JP2002502711A - 冷却溝を備えた切削インサート - Google Patents

冷却溝を備えた切削インサート

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Abstract

(57)【要約】 切削インサートは、上面(2)、底面(3)及び前記上面と底面とのあいだに延在する複数の側面(4)によって範囲が定められる。切削インサートは、上記上面(2)と逃げとして役立つ側面(4)とのあいだに切れ刃(5)を備える。互いに隔たった溝が、切れ刃と連絡して且つ切れ刃に向かう方向に冷却流体を供給するために上記切削インサートの上面(2)に備わる。突出部(9)を隣接する溝(8)同士のあいだに配置し、この突出部が切削インサートの上面から突出し且つ切れ刃によって自由に切削された全ての切り屑に対して切り屑偏向体を互いに形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の技術分野 本発明は切り屑を除去して機械加工することを目的とする切削インサートに関
し、このインサートは上面、底面、及びそれらの上面と底面とのあいだに延在す
る複数の側面によって範囲が定められ、且つこのインサートは、上記上面と逃げ
として役立つ側面とのあいだに少なくとも一つの切れ刃と、互いに隔たって且つ
上方に向かって開口する溝であって切れ刃と連絡して且つ切れ刃に向かう方向に
冷却流体を供給するために上記上面に備わる溝とを有する。
【0002】 先行技術及び発明の一般的背景 切削工具例えば旋削加工用の工具の切削インサートだけでなく、その工具によ
って機械加工された加工物、並びに加工物から切削される切り屑に対する冷却の
実施が永い間既知である。切削加工に対する今日の技術の基本的目的は、冷却流
体を可能な限り高い圧力で使用可能にし、且つ一つ以上の噴流の形状で流体を主
として切削インサートに向かわせて供給可能にし、それによって切り屑を除去す
る。使用できる流体噴流の圧力が高ければ高いほど、単なる冷却だけでなく、切
り屑に及ぼす機械的は効果を与えることもでき、流体噴流の用途の発展性も高く
なり、具体的には、切り屑を可能な限り小さな小片に粉砕する目的が達成される
。この状況、すなわち低圧力と高圧力とのそれぞれについて考察することは、当
業者には種々の意見がある。しかしながら、一般的に言えば、この分け方は次の
範囲にしたがうことが必要がある。
【0003】 低圧力 <10bar 中間圧力 10〜100bar及び 高圧力 >100bar 旧来の切削工具においては、冷却は低圧力の冷却流体を使用して実施したが、
ところがやや最近の切削工具は中間圧力の冷却流体で加工してきた。極めて最近
の技術においては、数百バールの流体圧力の使用が明らかになっている。例えば
、米国特許第5,148,728号は、2800バールまでの高圧の流体圧力を
使用することを計画している。
【0004】 例えば、旋削加工で切削する際に、切削インサートが通常金属の回転加工物か
ら切り屑を切り出すときに、相当量の熱が発生する。実際の切り屑の切削は、一
次剪断領域において行われ、この剪断領域は加工物の周囲部分に発達し、且つ切
削インサートの切れ刃の上側斜めに延在する。切り屑及び加工物だけでなく切削
インサートにも発生する高温度によって、一次剪断領域から切り離された切り屑
は、摩擦及び抵抗の双方によって影響されることもなく、切削インサートの上面
を横切って滑り去ることができない。それどころか、非常に高温の切り屑は、成
り行きで、所定の接触長さに沿って切削インサートの上面に付着し、このことは
溶接にある点で類似性がある。この接触長さは、例えば加工物の材料に依存し、
切れ刃近くにある剪断領域から後方で、数10ミリから数mmのあいだで変化す
る。そうすることで、熱い材料が薄い層で強く付着し、その上側で切り屑のふさ
わしい切削が2次剪断領域において剪断によって行われる(殆ど溶接領域を示す
)。その先では、いわゆる摩擦領域が続き、それにそって、切り屑が取り去る以
前に、切り屑と切削インサートとが効果的な摩擦接触をする。切削インサートか
ら切り屑の分離を促進するために、殆どある種の切り屑偏向体が設けられ、例え
ば、この偏向体の形状は、実際の切削インサートの上面に隆起または突起状の形
状、及び/または工具上に特有なボディー形状の特に切削インサートの保持用の
締結具の形である。
【0005】 最近の高圧力の冷却流体技術は、切削インサートから最初に切り屑が分離され
る点であって、切り屑の底面と切削インサートの上面との間に設けられた実質的
に楔状の空間に、冷却流体噴流を導入することに向けられている。いわゆる切り
屑と切削インサートの上面のあいだの水圧楔を形成すること、及び上記楔が可能
な限り切り屑の破断に寄与する必要性にもとずく考えは、切削インサートに沿う
切り屑の接触長さ範囲を減少させる。切り屑と切削インサートとのあいだに高圧
力の冷却流体を導入する基本的な目的は、もちろん、可能な限り工具を冷却する
ことでもある。しかしながら、従来使用してきた慣用の切削インサートとから脱
却して、冷却と切り屑の流れとを改良する試みは、かなりの成功を収めた。
【0006】 発明の目的及び特徴 本発明は、従来技術の上記欠点を取り除き、且つ切り屑をさらに効果的に冷却
して取り除くために改良した切削インサートを提供することを目的とする。した
がって、本発明の第1の目的は、切り屑が切削インサートから分離する区域でそ
の下側領域に高圧力の流体噴流を接近可能にし、同時に可能な限り効果的に切削
インサートの上面から切り屑を取り除ける切削インサートを提供することである
。もう一つの目的は、簡単で安価な方法によって、さらに具体的には新しい幾何
学的形状を備えた切削インサートを提供することによって、切り屑の冷却と除去
とを目的とする改良を保証する切削インサートを提供することである。
【0007】 本発明にしたがって、少なくとも主目的は、請求項1の特徴部分に定義する特
徴によって達成される。本発明にしたがう好ましい実施態様は、従属項にさらに
規定する。 先行技術のさらなる解明 特にネジ製造用に形成された切削インサートは、ドイツ特許第3740814
号で既知であり、このインサートは、切削インサートの上面に切削インサートの
切り刃に向かう方向に冷却剤を供給するため複数の溝を設ける。具体的には、三
つの比較的広い溝が、切削インサートの上面に凹部を形成し、そして付随するシ
ートに切削インサートを保持する目的を備えた且つ同時に切り屑偏向板として役
立つ別の締結具と協動するために配列する。したがって、締結具の底面とともに
溝がダクトを規定し、それを通って冷却流体が切削工具のフレーム内の中央主ダ
クトから供給される。それ以外では、冷却流体を高圧力の噴流形状で供給するこ
とができない。さらに、この冷却流体の供給方法は、締結具によって保持される
切削インサートだけに限定される。
【0008】 発明の好ましい実施態様の詳細な説明 図1〜図3に切削インサートを示し、この切削インサートは、上面2、底面3
、ならびに上面と底面とのあいだに延在する複数の側面4によって範囲が定めら
れる。示されたこの実施例においては、側面の個数は4個である。上面2と、逃
げとして役立つ側面4とのあいだには切れ刃5が存在する。切削インサートのコ
ーナーで、真っ直ぐな切れ刃部分5は、丸みを帯びた切れ刃部分5’に遷移する
。一般的に矩形状の切削ボディーでは、固定ネジ(図示せず)用の中央穴6が設
けられ、固定ネジによって切削インサートを、例えば旋削加工用の切削工具のシ
ートに締結することが可能となる。この工具の一部を、図9において7で輪郭を
示す。
【0009】 互いに隔たった複数の溝8を切削インサート5に備え、且つ上記溝を切削イン
サートの上面の上方に向かって開口させる。突出部9を本発明の特徴にしたがっ
て隣接する溝8同士のあいだに配置し、これらの突出部を切削インサートの上面
から突出させる。図1及び図3から明らかなように、個々の溝が中央穴6の近く
の領域から逃げ4まで延在する。すなをち、図1〜図3に従う実施態様例におい
ては、個々の溝が逃げ4に至まで開口されている。
【0010】 図4に従う実施態様は、図1〜図3に従う実施態様とは相違し、4つの側部切
れ刃のそれぞれに沿って、すなわち切削インサートの切れ刃のそれぞれに沿って
、溝セット8が配列する点においてのみ相違する。換言すれば、図4にしたがう
切削インサートは、割り出し可能なインサートである。 図5〜図8を参照して本発明の第3の別の実施態様を示す。この切削インサー
トと、図1〜図3のそれぞれの切削インサートとの唯一の基本的な相違は、個々
の溝8が、付随する切れ刃5から所定の距離で終結していることである。したが
って、この場合に、切れ刃5は、切削インサートの二つコーナーの間では連続し
て延在する。
【0011】 図7と図8とから明らかなように、個々の溝8は上方に向かって隔たる断面形
状を備える。さらに具体的には、溝は、その底で丸みを帯びた形状で互いに底面
へと変化する二つの傾斜した側壁10、10’によって範囲が定められる。個々
の溝は、切削インサート2の上面高さで、この溝の幅より大きな深さを必要とす
る。実際に、上面高さで、溝は0.2〜0.4mmの範囲の幅であり、一方上面
2の高さに対して底面11から計算した深さは、0.4〜0.6mmの範囲にす
ることができる。図7において、参照符号12は、二つの隣接する溝8同士のあ
いだのランド部を示す。このランド部の幅は、ランド部の高さで個々の溝8の幅
の大きさの少なくとも2倍とする必要がある。実際に、そのために、このランド
部の幅は0.8〜1.2mmまたはそれ以上の大きさである。
【0012】 個々の切り屑偏向突出部9の形状は、一般的に丸みを帯びさせる必要がある。
すなわち、図6に示されるように、凸状に丸みを帯びた王冠状面が、凹状に丸み
を帯びた遷移面を経由して、それぞれ上面2とランド部12に変化する。横方は
、個々の突出部が、溝8を規定している側面10、10’が隔ている切れ刃形状
の延在部によって有利に範囲を限定される。
【0013】 図5にしたがう単に一組の溝の代わりに、図10に個々のインサートが4組の
溝を有する。全ての形式の実施態様において突出部9が、中央穴6の近くに設け
られた溝8の内側端部の外側に、全体的にまたは部分的に配置される。 発明にしたがう切削インサートの機能及び利点 付属工具7とともに切削インサート1によって、回転する加工物14を如何に
旋削加工作業に従わせるかを図9に示す。このようにすることで、切削インサー
トは15で示す切り屑を切削する。この切り屑15の工作物14からの分離が、
一次剪断領域で開始し、図9に点線16でその輪郭を示す。17で示す切り屑の
一部に、切り屑が最終的に分離されたところに沿って二次剪断領域がある。この
材料が、切削インサートの上面にこの剪断領域の下の薄い層で付着し、その後切
り屑が切削インサートを最終的に離れる前に、これが摩擦領域に続く。
【0014】 参照符号18は、工具に付属するノズル(図示せず)から高圧で噴出する冷却
流体噴流であり、切り屑15の下側と切削インサートの上面とのあいだの領域に
向けられる。ノズルから放出される冷却流体の圧力は、都合良くは、250〜1
000barまたはそれを越える範囲にする。 突出物9の形状の切り屑案内溝素子と組み合わされた溝8が存在するために、
冷却流体噴流18を切り屑15の下側の間隙に導くことが可能となる。さらに具
体的には、直接切れ刃の近への冷却流体の供給は、各溝8の複数の部分的な流れ
の形で行われる。高圧力での噴流操作は、改良された能力を備え切り屑に機械的
な影響を及ぼすために、少なくとも摩擦領域において、切削インサートの上面に
対して既知の技術よりも急激な角度で切り屑を破断する。これは、切り屑接触長
さ、すなわち、切り屑が切削インサートから離れるとき、切れ刃からその離れる
点までの長さを減少することができることを意味する。同時に、切り屑の破断角
度が険しくなればなるほど、切り屑を小片に破断しやすくなる。さらに重要な溝
の特徴は、切り屑ならびに切削インサートの冷却がさらに効果的になることであ
る。このような方法においては、切り屑は、溝を通って切り屑の下側から供給さ
れる冷却流体の部分的流れによって、改良された方法で下側から冷却することが
できる。同時に、溝に隣接している切削インサート部分が、冷却流体用の溝を設
けていない従来の切削インサートの相当する表面部分に比較して非常に良好に冷
却される。換言すれば、切り屑ならびに切削インサートの切れ刃部分の温度を根
本的に降下することが可能である。
【0015】 図5と図10にしたがう実施態様を比較して、図1と図4にしたがう実施態様
は、供給された冷却流体が、逃げ面4に至まで開口した溝8の端部を貫通して通
過できることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にしたがう第1の簡単な切削インサートの実施態様の斜視図である。
【図2】 図1にしたがう切削インサートを上からみた平面図である。
【図3】 図2におけるA−A断面を示す。
【図4】 第2の別の切削インサートの実施態様にしたがう切削インサートであり、図2
と同様の平面図である。
【図5】 本発明にしたがう第3の切削インサートの実施態様の平面図である。
【図6】 図5におけるB−B断面を示す。
【図7】 図5におけるC−C断面を示す。
【図8】 個々の溝を断面を示しめした拡大詳細図である。
【図9】 加工物を旋削加工する際の、図5〜8にしたがう切削インサートを示した拡大
詳細断面図である。
【図10】 第4の別の切削インサートの実施態様の平面図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年8月11日(1999.8.11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面(2)、底面(3)及び前記上面と底面とのあいだに延
    在する複数の側面(4)によって範囲が定められる切削インサートであって、且
    つ 前記上面(2)と逃げとして役立つ側面(4)とのあいだに少なくとも一つの
    切れ刃(5)と、互いに隔たって且つ上方に向かって開口する溝であって切れ刃
    と連絡して且つ切れ刃に向かう方向に冷却流体を供給するために前記上面(2)
    に備わる前記溝と、を有する切粉を除去して機械加工するための切削インサート
    において、 隣接する溝(8)同士のあいだに突出部(9)を配置し、前記突出部が切削イ
    ンサートの上面から突出して且つ切れ刃によって自由に切削された全ての切り屑
    (15)に対して切り屑偏向体を互いに形成する ことを特徴とする切削インサート。
  2. 【請求項2】 切り屑を案内する個々の突出物(9)が、隣接する溝(8)
    の内側端部(13)の外側に少なくとも部分的に位置することを特徴とする請求
    項1記載の切削インサート。
  3. 【請求項3】 個々の前記溝(8)が、上方に向かって互いに隔たる断面を
    備えた形状であることを特徴とする請求項1または2記載の切削インサート。
  4. 【請求項4】 個々の前記溝(8)が、前記上面の高さにおいて、前記溝の
    幅より大きいな深さであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の切削インサート。
  5. 【請求項5】 二つの隣接する溝(8)のあいだの個々のランド部(12)
    が、前記ランド部と同じ高さにおいて、個々の前記溝の幅の大きさの少なくとも
    2倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切削インサー
    ト。
  6. 【請求項6】 個々の前記溝(8)が、前記切れ刃(5)から少し離れて終
    結することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削インサート。
  7. 【請求項7】 個々の前記溝(8)が、前記逃げ(4)に開口することを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削インサート。
  8. 【請求項8】 前記溝(8)が、前記切れ刃(5)と、切削インサートを締
    結するために使用するネジ用でありそれ自体が既知である中央穴(6)と、のあ
    いだの領域に延在することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切
    削インサート。
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