JP2876683B2 - 表面多孔質フィルム - Google Patents

表面多孔質フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は表面多孔質フィルムに関する。詳しくは、低
密度で白色性に富み、かつ吸水性及び吸油性に優れ、オ
フセット印刷等の印刷用基材フィルム、インクジェット
記録等の情報記録用基材フィルムとして好適な表面多孔
質フィルムに関する。
[従来の技術] プラスチックフィルムは、それ自身に吸水性、吸油性
等が不足するためオフセット印刷やインクジェット記録
用基材として用いる場合、表面にインクやインク中の溶
媒等を吸収するための多孔質層を設ける方法が採られて
いる。
このような表面に多孔質層を設けたプラスチックフィ
ルムとしては従来、タルク、炭酸カルシウム、カオリ
ン、クレー等の無機系充填剤やプラスチックピグメント
等の有機系粉末の粗大粒子を多量に含有した層を積層
し、粒子間の空隙によって多孔化したものが良く知られ
ている。
しかしながら、上記の表面多孔質フィルムは粒子間の
空隙によって多孔化しているため孔と孔が連結した形態
をとっており、孔径も不均一であるためインクが横方向
に流れ、いわゆる滲みが発生したり、吸収性にむらが生
じるという欠点がある。また、粗大な有機粒子を多量に
充填しているために表面の平滑性に劣り、インク転写時
にピンホール状のぬけが発生しやすく又塗膜の強度が弱
いために裁断等によって塵埃が発生しやすい等の欠点を
有している。
一方、基材フィルムは、透明フィルムでも着色された
フィルムでも良いが、印刷用基材フィルムとしては無機
粒子を添加して白色度80%以上としたものが印刷後の麗
美観の点で好ましい。従来白色プラスチックフィルムと
しては、ポリオレフィン樹脂に炭酸カルシウムを添加し
たもの(特公昭63−64310)等のポリオレフィン樹脂を
ベースとしたものが知られているが、これらのフィルム
は熱に弱く、耐溶剤性が劣るためオフセット印刷用イン
クの溶剤で膨潤、変形する欠点があり、また機械的強度
が弱い等の問題点がある。また、これの欠点を改善する
ものとしてポリエステルをベースとしてポリプロピレン
を添加したポリエステルフィルムが報告されている(例
えば、特開昭63−168441等)。
しかしながら、ポリエステルに多量の二酸化チタンや
炭酸カルシウム等の無機物を添加して得られるフィルム
は、白色性は付与できるが低比重化ができず、フィルム
自体が固くなりゴワゴワした感じになり用途によっては
問題となることがある。また、ポリプロピレンを添加し
た場合は、無機物を添加した場合に比べればフィルム自
身の固さは多少とも緩和されるが、熱寸法安定性が悪い
のみならず紙等に比べればソフト性、柔軟性及び白色性
にも劣るという欠点がある。すなわち低比重で熱寸法性
に優れたポリエステルフィルムは得られていない。
[発明が解決しようとする課題] 従って、本発明の目的は、これらの従来の欠点を解消
せしめ、低比重で熱安定性及び白色性に優れ、かつイン
クやインク中の溶媒等の吸収性に優れ、かつ表面が平滑
でインクの転写、鮮明度に優れ、インクの滲みが少なく
塗膜強度に優れた表面多孔質フィルムを提供することで
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、鋭意研究の結果、ポリエステルに非相
溶ポリマー及び低比重化剤を加えることにより得られた
低比重で熱安定性及び白色性に優れた白色ポリエステル
フィルムに多孔質層を積層することにより、印刷面の乾
燥速度及びインクの転写性、鮮明度が向上した表面多孔
質フィルムが得られることを見出し、この発明を完成し
た。
すなわち、本発明は、フィルム支持体(I)の少なく
とも片面に多孔質層(II)が形成されて成る積層フィル
ムであって、フィルム支持体(I)が150℃の熱収縮率
が2%未満であり、かつ比重が0.95以下のポリエステル
フィルムであることを特徴とする表面多孔質フィルムを
提供する。
[発明の具体的な説明] 本発明の表面多孔質フィルムは、フィルム支持体層
(I)の少なくとも片面に多孔質層(II)が形成されて
成る積層フィルムである。
本発明において、フィルム支持体(I)は150℃の熱
収縮率が2%未満であり、かつ比重が0.95以下のポリエ
ステルフィルムである。
本発明において、ポリエステルフィルムの比重は0.95
以下、好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.80以下
である。0.95より大きいとフィルムにソフト感、柔軟性
が付与されないためである。もちろん、手に触れた時の
感触も重要な要素である。このため、後述のとおりクッ
ション率としては10%以上であることが望まれる。
本発明においてポリエステルフィルムの熱収縮率は、
長手方向および幅方向共に150℃で2%未満、好ましく
は1%未満である。熱収縮率が2%以上となるとフィル
ムの熱寸法安定性が悪くなり、感熱転写、印刷、乾燥等
の熱の加わる工程においてフィルムが変形し易くなる。
特に、150℃での熱収縮率が重要になることが多い。
本発明でいうポリエステルとは、ジオールとジカルボ
ン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジ
カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシ
ン酸等で代表されるものであり、またジオールとはエチ
レングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチ
レングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表
されるものである。具体的には例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエー
ト、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート等を挙げることができる。本発明の場合、特にポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
が好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは耐
水性、耐久性、耐薬品性等に優れているものである。
もちろん、これらのポリエステルはホモポリエステル
あってもコポリエステルであっても構わない。共重合成
分としてはジエチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分及び
アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の
ジカルボン酸成分を挙げることができる。
また、このポリエステルの中には、公知の各種添加
剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤等が添加されても良
い。
本発明に用いられる非相溶ポリマーとしてはポリ−3
−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、
ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−
ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ
スチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレ
ン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フ
ルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セ
ルローストリアセテート、セルローストリプロピネー
ト、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロ
エチレン等から選ばれた融点200℃以上のポリマーであ
る。本発明の場合には価格、熱安定性、ポリエステルと
の分散性等の点からポリ−4−メチルペンテン−1、セ
ルローストリアセテート及びその変性体が特に好まし
い。もちろん、該非相溶ポリマーの融点は200℃以上、
好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上であ
ることが必要である。融点が200℃未満だとポリエステ
ルフィルム中での該非相溶ポリマーの分散形状が球状を
とらず、層状の偏平な形状をとることが多く、またクッ
ション性の高いポリエステルフィルムが得られないため
である。さらに、該非相溶ポリマーの融点は、300℃以
下、好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下
であるのが好ましい。これはポリエステルの溶融押出温
度以下でないと該非相溶ポリマーが溶解しないためであ
る。
該非相溶ポリマーの添加量としては、好ましくは3〜
30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。添加
量が3重量%未満であると、本発明のポリエステルフィ
ルムの比重が0.95以下のものが得にくいばかりか、白色
度が80%以上の白いポリエステルフィルムになりにく
く、さらには、クッション率が10%以上と高いクッショ
ン性に優れたポリエステルフィルムを得ることが困難で
ある。また、逆に該非相溶ポリマーの添加量が30重量%
を越えると、本発明のポリエステルフィルムの機械的性
質が劣ったものになるばかりか、熱寸法安定性にも劣り
150℃の熱収縮率が5%以上と大きくなる傾向がある。
次に、本発明に用いる低比重化剤とは、ポリエステル
に添加して比重を小さくする効果を持つ化合物のことで
あり、特定の化合物のみその効果が認められる。例え
ば、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等のポリアルキレングリコール、エチレ
ンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、さらに
はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルス
ルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレー
ト、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスル
ホネート等で代表されるものである。本発明の場合、特
にポリエチレングリコールが好ましい。低比重化剤の添
加によってポリエステルフィルムの比重を0.1g/cc以上
小さくすることができるのである。さらに、この低比重
化剤の添加によってポリエステルフィルムの白色度が向
上し、表面は平滑化するのみならず、耐劈開性が向上
し、更にポリエステルの延伸性も大幅に向上するという
効果もある。
本発明における低比重化剤の添加量としては、好まし
くは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%で
ある。添加量が0.1重量%未満であると、ポリエステル
なフィルムが低比重化せず、ソフトなフィルムとはなら
ずポリエステルフィルムの比重として0.95以下になりに
くい逆に添加量が5重量%を越えると低比重化の効果が
認められなくなるばかりか、該フィルムの白色度が低下
し、b値が正の大きな値になってしまう。
次に、本発明において非相溶ポリマーがポリエステル
フィルム中で球形に近い形状であること、すなわち、形
状係数が1〜4の範囲にあることが好ましい。ポリエス
テルフィルム中の非相溶ポリマーの性状によって得られ
るフィルム特性、特にフィルムの比重とクッション率と
の相関性、熱寸法安定性、表面粗さ、白色性等に大きな
相違点が生じてくる。すなわち、非相溶ポリマーの形状
が球形に近い場合、層状に分散している場合に比べて低
比重化できるのみならず、白色度、クッション率が高く
熱寸法安定性のよいフィルムを得ることができる。ポリ
マーを球形に近い形状で分散させることは、ポリマーの
形状がポリエステルに添加する非相溶ポリマーの粘度、
相溶性パラメータ、融点、さらには低比重化剤の種類、
添加量等に強く依存する。球状に近い形状とは、フィル
ム中に分散する非相溶ポリマーの形状係数すなわち、長
径と短径の比が1〜4、好ましくは1〜2である場合を
いう。
本発明におけるポリエステルフィルムのクッション率
は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上で
ある。クッション率が10%未満であると、手に触れた時
の感触が悪いものとなる。
本発明におけるポリエステルフィルムの白色度は好ま
しくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。さ
らに、色差計で求めた色調b値は好ましくは−3以下、
さらに好ましくは−4以下−20以上である。b値が小さ
い程見掛けのフィルムの白さが向上して高級なイメージ
を与えるものである。
上述した非相溶ポリマーや低比重化剤等の添加により
色調は変化するが、必要により蛍光増白剤を添加しても
良い。蛍光増白剤としては,商品名“ユビテック"OB、M
D(チバガイギー社製)、“OB−1"(イーストマン社
製)等が挙げられる。
本発明におけるポリエステルフィルムの光学濃度は、
好ましくは0.7以上1.6以下、さらに好ましくは0.8以上
1.6以下である。光学濃度が0.7未満であると、フィルム
の隠蔽性が小さいため裏側が透けて見え好ましくない。
また、光学濃度が1.6を越えると微細気泡を大量に含む
ため強度の弱いものとなり、また熱収縮も悪くなるので
好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムには、炭酸カルシウ
ム、非晶質ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタ
ン、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、ク
レー等の微粒子を併用しても良い。これらの添加量はポ
リエステル組成物100重量部に対して0.005〜25重量部と
するのが好ましい。またこのような微粒子以外にもポリ
エステルの重縮合反応系で触媒残渣とリン化合物との反
応により析出した微粒子を併用することもできる。析出
微粒子としては、例えばカルシウム、リチウム及びリン
化合物から成るもの又はカルシウム、マグネシウム及び
リン化合物から成るもの等を挙げることができる。これ
らの粒子のポリエステル中の含有量はポリエステル100
重量部に対して0.05〜1.0重量部であることが好まし
い。
フィルム支持体の厚みは特に限定されないが、通常1
μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上300μm以
下、さらに好ましくは30μm以上250μm以下であるの
が好ましい。
本発明でいう多孔質層とは層の内部及び表面に多数の
空孔を持つ層構造を有するものである。この空孔はイン
ク等の吸収性の点から外部に通ずる、いわゆる貫通孔で
あるものが好ましい。
本発明において多孔質層の孔の孔径分布曲線における
ピーク孔径は好ましくは0.06〜2.0μm、さらに好まし
くは0.08〜1.0μm、最も好ましくは0.1〜0.5μmであ
る。孔径分布曲線のピーク孔径が0.06μmに満たない場
合にはインク等の吸収性が不充分であり、孔径分布曲線
におけるピーク孔径が2.0μmを越える場合には表面平
滑性が低下し、インクの転写ぬけが発生するという欠点
を生じる。
また孔面積比は20〜85%、好ましくは30〜75%、さら
に好ましくは35〜65%の範囲にあるのが望ましい。孔面
積比が20%未満の場合にはインク等の吸収性が低下する
傾向にあり、85%を越える場合には孔と孔が一部連結し
た形態を取りやすくなり、滲みや鮮明度が低下する傾向
になる。
孔は、多孔質層表面から観察した場合、それぞれが独
立しており、かつその真円度r(=b/a、a:孔の長軸
径、b:孔の短軸径)が1〜5である場合、インクの滲み
が少ないので特に好ましい。この真円度は測定点1000個
以上の平均値であり、通常イメージアナライザーにより
求める。
また、孔径分布曲線における孔径分布の広がりは小さ
い方、すなわちシャープな孔径分布であるのが望まし
く、孔数の50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ま
しくは70%以上がピーク孔径±30%以内にあるのが望ま
しい。
本発明における多孔質層表面の中心線平均粗さは好ま
しくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下、最
も好ましくは0.1μm以下である場合、インクの転写性
が良くピンホール状の印刷抜けが少なくなるので好まし
い。
本発明において、インク等の吸収性をより高めるに
は、表面にうねりを有するものが好適である。そのため
には多孔質層が下記の条件を満足することが好ましい。
多孔質表面は高さ0.2μm以上、好ましくは0.3μm以
上、さらに好ましくは0.4μm以上のうねりを5個/40μ
m以上、好ましくは7個/40μm以上、さらに好ましく
は10個/40μm以上有することが好ましい。このような
多孔質層とした場合には、インクやインク中の溶媒等の
吸収速度が早く、枚葉印刷等における印刷物の積み重ね
が容易となり作業性が向上する。
さらに、多孔質層表面のうねり指数が0.035〜0.3μ
m、好ましくは0.045〜0.2μm、さらに好ましくは0.05
5〜0.13μmである場合、インク溶媒等の吸収速度、印
刷性等の点で好ましい。
本発明の多孔質層は水分散性ポリマーと特定のコロイ
ダルシリカを特定の範囲で混合し、その混合液を塗布、
乾燥することによって得られるものである。ここで水分
散性ポリマーとは各種ポリマーの水分散体を用いること
ができるが、具体例を挙げればアクリル系ポリマー、エ
ステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系
ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、エポキシ系ポリ
マー、アミド系ポリマー及びこれらの変性物、共重合体
等の水分散体を用いることができる。孔径の分布がシャ
ープで孔面積が大きくなることからアクリル系ポリマ
ー、ウレタン系ポリマーの使用が好ましく、塗膜の機械
的安定性、塗膜強度の点でアクリル系ポリマーが特に好
ましい。
本発明に用いる上記ポリマーは水に分散し、粒子状を
有していることが必要であり、粒子状を有さない場合、
すなわち水溶性ポリマー、有機溶剤等に溶解したポリマ
ーでは多孔化することができない。粒子は一次粒子で分
散されたものが好ましいが、必ずしも一次粒子で分散さ
れている必要はなく2次凝集粒子を含むものであっても
良い。
本発明の多孔質層形成ポリマーとして好適なアクリル
系ポリマーは、少なくとも40モル%以上のアクリルモノ
マー及び/またはメタクリルモノマーとこれらのエステ
ル形成モノマー、各種官能基を有するアクリル系モノマ
ー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリ
レート、アクリルメタクリレート(アルキル基としては
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−
エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロ
ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等)及び2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含
有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタク
リルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−
メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリ
ルアミド等のアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルア
ミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチ
ルアクリレート等のアミノ基含有モノマー。グリシジル
アクリレート、フリシジルメタクリレート等のエポキシ
基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸の塩(ナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等から成る
ものであり、これらは他種モノマーと併用することもで
きる。他種モノマーとしては例えば、アクリルグリシジ
ルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスル
ホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基
又はその塩を有するモノマー、クロトン塩、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの塩類等のカルボ
キシル基又はその塩を含有するモノマー、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー、
ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレ
ン、ビニルメチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシ
ラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマ
ール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記のモノマーは1種類もしくは2種類以上を用いて
共重合される。
上述の水分散体20〜90重量部と混合するコロイダルシ
リカは、球状粒子の分散体であっても良いが特に多孔質
層にうねりを生じさせるためには下記のようなシリカが
好適である。
すなわち、球状のコロイダルシリカが数珠状に連結し
た長鎖の構造を有するもの及び連結したシリカが分岐し
たものを用いた場合、表面にうねり構造を有する多孔質
膜を得ることができる。上記コロイダルシリカは球状シ
リカの一次粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子
−粒子間を結合させたもので、少なくとも3個以上、好
ましくは5個以上、さらに好ましくは7個以上連結した
ものをいい、さらには数珠状に連結した粒子が分岐した
ものも含包する。
また、コロイダルシリカと他の無機粒子、例えば、ア
ルミナ、セリア、チタニア等の複合あるいは混合粒子で
あっても良く、これらを介在させて連結したものでも良
い。介在させる金属イオンとしては2価以上の金属イオ
ンが好ましく、例えば、Ca2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、A
l3+、Ti4+等である。特にCa2+とした場合には、数珠状
に連結し及び分岐したコロイダルシリカの一次粒子は5n
m〜100nm、好ましくは7nm〜50nm、さらには好ましくは8
nm〜30nmである場合、孔形成性、孔面積比を大きくする
点で好ましい。さらに、多孔質層のうねりはシリカ粒子
が数珠状に連結及び分岐している場合に発現するもので
あり、連結したシリカの一次粒子数が多い程好ましい
が、通常は3個以上100個未満、好ましくは5個以上50
個未満、さらに好ましくは7個以上30個未満であるのが
望ましい。2個以下ではうねりの発現が不充分であり、
100個以上の場合には数珠状に連結及び分岐したシリカ
粒子が増粘しやすく水分散性が悪くなる傾向にある。数
珠状に連結及び/又は分岐したシリカ粒子の多孔質塗膜
中での含有率は3〜80重量部、好ましくは10〜70重量
部、さらに好ましくは20〜60重量部である。含有率が3
重量部未満では多孔質形成性がなく、うねりの発現もな
いためインク等の吸収速度が遅くなる傾向にある。80重
量部を越えて含有させた場合には多孔質形成性が低下し
たり孔径が小さくなったり、孔面積比が低下するためイ
ンキ等の吸収が低下するし、塗膜の強度も劣るために裁
断時の塵埃が発生しやすくなる等の欠点を生じやすくな
る。
表面のうねりが小さいことが望まれる場合には、数珠
状に連なっていないコロイダルシリカを採用する。
多孔化は、前記水分散性ポリマーとコロイダルシリカ
の平均粒子径の比によって変わり、水分散性ポリマー平
均粒子径よりコロイダルシリカ平均粒子径は小さい必要
があり、これが逆あるいは同じ場合には多孔化すること
ができない。上記数珠状に連結したコロイダルシリカの
場合には電子顕微鏡で観察される連結粒子の短軸方向の
長さを粒子径とし、測定長100点の平均値を平均粒子径
とする。
水分散径ポリマー/コロイダルシリカの平均粒子径比
は2/1〜1000/1、好ましくは5/1〜500/1、さらに好まし
くは10/1〜200/1であるのが、多孔質層の孔の形成性の
点で特に好ましい。
特に、コロイダルシリカの平均粒子径(a1)と水分散
性ポリマーの平均粒子径(a2)との関係において平均粒
子径比が上記の範囲にあり、かつ水分散性ポリマー粒子
1個の表面を完全に被覆するに要するコロイダルミリカ
の最少粒指数をα(α=2π(a1+a22/31/2a1 2)と
した時水分散性ポリマー粒子1個当り0.3α〜10αの範
囲、好ましくは0.5α〜6α、さらに好ましくは0.7α〜
3αの範囲にあるようなコロイダルシリカ粒子数とした
時に本発明の効果がより顕著に発現するので好ましい。
本発明の多孔質層中に本発明の効果を阻害しない範囲
内で公知の添加剤、例えば、無機や有機の微粒子、可塑
剤、滑剤、界面活性剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋触
媒、耐熱剤、耐候剤等が添加されていても良い。特に帯
電防止剤の添加は枚葉印刷等の場合の重送を防止する点
で好ましく架橋剤や架橋触媒の添加は多孔質層の塗膜強
靱性、耐水性、耐薬品性、耐熱性が改良されるので更に
好ましい。
多孔質層の厚みは特に限定しないが、0.1〜50μm、
好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜20μm程
度がよい。厚さが薄すぎるとインキ等の吸収能力が不足
し、解像度、鮮明度に欠け、厚すぎるとインキの滲みや
塗膜の強度が不足する傾向になる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について説明
するが、かかる例に限定されるものではない。
最初に、本発明の支持体(I)のシートを成形する。
ポリエチレンテレフタレートに非相溶ポリマーとして4
−メチルペンテン−1ポリマー及び低比重化剤としてポ
リアルキレングリコールを加えて充分に混合、乾燥させ
た後、270〜300℃に加熱された押出機Aに供給しTダイ
よりシート状に成形することができる。また、無機粒子
等の添加剤を含んだポリエチレンテレフタレートを常法
により押出機Bに供給してTダイ3層口金で押出機B層
のポリマーが両表層になったB/A/Bの3層構造に積層し
てシート状に成形することもできる。
上記のようにして得られたシート状フィルムは、温度
10〜60℃の冷却ドラム上で静電気力で密着冷却固化して
未延伸フィルムとすることができる。次にこの未延伸フ
ィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方
向に2.5〜5.0倍に縦延伸し20〜30℃のロール群で冷却し
得られる一軸延伸フィルム上を80〜150℃の予熱、延伸
ゾーンで巾方向に2〜5倍延伸する。このような複合フ
ィルムは、未延伸フィルムを用いた場合には縦、横各々
2〜5倍の同時二軸延伸を、また一軸延伸フィルムを用
いた場合には一軸目の延伸方向と直角方向に2〜5倍延
伸する。この延伸過程において、延伸倍率は、縦、横そ
れぞれ2〜5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍
率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面
積倍率が6倍未満であると得られるフィルムの白色性が
不良となり、逆に20倍を越えると延伸時に破れを生じや
すくなり製膜性が不良となる傾向がある。
こうして得られた二軸延伸フィルムは、フィルムの平
面性、寸法安定性を付与するためにテンター内で150〜2
30℃の熱固定を行なった後、均一に徐冷し室温まで冷ま
して巻きとり、本発明のフィルム支持体(I)を得る。
このフィルム支持体(I)上に水分散ポリマーとコロ
イダルシリカの混合塗剤を塗布する。塗布の方法は特に
限定されず、公知の方法、例えばグラビアコート法、リ
バースコート法、キスコート法、ダイコート法、バーコ
ート法など任意の方法が適用できる。塗布にあたっては
フィルム支持体(I)の塗布面側に各種の表面処理、例
えばコロナ放電処理、ポリエステル、ウレタン、アクリ
ルなどの樹脂をアンダーコートし塗布性、密着性を向上
させる手段を用いることもできる。塗布後、80℃〜150
℃の温度で水を充分に揮散させ本発明の表面多孔質フィ
ルムを得ることができる。
[物性の測定ならびに効果の評価方法] (1)表面粗さ JIS B0601−1976に従い、カットオフ0.25mm、測定長4
mmで中心線平均粗さRa(μm)及び最大粗さRt(μm)
を求める。
(2)ボイドの平均球相当径 フィルムの製膜工程の機械方向あるいはその垂直方向
に切った断面を走査型電子顕微鏡で1000倍〜5000倍に拡
大した写真を撮り、指定した厚みの範囲の少なくとも10
0個以上のボイドをイメージアナライザにかけ、ボイド
の面積に相当する円の直径の分布を求める。この分布の
体積平均径をボイドの平均球相当径とする。
(3)比重 四塩化炭素−n−ヘプタン系の密度勾配管によって25
℃での値を用いる。
(4)熱収縮率 フィルムは長手方向又は幅方向に幅10mm長さ300mmに
切り、200mm間隔にマーキングし支持板に一定張力(5
g)下で固定した後、マーキング間隔の原長a(mm)を
測定する。次に、3gのクリップを用いて荷重をかけ150
℃の熱風オープン中で回転させながら30分間処理し、原
長測定と同様にしてマーキング間隔b(mm)を測定す
る。下記の式により熱収縮率を求め、5本の平均値を用
いる。
熱収縮率(%)=(a−b)/a (5)光学濃度 フィルムを約150μmの厚みになるように重ね、光学
濃度計(TR927、マクベス社製)を用いて透過濃度を測
定する。フィルムの厚みと光学濃度とをプロットし、15
0μmの厚みに相当する光学濃度を求める。
(6)白色度 JIS−L−1015に準じて、島津製作所(株)製UV−260
を用いて波長450nm及び550nmにおける反射率をそれぞれ
B%、G%としたとき、 白色度(%)=4B−3Gで表わされる。
(7)色調 フィルムの表面色を日本電色工業(株)製色差計Σ80
で測定し、得られたL値、a値、b値で判定する。
(8)延伸性 24時間連続して製膜した時、フィルム破れが皆無のも
のを「良好」、2回以上のものを「破れあり」とする。
(9)スリット切粉 24時間本発明のフィルムを片刃レザーで切断した時、
レザーに白い粉が付着している場合を「発生」とする。
(10)クッション率(%) 三豊製作所(株)ダイヤルゲージNo.2109−10に標準
測定子900030を用い、さらにダイヤルゲージスタンドN
o.7001DGS−Mを用いてダイヤルゲージ押え部分に荷重5
0gと500gとをかけた時のそれぞれのフィルムの厚さ
d50、d500から次式により求める。
(11)形状係数 ボイドの平均径を求めるときと同様に、フィルム断面
での非相溶ポリマーの形状をイメージアナライザーにか
け100個の平均の長径/短径の比率で表わす。
(12)孔径分布曲線 1万倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔の部分をマ
ーキングし、QUant:met−720型イメージアナライザー
(イメージアナライジングコンピューター社製)を用い
て画像処理を行ない各孔径を真円に換算したときの最小
孔径と最大孔径の間を10mμ単位で分割し各分割部にお
ける孔の個数を測定する。この測定値から縦軸を単位面
積当たりの個数、横軸を孔径として孔径分布曲線を描き
ピークにおける孔径を求める。
(13)孔面積比 上記孔径分布曲線より単位面積当たりの孔の占める面
積を下記式によって算出する。
ai:測定面積内での孔径を10mμ単位で分割したときの
各分割部における平均孔直径 ni:測定面積内での孔径を10mμ単位で分割したときの
各分割部における孔数 A :測定面積 (14)中心線平均粗さ JIS B0601−1976に従いカットオフ0.25mmで測定す
る。
(15)うねり高さ、うねり個数、うねり指数 断面測定装置PMS−1付き走査電子顕微鏡ESM−3200
(エリオニクス(株)製)を用いて倍率3000倍で観察し
た表面の凹凸形状を測定し、その表面粗さ曲線により高
さが0.2μm以上となる山部の最隣接の谷部と谷部を直
線で結んだ時、測定長40μm中における該山部の個数を
測定し、うねり高さ0.2μm以上のうねり個数とする。
また、上記表面粗さ曲線によりカットオフ10μmにお
ける中心線平均粗さ(Ra10)、カットオフ1μmにおけ
る中心線平均粗さ(Ra1)を求め次式によりうねり指数
を算出する。
うねり指数(μm)=Ra10−Ra1 上記うねり個数及びうねり指数は測定点50個の平均値
とする。
(16)吸収速度 印刷適性試験機RI−3テスター((株)明製作所製)
を用いて紙用オフセット印刷用インキであるアクアレス
ファイブ紅(東洋インク(株)製)の印刷を行ない、以
下の評価水準で判定する。なおインク塗布量は約3μm
とし、吸収性の評価は印刷面にOKコート紙(王子製紙
(株)製)のコート面を重ね合わせた上から線圧353g/c
mの金属ロールを走行させOKコート上にインクが転写し
なくなるまでの時間を目視判定する。
(17)転写面の鮮明度、滲み、平面性 上記方法によって転写された印刷面の表面を目視で観
察し、転写抜け(インクが転写しない部分)の有無につ
いて下記基準で判定する。またインクの滲みは印刷部と
非印刷部の境界を100倍の光学顕微鏡で観察し境界面で
の滲みの有無を下記基準で判定する。
◎:転写抜け、滲みが全く認められず、平面性良好 ○:転写抜けはないが表面光沢が若干低下しており、微
妙な滲みが認められる。
△:目視で判定できる転写抜けが1〜5個/10cm2存在
し、境界線が明確でない。
×:斑点状の無数の転写抜けがあり、滲みが大きい。ま
た印刷面がベコベコして平面性が悪い。
(18)塗膜強度 多孔質層の表面に1mm角のクロスカットを施しニチバ
ン(株)製セロハン粘着テープを用いて90°剥離テスト
を行ない多孔質層の残存率から判定する。
○:残存率80%以上 ×:残存率80%未満 (19)平均粒子径 COULTER N8型サブミクロン粒子分析装置((株)製)
を用いレーザーによる光散乱法によって粒子直径を求め
10回の測定の平均値とする。この方法によって測定でき
ない場合には20万倍の電子顕微鏡写真により求める。
(20)平均粒子数 前記により求めた平均粒子径aと密度勾配法によって
求めた粒子比重ρよりV重量%の水分散体1ml中に含ま
れる平均粒子数を次式によって求める。
[実施例] 以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明
の実施例はこれらに限られるものではない。
実施例1 ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.6
5)を88重量%、ポリ−4−メチルペンテン−1(三井
石油化学(株)TPX−d820)を10重量%、分子量4000の
ポリエチレングリコールを2重量%を混合した原料を押
出機Aに供給し、常法により285℃で溶融してTダイ3
層複合口金の中央層に導入した。
一方、上記ポリエチレンテレフタレート90重量%に炭
酸カルシウム(平均粒径0.8μm)を10重量%、蛍光増
白剤“OB−1"を0.01重量%添加した原料を押出機bに供
給し、常法により285℃で溶融してTダイ3層複合口金
の両表層にラミネートして、該溶融体シートを表面温度
25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却固化
させた。続いて該キャストシートを常法に従い長手方向
に98℃に加熱されたロール群を用いて3.5倍に延伸し、2
5℃に冷却した。さらに、該延伸フィルムをテンターに
導き125℃に加熱された雰囲気中で幅方向に3.2倍延伸
し、225℃で熱固定を行い、厚さ100μmのフィルムを得
た。フィルムの厚さは表層5μmずつ、中央層90μmの
構成であった(フィルム支持体(I))。
該延伸フィルムの表面を空気中で放電処理を行った
後、次に示す布剤を塗布し、130℃で2分間乾燥させ表
面多孔質フィルムを得た。
[塗剤組成] 平均粒子径0.2μmのアクリル系ポリマーエマルジョ
ン(メチルメタクリレート/エリルアクリレート/アク
リル酸(60/35/5重量%)共重合体)70重量部(固形分
重量比)と分岐数珠状コロイダルシリカ(平均粒子径0.
015μm)30重量部(固形分重量比)を混合し水で希釈
して30重量%の塗剤とした。
得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィ
ルムは、熱安定性に優れ、クッション性、白色性の高い
低比重のポリエステルフィルムであることがわかる。ま
た、インク等の吸収速度が速く、鮮明度、にじみ共に優
れたものである。
比較例1〜2 実施例1で用いた非相溶ポリマーのポリ−4−メチル
ペンテン−1に代わりポリプロピレン(三井東圧社製ノ
ーブレン4H)に代える以外は全く実施例と同様にした場
合を比較例1、比較例1での熱処理を行わない場合を比
較例2とした。
得られたフィルムの特性を表1に示した。このように
ポリプロピレンを用いた場合は、寸法安定性に優れた低
比重化フィルムは得られないことがわかる。
実施例2〜3、比較例3〜4 実施例1で用いた低比重化剤ポリエチレングリコール
(PEG)の添加量を実施例2、3、比較例3、4の順に
0.8、0.2、0.05、0に変える以外は実施例1と同様にし
て表面多孔質フィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示す。低比重化剤ポ
リエチレングリコールの添加量により低比重で熱寸法安
定性に優れたフィルムの得られることがわかる。
実施例4、比較例5 実施例1の塗剤において分岐状数珠状コロイダルシリ
カに代えて平均粒子径0.015μmの球状コロイダルシリ
カ(実施例4)、平均粒子径0.2μmの球状コロイダル
シリカ(比較例5)を用いた以外は同様にして表面多孔
質フィルムを得た。
得られたフィルムの特性は表1に示す。
実施例5〜7、比較例6〜8 実施例1の塗剤においてアクリル系ポリマーエマルジ
ョン及び分岐数珠状コロイダルシリカの平均粒子径、固
形分配合比を下記のように代えた以外は実施例1と同様
にして表1に示す特性を有する表面多孔質フィルムを得
た。
多孔質層が形成されたものは、いずれも良好な特性を
示した。
比較例9 実施例1のフィルム支持体(I)のみで同様の評価を
行なったが多孔質層が形成されていないため極めてイン
クの乾燥性が悪く重ね合わせにより裏面へ転写し印刷面
が不鮮明となった。
比較例10 市販のポリプロピレン系合成紙(特性を表1に示す)
を用い同様の評価を行なったところ印刷後の平面性が極
めて悪いものであった。
[発明の効果] 本発明はポリエステルを主体とするフィルム支持体
(I)の少なくとも片面に多孔質層(II)を形成し、か
つフィルム支持体(I)の密度、熱収縮率を特定範囲と
したことで印刷用基材フィルムとして以下のような優れ
た効果を有するものである。
(1)優れた白色度、クッション性を有し印刷インクの
転写性、鮮明度が優れる。
(2)耐溶剤性に優れ印刷インクによる膨潤や平面性の
低下がない。
(3)インク中の溶媒吸収性に優れたセット時間が極め
て短い。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 5/18 B32B 27/36 B41M 5/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルム支持体(I)の少なくとも片面に
    多孔質層(II)が形成されて成る積層フィルムであっ
    て、フィルム支持体(I)が150℃の熱収縮率が2%未
    満であり、かつ比重が0.95以下のポリエステルフィルム
    であることを特徴とする表面多孔質フィルム。
  2. 【請求項2】ポリエステルフィルム中に非相溶ポリマー
    が分散混合され、かつ該非相溶ポリマーのフィルム中で
    の形状係数が1〜4であることを特徴とする請求項1記
    載の表面多孔質フィルム。
  3. 【請求項3】非相溶ポリマーがメチルブテンポリマー、
    メチルペンテンポリマー、スチレン系ポリマー、フッ素
    系ポリマー、セルロースアセテート、セルロースプロピ
    オネートポリマーから選ばれた融点200℃以上のポリマ
    ーであることを特徴とする請求項2記載の表面多孔質フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】ポリエステルフィルムの色差計によって求
    めた色調b値が−3以下であることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の表面多孔質フィル
    ム。
  5. 【請求項5】ポリエステルフィルムがポリエステルに低
    比重化剤を含有させて得られることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか1項に記載の表面多孔質フィル
    ム。
  6. 【請求項6】低比重化剤がポリアルキレングリコール、
    エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、
    アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩
    及びそれらの変性体から選ばれたものであることを特徴
    とする請求項5に記載の表面多孔質フィルム。
  7. 【請求項7】多孔質層(II)の孔径分布曲線におけるピ
    ーク孔径が0.06〜2.0μmであることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の表面多孔質フィル
    ム。
  8. 【請求項8】多孔質層(II)の孔面積比が20〜85%であ
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に
    記載の表面多孔質フィルム。
  9. 【請求項9】多孔質層(II)の中心線平均粗さが0.5μ
    m以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいず
    れか1項に記載の表面多孔質フィルム。
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