JP2003059539A - 円筒型リチウムイオン電池 - Google Patents
円筒型リチウムイオン電池Info
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Abstract
ウムイオン電池を提供する。 【解決手段】 円筒形リチウムイオン電池20は、正極
集電体W1に正極活物質層W2が形成された正極と、負
極集電体W3に負極活物質層W4が形成された負極とが
セパレータW5を介して断面渦巻状に捲回された捲回群
Wを備えている。上蓋には、電池の内圧上昇に応じて開
裂する安全弁3が配設され、また、底部にも開放弁が配
設されている。電池缶16の直径をD(単位;mm)、
長さをL(単位;mm)としたとき、長さLに対する直
径Dの比D/Lを0.4〜0.6とした。電極捲回群W
を確実に支持して移動を防止し、過充電時に発生したガ
スを速やかに電池外に開放する。
Description
オン電池に関し、特に、所定圧で内圧を開放する内圧開
放機構を有する電池容器内に、正極活物質を含む正極活
物質層と正極集電体を有する帯状の正極と、負極活物質
に炭素材を用いた負極活物質層と負極集電体を有する帯
状の負極とをセパレータを介して軸芯を中心に30回以
上捲回した電極捲回群を備え、前記軸芯の両端が正極集
電部材及び負極集電部材に支持又は固定され電解液に浸
潤された円筒型リチウムイオン電池であって、実質放電
容量が略7Ah以上の円筒型リチウムイオン電池に関す
る。
ー密度であるメリットを活かして、主にVTRカメラや
ノートパソコン、携帯電話等のポータブル機器の電源に
使用されている。この電池の内部構造は、通常以下に示
されるような捲回式とされている。電極は、正極及び負
極共に活物質が金属箔に塗着された帯状であり、セパレ
ータを挟んでこれら両電極が直接接触しないように軸芯
を中心にして断面が渦巻状に捲回され、捲回群を形成し
ている。この捲回群が円筒状の電池缶に収納され、電解
液注液後、封口されている。電池缶内では、捲回群は軸
芯に支持又は固定されている。一般的な円筒型リチウム
イオン二次電池の外形寸法は直径18mm、高さ65m
mであり、18650型と呼ばれ、小型民生用リチウム
イオン電池として広く普及している。
対応すべく、排出ガスのない、動力源を完全に電池のみ
とした電気自動車の開発や内燃機関エンジンと電池との
両方を動力源とするハイブリッド(電気)自動車の開発
が加速され、一部実用段階に到達している。電気自動車
の電源となる二次電池には当然高出力、高エネルギーが
得られる特性が要求され、この要求を満足する二次電池
としてリチウムイオン電池が注目されている。
ムイオン二次電池とはいえ、電気自動車に使用する場合
の大電流放電、大電流充電に耐え得るためには、電極構
造のみならず、電極から電池端子への集電構造にも工夫
が必要となる。例えば、特開平第8−115744号公
報、特開平第9−55213号公報、特開平第9−92
238号公報、特開平第9−92241号公報、特開平
第9−92335号公報には、電極の集電体である金属
箔を活物質層から延出させ、そのまま、又は短冊状に加
工して集電リング等の接続部に溶接等により接続して、
一旦接続部を介して電池端子へと導くリード接続方式を
採用し、大電流放電、大電流充電時の電圧降下(iRド
ロップ)を低減させる技術が提案されている。これらの
公報にも開示されているように、大電流放電、大電流充
電時の電圧降下を低減させるためには、円筒型リチウム
イオン電池内にリード接続部を収納するためのスペース
が必要となる。
あたっては、電気自動車ユーザーの多様な要望に応える
ために、車体設計、特に電池のパッケージングに自由度
を持たせることが好ましい。そのためには、搭載電池の
占める空間体積を最小にする必要があり、その最も有効
な手段は電池の体積あたりのエネルギー密度(Wh/d
m3)を最大にすることである、といわれている。すな
わち、電気自動車に搭載される電池は、通常複数の単電
池が並列、直列に接続されてモジュールを形成している
が、単電池の体積あたりのエネルギー密度を大きくする
ことが、モジュールサイズの低減には効果的である。
ネルギー密度を大きくしても、電池の長さに対する直径
の比(直径/長さ)によっては、電極捲回群の軸芯への
保持力が低下するので、電気自動車に搭載した場合に加
わる振動により電池内部の捲回群の移動が起こり、電極
と接続部材とを電気的につなげるリードが切断する。ま
た、概ね7Ah以上の容量を有する電池においては、過
充電状態等の電池異常時に、大電流充電又は大電流放電
状態が維持され、非水電解液と活物質との化学反応によ
り電池容器内で急激かつ大量のガスが発生し、電池容器
の内圧を上昇させる。一般に、リチウム二次電池では、
この内圧上昇を防止するために、電池容器に所定圧で内
圧を開放する内圧開放機構を有しているが、電池の直径
/長さの比によって過充電時の電池挙動が異なり、内圧
が上昇するので、安全性が低下する。
かつ安全性が高い円筒型リチウムイオン電池を提供する
ことを課題とする。
決するために、所定圧で内圧を開放する内圧開放機構を
有する電池容器内に、正極活物質を含む正極活物質層と
正極集電体を有する帯状の正極と、負極活物質に炭素材
を用いた負極活物質層と負極集電体を有する帯状の負極
とをセパレータを介して軸芯を中心に30回以上捲回し
た電極捲回群を備え、前記軸芯の両端が正極集電部材及
び負極集電部材に支持又は固定され電解液に浸潤された
円筒型リチウムイオン電池であって、実質放電容量が略
7Ah以上の円筒型リチウムイオン電池において、前記
電池容器の直径をD(mm)とし、長さをL(mm)と
したとき、前記長さLに対する直径Dの比D/Lを0.
4乃至0.6としたものである。
確保するために正負両極がセパレータを介して軸芯を中
心に30回以上捲回された電極捲回群を有している。電
池缶内では、電極捲回群は軸芯に支持された状態とな
る。電極捲回群の長さに対して電極捲回群の直径が大き
いと、電池に振動が加わったときに軸芯が電極捲回群を
支持しきれなくなり電極捲回群が捲回位置から移動する
ので、電極と接続部材との電気的接続部が切断され電池
の機能を損なう。また、逆に電極捲回群の直径に対して
長さが大きいと、電池異常時に電池容器内で発生する急
激かつ大量のガスが電池内を移動し、内圧開放機構を通
じて電池外に開放されるまでに長時間を要するので、電
池の内圧が上昇して安全性が低下する。本発明によれ
ば、電池容器の直径をD(mm)とし、長さをL(m
m)としたとき、長さLに対する直径Dの比D/Lを
0.4乃至0.6とすることで、電極捲回群を確実に支
持して電極捲回群の移動を防止することができると共
に、過充電時に発生したガスを速やかに電池外に開放す
ることができるので、耐振性が高く、かつ安全性が高い
円筒型リチウムイオン電池を実現することができる。
マンガン複酸化物とすれば、電池異常時の電解液との反
応が穏やかなためガスの発生を低減することができるの
で、安全性を高めることができる。また、電池の長手方
向両端部に内圧開放機構を配設すれば、電池異常時に電
池内で発生したガスを電池の両端部から電池外に開放す
ることができるので、安全性を高めることができる。
照して本発明を適用した円筒型リチウムイオン電池の第
1の実施の形態について説明する。
に、本実施形態に係る円筒型リチウムイオン電池20
は、正極集電体W1の両面に正極活物質層W2が形成さ
れた帯状の正極と、負極集電体W3の両面に負極活物質
層W4が形成された帯状の負極とが帯状のセパレータW
5を介して巻き芯(軸芯)17を中心に断面渦巻状に捲
回された捲回群(電極捲回群)Wを備えている。
ウム箔である。正極活物質層W2は、正極活物質として
のリチウムコバルト複酸化物であるコバルト酸リチウム
又はリチウムマンガン複酸化物であるマンガン酸リチウ
ムと、導電助剤のグラファイト及びアセチレンブラック
(電気化学工業(株)製、商品名デンカブラック)と、
バインダー(結着剤)のポリフッ化ビニリデン(PVD
F)と、電解液と、を構成物質としている。負極集電体
W3は厚さ10μmの銅箔である。負極活物質層W4
は、リチウムイオンを電極反応種とし充電、放電に伴い
リチウムイオンを吸蔵、放出する負極活物質の非晶質炭
素又は黒鉛炭素と、導電材の気相成長炭素繊維(昭和電
工(株)製、商品名VGCF)(以下、CFと略記す
る。)と、バインダーのPVDFと、電解液と、を構成
物質としている。
ン酸リチウム(平均粒径約10〜20μm)又はコバル
ト酸リチウム(平均粒径約10〜20μm)と、グラフ
ァイト(平均粒径約5μm)及びアセチレンブラック
と、PVDFとを85:8:2:5の質量比で混合し、
そこへ分散溶媒となるN−メチル−2−ピロリドン(N
MP)を適量加え、十分に混練、分散させ、スラリー状
にする。この混練物をロールからロールへの転写(ロー
ル・ツー・ロール転写)で正極集電体W1の両面が実質
上均等かつ同じ厚さに塗着し、乾燥させた後、プレスに
より正極厚さTPが正極集電体を含めて231±2μm
又は103±2μmとなるまで圧縮し、正極活物質層W
2を得る。正極活物質層W2の密度は2.65g/cm
3である。ただし、この段階では電解液を含んではいな
い。正極活物質層W2を作製した後、後述する所定の幅
WP、所定の長さLPに裁断して帯状の正極を得た。
平均粒径5〜20μmの非晶質炭素(呉羽化学工業
(株)製、商品名カーボトロン)又はメソフェーズ系球
状黒鉛(川崎製鉄(株)製、商品名KMFC)と、CF
と、PVDFとを87.6:4.8:7.6の質量比で
混合し、そこへ分散溶媒となるNMPを適量加え、十分
に混練、分散させ、スラリー状にする。この混練物をロ
ール・ツー・ロール転写で負極集電体W3の両面が実質
上均等かつ同じ厚さに塗着し、乾燥させた後、プレスに
より負極厚さTNが負極集電体を含めて73〜201±
2μmとなるまで圧縮し、負極活物質層W4を得る。負
極活物質層W4の密度は0.98g/cm3又は1.4
g/cm3である。この密度は、負極活物質層W4中の
空隙率(負極活物質層W4全体に対する電解液が充填さ
れる空孔の割合)が約35%となるように決定した。た
だし、この段階では電解液を含んではいない。負極活物
質層W4を作製した後、後述する所定の幅WN、所定の
長さLNに裁断して帯状の負極を得た。なお、幅W
Nは、正負極を捲回したときに正極活物質層W2が負極
活物質層W4からはみ出さないように、幅WPに対して
6mm大きくし、かつ、長さLNは長さLPに対して1
8cm大きくした。また、負極がセパレータからはみ出
すことがないように、セパレータの幅は幅WNに対して
6mm大きくした。
囲に、正極、負極の間に厚さTSが40μmの微多孔性
のポリエチレン製セパレータW5を介して捲回数NWで
捲回して直径DWの捲回群Wを得た。捲回群Wの両端に
正極集電リング10、負極集電リング11を配置し、各
集電リング周縁にはそれぞれ正極集電体W1、負極集電
体W3を溶接した。正極集電リング10、負極集電リン
グ11はそれぞれ正極集電リング支え8、負極集電リン
グ支え9を介して巻き芯17の端部に固定してある。こ
の集電リング付き捲回群Wを、負極集電リング11側が
缶底側になるように電池缶(電池容器)16に挿入し、
そして負極集電リング11に予め溶接させておいた負極
リード板14を電池缶16に溶接する。その際、負極集
電リング11と電池缶16との間に、捲回群Wを固定す
るために負極集電リングスペーサ7を配置する。また、
正極集電リング10上面には、正極リード板B13の一
端を予め溶接し他端を自由端としておく。
全弁3、弁押さえ4、で構成された上蓋を別途作製し、
上蓋ケース2には、正極リード板A12の一端を溶接に
よって取り付け他端を自由端としておく。
を固定するための正極集電リングスペーサ6を配置す
る。正極リード板A12及び正極リード板B13の自由
端同士を溶接し、上蓋と集電リング付き捲回群Wとを接
続する。この状態で電解液0.180dm3を電池缶1
6内に注入する。その後、絶縁性のガスケット5を介し
て上蓋を電池缶16上部に配置し、かしめることによっ
て、定格容量27Ah又は7Ahの円筒型リチウムイオ
ン電池20を組み立てた。なお、電解液は、エチレンカ
ーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)
とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比30:5
0:20で混合した混合溶媒に、6フッ化リン酸リチウ
ム(LiPF6)を1モル濃度で溶解したものを用い
た。また、図1中参照番号15は正極側と負極側とを絶
縁する絶縁フィルムである。
は、電池の内圧上昇に応じて開裂する内圧開放機構とし
ての安全弁3が配設されており、安全弁3の開裂圧は約
9×105Paに設定されている。また、電池缶16の
底部にも開放弁が配設されている。図2に示すように、
開放弁25は、電池缶16の底部に形成された2個の円
弧状溝25aと、円弧状溝25aの両端部及び略中央部
に底部の中心から外周に向かって放射状に形成された放
射状溝25bとで構成されている。
チウムイオン電池20は、電池缶16の平均外径をD
(以下、直径Dという。)(単位;mm)、長さをL
(以下、長さLという。)(単位;mm)としたとき、
長さLに対する直径Dの比D/Lを後述する所定の範囲
とした。また、正極側、負極側共に捲回群Wと各極端子
とを接続する接続部材が設けられている。この接続のた
めに必要なスペースの大きさは、捲回群Wの上端から正
極端子上面までの長さをA(mm)とし、捲回群Wの下
端から電池底面までの長さをB(mm)としたとき、
A、Bあわせて35mmに設定されている(図1のA+
B=35mm)。電池の長さLから35mmを減じた長
さが捲回群Wの長さ、すなわちセパレータW5の幅に相
当する。なお、電池缶16の厚さは0.5mmであり、
また、捲回群Wを電池缶16内に収容しやすくするた
め、電解液注入前の捲回群Wの直径は電池缶16の内径
より小さく設定し、捲回群Wと電池缶16との間に両側
あわせて捲回群Wの直径の3%に相当する隙間を形成し
た。
円筒形リチウムイオン電池の第2の実施の形態について
説明する。
正極集電体W1の材質及び厚さ、正極活物質層W2の構
成物質及び作製方法、負極集電体W3の材質及び厚さ、
負極活物質層W4の構成物質及び作製方法、並びにセパ
レータW5の材質及び厚さは第1実施形態と同様にし
た。但し、正負両極共に活物質を集電体に塗布するとき
に集電体長寸方向の一方の側縁に幅50mmの未塗布部
を残して正負両極を作製し、この未塗布部に切り欠きを
入れ、切り欠き残部をリード片109とした。隣り合う
リード片109は50mm間隔とし、リード片109の
幅は10mmとした。
形態に係る円筒形リチウムイオン電池120は、第1実
施形態と同様、正極集電体W1の両面に正極活物質層W
2が形成された帯状の正極と、負極集電体W3の両面に
負極活物質層W4が形成された帯状の負極とを、これら
が直接接触しないように帯状のセパレータW5を挟んで
断面渦巻状に捲回された捲回群W’を備えている。捲回
群W’は、正極のリード片109と負極のリード片10
9とが、それぞれ捲回群W’の互いに反対側の両端面に
位置するように捲回されている。
変形させ、その全てを、捲回群W’の軸芯117のほぼ
延長線上にある極柱(正極外部端子101)周囲から一
体に張り出している鍔部107周面付近に集合、接触さ
せる。リード片109と鍔部107周面とを超音波溶接
してリード片109を鍔部107周面に接続し固定す
る。
ているリード片109との接続操作も、上述した正極外
部端子101と正極から導出されているリード片109
との接続操作と同様に行う。
端子101’の鍔部107周面全周に絶縁被覆108を
施す。この絶縁被覆108は、捲回群W’外周面全周に
も及ぼす。絶縁被覆108には、基材がポリイミドで、
その片面にヘキサメタアクリレートからなる粘着剤を塗
布した粘着テープを用いた。この粘着テープを鍔部10
7周面から捲回群W’外周面に亘って何重にも巻いて絶
縁被覆108とする。捲回群W’の最大径部が絶縁被覆
108存在部となるように巻き数を調整し、該最大径を
ステンレス製の電池容器116内径よりも僅かに小さく
して捲回群W’を電池容器116内に挿入する。電池容
器116の厚さは0.5mmであり、捲回群W’と電池
容器116との間の隙間は両側あわせて捲回群W’の直
径の3%に相当する。
接する部分の厚さ2mm、内径16mm、外径25mm
の第2のセラミックワッシャ103’を、図3に示すよ
うに先端が正極外部端子101を構成する極柱、先端が
負極外部端子101’を構成する極柱にそれぞれ嵌め込
む。また、第1のセラミックワッシャ103を電池蓋1
04に載置し、正極外部端子101、負極外部端子10
1’をそれぞれ第1のセラミックワッシャ103に通
す。その後円盤状電池蓋104周端面を電池容器116
の開口部に嵌合し、双方の接触部全域をレーザ溶接す
る。このとき正極外部端子101、負極外部端子10
1’は、電池蓋104の中心にある穴を貫通して電池蓋
104外部に突出している。そして図3に示すように、
アルミナ製で厚さ2mm、内径16mm、外径28mm
の平状の第1のセラミックワッシャ103、ナット10
2底面よりも平滑な金属ワッシャ111を、この順に正
極外部端子101、負極外部端子101’にそれぞれ嵌
め込む。電池蓋104には、正極側、負極側共に、電池
の内圧上昇に応じて開裂する開裂弁110が配設されて
いる。なお、開裂弁110の開裂圧は1.3〜1.8M
Paに設定した。
子101、負極外部端子101’にそれぞれ螺着し、第
2のセラミックワッシャ103’、第1のセラミックワ
ッシャ103、金属ワッシャ111を介して電池蓋10
4を鍔部107とナット102間で締め付けて固定す
る。このときの締め付けトルク値は70kgf・cm
(6.86N・m)とした。なお、締め付け作業が終了
するまで金属ワッシャ111は回転しなかった。この状
態では、電池蓋104裏面と鍔部107の間に介在させ
たゴム(EPDM)製Oリング112の圧縮により電池
容器116内部の発電要素は外気から遮断されている。
113から電解液を所定量電池容器116内に注入し、
その後注液口113を封止することにより円筒形リチウ
ムイオン電池120を完成させた。なお、円筒形リチウ
ムイオン電池120は、電池容器116の内圧の上昇に
応じて電流を遮断する電流遮断機構は有していない。ま
た、電解液には、ECとDMCとDECの体積比1:
1:1の混合溶媒中へ6フッ化リン酸リチウム(LiP
F6)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
チウムイオン電池120は、電池容器116の平均外径
をD(以下、直径Dという。)(単位;mm)、正極側
電池蓋の外表面から負極側電池蓋の外表面までの長さを
L(以下、長さLという。)(単位;mm)としたと
き、長さLに対する直径Dの比D/Lを後述する所定の
範囲とした。また、正極側、負極側共に捲回群W‘と各
極端子とを接続する接続部材が設けられている。この接
続のために必要なスペースの大きさは、捲回群W’の正
極側端部から正極側電池蓋104の表面までの長さをA
(mm)とし、捲回群W’の負極側端部から負極側電池
蓋104の表面までの長さをB(mm)としたとき、
A、Bあわせて35mmに設定されている(図3のA+
B=35mm)。電池の長さLから35mmを減じた長
さが捲回群W’の長さ、すなわちセパレータの幅に相当
する。
リチウムイオン電池20、120の実施例の詳細につい
て説明する。また、本実施例の効果が明確となるように
同時に作製した比較例の電池についても併記する。
1では、第1実施形態に従い、次の正極、負極を組み合
わせた円筒型リチウム二次電池20を作製した。正極
は、正極活物質に平均粒径約10μmのコバルト酸リチ
ウム(日本化学工業(株)製、商品名セルシード)を用
い、幅WPを106mm、長さLPを450cm、集電
体を含めた厚さTPを231μmとした。負極は、負極
活物質に平均粒径約20μmの非晶質炭素(呉羽化学工
業(株)製、商品名カーボトロン)を用い、幅WNを1
12mm、長さLNを468cm、集電体を含めた厚さ
TNを201μmとした。巻き芯はポリプロピレン製で
直径DSが13mmのものを用いた。捲回数NWは約4
2回とし、捲回群の直径DWは56.8mmであった。
電池缶は、直径Dが61.2mm、長さLが153mm
であり、比D/Lは0.4であった。電池缶の厚さは
0.5mmのため、電池缶の内径DIは60.2mmで
あった。従って、捲回群と電池缶との隙間は1.7mm
であり、この隙間は捲回群の直径DWの約3%に相当す
る。また、実施例1で用いた電池は底部に開放弁を有し
ていない。なお、表1において、正極の活物質について
は、Coはコバルト酸リチウムを、Mnはマンガン酸リ
チウムを、それぞれ示し、負極の活物質については、A
Cは非晶質炭素を、Gは黒鉛を、それぞれ示す。
施例1−2では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に
開放弁を配設する以外は実施例1と同様にした。
2では、第1実施形態に従い、幅WPを87mm、長さ
LPを550cm、幅WNを93mm、長さLNを56
8cm、捲回数N Wを約47回、捲回群直径DWを6
2.3mm、電池缶の直径Dを67.0mm、電池缶の
長さLを134mmとする以外は実施例1と同様にし
た。比D/Lは0.5であった。電池缶の内径DIは6
6.0mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.85mm
であった。
3では、第1実施形態に従い、幅WPを74mm、長さ
LPを654cm、幅WNを80mm、長さLNを67
2cm、捲回数N Wを約52回、捲回群直径DWを6
7.5mm、電池缶の直径Dを72.6mm、電池缶の
長さLを121mmとする以外は実施例1と同様にし
た。比D/Lは0.6であった。電池缶の内径DIは7
1.6mmで、捲回群と電池缶との隙間は2.05mm
であった。
では、第1実施形態に従い、正極活物質に平均粒径約1
5μmのマンガン酸リチウムを用い、幅WPを112m
m、長さLPを541cmとし、負極活物質に平均粒径
約15μmのメソフェーズ系球状黒鉛(川崎製鉄(株)
製、商品名KMFC)を用い、幅WNを118mm、長
さLNを559cm、集電体を含めた厚さTNを154
μmとし、捲回数NWを約48回、捲回群直径DWを5
9.0mm、電池缶の直径Dを63.6mm、長さLを
159mmとする以外は実施例1と同様にした。比D/
Lは0.4であった。電池缶の内径DIは62.6mm
で、捲回群と電池缶との隙間は1.8mmであった。
例4−2では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開
放弁を配設する以外は実施例4と同様にした。
では、第1実施形態に従い、幅WPを92mm、長さL
Pを658cm、幅WNを98mm、長さLNを676
cm、捲回数NWを約54回、捲回群直径DWを64.
7mm、電池缶の直径Dを69.5mm、電池缶の長さ
Lを139mmとする以外は実施例4と同様にした。比
D/Lは0.5であった。電池缶の内径DIは68.5
mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.9mmであっ
た。
では、第1実施形態に従い、幅WPを78mm、長さL
Pを775cm、幅WNを84mm、長さLNを793
cm、捲回数NWを約60回、捲回群直径DWを69.
8mm、電池缶の直径Dを75.0mm、電池缶の長さ
Lを125mmとする以外は実施例4と同様にした。比
D/Lは0.6であった。電池缶の内径DIは74.0
mmで、捲回群と電池缶との隙間は2.1mmであっ
た。
では、第1実施形態に従い、幅WPを115.5mm、
長さLPを583cmとし、負極活物質に平均粒径約2
0μmの非晶質炭素を用い、幅WNを121.5mm、
長さLNを601cm、集電体を含めた厚さTNを14
2μmとし、捲回数NWを約51回、捲回群直径DWを
60.4mm、電池缶の直径Dを65.0mm、長さL
を162.5mmとする以外は実施例4と同様にした。
比D/Lは0.4であった。電池缶の内径DIは64.
0mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.8mmであっ
た。
例7−2では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開
放弁を配設する以外は実施例7と同様にした。
では、第1実施形態に従い、幅WPを95mm、長さL
Pを708cm、幅WNを101mm、長さLNを72
6cm、捲回数N Wを約57回、捲回群直径DWを6
6.1mm、電池缶の直径Dを71.0mm、電池缶の
長さLを142mmとする以外は実施例7と同様にし
た。比D/Lは0.5であった。電池缶の内径DIは7
0.0mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.95mm
であった。
では、第1実施形態に従い、幅WPを81mm、長さL
Pを837cm、幅WNを87mm、長さLNを855
cm、捲回数NWを約63回、捲回群直径DWを71.
5mm、電池缶直の径Dを76.8mm、電池缶の長さ
Lを128mmとする以外は実施例7と同様にした。比
D/Lは0.6であった。電池缶の内径DIは75.8
mmで、捲回群と電池缶との隙間は2.15mmであっ
た。
10では、第1実施形態に従い、幅WPを77.5m
m、長さLPを598cm、集電体を含めた厚さTPを
103μmとし、負極活物質に平均粒径約5μmの非晶
質炭素を用い、幅WNを83.5mm、長さL Nを61
6cm、集電体を含めた厚さTNを73μmとし、軸芯
の直径DSは10mmのものを用い、捲回数NWを約7
0回、捲回群直径DWを46.0mm、電池缶の直径D
を49.8mm、長さLを124.5mmとする以外は
実施例4と同様にした。比D/Lは0.4であった。電
池缶の内径DIは48.8mmで、捲回群と電池缶との
隙間は1.4mmであった。
施例10−2では、第1実施形態に従い、電池缶の底部
に開放弁を配設する以外は実施例10と同様にした。
11では、第1実施形態に従い、幅WPを62.5m
m、長さLPを736cm、幅WNを68.5mm、長
さLNを754cm、捲回数NWを約79回、捲回群直
径DWを50.7mm、電池缶の直径Dを54.7m
m、電池缶の長さLを109.5mmとする以外は実施
例10と同様にした。比D/Lは0.5であった。電池
缶の内径DIは53.7mmで、捲回群と電池缶との隙
間は1.5mmであった。
12では、第1実施形態に従い、幅WPを52mm、長
さLPを880cm、幅WNを58mm、長さLNを8
98cm、捲回数N Wを約88回、捲回群直径DWを5
5.1mm、電池缶の直径Dを59.4mm、電池缶の
長さLを99mmとする以外は実施例10と同様にし
た。比D/Lは0.6であった。電池缶の内径DIは5
8.4mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.65mm
であった。
13では、第2実施形態に従い、次の正極、負極を組み
合わせた円筒型リチウム二次電池120を作製した。正
極は、正極活物質に平均粒径約15μmのマンガン酸リ
チウムを用い、幅WPを112mm、長さL Pを541
cmとし、集電体を含めた厚さTPを231μmとし
た。負極は、負極活物質に平均粒径約15μmのメソフ
ェーズ系球状黒鉛を用い、幅WNを118mm、長さL
Nを559cm、集電体を含めた厚さTNを154μm
とした。軸芯はポリプロピレン製で直径DSが13mm
のものを用いた。捲回数NWを約48回、捲回群直径D
Wを59.0mm、電池缶の直径Dを63.6mm、長
さLを159mmとした。比D/Lは0.4であった。
電池缶の厚さは0.5mmのため、電池缶の内径DIは
62.6mmであった。従って、捲回群と電池缶との隙
間は1.8mmであり、この隙間は捲回群の直径DWの
約3%に相当する。また、実施例13の電池では電池容
器の両端に開放弁を有している。
14では、第2実施形態に従い、幅WPを92mm、長
さLPを658cm、幅WNを98mm、長さLNを6
76cm、捲回数N Wを約54回、捲回群直径DWを6
4.7mm、電池缶の直径Dを69.5mm、長さLを
139mmとする以外は実施例13と同様にした。比D
/Lは0.5であった。電池缶の内径DIは68.5m
mで、捲回群と電池缶との隙間は1.9mmであった。
15では、第2実施形態に従い、幅WPを78mm、長
さLPを775cm、幅WNを84mm、長さLNを7
93cm、捲回数N Wを約60回、捲回群直径DWを6
9.8mm、電池缶の直径Dを75.0mm、長さLを
125mmとする以外は実施例13と同様にした。比D
/Lは0.6であった。電池缶の内径DIは74.0m
mで、捲回群と電池缶との隙間は2.1mmであった。
1では、第1実施形態に従い、幅WPを119mm、長
さLPを400cm、幅WNを125mm、長さLNを
418cm、捲回数NWを約39回、捲回群直径DWを
53.9mm、電池缶の直径Dを58.1mm、電池缶
の長さLを166mmとする以外は実施例1と同様にし
た。比D/Lは0.35であった。電池缶の内径DIは
57.1mmで、捲回群と電池缶との隙間は1.6mm
であった。
2では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開放弁を
配設する以外は比較例1と同様にした。
3では、第1実施形態に従い、幅WPを68mm、長さ
LPを696cm、幅WNを74mm、長さLNを71
4cm、捲回数N Wを約54回、捲回群直径DWを6
9.5mm、電池缶の直径Dを74.7mm、電池缶の
長さLを115mmとする以外は比較例1と同様にし
た。比D/Lは0.65であった。電池缶の内径DIは
73.7mmで、捲回群と電池缶との隙間は2.1mm
であった。
では、第1実施形態に従い、正極活物質に平均粒径約1
5μmのマンガン酸リチウムを用い、幅WPを125.
5mm、長さLPを482cmとし、負極活物質に平均
粒径約15μmのメソフェーズ系球状黒鉛を用い、幅W
Nを131.5mm、長さLNを500cm、集電体を
含めた厚さTNを154μmとし、捲回数NWを約45
回、捲回群直径DWを56.0mm、電池缶の直径Dを
60.4mm、長さLを172.5mmとする以外は比
較例1と同様にした。比D/Lは0.35であった。電
池缶の内径DIは59.4mmで、捲回群と電池缶との
隙間は1.7mmであった。
では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開放弁を配
設する以外は比較例4と同様にした。
では、第1実施形態に従い、幅WPを72.5mm、長
さLPを836cm、幅WNを78.5mm、長さLN
を854cm、捲回数NWを約63回、捲回群直径DW
を72.3mm、電池缶の直径Dを77.7mm、長さ
Lを119.5mmとする以外は比較例4と同様にし
た。比D/Lは0.65であった。電池缶の内径DIは
76.7mmで、捲回群と電池缶との隙間は2.2mm
であった。
では、第1実施形態に従い、幅WPを129mm、長さ
LPを518cmとし、負極活物質に平均粒径約20μ
mの非晶質炭素を用い、幅WNを135mm、長さLN
を536cm、集電体を含めた厚さTNを142μmと
し、捲回数NWを約48回、捲回群直径DWを57.2
mm、電池缶の直径Dを61.6mm、長さLを176
mmとする以外は比較例4と同様にした。比D/Lは
0.35であった。電池缶の内径DIは60.6mm
で、捲回群と電池缶との隙間は1.7mmであった。
では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開放弁を配
設する以外は比較例7と同様にした。
では、第1実施形態に従い、幅WPを75mm、長さL
Pを897cm、幅WNを81mm、長さLNを915
cm、捲回数NWを約66回、捲回群直径DWを73.
9mm、電池缶の直径Dを79.3mm、長さLを12
2mmとする以外は比較例7と同様にした。比D/Lは
0.65であった。電池缶の内径DIは78.3mm
で、捲回群と電池缶との隙間は2.2mmであった。
10では、第1実施形態に従い、幅WPを87mm、長
さLPを523cm、集電体を含めた厚さTPを103
μmとし、負極活物質に平均粒径約5μmの非晶質炭素
を用い、幅WNを93mm、長さLNを541cm、集
電体を含めた厚さTNを73μmとし、捲回数NWを約
65回、捲回群直径DWを43.3mm、電池缶の直径
Dを46.9mm、長さLを134mmとする以外は比
較例4と同様にした。比D/Lは0.35であった。電
池缶の内径DIは45.9mmで、捲回群と電池缶との
隙間は1.3mmであった。
11では、第1実施形態に従い、電池缶の底部に開放弁
を配設する以外は比較例10と同様にした。
12では、第1実施形態に従い、幅WPを48mm、長
さLPを955cm、幅WNを54mm、長さLNを9
73cm、捲回数N Wを約92回、捲回群直径DWを5
7.3mm、電池缶の直径Dを61.8mm、長さLを
95mmとする以外は比較例10と同様にした。比D/
Lは0.65であった。電池缶の内径DIは60.8m
mで、捲回群と電池缶との隙間は1.75mmであっ
た。
13では、第2実施形態に従い、幅WPを125.5m
m、長さLPを482cm、幅WNを131.5mm、
長さLNを500cm、捲回数NWを約45回、捲回群
直径DWを56.0mm、電池缶の直径Dを60.4m
m、長さLを172.5mmとする以外は実施例13と
同様にした。比D/Lは0.35であった。電池缶の内
径DIは59.4mmで、捲回群と電池缶との隙間は
1.7mmであった。
14では、第2実施形態に従い、幅WPを72.5m
m、長さLPを836cm、幅WNを78.5mm、長
さLNを854cm、捲回数NWを約63回、捲回群直
径DWを72.3mm、電池缶の直径Dを77.7m
m、長さLを119.5mmとする以外は比較例13と
同様にした。比D/Lは0.65であった。電池缶の内
径DIは76.7mmで、捲回群と電池缶との隙間は
2.2mmであった。
した実施例及び比較例の電池を25±2°Cの雰囲気温
度にて、次の条件で充電し、満充電状態にして以下の測
定1〜3の測定を行った。 (充電条件) 実施例1〜9;4.2V定電圧、制限電流27A、3.
5時間 実施例10〜12;4.2V定電圧、制限電流7A、
3.5時間 実施例13〜15;4.2V定電圧、制限電流27A、
3.5時間 比較例1〜9;4.2V定電圧、制限電流27A、3.
5時間 比較例10〜12;4.2V定電圧、制限電流7A、
3.5時間 比較例13〜14;4.2V定電圧、制限電流27A、
3.5時間
〜9、実施例13〜15、比較例1〜9及び比較例13
〜14の電池は9A定電流、放電終止電圧2.7V、2
5±2°Cで放電し、実施例10〜12及び比較例10
〜12の電池は3A定電流、放電終止電圧2.7V、2
5±2°Cで放電し、放電容量を確認した。また、各電
池の大きさから電池の容積を求め、エネルギー密度を算
出した。
〜9、実施例13〜15、比較例1〜9及び比較例13
〜14の電池は27A定電流、25±2°Cで、実施例
10〜12及び比較例10〜12は7A定電流、25±
2°Cでそれぞれ連続充電し、最終的な電池の状況を観
察し、過充電後外観とした。
30±3°Cにて、電池の長さ方向(軸芯の長さ方向)
に、振幅1mm、振動数10Hzで6時間、50Hzで
6時間、100Hzで6時間、振動を加える振動試験を
行った。各振動数で振動を加えた後、電池を解体し、電
極捲回群の移動とリードの切断の有無を目視にて観察し
た。
に示す。
定結果では、第1実施形態の実施例1〜9及び比較例1
〜9の電池、並びに第2実施形態の実施例13〜15及
び比較例13〜14の電池は約27Ah、第1実施形態
の実施例10〜12及び比較例10〜12の電池は約7
Ahであり、ほぼ定格容量どおりの放電容量が得られ、
高いエネルギー密度が得られた。
0.6の範囲とした実施例1〜15の電池は、一部で電
池缶の膨れが見られたものの、ほぼ外観を維持してい
た。これに対して、比D/Lが0.4を下回る比較例
1、2、4、5、7、8、10、11の第1実施形態の
電池は、電池缶底部の開放弁の有無にかかわらず、かし
め部から上蓋が外れた。また、比較例13の第2実施形
態の電池は、電池容器の膨れが見られた。特に、正極活
物質にコバルト酸リチウムを用いた比較例1、2の電池
では、電池缶開口部から側面部にかけての破開も見られ
た。なお、全ての電池において、上蓋部の安全弁、底部
の開放弁は全て開裂していた。
電圧が上昇して電解液の分解、ガス化が起こり、更に分
解が進むと発熱を伴い、セパレータが収縮して正極、負
極が接触する、いわゆる内部短絡が起こる。そうなる
と、短絡電流によってさらに温度が上昇し、電解液のガ
ス化が急激になり、電池の内圧が急上昇する。即座に上
蓋の安全弁及び底部の開放弁が開裂し、内圧を電池外へ
開放することとなる。捲回群内部で発生したガスは、捲
回群の両端方向、すなわち上蓋部の安全弁、底部の開放
弁の方向へ移動する。しかし、比D/Lが0.4を下回
る電池においては、捲回群両端までの長さが大きく、特
にガスが急発生した場合には電池缶を膨らませたり、ま
たそのガス塊が、一気に開放弁を通過しようとしたとき
には、上蓋をかしめ部から外してしまうほどの勢いを持
つものと思われる。従って、不慮の事態として、電池が
過充電などの異常状態に陥った場合の安全性を確保する
には比D/Lを0.4以上とすることが好ましいことが
判明した。
非晶質炭素を用い、底部に開放弁を有する実施例1−2
の電池では電池缶の膨れが観察されているのに対して、
正極にマンガン酸リチウムを用いた同様な実施例7−2
の電池では、底部の開放弁が開裂している以外の外観の
異常は認められなかった。従って正極活物質には、マン
ガン酸リチウムに代表されるリチウムマンガン複酸化物
を用いることが好ましいことがわかった。また、底部に
開放弁を有していない実施例4、7、10の電池では、
電池缶の膨れが見られたのに対して、同じ仕様で底部に
開放弁を有している実施例4−2、7−2、10−2の
電池では、底部の開放弁が開裂している以外の外観の異
常は認められなかった。従って、底部に開放弁を配設す
る、すなわち、電池の長手方向両端部に内圧開放弁を有
する電池は安全性に優れることが明らかとなった。
は、振動試験後の異常は認められなかった。これに対し
て、比D/Lが0.6を超える比較例3、6、9、12
の第1実施形態の電池及び比較例14の第2実施形態の
電池は、捲回群が軸芯の長さ方向の一方へ移動してお
り、それによって、電極から導出されているリードが切
断されていた。比D/Lが大きい、つまり、長さLに対
して直径Dが大きいと、軸芯と近接接触する電極の面積
が小さくなり、捲回群を保持しきれなくなったものと思
われる。従って、比D/Lは0.6以下とすることが好
ましいことが判明した。
チウムイオン電池20、120では、電池構造にかかわ
らず、電池容器の長さLに対する直径Dの比D/Lを
0.4〜0.6としたことにより、電極捲回群W、W’
を確実に支持して移動を防止することができ、過充電時
に発生したガスを速やかに電池外に開放することができ
た。従って、耐振性が高く、かつ安全性が高い円筒型リ
チウムイオン電池を実現することができた。また、正極
活物質をリチウムマンガン複酸化物としたことで、過充
電時のガスの発生を低減することができ、安全性を高め
ることができた。更に、電池の長手方向両端部に開放弁
を配設したことで、過充電時に電池内で発生したガスを
電池の両端部から電池外に開放することができ、安全性
を高めることができた。
径D及び高さLに限定されるものではなく、正極活物質
の種類、正極合剤中の導電剤、負極活物質中の炭素材の
種類や製造方法に特に限定されるものでもない。また、
実施例、比較例の状況から明らかなように、本発明は特
に電池容量7Ah以上、捲回数30回以上の電池におい
て顕著に作用し、軸芯の直径、電極の厚さに限定される
ものではない。更に、上記実施形態では、軸芯の周囲に
電極を捲回して捲回群を作製したが、電極を捲回した後
に捲回した電極の中心部に軸芯を挿入して捲回群として
もよい。
るリチウムイオン電池用正極活物質としては、リチウム
を挿入・脱離可能な材料であり、予め十分な量のリチウ
ムを挿入したリチウムマンガン複酸化物が好ましく、ス
ピネル構造を有したマンガン酸リチウムや、結晶中のマ
ンガンやリチウムの一部をそれら以外の元素で置換ある
いはドープした材料を使用するようにしてもよい。例え
ばリチウムマンガン複酸化物のLi/Mn比が0.5を
超えるものとしたり、リチウムマンガン複酸化物を、L
i1+xMn2−x−yMyO4(ここで、0<x<
0.1、0<y<0.3、Mは、Al、Cr、Ni、C
o、Mg、の群より選ばれる少なくとも1種以上の元素
である。)であらわされるものとしてもよい。一般に、
マンガン酸リチウムは、適当なリチウム塩と酸化マンガ
ンとを混合、焼成して合成することができるが、リチウ
ム塩と酸化マンガンの仕込み比を制御することによって
所望のLi/Mn比とすることができる。
電極捲回群を確実に支持して電極捲回群の移動を防止す
ることができると共に、過充電時に発生したガスを速や
かに電池外に開放することができるので、耐振性が高
く、かつ安全性が高い円筒型リチウムイオン電池を実現
することができる、という効果を得ることができる。
ウムイオン電池の断面図である。
池缶の底面図である。
ウムイオン電池の断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 所定圧で内圧を開放する内圧開放機構を
有する電池容器内に、正極活物質を含む正極活物質層と
正極集電体を有する帯状の正極と、負極活物質に炭素材
を用いた負極活物質層と負極集電体を有する帯状の負極
とをセパレータを介して軸芯を中心に30回以上捲回し
た電極捲回群を備え、前記軸芯の両端が正極集電部材及
び負極集電部材に支持又は固定され電解液に浸潤された
円筒型リチウムイオン電池であって、実質放電容量が略
7Ah以上の円筒型リチウムイオン電池において、前記
電池容器の直径をD(mm)とし、長さをL(mm)と
したときに、前記長さLに対する直径Dの比D/Lが
0.4乃至0.6であることを特徴とする円筒型リチウ
ムイオン電池。 - 【請求項2】 前記正極活物質はリチウムマンガン複酸
化物であることを特徴とする請求項1に記載の円筒型リ
チウムイオン電池。 - 【請求項3】 前記円筒型リチウムイオン電池は、前記
内圧開放機構を該電池の長手方向両端部に有することを
特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒型リチウ
ムイオン電池。
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