JP2017105882A - 複合樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部融着が良好で、へたりにくく、たわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることができ、残留スチレン系単量体が少なく、発泡時の発泡性及び成形時の成形性に優れた複合樹脂粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】水性媒体中に分散させたエチレン系樹脂からなる核粒子に、重合開始剤の存在下でスチレン系単量体を含浸、重合させて複合樹脂粒子を得る製造方法である。核粒子に含まれるエチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量が100〜1900質量部である。10時間半減期温度が80〜120℃の重合開始剤として、t−ブトキシ基を有する有機過酸化物Aと、t−ヘキシルオキシ基を有する有機過酸化物Bとを所定の配合割合で併用する。【選択図】なし

Description

本発明は、重合開始剤の存在下において、エチレン系樹脂を含む核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる複合樹脂粒子の製造方法に関する。
発泡粒子成形体は、緩衝性、軽量性、防振性、防音性、断熱性等に優れるという特性を生かして、包装材料、建築材料、車輌用部材等の幅広い用途に利用されている。発泡粒子成形体は、発泡粒子を成形型内で相互に融着させることにより得られる。また、発泡粒子は、プロパン、ブタン、ペンタン等の有機系物理発泡剤または二酸化炭素、窒素、空気等の無機系物理発泡剤を樹脂粒子に含浸させた樹脂粒子を加熱等により発泡させることにより得られる。発泡粒子成形体を構成する樹脂成分としては、スチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂等が主に用いられている。
特に、液晶パネル、太陽光発電パネルなどの板状製品に用いられる梱包容器には、押し傷や擦れによる摩耗、割れ、欠けが発生せず、複数回の使用が可能であるなどの理由から、プロピレン系樹脂からなる発泡粒子成形体が使用されていた。ところが、近年のパネルサイズの拡大に伴う梱包重量の増大によって、プロピレン系樹脂からなる発泡粒子成形体を梱包容器として用いた場合には、梱包状態でのたわみ量が増大するという問題が生じた。梱包時のたわみ量が大きいと、搬送機などで梱包状態の容器の両端を支持して持ち上げた際に脱落する虞や、たわみによって液晶パネルが破損してしまう虞がある。
これに対して、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂からなる発泡粒子成形体(以下、適宜「発泡複合樹脂成形体」という)が注目されている(特許文献1〜3参照)。発泡複合樹脂成形体は、例えば、エチレン系樹脂を含有する核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させることによって得られる複合樹脂粒子を、上述のように発泡させ、相互に融着させることによって製造される。このような発泡複合樹脂成形体においては、複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合を高めることにより、剛性を向上させることが可能になる。その結果、発泡複合樹脂成形体のたわみ量を小さくしてたわみ耐性を向上させることが可能になる。したがって、発泡複合樹脂成形体を梱包容器に適用した場合における上述の搬送時の問題を回避することができる。さらに、スチレン系樹脂成分の割合を高めると、良好なたわみ耐性を保ちつつ発泡複合樹脂成形体の発泡倍率を上げることが可能となる。そのため、発泡複合樹脂成形体の重量を減少できるなどの利点がある。
特開2014−196441号公報 特開2014−196444号公報 特許第5058866号公報
複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合を高くするために、エチレン系樹脂を含有する核粒子に含浸させるスチレン系単量体の配合割合を高めると、複合樹脂粒子中に残留するスチレン系単量体の量が増加し易くなる。その結果、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体中に残留するスチレン系単量体の量も増加するおそれがある。残留スチレン系単量体量の増加は、自動車用途に使用する際のVOC(揮発性有機化合物)の原因や梱包用途に使用する際の被梱包物への汚れの移行の原因となるため好ましくない。一方、スチレン系単量体の重合に用いられる重合開始剤の配合量を高めると、残留スチレン系単量体量を低下させことができるが、この場合にはスチレン系単量体の重合時にエチレン系樹脂の架橋が進む虞がある。その結果、複合樹脂粒子の発泡性の低下や成形圧の上昇という問題が発生する虞がある。したがって、発泡粒子同士の融着性が低下しやすく、発泡複合樹脂成形体の粘り強さが不足し、割れが発生し易くなる虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、内部融着が良好で、へたりにくく、たわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体を得ることができ、残留スチレン系単量体が少なく、発泡時の発泡性及び成形時の成形性に優れた複合樹脂粒子の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、エチレン系樹脂を含む核粒子を水性媒体中に分散させる分散工程と、
上記水性媒体中において、上記核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて複合樹脂粒子を得る改質工程と、を有する複合樹脂粒子の製造方法において、
上記核粒子に含まれる上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体の配合量が100〜1900質量部であり、
上記スチレン系単量体の重合には、重合開始剤として、t−ブトキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Aと、t−ヘキシルオキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Bとを用い、
上記スチレン系単量体100質量部に対する上記有機過酸化物Aと上記有機過酸化物Bとの合計配合量が0.4〜1.2質量部であり、上記有機過酸化物Aと上記有機過酸化物Bとの合計配合量に対する上記有機過酸化物Aの配合量の比率が30〜85質量%である、複合樹脂粒子の製造方法にある。
上記製造方法においては、上記分散工程と上記改質工程とを行うことにより、複合樹脂粒子を製造している。そして、上記重合開始剤として、t−ブトキシ基を有する有機過酸化物Aと、t−ヘキシルオキシ基を有する有機過酸化物Bとを併用しつつ、これらの配合量及び配合比を上記所定の範囲に調整している。そのため、核粒子に含浸させるスチレン系単量体の配合量を上記範囲内において高くしても、複合樹脂粒子中のエチレン系樹脂の架橋を抑えつつ、残留スチレン系単量体を低減させることができる。また、エチレン系樹脂の架橋を抑えることによって、複合樹脂粒子の発泡時の発泡性や、成形時の成形性を高めることができる。さらに、このような複合樹脂粒子を用いることによって、内部融着が良好で、へたりにくく、たわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体の製造が可能になる。
次に、上記複合樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態について説明する。複合樹脂粒子は、物理発泡剤を含浸させ、発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子(以下、「発泡粒子」という)を製造するために用いることができる。物理発泡剤としては、二酸化炭素などの無機系物理発泡剤を用いてもよいし、炭化水素などの有機系物理発泡剤を用いてもよい。また、発泡により得られた発泡粒子を型内成形することにより、発泡粒子が相互に融着した成形体(すなわち、発泡複合樹脂成形体)を製造することができる。複合樹脂粒子は、上述のごとく、分散工程と改質工程とを行うことによって製造される。
分散工程においては、エチレン系樹脂を含む核粒子を水性媒体中に分散させる。改質工程においては、水性媒体中において、核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる。スチレン系単量体の重合は、重合開始剤の存在下で行う。この改質工程においては、核粒子に含浸されたスチレン系単量体を重合させることができる。そのため、重合によって生成するスチレン系樹脂成分と、エチレン系樹脂成分とを含有する複合樹脂粒子を得ることができる。以下、各工程について詳細に説明する。
分散工程においては、エチレン系樹脂を含む核粒子が用いられる。エチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。エチレン系樹脂としては、1種の重合体でもよいが、2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。
エチレン系樹脂100質量%中の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、直鎖のポリエチレン鎖と炭素数2〜6の短鎖状の分岐鎖とを有する分岐構造を有することが好ましい。具体的には、例えばエチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。特に、エチレン系樹脂は、メタロセン系重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子中のエチレン系樹脂成分と、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂成分との親和性がより向上し、より靱性の高い複合樹脂粒子を得ることができる。また、低分子量成分をより少なくし、成形時の発泡粒子間の融着強度をより高めることができるため、より一層割れの発生しにくい発泡複合樹脂成形体を製造することが可能になる。さらに、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。
また、エチレン系樹脂の融点Tm(℃)は95〜105℃であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。同様の観点から、エチレン系樹脂の融点Tmは100〜105℃であることがより好ましい。なお、融点Tmは、JIS K7121(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)にて融解ピーク温度として測定することができる。
エチレン系樹脂は、融点Tm(℃)とビカット軟化点Tv(℃)とが、Tm−Tv≦20(℃)という関係を満足する直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。このようなエチレン系樹脂は、均一な分子構造を示し、架橋による網目構造がより均一にエチレン系樹脂中に分布するものと推察される。したがって、この場合には、上記複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の強度及び粘り強さをより向上させることができる。同様の観点から直鎖状低密度ポリエチレンは、Tm−Tv≦15の関係を満足することがより好ましく、Tm−Tv≦10の関係を満足することが更に好ましい。なお、ビカット軟化点Tvは、JIS K 7206(1999年)のA50法に基づいて、測定することができる。また、エチレン系樹脂が2種類以上の樹脂からなる混合樹脂である場合には、混合樹脂の融点、ビカット軟化点をエチレン系樹脂の融点、ビカット軟化点とする。
複合樹脂粒子の発泡性をより向上できるという観点から、温度190℃、荷重2.16kgの条件におけるエチレン系樹脂のメルトマスフローレイト(すなわち、MFR)は、0.5〜4.0g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。温度190℃、荷重2.16kgの条件におけるエチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210−1(2014年)に基づき、測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる。
核粒子は、気泡調整剤、着色剤、滑材、分散径拡大剤等の添加剤を含有することができる。なお、添加剤の配合量は、発泡粒子、発泡複合樹脂成形体の要求性能に応じて適宜調整することができる。核粒子は、必要に応じて添加される添加剤をエチレン系樹脂に配合し、配合物を溶融混練してから細粒化することにより製造することができる。溶融混練は押出機により行うことができる。均一な混練を行うためには、予め樹脂成分を混合した後に押出を行うことが好ましい。樹脂成分の混合は、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー、レディーゲミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。溶融混練は、例えばダルメージタイプ、マドックタイプ、及びユニメルトタイプ等の高分散タイプのスクリュや二軸押出機を用いて行うことが好ましい。
また、核粒子には、複合樹脂粒子の発泡後に得られる発泡粒子の気泡サイズを調整するため、気泡調整剤を予め添加することができる。気泡調整剤としては、例えば、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸金属塩等の有機物、又は無機物等を用いることができる。有機物の気泡調整剤を用いる場合には、その配合量を、核粒子に使用される樹脂成分100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲にすることが好ましい。また、無機物の気泡調整剤を用いる場合には、その配合量を、核粒子に使用される樹脂成分100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲にすることが好ましい。
核粒子の微細化は、例えば、溶融混練した配合物を押出機等により押出しながら切断することにより行われる。微細化は、例えばストランドカット方式、アンダーウォーターカット方式、ホットカット方式等によって行うことができる。
分散工程においては、水性媒体中に核粒子が分散された分散液を得ることができる。水性媒体としては、例えば脱イオン水を用いることができる。核粒子は、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体を水性媒体中に均一に懸濁させることができる。懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。これらの中でも、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましい。この場合には、スチレン系単量体を安定して懸濁させることができ、樹脂の塊状物の発生を防止することができる。その結果、改質工程後に得られる複合樹脂粒子の粒子径分布を狭くすることが可能になる。
水性媒体には界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
上述の界面活性剤は、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)がよい。これにより、懸濁を充分に安定化させることができる。上記分散工程においては、水性媒体中に界面活性剤を20〜1000質量ppm添加することが好ましく、10〜500質量ppm添加することがより好ましい。
また、水性媒体には、必要に応じて、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。また、靭性、機械的強度により優れた発泡複合樹脂成形体を得るためには、水性媒体に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。
水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。
水溶性重合禁止剤は、核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、核粒子に含浸したスチレン系単量体の重合は行われるが、核粒子に含浸されていない水性媒体中のスチレン系単量体の微小液滴、及び核粒子に吸収されつつある核粒子表面付近のスチレン系単量体の重合を抑制することができる。その結果、複合樹脂粒子の表面におけるスチレン系樹脂の量を少なくすることができ、得られる発泡複合樹脂成形体の靭性が向上すると推察される。水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.06質量部がよい。
改質工程においては、水性媒体中において、核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させる。なお、スチレン系単量体の重合は、重合開始剤の存在下で行う。この場合には、スチレン系単量体の重合と共にエチレン系樹脂の架橋が生じることがある。スチレン系単量体の重合においては重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系単量体に重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。また、架橋剤を用いる場合には、重合温度では分解せず、架橋温度で分解する架橋剤を採用することができる。具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物が挙げられる。架橋剤としては、1種類を用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。架橋剤の配合量は、スチレン系単量体100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。
重合開始剤としては、t−ブトキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Aと、t−ヘキシルオキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Bとを併用する。有機過酸化物Aは、水素引き抜き能が強く、残留スチレン系単量体の低減効果を有する。一方、有機化酸化物Bは、水素引き抜き能が弱く、エチレン系樹脂の架橋を起こし難い。有機過酸化物Aとしては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等を用いることができる。残留スチレン系単量体をより低減しやすいという観点から、有機過酸化物Aとしては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。有機過酸化物Bとしては、例えば、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等を用いることができる。残留スチレン系単量体をより低減しやすく、エチレン系樹脂の架橋をより抑制して発泡性や成形性の低下をより防止できるという観点から、有機過酸化物Bとしては、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートが好ましい。
また、重合開始剤として、10時間半減期温度が80℃未満の有機過酸化物を用いた場合には、複合樹脂粒子中の残留スチレン系単量体量が多くなる虞や、複合樹脂粒子の形状が扁平になり、成形時の充填性が悪くなる虞がある。したがって、有機過酸化物A、有機過酸化物Bの10時間半減期温度は、上述のごとく80℃以上であることが好ましい。同様の観点から、有機過酸化物A、有機過酸化物Bの10時間半減期温度は85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましく、95℃以上であることが特に好ましい。一方、10時間半減期温度が120℃を超える有機過酸化物を用いた場合には、複合樹脂粒子中の残留スチレン系単量体量が多くなりすぎる虞や、重合時に樹脂粒子同士が凝結する虞がある。したがって、有機過酸化物A、有機過酸化物Bの10時間半減期温度は、上述のごとく120℃以下であることが好ましい。同様の観点から、有機過酸化物A、有機過酸化物Bの10時間半減期温度は115℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがさらに好ましく、105℃以下であることが特に好ましい。
10時間半減期温度とは、有機過酸化物を不活性溶媒中に仕込み、有機過酸化物の仕込み量の50%が10時間で熱分解する温度と定義される。10時間半減期温度は、例えば次のようにして測定することができる。まず、有機過酸化物をベンゼンに溶解して濃度0.1mol/リットルの溶液を得る。この溶液を、予め内部の空気を窒素により置換したガラス管内に封入する。次いで、ガラス管を所定温度にセットした恒温槽に浸すことにより、有機過酸化物を熱分解させる。ここで、分解速度定数をk、時間をt、有機過酸化物の初期濃度を[PO]0、時間t後の有機過酸化物の濃度を[PO]tとすると、kt=ln[PO]0/[PO]tの関係が成り立つ。そこで、時間tとln[PO]0/[PO]tとの関係をグラフにプロットすると、その傾きから分解速度定数kを求めることができる。
半減期時間t1/2では[PO]0/[PO]t=2の関係が成り立つので、t1/2=ln2/kの関係式より、ある温度での半減期時間t1/2を求めることができる。複数の温度について半減期時間t1/2を求め、lnt1/2と1/Tとの関係をグラフにプロットすることにより、10時間半減期温度を得ることができる。Tは絶対温度(単位:K)である。なお、有機過酸化物の製造会社が発行するカタログや技術資料に記載された10時間半減期温度のデータを利用しても良い。
また、有機過酸化物Aの10時間半減期温度と、有機過酸化物Bの10時間半減期温度との差が±20℃以内であることが好ましい。この場合には、改質工程において、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとが同じタイミングで重合開始剤として機能する。そのため、核粒子に含浸させるスチレン系単量体の配合量を上述の範囲内において高めても、複合樹脂粒子中のエチレン系樹脂の架橋を抑制しつつ、残留スチレン系単量体を減らすことができる。同様の観点から、有機過酸化物Aの10時間半減期温度と、有機過酸化物Bの10時間半減期温度との差は±15℃以内であることがより好ましく、±10℃以内であることがさらに好ましく、±5℃以内であることが特に好ましい。
改質工程において、スチレン系単量体100質量部に対する有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量CTは、0.4質量部以上である。この合計配合量CTが0.4質量部未満の場合には、複合樹脂粒子中の残留スチレン系単量体量が多くなりすぎるおそれがある。残留スチレン系単量体量をより一層減らすという観点から、合計配合量CTは、0.5質量部以上であることがより好ましく、0.6質量部以上であることがさらに好ましい。また、合計配合量CTは1.2質量部以下である。合計配合量CTが1.2質量部を超える場合には、複合樹脂粒子の発泡性や成形性が低下するおそれがある。また、この場合には、複合樹脂粒子を用いて発泡複合樹脂成形体を製造した際に、成形体内における発泡粒子同士の内部融着が不十分になり、成形体の曲げ破断エネルギーが低下するおそれがある。複合樹脂粒子の発泡性や成形性をより向上させるという観点や、発泡複合樹脂成形体における発泡粒子同士の内部融着をより良好にしたり、曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、合計配合量CTは、1質量部以下であることがより好ましく、0.8質量部以下であることがさらに好ましい。
また、改質工程において、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量に対する有機過酸化物Aの配合量の比率RAは30質量%以上である。比率RAが30質量%未満の場合には、複合樹脂粒子の発泡性や成形性が低下するおそれがある。また、この場合には、複合樹脂粒子を用いて発泡複合樹脂成形体を製造した際に、成形体内における発泡粒子同士の内部融着が不十分になり、成形体の曲げ破断エネルギーが低下するおそれがある。複合樹脂粒子の発泡性や成形性をより向上させるという観点や、発泡複合樹脂成形体における発泡粒子同士内部融着をより良好にしたり、曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、比率RAは、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、比率RAは85質量%以下である。比率RAが85質量部%を超える場合には、複合樹脂粒子の残留スチレン系単量体の量が多くなるおそれがある。また、この場合には、複合樹脂粒子を用いて発泡複合樹脂成形体を製造した際に、成形体内における発泡粒子同士の内部融着が不十分になり、成形体の曲げ破断エネルギーが低下するおそれがある。複合樹脂粒子の残留スチレン系単量体の量を低減するという観点や、発泡複合樹脂成形体における発泡粒子同士の内部融着をより良好にしたり、曲げ破断エネルギーをより向上させるという観点から、比率RAは、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
改質工程においては、核粒子に含まれるエチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量Mtが100質量部以上である。配合量Mtが100質量部未満の場合には、上記複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の剛性が低下し、たわみ耐性が不十分になるおそれがある。剛性をより向上させ、たわみ耐性をより向上させるという観点から、配合量Mtは、400質量部を超えることがより好ましく、500質量部以上であることがさらに好ましい。また、核粒子に含まれるエチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量Mtは、1900質量部以下である。配合量Mtが1900質量部を超える場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体が割れやすく、脆くなるおそれがある。発泡複合樹脂成形体の割れをより一層防止するという観点から、配合量Mtは、1500質量部以下であることがより好ましく、900質量部以下であることがさらに好ましく、600質量部以下であることがさらにより一層好ましい。
核粒子にスチレン系単量体を含浸させて重合させるにあたって、核粒子を分散させた水性媒体中に、配合予定のスチレン系単量体の全量を一括して添加することもできるが、配合予定のスチレン系単量体の全量を例えば2以上に分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することもできる。具体的には、配合予定のスチレン系単量体の全量のうちの一部を、核粒子が分散された水性媒体中に添加して、スチレン系単量体を含浸、重合をさせつつ、次いで、さらに配合予定のスチレン系単量体の残部を1回又は2回以上に分けて水性媒体中に添加することができる。後者のように、スチレン系単量体を分割して添加することにより、重合時に樹脂粒子同士が凝結することをより抑制することが可能になる。
また、重合開始剤は、スチレン系単量体に溶解させた状態で、水性媒体中に添加することができる。上述のごとく、配合予定のスチレン系単量体を2回以上に分割して異なるタイミングで添加する場合には、いずれのタイミングで添加されるスチレン系単量体にも重合開始剤を溶解させることができ、異なるタイミングで添加される各スチレン系単量体に重合開始剤を添加することもできる。スチレン系単量体を分割して添加する場合には、少なくとも最初に添加されるスチレン系単量体(以下、「第1モノマー」という)には重合開始剤を溶解させておくこと好ましい。第1モノマーには、配合予定の重合開始剤の全量のうちの75%以上を溶解させることが好ましく、80%以上を溶解させておくことがより好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。また、上述のように、配合予定のスチレン系単量体の一部を第1モノマーとして添加する場合には、配合予定のスチレン系単量体の全量のうちの残部を第2モノマーとして、第1モノマーの添加後に第1モノマーとは異なるタイミングで添加することができる。第2モノマーをさらに分割して添加することもできる。
なお、スチレン系単量体(第1モノマー)のシード比(核粒子に対する第1モノマーの質量比)は、0.5以上であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の形状をより球状に近づけることが容易になる。同様の観点から、シード比は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。また、シード比は、1.5以下であることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体が核粒子に充分に含浸される前に重合することをより防止することができ、樹脂の塊状物の発生をより防止することができる。同様の観点から、第1モノマーのシード比は、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
スチレン系単量体は、スチレンだけでなく、スチレンと共重合可能なモノマーを含むことができる。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン誘導体、その他のビニルモノマー等が挙げられる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
また、その他のビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、水酸基を含有するビニル化合物、ニトリル基を含有するビニル化合物、有機酸ビニル化合物、オレフィン化合物、ジエン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、マレイミド化合物などが挙げられる。これらのビニルモノマーは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等がある。メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
水酸基を含有するビニル化合物としては、例えば水酸基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等がある。ニトリル基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。有機酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等がある。
オレフィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等がある。ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等がある。ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば塩化ビニル、臭化ビニル等がある。ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば塩化ビニリデン等がある。マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等がある。
スチレン系単量体としては、複合樹脂粒子の発泡性を高めるという観点から、スチレンを単独で用いるか、スチレンとアクリル系単量体とを併用することが好ましい。さらに発泡性を高めるという観点からは、スチレン系単量体としては、スチレンとアクリル酸ブチルとを用いることが特に好ましい。この場合には、アクリル酸ブチルの配合量は、複合樹脂中のアクリル酸ブチル成分の含有量が複合樹脂全体に対して0.5〜10質量%になるように調整することが好ましく、1〜8質量%になるように調整することがより好ましく、2〜5質量%になるように調整することがさらに好ましい。
なお、スチレン系単量体として、スチレンと共に、スチレンと共重合可能なモノマーを用いる場合には、複合樹脂粒子中のスチレンと共重合可能なモノマーの含有量を10質量%以下にすることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の発泡性を向上させることができ、また、発泡粒子の収縮を防止することができる。発泡性をより良好にするという観点から、複合樹脂粒子中のスチレンと共重合可能なモノマーの含有量は、1〜8質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
改質工程において、核粒子中のエチレン系樹脂の融点Tm(℃)と、改質工程における重合温度Tp(℃)とが、Tm−10≦Tp≦Tm+30の関係を満足することが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡複合樹脂成形体を得ることが可能になる。また、改質工程における、含浸温度、重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃であることが好ましく、70〜105℃であることがより好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃であることが好ましい。スチレン系単量体の含浸温度は、エチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させる温度である。また、重合温度は、エチレン系樹脂に含浸したスチレン系単量体の重合を進行させる温度である。
また、スチレン系単量体には、気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、例えば脂肪族モノアミド、脂肪酸ビスアミド、ポリエチレンワックス、メチレンビスステアリン酸などを用いることができる。脂肪族モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等を用いることができる。脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。気泡調整剤は、スチレン系単量体100質量部に対して0.01〜2質量部用いることが好ましい。また、スチレン系単量体には、必要に応じて可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、着色剤、連鎖移動剤等を添加することができる。
可塑剤としては、例えば脂肪酸エステル、アセチル化モノグリセライド、油脂類、炭化水素化合物等を用いることができる。脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート等を用いることができる。また、アセチル化モノグリセライドとしては、例えばグリセリンジアセトモノラウレート等を用いることができる。油脂類としては、例えば硬化牛脂、硬化ひまし油等を用いることができる。炭化水素化合物としては、例えばシクロヘキサン、流動パラフィン等を用いることもできる。また、油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン等を用いることができる。難燃剤としては、例えばヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA系化合物、トリメチルホスフェート、臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水酸化アルミニウム等を用いることができる。着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及び炭素繊維等を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えばn−ドデシルメルカプタンやα−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。上記添加剤は、単独または2種以上の組合せで添加することができる。
上述の気泡調整剤、可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、着色剤、連鎖移動剤等の添加剤は、溶剤に溶解させて核粒子に含浸させることもできる。溶剤としては、例えばエチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。
次に、上述の分散工程及び改質工程によって得られる複合樹脂粒子について説明する。
複合樹脂粒子は、エチレン系樹脂と、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂とを含有する。スチレン系樹脂とは、この樹脂を構成するスチレン成分単位の含有量が50質量%以上であるものをいう。スチレン系樹脂におけるスチレン成分単位は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
また、複合樹脂粒子中のスチレン系単量体の含有量は500質量ppm以下(0を含む)であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子を用いて、低VOC(揮発性有機化合物)の発泡複合樹脂成形体を得ることができる。複合樹脂粒子中のスチレン系単量体の含有量は、400質量ppm以下(0を含む)であることがより好ましく、300質量ppm以下(0を含む)であることがさらに好ましく、200質量ppm以下(0を含む)であることがさらにより好ましい。
複合樹脂粒子をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、ソックスレー抽出後のキシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度(以下、単に「膨潤度」という)は1.25以上であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーをより向上させ、粘り強さをより向上させることができる。同様の観点から、膨潤度は1.5以上であることがより好ましく、2以上がさらに好ましい。また、発泡複合樹脂成形体の収縮を抑えるという観点から、複合樹脂粒子の膨潤度は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
膨潤度が上記所定値以上である場合に、上述のように剛性と粘り強さが優れる理由については、次のように推察される。有機溶媒に架橋エチレン系樹脂を浸漬させた時の膨潤度(膨潤の度合い)は、樹脂の架橋構造(三次元網目構造)と相関性があり、網目が細かいほど有機溶媒の吸収量が低くなるため、膨潤度は低下する。一方、非架橋のエチレン系樹脂も、温度23℃のメチルエチルケトン中ではほとんど膨潤しない。即ち、上記のごとく複合樹脂粒子のキシレン不溶分(すなわち、主に架橋されたエチレン系樹脂成分)と、キシレン可溶分中のアセトン不溶分(すなわち、主にメッシュを通過した架橋されたエチレン系樹脂成分、及び架橋されていないエチレン系樹脂成分の合計)との混合不溶分の膨潤度が大きい場合には、膨潤度が小さい場合に比べて、複合樹脂を構成するエチレン系樹脂中に、架橋された三次元網目構造の網目が粗いエチレン系樹脂成分が多く含まれていることを意味する。なお、架橋されたエチレン系樹脂成分及び架橋されていないエチレン系樹脂成分は、それぞれスチレン系単量体がグラフト重合したエチレン系樹脂成分(すなわち、PE−g−PS成分)を含む。架橋された三次元網目構造の網目が粗いエチレン系樹脂成分は、発泡時に、強度を有しながらも適度に伸びやすいため、高い強度を有する気泡膜が形成されると推察される。さらに、複合樹脂発泡粒子において、圧縮された際に、複合樹脂中のエチレン系樹脂が柔軟で十分に変形可能なため、複合樹脂中のスチレン系樹脂の比率が高い場合にも、発泡粒子の気泡膜が破れずに独立気泡構造を維持できるものと推察される。即ち、膨潤度が特定範囲にある場合には、剛性及び粘り強さを高いレベルで兼ね備え、曲げ破断エネルギーの大きな発泡複合樹脂成形体が得られる。
また、複合樹脂粒子においては、ソックスレー抽出によるキシレン不溶分の質量割合が40質量%以下(0を含む)であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができる。また、キシレン不溶分の質量割合は30質量%以下(0を含む)であることがより好ましく、20質量%以下(0を含む)であることがさらに好ましい。この場合には、複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体の剛性及び粘り強さをより向上させることができる。
また、複合樹脂粒子において、スチレン系樹脂の重量平均分子量は、10万〜60万であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子発泡させて得られる発泡粒子の収縮をより防止することができる。さらに、発泡粒子の型内成形時に、発泡粒子同士の融着性をより向上させることができる。その結果、発泡複合樹脂成形体の寸法安定性をより向上させることができる。同様の観点からスチレン系樹脂の重量平均分子量は15万〜50万であることがより好ましく、15万〜35万であることがさらに好ましい。
また、スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、85〜100℃であることが好ましい。この場合には、複合樹脂粒子の発泡時における発泡性をより向上させることができ、発泡時の収縮をより防止することができる。さらに、発泡後に得られる発泡粒子の型内成形時に、発泡粒子同士の融着性をより向上させることができ、発泡複合樹脂成形体の寸法安定性をより向上させることができる。
スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば次のようにして測定できる。具体的には、まず、150メッシュの金網袋中に複合樹脂粒子1.0gを入れる。次に、容積200mlの丸型フラスコにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットする。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーションし、上澄み液を減圧蒸発乾固し、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。得られたスチレン系樹脂2〜4mgについて、ティ・エイ・インスツルメント社製のDSC測定器(Q1000)を用い、JIS K7121(1987年)に準拠して熱流束示差走査熱量測定を行う。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度としてガラス転移温度Tgを求めることができる。
上記複合樹脂粒子の発泡には、従来公知の発泡方法を適用することができる。具体的には、例えば、複合樹脂粒子を発泡剤と共に耐圧容器内で水等の分散媒に分散させ、加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、複合樹脂粒子の軟化温度以上の温度で容器内より低圧下(例えば、通常大気圧下)に複合樹脂粒子を放出して発泡させる方法(以下、ダイレクト発泡方法ともいう。)を用いることができる。また、例えば、発泡剤を含んだ発泡性複合樹脂粒子を密閉容器から取り出し、スチームなどの加熱媒体で発泡性複合樹脂粒子を加熱して発泡させる方法を用いることもできる。これらの方法の中でもダイレクト発泡方法が好ましく採用される。また、発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を耐圧容器内から放出する際の容器内の温度(すなわち、発泡温度)は、目的とする発泡粒子の見掛け密度、基材樹脂の組成、または発泡剤の種類や配合量等を考慮して決定される。発泡温度は、概ね、複合樹脂粒子の構成成分の1つであるスチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂成分のガラス転移温度(Tg)以上、複合樹脂粒子を構成する樹脂成分の分解開始温度以下の範囲内とすることができる。
(実施例1)
以下に、複合樹脂粒子の製造方法について説明する。本例においては、複合樹脂粒子を作製し、この複合樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させ、複合樹脂粒子を発泡させることにより発泡粒子を作製し、さらに発泡粒子を用いて発泡複合樹脂成形体を製造する。
(1)核粒子の作製
エチレン系樹脂として、メタロセン重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレン(具体的には、東ソー社製「ニポロンZ HF210K」)を準備した。このエチレン系樹脂の融点Tmは、103℃である。また、発泡核剤マスターバッチとしてポリコール(株)製「CE−7335」を準備した。ポリコール(株)製「CE−7335」は、ホウ酸亜鉛(気泡調整剤)の含有量が10質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ HF210K」)の含有量が90質量%である。エチレン系樹脂8.65kgと、気泡調整剤マスターバッチ1.35kgとをヘンシェルミキサーに投入し、5分間混合することにより、樹脂混合物を得た。次いで、50mmφの単軸押出機を用いて樹脂混合物を溶融混練し、水中カット方式により平均0.5mg/個に切断することにより、核粒子を得た。樹脂混合物の溶融混練は、押出機の最高温度を250℃に設定して行った。
(2)複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分間撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)2.0g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.2g、及び核粒子75gを投入した。
次いで、重合開始剤として、2種類の有機過酸化物を準備した。具体的には、有機過酸化物Aとして、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(具体的には、日油社製の「パーブチルE」)を準備し、有機過酸化物Bとして、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(具体的には、日油社製「パーヘキシルZ」)を準備した。また、連鎖移動剤として、αメチルスチレンダイマー(具体的には、日油社製「ノフマーMSD」)を準備した。なお、後述の表においては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを「A1」と示し、また、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートを「B1」と示す。そして、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.72gと、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート0.86gと、αメチルスチレンダイマー0.63gとを、第1モノマー(スチレン系単量体)に溶解させた。そして、溶解物を回転速度500rpmで撹拌しながら、核粒子等が投入された上述のオートクレーブ内に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン60gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけてオートクレーブ内を温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で1時間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、温度100℃で7.5時間保持した。このときの温度(具体的には100℃)が重合温度である。尚、温度100℃に到達してから1時間経過時に、第2モノマー(スチレン系単量体)としてのスチレン350gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、オートクレーブ内を温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、オートクレーブ内を冷却させ、内容物(複合樹脂粒子)を取り出した。次いで、硝酸を添加して複合樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機により脱水及び洗浄を行い、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去することにより、スチレン系樹脂とエチレン系樹脂の比率(質量比)が85:15の複合樹脂粒子を得た。このスチレン系樹脂とエチレン系樹脂との比率は、製造時に用いたスチレン系単量体とエチレン系樹脂との配合比(質量比)から求められる。
本例において作製した複合樹脂粒子について、重合条件を後述の表1に示す。具体的には、核粒子中のエチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量MT、有機過酸化物Aの種類、その10時間半減期温度TA、有機過酸化物Bの種類、その10時間半減期温度TB、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量に対する有機過酸化物Aの配合量の比率RA、スチレン系単量体100質量部に対する有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量CT、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bの10時間半減期温度の差ΔT(ただし、ΔT=TB−TA)を表1に示す。なお、後述の表1においては、有機過酸化物Aとして使用されるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートのことを「A1」として表し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートのことを「A2」として表し、t−ブチルパーオキシベンゾエートのことを「A3」として表す。また、有機過酸化物Bとして使用されるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートのことを「B1」として表し、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートのことを「B2」として表し、ジ−t−ヘキシルパーオキサイドのことを「B3」として表す。さらに、有機過酸化物であるt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのことを「B4」として表し、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートのことを「B5」として表す。また、本例において得られた複合樹脂粒子について、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との質量比(エチレン系樹脂/スチレン系樹脂)を表1に示す。さらに、複合樹脂粒子について、発泡性、スチレン系単量体の含有量(R−SM)、膨潤度、キシレン不溶分の質量割合(XYゲル量)、スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)を以下のようにして調べた。その結果を表1に示す。
「発泡性」
複合樹脂粒子1kgを水3.5リットルと共に攪拌機を備えた5Lの耐圧容器内に仕込み、更に、水に分散剤としてのカオリン5g、及び界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを添加した。次いで、耐圧容器内を撹拌速度300rpmで攪拌しながら、耐圧容器内を発泡温度165℃まで昇温させた後、耐圧容器内に無機系物理発泡剤としての二酸化炭素を4.0MPa圧入し、攪拌下で20分間保持した。その後、内容物を大気圧下に放出することにより、複合樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の嵩密度を測定し、以下の基準にて発泡性を評価した。
即ち、嵩密度が40kg/m3未満の場合を「◎」とし、40kg/m3以上かつ50kg/m3未満の場合を「○」とし、50kg/m3以上の場合を「×」として評価した。その結果を後述の表1に示す。なお、表1において、発泡性の評価結果の横に付した括弧内の数字は、発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を示す。なお、嵩密度(kg/m3)は、次のようにして測定した。まず、1Lのメスシリンダーを用意し、空のメスシリンダー中に発泡粒子を1Lの標線まで充填した。次いで、1Lあたりの発泡粒子の質量(g)を測定した。そして、発泡粒子1Lの質量(g)を単位換算することにより嵩密度(kg/m3)を算出した。
「複合樹脂粒子中に残存するスチレン系単量体の含有量(R−SM)」
まず、複合樹脂粒子をIKA社製分析ミルで粒子径が100μm程度になるように冷凍粉砕した。約1gの粉砕物を採取し、これをジメチルホルムアミド(すなわち、DMF)25ml中に浸漬し、温度5℃で24時間放置した。DMF溶液のガスクロマトグラフィーによりスチレン系単量体の含有量を測定した。なお、ガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通りである。使用機器:(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−9A、カラム充填剤:〔液相名〕PEG−20M、〔液相含浸率〕25重量%、〔担体粒度〕60/80メッシュ、担体処理方法〕、カラム材質:内径3mm、長さ3000mmのガラスカラム、キャリヤーガス:N2、検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、定量:内部標準法。
「膨潤度」
まず、約1gの複合樹脂粒子を採取して、その質量(すなわち、W0)を小数点第4位まで計量し、150メッシュの金網袋中に入れた。次いで、容量200mlの丸型フラスコに約200mlのキシレンを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットした。マントルヒーターで8時間加熱することにより、ソックスレー抽出を行った。抽出終了後、空冷により冷却した。冷却後、抽出管から金網を取り出し、約600mlのアセトンにより金網ごとサンプルを洗浄した。次いで、アセトンを揮発させてから温度120℃で乾燥した。この乾燥後に金網内から回収したサンプルが「キシレン不溶分」である。また、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液を600mlのアセトン中に投入した。そして、JIS P3801に規定される5種Aのろ紙を用いてろ過することにより、アセトンに溶解しない成分を分離回収し、回収物を減圧下にて蒸発乾固させた。得られた固形物が「アセトン不溶分」である。
これらの操作にて得られた「キシレン不溶分」と「アセトン不溶分」との混合不溶分の質量(すなわち、Wa)を小数点第4位まで計量した。なお、他の実施例及び比較例において混合不溶分の質量が0.2gに満たない場合には、十分量の混合不溶分を得るために、上記操作を繰り返し行って、0.2g以上の混合不溶分を得た。次に、混合不溶分を50mlのメチルエチルケトン中に浸漬し、温度23℃で24時間放置した。その後、メチルエチルケトンから混合不溶分を取出し、濾紙で軽く拭いた後、混合不溶分の質量(すなわち、Wb)を小数点第4位まで計量した。そして、メチルエチルケトン浸漬前後における混合不溶分の質量(すなわち、Wa、Wb)に基づいて、下記の式(I)により膨潤度Sを求めた。
S=Wb/Wa・・・(I)
「キシレン不溶分の質量割合(XYゲル量)」
まず、上記膨潤度の測定で得られたキシレン不溶分の質量(すなわち、W2)を計量した。キシレン不溶分の割合は、上記膨潤度にて計量した複合樹脂粒子の質量(すなわち、W0)に対する質量(W2)の割合(すなわち100×W2/W0、単位:質量%))である。
「スチレン系樹脂のMw」
まず、上述の方法と同様にしてソックスレー抽出を行った。そして、抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーションの後、減圧蒸発乾固を行った。その結果、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得た。そして、スチレン系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(すなわち、GPC)法により測定した。測定には、高分子測定用ミックスゲルカラムを用いた。具体的には、東ソー(株)製の測定装置(具体的には、HLC−8320GPC EcoSEC)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(すなわち、THF)、流量:0.6ml/分、試料濃度:0.1wt%、カラム:TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK−GEL SuperHM−H×2本を直列に接続するという測定条件で行った。即ち、重量平均分子量Mwは、テトラヒドロフランに溶解させたスチレン系樹脂の分子量をGPC法で測定し、標準ポリスチレンで校正することによって求めた。
(3)発泡粒子の製造
複合樹脂粒子500gを分散媒としての水3500gと共に撹拌機を備えた5Lの耐圧密閉容器内に仕込んだ。続いて、耐圧密閉容器内の分散媒中に分散剤としてのカオリン5gと、界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gとをさらに添加した。次いで、回転速度300rpmで耐圧密閉容器内を撹拌しながら、容器内を発泡温度165℃まで昇温させた。その後、無機系物理発泡剤である二酸化炭素を耐圧密閉容器内の圧力が3.2MPa(G:ゲージ圧)になるように耐圧密閉容器内に圧入し、同温度(すなわち、165℃)で15分間保持した。これにより複合樹脂粒子中に二酸化炭素を含浸させて、発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、発泡性複合樹脂粒子を分散媒と共に密閉容器から大気圧下に放出することにより、嵩密度が48kg/m3の発泡粒子を得た。発泡粒子は、複合樹脂粒子の発泡体であるため、複合樹脂発泡粒子とも言える。
複合樹脂粒子の発泡条件を後述の表1に示す。具体的には、発泡剤の種類、及び発泡剤の圧入時の圧力(ゲージ圧)を後述の表1に示す。
(4)発泡粒子成形体の製造
上記のようにして得られた発泡粒子を、縦250mm、横200mm、厚み50mmの平板形状のキャビティを有する金型内に充填した。次いで、金型内に水蒸気を導入することにより、発泡粒子を加熱して相互に融着させた。その後、金型内を水冷によって冷却した後、金型より発泡複合樹脂成形体を取り出した。さらに発泡複合樹脂成形体を温度60℃に調整されたオーブン内に12時間載置することにより、乾燥及び養生を行った。このようにして発泡粒子成形体を得た。発泡粒子成形体は、複合樹脂粒子を発泡させてなる発泡粒子が相互に融着された成形体であるため、発泡複合樹脂成形体であるともいえる。
成形条件を後述の表1に示す。具体的には、成形時の成形圧(MPa)、水冷時間(秒)を後述の表1に示す。また、発泡複合樹脂成形体について、見掛け密度(kg/m3)、融着率(%)、曲げ弾性率(MPa)、曲げ破断エネルギー(MJ/m3)、圧縮強度(MPa)を以下のようにして測定した。その結果を後述の表1示す。
「見掛け密度」
見掛け密度は、発泡複合樹脂成形体の質量をその体積で除することにより算出することができる。
「融着率」
発泡複合樹脂成形体の破断面を観察し、目視により内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測した。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計数に対する内部で破断した発泡粒子の割合を算出し、これを百分率で表した値を融着率(%)とした。
「曲げ弾性率」
曲げ弾性率は、JIS K7221−1(2006年)に記載の3点曲げ試験方法に準拠して測定した。具体的には、厚み20mm×幅25mm×長さ120mmの試験片を発泡複合樹脂成形体から全面が切削面となるように切り出し、室温23℃、湿度50%の恒室内に24時間以上放置後、支点間距離100mm、圧子の半径R15.0mm、支持台の半径R15.0mm、試験速度20mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、オートグラフAGS−10kNG(島津製作所製)試験機により測定し、算出された値(5点以上)の平均値を採用した。
「曲げ破断エネルギー」
上述の曲げ弾性率の測定と同様に3点曲げ試験を行い、歪(m/m)と応力(MPa)との関係から破断点までのエネルギー(MJ/m3)を求めた。曲げ破断エネルギーは、破断点までの歪−応力曲線と、横軸(歪)とによって囲まれる面積から算出される。
「圧縮強度」
発泡複合樹脂成形体の中央部分から縦50mm、横50mm、厚み25mmの直方体状の試験片を切出した。次に、この試験片に対してJIS K6767(1999年)に準拠して50%ひずみ時の圧縮荷重を求めた。この圧縮荷重を試験片の受圧面積で除することより、圧縮強度(50%圧縮応力)を算出した。
(実施例2)
本例、及び後述の実施例3は、重合開始剤として用いる有機過酸化物Bの種類を変更した例である。具体的には、本例においては、有機過酸化物Bとして、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製「パーヘキシルI」)0.86gを用いた点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例3)
本例においては、有機過酸化物Bとして、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(日油社製「パーヘキシルD」)0.86gを用いた点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例4)
本例、及び後述の実施例5及び6は、重合開始剤として用いる有機過酸化物Bの添加量を変更した例である。具体的には、本例においては、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの添加量を0.32gに変更した点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例5)
本例においては、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの添加量を0.43gに変更した点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例6)
本例においては、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの添加量を1.72gに変更した点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例7)
本例、及び後述の実施例8及び9は、重合開始剤を第1モノマーだけでなく、第2モノマーにも溶解させた例である。具体的には、本例においては、有機過酸化物Aとして用いるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.86gを第1モノマーに溶解させ、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエート1.72gを第2モノマーに溶解させた点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例8)
本例においては、第1モノマーに、有機過酸化物Aとして用いるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.5gと、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエート0.76gとを溶解させた。また、第2モノマーに、有機過酸化物Aとして用いるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.22gと、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエート0.11gとを溶解させた。その他は実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例9)
本例、及び後述の実施例10〜12は、核粒子に対するスチレン系単量体の配合割合を変更した例である。具体的には、本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから9kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから1kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子100gを使用し、第1モノマーとして、スチレン85gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン300gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例10)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから8kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから2kgに変更した点を除いては実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子53gを使用し、第1モノマーとして、スチレン38gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン394gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例11)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから9.35kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0.65kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子150gを使用し、第1モノマーとして、スチレン135gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン200gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例12)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから9.2kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0.8kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子125gを使用し、第1モノマーとして、スチレン110gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン250gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例13)
本例、及び後述の実施例14は、重合開始剤として用いる有機過酸化物Aの種類を変更した例である。具体的には、本例においては、有機過酸化物Aとして、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製「パーブチルI」)1.72gを用いた点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例14)
本例においては、有機過酸化物Aとして、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油社製「パーブチルZ」)1.72gを用いた点を除いては実施例1と同様にして、複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例1)
本例においては、重合開始剤として、有機過酸化物Bを用いなかった点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例2)
本例においては、有機過酸化物Aとして、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製「パーブチルE」)2.58gを用い、有機過酸化物Bを使用しなかった点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例3)
本例においては、実施例1において有機過酸化物Bとして用いたt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの代わりに、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製「パーヘキシルO」)を用いた点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例4)
本例においては、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの添加量を0.22gに変更した点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例5)
本例においては、有機過酸化物Bとして用いるt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの添加量を4.3gに変更した点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例6)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから9.61kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0.39kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子260gを使用し、第1モノマーとして、スチレン225gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーを使用しなかった点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例7)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから4.0kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから6.0kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子25gを使用し、第1モノマーとして、スチレン10gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン450gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例8)
本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから9.2kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0.8kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子125gを使用し、第1モノマーとして、スチレン110gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン250gを使用し、有機過酸化物Bを使用しなかった点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。すなわち、本例は、有機過酸化物Bを使用しなかった点以外は実施例13と同様に行った例である。
(比較例9)
本例においては、実施例1において有機過酸化物Bとして用いたt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの代わりに、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(アルケマ吉冨株式会社製「ルペロックスTAEC」)を用いた点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(比較例10)
本例においては、有機過酸化物Aとして用いるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製「パーブチルE」)の添加量を0.415gに変更した点を除いては実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。
(実施例15)
本例、及後述の比較例11〜12は、有機系物理発泡剤を用いて発泡を行った例である。具体的には、本例においては、まず、エチレン系樹脂の量を8.65kgから20kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチを用いず、分散径拡大剤として、アクリロニトリル−スチレン共重合体(電気化学工業(株)製「AS−XGS、重量平均分子量:10.9万、アクリロニトリル成分量:28質量%」1kgを用いた点を除いては実施例1と同様にして核粒子を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブ内で、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製し、さらに界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)2.0g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.2g、及び核粒子75gを投入した。次に、有機過酸化物Aとしてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.72g(日油社製「パーブチルE」)と、有機過酸化物Bとしてのt−ヘキシルパーオキシベンゾエート0.86g(日油社製「パーヘキシルZ」)と、連鎖移動剤としてのαメチルスチレンダイマー(日油社製「ノフマーMSD」)0.63gを第1モノマーに溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン60gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけてオートクレーブ内を温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で1時間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、温度100℃で7.5時間保持した。尚、温度100℃に到達してから1時間経過時に、第2モノマー(スチレン系単量体)としてのスチレン350gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、オートクレーブ内を温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、有機系物理発泡剤として、シクロヘキサン20g及びブタン(ノルマルブタン20質量%、イソブタン80質量%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物(発泡性複合樹脂粒子)を取り出し、硝酸を添加して樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、発泡性複合樹脂粒子を得た。得られた発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.008質量部を添加した。さらにステアリン酸亜鉛0.12質量部を添加した。そして、これらによって発泡性複合樹脂粒子を被覆した。
次に、上記のようにして得られた発泡剤を含有する複合樹脂粒子を容積30Lの常圧バッチ発泡機内に入れ、この発泡機内にスチームを供給した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を嵩密度50kg/m3まで発泡させ、嵩発泡倍率20倍の発泡粒子を得た。さらに、実施例1と同様にして発泡粒子の型内成形を行うことにより、発泡複合樹脂成形体を得た。
本例及び後述の比較例10〜12において作製した発泡性複合樹脂粒子については、上述の発泡性の評価の代わりに、ビーズライフを以下のようにして測定した。
「ビーズライフ」
発泡性複合樹脂粒子を温度23℃の開放状態で所定時間放置し、発泡性複合樹脂粒子から発泡剤を散逸させた。その後、発泡性複合樹脂粒子を加熱スチーム温度107℃で270秒間加熱することにより発泡させて発泡粒子を得た。次いで、発泡粒子を温度23℃で24時間乾燥させた。次いで、乾燥後の発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を測定した。嵩密度(kg/m3)の測定方法は、上述の通りである。そして、嵩密度20kg/m3の発泡粒子が得られる間の放置時間(日数)、即ち嵩密度20kg/m3の発泡粒子が得られなくなるまでの放置時間(日数)をビーズライフとした。
(比較例11)
本例においては、重合開始剤として有機過酸化物Bを用いなかった点を除いては、実施例16と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡複合樹脂成形体を作製した。
(比較例12)
本例においては、有機過酸化物Aとして用いるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を2.58gに変更し、有機過酸化物Bを用いなかった点を除いては、実施例16と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡複合樹脂成形体を作製した。
実施例2〜15及び比較例1〜12についても、実施例1と同様に、重合条件、発泡条件、成形条件、評価結果を表1〜表3に示す。
Figure 2017105882
Figure 2017105882
Figure 2017105882
表1〜表3より知られるように、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂の組成、重合開始剤の種類、及びその配合量を調整することにより、得られる複合樹脂粒子は残留スチレンモノマーが少なく、発泡性、成形性に優れる(実施例1〜15参照)。また、これらの複合樹脂粒子を用いて得られる発泡複合樹脂成形体は、内部融着が良好で、曲げ弾性率が高く、さらに曲げ破断エネルギーも高い。そのため、上記発泡複合樹脂成形体は、へたりにくく、たわみ耐性に優れるとともに、変形による破壊を防止することができる。このような、発泡複合樹脂成形体は、液晶パネル、太陽光発電パネルなどの梱包容器に特に好適である。また、実施例1〜14のように、複合樹脂粒子を二酸化炭素などの無機ガスによって発泡させることもできるし、実施例15のように、複合樹脂粒子に炭化水素などの有機系物理発泡剤を含浸させて発泡性複合樹脂粒子を作製し、この発泡性複合樹脂粒子を発泡させることも可能である。
実施例1〜15の複合樹脂粒子が、上述のような優れた効果を奏する理由は次のように考えられる。すなわち、これらの実施例においては、重合開始剤として、相対的に水素引き抜き能が強いt−ブトキシ基を有する有機過酸化物Aと、相対的に水素引き抜き能が弱いt−ヘキシルオキシ基を有する有機過酸化物Bとを所定の割合で併用している。そのため、有機過酸化物Aによる残留スチレン系単量体の低減効果と、有機過酸化物Bによるエチレン系樹脂の架橋抑制効果とを発揮しつつ、核粒子内でのスチレン系単量体の重合を進行させることが可能になる。その結果、上述のように、残留スチレン系単量体を低減しつつ、複合樹脂粒子の発泡性、成形性を高めることができ、さらに内部融着が良好で、へたりにくく、たわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できる発泡複合樹脂成形体の製造を可能すると考えられる。
これに対し、重合開始剤として有機過酸化物Bを用いなかった比較例1、比較例8、及び比較例11の複合樹脂粒子は、残留スチレン系単量体の量が増大していた。また、有機過酸化物Bの添加量を減らすことにより、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量に対する有機過酸化物Aの配合量の比率RAが高くなった比較例4の複合樹脂粒子も、残留スチレン系単量体の量が増大していた。
また、有機過酸化物Bを用いずに、有機過酸化物Aを増量して作製した比較例2及び比較例12の複合樹脂粒子においては、残留スチレン系単量体量は減少するが、エチレン系樹脂の架橋密度が高くなりやすく、XYゲル量が高く、膨潤度が低すぎる。そのため、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こり易くなるという問題がある。
また、10時間半減期温度が低い有機過酸化物Bを用いた比較例3の複合樹脂粒子においては、残留スチレン系単量体の量が多くなるという問題がある。また、比較例3の複合樹脂粒子は、エチレン系樹脂の架橋密度が高くなりやすく、XYゲル量が高く、膨潤度が低すぎる。そのため、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こり易くなるという問題がある。
比較例5は、有機過酸化物Bの添加量を増やしたため、有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量に対する有機過酸化物Aの配合量の比率RAが低く、スチレン系単量体100質量部に対する有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量CTの割合が高くなった例である。比較例5の複合樹脂粒子においては、残留スチレン系単量体の量は減少するが、エチレン系樹脂の架橋密度が高くなりやすく、XYゲル量が高く、膨潤度が低すぎる。そのため、発泡複合樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こり易くなるという問題がある。
スチレン系単量体が少ない比較例6の複合樹脂粒子を用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、剛性が低下するため、圧縮強度が小さく、曲げ弾性率が低い。そのため、比較例6の発泡複合樹脂成形体は、撓みにより変形しやすく、たわみ耐性が不十分であるという問題がある。一方、スチレン系単量体が多い比較例7の複合樹脂粒子を用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、圧縮強度や曲げ弾性率は高くなるが、曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こりやすくなるという問題がある。
有機過酸化物Bとして、t−ヘキシルオキシ基を有していないt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを用いた比較例9の複合樹脂粒子においては、残留スチレン系単量体が増大していた。また、比較例9の複合樹脂粒子を用いて作製した発泡複合樹脂成形体は、圧縮強度や曲げ弾性率は高くなるが、曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こりやすくなるという問題がある。
比較例10は、有機過酸化物Aの添加量を減らすことにより、スチレン系単量体100質量部に対する有機過酸化物Aと有機過酸化物Bとの合計配合量CTの割合が低くなった例である。比較例10の複合樹脂粒子においては、残留スチレン系単量体の量が著しく増大していた。
実施例1と比較例1との対比から、有機化酸化物Aと有機化酸化物Bとを併用することによって残留スチレン系単量体量が91%減少したことがわかる。また、実施例12と比較例8との対比から、有機化酸化物Aと有機化酸化物Bとを併用することによって残留スチレン系単量体量が90%減少したことがわかる。

Claims (3)

  1. エチレン系樹脂を含む核粒子を水性媒体中に分散させる分散工程と、
    上記水性媒体中において、上記核粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて複合樹脂粒子を得る改質工程と、を有する複合樹脂粒子の製造方法において、
    上記核粒子に含まれる上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体の配合量が100〜1900質量部であり、
    上記スチレン系単量体の重合には、重合開始剤として、t−ブトキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Aと、t−ヘキシルオキシ基を有し、かつ10時間半減期温度が80〜120℃の有機過酸化物Bとを用い、
    上記スチレン系単量体100質量部に対する上記有機過酸化物Aと上記有機過酸化物Bとの合計配合量が0.4〜1.2質量部であり、上記有機過酸化物Aと上記有機過酸化物Bとの合計配合量に対する上記有機過酸化物Aの配合量の比率が30〜85質量%である、複合樹脂粒子の製造方法。
  2. 上記有機過酸化物Aの10時間半減期温度TAと、上記有機過酸化物Bの10時間半減期温度TBとの差(TB−TA)が±20℃以内である、請求項1に記載の複合樹脂粒子の製造方法。
  3. 上記核粒子に含まれる上記エチレン系樹脂100質量部に対する上記スチレン系単量体の配合量が400質量部を超えかつ1900質量部以下である、請求項1又は2に記載の複合樹脂粒子の製造方法。
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