均粗さ(Ra)は、使用する用途により様々であるが、上限は通常950nm以下であり、好ましくは850nm以下、より好ましくは800nm以下である。算術平均粗さ(Ra)が上記範囲であるポリエステルフィルムを使用することで、フィルム表面に形成された熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質の文字や画像が容易に接着しやすく、かつ容易に剥離除去することができ、フィルムを繰り返し複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いることができる傾向にある。
一方、算術平均粗さ(Ra)の下限は通常100nm以上、好ましくは200nm以上、より好ましくは300nm以上、さらに好ましくは350nm以上である。算術平均粗さ(Ra)を上記範囲とすることで、隠蔽性や搬送性を十分なものとすることが可能となり、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いるのに最適なフィルムとすることが可能となる傾向にある。さらに十分な筆記性を有することができる傾向にある。
ポリエステルフィルムの加熱収縮率を上記範囲とすることで、電子写真方式や熱転写方式などの方式により被記録材に印刷する際に、熱による影響でフィルムの寸法安定性が損なわれることを防ぐことができる。特にフィルム(シート)の縁の部分、すなわち、しわが発生しやすい部分においても、ポリエステルフィルムのしわの発生を抑えることができ、文字や画像に歪みやムラなどが発生して画像品質が低下する現象を抑えることが可能となる傾向にある。また、しわは、一度発生してしまうと消すことができず、繰り返し複写用紙やプリンター用紙の被記録材として使用することができなくなるため、極力発生しないようにすることが好ましい。
積層白色ポリエステルフィルムを構成する機能層について説明する。
本積層白色ポリエステルフィルムにおける機能層は、架橋剤を1重量%以上含有する組成物から形成された硬化物であり、更に、必要により離型剤、帯電防止剤、ベース樹脂としてのポリマー等を含有してもよい。
機能層は、例えば、画像形成物質が層表面に直接付着する被記録層として役割を果たすことができる。本発明における被記録層は、付着した画像形成物質を定着させるだけでなく、後述の樹脂層を設けた際に画像形成物質を樹脂層と一緒に除去させる役割を有する層である。
本積層白色ポリエステルフィルムにおける機能層は、架橋剤によって、機能層を強固なものとし、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として複写機内の搬送工程における削れ防止、傷付き防止や、画像形成物質による浸食を低減することで、文字や画像をにじみがなく正確に記録することができる。さらに、機能層は、各種の機能を保持することができ、文字や画像を除去した後に被記録材として再利用を可能にすることができる。
本発明者らの検討によれば、基材であるポリエステルフィルム中にポリエステルに非相溶なポリマー、特にポリオレフィンを含有する場合には、コーティングにより機能層を設ける場合に濡れ性が極端に悪く、塗布液をはじいてしまうことが分かった。しかしながら、意外なことに、架橋剤によって機能層の濡れ性が大きく改善されることを見出した。具体的には、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、シランカップリング化合物が濡れ性向上には好ましく、オキサゾリン化合物やイソシアネート系化合物がより好ましい。
ここで、架橋剤の含有量とは、架橋反応前の組成物(塗布液)における不揮発成分中の含有割合を意味し、架橋反応後の機能層においても同様の意味を指す。
本積層白色ポリエステルフィルムは、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いる際、複写機・複合機の用紙搬送における重送防止、用紙取扱い時の用紙同士の貼り付き防止等の目的として、帯電防止剤を含有する機能層を少なくとも片面に有することが好ましい。また、機能層に帯電防止剤を含有することによって、複合機内でフィルムの詰まりがなく、印刷されたフィルムの重送の発生がなく、1枚1枚独立して搬送でき、かつ、塵埃の付着を防止できるため、品質の良いフィルムや画像品質の良いフィルム印刷物とすることができることを見出した。
高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物、導電ポリマー等が挙げられる。
帯電防止性能を考慮すると、アンモニウム基を有する化合物やスルホン酸基を有する化合物が好ましく、離型剤等、機能層を形成する他の材料との相溶性を考慮すると、アンモニウム基を有する化合物がより好ましい。また、導電ポリマーは帯電防止性には最も優れていて好ましい。但し、材料が高価であることと、着色を極度に嫌う用途では使用が制限される可能性がある。
前記機能層には、印刷を行った後に、フィルム表面に形成された熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質を好適に剥離除去することが出来るよう、離型性能を設けることが好ましい。
離型性能を有する機能層は、前記の帯電防止剤を含有する機能層と同一であっても、異なる層であってもよい。特に、後述する理由により、帯電防止剤を含有する機能層が離型性能を有していることが好ましい。なお、離型性能を有する機能層と帯電防止剤を含有する機能層が異なる層である場合は、離型性能を有する機能層を外層とすることが好ましい。
機能層に適度な離型性能を設けることにより、画像形成物質をフィルム表面に接着する機能と、画像形成物質を剥離除去する機能を、より適切に行えることを見出した。すなわち、接着および剥離という相反する特性を、1つの機能層で、より高度に実現する手法を見出すことに成功した。この技術は、一般的な接着性能を有する機能層では剥離性能が実現できず、一方、一般的な剥離性能を有する機能層では接着性能が実現できないことを考えると非常に効果の高い技術といえる。また、例え、接着性能を有する機能層と剥離性能を有する機能層を積層したとしても、いずれの性能も発現させることは困難であり、一番上に設ける層の特性だけが生きることを付記しておく。
画像形成物質に対する離型性能を付与するために、機能層は離型剤を含有するものであることが好ましい。機能層が離型剤を含有することで、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有することで得られるポリエステルフィルムの、画像形成物質による文字や画像を容易に剥離除去する機能をより強化することができ、かつ、繰り返し除去をより確実なものとすることが可能となる。また、例えば、繰り返し除去でポリエステルフィルムの剥離性能が悪くなった場合にその剥離性能を機能層で補い、逆には、繰り返し除去により機能層の剥離性能が悪くなった場合にはポリエステルフィルム側で補うことも可能である。すなわち、ポリエステルフィルムのみでは達成できない、また、機能層に離型剤を含有することのみでは達成できない効果を発現できることを見出した。
アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。
アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
合成炭化水素として、具体的には、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾールワックス)、ポリエチレンワックスが挙げられ、このほかに低分子量の高分子(具体的には数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマー、すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体等が挙げられる。
機能層の画像形成物質の形成のしやすさと接着性の向上、また、機能層をコーティングにより設ける際の、ポリエステルフィルムへの濡れ性向上のために、機能層にはポリマー(上述した帯電防止剤、離型剤や後述する架橋剤以外のポリマー)をさらに含有することが好ましい。
ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる機能層の耐水性、透明性に優れており好ましい。
本発明の主旨を損なわない範囲において、機能層に、ブロッキングや滑り性改良のために粒子を併用することも可能である。さらに、機能層に、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤等を併用することも可能である。
機能層の膜厚は、通常0.001~3μm、好ましくは0.005~1μm、より好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.02~0.3μm、最も好ましくは0.03~0.2μmである。機能層の膜厚を上記範囲とすることにより、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として複写機内の搬送、印刷工程における削れ防止、傷付き防止や、画像形成物質による文字や画像の印刷適性が向上し、かつ機能層の各種の機能を付与することができる。
機能層は、ポリエステルフィルムの片面に設けることも、また、ポリエステルフィルムの両面に設けることも可能である。
両面に設ける場合においては、両面ともに被記録材として使用可能なフィルムとすることができ、フィルムの取り扱い性が良化するなどの利点もあり、片面の場合より性能的に好ましい。また、機能層を両面に設けることにより、温度や湿度等の環境変化によるカール性を改善することもできる傾向にある。
機能層の帯電防止性能として、表面固有抵抗値(初期表面固有抵抗値)は、通常1×1013Ω以下、好ましくは1×1012Ω以下、より好ましくは1×1011Ω以下、さらに好ましくは1×1010Ω以下、特に好ましくは5×109Ω以下である。初期表面固有抵抗値が上記範囲内の場合、フィルム同士の貼り付き防止、塵埃等の付着防止に有効なフィルムとなる傾向がある。このため、電子写真方式や熱転写方式などの方式によってトナー像を好適に転写できる複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いる際、複写機・複合機の用紙搬送における重送防止、用紙取扱い時の用紙同士の貼り付き防止ができるようになる。
なお、積層白色ポリエステルフィルムの表面固有抵抗変化量は、機能層に含まれる帯電防止剤の含有量、種類などを変えることによって、調整することができる。
機能層の剥離性能として、粘着テープとの剥離力(初期剥離力)は、通常3000mN/cm以下、好ましくは2000mN/cm以下、さらに好ましくは1500mN/cm以下、より好ましくは1200mN/cm以下、特に好ましくは1000mN/cm以下の範囲である。初期剥離力が当該範囲であることで、画像形成物質が容易に剥離可能となる。また、下限としては、100mN/cm以上である。
なお、積層白色ポリエステルフィルムの剥離力変化量は、機能層に含まれる架橋剤の含有量、種類などを変えることによって、調整することができる。
以下、本積層白色ポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明する。但し、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
なお、2層以上に積層させたポリエステルフィルムを製造する場合は、各層毎に配合した原料を各溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融混練する。次いで、各層の溶融ポリマーを、通常マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てダイへ導き積層する。
次にダイから押出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
熱処理温度をかかる温度範囲内で調整することにより、ポリエステルに非相溶な樹脂の溶融粘度を調整することができ、フィルム表面の粗さを調整することができる。
上述の製造方法によって得られたポリエステルフィルムは、少なくとも片面に機能層を積層させる。
機能層は、コーティング法、共押出法、転写法等、公知の種々の方法により設けることが可能である。それらの中でも、効率的な製造および性能付与の観点からコーティングによるものが好ましい。
機能層は、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。中でも、機能層はインラインコーティングにより形成されるものがより好ましい。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、インラインコーティングを行えば、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、機能層の造膜性が向上し、機能層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができ、さらには、架橋剤の反応促進により、強固な機能層とすることができる。それゆえに、削れ防止、傷付き防止や、機能層の各種の機能の保持力が向上する。
また、機能層の強度を向上させるため、フィルム製造工程において、通常200~250℃、好ましくは210~240℃、より好ましくは215~240℃の範囲の熱処理工程を経ることが好ましい。当該熱処理工程の時間としては、目安として5~600秒、好ましくは8~300秒である。
本積層白色ポリエステルフィルムは、機能層上に、画像形成物質の熱可塑性樹脂を含有する文字,画像を設けることが可能である。
他方、画像形成物質に用いられる熱可塑性樹脂についても、従来公知の材料を使用することができる。
画像形成物質に限定は無い。すなわち、上記の画像形成物質には、一般に被記録材に対して画像を形成可能な物質の全てを包含し、固体粒子、懸濁液、溶液等の何れの性状であってもよく、インクも包含される。
また、着色剤にも制約は無く、顔料、染料、有色化合物等の何れを用いることも出来る。中でも、熱可塑性樹脂中に顔料を分散させて微粒状にしたトナーが好適である。
本積層白色ポリエステルフィルムは、さらに、画像形成物質もしくは機能層の上に樹脂層を設けることが可能である。
当該樹脂層は、積層白色ポリエステルフィルムを再利用する等のために、文字,画像を、樹脂層と共にフィルムから剥離除去するために設ける主旨であってもよい。
硬化性の樹脂層としては、加熱により硬化する樹脂組成物からなる熱硬化性樹脂層、活性エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂組成物からなる活性エネルギー線硬化性樹脂層などが挙げられる。中でも、文字,画像を残らず剥離除去しやすいという観点において、活性エネルギー線硬化性樹脂層が好ましい。
(メタ)アクリレートにヒドロキシアルキル系、芳香族系、アルキルグリコール系を含むことにより、画像形成物質との密着性が良好となり、剥離除去しやすくなるだけでなく、被記録材として用いた本積層白色ポリエステルフィルムへの損傷が抑制され、リサイクル使用が可能となる。一方、(メタ)アクリレートに上記成分が含まれていないと、画像形成物質との密着性が低下し、画像形成物質をうまく除去できないことがある。
ヒドロキシアルキル系(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また芳香族系(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アルキルグリコール系(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
JIS K7210-1995に従って、非晶性ポリオレフィンは275℃、21.2Nで、ポリプロピレンは230℃、21.2Nで測定した。この値が高いほど、ポリマーの溶融粘性が低いことを示す。
フィルム表面を、株式会社菱化システム製、非接触表面・層断面形状計測システムV
ertScan(登録商標)R550GMLを使用して、CCDカメラ:SONY HR-50 1/3’、対物レンズ:20倍、鏡筒:1X Body、ズームレンズ:No Relay、波長フィルター:530 white、測定モード:Waveにて、640μm×480μmの領域を測定し、4次の多項式補正による出力を用い、算術平均粗さRa値を10点平均して求めた。
株式会社島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
機能層の表面をRuO4で染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuO4で染色し、機能層断面を透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H-7650、加速電圧100kV)を用いて観察し、膜厚を測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製 HLC-8120GPC)を用いて測定した。数平均分子量はポリスチレン換算で算出した。
試料を無張力状態で150℃に保ったオーブン中、30分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(L0-L1)/L0}×100
(上記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)
フィルム長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれの方向の平均値を求めた。
日本電色工業株式会社製測色計NDH-1001DP(C光源、2°視野)を用い、JIS P8123-1961の方法に準じて、フィルム単枚の時のハンター白色度(Wb)を測定した。なお、フィルム背面は黒色板で押さえた。
日本電色工業株式会社製測色計NDH-1001DP(C光源、2°視野)を用い、JIS Z-8722,8730の方法に準じて、フィルム単枚の時のb値を測定した。なお、フィルム背面は黒色板で押さえた。
マクベス濃度計TD-904型を使用し、白色光による透過濃度を測定した。測定は5点行い、その平均値をOD値とした。この値が大きい程光線透過率が低いことを示す。
フィルムの任意の部分から10cm×10cmの正方形のサンプルを切出し、マイクロメーターで均等に9ヶ所の厚みを測定した。その平均値とフィルムの重量から、単位体積当りの重量を算出し、見掛け密度とした。測定数は5点とし、その平均値を用いた。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層白色ポリエステルフィルムの厚みとした。
ポリエステルを重水素化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に溶解させ、NMR(日本電子株式会社製 JNM-EX270型)を用いて、1H-NMRの各ピークを帰属し、ピークの積分値から第三成分の含有量を算出した。また、各成分(共重合ポリエステル)の含有量の合計を算出した。
リコー株式会社製複合機:imagioMPC5001itに、A4サイズにカットしたフィルム(シート)を給紙して、写真プリントによる画像形成物質が載せられたフルカラーのテスト画像を得た。画像品質を次の通り評価した。
A:フィルムにしわなどが発生することなく、高精細、高品質な画質
B:画質の一部が若干不鮮明であるが実用上問題ない
C:フィルムにしわなどが発生し、画質も不鮮明で全体的に劣る。
(14)で得られた画像形成物質が定着したフィルム表面に、紫外線硬化性樹脂(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)を95重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)5重量部からなる混合物を均一塗布し、当該混合物上にガラス板を置いて、その上から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂層を形成した。その後、ガラス板とフィルムを剥離させた。この時、形成した紫外線硬化性樹脂層はガラス板側に接着し、フィルム表面に形成された画像形成物質等による文字や画像を転写、保持することができる。この時のフィルム表面上の文字・画像剥離除去状態について、以下の評価を行った。
A:フィルム表面上の画像形成物質を完全に除去することができ、繰り返し複写用紙として使用できる。
B:フィルム表面上に一部、僅かに画像形成物質が残っているが、繰り返し複写用紙として使用でき、実用上問題ない。
C:フィルム表面上に画像形成物質がほとんど残っており、繰り返し複写用紙として使用できない。
リコー株式会社製複合機:imagioMPC5001itに、A4サイズにカットしたフィルム(シート)を100枚給紙して、写真プリントによる100枚連続印刷を行った際の、複合機のフィルム(シート)搬送性を次の通り評価した。
A:複合機内でフィルム(シート)の詰まりが一切ない。かつ、印刷されたフィルム(シート)の重送の発生が全くなく、1枚1枚独立して搬送できたことを複合機の排紙台で確認。
B:印刷されたフィルム(シート)の重送が時折発生するが、実用上問題ない範囲で複合機内でフィルム(シート)の詰まりはなく連続印刷ができたことを複合機の排紙台で確認。
C:フィルム(シート)同士が貼り付くことによってフィルム数枚が塊となるため、複合機がフィルム(シート)を搬送できない、または、複合機内でフィルム(シート)の詰まりが度々発生して連続印刷できない、または、かろうじて印刷できても画質不鮮明で全体的に劣る。
三菱鉛筆株式会社製、ユニの硬度Hの鉛筆で、1mm間隔にて5本の直線を描き、目視にて以下の評価を行った。
A:個別の直線を判別できる。
B:線の色が薄く、個々の線が判別しにくい。
C:直線を描くことができない。
蛍光灯下で積層白色ポリエステルフィルムを観察し、機能層の外観を目視にて、以下の評価を行った。
A:機能層に欠陥が見られず均一な外観
B:機能層の一部に欠陥が見られる
C:機能層の大部分に欠陥が見られる
機能層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」基材厚み25μm)を5cm幅で2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、その剥離力(初期剥離力)を測定した。
機能層表面に紫外線硬化性樹脂(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)を95重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)5重量部からなる混合物を均一塗布し、当該混合物上にガラス板を置いて、その上から紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂層を形成した後、ガラス板とフィルムを剥離させ、形成した紫外線硬化性樹脂層をガラス板側に接着させた。この操作を機能層表面に対して3回繰り返し行った後の機能層の剥離力について、機能層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」基材厚み25μm)を5cm幅で2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、3回剥離操作後の剥離力を測定した。
日本ヒューレット・パッカード社製の高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気下でポリエステルフィルムを十分調湿後、印可電圧100Vで1分後の機能層の表面固有抵抗値を測定した。
機能層表面に紫外線硬化性樹脂(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)を95重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)5重量部からなる混合物を均一塗布し、当該混合物上にガラス板を置いて、その上から紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂層を形成した後、ガラス板とフィルムを剥離させ、形成した紫外線硬化性樹脂層をガラス板側に接着させた。この操作を機能層表面に対して3回繰り返し行った後の機能層の表面固有抵抗値について、日本ヒューレット・パッカード社製の高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気下でポリエステルフィルムを十分調湿後、印加電圧100Vで1分後の機能層の表面固有抵抗値を測定した。
機能層を構成する化合物は以下のとおりである。
オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロス(登録商標)(オキサゾリン基量=4.5mmol/g、株式会社日本触媒製)
ヘキサメチレンジイソシアネート1000重量部を60℃で攪拌し、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリレート0.1重量部を加えた。4時間後、リン酸0.2重量部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100重量部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5重量部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8重量部、マロン酸ジエチル32.2重量部、ナトリウムメトキシドの28重量%メタノール溶液0.88重量部を添加し、4時間保持した。n-ブタノール58.9重量部を添加し、反応液温度80℃で2時間保持し、その後、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86重量部を添加して得られた活性メチレンによるブロックポリイソシアネート。
主鎖にピロリジニウム環を有する下記組成で重合されたポリマー
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジメチルアクリルアミド/N-メチロールアクリルアミド=90/5/5(mol%)。数平均分子量30000。
4つ口フラスコにキシレン200重量部、オクタデシルイソシアネート600重量部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140重量部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
エチルアクリレート/n-ブチルアクリレート/N-メチロールアクリルアミド/アクリル酸=88/10/1/1(重量%)の乳化重合体(乳化剤:ノニオン系界面活性剤)
中間層用として固有粘度が0.67dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ(ジエチレングリコールを2モル%含有する)80重量部、メルトフローインデックスが10ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ20重量部を280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込ませた。
表層用として平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を50重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ15重量部、メルトフローインデックスが8ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ15重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を3.5重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ10重量部、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ(ジエチレングリコールを2モル%含有する)60重量部を280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込ませた。
ギヤポンプ、フィルターを介して、メイン押出機からのポリマーが中間層、サブ押出機からのポリマーが中間層両側の表層となるように2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出して口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ厚み887μmの実質的に非晶質のシートを得た。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、3回剥離による剥離力の変化量は小さく、また、表面固有抵抗の変化もなく良好なフィルムであった。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
機能層の塗布液の組成を表1に記載されたとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして製造し、積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
固有粘度が0.63dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ(ジエチレングリコールを2モル%含有する)40重量部、メルトフローインデックスが7ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ15重量部、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を45重量%の割合で混合した混合原料を用いて中間層としたことと、下記表1に示す水系の塗布液A1の代わりに塗布液A8を塗布した以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、6μm/63μm/6μmであった。結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ由来および再生品由来のポリプロピレンの合計量は、24重量%となる。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例15と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ3重量部(ジエチレングリコールを2モル%含有する)、メルトフローインデックスが10ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ10重量部、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を87重量%の割合で混合した混合原料を用いて中間層としたことと、下記表1に示す水系の塗布液A1の代わりに塗布液A8を塗布した以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、6μm/63μm/6μmであった。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例17と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を50重量%含有する固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ15重量部、メルトフローインデックスが8ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ1.3重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.5重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ1.6重量部、固有粘度が0.68dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ(ジエチレングリコールを2モル%含有する)82.1重量部を用いて表層としたこと以外は実施例15と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、6μm/63μm/6μmであった。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例19と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
平均粒径が0.12μmの酸化チタン粒子を50重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ15重量部、メルトフローインデックスが8ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ15重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を3.5重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ10重量部、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ(ジエチレングリコールを2モル%含有する)60重量部を用いて表層としたこと以外は実施例15と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、6μm/63μm/6μmであった。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例21と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を50重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ15重量部、メルトフローインデックスが8ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマーチップ15重量部、平均粒径が11.1μmのシリカ粒子を5.0重量%含有する固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ70重量部を用いて表層としたこと以外は実施例15と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、6μm/63μm/6μmであった。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例23と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
フィルム製膜工程における熱処理工程において、熱処理温度を201℃、10秒間熱処理したこと以外は、実施例15と同様にして、厚み75μm、各層の厚みは、6μm/63μm/6μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
下記表1に示す水系の塗布液A8の代わりに塗布液A12を塗布した以外は実施例25と同様にして、厚み75μmの積層白色ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
機能層の塗布液の組成を表1に記載されたとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表2,3に示す。
機能層の塗布液に架橋剤が含まれていないため、剥離力変化量は大きく、また表面固有抵抗変化量も大きく、機能層の強度は弱いものであった。
Claims (11)
- ポリエステルを主成分樹脂として含有し、かつ、該ポリエステルに非相溶なポリマーを、前記ポリエステル100重量部に対して1重量部以上70重量部以下含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、機能層、画像形成物質、樹脂層を順次有する構成を備えた被記録材であって、
前記機能層は、長鎖アルキル基含有化合物からなる離型剤と、主鎖にピロリジニウム環を有するポリマーからなる帯電防止剤と、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる架橋剤と、アクリル樹脂とを含み、前記架橋剤の含有量が1重量%以上80重量%以下である組成物の硬化物からなり、
前記樹脂層は、活性エネルギー線硬化性樹脂層であり、
前記画像形成物質と共に前記樹脂層が前記機能層から剥離可能であることを特徴とする被記録材。 - 前記機能層が、被記録層であることを特徴とする請求項1に記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムが、2層以上の多層構成である請求項1又は2に記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層は、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有する請求項3に記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムの表層以外の層は、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有する請求項4に記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムは、金属化合物粒子を含有する請求項1~5のいずれかに記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムは、金属化合物粒子以外の粒子を含有する請求項1~6のいずれかに記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に前記機能層を備えた機能層付きポリエスエルフィルムは、150℃、30分間加熱後の加熱収縮率が2.8%以下である請求項1~7のいずれかに記載の被記録材。
- 前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に前記機能層を備えた機能層付きポリエスエルフィルムは、隠蔽性(OD)が0.30以上である請求項1~8のいずれかに記載の被記録材。
- ポリエステルを主成分樹脂として含有し、かつ、該ポリエステルに非相溶なポリマーを、前記ポリエステル100重量部に対して1重量部以上70重量部以下含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
長鎖アルキル基含有化合物からなる離型剤と、主鎖にピロリジニウム環を有するポリマーからなる帯電防止剤と、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる架橋剤と、アクリル樹脂とを含み、前記架橋剤の含有量が1重量%以上80重量%以下である組成物から機能層を形成した後、
該機能層上に画像形成物質を設け、その上に活性エネルギー線硬化性樹脂層である樹脂層を設けることを特徴とする被記録材の製造方法。 - ポリエステルを主成分樹脂として含有し、かつ、該ポリエステルに非相溶なポリマーを、前記ポリエステル100重量部に対して1重量部以上70重量部以下含有し、見掛け密度が0.7~1.3g/cm3、厚みが10~1000μmであるポリエステルフィルムの片面に、
長鎖アルキル基含有化合物からなる離型剤と、主鎖にピロリジニウム環を有するポリマーからなる帯電防止剤と、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる架橋剤と、アクリル樹脂とを含み、前記架橋剤の含有量が1重量%以上80重量%以下である組成物から機能層を形成し、
該機能層上に画像形成物質を設けた後、活性エネルギー線硬化性樹脂層である樹脂層をその上に形成し、その後、前記樹脂層と共に前記画像形成物質を、前記機能層から剥離除去することを特徴とする、画像形成物質の除去方法。
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