JP7013945B2 - 積層白色ポリエステルフィルムおよび被記録材 - Google Patents
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Description
再生紙は、その主な原料が回収した使用済みの用紙であるが、回収された使用済みの紙から再生紙を作るには、ある程度の量の新たな木材資源も必要であり、仮に再生紙の利用率が上がったとしても木材資源が消費されることに変わりはなく、再生紙の利用は森林環境を保護するための抜本的な解決策にはならない。また、リサイクルの工程にもエネルギーを要するため、省エネルギーの観点からも課題がある。
また、再生紙は、上質紙と比べて未だ品質が劣っており、再生紙からなる複写用紙を用いた場合には、紙の白色度が下がって色目がグレーがかるため、印刷したときの発色度合が落ちて画像品質が劣化する傾向にある。
さらに、再生紙は、製造コストがかかって上質紙よりも割高になりやすい。
これらの種々の問題があるため、上質紙に代わる用紙として利用は定着していないのが実状である。
しかし、かかる被記録材は、ポリマー層のコストを抑えるためポリマー層の厚みを薄くし、あくまでもベースには紙を必要としている構成から、完全に木材資源を用いないわけでは無いため、森林環境を保護するための解決策にはなっていない。また、紙を用いている以上、記録された画像は紙の繊維内部に含浸するため、剥離除去性能は不十分となる。
また、合成紙はトナーが十分に定着されないため、わずかな擦れなどによってトナーが剥がれ、指先などに付着するなどの支障をきたす問題があった。
本発明を実施するための形態の一例としての積層白色ポリエステルフィルム(以下、「本積層白色ポリエステルフィルム」と称する。)は、表層を有するポリエステル基材フィルムを少なくとも備えてなり、その表層はポリエステルと、該ポリエステルに非相溶なポリマーとを含有することを特徴としている。
ポリエステル基材フィルムの表層は、本積層白色ポリエステルフィルムの最外面にすることができる層であり、当該表層上に他の層、例えば、後述する機能層などを積層することもできる。
ポリエステル基材フィルムの表層は、少なくとも主成分樹脂としてのポリエステルと、ポリエステルに非相溶なポリマーとを含むのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、表層を構成する樹脂成分のうち最も含有割合の多い樹脂の意味である。当該主成分樹脂は、表層を構成する樹脂成分のうち30重量%以上、中でも50重量%以上、その中でも80重量%以上(100重量%を含む)を占める場合を想定することができる。
ポリエステル基材フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
なお、積層構成が2層である場合とは、2つの表層によって構成されることを意味し、具体的には、各層を構成するポリエステルの種類や、含有する粒子等の配合が異なる組成の2層によって形成される場合等が挙げられる。
ポリエステル基材フィルムの表層に、ポリエステルに非相溶なポリマーを含有させることで、少なくとも一軸方向に延伸したポリエステルフィルムに無数の微細な空洞を含有させることができる。前記微細な空洞によって、積層白色ポリエステルフィルムは光を散乱させ、白色不透明をもたらすだけでなく、積層白色ポリエステルフィルムの見掛け密度を低減させる。
ポリエステルに非相溶なポリマーを含有する表層は、ポリエステル基材フィルムにおける両側であっても、一方の側のみであってもよいが、両側の表層に含有することが好ましい。
中でもポリエステル基材フィルムの表層にポリエステルに非相溶なポリマーを含有することによって、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いた時、本積層白色ポリエステルフィルムの表面に印刷されたトナー等の熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質を、容易に定着させ、かつ容易に剥離除去できる。すなわち、ポリエステル基材フィルムの表層に微細な空洞を有したり、表面が粗面化したりすることにより、画像形成物質が良好に定着するためのアンカー効果を発現することができる。また、ポリエステルに非相溶なポリマーを表層に含有することにより、画像形成物質の定着力を調節することが可能となるため、容易に剥離除去することも可能となる。なお、驚くべきことに、このような効果は、ポリエステル基材フィルムの表面に後述する機能層を設けた場合においても、同様に、或いはより一層顕著に発現することができる。
また、十分な隠蔽性および軽量化を確保するために、必要に応じてポリエステルに非相溶なポリマーを中間層に含有させてもよい。
一方、上限としては、通常50ml/10分以下、好ましくは40ml/10分以下、より好ましくは30ml/10分以下、さらに好ましくは25ml/10分以下の範囲である。上記範囲の場合、横延伸時のクリップ外れの回避も可能となり、生産性を保持することが可能となる。
一方、表層におけるポリエステルに非相溶なポリマーの含有量の上限は、通常25重量%以下、好ましくは22重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは18重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。当該範囲で使用することにより、生成する空洞の量が多すぎず、延伸時の破断を抑えやすい傾向がある。
一方、ポリエステル基材フィルムの表層以外の他の層、例えば中間層におけるポリエステルに非相溶なポリマーの含有量の上限は、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下、最も好ましくは25重量%以下である。当該範囲で使用することにより、生成する空洞の量が多すぎず、延伸時の破断を抑えやすい傾向がある。
ポリエステル基材フィルムの表層に、さらなる隠蔽性や白色度の向上を目的として、金属化合物粒子を含有させることも可能である。上記ポリエステルフィルムが2層以上である場合は、金属化合物粒子も上記ポリエステル樹脂層中に含有させることが好ましい。
本積層白色ポリエステルフィルムを3層以上の構成とした場合は、表層であっても、中間層であっても構わないが、隠蔽性や白色度の向上を効果的なものとするためには、表層に含有することが好ましい。
上記金属化合物粒子の形状は、特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
本積層白色ポリエステルフィルムの取り扱い性、易滑性を向上させるために、特にポリエステル基材フィルムの表層に、易滑性付与のために前記で例示した金属化合物粒子以外の粒子が含まれていてもよい。
金属化合物粒子以外の粒子としては、具体的にはシリカ粒子、有機粒子が挙げられる。有機粒子としては、具体的にアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。中でも十分な鉛筆硬度が確保できる点で、シリカ粒子が好ましい。
なお、ポリエステル基材フィルムの各層には、上述の粒子、ポリエステルに非相溶なポリマー以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料、顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
本積層白色ポリエステルフィルムは、上記のように、表層を有するポリエステル基材フィルムを少なくとも備えた積層フィルムであり、そのうちの少なくとも表層はポリエステルに非相溶なポリマーを1~25重量%含有し、かつ、当該表層表面の最大粗さ(Rt)が15μm以下であることを特徴とする積層白色ポリエステルフィルムである。
表層が、上記のように、ポリエステル、及び、該ポリエステルに非相溶なポリマーを含有すれば、延伸によって微細な空洞を設けることができるから、軽量化、隠蔽性及び白色化を実現することができ、さらに表面粗さを調整することができるから、筆記性を高めることができる。
再生品に金属化合物粒子や金属化合物粒子以外の粒子が含まれる場合は、新たな使用をできるだけ少量とするため、再生品を表層に配合させることが好ましい。また中間層に再生品を配合する場合は、コストダウンの観点から、共押出法を用いて積層構造にすることが好ましい。
本積層白色ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10μm~1000μm、好ましくは20μm~500μm、より好ましくは30μm~400μm、特に好ましくは38μm~350μmの範囲である。上記範囲で使用することで、フィルムの硬さ(コシ)や取り扱い性を十分なものとすることが可能となる。
本積層白色ポリエステルフィルムの見掛け密度は、下限が通常0.7g/cm3以上であり、好ましくは0.75g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上である。見掛け密度の下限を上記範囲とすることで、フィルムの強度を保持でき、情報印字媒体である複写用紙やプリンター用紙の紙に代わる被記録材として用いる際の、複写機内の搬送工程におけるフィルムの詰まりを低減することができ、最適な印刷をすることが可能となる。
一方、上限としては、通常1.3g/cm3以下、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.1g/cm3以下である。見掛け密度の上限を上記範囲とすることで、大量の印刷物を持ち運びする際の作業負担が軽減され、さらにはフィルム(シート)の輸送過程で発生するCO2削減による環境負荷低減やコストダウン対応が可能となる。
ポリエステルフィルムの見掛け密度は、主成分樹脂であるポリエステルよりも比重の軽い非相溶なポリマーを配合し、少なくとも一軸方向に延伸することにより、調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
本積層白色ポリエステルフィルムの表面すなわち表層の最大粗さ(Rt)は、15μm以下であるのが好ましく、中でも13.5μm以下、その中でも12μm以下であるのがさらに好ましい。さらに、表層の算術平均粗さ(Ra)は900nm以下、または、二乗平均平方根粗さ(Rq)は1500nm以下であるのが好ましい。算術平均粗さ(Ra)の上限は、中でも700nm以下、その中でも550nm以下であるのがさらに好ましい。また、二乗平均平方根粗さ(Rq)の上限は、中でも1200nm以下、その中でも850nm以下であるのがさらに好ましい。
一方、最大粗さ(Rt)の下限は、8μm以上であるのが好ましく、中でも9μm以上、その中でも10μm以上、その中でも11μm以上であるのがさらに好ましい。
また、算術平均粗さ(Ra)の下限は、185nm以上であるのが好ましく、中でも300nm以上、その中でも400nm以上、その中でも500nm以上であるのがさらに好ましい。
二乗平均平方根粗さ(Rq)の下限は、270nm以上であるのが好ましく、中でも500nm以上、その中でも600nm以上、その中でも700nm以上であるのがさらに好ましい。
最大粗さ(Rt)、算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)を上記範囲とすることで、隠蔽性や搬送性を十分なものとすることが可能となり、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として用いるのに最適なフィルムとすることが可能となる。さらに、十分な筆記性を有することができる傾向にある。
なお、本発明における最大粗さ(Rt)、算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)は、JIS B0601に準拠し、後述する実施例で用いた測定方法に基づくものとする。
前記鉛筆硬度を、上記範囲にすることにより、フィルム表面に印刷した画像形成物質の定着性を良好にすることができる。鉛筆硬度は、前記金属化合物粒子以外の粒子、例えば、シリカ粒子を適切な割合で表層に含有させるなどして調整することができる。更には、後述する機能層を最適化することによって調整することもできる。
なお、本発明における鉛筆硬度は、フィルム表面に画像形成物質等が定着した状態で測定したものである。後述する実施例で用いた測定方法に基づくものとする。
上記した表層の最大粗さ(Rt)、算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)及び鉛筆硬度は、ポリエステル基材フィルムの表層が本積層白色ポリエステルフィルムの最表層を形成している場合は、当該ポリエステル基材フィルムの表層を指す。一方、本積層白色ポリエステルフィルムが、ポリエステル基材フィルムの表面に後述する機能層等を有する場合には、上記のポリエステル基材フィルムの表層を意味するとともに、機能層の表面をも意味する。
本積層白色ポリエステルフィルムの加熱収縮率が上記範囲とすることで、電子写真方式や熱転写方式などの方式により被記録材に印刷する際に、熱による影響でフィルムの寸法安定性が損なわれることを防ぐことができる。特にフィルム(シート)の縁の部分、すなわち、しわが発生しやすい部分においても、ポリエステルフィルムのしわの発生を抑えることができ、文字や画像に歪みやムラなどが発生して画像品質が低下する現象を抑えることが可能となる。また、しわは、一度発生してしまうと消すことができず、複写用紙やプリンター用紙の被記録材として繰り返し使用することができなくなるため、極力発生しないようにすることが好ましい。
本積層白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に機能層を設けてもよい。
前記機能層は、帯電防止性能、離型性能を有することが好ましい。
本積層白色ポリエステルフィルムには、見掛け密度の低減と、コストをかけることなく白色化を行うことと、印刷された熱可塑性樹脂を含有する画像形成物質の文字および画像を容易に剥離除去できるようにするため、ポリエステルと、ポリエステルに非相溶なポリマーとを含むポリエステル樹脂層を表層として備える。しかしながら、機能層を設けた場合、表層に有する画像形成物質の文字や画像を容易に剥離除去できるようにする性能を発現することが難しくなる場合があるため、機能層には離型性能も含有することが好ましい。
以下、本積層白色ポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
次にダイから押出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本積層白色ポリエステルフィルムの表層の機能層が設けられていない面上または機能層が設けられている面上には、トナーなどの画像形成物質の熱可塑性樹脂を含有する文字,画像を設けることが可能である。
文字,画像は、従来公知の手法で設けることが可能であり、複写機やプリンターなどで印刷することで得ることが可能である。また、画像形成物質の熱可塑性樹脂についても、従来公知の材料を使用することができる。
本積層白色ポリエステルフィルムは、さらに、画像形成物質等の熱可塑性樹脂を含有する文字,画像上に、樹脂層を設けることが可能である。
当該樹脂層は、積層白色ポリエステルフィルムを再利用する等のために、文字,画像を、樹脂層と共にフィルムから剥離除去させるために設ける主旨であってもよい。
硬化性の樹脂層としては、熱硬化性樹脂層、活性エネルギー線硬化性樹脂層が挙げられる。文字,画像を残らず剥離除去しやすいという観点において、活性エネルギー線硬化性樹脂層が好ましい。
(メタ)アクリレートにヒドロキシアルキル系、芳香族系、アルキルグリコール系を含むことにより、画像形成物質との密着性が良好となり、剥離除去しやすくなるだけでなく、被記録材として用いた本積層白色ポリエステルフィルムへの損傷が抑制され、リサイクル使用が可能となる。一方、(メタ)アクリレートに上記成分が含まれていないと、画像形成物質との密着性が低下し、画像形成物質をうまく除去できないことがある。
ヒドロキシアルキル系(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また芳香族系(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アルキルグリコール系(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
JIS K7210-1995に従って、230℃、21.2Nで測定した。この値が高いほど、ポリマーの溶融粘性が低いことを示す。
JIS B0601に準拠して、積層白色ポリエステルフィルム表面を、株式会社菱化システム製、非接触表面・層断面形状計測システムVertScan(登録商標)R550GMLを使用して、CCDカメラ:SONY HR-50 1/3’、対物レンズ:20倍、鏡筒:1X Body、ズームレンズ:No Relay、波長フィルター:530 white、測定モード:Waveにて、640μm×480μmの領域を測定し、4次の多項式補正による出力を用い、最大粗さ(Rt)値を12点測定し、最大値と最小値を除いた10点を平均して求めた。
また同様の条件で、算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)を求めた。
株式会社島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
試料を無張力状態で150℃に保ったオーブン中、30分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(L0-L1)/L0}×100
(上記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)
フィルム長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれの方向の平均値を求めた。
日本電色工業株式会社製測色計NDH-1001DP(C光源、2°視野)を用い、JIS P8123-1961の方法に準じて、フィルム単枚の時のハンター白色度(Wb)を測定した。なお、フィルム背面は黒色板で押さえた。
マクベス濃度計TD-904型を使用し、白色光による透過濃度を測定した。測定は5点行い、その平均値をOD値とした。この値が大きい程光線透過率が低いことを示す。
フィルムの任意の部分から10cm×10cmの正方形のサンプルを切出し、マイクロメーターで均等に9ヶ所の厚みを測定した。その平均値とフィルムの重量から、単位体積当りの重量を算出し、見掛け密度とした。測定数は5点とし、その平均値を用いた。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層白色ポリエステルフィルムの厚みとした。
リコー株式会社製複合機:imagioMPC5001itに、A4サイズにカットしたフィルム(シート)を給紙して、写真プリントによる画像形成物質が載せられたフルカラーのテスト画像を得た。画像品質を次の通り評価した。
(評価基準)
A:フィルムにしわなどが発生することなく、高精細、高品質な画質
B:画質の一部が若干不鮮明であるが実用上問題ない
C:フィルムにしわなどが発生し、画質も不鮮明で全体的に劣る
(10)で得られた画像形成物質が定着したフィルム表面に、紫外線硬化性樹脂(ポリエチレングリコール#200ジアクリレート)が99重量部、光重合開始剤(ジメチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)が1重量部からなる混合物を均一塗布し、当該混合物上にガラス板を置いて、その上から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂層を形成した。その後、ガラス板とフィルムを剥離させた。この時、形成した紫外線硬化性樹脂層はガラス板側に接着し、フィルム表面に形成された画像形成物質による文字や画像を転写、保持することができる。この時のフィルム表面上の文字,画像剥離除去状態について、以下の評価を行った。
(評価基準)
A:フィルム表面上の画像形成物質を完全に除去することができ、複写用紙として繰り返し使用できる。
B:フィルム表面上に一部、僅かに画像形成物質が残っているが、複写用紙として繰り返し使用でき、実用上問題ない。
C:フィルム表面上に画像形成物質がほとんど残っており、複写用紙として繰り返し使用できない。
JIS K5600-5-4に準拠して、(10)で得られた黒塗りの画像形成物質が定着したフィルム表面の鉛筆硬度を測定した。
前記鉛筆硬度の測定結果より、画像定着性を以下の通り評価した。
(評価基準)
A:鉛筆硬度が3B以上
B:鉛筆硬度が4B以下5B以上
C:鉛筆硬度が6B以下
下記表1に示すとおり、中間層として、固有粘度が0.67dl/gのポリエチレンテレフタレートを83.5重量部、メルトフローインデックスが7.5ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマー(日本ポリプロ製「FL0007」;以下「ポリプロピレンA」という。)を15重量部、酸化チタン粒子を1.5重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
また表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを78.15重量部、ポリプロピレンAを20重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を1.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
得られた未延伸シートは、縦方向に92℃で3.0倍延伸した後、テンターに導き、次いで横方向に120℃で4.0倍に延伸した後、240℃で10秒間熱処理を施し、横方向に10%弛緩し7.5μm(表層)/60μm(中間層)/7.5μm(表層)の厚み構成で全厚みが75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正および画像定着性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを83.15重量部、ポリプロピレンAを15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を1.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正および画像定着性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを79.65重量部、ポリプロピレンAを15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、文字・画像剥離除去適正および筆記性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを72.15重量部、ポリプロピレンAを15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を12.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用い、横方向に120℃で4.1倍に延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、文字・画像剥離除去適正および画像定着性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、中間層として、固有粘度が0.67dl/gのポリエチレンテレフタレートを80.0重量部、ポリプロピレンAを20重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
また表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを87.15重量部、メルトフローインデックスが7.5ml/10分の結晶性ポリプロピレンホモポリマー(住友化学製「FLX80E4」;以下「ポリプロピレンB」という。)を5重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を7.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
得られた未延伸シートは、縦方向に92℃で3.0倍延伸した後、テンターに導き、次いで横方向に120℃で3.9倍に延伸した後、240℃で10秒間熱処理を施し、横方向に10%弛緩し7.5μm(表層)/60μm(中間層)/7.5μm(表層)の厚み構成で全厚みが75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正および画像定着性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを82.15重量部、ポリプロピレンBを10重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を7.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用い、横方向に120℃で4.0倍に延伸したこと以外は実施例5と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、文字・画像剥離除去適正および筆記性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを77.15重量部、ポリプロピレンBを15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を7.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用いたこと以外は実施例6と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムを評価したところ、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正および画像定着性はいずれも良好なものであった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを68.15重量部、ポリプロピレンAを30重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を1.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムは下記表2に示すとおり、文字・画像剥離除去適正が悪いものであった。
下記表1に示すとおり、表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを72.15重量部、ポリプロピレンAを15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を12.5重量部、平均粒径が4.1μmのシリカ粒子を0.35重量部の割合で混合した混合原料を用い、横方向に120℃で4.5倍に延伸した後、200℃で10秒間熱処理を施したこと以外は実施例1と同様にして、厚み75μmの二軸配向積層白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、7.5μm/60μm/7.5μmであった。
得られた積層白色ポリエステルフィルムは下記表2に示すとおり、画像品質適正及び文字・画像剥離除去適正が悪いものであった。
下記表1に示すとおり、中間層として、固有粘度が0.67dl/gのポリエチレンテレフタレートを85.0重量部、ポリプロピレンAを15重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
また表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを81.50重量部、ポリプロピレンBを10重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を7.5重量部、有機粒子(メタクリル酸アルキル-スチレン共重合体、平均粒径:4.5μm)を1.0重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
ギヤポンプ、フィルターを介して、メイン押出機からのポリマーが中間層、サブ押出機からのポリマーが表層となるように2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出して口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。
得られた積層白色ポリエステルフィルムは下記表2に示すとおり、画像定着性が悪いものであった。
下記表1に示すとおり、中間層として、固有粘度が0.67dl/gのポリエチレンテレフタレート100重量%を原料とし、280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
また表層として、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレートを92.15重量部、平均粒径が0.32μmの酸化チタン粒子を7.5重量部の割合で混合した混合原料を280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
ギヤポンプ、フィルターを介して、メイン押出機からのポリマーが中間層、サブ押出機からのポリマーが表層となるように2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出して口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。
得られた積層白色ポリエステルフィルムは下記表2に示すとおり、文字・画像剥離除去適正が悪いものであった。
実施例1~5の積層白色ポリエステルフィルムは、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正、画像定着性のいずれもがB以上の判断であり、被記録材として好適に用いることができるものであった。
熱処理温度を低くすると、比較例2に示されるとおり、最大粗さ(Rt)、算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)のいずれもが大きくなり(Rt>15μm,Ra>900nm、Rq>1500nm)、画像品質適正、文字・画像剥離除去適正が悪くなることが確認された。
Claims (7)
- 表層を有するポリエステル基材フィルムを少なくとも備え、
当該表層は、ポリエステルに非相溶なポリマーを1~25重量%の範囲で含有し、平均粒径が0.05μm~0.50μmの酸化チタン粒子を1重量%以上30重量%以下の範囲で含有し、平均粒径が1.0μm~15μmのシリカ粒子を0.005重量%以上5重量%以下の範囲で含有し、
当該表層の算術平均粗さ(Ra)が368nm以上900nm以下であり、かつ、最大粗さ(Rt)が15μm以下であり、
当該表層に画像形成物質を定着させた際の表面の鉛筆硬度が5B以上であることを特徴とする積層白色ポリエステルフィルム。 - 請求項1に記載の積層白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、画像形成物質を有する積層白色ポリエステルフィルム。
- 前記画像形成物質の上または積層白色ポリエステルフィルム上に樹脂層を有する請求項2に記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- 前記樹脂層が、積層白色ポリエステルフィルムと剥離可能に積層してなる請求項3に記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- 請求項1~4のいずれかに記載の積層白色ポリエステルフィルムを使用した被記録材。
- 請求項1に記載のポリエステルフィルムであって、且つ、見掛け密度が0.7~1.3g/cm3、厚みが10~1000μmであるポリエステルフィルムの片面に電子写真印刷により画像形成物質を定着させた後、樹脂層をその上に形成し、その後、前記樹脂層と共に画像形成物質を、前記ポリエステルフィルムから剥離除去することを特徴とする、画像形成物質の除去方法。
- 前記樹脂層は、活性エネルギー線硬化性樹脂層であり、前記樹脂層に活性エネルギー線を照射して硬化させた後、前記樹脂層と共に前記画像形成物質を、前記ポリエステルフィルムから剥離除去する、請求項6に記載の画像形成物質の除去方法。
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