以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態に係る平面研削盤10は、立型研削盤であり、凹部12aを有するコラム12を含む。凹部12aは、前方に向かって開口するようにコラム12の中央よりやや下方寄りに形成される。
コラム12の凹部12aには、ワークWの移動手段として旋回テーブル14が設けられる。旋回テーブル14上には、2つのチャックスピンドル16が設けられる。2つのチャックスピンドル16は、研削位置Aと着脱位置Bとに配置される。研削位置AはワークWが研削される位置であり、着脱位置BはワークWが着脱される位置である。
2つのチャックスピンドル16上にはそれぞれ、ワークWを図示しない吸引装置で吸着し保持するためのチャックテーブル18が設けられる。各チャックテーブル18は、図示しないボルトによって対応するチャックスピンドル16に固定される。各チャックテーブル18上のワークWは個別に、吸引装置によって吸引制御される。
旋回テーブル14の下方には駆動モータ20が設けられる。旋回テーブル14は、矢印Rで示す方向に駆動モータ20によって180度旋回可能であり、研削位置Aと着脱位置Bとの間を交互に旋回できる。たとえば、研削位置Aに旋回されたチャックテーブル18上のワークWを加工中に、着脱位置Bではチャックテーブル18に対するワークWの着脱やチャックテーブル18の洗浄が可能となる。研削位置Aのチャックスピンドル16には、図示しない連結部材を介して駆動モータ70(図5参照)が接続される。駆動モータ70によって、研削位置Aのチャックスピンドル16およびチャックテーブル18が回転駆動され、ワークWが回転される。
コラム12の凹部12aには、チャックテーブル18と軸方向(矢印Z方向:この実施形態では上下方向)に対向するようにワークWを研削するための研削砥石22が設けられる。この実施形態では、研削砥石22は、外径と内径とを有する円環状の研削面22aを含む。研削砥石22は、研削面22aの一方側(図1でいえば向かって左側)が研削位置Aのチャックテーブル18に対向するようにチャックテーブル18の上方に配置され、研削砥石22の回転軸Pは上下方向(鉛直方向)に延びる。研削砥石22の研削面22aは、たとえばレジンボンドやメタルボンドでダイヤモンド砥粒が固着されたダイヤモンド砥石などによって形成される。
図3を参照して、チャックテーブル18に吸着されたワークWの全面を研削砥石22によって研削し、かつワークWが研削砥石22の研削面22aの全面に接触するように、研削砥石22の研削面22aの幅P、すなわち研削面22aの(外径-内径)/2と、対象となるワークWの回転最大径Mとを設定することが好ましい。ここでは、ワークWの回転最大径Mが幅Pより大きく設定され、かつ軸方向視においてワークWの回転軌跡RTの一部が研削砥石22の外周および内周からはみ出るように、ワークWはチャックテーブル18に保持される。これにより、研削砥石22の外径がワークWの回転最大径Mより大き過ぎる場合のように、ワークWが研削面22aの全面に接触しなくなる弊害を回避できる。好ましくは、ワークWの回転最大径Mは幅Pより少し大きく設定される。また、ワークWのはみ出し量は、ワークWのサイズや加工精度に合わせて決定されればよいが、好ましくは研削砥石22の外周側および内周側ともに5~10mmである。
図4をも参照して、研削砥石22は、複数のボルト24によって砥石軸26の端部に取り付けられる。砥石軸26は、円筒状の支持部28を上下方向に貫通し、図示しないベアリングを介して支持部28によって回転自在かつ上下移動可能に支持されるとともに、図示しない連結部材を介して駆動モータ30に連結される。したがって、駆動モータ30によって砥石軸26が駆動され、これによって研削砥石22が回転駆動される。砥石軸26は送込装置32によって上下方向に移動可能である。送込装置32は、駆動モータ32aを含む。砥石軸26が送込装置32によって上下方向に移動されることによって、研削砥石22が上下方向に移動される。したがって、ワークWを研削するために、送込装置32によって、研削砥石22は研削位置Aのチャックテーブル18に対して進退可能となる。
また、コラム12の凹部12aには、研削砥石22をドレッシングするためのドレス装置34が設けられる。ドレス装置34は、旋回テーブル14に並置され、研削砥石22の研削面22aの他方側(図1でいえば向かって右側)、すなわち研削面22aのうちワークWを研削する箇所とは反対側の箇所と対向するように配置される。
ドレス装置34は、凹部12aに設けられる円筒状の支持部36を含む。支持部36にはスリーブ38が挿通され、スリーブ38は、上下方向に移動可能に支持部36によって支持される。スリーブ38は、図示しないベアリングを介してドレス軸40を回転自在に支持する。ドレス軸40の上端部には、取り付け円板42が複数のボルト44によって取り付けられる。取り付け円板42上には、リング形状のドレッシング砥石46が図示しないボルトや接着剤等によって固定される。ドレッシング砥石46は、チャックテーブル18に並置され、研削砥石22の研削面22aのうちワークWを研削する箇所とは反対側の箇所と対向する。ドレッシング砥石46としては、たとえばWA、GCなどの砥粒をビトリファイドボンドによって固着したものが用いられる。ドレッシング砥石46の外径Dは、研削面22aの幅P(=研削面22aの(外径-内径)/2)より大きく設定され、かつ軸方向視においてドレッシング砥石46の一部が研削砥石22の外周および内周からはみ出るようにドレッシング砥石46が配置され、研削砥石22の全面をドレッシング可能にする。
ドレス軸40には、図示しない連結部材を介して駆動モータ48が連結される。したがって、駆動モータ48によってドレス軸40が駆動され、これによってドレッシング砥石46が回転駆動される。駆動モータ48は、CNC装置52(後述)によってドレッシング中も変速可能である。また、スリーブ38には送込装置50が接続される。送込装置50は、駆動モータ50aを含む。スリーブ38およびドレス軸40は、送込装置50によって上下方向に移動可能である。ドレス軸40が送込装置50により上下方向に移動されることによって、ドレッシング砥石46が上下方向に移動する。したがって、研削砥石22の研削面22aをドレッシングするために、送込装置50によって研削砥石22に対してドレッシング砥石46が進退可能となる。
なお、図面が煩雑になることを避けるために、図1では、砥石軸26近傍を簡略化して示す。図4では、理解を容易にするために、研削砥石22、ワークWおよびドレッシング砥石46を断面で示す。
図5を参照して、平面研削盤10は、さらにCNC装置52を含む。CNC装置52は、NC制御ユニット54と、表示操作ユニット56と、駆動回路58,60,62,64,66および68とを含む。NC制御ユニット54は、平面研削盤10の各部の動作を制御するCPU54aと、平面研削盤10を動作させる制御プログラム等が記憶されるメモリ54bとを有する。NC制御ユニット54には、表示操作ユニット56と、駆動回路58~68とが電気的に接続される。
駆動回路58には、研削砥石回転用の駆動モータ30が電気的に接続される。駆動回路60には、ドレッシング砥石回転用の駆動モータ48が電気的に接続される。駆動回路62には、研削砥石送込用の駆動モータ32aが電気的に接続される。駆動回路64には、ドレッシング砥石送込用の駆動モータ50aが電気的に接続される。駆動回路66には、旋回テーブル旋回用の駆動モータ20が電気的に接続される。駆動回路68には、ワーク回転用の駆動モータ70が電気的に接続される。また、NC制御ユニット54には、ワーク搬送供給装置72および電流検出器74が電気的に接続される。ワーク搬送供給装置72は、ワークWを着脱位置Bへ搬送しかつ供給するために用いられる。電流検出器74は、研削砥石22の切れ味に関する情報として、砥石軸26ひいては研削砥石22を駆動する駆動モータ30の電流値を検出し、その検出結果がNC制御ユニット54に与えられる。NC制御ユニット54からの指示に応じて、駆動モータ20,30,32a,48,50aおよび70ならびにワーク搬送供給装置72の動作が制御される。たとえば、NC制御ユニット54は、研削砥石22の送込量L1(L2)と送込速度V1(V2)とに基づいて駆動モータ32aひいては送込装置32の動作を制御し、かつ送込量L1(L2)と送込速度V1(V2)とドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)とに基づいて駆動モータ50aひいては送込装置50の動作を制御する。NC制御ユニット54は、電流検出器74の検出結果に基づいてドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)を調整する。さらに、NC制御ユニット54には、研削されたワークWの厚み測定する定寸装置76が電気的に接続されてもよい。定寸装置76による測定結果もNC制御ユニット54に与えられる。
この実施形態では、チャックテーブル18がワーク保持部に対応する。駆動モータ70および連結部材が第1駆動部に対応する。駆動モータ30および連結部材が第2駆動部に対応する。駆動モータ48および連結部材が第3駆動部に対応する。送込装置32が砥石送り部に対応する。送込装置50がドレッシング送り部に対応する。NC制御ユニット54が制御部に対応する。NC制御ユニット54および表示操作ユニット56が設定部に対応する。電流検出器74が検出部に対応する。
図6~図8を参照して、平面研削盤10の主要動作の一例について説明する。この動作例では、粗研削および仕上研削におけるドレッシング砥石46の移動速度U1,U2は、1枚のワークWごとに調整される。
まず、粗研削時の研削砥石22の送込量L1、送込速度V1およびドレッシング砥石46の移動速度U1、ならびに仕上研削時の研削砥石22の送込量L2、送込速度V2およびドレッシング砥石46の移動速度U2が設定される(ステップS1)。これらの値は、表示操作ユニット56によって入力されてもよいが、予めNC制御ユニット54のメモリ54bに記憶されていてもよい。送込速度V1,V2および移動速度U1,U2は、研削砥石22およびドレッシング砥石46それぞれの砥粒、粒度および結合度等を考慮して設定されることが好ましい。
ついで、原位置で待機している研削砥石22および研削準備位置で待機しているドレッシング砥石46がそれぞれ、所定の回転数で回転される(ステップS3)。つぎに、ワークWが、ワーク搬送供給装置72によって着脱位置Bのチャックテーブル18上に供給され(ステップS5)、図示しない真空装置によって吸着される(ステップS7)。そして、旋回テーブル14が駆動モータ20によって180度旋回され(ステップS9)、ワークWが研削位置Aへ移動される(ステップS11)。
ワークWが研削位置Aに移動されると同時に、駆動モータ70によってチャックテーブル18およびワークWが回転し始める(ステップS13)と、送込装置32によって原位置に停止している研削砥石22の送り込みが開始され、研削砥石22は設定されたアプローチ速度でワークWに向かって下降する(ステップS15)。
研削砥石22が、加工前のワークWの上面より十数μm上方に設定された研削準備位置に達すると、アプローチ速度から送込速度V1に切り替わり、その後研削開始位置にてワークWに接触して粗研削が開始される(ステップS17)。そして、研削砥石22が送込量L1分送り込まれて粗研削代分が研削加工されると、すなわち研削砥石22が粗研削終了位置に達すると、送込速度が送込速度V2に切り替えられ、仕上研削が開始される(ステップS19)。そして、研削砥石22が送込量L2分送り込まれて仕上研削代分が研削加工される。すなわち、研削砥石22が仕上研削終了位置に達し、ワークWが所定厚みまで加工される。すると、送り込みが停止されて、スパークアウトされ(ステップS21)、研削砥石22は元の原位置に上昇して戻り(ステップS23)、次のワーク研削のために待機する。
一方、ドレッシング砥石46は、そのドレッシング面を研削準備位置に合わせて待機し、下降する研削砥石22が研削準備位置に達すると研削砥石22の研削面22aに接触し、ドレッシング処理が行われる(ステップS17a)。
図7を参照して、ドレッシング処理について説明する。
まず、ドレッシング砥石46が研削砥石22の研削面22aに接触すると同時に、ドレッシング砥石46は、送込装置50によって移動速度U1(<送込速度V1)で下降し始め、その速度で粗研削終了位置まで下降する(ステップS51)。この間、送込速度V1と移動速度U1との相対速度(V1-U1)にて研削砥石22の粗研削ドレッシングが連続して行われ、ドレッシング砥石46は粗研削消耗量S1分消耗される。すなわち、研削砥石22が送込量L1分送り込まれるまでドレッシング砥石46によって研削砥石22の研削面22aがドレッシングされる。そして、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが、NC制御ユニット54によって判断される(ステップS53)。検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内であれば、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U1は変更されずそのまま維持される。一方、検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内になければ、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U1がNC制御ユニット54によって変更される(ステップS55)。たとえば、当該電流値が所定範囲未満であれば、ドレッシング過剰で切れ味が良すぎドレッシング消耗量も大きいと判定して、移動速度U1が大きくされる。これにより、次のワークWの粗研削時には、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)が小さくなり、ドレッシング消耗量が減るように制御される。一方、当該電流値が所定範囲を超えれば、ドレッシング不足と判定して、ドレッシング砥石46の移動速度U1が小さくされる。これにより、次回のワークWの粗研削時には、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)が大きくなり、ドレッシング消耗量が増えてドレッシング効果が大きくなるように制御される。
そして、研削砥石22の送込速度が送込速度V2に切り替えられ仕上研削に移ると、ドレッシング砥石46の移動速度が移動速度U2(<送込速度V2)に切り替えられ、ドレッシング砥石46は仕上研削終了位置まで下降して停止する(ステップS57)。この間、送込速度V2と移動速度U2との相対速度(V2-U2)にて研削砥石22の仕上研削ドレッシングが連続して行われ、ドレッシング砥石46は仕上研削消耗量S2分消耗される。すなわち、研削砥石22が送込量L2分送り込まれるまでドレッシング砥石46によって研削砥石22の研削面22aがドレッシングされる。そして、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが、NC制御ユニット54によって判断される(ステップS59)。検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内であれば、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U2は変更されずそのまま維持される。一方、検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内になければ、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U2がNC制御ユニット54によって変更される(ステップS61)。たとえば、当該電流値が所定範囲未満であれば、ドレッシング過剰で切れ味が良すぎドレッシング消耗量も大きいと判定して、移動速度U2が大きくされる。これにより、次のワークWの仕上研削時には、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)が小さくなり、ドレッシング消耗量が減るように制御される。一方、当該電流値が所定範囲を超えれば、ドレッシング不足と判定して、ドレッシング砥石46の移動速度U2が小さくされる。これにより、次回のワークWの仕上研削時には、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)が大きくなり、ドレッシング消耗量が増えてドレッシング効果が大きくなるように制御される。
このように、粗研削および仕上研削において、研削砥石22の送込速度V1(V2)より小さい移動速度U1(U2)でドレッシング砥石46を移動させることによって、研削砥石22によってワークWを加工しながら、同時にドレッシング砥石46によって研削砥石22をドレッシングできる。このとき、ドレッシング砥石46も、研削砥石22によって研削され、その研削量がドレッシング砥石46の消耗量となる。また、1枚のワークWの加工時において、粗研削するごとに、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが判断され、その判断結果に基づいて、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U1が決定され、かつ仕上研削するごとに、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが判断され、その判断結果に基づいて、次のワーク研削用のドレッシング砥石46の移動速度U2が決定されるように、フィードバック制御される。
図6に戻って、仕上研削終了位置で研削砥石22がスパークアウトに入ると同時に、ドレッシング砥石46も送込装置50による下降を停止し、スパークアウトに入る(ステップS21a)。スパークアウトが終了して、研削砥石22が送込装置32によって元の原位置まで上昇するとき、ドレッシング砥石46も送込装置50によって元の研削準備位置に上昇して戻る(ステップS23a)。このとき、ドレッシング砥石46の消耗量S1,S2が演算され、消耗量S1,S2に基づいて、送込装置50によるドレッシング砥石46の移動量が補正される。
そして、研削砥石22が原位置に戻ると、旋回テーブル14が駆動モータ20によって180度旋回され(ステップS25)、ワークWが着脱位置Bへ移動され(ステップS27)、ワークWが排出され(ステップS29)、終了する。
このように動作する平面研削盤10におけるドレッシング砥石46の消耗量について説明する。ここでは、ドレッシング砥石46の消耗量は消耗深さ(μm)であり、研削砥石22の摩耗はないとの前提で説明する。
ドレッシング砥石46の単位時間当りの粗研削消耗量H1は、粗研削時の研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)に相当する(H1=V1-U1(μm/s))。研削砥石22とドレッシング砥石46とが同一方向に移動(この実施形態では、ともに下降)する場合には、H1=|V1|-|U1|となり、研削砥石22に対してドレッシング砥石46が反対方向に移動(この実施形態では、研削砥石22が下降、ドレッシング砥石46が上昇)する場合には、H1=|V1|+|U1|となる。
同様に、ドレッシング砥石46の単位時間当りの仕上研削消耗量H2は、仕上研削時の研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)に相当する(H2=V2-U2(μm/s))。研削砥石22とドレッシング砥石46とが同一方向に移動(この実施形態では、ともに下降)する場合には、H2=|V2|-|U2|となり、研削砥石22に対してドレッシング砥石46が反対方向に移動(この実施形態では、研削砥石22が下降、ドレッシング砥石46が上昇)する場合には、H2=|V2|+|U2|となる。
研削砥石22とドレッシング砥石46とが接触してからの粗研削送込時間T1および仕上研削送込時間T2はそれぞれ、T1=L1/V1、T2=L2/V2となる。
ドレッシング砥石46のワーク1枚当たりの総消耗量Sは、次のように表される。
S=S1+S2
=T1×H1+T2×H2
=T1×(V1-U1)+T2×(V2-U2)
=(L1/V1)×(V1-U1)+(L2/V2)×(V2-U2)
この式より、相対速度(V1-U1),(V2-U2)に応じて、ドレッシング砥石46の総消耗量Sが変化し、ドレッシングの強弱が変化することがわかる。
研削砥石22の或る送込速度V1,V2に対して、ドレッシングを強めたい場合には、相対速度(V1-U1),(V2-U2)の値が大きくなるように、たとえば、ドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を小さくするかゼロにする。移動速度U1,U2をゼロにすると、砥石送込量=ドレッシング消耗量となる。
また、ドレッシング砥石46を研削砥石22により多く押し付けドレッシング量を大きく増やし素早くドレッシング効果を得たい場合や、研削砥石22のドレッシング性が著しく悪い場合などでは、ドレッシング砥石46を研削砥石22に向かって移動させて送り込み、相対速度(V1-U1)=|V1|+|U1|,(V2-U2)=|V2|+|U2|となるように、ドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を制御すれば、ドレッシング砥石46の消耗量を多くすることができる。
一方、ドレッシング消耗量を少なくしてドレッシングを弱めたい場合には、相対速度(V1-U1),(V2-U2)の値が小さくなるように、ドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を大きくすればよい。V1=U1,V2=U2となれば、研削砥石22とドレッシング砥石46とは同方向に同速度で同時移動するため、ドレッシング砥石46は消耗されず、研削砥石22をドレッシングできない。
このように状況に応じてドレッシングの強弱を調整し、ドレッシング砥石46の消耗量を調整することができる。
たとえば、送込量L1=300μm、送込速度V1=20μm/s、移動速度U1=8μm/s、送込量L2=50μm、送込速度V2=5μm/s、移動速度U2=4μm/sとすると、ドレッシング砥石46の総消耗量Sは、以下のように試算できる。
S=S1+S2
=(L1/V1)×(V1-U1)+(L2/V2)×(V2-U2)
=(300/20)×(20-8)+(50/5)×(5-4)
=180+10=190μm
したがって、粗研削におけるドレッシング砥石46の消耗量S1は180μm、仕上研削におけるドレッシング砥石46の消耗量S2は10μmとなり、ドレッシング砥石46のワーク1枚当たりの総消耗量Sは190μmとなる。
このような平面研削盤10によれば、回転するワークWに対して、回転する研削砥石22を設定された送込速度V1(V2)で設定された送込量L1(L2)分送り込み、ワークWを研削するとともに、回転するドレッシング砥石46を移動速度U1(U2)で移動させて、研削砥石22が送込量L1(L2)分送り込まれるまでドレッシング砥石46によって研削砥石22をドレッシングする。このように、ワークWが研削砥石22によって研削されながら、研削砥石22がドレッシング砥石46によってドレッシングされる。ここで、研削砥石22の送込速度V1(V2)とドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)との差に基づいて、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(粗研削時(V1-U1)、仕上研削時(V2-U2))が決定され、当該相対速度に基づいてドレッシング砥石46の単位時間当たりの消耗量、言い換えればドレッシングの強弱が決定される。そして、(送込量÷送込速度)で求められる送込時間が経過し、ワークWの研削が終了するまで、ドレッシングが継続される。これにより、研削砥石22を良好にドレッシングでき、無駄が生じないようにドレッシング砥石46が消費される。このようにして、ワークWの加工中にドレッシング砥石46の消耗量を抑えつつ研削砥石22の研削面22aをドレッシングできる。その結果、研削砥石22の切れ味を保ちワークWの安定した加工を行いつつ過剰なドレッシングを抑制できる。また、これにより、ドレッシング砥石46のコストを削減できるとともに、研削砥石22の過剰ドレッシングを抑制でき、ドレッシングによる研削砥石22の摩耗量を抑制でき、研削砥石22のコストも削減できる。
ワークWを加工しながら加工箇所とは別の箇所で研削砥石22がドレッシングされるので、ワーク加工中以外に別途ドレッシング時間を設ける必要はなく、ワークWを効率よく加工できる。特に、ドレッシング頻度が多く総ドレッシング時間が長くなる難削材からなる薄板ワークを研削するときに効果的である。また、研削砥石22として、結合度の高いレジンボンド砥石やメタルボンド砥石を使用することができ、砥石寿命が延びて経済的である。
ワークWの研削中において、電流検出器74によって研削砥石22の切れ味に関する情報として駆動モータ30の電流値が検出される。その検出結果に基づいて、ドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)が調整され、調整された移動速度U1(U2)を用いて送込装置50の動作が制御される。たとえば、研削砥石22の切れ味が適切であることを検出結果が示すと、そのときのドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)は変更されない。ドレッシング過剰で研削砥石22の切れ味が良すぎることを検出結果が示すと、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度が小さくなるようにドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)が変更される。すると、研削砥石22に対するドレッシング砥石46からの押圧力が小さくなり、研削砥石22のドレッシングが弱められ、ドレッシング消耗量が減る。ドレッシング不足で研削砥石22の切れ味が良くないことを検出結果が示すと、研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度が大きくなるようにドレッシング砥石22の移動速度U1(U2)が変更される。すると、研削砥石22に対するドレッシング砥石46からの押圧力が大きくなり、研削砥石22のドレッシングが強められ、ドレッシング消耗量が増える。このようにして、研削砥石22のドレッシングの強弱を調整することによって、研削砥石22の切れ味を適切に保ちつつドレッシング砥石46の消耗量を抑えることができる。
駆動モータ30の電流値を検出することによって、研削砥石22の切れ味に関する情報を容易に検出でき、ドレッシング砥石46の移動速度U1(U2)を適切に調整できる。
設定された研削砥石22の送込速度V1(V2)で研削砥石22を加工する際に、電流モータ30の電流値が所定範囲内に収まるように研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度を制御してドレッシングすることによって、ドレッシング消耗量を削減できる。
ワーク単位で移動速度U1,U2を調整することによって、或るワークWの研削時の切れ味に関する情報の検出結果を、その次のワークWの研削時のドレッシングに反映させることができ、ワークWごとに適したワークWの研削および研削砥石22のドレッシングを行うことができる。
粗研削および仕上研削のそれぞれの工程において個別に加工条件(送込量、送込速度、移動速度)を設定できるので、研削工程ごとに、研削砥石22を適切にドレッシングできるとともに、ドレッシング砥石46の消耗量も適切に設定できる。
ワークWの回転最大径Mが研削砥石22の研削面22aの幅Pより大きく設定され、かつ軸方向視においてワークWの回転軌跡RTの一部が研削砥石22の外周および内周からはみ出るようにワークWがチャックテーブル18に保持される。したがって、ワークWを研削砥石22の全面に接触させることができ、研削砥石22の全面を用いてワークWを研削できる。
ドレッシング砥石46の外径Dが研削砥石22の研削面22aの幅Pより大きく設定され、かつ軸方向視においてドレッシング砥石46の一部が研削砥石22の外周および内周からはみ出るようにドレッシング砥石46が配置される。したがって、ドレッシング砥石46を研削砥石22の全面に接触させることができ、円滑に研削砥石22をドレッシングできる。
予め、研削砥石22の送込量L1,L2、送込速度V1,V2およびドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を設定しておくことによって、ドレッシング砥石46の消耗量を数値化し可視化できる。
上述の実施形態では、1枚のワークWを加工するごとにドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を調整するドレッシング処理について説明したが、これに限定されない。研削砥石22によるワークWの研削中、駆動モータ30の電流値を短い時間間隔でサンプリングし、駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内に収まるように、ドレッシング砥石46の移動速度U1,U2をそれぞれ短い時間間隔でフィードバック制御するドレッシング処理でもよい。
図9および図10を参照して、このドレッシング処理について説明する。この場合、駆動モータ30の電流値の適正な所定範囲に加えて、異常を示す閾値(>所定範囲)が予め設定される。
まず、ドレッシング砥石46が研削砥石22の研削面22aに接触すると同時に、ドレッシング砥石46は、送込装置50によって移動速度U1(<送込速度V1)で下降し始め、送込速度V1と移動速度U1との相対速度(V1-U1)にて研削砥石22の粗研削ドレッシングが開始される(ステップS101)。そして、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが、NC制御ユニット54によって判断される(ステップS103)。検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内であれば、適正なドレッシング状態であると判定し、そのときの移動速度U1を変更することなくドレッシングが継続される。
一方、検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内になければ、当該電流値が所定範囲未満か否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS105)。当該電流値が所定範囲未満であれば、その状態が設定時間以上継続したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS107)。当該電流値が所定範囲未満の状態が設定時間以上継続しなければステップS103に戻り、一方、その状態が設定時間以上継続する場合には、ドレッシング過剰で切れ味が良すぎドレッシング消耗量も大きいと判定して、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動速度U1を大きくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)を小さくし、ドレッシング消耗量が減るように制御される(ステップS109)。すなわち、当該電流値が所定範囲内に上がる方向にドレッシング砥石46の移動速度U1が制御される。そして、粗研削が終了したか否かがNC制御ユニット54によって判断され(ステップS111)、粗研削が終了していなければ、ステップS103に戻る。その後も、駆動モータ30の電流値が所定範囲未満の状態が設定時間以上継続したままであれば、依然として過剰ドレッシングであると判定して、さらにドレッシング砥石46の移動速度U1を大きくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)を小さくし、ドレッシング消耗量が減るように制御される。この処理を駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まるまで繰り返す。
ステップS105において、駆動モータ30の電流値が所定範囲を超えれば(ステップS105がNO)、その状態が設定時間以上継続したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS113)。当該電流値が所定範囲を超える状態が設定時間以上継続しなければステップS103に戻り、一方、その状態が設定時間以上継続する場合には、ドレッシング不足と判定して、さらに当該電流値が閾値以上か否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS115)。当該電流値が閾値未満であれば、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動速度U1を小さくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)を大きくし、ドレッシング消耗量が増えてドレッシング効果が大きくなるように制御される(ステップS117)。すなわち、当該電流値が所定範囲内に下がる方向にドレッシング砥石46の移動速度U1が制御される。そして、粗研削が終了したか否かが判断され(ステップS111)、粗研削が終了していなければ、ステップS103に戻る。その後も、駆動モータ30の電流値が所定範囲を超える状態が設定時間以上継続したままであれば、依然としてドレッシング不足であると判定して、さらにドレッシング砥石46の移動速度U1を小さくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V1-U1)を大きくし、ドレッシング消耗量が増えるように制御される。この処理を駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まるまで繰り返す。
このようにして、駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まった状態でワークWを加工できるように、ドレッシング砥石46の移動速度U1を制御して研削砥石22がドレッシングされる。
ステップS115において、当該電流値が異常を示す閾値以上であれば、切れ味不良である異常が発生していると判定して、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動方向が反転するように移動速度U1を予め設定された速度に変更し、ドレッシング砥石46を研削砥石22に向かって移動移動させる(ステップS119)。これにより、ドレッシング砥石46を研削砥石22により多く押し付けてドレッシング消耗量を大きく増やし、素早くドレッシングして当該電流値を下げる。その状態で所定時間経過したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS121)。所定時間経過していなければ、ステップS111に戻り、一方、所定時間経過すれば、その状態でドレッシングしても当該電流値が閾値を下回らずドレッシング効果がないので、加工が中断される(ステップS123)。
そして、ステップS111において、粗研削が終了すれば、図10に示す仕上研削ドレッシングが行われる。
まず、ドレッシング砥石46は、送込装置50によって移動速度U2(<送込速度V2)で下降し始め、送込速度V2と移動速度U2との相対速度(V2-U2)にて研削砥石22の仕上研削ドレッシングが開始される(ステップS125)。そして、電流検出器74によって検出された駆動モータ30の電流値が適正な所定範囲内か否かが、NC制御ユニット54によって判断される(ステップS127)。検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内であれば、適正なドレッシング状態であると判定し、そのときの移動速度U2を変更することなくドレッシングが継続される。
一方、検出された駆動モータ30の電流値が所定範囲内になければ、当該電流値が所定範囲未満か否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS129)。当該電流値が所定範囲未満であれば、その状態が設定時間以上継続したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS131)。当該電流値が所定範囲未満の状態が設定時間以上継続しなければステップS127に戻り、一方、その状態が設定時間以上継続する場合には、ドレッシング過剰で切れ味が良すぎドレッシング消耗量も大きいと判定して、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動速度U2を大きくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)を小さくし、ドレッシング消耗量が減るように制御される(ステップS133)。すなわち、当該電流値が所定範囲内に上がる方向にドレッシング砥石46の移動速度U1が制御される。そして、仕上研削が終了したか否かがNC制御ユニット54によって判断され(ステップS135)、仕上研削が終了していなければ、ステップS127に戻る。その後も、駆動モータ30の電流値が所定範囲未満の状態が設定時間以上継続したままであれば、依然として過剰ドレッシングであると判定して、さらにドレッシング砥石46の移動速度U2を大きくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)を小さくし、ドレッシング消耗量が減るように制御される。この処理を駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まるまで繰り返す。
ステップS129において、駆動モータ30の電流値が所定範囲を超えれば(ステップS129がNO)、その状態が設定時間以上継続したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS137)。当該電流値が所定範囲を超える状態が設定時間以上継続しなければステップS127に戻り、一方、その状態が設定時間以上継続する場合には、ドレッシング不足と判定して、さらに当該電流値が閾値以上か否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS139)。当該電流値が閾値未満であれば、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動速度U2を小さくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)を大きくし、ドレッシング消耗量が増えてドレッシング効果が大きくなるように制御される(ステップS141)。すなわち、当該電流値が所定範囲内に下がる方向にドレッシング砥石46の移動速度U2が制御される。そして、仕上研削が終了したか否かが判断され(ステップS135)、仕上研削が終了していなければ、ステップS127に戻る。その後も、駆動モータ30の電流値が所定範囲を超える状態が設定時間以上継続したままであれば、依然としてドレッシング不足であると判定して、さらにドレッシング砥石46の移動速度U2を小さくして研削砥石22に対するドレッシング砥石46の相対速度(V2-U2)を大きくし、ドレッシング消耗量が増えるように制御される。この処理を駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まるまで繰り返す。
このようにして、駆動モータ30の電流値が所定範囲内に収まった状態でワークWを加工できるように、ドレッシング砥石46の移動速度U2を制御して研削砥石22がドレッシングされる。
ステップS139において、当該電流値が異常を示す閾値以上であれば、切れ味不良である異常が発生している判定して、NC制御ユニット54によって、ドレッシング砥石46の移動方向が反転するように移動速度U2を予め設定された速度に変更し、ドレッシング砥石46を研削砥石22に向かって移動させる(ステップS143)。これにより、ドレッシング砥石46を研削砥石22により多く押し付けてドレッシング消耗量を大きく増やし、素早くドレッシングして当該電流値を下げる。その状態で所定時間経過したか否かがNC制御ユニット54によって判断される(ステップS145)。所定時間経過していなければ、ステップS135に戻り、一方、所定時間経過すれば、その状態でドレッシングしても当該電流値が閾値を下回らずドレッシング効果がないので、加工が中断される(ステップS147)。
このように、駆動モータ30の電流値が目標とする所定範囲に収まるように、駆動モータ30の電流値を短い時間間隔でサンプリングして、そのサンプリングごとにドレッシング砥石46の移動速度U1,U2を制御することによって、均一な加工品質を確保しつつドレッシング消耗量も削減することができる。特に、研削代が多く加工時間が長い場合や、超難削材などの加工の場合であっても、ワーク1枚加工する間に研削砥石22の切れ味が急低下することを抑制でき、効果的である。
ワークWの研削中にリアルタイムで移動速度U1,U2を調整することによって、ワークWの研削時の切れ味に関する情報の検出結果を、リアルタイムでドレッシングに反映させることができ、適切にワークWの研削および研削砥石22のドレッシングを行うことができる。
上述の実施形態では、1枚のワークWを加工したときの研削砥石22の消耗量は小さいので、平面研削盤10の動作において研削砥石22の消耗量は考慮されていないが、当該消耗量を考慮する場合には、平面研削盤10は以下のように構成されてもよい。
図8を参照して、ワークWの仕上厚みを一定に管理するため、研削砥石22に干渉しないチャックテーブル18付近にさらに定寸装置76が設けられる。そして、定寸装置76のテーブル高さ測定子Pとワーク仕上厚み測定子Qとを用いて、ワーク厚み(=Q-P)が測定されながら、目標の仕上厚みに達するまで送込速度V2にて研削砥石22の送り込みが続けられる。ワーク厚みが目標値に達すると、研削砥石22の送り込みが停止されてスパークアウトに移行される。そして、スパークアウト位置から研削砥石22の原位置までの距離が演算され、研削砥石22が常に次のワーク加工のために原位置に戻れるようにフィードバックされる。このようにすれば、研削砥石22が消耗してもワークWの仕上厚みを一定にできる。
図11を参照して、ワークWの回転最大径M(ワークWの回転軌跡RTの外径)が研削砥石22の研削面22aの幅Pより大きく設定され、かつワークWの回転軌跡RTの一部が研削砥石22の外周および内周からはみ出るようにワークWがチャックテーブル18に保持される限りにおいて、ワークWを何枚でも自由にレイアウトしてよい。たとえば、図11(a)に示すように1枚のワークWをレイアウトしてもよく、図11(b)に示すように2枚のワークWを対称的にレイアウトしてもよい。この場合、複数枚のワークWをどのようにレイアウトしてもすべてのワークWの全面を研削でき、かつ研削砥石22の研削面22aの全面にワークWを接触できる。
図11に示すように研削面22aの幅Pが大きい研削砥石22を用いることによって、1枚のワークWを加工する場合だけではなく複数枚のワークWを同時に加工する場合においても、すべてのワークWの被加工面の全体または大部分を同時に研削砥石22に接触させてワークWを加工することができ、生産性を向上できる。たとえばアルミナや炭化ケイ素などのセラミックスやガラスなどの難削材からなる薄板ワークを研削するときに効果的である。また、このように幅Pが大きい研削砥石22を用いる場合、ワークWに接触する研削砥石22の砥粒数が多くなり、加工負荷も大きくなるおそれがあるが、平面研削盤10を用いることによってそのような弊害を抑制できる。
上述の実施形態では、ドレッシング砥石46の外径Dが研削砥石22の研削面22aの幅Pより大きく設定されたが、これに限定されない。ドレッシング砥石46の外径Dは研削砥石22の幅Pより小さくてもよい。この場合、ドレッシング砥石46を研削砥石22の内外径方向に研削面22aと平行に往復動させて、研削面22aの全面をドレッシングできるようにドレス装置が構成されてもよい。
ドレッシング砥石として、取り付け円板42の主面の外周寄りに周方向に等間隔に設けられる複数のセグメント砥石が用いられてもよい。
上述の実施形態では、研削砥石22の切れ味に関する情報として駆動モータ30の電流値が用いられたが、これに限定されない。研削砥石22の切れ味に関する情報として、駆動モータ30のトルクや負荷率などのパラメーターが用いられてもよい。
上述の実施形態では、この発明を立型の平面研削盤に適用した場合について説明したが、この発明は横型の平面研削盤にも適用できる。
上述の実施形態では、正方形状のワークWを研削する場合について説明したが、これに限定されない。この発明に係る平面研削盤は、種々の形状及び材質のワークを研削できる。