JP2000309674A - 熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物、これを用いた硬化成形品及びその製造方法 - Google Patents

熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物、これを用いた硬化成形品及びその製造方法

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JP2000309674A
JP2000309674A JP11117408A JP11740899A JP2000309674A JP 2000309674 A JP2000309674 A JP 2000309674A JP 11117408 A JP11117408 A JP 11117408A JP 11740899 A JP11740899 A JP 11740899A JP 2000309674 A JP2000309674 A JP 2000309674A
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meth
acrylic resin
thermosetting
resin composition
curing
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English (en)
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Kenji Nagai
健児 永井
Norihisa Ujigawa
典久 氏川
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Original Assignee
NOF Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れ、硬化速度が速く、かつ耐
熱水性に優れる硬化成形品を製造することができる熱硬
化性(メタ)アクリル系樹脂組成物、これを用いた硬化
成形品及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂及び硬
化剤からなる熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物に
おいて、硬化剤として式(1)で表される有機過酸化物 【化1】 (但し、式中Rは炭素数5〜8のt−アルキル基を表
す)を用いることを特徴とする熱硬化性(メタ)アクリ
ル系樹脂組成物及びこれを100〜150℃で加熱硬化
させた硬化成形品、特に人造大理石の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は貯蔵安定性に優れ、
硬化速度が速く、耐熱水性に優れる硬化成形品を製造す
ることができる熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成
物、これを用いた硬化成形品及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】1分子中に2個以上のラジカル重合性不
飽和基を有する架橋剤を含む熱硬化性(メタ)アクリル
系樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹
脂といった熱硬化性樹脂に比べて高級感のある外観と良
好な耐候性を有する成形品が得られることから、浴槽、
キッチン天板、各種カウンタートップ、洗面化粧台、壁
材等の人造大理石製品を製造するためのベース樹脂とし
て最近特に注目を浴びてきている。
【0003】熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂をベース
とする人造大理石、いわゆるアクリル系人造大理石は、
従来、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂に硬化剤と水酸
化アルミニウム等の無機系充填材を配合した樹脂組成物
を成形型に注入して硬化させる注型法により製造されて
いた。しかし生産性向上の必要性から、熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂に硬化剤、水酸化アルミニウム等の
無機系充填材、内部離型剤、必要に応じて増粘剤、低収
縮剤、禁止剤、ガラス繊維を配合して取り扱い性を向上
させたシートモールディングコンパウンド(以下SMC
と略記する)やバルクモールディングコンパウンド(以
下BMCと略記する)等の成形材料をプレス成形、射出
成形あるいはトランスファー成形することにより製造す
る方法に移行されつつある。
【0004】熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂は、硬化
剤として有機過酸化物を用いて加熱硬化させることがで
きる。この際、硬化剤は適用される硬化温度に応じて適
宜選択されるが、前記した成形材料を用いるプレス成形
法、射出成形法あるいはトランスファー成形法では、生
産性を高めるという観点より100〜150℃といった
比較的高温で硬化成形が行われるため、このような温度
で熱分解する有機過酸化物が硬化剤として選択される。
【0005】このような硬化温度で使用される有機過酸
化物の代表的なものとしては、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエートやt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエートが挙げられる。前者の有機過酸化物には、貯蔵
安定性に優れる成形材料が得られるという利点はあるも
のの、硬化速度が遅く、硬化成形品の生産性が悪いとい
う問題があった。また、芳香族環を有するt−ブチルパ
ーオキシベンゾエートを配合した成形材料では、得られ
る硬化成形品の初期着色性が高く、さらに経時的にも黄
変するという問題があった。これらの問題は透明性や表
面光沢性等、外観特性を重視する人造大理石成形品では
特に致命的な欠陥となる。一方、後者の有機過酸化物に
は、硬化速度の速い成形材料が得られるという利点はあ
るものの、成形材料の貯蔵安定性が極めて悪いという問
題があった。SMCやBMC等の成形材料を貯蔵してい
る間にゲル化を起こすと成形不良を招くため、成形材料
の貯蔵安定性を確保することは極めて重要な課題であ
る。
【0006】これらの問題点を解決する方法として、特
開平9−295965号公報において、t−アミルパー
オキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートや1,
1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,
5−トリメチルヘキサノエート等の有機過酸化物を硬化
剤として用いる熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂の硬化
成形品の製造方法が提案されている。この方法では、t
−ブチルパーオキシベンゾエートの有する硬化速度が遅
く、得られる硬化成形品が使用中に黄変するという問題
はある程度解決できるものの、t−アミルパーオキシ−
3,5,5−トリメチルヘキサノエートを硬化剤として
用いた場合には硬化成形品の生産性が十分に満足できる
レベルにはなく、1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートを
硬化剤として用いた場合には成形材料の貯蔵安定性が悪
いという問題は解決できなかった。
【0007】また、特開平9−295965号公報にお
いては、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエートや1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート
等にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
を併用する方法も提案されているが、得られる成形材料
の貯蔵安定性がさらに悪化するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術に存在する課題に着目して為されたものである。
その目的とするところは、貯蔵安定性に優れ、硬化速度
が速く、かつ耐熱水性に優れる硬化成形品を製造するこ
とができる熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物、こ
れを用いた硬化成形品及びその製造方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために鋭意検討した結果、特定の有機過酸化
物を硬化剤として用いることにより、前記課題を解決す
ることができるという知見を得て本発明を完成するに至
った。
【0010】即ち、第1の発明は、熱硬化性(メタ)ア
クリル系樹脂及び硬化剤を含む熱硬化性(メタ)アクリ
ル系樹脂組成物において、硬化剤が式(1)で表される
有機過酸化物であることを特徴とする熱硬化性(メタ)
アクリル系樹脂組成物である。
【0011】
【化2】
【0012】(但し、式中Rは炭素数5〜8のt−アル
キル基を表す) 第2の発明は、第1の発明の熱硬化性(メタ)アクリル
系樹脂組成物を硬化してなる硬化成形品である。第3の
発明は、硬化成形品が人造大理石である第2の発明の硬
化成形品である。第4の発明は、第1の発明の熱硬化性
(メタ)アクリル系樹脂組成物を100〜150℃で加
熱硬化させる第2または第3の発明の硬化成形品の製造
方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明に用いる熱硬化性(メタ)ア
クリル系樹脂は、通常(メタ)アクリル樹脂を、1分子
中に不飽和基を2個以上有するラジカル重合性不飽和単
量体を必須成分として含有するラジカル重合性不飽和単
量体に溶解させた(メタ)アクリルシラップを指し、公
知のものがいずれも使用できる。
【0014】上記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)ア
クリル酸エステルを有機過酸化物あるいはアゾ化合物で
重合することにより得られる。上記の(メタ)アクリル
酸エステルとしては、公知の(メタ)アクリル酸エステ
ルがいずれも使用できるが、具体的には、例えば(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ラウリル
等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)
アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸のシ
クロアルキルエステル等が挙げられる。これらの(メ
タ)アクリル酸エステルは、通常一種または二種以上を
選択して用いるが、特にメタクリル酸メチルを50重量
%以上含有することが好ましい。メタクリル酸メチルを
50重量%以上含有することにより、耐候性や透明性、
表面光沢に優れる硬化物が得られる。
【0015】また、(メタ)アクリル樹脂の他の構成成
分として、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の
不飽和一塩基酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等
の不飽和二塩基酸、これら不飽和二塩基酸のモノエステ
ル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン誘導
体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル類を30重量%以下の範囲で含有させることもでき
る。
【0016】前記ラジカル重合性不飽和単量体として
は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アク
リル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル
酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)ア
クリル酸のシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル
酸、クロトン酸等の不飽和一塩基酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等の不飽和二塩基酸、これら不飽和二
塩基酸のモノエステル、スチレン、ビニルトルエン、α
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレ
ン等のスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル類等が挙げられる。これらのラジ
カル重合性不飽和単量体は、通常一種または二種以上を
選択して用いるが、特にメタクリル酸メチルを50重量
%以上含有することが好ましい。メタクリル酸メチルを
50重量%以上含有することにより、耐候性や透明性、
表面光沢に優れる硬化物が得られる。
【0017】さらにラジカル重合性不飽和単量体中には
1分子中にラジカル重合可能な不飽和基を2個以上有す
る不飽和単量体、いわゆる架橋剤を必須成分として含有
する。 架橋剤としては、例えばエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレ
ート、フタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸ビニル、
クロトン酸ビニル等が挙げられ、これらの群より一種ま
たは二種以上が選択される。
【0018】ラジカル重合性不飽和単量体中における架
橋剤の含有量は、1〜20重量%であり、好ましくは3
〜15重量%である。架橋剤の含有量が1重量%未満の
場合には、これより得られる硬化成形品の耐熱性が悪化
する傾向にある。一方、架橋剤の含有量が20重量%を
越える場合には、これより得られる硬化成形品が脆くな
る傾向にある。
【0019】熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂の構成成
分である(メタ)アクリル樹脂とラジカル重合性不飽和
単量体の好ましい構成比率は、(メタ)アクリル樹脂が
10〜50重量%であり、ラジカル重合性不飽和単量体
が90〜50重量%である。(メタ)アクリル樹脂が1
0重量%未満で、ラジカル重合性不飽和単量体が90重
量%を越える場合には、これより得られる硬化物にクラ
ックが入り易くなる。一方、(メタ)アクリル樹脂が5
0重量%を越え、ラジカル重合性不飽和単量体が50重
量%未満の場合には、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂
の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
【0020】さらに、この発明における熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂また
は/及びビニルエステル樹脂を30重量%以下の範囲内
で併用することもできる。ここで、不飽和ポリエステル
樹脂は、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及び多価アルコ
ールを特定の割合で加熱脱水縮合させ、エステル化して
得られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性不飽和単
量体に溶解させた液状樹脂であり、公知のものがいずれ
も使用できる。
【0021】不飽和二塩基酸としては、例えば無水マレ
イン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸等が挙げられ、これらの群より一種または二種以上
が選択される。飽和二塩基酸としては、例えば無水フタ
ル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等
の芳香族二塩基酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸
等の脂肪族二塩基酸等が挙げられ、これらの群より一種
または二種以上が選択される。多価アルコールとして
は、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビ
スフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオ
キシドまたはプロピレンオキシド付加物等が挙げられ、
これらの群より一種または二種以上が選択される。 ラ
ジカル重合性不飽和単量体としては、前記した熱硬化性
(メタ)アクリル系樹脂におけるラジカル重合性不飽和
単量体がいずれも使用でき、これらの群より一種または
二種以上が選択される。
【0022】上記ビニルエステル樹脂は、不飽和エポキ
シ樹脂、またはエポキシアクリレート樹脂とも言われる
もので、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポ
キシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸やメタクリル酸等の
不飽和一塩基酸またはマレイン酸やフマル酸等の不飽和
二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物を
ラジカル重合性不飽和単量体に溶解させた液状樹脂であ
る。
【0023】ここで、エポキシ樹脂としては、公知のエ
ポキシ樹脂がいずれも使用できるが、具体的には、例え
ばビスフェノールA、ビスフェノールFまたはビスフェ
ノールSとエピクロルヒドリンから合成されるビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂またはビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフ
ェノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒ
ドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノ
ールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンから合成され
るフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾール
とホルムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られ
るいわゆるクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒド
リンから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹
脂等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ラジカ
ル重合性不飽和単量体としては、前記した熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂におけるラジカル重合性不飽和単量
体がいずれも使用でき、これらの群より一種または二種
以上が選択される。
【0024】この発明において硬化剤として用いる式
(1)で表される有機過酸化物の具体例としては、例え
ばRが炭素数5のt−アルキル基であるt−アミルパー
オキシイソプロピルカーボネート、Rが炭素数6のt−
アルキル基であるt−ヘキシルパーオキシイソプロピル
カーボネート、Rが炭素数7のt−アルキル基であるt
−ヘプチルパーオキシイソプロピルカーボネート、Rが
炭素数8のt−アルキル基である1,1,3,3−テト
ラメチルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等
が挙げられる。硬化剤として上記の有機過酸化物より選
ばれる一種または二種以上を用いるが、原料となるハイ
ドロパーオキサイドの製造原料の入手の容易性から、R
が炭素数6のt−アルキル基であるt−ヘキシルパーオ
キシイソプロピルカーボネートとRが炭素数8のt−ア
ルキル基である1,1,3,3−テトラメチルブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネートが有利である。
【0025】式(1)で表される有機過酸化物は通常の
有機過酸化物の製造方法に準じて製造することができ
る。具体的には、例えばt−アミルハイドロパーオキサ
イド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドまたは1,
1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ド等のハイドロパーオキサイドとイソプロピルクロロホ
ルメートを通常の反応条件、即ち、水酸化ナトリウム等
のアルカリ触媒の存在下、20℃以下で1〜2時間反応
させることによって製造することができる。
【0026】また、式(1)で表される有機過酸化物
は、安全性や取扱い性を高めるために、希釈剤で希釈し
た希釈品として使用することもできる。希釈剤として
は、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂の硬化特性や得ら
れる硬化物の物性に悪影響を与えないものであればいず
れも使用可能であり、全体の10〜50重量%の範囲内
で使用することができる。これらの希釈剤は、有機過酸
化物の製造時または製造後に添加することができる。
【0027】この有機過酸化物の配合量は、使用する熱
硬化性(メタ)アクリル系樹脂の構成成分や硬化温度及
び所望する硬化速度等によって異なるが、熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂に対して好ましくは0.1〜3重量
%であり、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。
有機過酸化物の配合量が0.1重量%未満の場合には、
熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂の硬化速度が遅く、硬
化物の硬度が低くなる傾向にある。一方、有機過酸化物
の配合量が3重量%を越える場合には、増量したことに
よる効果が見られず、硬化剤が無駄になるだけで実用的
でない。
【0028】また、式(1)で表される有機過酸化物以
外の有機過酸化物、例えばt−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを30重量
%以下の範囲内で併用することもできる。
【0029】この発明の熱硬化性(メタ)アクリル系樹
脂組成物は、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂に硬化剤
として式(1)で表される有機過酸化物を配合し、さら
に必要に応じて無機系充填材、内部離型剤、増粘剤、低
収縮剤、禁止剤、着色剤、繊維強化材等を配合すること
によって得られる。
【0030】無機系充填材としては、例えば水酸化アル
ミニウム、シリカ、ガラスフリット、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、クレー、タルク、珪砂等が挙げられる
が、浴槽、キッチン天板、カウンタートップ、洗面化粧
台、壁材等の人造大理石製品を製造する場合には透明性
や深み等の高級感を出すために水酸化アルミニウムまた
はシリカを選択することが好ましい。その配合量は熱硬
化性(メタ)アクリル系樹脂の100重量部に対して通
常100〜400重量部である。内部離型剤としては、
例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸等の金属石鹸が挙げられ、その配合量は通常
1〜5重量部である。増粘剤としては、例えば酸化マグ
ネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸
化カルシウム等が挙げられ、その配合量は通常0.3〜
3重量部である。低収縮剤としては、例えば架橋ポリメ
タクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、ポリメタクリル
酸メチル、ポリスチレン等が挙げられ、その配合量は通
常5〜20重量部である。
【0031】禁止剤としては、例えばp−ベンゾキノ
ン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−
ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール等が挙げられ、その配合量は通常50〜5
00ppmである。着色剤としては各種有機染料または
無機顔料が挙げられ、その配合量は通常0.5〜5重量
部である。繊維強化材としては、例えばガラス繊維、炭
素繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維
等の有機繊維が挙げられ、その配合量は通常5〜30重
量部である。また、繊維強化材の形態としてはチョップ
ドストランド、チョップドストランドマット、ロービン
グクロス、サーフェイスマット及び不織布等が挙げられ
る。
【0032】この発明の硬化成形品の製造方法は、前記
した熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物を100〜
150℃で加熱硬化させることを特徴とするものであ
る。硬化温度が100℃未満の場合には、熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂の硬化速度が遅く、150℃を越え
る場合には、硬化速度が速くなりすぎ、硬化物にクラッ
クが入り易くなる。
【0033】具体的な硬化成形品の製造方法としては、
100〜150℃に予熱した金型や電鋳型を用いるプレ
ス成形、射出成形あるいはトランスファー成形等、それ
自体公知の成形法を挙げることができる。硬化成形時間
は硬化成形温度によって異なるが、通常は1分〜20分
である。
【0034】そして、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂
組成物中に無機系充填材として水酸化アルミニウムある
いはシリカを含有させた場合には、透明性や深み等の高
級感を有する人造大理石成形品を容易に製造することが
できる。
【0035】
【実施例】以下、この発明を実施例及び比較例によりさ
らに具体的に説明する。なお、これらの例において、部
及び%はそれぞれ重量部及び重量%を表す。各実施例と
比較例で使用した有機過酸化物の略記号は以下に示すと
おりである。 THPIPC:t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキシル
I、純度:92%) TMBPIPC:1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシイソプロピルカーボネート(日本油脂(株)
製、商品名:パーオクタI、純度:90%) THPEH:t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサ
ノエート(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキシル
O、純度:93%) TBPB:t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油
脂(株)製、商品名:パーブチルZ、純度:98%) TBPEH:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノ
エート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルO、純
度:98%) TAP355:t−アミルパーオキシ3,5,5−トリ
メチルヘキサノエート(特開平9−295965号公報
に記載の方法に従って製造したもの、純度:92%) TMPP355:1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(特
開平9−295965号公報に記載の方法に従って製造
したもの、純度:90%)
【0036】実施例1〜5 ポリメタクリル酸メチル52部(三菱レーヨン(株)製
のダイヤナールBR−52)をメタクリル酸メチル33
部とネオペンチルグリコールジメタクリレート15部の
混合物に40℃で加熱溶解してアクリルシラップを調製
した。次いで、このアクリルシラップ100部に水酸化
アルミニウム(住友化学工業(株)製CWL326S)
120部と表1に示す有機過酸化物を所定量配合し、ニ
ーダーにより混練して熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂
組成物を製造した。そして、以下の方法により、これの
硬化特性、貯蔵安定性及びこれを用いて製造した硬化成
形品の耐熱水性試験による黄変性を測定し、その結果を
表1に示した。
【0037】〔硬化特性〕キュラストメーター(日合商
事(株)製JSRキュラストメーターV型,振幅角度±
1/4°)を用いて、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂
組成物の120℃における硬化試験を行い、硬化過程に
おけるトルク変化を測定した。そして、測定開始からト
ルクが発現するまでの時間(以下T0と略記する)を測
定し、ゲル化時間の指標とした。また、最大トルク値の
90%が得られるまでの時間(以下T90と略記する)を
測定し、硬化時間の指標とした。
【0038】〔貯蔵安定性〕熱硬化性(メタ)アクリル
系樹脂組成物を内容積約200mlの円柱形ガラス容器
に150g入れ、密栓後、40℃の恒温槽内に保管し、
樹脂組成物のゲル化によりステンレス棒がガラス容器の
底部に到達しなくなるまでの時間を測定した。
【0039】〔耐熱水性試験〕熱硬化性(メタ)アクリ
ル系樹脂組成物を下型120℃、上型105℃に予熱し
た150×100×8mmの金型に配置後、5分間、5M
Paの圧力でプレス成形することにより硬化成形品を製
造した。この硬化成形品の標準白色板との色差を日本電
色工業(株)製の測色色差計を用いて反射法により測定
し、L0,a0,b0を得た。次に、この硬化成形品を複
合材料切断機により80mm×80mm×8mmの形状
に切り出し、恒温水槽の側面に付設された窓枠に切り出
し品の片面だけが水に接触するように取り付け、90℃
の熱水を用いて耐熱水性試験を行った。そして、耐熱水
性試験500時間後の切り出し品の標準白色板との色差
を日本電色工業(株)製の測色色差計を用いて反射法に
より測定し、L500,a500,b 500を得た。
【0040】そして、硬化成形品の初期と耐熱水性試験
500時間後のbの差(b500−b0)を算出し、Δbと
した。ここで、Δbが小さいほど耐熱水性試験による黄
変性が低いことを表す。また、硬化成形品の初期と耐熱
水性試験500時間後の色差を次式により算出し、ΔE
とした。 ΔE=[(L500−L02+(a500−a02+(b500
021/2 ここで、ΔEが小さいほど耐熱水性試験による変色性が
低いことを表す。なお、L,a,bはRichard
S.Hunterにより提案された色の品質管理に多用
されている尺度である。
【0041】
【表1】
【0042】比較例1〜5 実施例1〜5で使用した有機過酸化物をTBPB、TB
PEH、TAP355、TMPP355に変えた以外は
実施例1〜5と同様にして熱硬化性(メタ)アクリル系
樹脂組成物を製造した。そして、実施例1〜5と同様の
方法により、硬化特性、貯蔵安定性及び耐熱水性試験を
行い、その結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】表1と2を比較すれば明らかなように、こ
の発明の熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物は貯蔵
安定性に優れ、硬化速度が速く、かつ耐熱水性試験によ
る黄変性と変色性の低い硬化成形品が得られる。これに
対して、比較例1のTBPBを硬化剤として配合したも
のは、貯蔵安定性には優れるものの、その硬化速度は遅
く、得られた硬化成形品の耐熱水性試験による黄変性と
変色性は高かった。比較例2のTBPEHを硬化剤とし
て配合したものは、その硬化速度は速いものの、貯蔵安
定性が極めて悪かった。一方、比較例3のTAP355
を硬化剤として配合したものは、硬化速度が遅く、また
比較例4のTMPP355を硬化剤として配合したもの
及び比較例5のTAP355にTBPEHを併用したも
のは貯蔵安定性に劣っていた。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
次のような優れた効果を奏する。即ち、この発明の特定
の有機過酸化物を硬化剤として配合した熱硬化性(メ
タ)アクリル系樹脂組成物は貯蔵安定性に優れるため成
形不良を起こし難く、硬化速度が速いため硬化成形品の
生産性に優れている。さらに、熱硬化性(メタ)アクリ
ル系樹脂組成物からは耐熱水性に優れた硬化成形品を製
造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂及び硬
    化剤を含む熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物にお
    いて、硬化剤が式(1)で表される有機過酸化物である
    ことを特徴とする熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成
    物。 【化1】 (但し、式中Rは炭素数5〜8のt−アルキル基を表
    す)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱硬化性(メタ)アク
    リル系樹脂組成物を硬化してなる硬化成形品。
  3. 【請求項3】 硬化成形品が人造大理石である請求項2
    に記載の硬化成形品法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の熱硬化性(メタ)アク
    リル系樹脂組成物を100〜150℃で加熱硬化させる
    請求項2または請求項3に記載の硬化成形品の製造方
    法。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998046679A1 (fr) * 1997-04-14 1998-10-22 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Premix (meth)acrylique, smc ou bmc (meth)acrylique, et procede de fabrication de marbre artificiel (meth)acrylique
JPH1171418A (ja) * 1997-06-17 1999-03-16 Mitsubishi Rayon Co Ltd (メタ)アクリル系プレミックス、(メタ)アクリル系smc又はbmc、及び(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法

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