JPH07266227A - 研削用砥石の整形・目立て方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間で効率的に研削用砥石の整形ドレス及
び目立てドレスを行なう。 【構成】 研削用砥石５を電解研磨して目立てドレスす
る目立て用電極３０と、研削用砥石５を整形ドレスする
整形用超砥粒ホイール４とが研削用砥石５の軸と同一線
上に並設されている。前記目立て用電極３０と整形用超
砥粒ホイール４に対して研削用砥石４を割出移動させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は研削用砥石の整形・目立
て方法及びその装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、メタルボンド砥石は、砥粒が摩耗
あるいは摩滅すれば、電解加工により結合剤であるメタ
ルボンドを取り除く、いわゆる目立てドレスを施すよう
にしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電解目
立てを施すだけでは、結合剤を除去することは可能であ
るが、研削用砥石自身の形状が変形した場合には修正不
可能である。このため、変形した研削用砥石は新しいも
のに取り換えるか、取り外してダイヤモンド砥石等で形
状修正を行った後、前記電解目立てを施さなければなら
ず、コスト及び作業面で問題を有していた。そこで、本
発明は前記問題点に鑑み、短時間で効率的に研削用砥石
の整形ドレス及び目立てドレスを行なうことのできる研
削用砥石の整形・目立て方法及びその装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項１に記載の発明では、研削用砥石を整形ドレ
スした後、軸方向に移動させることにより、電解研磨し
て目立てドレスを行なうようにしたものである。また、
請求項２に記載の発明では、研削用砥石を整形ドレスす
る整形用超砥粒ホイールと、研削用砥石を電解研磨して
目立てドレスする目立て用電極とを、研削用砥石の軸方
向に並設する一方、前記目立て用電極と整形用超砥粒ホ
イールに対して研削用砥石を軸方向に割出移動させるよ
うにしたものである。

【０００５】さらに、請求項３に記載の発明では、前記
目立て用電極を研削用砥石に当接させた後、該研削用砥
石との間に所定の放電ギャップを形成するように離間さ
せる電極移動手段を設けたものである。さらにまた、請
求項４に記載の発明では、前記目立て用電極及び整形用
超砥粒ホイールを同時に旋回移動させて研削用砥石から
退避させる旋回移動手段を設けたものである。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。図１は整形・目立て装置を示し、そのドレス台
１にはドレスヘッド２が支軸１ａを中心として旋回可能
に取り付けられている。ヘッド２の先端から突出する回
転軸３には整形用超砥粒ホイール４が固定されている。
整形用超砥粒ホイール４は図示しないモータにより回転
軸３を介して回転し、下記するように、研削用砥石５の
整形ドレス用に使用される。なお、この整形用超砥粒ホ
イール４には、例えば、ダイヤモンド砥粒等をメタルボ
ンド等の結合剤で一体化したものが使用される。

【０００７】前記ドレスヘッド１の側方には複合シリン
ダ６が設けられている。この複合シリンダ６は、前進後
退用シリンダ本体７及び放電ギャップ設定用シリンダ本
体８からなり、図２に示すように、筒状ピストン９及び
棒状ピストン１０を有している。

【０００８】前記前進後退用シリンダ本体７は、筒状ピ
ストン９が摺動可能に収容される摺動穴１１を有してお
り、摺動穴１１の一端側には大内径部１２が形成されて
いる。前記筒状ピストン９は一端側に円錐面を有し、か
つ、前記大内径部１２内に摺動自在に位置するピストン
部１３を備え、ピストン部１３には中心穴１４よりも内
径の大きい大内径部１５が形成されている。大内径部１
５の底面側には前記ピストン部１３の円錐面からオイル
孔１６が貫通している。また、前記筒状ピストン９の他
端側にはねじ部１７が形成されている。

【０００９】前記筒状ピストン９内には棒状ピストン１
０が摺動可能に配設されている。この棒状ピストン１０
は、大径部１８、中径部１９及び小径部２０からなり、
中径部１９が筒状ピストン９の中心孔１４に摺動可能に
位置し、筒状ピストン９の大内径部１５に位置する前記
大径部１８と、小径部２０にナット２１で固定されたピ
ストン部２２とにより筒状ピストン９に対する摺動範囲
が制限されている。

【００１０】前記棒状ピストン１０の先端部と、前記前
進後退用シリンダ本体７にストロークベアリング２３を
介して摺動自在に配設したガイド軸２４の先端部とには
取付プレート２５がねじ止めされ、その取付プレート２
５には目立て用電極装置２６が固定されている。前記ガ
イド軸２４の後端部には略Ｌ字形の検出片２７がねじ止
めされ、センサ２８ａ，２８ｂによって検出されるよう
になっている。このセンサ２８ａ，２８ｂは目立て用電
極装置２６の前進後退を確認する確認信号として使用す
るものである。

【００１１】前記目立て用電極装置２６は、ジュラコン
等の非電導体からなる第１及び第２本体２９ａ，２９ｂ
によって電極となるスティックカーボン３０を複合シリ
ンダ６に対し絶縁状態で挾持した構造で、このスティッ
クカーボン３０には直流電源（３０〜５０Ｖ）が接続さ
れている。また、前記第１及び第２本体２９ａ，２９ｂ
には斜めにクーラント吹付孔３１がそれぞれ穿設され、
スティックカーボン３０の先端部分に向けて電解クーラ
ントを吹き付けることができるようになっている。この
目立て用電極装置２６では、研削用砥石５の結合剤であ
るメタルボンドを正極に帯電させることにより、研削用
砥石５を電解研磨で目立てドレスする。

【００１２】また、前記前進後退用シリンダ本体７には
ロックプランジャ３２ａ，３２ｂが設けられている。ロ
ックプランジャ３２ａ，３２ｂは、図３に示すように、
割出ロック用ソレノイド弁３３によって駆動し、前進後
退用シリンダ本体７の摺動穴１１を摺動する筒状ピスト
ン９を圧接して位置固定する。

【００１３】さらに、前記前進後退用シリンダ本体７に
は、図２に示すように、第１及び第２シリンダ室３４，
３５にオイルを供給する前進後退切換用ソレノイド弁３
６が設けられている。

【００１４】第１シリンダ室３４は、前進後退用シリン
ダ本体７の大内径部１２の底面側に形成されたさらに内
径の大きくなった部分と前記筒状ピストン９のピストン
部１３の外周面とで形成され、前進後退切換用ソレノイ
ド弁３６からオイルが供給されることにより筒状ピスト
ン９を前進後退用シリンダ本体７に対して前進移動させ
る。

【００１５】一方、第２シリンダ室３５は、前記前進後
退用シリンダ本体７の大内径部１２と、その端面を閉塞
する蓋体３７と、前記筒状ピストン９のピストン部１３
の円錐面と、棒状ピストン１０のピストン部１８の外周
面とから構成されている。この第２シリンダ室３５は、
前記ピストン部１３に穿設したオイル孔１６を介して棒
状ピストン１０のピストン部１８と筒状ピストン９の大
内径部１５との間に形成される棒状ピストン１０のスト
ローク設定スペース３８に連通している。そして、前記
前進後退切換用ソレノイド弁３６から第２シリンダ室３
５にオイルが供給されることにより、筒状ピストン９は
前進後退シリンダ本体７に対して後退移動する。

【００１６】前記放電ギャップ設定用シリンダ本体８
は、前記筒状ピストン９の後端に形成したねじ部１７に
螺合して固定するねじ穴３９と、棒状ピストン１０の小
径部２０にねじ止めしたピストン部２２が摺動移動する
ガイド穴４０とを有している。ガイド穴４０の後端側開
口部は蓋体４１によって閉塞されており、この蓋体４１
の中心には調整用ねじ部材４２が螺合されている。そし
て、この調整用ねじ部材４２を回転させ、その先端位置
を変更することにより、棒状ピストン１０の小径部２０
の端面との間のギャップを調整できるようになってい
る。

【００１７】また、前記放電ギャップ設定用シリンダ本
体８には放電ギャップ用ソレノイド弁４３が設けられて
いる。すなわち、図示しない油圧ポンプから供給される
オイルは、第３又は第４シリンダ室４４，４５のいずれ
か一方に供給されるようになっている。

【００１８】前記第３シリンダ室４４は、前記棒状ピス
トン１０の小径部２０に外装したピストン部２２と、放
電ギャップ設定用シリンダ本体８のガイド穴４０の内周
面との間に形成され、この第３シリンダ室４４内にオイ
ルが供給されることにより、棒状ピストン１０を筒状ピ
ストン９に対して後退させることができるようになって
いる。このとき、前記棒状ピストン１０のストローク設
定スペース３８内のオイルは、オイル孔１６から第２シ
リンダ室３５へ押し出される。

【００１９】第４シリンダ室４５は、放電ギャップ設定
用シリンダ本体８のガイド穴４０の内周面と、前記ピス
トン部２２の端面と、蓋体４１の端面とで形成され、こ
の第４シリンダ室４５内にオイルが供給されることによ
り、ピストン部２２を介して棒状ピストン１０を筒状ピ
ストン９に対して前進させることができるようになって
いる。

【００２０】前記構成からなる整形・目立て装置では、
図１に示すように、研削装置本体４６から突出する砥石
軸４６ａに固定した研削用砥石５を回転駆動して円筒状
工作物Ｗの内周面を研削するに当たって、その砥粒が摩
耗等すれば、次のようにしてメンテナンス（整形ドレス
・目立てドレス）を行なう。

【００２１】すなわち、まず、研削装置本体４６を移動
させることにより、研削用砥石５を工作物Ｗから退避さ
せる。一方、ドレスヘッド２をドレス台１の支軸１ａを
中心として旋回させ、整形用超砥粒ホイール４を研削用
砥石５に対峙させる。そして、研削用砥石５及び整形用
超砥粒ホイール４を回転駆動すると共に、整形用超砥粒
ホイール４に砥石軸４６ａの軸線に対し直角方向の切込
送りを与えた後に、研削装置本体４６を研削用砥石５の
軸方向に移動させることにより、研削用砥石５の整形ド
レスを行なう。ただし、この整形ドレスは、研削用砥石
５の形状が変形した場合にのみ行なうようにすればよ
い。

【００２２】このようにして研削用砥石５の整形ドレス
が終了すれば、研削用砥石５から整形用超砥粒ホイール
４を離間させ、研削装置本体４６を研削用砥石５の軸方
向に移動させることにより、目立て用電極装置２６に研
削用砥石５を対峙させる。そして、放電ギャップ用ソレ
ノイド弁４３を切換え、第４シリンダ室４５にオイルを
供給し、棒状ピストン１０を筒状ピストン９に対して前
進させ、そのままの状態で前進後退切換用ソレノイド弁
３６を切換えることにより第１シリンダ室３４にオイル
を供給し、筒状ピストン９を棒状ピストン１０と共に前
進させ、スティックカーボン３０を回転中の研削用砥石
５に当接させる。続いて、そのスティックカーボン３０
の当接を図示しないギャップエリミネータにより検知
し、当接検知時点からさらに所定時間だけ僅かにスティ
ックカーボン３０を前進させた後、割出ロック用ソレノ
イド弁３３を切換えることによりロックプランジャ３２
ａ，３２ｂで前進後退用シリンダ本体７に筒状ピストン
９を位置固定する。これにより、スティックカーボン３
０の先端は研削用砥石５により所定量だけ研削され、研
削用砥石５の形状が転写されることになる。さらに、放
電ギャップ用ソレノイド弁４３を切換えることにより第
３シリンダ室４４にオイルを供給し、筒状ピストン９に
対して棒状ピストン１０を後退させる。この後退寸法
は、前述のように、調整ねじ部材４２によって予め設定
されており、その値は所望の放電ギャップが得られる値
となっている。

【００２３】次に、スティックカーボン３０及び研削用
砥石５のメタルボンドに電圧を印加すると共に、両者に
電解クーラントを吹き付けることにより電解研磨（目立
てドレス）を開始する。この電解研磨では、前述のよう
に、研削用砥石５とスティックカーボン３０との間に形
成される放電ギャップを維持したままで研削装置本体４
６を研削用砥石５と共にその軸方向に移動させる。具体
的に、直径２０mm、長さ３０mmのメタルボンド砥石を、
通電量３０Ｖ，３Ａで電解研磨する場合、放電ギャップ
を、２０μｍとすることにより、なし地状の好ましい研
磨面が得られた。

【００２４】こうして電解研磨が終了し、研削用砥石５
の目立てドレスが完了すれば、割出ロック用ソレノイド
弁３３を切換えてロックプランジャ３２ａ，３２ｂによ
る筒状ピストン９の拘束を解除する。また、前進後退切
換用ソレノイド弁３６を切換えて第２シリンダ室３５に
オイルを供給し、筒状ピストン９を後退させ、目立て用
電極装置２６を研削用砥石５から離間させる。そして、
ドレスヘッド２を、ドレス台１の支軸１ａを主軸１を中
心として旋回させ（本実施例では約６０°）、目立て用
電極装置２６を研削用砥石５から退避させた後、研削装
置本体４６を前進させることにより、研削用砥石５によ
る加工物Ｗの内周研削を再開する。

【００２５】このように、本実施例では、研削用砥石５
の整形ドレスを行なうことができる上、連続的にその電
解目立てドレスをも行なうことができるので、非常に作
業効率がよい。また、研削用砥石５とスティックカーボ
ン３０との間の放電ギャップを調整ねじ部材４２により
調整できるようにしているので、予め適切な距離に正確
に設定可能である。さらに、整形・目立て作業が終了し
た後は、ドレスヘッド２をドレス台１の支軸１ａを中心
に回動させることにより、整形用超砥粒ホイール４及び
目立て用電極装置２６を研削加工時の邪魔にならない位
置に退避さることができるので、占有スペース等の点で
作業環境が悪化することはない。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る研削用砥石の整形・目立て方法及びその装置によ
れば、研削用砥石が変形したとしても、その整形ドレス
を行った後、電解目立てドレスを行なうことができ、短
時間で効率的に研削用砥石をメンテナンスすることが可
能である。

【００２７】また、電極移動手段を設けて研削用砥石と
目立て用電極との間に放電ギャップを形成するようにす
れば、摩耗、整形による研削用砥石の径変化や、電極の
摩耗による電極の長さの変化に拘わらず、常に所望の放
電ギャップを得ることができ、より効率的に目立てドレ
ス行なうことができる。さらに、旋回移動手段を設けて
目立て用電極及び成形用超砥粒ホイールを研削用砥石か
ら退避させることのできる機構とすれば、コンパクトな
ものとなり、それ程占有スペースを必要とすることなく
研削装置に装備することができ、研削加工及び目立てド
レスの切替がスムーズに行く。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例に係る研削用砥石の整形・目立て装
置の正面図である。

【図２】 図１の目立て装置を示す断面図である。

【図３】 図２のロックプランジャ部分の断面図であ
る。

【符号の説明】

１…ドレス台、２…ドレスヘッド、４…整形用超砥粒ホ
イール、５…研削用砥石、６…複合シリンダ、７…前進
後退用シリンダ本体、８…放電ギャップ設定用シリンダ
本体、９…筒状ピストン、１０…棒状ピストン、２６…
目立て用電極装置、３０…スティックカーボン。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 研削用砥石を整形ドレスした後、軸方向
   に移動させることにより、電解研磨して目立てドレスを
   行なうことを特徴とする研削用砥石の整形・目立て方
   法。
2. 【請求項２】 研削用砥石を整形ドレスする整形用超砥
   粒ホイールと、研削用砥石を電解研磨して目立てドレス
   する目立て用電極とを、研削用砥石の軸方向に並設する
   一方、前記目立て用電極と整形用超砥粒ホイールに対し
   て研削用砥石を軸方向に割出移動させるようにしたこと
   を特徴とする研削用砥石の整形・目立て装置。
3. 【請求項３】 前記目立て用電極を研削用砥石に当接さ
   せた後、該研削用砥石との間に所定の放電ギャップを形
   成するように離間させる電極移動手段を設けたことを特
   徴とする請求項２に記載の研削用砥石の整形・目立て装
   置。
4. 【請求項４】 前記目立て用電極及び整形用超砥粒ホイ
   ールを同時に旋回移動させて研削用砥石から退避させる
   旋回移動手段を設けたことを特徴とする請求項２又は３
   のいずれか一方に記載の研削用砥石の整形・目立て装
   置。