JP4275856B2 - 冷却溝を備えた切削インサート - Google Patents
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Description
発明の技術分野
本発明は切り屑を除去して機械加工することを目的とする切削インサートに関し、このインサートは上面、底面、及びそれらの上面と底面とのあいだに延在する複数の側面によって範囲が定められ、且つこのインサートは、上記上面と逃げとして役立つ側面とのあいだに少なくとも一つの切れ刃と、互いに隔たって且つ上方に向かって開口する溝であって切れ刃と連絡して且つ切れ刃に向かう方向に冷却流体を供給するために上記上面に備わる溝とを有する。
【0002】
先行技術及び発明の一般的背景 切削工具例えば旋削加工用の工具の切削インサートだけでなく、その工具によって機械加工された加工物、並びに加工物から切削される切り屑に対する冷却の実施が永い間既知である。切削加工に対する今日の技術の基本的目的は、冷却流体を可能な限り高い圧力で使用可能にし、且つ一つ以上の噴流の形状で流体を主として切削インサートに向かわせて供給可能にし、それによって切り屑を除去する。使用できる流体噴流の圧力が高ければ高いほど、単なる冷却だけでなく、切り屑に及ぼす機械的は効果を与えることもでき、流体噴流の用途の発展性も高くなり、具体的には、切り屑を可能な限り小さな小片に粉砕する目的が達成される。この文脈において、なにが低流体圧力でなにが高流体圧力と考えるかについては、当業者には種々の意見がある。しかしながら、一般的に言えば、この分け方は次の範囲にしたがうことが必要である。
【0003】
低圧力 <10bar
中間圧力 10〜100bar及び
高圧力 >100bar
旧来の切削工具においては、冷却は低圧力の冷却流体を使用して実施したが、ところがやや最近の切削工具は中間圧力の冷却流体で加工してきた。極めて最近の技術においては、数百バールの流体圧力の使用が明らかになっている。例えば、米国特許第5,148,728号は、2800バールまでの高圧の流体圧力を使用することを計画している。
【0004】
例えば、旋削加工で切削する際に、切削インサートが通常金属の回転加工物から切り屑を切り出すときに、相当量の熱が発生する。実際の切り屑の切削は、一次剪断領域において行われ、この剪断領域は加工物の周囲部分に発達し、且つ切削インサートの切れ刃の上側斜めに延在する。切り屑及び加工物だけでなく切削インサートにも発生する高温度によって、一次剪断領域から切り離された切り屑は、摩擦及び抵抗の双方によって影響されることもなく、切削インサートの上面を横切って滑り去ることができない。それどころか、非常に高温の切り屑は、成り行きで、所定の接触長さに沿って切削インサートの上面に付着し、このことは溶接にある点で類似性がある。この接触長さは、例えば加工物の材料に依存し、切れ刃近くにある剪断領域から後方で、数10ミリから数mmのあいだで変化する。そうすることで、熱い材料が薄い層で強く付着し、その上側で切り屑のふさわしい切削が2次剪断領域において剪断によって行われる(殆ど溶接領域を示す)。その先では、いわゆる摩擦領域が続き、それにそって、切り屑が取り去る以前に、切り屑と切削インサートとが効果的な摩擦接触をする。切削インサートから切り屑の分離を促進するために、殆どある種の切り屑偏向体が設けられ、例えば、この偏向体の形状は、実際の切削インサートの上面に隆起または突起状の形状、及び/または工具上に特有なボディー形状の特に切削インサートの保持用の締結具の形である。
【0005】
最近の高圧力の冷却流体技術は、切削インサートから最初に切り屑が分離される点であって、切り屑の底面と切削インサートの上面との間に設けられた実質的に楔状の空間に、冷却流体噴流を導入することに向けられている。いわゆる切り屑と切削インサートの上面のあいだの水圧楔を形成すること、及び上記楔が可能な限り切り屑の破断に寄与する必要性に基づく考えは、切削インサートに沿う切り屑の接触長さ範囲を減少させる。切り屑と切削インサートとのあいだに高圧力の冷却流体を導入する基本的な目的は、もちろん、可能な限り工具を冷却することでもある。しかしながら、慣用の切削インサートとから脱却して、冷却と切り屑の流れとを改良する従来行われてきた試みは、完全に成功してはいない。
【0006】
発明の目的及び特徴
本発明は、従来技術の上記欠点を取り除き、且つ切り屑をさらに効果的に冷却して取り除くために改良した切削インサートを提供することを目的とする。したがって、本発明の第1の目的は、切り屑が切削インサートから分離する区域でその下側領域に高圧力の流体噴流を接近可能にし、同時に可能な限り効果的に切削インサートの上面から切り屑を取り除ける切削インサートを提供することである。もう一つの目的は、簡単で安価な方法によって、さらに具体的には新しい幾何学的形状を備えた切削インサートを提供することによって、切り屑の冷却と除去とを目的とする改良を保証する切削インサートを提供することである。
【0007】
本発明にしたがって、少なくとも主目的は、請求項1の特徴部分に定義する特徴によって達成される。本発明にしたがう好ましい実施態様は、従属項にさらに規定する。
先行技術のさらなる解明
特にネジ製造用に形成された切削インサートは、ドイツ特許第3740814号で既知であり、このインサートは、切削インサートの上面に切削インサートの切り刃に向かう方向に冷却剤を供給するため複数の溝を設ける。具体的には、三つの比較的広い溝が、切削インサートの上面に凹部を形成し、そして付随するシートに切削インサートを保持する目的を備えた且つ同時に切り屑偏向板として役立つ別の締結具と協動するために配列する。したがって、締結具の底面とともに溝がダクトを規定し、それを通って冷却流体が切削工具のフレーム内の中央主ダクトから供給される。それ以外では、冷却流体を高圧力の噴流形状で供給することができない。さらに、この冷却流体の供給方法は、締結具によって保持される切削インサートだけに限定される。
【0008】
発明の好ましい実施態様の詳細な説明
図1〜図3に切削インサートを示し、この切削インサートは、上面2、底面3、ならびに上面と底面とのあいだに延在する複数の側面4によって範囲が定められる。示されたこの実施例においては、側面の個数は4個である。上面2と、逃げとして役立つ側面4とのあいだには切れ刃5が存在する。切削インサートのコーナーで、真っ直ぐな切れ刃部分5は、丸みを帯びた切れ刃部分5’に遷移する。一般的に矩形状の切削ボディーでは、固定ネジ(図示せず)用の中央穴6が設けられ、固定ネジによって切削インサートを、例えば旋削加工用の切削工具のシートに締結することが可能となる。この工具の一部を、図9において7で輪郭を示す。
【0009】
互いに隔たった複数の溝8を切削インサート5に備え、且つ上記溝を切削インサートの上面の上方に向かって開口させる。突出部9を本発明の特徴にしたがって隣接する溝8同士のあいだに配置し、これらの突出部を切削インサートの上面から突出させる。図1及び図3から明らかなように、個々の溝が中央穴6の近くの領域から逃げ4まで延在する。すなをち、図1〜図3に従う実施態様例においては、個々の溝が逃げ4に至まで開口されている。
【0010】
図4に従う実施態様は、図1〜図3に従う実施態様とは相違し、4つの側部切れ刃のそれぞれに沿って、すなわち切削インサートの切れ刃のそれぞれに沿って、溝セット8が配列する点においてのみ相違する。換言すれば、図4にしたがう切削インサートは、割り出し可能なインサートである。
図5〜図8を参照して本発明の第3の別の実施態様を示す。この切削インサートと、図1〜図3のそれぞれの切削インサートとの唯一の基本的な相違は、個々の溝8が、付随する切れ刃5から所定の距離で終結していることである。したがって、この場合に、切れ刃5は、切削インサートの二つコーナーの間では連続して延在する。
【0011】
図7と図8とから明らかなように、個々の溝8は上方に向かって隔たる断面形状を備える。さらに具体的には、溝は、その底で丸みを帯びた形状で互いに底面へと変化する二つの傾斜した側壁10、10’によって範囲が定められる。個々の溝は、切削インサート2の上面高さで、この溝の幅より大きな深さを必要とする。実際に、上面高さで、溝は0.2〜0.4mmの範囲の幅であり、一方上面2の高さに対して底面11から計算した深さは、0.4〜0.6mmの範囲にすることができる。図7において、参照符号12は、二つの隣接する溝8同士のあいだのランド部を示す。このランド部の幅は、ランド部の高さで個々の溝8の幅の大きさの少なくとも2倍とする必要がある。実際に、そのために、このランド部の幅は0.8〜1.2mmまたはそれ以上の大きさである。
【0012】
個々の切り屑偏向突出部9の形状は、一般的に丸みを帯びさせる必要がある。すなわち、図6に示されるように、凸状に丸みを帯びた王冠状面が、凹状に丸みを帯びた遷移面を経由して、それぞれ上面2とランド部12に変化する。横方は、個々の突出部が、溝8を規定している側面10、10’が隔ている切れ刃形状の延在部によって有利に範囲を限定される。
【0013】
図5にしたがう単に一組の溝の代わりに、図10に個々のインサートが4組の溝を有する。全ての形式の実施態様において突出部9が、中央穴6の近くに設けられた溝8の内側端部の外側に、全体的にまたは部分的に配置される。
発明にしたがう切削インサートの機能及び利点
付属工具7とともに切削インサート1によって、回転する加工物14を如何に旋削加工作業に従わせるかを図9に示す。このようにすることで、切削インサートは15で示す切り屑を切削する。この切り屑15の工作物14からの分離が、一次剪断領域で開始し、図9に点線16でその輪郭を示す。17で示す切り屑の一部に、切り屑が最終的に分離されたところに沿って二次剪断領域がある。この材料が、切削インサートの上面にこの剪断領域の下の薄い層で付着し、その後切り屑が切削インサートを最終的に離れる前に、これが摩擦領域に続く。
【0014】
参照符号18は、工具に付属するノズル(図示せず)から高圧で噴出する冷却流体噴流であり、切り屑15の下側と切削インサートの上面とのあいだの領域に向けられる。ノズルから放出される冷却流体の圧力は、都合良くは、250〜1000barまたはそれを越える範囲にする。
突出物9の形状の切り屑案内溝素子と組み合わされた溝8が存在するために、冷却流体噴流18を切り屑15の下側の間隙に導くことが可能となる。さらに具体的には、直接切れ刃の近への冷却流体の供給は、各溝8の複数の部分的な流れの形で行われる。高圧力での噴流操作は、改良された能力を備え切り屑に機械的な影響を及ぼすために、少なくとも摩擦領域において、切削インサートの上面に対して既知の技術よりも急激な角度で切り屑を破断する。これは、切り屑接触長さ、すなわち、切り屑が切削インサートから離れるとき、切れ刃からその離れる点までの長さを減少することができることを意味する。同時に、切り屑の破断角度が険しくなればなるほど、切り屑を小片に破断しやすくなる。さらに重要な溝の特徴は、切り屑ならびに切削インサートの冷却がさらに効果的になることである。このような方法においては、切り屑は、溝を通って切り屑の下側から供給される冷却流体の部分的流れによって、改良された方法で下側から冷却することができる。同時に、溝に隣接している切削インサート部分が、冷却流体用の溝を設けていない従来の切削インサートの相当する表面部分に比較して非常に良好に冷却される。換言すれば、切り屑ならびに切削インサートの切れ刃部分の温度を根本的に降下することが可能である。
【0015】
図5と図10にしたがう実施態様を比較して、図1と図4にしたがう実施態様は、供給された冷却流体が、逃げ面4に至まで開口した溝8の端部を貫通して通過できることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にしたがう第1の簡単な切削インサートの実施態様の斜視図である。
【図2】 図1にしたがう切削インサートを上からみた平面図である。
【図3】 図2におけるA−A断面を示す。
【図4】 第2の別の切削インサートの実施態様にしたがう切削インサートであり、図2と同様の平面図である。
【図5】 本発明にしたがう第3の切削インサートの実施態様の平面図である。
【図6】 図5におけるB−B断面を示す。
【図7】 図5におけるC−C断面を示す。
【図8】 個々の溝を断面を示しめした拡大詳細図である。
【図9】 加工物を旋削加工する際の、図5〜8にしたがう切削インサートを示した拡大詳細断面図である。
【図10】 第4の別の切削インサートの実施態様の平面図である。
Claims (5)
- 上面(2)、底面(3)及び前記上面と底面とのあいだに延在する複数の側面(4)によって範囲が定められる切削インサートであって、且つ
前記上面(2)と逃げとして役立つ側面(4)とのあいだに少なくとも一つの切れ刃(5)と、互いに隔たって且つ上方に向かって開口する溝であって切れ刃と連絡して且つ切れ刃に向かう方向に冷却流体を供給するために前記上面(2)に備わる前記溝と、を有する切粉を除去して機械加工するための切削インサートにおいて、
隣接する溝(8)同士のあいだに突出部(9)を配置し、前記突出部が切削インサートの上面から突出して且つ切れ刃によって自由に切削された全ての切り屑(15)に対して切り屑偏向体を互いに形成し、
切り屑を案内する個々の突出物(9)が、隣接する溝(8)の内側端部(13)の外側に少なくとも部分的に位置し、
個々の前記溝(8)が、上方に向かって互いに隔たる断面を備えた形状であり、
且つ二つの隣接する溝(8)のあいだの個々のランド部(12)が、前記ランド部と同じ高さにおいて、個々の前記溝の幅の大きさよりも大きい、
ことを特徴とする切削インサート。 - 個々の前記溝(8)が、前記上面の高さにおいて、前記溝の幅より大きいな深さであることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
- 二つの隣接する溝(8)のあいだの個々のランド部(12)が、前記ランド部と同じ高さにおいて、個々の前記溝の幅の大きさの少なくとも2倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の切削インサート。
- 個々の前記溝(8)が、前記切れ刃(5)から少し離れて終結することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサート。
- 個々の前記溝(8)が、前記逃げ(4)に開口することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサート。
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