JP2003064114A - 硬化剤組成物、熱硬化性樹脂組成物、硬化成形品およびその製造方法 - Google Patents

硬化剤組成物、熱硬化性樹脂組成物、硬化成形品およびその製造方法

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JP2003064114A
JP2003064114A JP2001258519A JP2001258519A JP2003064114A JP 2003064114 A JP2003064114 A JP 2003064114A JP 2001258519 A JP2001258519 A JP 2001258519A JP 2001258519 A JP2001258519 A JP 2001258519A JP 2003064114 A JP2003064114 A JP 2003064114A
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thermosetting resin
resin composition
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curing
composition
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Kenji Nagai
健児 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好であ
り、100〜135℃で加熱硬化させる際に、型内流動
性を確保しつつ、完全硬化に至るまでの時間を大幅に短
縮できる硬化剤組成物、これを含有する熱硬化性樹脂組
成物、及びそれを硬化して得られる硬化成形品、並びに
その製造方法を提供する。 【解決手段】 硬化剤組成物は式(1)で表されるパー
オキサイドと10時間半減期温度が65〜90℃のパー
オキサイドとからなる。そして、この硬化剤組成物を熱
硬化性樹脂組成物の硬化剤として用いることによって硬
化成形品を製造する。 【化1】 (但し、式中Rは炭素数2〜5の直鎖状アルキル基また
は分岐状アルキル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不飽和ポリエステル
樹脂やビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する
樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定性が良好であり、1
00〜135℃で加熱硬化させる際に、型内流動性を確
保しつつ、完全硬化に至るまでの時間を大幅に短縮でき
る硬化剤組成物、これを含有する熱硬化性樹脂組成物
(成形材料)、及びそれを硬化して得られる硬化成形
品、並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シートモールディングコンパウンド(以
下SMCと略記する。)やバルクモールディングコンパ
ウンド(以下BMCと略記する。)等の成形材料は、不
飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の熱硬化
性樹脂に、硬化剤、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型
剤、禁止剤、着色剤等を混合した樹脂組成物をガラス繊
維等の強化材に含浸させてシート状にした成形材料、あ
るいは前記樹脂組成物にガラス繊維等の強化材を混合し
てバルク状にした成形材料である。これらの成形材料
は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、射出圧
縮成形等の各種機械成形法により、住宅関連機器、浄化
槽、自動車部品、電気部品等に成形され、工業的に広く
用いられている。
【0003】また熱硬化性樹脂を使用して得られる繊維
強化プラスチック(以下FRPと略記する。)成形品
は、耐久性に優れ、デザインの自由度が高いことから、
住宅関連機器、自動車部品、電気部品等に広く利用され
ており、その需要が増している。
【0004】前記成形材料に使用される硬化剤は、各種
機械成形における成形材料の型内での流動可能時間や脱
型時間に加え、得られる成形品の表面光沢性、平滑性及
び着色性等の外観特性、さらには成形材料の貯蔵安定性
等、製品の生産性や品質に大きく影響するため、その選
択は極めて重要である。
【0005】前記した成形材料は通常140〜150℃
で成形されるため、このような温度で効率的に分解する
パーオキサイド類が硬化剤として使用されるが、前記要
求性能に対するトータルバランスが比較的良好なパーオ
キサイドとして、tert−ブチルパーオキシベンゾエ
ート(以下TBPBと略記する。)やtert−ブチル
パーオキシイソプロピルモノカーボネート(以下TBP
ICと略記する。)が広く利用されてきた。
【0006】ところが、この分野においても成形サイク
ルの短縮化による生産性向上を目的として高速プレス、
SMCの自動チャージ機等が開発され、成形前後におけ
る工程の機械化、自動化が進むと共に、TBPBやTB
PICよりも硬化速度が速い性質(以下、速硬化性と略
記する。)の硬化剤が要望されるようになった。
【0007】要望に応えて具体的に開示されたものとし
て、特開平4−76006号公報では、45〜85重量
%のTBPICと55〜15重量%の特定構造を有する
パーオキシケタールとを含み、活性酸素量が8.6%以
上である硬化剤組成物が提案されている。また、特開平
9−324007号公報では、tert−アミルパーオ
キシベンゾエート95〜50重量%と10時間半減期温
度が40〜95℃の低温活性パーオキサイド5〜50重
量%とを混合してなる硬化剤組成物が提案されている。
これら硬化剤組成物は、SMCやBMC等の成形材料の
一般的な成形温度である140〜150℃での成形にお
いてはTBPBやTBPICより速硬化性を示し、成形
サイクルの短縮化に有用であった。
【0008】しかしながら最近では、浴室壁パネル、洗
い場用防水パン及び浴槽エプロン等を中心に質感の高い
FRP成形品の需要が増えており、加飾技術の進歩に伴
って成形品表面に様々な模様を施した加飾成形品が用い
られるようになってきた。SMC等の成形材料を用いる
プレス成形では、SMCと加飾シートを重ね合わせて一
体成形する方法が一般的であるが、140〜150℃の
成形温度では加飾シートの模様が成形品に鮮明に写し出
されないという問題があった。従って、これまでより低
い成形温度、例えば100〜135℃で短時間に成形す
る必要があるが、特開平4−76006号公報や特開平
9−324007号公報に開示されている硬化剤組成物
では十分な速硬化性が得られなかった。
【0009】100〜135℃で短時間に成形する方法
として、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート(以下TBPEHと略記する。)のような分
解温度が低い硬化剤を単独で使用する方法が考えられ
る。しかし、TBPEHをSMC等の成形材料に配合す
ると、その貯蔵安定性や成形時の型内流動性が悪化する
ため、p−ベンゾキノン等の禁止剤を多量に併用する必
要が生じる。その結果、硬化の立ち上がりが悪くなり、
成形品に残存する不飽和単量体の量が多くなる上、得ら
れるFRP成形品が黄変し易いという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術に存在する課題に着目して為されたものである。
目的とするところは、不飽和ポリエステル樹脂やビニル
エステル樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物
(成形材料)の貯蔵安定性が良好であり、100〜13
5℃で加熱硬化させる際に、型内流動性を確保しつつ、
完全硬化に至るまでの時間を大幅に短縮できる硬化剤組
成物、これを含有する熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)、及びそれを硬化して得られる硬化成形品、並びに
その製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を
有するパーオキサイドと特定範囲内の10時間半減期温
度を有するパーオキサイドとからなる硬化剤組成物を硬
化剤として用いることにより、前記課題を解決できると
いう知見を得て本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、第1の発明の硬化剤組成物は、式
(1)で表されるパーオキサイド95〜70重量%と1
0時間半減期温度が65〜90℃のパーオキサイド5〜
30重量%とからなる硬化剤組成物である。
【0013】
【化2】
【0014】(但し、式中Rは炭素数2〜5の直鎖状ア
ルキル基または分岐状アルキル基を表す。) 第2の発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び
第1の発明の硬化剤組成物を含有する熱硬化樹脂組成物
である。
【0015】第3の発明の硬化成形品は、第2の発明の
熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化成形品であ
る。第4の発明の加飾成形品は、硬化成形品が加飾成形
品であることを特徴とする第3の発明の硬化成形品であ
る。第5の発明である硬化成形品の製造方法は、第2の
発明の熱硬化性樹脂組成物を100〜135℃で加熱硬
化させることを特徴とする硬化成形品の製造方法であ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の硬化剤組成物は、式(1)
で表されるパーオキサイドと10時間半減期温度が65
〜90℃のパーオキサイドとからなる硬化剤組成物であ
る。
【0017】
【化3】
【0018】(但し、式中Rは炭素数2〜5の直鎖状ア
ルキル基または分岐状アルキル基を表す) 本発明における式(1)で表されるパーオキサイドの具
体例としては、例えばRが炭素数2であるtert−ア
ミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、Rが炭
素数3であるtert−ヘキシルパーオキシイソプロピ
ルモノカーボネート、Rが炭素数4であるtert−ヘ
プチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、Rが
炭素数5である1,1,3,3−テトラメチルブチルパ
ーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられ
る。
【0019】これらの群の一種または二種以上より選択
されるが、原料となるハイドロパーオキサイドの製造原
料の入手の容易性から、Rが炭素数3であるtert−
ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートとR
が炭素数5である1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシイソプロピルモノカーボネートが有利であ
る。
【0020】式(1)で表されるパーオキサイドは通常
のパーオキサイドの製造方法に準じて製造することがで
きる。具体的には、tert−アミルハイドロパーオキ
サイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、
tert−ヘプチルハイドロパーオキサイドまたは1,
1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ド等のハイドロパーオキサイドとイソプロピルクロロホ
ルメートとを通常の反応条件、即ち、水酸化ナトリウム
等のアルカリ触媒の存在下、20℃以下で1〜2時間反
応させることによって製造することができる。
【0021】また、式(1)で表されるパーオキサイド
と混合するパーオキサイドは、10時間半減期温度が6
5〜90℃の範囲内にあるものであり、好ましくは70
〜90℃の範囲内にあるものである。ここで、10時間
半減期温度とは、パーオキサイドの0.1モル/リット
ルのベンゼン溶液を熱分解した際に、パーオキサイドの
半減期が10時間になる分解温度のことである。式
(1)で表されるパーオキサイドと混合するパーオキサ
イドの10時間半減期温度が65℃未満の場合には、熱
硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定性や型内流動
性が悪化する傾向にある。従って、熱硬化性樹脂組成物
(成形材料)の貯蔵安定性や型内流動性を確保するため
には、p−ベンゾキノン等の禁止剤を多量に併用する必
要が生じるが、結果的に硬化反応の立ち上がりが悪くな
り、得られるFRP成形品が黄変する傾向にある。一
方、10時間半減期温度が90℃を超える場合には、熱
硬化性樹脂組成物(成形材料)の速硬化性が悪くなる傾
向にある。
【0022】10時間半減期温度が65〜90℃の範囲
内にあるパーオキサイドとしては、例えば1,1,3,
3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート(10時間半減期温度:65.3℃)、2,5
−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパ
ーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度:66.2
℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:
67.5℃)、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート(10時間半減期温度:69.9
℃)、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート(10時間半減期温度:70.0℃)、ter
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1
0時間半減期温度:72.1℃)、tert−ブチルパ
ーオキシイソブチレート(10時間半減期温度:77.
3℃)等のパーオキシエステル;1,1−ビス(ter
t−ヘキシルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン
(10時間半減期温度:80.3℃)、1,1−ビス
(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘ
キサン(10時間半減期温度:83.2℃)、1,1−
ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン(10時間半減期温度:8
6.7℃)、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオ
キシ)シクロヘキサン(10時間半減期温度:87.1
℃)、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(10時間半減
期温度:90.0℃)等のパーオキシケタールが挙げら
れる。
【0023】この中でも10時間半減期温度が70〜9
0℃の範囲内にあるパーオキサイド、例えばtert−
ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、te
rt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、tert−ブチルパーオキシイソブチレート等のパ
ーオキシエステル;1,1−ビス(tert−ヘキシル
パーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1
−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシ
ケタールが熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定
性や硬化速度の観点から好ましいものである。そして、
成形温度や所望する成形時間によってこれらの群の一種
または二種以上より選択して使用される。
【0024】本発明の硬化剤組成物中における式(1)
で表されるパーオキサイドと10時間半減期温度が65
〜90℃のパーオキサイドとの割合(式(1)で表され
るパーオキサイド/10時間半減期温度が65〜90℃
のパーオキサイド(重量比率))は、95/5〜70/
30であり、好ましくは92/8〜80/20である。
式(1)で表されるパーオキサイドの割合が95重量%
を越え、かつ10時間半減期温度が65〜90℃のパー
オキサイドの割合が5重量%未満の場合には、速硬化性
が悪くなる傾向にある。一方、式(1)で表されるパー
オキサイドの割合が70重量%未満で、かつ10時間半
減期温度が65〜90℃のパーオキサイドの割合が30
重量%を越える場合には、熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)の貯蔵安定性や型内流動性が悪くなる傾向にある。
従って、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定性
や型内流動性を確保するためには、p−ベンゾキノン等
の禁止剤を多量に併用する必要が生じるが、結果的に硬
化の立ち上がりが悪くなり、得られるFRP成形品が黄
変する傾向にある。
【0025】本発明の硬化剤組成物は、その安全性や取
扱い性を高めるために、希釈剤で希釈した希釈品として
使用することができる。希釈剤としては、熱硬化性樹脂
組成物(成形材料)の硬化特性や硬化物の物性に悪影響
を与えないものであればいずれも使用可能である。ま
た、希釈剤の添加量はパーオキサイド成分によって異な
るが、硬化剤組成物100重量部に対して通常50重量
部以下である。これらの希釈剤は、それぞれのパーオキ
サイドの製造時、製造後あるいは混合時のいずれかの時
点で添加することができる。なお、本発明の硬化剤組成
物は、構成する成分を後述する熱硬化性樹脂に別々に添
加しても良いが、予め混合した硬化剤組成物を用いるこ
とにより作業性の改善を図ることができる。
【0026】次に、前記した硬化剤組成物と熱硬化性樹
脂を含有してなる熱硬化性樹脂組成物(成形材料)につ
いて説明する。本発明で言う熱硬化性樹脂とは、1分子
中にラジカル重合可能な不飽和基を2個以上有する成分
を必須成分として含有し、重合により三次元化する樹脂
のことを指し、好ましい熱硬化性樹脂としては、不飽和
ポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂が挙げられる。
このうち不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸と
多価アルコールに必要に応じて飽和二塩基酸を組み合わ
せて特定の割合で加熱脱水縮合させ、エステル化して得
られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性不飽和単量
体(以下単に単量体と略記する。)に溶解させた液状樹
脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
【0027】不飽和二塩基酸としては、無水マレイン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸
等が挙げられ、これらの群の一種または二種以上より選
択される。飽和二塩基酸としては、無水フタル酸、オル
トフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族二
塩基酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等の脂肪族
二塩基酸等が挙げられ、これらの群の一種または二種以
上より選択される。
【0028】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、水素化ビ
スフェノールAのエチレンオキシドまたはプロピレンオ
キシド付加物等が挙げられ、これらの群の一種または二
種以上より選択される。
【0029】単量体としては、スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、
クロルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導
体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸またはメタクリ
ル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル
酸、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらの群の一
種または二種以上より選択される。
【0030】不飽和ポリエステル樹脂の構成成分である
不飽和ポリエステルと単量体の好ましい構成比率は、不
飽和ポリエステルが30〜80重量%であり、単量体が
70〜20重量%である。不飽和ポリエステルが30重
量%未満で、単量体が70重量%を越える場合には、こ
れより得られる不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の機械
的特性が低下する傾向にある。一方、不飽和ポリエステ
ルが80重量%を越え、単量体が20重量%未満の場合
には、これより得られる不飽和ポリエステル樹脂の粘度
が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
【0031】一方、ビニルエステル樹脂は、不飽和エポ
キシ樹脂、またはエポキシアクリレート樹脂とも言われ
るもので、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエ
ポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸やメタクリル酸等
の不飽和一塩基酸またはマレイン酸やフマル酸等の不飽
和二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物
(以下単にエポキシアクリレートと略記する。)を単量
体に溶解させた液状樹脂であり、公知のものがいずれも
使用できる。
【0032】ここで、エポキシ樹脂としては、公知のエ
ポキシ樹脂がいずれも使用できるが、具体的には、ビス
フェノールA、ビスフェノールFまたはビスフェノール
Sとエピクロルヒドリンから合成されるビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂ま
たはビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドを酸
性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノールノ
ボラック樹脂とエピクロルヒドリンから合成されるフェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールとホル
ムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわ
ゆるクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンか
ら合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の
ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0033】単量体としては、前記した不飽和ポリエス
テル樹脂における単量体がいずれも使用でき、これらの
群の一種または二種以上より選択される。ビニルエステ
ル樹脂の構成成分であるエポキシアクリレートと単量体
の好ましい構成比率は、エポキシアクリレートが30〜
90重量%であり、単量体が70〜10重量%である。
エポキシアクリレートが30重量%未満で、単量体が7
0重量%を越える場合には、これより得られるビニルエ
ステル樹脂の硬化物の耐蝕性や耐熱性が悪化する傾向に
ある。一方、エポキシアクリレートが90重量%を越
え、単量体が10重量%未満の場合には、これより得ら
れるビニルエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪
化する傾向にある。
【0034】本発明の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)
における硬化剤組成物の含有量は、その純分や成形温
度、所望する成形時間などによって異なるが、熱硬化性
樹脂100重量部に対して好ましくは0.3〜5重量部
であり、より好ましくは0.5〜4重量部である。硬化
剤組成物の含有量が熱硬化性樹脂100重量部に対して
0.3重量部未満の場合には、硬化時間が長くなる傾向
にある。一方、硬化剤組成物の含有量が熱硬化性樹脂1
00重量部に対して5重量部を越える場合には、増量し
たことによる効果が見られず、硬化剤組成物が無駄にな
るだけで実用的でない。
【0035】本発明の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)
は、そのままで各種FRP成形品などの製造に使用する
ことができるが、SMCやBMC等の成形材料として用
いる場合には、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)に、さ
らに低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、禁止剤、着色
剤、強化材を配合した熱硬化性樹脂組成物(成形材料)
を使用するのが一般的である。低収縮剤としては、例え
ばポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ
メチルメタクリレート、飽和ポリエステル、ポリカプロ
ラクトン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体、スチレンと酢酸ビニルのブロック共重合体等の
熱可塑性樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂100重量部に
対して3〜30重量部が配合される。また、低収縮剤
は、熱硬化性樹脂と同様にスチレン等の単量体に溶解し
た溶液として配合することもできる。
【0036】充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ、タル
ク、ガラスフリット等が挙げられ、熱硬化性樹脂100
重量部に対して50〜300重量部が配合される。増粘
剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化
亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ土類金属の酸化物あるいは水酸化物が挙げられ、熱
硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部が配
合される。
【0037】離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸等の内部離型剤やワ
ックス等の外部離型剤が挙げられ、熱硬化性樹脂100
重量部に対して1〜8重量部が配合される。禁止剤とし
ては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、tert−
ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェノール等が挙げられ、熱硬化性樹脂に対し
て50〜2000ppmが配合される。着色剤として
は、硬化剤組成物の安定性や硬化性に悪影響しないもの
であれば各種有機染料や無機顔料がいずれも使用可能で
ある。有機染料の具体例としては、例えばカラーインデ
ックス名で言えば、ディスパースレッド11、13、1
7、22、24、27、60、111、132、14
5、152、153、154、181、ソルベントレッ
ド19などの赤色染料、ディスパースブルー106など
の青色染料、ディスパースイエロー4、ソルベントイエ
ロー14、16、29、56、93、96などの黄色染
料が挙げられる。また、無機顔料の具体例としては、例
えば赤色酸化鉄、黄鉛、鉄黒、チタン白などが挙げられ
る。これらは必要に応じて熱硬化性樹脂100重量部に
対して1〜10重量部が配合される。
【0038】強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維等
の無機繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機
繊維が挙げられ、熱硬化性樹脂組成物100重量部に対
して10〜70重量部が配合される。強化材の形態とし
ては、1〜30mm長のチョップドストランド、チョッ
プドストランドマット、ロービングクロス、コンティニ
ュアスマット等が挙げられる。
【0039】そして、熱硬化性樹脂に硬化剤として本発
明の硬化剤組成物を添加混合し、さらに前記した低収縮
剤、充填剤、増粘剤、離型剤、禁止剤、着色剤を混合し
て得られるコンパウンドを手作業あるいはSMC製造装
置等により強化材に含浸させた後、シート状にすること
によりSMC用の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)を製
造することができる。このSMCは通常、室温から40
℃程度の温度で数時間〜2日間程度熟成することによっ
て所望の粘度まで増粘される。また、熱硬化性樹脂に硬
化剤として本発明の硬化剤組成物を添加混合し、さらに
ニーダー等の混練機を用いて、前記した低収縮剤、充填
剤、増粘剤、離型剤、禁止剤、着色剤及び強化材を混合
することによりBMC用の熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)を製造することができる。
【0040】本発明の硬化成形品は、前記した熱硬化性
樹脂組成物(成形材料)、またはSMCないしBMC用
の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)を100〜135℃
で加熱硬化させることによって製造することが好まし
い。硬化温度が100℃未満の場合には、熱硬化性樹脂
組成物(成形材料)の硬化速度が遅く、硬化時間が長く
なる傾向にある。一方、135℃を越える場合には、熱
硬化性樹脂組成物(成形材料)の型内流動性が悪化する
傾向にある。
【0041】具体的な硬化成形品の製造方法としては、
100〜135℃に予熱した金型や電鋳型を用いる圧縮
成形、トランスファー成形、射出成形、射出圧縮成形
等、それ自体公知の成形法を挙げることができる。硬化
時間は硬化温度や使用する硬化剤組成物によって異なる
が、通常は1〜20分である。
【0042】次に、本発明の加飾成形品は次のようにし
て製造することができる。例えば、最初にSMC用の熱
硬化性樹脂組成物(成形材料)を下型に載置する際に、
加飾を必要とする面の最上面に加飾層が形成されるよう
に、SMC用の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)と加飾
シートを積層して載置する。その後、上型を閉じ、加圧
加熱することによって成形される。そして、所定時間後
に成形品を脱型することによって加飾成形品を得ること
ができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例によりさらに
具体的に説明する。これらの例において%及び部はそれ
ぞれ重量%及び重量部を表す。
【0044】各実施例と比較例で使用したパーオキサイ
ドを以下に示す。 (1)tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノ
カーボネート(純度:92%、日本油脂(株)製、商品
名:パーヘキシルI、以下THPICと略記する。) (2)1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ
イソプロピルモノカーボネート(純度:91%、日本油
脂(株)製、商品名:パーオクタI、以下TMBPIC
と略記する。)
【0045】(3)tert−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート(純度:98%、日本油脂(株)
製、商品名:パーブチルO、以下TBPEHと略記す
る。) (4)tert−ブチルパーオキシイソブチレートの7
4%炭化水素希釈品(純度:74%、日本油脂(株)
製、商品名:パーブチルIB、以下TBPIBと略記す
る。)
【0046】(5)1,1−ビス(tert−ヘキシル
パーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
(純度:90%、日本油脂(株)製、商品名:パーヘキ
サTMH、以下BTHP335TMCHと略記する。) (6)tert−ブチルパーオキシベンゾエート(純
度:98%、日本油脂(株)製、商品名:パーブチル
Z、以下TBPBと略記する。)
【0047】(7)tert−ブチルパーオキシイソプ
ロピルモノカーボネート(純度:97%、日本油脂
(株)製、商品名:パーブチルI、以下TBPICと略
記する。) (8)tert−アミルパーオキシベンゾエート(純
度:92%、化薬アクゾ(株)製、商品名:KD−1、
以下TAPBと略記する。)
【0048】(9)tert−ブチルパーオキシピバレ
ートの70%炭化水素希釈品(10時間半減期温度:5
4.6℃、純度:70%、日本油脂(株)製、商品名:
パーブチルPV、以下TBPPVと略記する。) (10)tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−ト
リメチルヘキサノエート(10時間半減期温度:97.
1℃、純度:98%、日本油脂(株)製、商品名:パー
ブチル355、以下TBP355TMHと略記する。)
【0049】実施例1〜6 500ミリリットルのポリエチレン容器にイソフタル酸
系SMC用不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業
(株)製、商品名:ポリマール6619、スチレン含有
量:38%)70部、低収縮剤としてスチレン/酢酸ビ
ニルブロック共重合体のスチレン溶液(日本油脂(株)
製、商品名:モディパーSV10B−30、スチレン含
有量:70%)30部、充填剤として炭酸カルシウム
(日東粉化工業(株)製、商品名:NS#100)15
0部、離型剤としてステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)
製、商品名:ジンクステ)4部及び増粘剤として酸化マ
グネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョウワ
マグ#100)1部を秤り入れた。
【0050】次いで、硬化剤として表1に示す組成の本
発明の硬化剤組成物、禁止剤としてp−ベンゾキノンを
それぞれ表1に示す量だけ添加し、攪拌機により混合し
た。得られた熱硬化性樹脂組成物(成形材料)をポリエ
チレン製フィルムで包み、40℃の恒温槽内で24時間
熟成することで増粘させた。そして、以下の方法によ
り、この熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の硬化特性、
硬化物中の残存スチレン量、硬化物の色調及び熱硬化性
樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定性を評価し、その結
果を表1に示した。
【0051】〔熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の硬化
特性]キュラストメーター(日合商事(株)製、商品
名:JSRキュラストメーターVP−D型、振幅角度:
±1/4°)を用いて、実施例1〜6に記載した方法に
より製造した熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の130
℃における硬化試験を行い、硬化過程におけるトルク変
化を測定した。そして、測定開始からトルクが発現する
までの時間(以下T0と略記する。)を測定し、型内流
動可能時間の指標とした。また、最大トルク値の90%
が得られるまでの時間(以下T90と略記する。)を測
定し、脱型可能時間の指標とした。
【0052】〔硬化物中の残存スチレン量〕前記した硬
化試験において、それぞれのT90の2倍の時間で脱型
した硬化物を粉砕機により粉砕した。この粉砕試料3g
を20ミリリットルの塩化メチレンに室温下、24時間
浸漬後、内部標準物質としてn−デカンを添加し、これ
をガスクロマトグラフィー分析することにより硬化物中
の残存スチレン量を測定した。
【0053】〔硬化物の色調〕前記硬化試験で得られた
硬化物の色調を目視により評価し、黄色を帯びていない
ものを○、若干黄色を帯びているものを△、明らかに黄
色を帯びているものを×と判定した。
【0054】〔熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵
安定性〕実施例1〜6に記載した方法により製造した熱
硬化性樹脂組成物(成形材料)を内容積約200ミリリ
ットルの円柱形ガラス容器に150g入れ、密栓後、4
0℃の恒温槽内に保管し、熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)のゲル化によりステンレス棒がガラス容器の底部に
到達しなくなるまでの時間を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】比較例1〜4 実施例1〜6で使用した本発明の硬化剤組成物をTBP
B(比較例1)、TBPICとBTHP335TMCH
とからなる硬化剤組成物(特開平4−76006号公報
の追試、比較例2)、TAPBとTBPEHとからなる
硬化剤組成物(特開平9−324007号公報の追試、
比較例3)、TBPEH(比較例4)に代えた以外は実
施例1〜6と同様にして不飽和ポリエステル樹脂の熱硬
化性樹脂組成物(成形材料)を製造した。そして、実施
例1〜6と同様の方法により、熱硬化性樹脂組成物(成
形材料)の硬化特性、硬化物中の残存スチレン量、硬化
物の色調及び熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安
定性を評価し、その結果を表2に示した。
【0057】
【表2】
【0058】比較例5、6 実施例1〜6で使用した本発明の硬化剤組成物を表2に
示す組成の硬化剤組成物に代えた以外は実施例1〜6と
同様にして不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成
物(成形材料)を製造した。そして、実施例1〜6と同
様の方法により、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の硬
化特性、硬化物中の残存スチレン量、硬化物の色調及び
熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の貯蔵安定性を評価
し、その結果を表2に示した。なお、これらの比較例
は、式(1)で表されるパーオキサイドと混合するパー
オキサイドの10時間半減期温度が本発明の範囲内(6
5〜90℃)から逸脱するものである。
【0059】表1と表2を比較すれば明らかなように、
本発明の硬化剤組成物では貯蔵安定性に優れる不飽和ポ
リエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)が得
られる。また、この不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性
樹脂組成物(成形材料)は、硬化時のT90が短く、速
硬化性である上に、硬化物中の残存スチレン量が少な
く、硬化物が黄色を帯びないことが確認された。これに
対して、硬化剤としてTBPBを用いた比較例1では、
不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)のT90が長く、速硬化性に劣る上に、硬化物中の
残存スチレン量が多くなった。また、硬化剤として特開
平4−76006号公報に記載の硬化剤組成物あるいは
特開平9−324007号公報に記載の硬化剤組成物を
用いた比較例2と比較例3では、不飽和ポリエステル樹
脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)のT90がこの発
明の硬化剤組成物を用いた場合と比較して長く、130
℃という成形温度では速硬化性が十分でないことが確認
された。さらに、硬化剤としてTBPEHを用いた比較
例4では、不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成
物(成形材料)の貯蔵安定性が悪い上に、T0(型内流
動可能時間)を確保するために禁止剤を多量に併用する
必要があり、結果的に硬化物が黄色を帯び、その残存ス
チレン量が非常に多くなった。
【0060】一方、式(1)で表されるパーオキサイド
と併用するパーオキサイド(TBPPV)の10時間半
減期温度が65℃未満である比較例5(55℃)では、
不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材
料)の貯蔵安定性が悪い上に、T0を確保するために必
要な禁止剤量が多くなり、結果的に硬化物がやや黄色を
帯びた。式(1)で表されるパーオキサイドと併用する
パーオキサイド(TBP355TMH)の10時間半減
期温度が90℃を超える比較例6(97℃)では、不飽
和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)
のT90が長く、速硬化性に劣っていた。
【0061】実施例7〔SMCの作製と加飾成形品の製
造〕 2リットルのポリエチレン容器にイソフタル酸系SMC
用不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業(株)製、商
品名:ポリマール6619、スチレン含有量:38%)
70部、低収縮剤としてスチレン/酢酸ビニルブロック
共重合体のスチレン溶液(日本油脂(株)製、商品名:
モディパーSV10B−30、スチレン含有量:70
%)30部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工
業(株)製、商品名:NS#100)150部、離型剤
としてステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、商品名:
ジンクステ)4部及び増粘剤として酸化マグネシウム
(協和化学工業(株)製、商品名:キョウワマグ#10
0)1部を秤り入れた。
【0062】次いで、硬化剤としてTHPICおよびT
BPIBを含有する硬化剤組成物(THPIC/TBP
IB(重量比率)は90/10である。)1部、禁止剤
としてp−ベンゾキノン300ppmを添加し、攪拌機
により混合して不飽和ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂
組成物(成形材料)を調製した。この不飽和ポリエステ
ル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)70部をガラ
ス繊維(25mm長のチョップドストランド、旭ファイ
バーグラス(株)製、商品名:CS25MA498C)
30部に手作業で含浸させ、約3mm厚のSMCを作製
した。このSMCをポリエチレン製フィルムで包み、4
0℃の恒温槽内で24時間熟成することで増粘させた。
【0063】このようにして作製したSMCと加飾シー
トを用いて、縦300mm、横300mm、厚さ3mm
の平板状の加飾成形品を製造した。加飾シートには、ガ
ラス不織布層の上に御影石調の加飾を施した厚さ約10
0μmのポリエステルフィルムからなる加飾シート(大
日本印刷(株)製)を用い、加飾面が成形品の最外層に
なるようにSMCと加飾シートを金型に載置して加圧・
加熱しながら成形した。成形条件は、圧力:7MPa、
金型温度:130℃、保圧時間:5分に設定した。その
結果、御影石調の加飾模様が成形品表面に鮮明に写し出
された質感の高い加飾成形品が得られた。
【0064】比較例7〔SMCの作製と加飾成形品の製
造〕 硬化剤としてTAPBおよびTBPIBを含有する硬化
剤組成物(TAPB/TBPIB(重量比率)は90/
10である。)1部、禁止剤としてp−ベンゾキノン7
00ppmを用いた以外は実施例7と同様にして不飽和
ポリエステル樹脂の熱硬化性樹脂組成物(成形材料)を
調製した。そして、実施例7と同様にしてSMCを作製
し、40℃の恒温槽内で24時間熟成することで増粘さ
せた。
【0065】このようにして作製したSMCと実施例7
に記載した加飾フィルムを用いて、縦300mm、横3
00mm、厚さ3mmの平板状の加飾成形品を実施例7
と同様にして製造した。但し、成形条件は、圧力:7M
Pa、金型温度:145℃、保圧時間:5分に設定し
た。その結果、得られた加飾成形品は、加飾模様の鮮明
性の点でやや劣るものであった。これは成形温度が高過
ぎたためであると推測された。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば次
のような優れた効果を奏する。即ち、本発明の特定の硬
化剤組成物を硬化剤として含有する熱硬化性樹脂組成物
(成形材料)は貯蔵安定性に優れるため成形不良を起こ
し難く、速硬化性に優れるため、生産性の向上を図るこ
とができる。さらに、100〜135℃での速硬化性に
優れるため、質感の高い加飾成形品を効率良く製造する
ことができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表されるパーオキサイド95
    〜70重量%と10時間半減期温度が65〜90℃のパ
    ーオキサイド5〜30重量%とからなる硬化剤組成物。 【化1】 (但し、式中Rは炭素数2〜5の直鎖状アルキル基また
    は分岐状アルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂及び請求項1に記載の硬化
    剤組成物を含有する熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物を
    硬化して得られる硬化成形品。
  4. 【請求項4】 硬化成形品が加飾成形品であることを特
    徴とする請求項3に記載の硬化成形品。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物を
    100〜135℃で加熱硬化させることを特徴とする硬
    化成形品の製造方法。
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JP2014505148A (ja) * 2011-01-31 2014-02-27 ユナイテッド・イニシエターズ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー エチレン酢酸ビニルの架橋を加速するための過酸化物のブレンド
JP2017105882A (ja) * 2015-12-07 2017-06-15 株式会社ジェイエスピー 複合樹脂粒子の製造方法

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