JP2003025194A - 棒状工作物のセンタレス研削方法およびセンタレス研削装置 - Google Patents

棒状工作物のセンタレス研削方法およびセンタレス研削装置

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JP2003025194A JP2001217101A JP2001217101A JP2003025194A JP 2003025194 A JP2003025194 A JP 2003025194A JP 2001217101 A JP2001217101 A JP 2001217101A JP 2001217101 A JP2001217101 A JP 2001217101A JP 2003025194 A JP2003025194 A JP 2003025194A
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grinding
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裕久 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 棒状ワークの先端軸部を、高い同軸度と円筒
度を確保しつつ、極小径の場合でも研削が可能で、生産
効率の高いセンタレス研削技術を提供する。 【解決手段】 ワークWの基軸部Waを加圧ローラ4に
より調整車2に押し付け支持することにより、ワークW
を強制回転させながら、ワークWを押し棒5により軸方
向へ送ることにより、ワークWの先端軸部Wbを砥石車
1により研削加工する。これにより、ワークWの先端軸
部Wbの径寸法が極小であっても、ワークWの研削長手
方向を正確に制御することができ、かつワークWの先端
軸部Wbが基軸部Waの外径を基準として研削される結
果、ワークWの軸心のブレが少なく、高い同軸度と円筒
度が確保されつつ、短時間で段付きワークWに研削加工
が施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、棒状工作物のセ
ンタレス研削方法およびセンタレス研削装置に関し、さ
らに詳細には、棒状工作物の先端軸部を研削加工するセ
ンタレス研削技術に関する。
【0002】
【従来の技術】棒状の工作物(以下ワークと称する。)
の先端軸部を段付き形状に加工する方法としてインフィ
ード研削方式によるセンタレス研削が好適に実施されて
いる。
【0003】この種のセンタレス研削方法としては、例
えば図9〜図11に示すように、種々のものが開発提案
されている。
【0004】図9に示す研削方法は、研削加工を施すべ
きワークWの最終形状に対応したプロフィールを有する
砥石車aと調整車bを用いて、ワークWを調整車bと図
示しないブレードにより回転支持しながら、上記砥石車
aによって、ワークWの全外周面を大径の基軸部Waと
小径の先端軸部Wbとからなる段付き形状に研削するよ
うにしている(特開平7−246548号公報参照)。
【0005】また、図10に示す研削方法は、図9の研
削方法を改変したもので、ワークWの基軸部Waを調整
車cとブレードdにより回転支持しながら、ワークWの
先端軸部Wbに摺接するバックアップシューe、調整車
cおよびブレードdを砥石車f側へ移動させることで、
ワークWの先端軸部Wbの最終形状に対応したプロフィ
ールを有する砥石車fによって、ワークWの先端軸部W
bを研削するようにしている(特開平7−246548
号公報参照)。
【0006】さらに、図11に示す研削方法は、ワーク
Wの大径の基軸部Waを調整車gとブレードhにより回
転支持するとともに、押えローラiによりワークWを調
整車gに押さえ付けながら、ワークWの小径の先端軸部
Wbの最終形状に対応したプロフィールを有する砥石車
jによって、ワークWの先端軸部Wbを研削するように
している(特開昭60−177849号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の研削方法のいずれもインフィード研削方式である
ことから、それぞれ次のような問題があって、所望の同
軸度等が得難かった。
【0008】すなわち、図9の研削方法にあっては、ワ
ークWの基軸部Waと先端軸部Wbの両者を同時研削す
るため、小径の先端軸部Wbの精度が得難くてワークW
全体の同軸度が得にくく、特に先端軸部Wbの径寸法が
極小の場合は、この先端軸部Wbが破損してしまう危険
もあった。
【0009】また、図10の研削方法にあっては、砥石
車fによってワークWの先端軸部Wbを研削するに際し
て、ワークWの先端軸部Wbをバックアップシューeに
より摺接支持するところ、先端軸部Wbの外径は刻々変
化するためバックアップシューeもこれに対応して移動
調整することになるが、この移動調整が難しく、所望の
同軸度が得難い。
【0010】さらに、図11の研削方法にあっては、ワ
ークWの先端軸部Wbを支持することなく砥石車jの切
込み送りによって研削しているため、先端軸部Wbが撓
んで同軸度を得難く、また、この撓みを回避するため砥
石車jの切込み送り量を上記二つの研削方法に比べて遅
くする必要があり、これがため、サイクルタイムも長
く、生産効率が悪かった。
【0011】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたものであって、その目的とするところは、棒状ワ
ークの先端軸部を、高い同軸度および円筒度を確保する
とともに、極小径つまり径寸法が極小の場合でも研削が
可能で、しかも高い生産効率を得ることができるセンタ
レス研削技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のセンタレス研削方法は、棒状ワークの先端
軸部をセンタレス研削する方法であって、ワークの基軸
部を押圧手段により調整車に押し付け支持することによ
り、ワークを強制回転させながら、このワークを送り手
段により砥石車に対して軸方向へ相対的に送ることによ
り、ワークの先端軸部を砥石車により研削加工するよう
にしたことを特徴とする。
【0013】好適な実施態様として、上記送り手段によ
るワークの砥石車に対する軸方向への相対的な送り方法
としては、上記送り手段により、ワークのみを軸方向へ
送るようにする方法、上記送り手段により、ワークを上
記押圧手段および調整車と共に軸方向へ送る方法、およ
び上記送り手段により、上記砥石車を上記軸方向と反対
方向へ送る方法がある。
【0014】さらに、上記砥石車の切込み動作は、上記
ワークの基軸部の外径を基準とし、また、上記砥石車
を、上記ワークの送り動作に同期して切込み動作させる
ようにする。
【0015】また、本発明のセンタレス研削装置は、上
記センタレス研削方法を実施するのに適した装置であっ
て、ワークの基軸部を支持するブレードと、回転駆動さ
れて、ワークの基軸部を回転支持する調整車と、上記調
整車に対してワークを押し付け支持する押圧手段と、回
転駆動されて、上記調整車により強制回転支持されるワ
ークの先端軸部を研削する砥石車と、上記調整車および
ブレードにより強制回転支持されるワークを、上記砥石
車に対して軸方向へ相対的に送る送り手段とを備えてな
ることを特徴とする。
【0016】好適な実施態様として、上記押圧手段は、
上記ワークの基軸部の外周面に転接可能な加圧ローラ
と、この加圧ローラを上記ワークの基軸部の外周面に対
して所定の押圧力をもって押圧する加圧手段とを備えて
なる。また、上記送り手段は、上記ワークの後端面に当
接可能な押し棒と、この押し棒を上記ワークの軸方向へ
移動させる移動手段とを備えてなる。上記砥石車は、上
記ワークの先端軸部の最終形状に対応したプロフィール
の砥石面を備える。
【0017】また、上記送り手段としては、ワークのみ
を軸方向へ送る構成とされ、ワークの後端面に当接可能
な押し棒と、この押し棒をワークの軸方向へ移動させる
移動手段とを備えてなる構造、ワークを上記押圧手段お
よび調整車と共に軸方向へ送る構成とされ、これら押し
圧手段および調整車を載置支持する移動台と、この移動
台をワークの軸方向へ移動させる移動手段とを備えてな
る構造、および上記砥石車を上記軸方向と反対方向へ送
る構成とされ、上記砥石車を載置支持する移動台と、こ
の移動台をワークの軸方向へ移動させる移動手段とを備
えてなる構造などが好適に採用される。
【0018】さらに、上記砥石車がワークに対して相対
的に切込み送りされる構造を備えるとともに、この砥石
車が、上記送り手段によるワークの送り動作に同期して
切込み動作するように構成されている。
【0019】本発明においては、ワークの基軸部を押圧
手段により調整車に押し付け支持することにより、ワー
クを強制回転させながら、このワークを送り手段により
砥石車に対して軸方向へ相対的に送ることで、ワークの
先端軸部を砥石車により研削加工する。これにより、ワ
ークの先端軸部の径寸法が極小であっても、ワークの研
削長手方向つまり軸方向寸法を正確に制御することがで
き、ワークの先端軸部を高い同軸度と円筒度を保証しつ
つ研削することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0021】実施形態1 本発明に係るセンタレス研削装置が図1ないし図3に示
されており、この研削装置は、棒状のワ−クWの外周面
を例えば図1に示すような大径の基軸部Waと小径の先
端軸部Wbを有する段付き形状にセンタレス研削するも
ので、具体的には、先端軸部Wbのみを研削する構成と
されており、砥石車1、調整車2、ブレード3および加
圧ローラ4、押し棒5を主要部として備えてなる。
【0022】砥石車1は、ワークWの先端軸部Wbの外
周面に研削加工を施すもので、その砥石面1aが、ワー
クWの先端軸部Wbの最終形状つまり先端軸部Wbの外
周面の最終仕上げ形状に対応したプロフィールを備える
とともに、従来公知の一般的基本構造を備えている。つ
まり、砥石車1は、図2(b) に示す砥石軸6に取外し可
能に取付け固定され、この砥石軸6が固定的に設けられ
た砥石車台上(図示省略)に回転可能に軸承されるとと
もに、動力伝導ベルトや歯車機構を介して駆動モータ等
の駆動源に駆動連結されている。
【0023】また、上記砥石車1の砥石面1aは、放電
ツルーイングが施される導電性研削砥石から構成され
る。この導電性研削砥石としては、ダイヤモンドやCB
Nなどのメタルボンド砥石が用いられる。このような導
電性研削砥石からなる砥石面1aは、砥粒の保持力が強
くて、形くずれを起し難く、しかも、放電ツルーイング
により形状修正が行われることにより、砥粒の突出し量
が十分に取れて、切れ味が良好なものとなる。
【0024】調整車2は、ワークWの研削対象でない基
軸部Waつまり大径の軸部のみを回転支持するもので、
円筒面からなる回転支持面2aを備えるとともに、砥石
車1に対してワークWの軸方向へずれた位置に配置され
ている。
【0025】調整車2は、従来公知の一般的基本構造を
備えており、図2(a)に示す調整車軸7に取外し可能に
取付け固定され、この調整車軸6が調整車台上(図示省
略)に回転可能に軸承されるとともに、動力伝導ベルト
や歯車機構を介して駆動モータ等の駆動源に駆動連結さ
れている。
【0026】上記調整車2の軸心は、ワークWの送込み
方向、反送り方向つまり送込み方向に対し反対方向に傾
斜した方向、または砥石車1の軸心と平行な方向に向け
て配置設定され、いずれの方向を採用するかは目的に応
じて決定される。
【0027】図示の実施形態においては、調整車2の軸
心の配置方向は、反送り方向に設定されており、後述す
る押圧手段14との協働作用により、ワークWに反送り
方向(図1および図3において、送り方向Xの反対方
向)への推力を与える構造とされている。
【0028】ブレード3は、図2(a) に示すように調整
車2と共にワークWの基軸部Waを支持するもので、上
記調整車2と同様に上記調整車台上に設置されており、
ワークWの基軸部Waを下方から支持する傾斜支持面3
aを備えている。
【0029】加圧ローラ4は、加圧手段10と共にワー
クWの大径軸部Waを調整車2の回転支持面2aに対し
て押し付け支持する押圧手段14の主要部をなすもの
で、ローラ軸8により自由回転可能に支持されている。
【0030】この加圧ローラ4は、上記調整車2に対向
して配置されて、ワークWの基軸部Waの外周面に転接
可能とされるとともに、加圧手段10によりワークWの
基軸部Waの外周面に対して所定の押圧力をもって押圧
される構成とされている。図示の実施形態においては、
上記加圧手段10として、弾発スプリング等の弾発付勢
手段が採用されており、これにより、加圧ローラ4はワ
ークWの基軸Waの外周面に常時弾発付勢されている。
【0031】そして、加圧ローラ4を含む押圧手段14
は、ワークWの基軸部Waを調整車2に弾発的に押し付
け支持して、この回転駆動される調整車2との協働作用
により、ワークWを強制回転させながら、ワークWに反
送り方向への推力を与える。
【0032】押し棒5は、ワークWを軸方向つまり砥石
車1側となる送り方向Xへ強制的に送り込む送り手段1
5の主要部をなすものである。
【0033】この押し棒5は、具体的には図示しない
が、上記調整車2とブレード3により支持されるワーク
Wとほぼ同軸上に配置されるとともに、このワークWの
軸方向へ移動可能に支持されている。また、押し棒5
は、図示しない移動手段に駆動連結されている。この押
し棒5を軸方向へ往復移動させる移動手段としては、リ
ニアモータや、あるいは送りねじ機構を備えた従来公知
の送り駆動装置が適宜採用される。
【0034】そして、上記送り手段により、押し棒5の
先端部5aがワークWの基軸部Waの後端面に当接され
て、このワークWを予め設定された速度で軸方向(送り
方向)Xへ所定距離だけ送り込む。
【0035】この場合、調整車2がワークWに反送込み
方向の推力を与えるように傾斜配置されている本実施形
態においては、上記押し棒5はワークWをその推力作用
に抗して送り方向Xへ所定の送り速度で強制的に送り出
すことになる。
【0036】なお、調整車2がワークWに送込み方向の
推力を与えるように傾斜配置されている場合には、押し
棒5の送り速度は調整車2の推力作用による送り速度よ
りも速くなるように設定されることとなる。
【0037】しかして、以上のように構成されたセンタ
レス研削装置において、ワークWの基軸部Waが押圧手
段14により調整車2に押し付け支持されることによ
り、ワークWが強制回転されるとともに、この強制回転
されるワークWが送り手段15により軸方向(送り方
向)Xへ送り込まれることにより、ワークWの先端軸部
Wbに砥石車1による研削加工が施される。
【0038】具体的には、砥石車1がワークWの先端軸
Wbの仕上がり寸法に対応して設定配置された状態で、
砥石車1および調整車2がそれぞれ所定の回転速度をも
って回転駆動されるとともに、送り手段15の押し棒5
の送り方向Xへの前進により、棒状のワークWがブレー
ド3の傾斜支持面3a(図2参照)上に沿って上記調整
車2の位置まで供給される。すると、押圧手段14の加
圧ローラ4がワークWを所定の弾発付勢力をもって調整
車2に対して押し付ける結果、ワークWは、調整車2の
回転力により強制回転される(図3(a) 参照)。
【0039】さらに、上記押し棒5の前進により、ワー
クWは軸方向Xへ送られて、その先端軸部が砥石車1へ
送り込まれることになる。この場合、ワークWは、その
基軸部Waのみが加圧ローラ4の押付け力により調整車
2とブレード3により回転支持されるとともに、ワーク
Wの先端軸部Wbの外周面が砥石車1により研削され
て、図3(b) に示すような小径の円筒部分とテーパ部分
に形成される。
【0040】この場合の研削工程のメカニズムは、まず
ワークWの先端が砥石車1の砥石面1aに当接して研削
が開始されるとともに、押し棒5によるワークWの送り
込みに従ってワークWの先端軸部Wbが予め設定した形
状寸法に研削されていく。換言すれば、ワークWは、加
圧ローラ4と調整車2により回転支持された基軸部Wa
の外径を基準として、先端軸部Wbの外周面が砥石車1
により研削される。この際、研削されながら送られてい
くワークWの先端軸部Wbは、図3(b) に示すように調
整車2の回転支持面2aに回転支持されることなく、フ
リーな状態にある。
【0041】そして、ワークWがその軸心方向の所定位
置まで送り込まれて、ワークWの先端軸部Wbが所定の
最終仕上げ形状に研削加工されると、砥石車1がワーク
Wから完全に離反されて研削工程が完了する(図3(d)
参照)。
【0042】あるいは、ワークWの先端軸部Wbが所定
の最終仕上げ形状に研削加工された後も、さらに砥石車
1が押し棒5によるワークWの送り動作に同期して後退
(マイナスの切込み動作)しながら、ワークWがその軸
心方向の所定位置まで送り込まれ(図3(c) 参照)、こ
の後、砥石車1がワークWから完全に離反されて研削工
程が完了する(図3(d) 参照)。
【0043】このようにして先端軸部Wbを研削加工さ
れたワークWは、図外の排出手段により、砥石車1およ
び調整車2間の加工位置から外部へ排出される。
【0044】このように、ワークWを押し棒5によって
その軸心方向Xへ送り込みながら、ワークWの基軸部W
aのみを強制回転支持して、ワークWの先端軸部Wbの
外周面を砥石車1により研削する方式をとることによ
り、ワークWの研削長手方向つまり軸方向寸法を正確に
制御することができ、しかもワークWの先端軸部Wbが
ワークWの基軸部Waの外径を基準として研削される結
果、ワークWの軸心のブレが少なく、高い同軸度と円筒
度を確保されつつ、短時間で段付きワークWに研削加工
を施すことが可能となる。
【0045】特に、研削対象であるワークWの先端軸部
Wbが、調整車2の回転支持面2aやブレード3の傾斜
支持面3aに全く支持されることなくフリーな状態で研
削されるため、先端軸部Wbの径寸法が極小の場合であ
っても、上記の高い同軸度と円筒度が確実に保証され
る。この結果、従来この種のセンタレス研削では不可能
とされていた極細の先端軸部Wbを有するワークWに対
する研削加工も、容易かつ短いサイクルタイムをもって
実行することができる。
【0046】また、ワークWの先端軸部Wbが、調整車
2の回転支持面2aやブレード3の傾斜支持面3aに全
く支持されない構造では、ブレード3を過度に薄く設計
する必要がないなどの設計上の有利点とも相まって、ワ
ークWの型番変更等に伴う段替え作業も容易かつ迅速に
行える。
【0047】さらに、砥石車1の砥石面1aが、放電ツ
ルーイングを施した導電性研削砥石で構成されることに
より、砥粒の突出し量が十分に取れ、良好な切れ味を確
保することができる。この結果、砥石面1aの切れ味を
長時間持続して、研削能率も向上させることができ、か
つワークWの先端軸部Wbの径寸法が極小の場合であっ
ても、その折損を有効に防止することができる。
【0048】特に、例えば図1を参照して、砥石車1に
おける砥石面1aを構成する二つの外周面の境界部Pは
研削加工によるダメージが大きいところ、砥石車1の砥
石面1aが、放電ツルーイングを施した導電性研削砥石
で構成されることにより、従来の一般的な砥石面構成に
ない上記のような大きな効果を得ることができる。つま
り、従来の一般的な砥石面は、ロータリドレッサによる
ツルーイングを施した研削砥石で構成されるところ、こ
のような構成では、ロータリドレッサ(ツルアー)がす
ぐに磨耗してしまい、磨耗が激しい。
【0049】また、本発明に係る研削技術(本実施形態
に係る研削技術)について、図10および図11に示す
従来の研削技術と比較してみると、先端軸部Wbの径寸
法が極小のワークW、例えばマイクロドリルを研削加工
する場合、本発明の研削技術による研削時間は、従来の
研削技術による研削時間の約1/2〜1/3程度で済
む。
【0050】なお、図示はしないが、上述したワークW
の先端軸部Wbの研削を終了させるタイミングとして
は、例えば押し棒5によるワークWの送り込み量を近接
スイッチなどのセンサで検知し、この検知結果に基づい
て行ってもよいし、また、ストッパ等の停止手段でワー
クWの送りを強制的に停止させるようにしてもよく、そ
の具体的な手段としては適宜のものが採用され得る。
【0051】また、ワークWを装置から排出する方法
も、例えば、砥石車1または調整車2をワークWから離
間するように移動させることで、ワークWの排出を行う
ようにしてもよいし、また、ローダアームなどの外部機
構を設けて、ワークWを吸着手段等によりチャッキング
保持して取り出すことで、ワークWを排出するようにし
ても良く、その具体的方法としては、目的等に応じて適
宜の方法が採用され得る。
【0052】さらに、図示の実施形態のように、調整車
2がワークWに反送込み方向(送り方向Xと反対方向)
の推力を与えるように傾斜配置させている場合では、研
削工程が完了後に押し棒5をワークWの大径軸部Waの
端面から後退させることで、調整車2による上記反送り
方向への推力作用によって、ワークWを装置から後退排
出することもできる。
【0053】実施形態2 本実施形態は図4および図5に示されており、実施形態
1のセンタレス研削装置により、異なる形状の先端軸部
Wbを備えるワークWを研削対象としたものである。
【0054】すなわち、実施形態1のセンタレス研削装
置において、砥石車1がワークWに対して相対的に切込
み送りされる構造を備えることから、この砥石車1を、
送り手段15によるワークWの送り動作に同期して切込
み動作するように制御することにより、図示のような先
端軸部Wbの研削加工が実行可能である。
【0055】次に、上記センタレス研削装置によるワー
クWの研削工程について具体的に説明するが、ワークW
の先端軸部Wbの外周面が図5(a) に示すような小径の
円筒部分とテーパ部分に形成されるまでの研削工程は実
施形態1と同様であるので、この後の工程から説明する
こととする。
【0056】ワークWの先端軸部Wbの外周面が図5
(a) に示すような小径の円筒部分とテーパ部分に形成さ
れると、押し棒5によるワークWの送り動作が停止する
とともに、今度は砥石車1がワークWの先端軸部Wbに
対して相対的に所定距離だけ前進(プラスの切込み動
作)して研削する。これにより、先端軸部Wbは、図5
(b) に示すように、小径の円筒部分の一部がさらに小さ
な径に研削加工されて、先端部分が膨出状の段付き形状
に形成されるとともに、これに伴って上記テーパ部分も
さらに研削加工される。
【0057】この状態で、砥石車1のワークWの先端軸
部Wbに対する相対的な前進動作が停止するとともに、
押し棒5によるワークWの送り動作が再び開始されて、
ワークWがその軸心方向の所定位置まで送り込まれたと
ころで停止する(図5(c) 参照)。
【0058】このようにして、ワークWの先端軸部Wb
が所定の最終仕上げ形状に研削加工されると、砥石車1
がワークWから完全に離反されて研削工程が完了する
(図5(d) 参照)。
【0059】先端軸部Wbを研削加工されたワークW
は、図外の排出手段により、砥石車1および調整車2間
の加工位置から外部へ排出される。
【0060】このように、実施形態1のセンタレス研削
装置にあっては、砥石車1を、送り手段15によるワー
クWの送り動作に同期して切込み動作するように制御す
ることにより、具体的には説明しないが、さらに図6
(a) 〜(c) に例示されるような先端軸部Wbの研削加工
も実行可能である。
【0061】ちなみに、図6(a) に示すワークWの先端
軸部Wbは、先端側が極小径の軸部とされた段付き状の
円筒面に研削加工され、この形状は、押し棒5によるワ
ークWの送り動作に対して所定のタイミングをもって、
砥石車1が先端軸部Wbに対して所定距離だけ後退した
後停止することによって研削加工される。
【0062】また、図6(b) に示すワークWの先端軸部
Wbは、逆テーパ面に研削加工され、この形状は、押し
棒5によるワークWの送り動作に対応して、砥石車1が
先端軸部Wbに対して徐々に前進することによって研削
加工される。
【0063】さらに、図6(c) に示すワークWの先端軸
部Wbは、先端が尖った円錐面に研削加工され、この形
状は、押し棒5によるワークWの送り動作に対応して、
砥石車1が先端軸部Wbに対して後退することによって
研削加工される。その他の構成および作用は実施形態1
と同様である。
【0064】実施形態3 本実施形態は図7に示されており、実施形態1における
ワークWの送り構造が改変されたものである。
【0065】すなわち、実施形態1においては、送り手
段15が、ワークWのみを軸方向Xへ送る構成とされて
いたが、本実施形態においては、ワークWを押圧手段1
4および調整車2と共に軸方向Xへ送る構成とされてい
る。
【0066】具体的には、押圧手段14が、調整車2を
回転可能に軸承する調整車台25上に載置支持されると
ともに、この調整車台25が、上記送り手段15の移動
台として機能する。この移動台25は、押し圧手段14
および調整車2を載置支持するとともに、具体的には図
示しないが、上記調整車2とブレード3により支持され
るワークWの軸方向Xへ移動可能とされている。また、
この移動台25は、図示しない移動手段に駆動連結され
ている。この移動台25を軸方向へ往復移動させる移動
手段としては、リニアモータや、あるいは送りねじ機構
を備えた従来公知の送り駆動装置が適宜採用される。
【0067】また、これに関連して、上記移動台25上
には、ワークWの基軸部Waの後端面に当接するストッ
パ31が設けられている。このストッパ31は、ワーク
Wとほぼ同軸上に配置されて、上記押し圧手段14およ
び調整車2に対して、ワークWの軸方向位置を位置決め
する。
【0068】しかして、本実施形態のセンタレス研削装
置において、ワークWの基軸部Waが押圧手段14によ
り調整車2に押し付け支持されることにより、ワークW
が強制回転されるとともに、この強制回転されるワーク
Wは、送り手段30により、押圧手段14および調整車
2と共に軸方向(送り方向)Xへ送り込まれることによ
り、ワークWの先端軸部Wbに砥石車1による研削加工
が施される。その他の構成および作用は実施形態1と同
様である。
【0069】実施形態4 本実施形態は図8に示されており、実施形態3と同様、
ワークWの送り構造が改変されたものである。
【0070】すなわち、本実施形態においては、図示し
ない送り手段により、砥石車1がワークWの軸方向(送
り方向)と反対方向Yへ送られる構成とされている。
【0071】具体的には図示しないが、砥石車1を回転
可能に軸承する砥石車台が上記送り手段の移動台として
機能する。この移動台は、ワークWの軸方向へ移動可能
とされるとともに、移動手段に駆動連結されている。こ
の移動台つまり砥石台を軸方向へ往復移動させる上記移
動手段としては、リニアモータや、あるいは送りねじ機
構を備えた従来公知の送り駆動装置が適宜採用される。
【0072】また、これに関連して、実施形態3と同
様、ワークWの基軸部Waの後端面に当接するストッパ
31が設けられている。
【0073】しかして、本実施形態のセンタレス研削装
置において、ワークWの基軸部Waが押圧手段14によ
り調整車2に押し付け支持されることにより、ワークW
が強制回転されるとともに、上記送り手段により、砥石
車1がワークWの軸方向(送り方向)と反対方向Yへ送
り込まれることにより、ワークWの先端軸部Wbに砥石
車1による研削加工が施される。その他の構成および作
用は実施形態1と同様である。
【0074】なお、上述した実施形態はあくまでも本発
明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれ
に限定されることなく、その範囲において種々の設計変
更が可能である。
【0075】例えば、押圧手段14は、加圧ローラ4に
限らず、ワークWを調整車2に押し付けるものであれ
ば、バネなどの簡易なものを採用してもよく、逆に、要
求される場合には、押圧シリンダ等の動力装置を用いて
精密な制御を行う構成としてもよい。
【0076】また、要求に応じて、ワークWの基軸部W
aにも直円筒形状の研削加工を施すことも可能である。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ワークの基軸部を押圧手段により調整車に押し付け支持
することにより、ワークを強制回転させながら、このワ
ークを送り手段により軸方向へ送ることにより、ワーク
の先端軸部を砥石車により研削加工するようにしたか
ら、ワークの先端軸部の径寸法が極小であっても、ワー
クの研削長手方向つまり軸方向寸法を正確に制御するこ
とができ、しかもワークの先端軸部がワークの基軸部の
外径を基準として研削される結果、ワークの軸心のブレ
が少なく、高い同軸度と円筒度を確保されつつ、短時間
で段付きワークWに研削加工が施されることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1であるセンタレス研削装置
を示す概略平面図であり、棒状のワークを研削加工する
状態を示している。
【図2】同じく同センタレス研削装置を示し、図2(a)
は図1のA−A線に沿った断面図、図2(b) は図1のB
−B線に沿った断面図である。
【図3】同センタレス研削装置による棒状のワークを段
付き形状に研削加工する加工工程を説明するための工程
説明図である。
【図4】本発明の実施形態2であるセンタレス研削装置
を示す概略平面図であり、棒状のワークを研削加工する
状態を示している。
【図5】同センタレス研削装置による棒状のワークを段
付き形状に研削加工する加工工程を説明するための工程
説明図である。
【図6】同センタレス研削装置により棒状のワークを他
の異なる段付き形状に研削加工する状態を例示する概略
平面図である。
【図7】本発明の実施形態3であるセンタレス研削装置
を示す概略平面図であり、棒状のワークを研削加工する
状態を示している。
【図8】本発明の実施形態4であるセンタレス研削装置
を示す概略平面図であり、棒状のワークを研削加工する
状態を示している。
【図9】棒状のワークを段付き形状に研削加工する従来
のセンタレス研削装置を示す概略平面図である。
【図10】同じく、棒状のワークを段付き形状に研削加
工する他の従来のセンタレス研削装置を示す概略平面図
である。
【図11】同じく、棒状のワークを段付き形状に研削加
工するもう一つ他の従来のセンタレス研削装置を示し、
図11(a) は正面図、図11(b) は平面図である。
【符号の説明】
W ワ−ク Wa 基軸部 Wb 先端軸部 1 砥石車 1a 砥石面 2 調整車 2a 回転支持面 3 ブレード 3a 傾斜支持面 4 加圧ローラ 5 押し棒 10 加圧手段 14 押圧手段 15 送り手段 25 調整車台(移動台) 30 送り手段 31 ストッパ31

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状工作物の先端軸部をセンタレス研削
    する方法であって、 工作物の基軸部を押圧手段により調整車に押し付け支持
    することにより、工作物を強制回転させながら、この工
    作物を送り手段により砥石車に対して軸方向へ相対的に
    送ることにより、工作物の先端軸部を砥石車により研削
    加工するようにしたことを特徴とする棒状工作物のセン
    タレス研削方法。
  2. 【請求項2】 前記送り手段により、工作物のみを軸方
    向へ送るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    棒状工作物のセンタレス研削方法。
  3. 【請求項3】 前記送り手段により、工作物を前記押圧
    手段および調整車と共に軸方向へ送るようにしたことを
    特徴とする請求項1に記載の棒状工作物のセンタレス研
    削方法。
  4. 【請求項4】 前記送り手段により、前記砥石車を前記
    軸方向と反対方向へ送るようにしたことを特徴とする請
    求項1に記載の棒状工作物のセンタレス研削方法。
  5. 【請求項5】 前記押圧手段は、工作物の基軸部の外周
    面に所定の押圧力をもって転接する加圧ローラを備える
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載
    の棒状工作物のセンタレス研削方法。
  6. 【請求項6】 前記砥石車を、工作物の送り動作に同期
    して切込み動作させるようにしたことを特徴とする請求
    項1から5のいずれか一つに記載の棒状工作物のセンタ
    レス研削方法。
  7. 【請求項7】 前記砥石車の砥石面は、放電ツルーイン
    グを施した導電性研削砥石で構成することを特徴とする
    請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状工作物のセ
    ンタレス研削方法。
  8. 【請求項8】 棒状工作物の先端軸部をセンタレス研削
    するセンタレス研削装置であって、 工作物の基軸部を支持するブレードと、 回転駆動されて、工作物の基軸部を回転支持する調整車
    と、 前記調整車に対して工作物を押し付け支持する押圧手段
    と、 回転駆動されて、前記調整車により強制回転支持される
    工作物の先端軸部を研削する砥石車と、 前記調整車およびブレードにより強制回転支持される工
    作物を、前記砥石車に対して軸方向へ相対的に送る送り
    手段とを備えてなることを特徴とする棒状工作物のセン
    タレス研削装置。
  9. 【請求項9】 前記押圧手段は、工作物の基軸部の外周
    面に転接可能な加圧ローラと、この加圧ローラを工作物
    の基軸部の外周面に対して所定の押圧力をもって押圧す
    る加圧手段とを備えてなることを特徴とする請求項8に
    記載の棒状工作物のセンタレス研削装置。
  10. 【請求項10】 前記送り手段は、工作物のみを軸方向
    へ送る構成とされ、工作物の後端面に当接可能な押し棒
    と、この押し棒を工作物の軸方向へ移動させる移動手段
    とを備えてなることを特徴とする請求項8または9に記
    載の棒状工作物のセンタレス研削装置。
  11. 【請求項11】 前記送り手段は、工作物を前記押圧手
    段および調整車と共に軸方向へ送る構成とされ、これら
    押し圧手段および調整車を載置支持する移動台と、この
    移動台を工作物の軸方向へ移動させる移動手段とを備え
    てなることを特徴とする請求項8または9に記載の棒状
    工作物のセンタレス研削装置。
  12. 【請求項12】 前記送り手段は、前記砥石車を前記軸
    方向と反対方向へ送る構成とされ、前記砥石車を載置支
    持する移動台と、この移動台を工作物の軸方向へ移動さ
    せる移動手段とを備えてなることを特徴とする請求項8
    または9に記載の棒状工作物のセンタレス研削装置。
  13. 【請求項13】 前記砥石車が工作物に対して相対的に
    切込み送りされる構造を備えることを特徴とする請求項
    8から12のいずれか一つに記載の棒状工作物のセンタ
    レス研削装置。
  14. 【請求項14】 前記砥石車が、前記送り手段による工
    作物の送り動作に同期して切込み動作するように構成さ
    れていることを特徴とする請求項8から13のいずれか
    一つに記載の棒状工作物のセンタレス研削装置。
  15. 【請求項15】 前記調整車の軸心は、工作物の送込み
    方向に対し反対方向へ傾斜して設定されていることを特
    徴とする請求項8から14のいずれか一つに記載の棒状
    工作物のセンタレス研削装置。
  16. 【請求項16】 前記砥石車の砥石面は、放電ツルーイ
    ングが施される導電性研削砥石から構成されることを特
    徴とする請求項8から15のいずれか一つに記載の棒状
    工作物のセンタレス研削装置。
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