WO2006035910A1

WO2006035910A1 - スローアウェイインサートおよびそれを装着した転削工具

Info

Publication number: WO2006035910A1
Application number: PCT/JP2005/018033
Authority: WO
Inventors: Takuya Ishida
Original assignee: Kyocera Corporation
Priority date: 2004-09-29
Filing date: 2005-09-29
Publication date: 2006-04-06
Also published as: EP1808248A1; US20080260476A1; US20100316452A1; KR101067414B1; KR100896002B1; EP1808248A4; US7802946B2; EP1808248B1; KR20070069156A; US8142113B2; KR20080097492A

Abstract

　本発明の目的は、ホルダを長期にわたって使用可能とするとともに、切り屑排出性に優れたスローアウェイインサートを提供することにある。略多角形板状をなし、上面にすくい面２を、側面に逃げ面３を具備するとともに、すくい面２と逃げ面３との交差稜線部に主切刃４が形成され、かつ主切刃４が逃げ面３上に形成された少なくとも１つの溝部５によって分断された複数の分割主切刃４ａからなるスローアウェイインサート１であって、各分割主切刃４ａと対応するように、すくい面２上に突起６が形成されている。

Description

スローァウェイインサートおよびそれを装着した転削工具

技術分野

[0001] 本発明は、正面フライスやエンドミル等の転削工具に用いられるスローアウエィインサートに関する。背景技術

[0002] 図 28は、従来技術のスローアウエィインサート 101 (以下、インサート 101と略する）を示す斜視図であり、図 29は、従来技術のインサート 101を示す側面図である。インサート 101は、略円筒状のホルダに装着可能に構成される。インサート 101を装着したホルダは、被削材を転削する転削工具として用いられる。たとえばインサート 101 が装着される転削工具は、正面フライス用工具やエンドミル用工具等であり、特に切刃長が長く多数の切刃を取り付けて使用される転削工具として用いられる。

従来技術として、図 28に示すように、主切刃 103から連続するすくい面 104が正のすくい角を備えるとともに、主切刃 103を含む逃げ面 105を溝部 106によって分断したインサート 101が知られている（たとえば、特開平 7— 299636号公報参照）。このようなインサート 101は主として一度の切削動作で、大量の切り屑が排出される重切削用転削工具に用いられる。この重切削動作の場合、切込み量および送り量がともに大きぐ厳しい切削条件下での加工となることから、被削材力転削工具に与えられる切削抵抗が大きくなる。インサート 101は、主切刃 103が溝部 106によって複数の分割主切刃 103aに分断されることで、切削動作時に生成される切り屑が小さく分割される。これによつて、切削抵抗が減少し、被削材へのくいっき性もよくなることから加工中におけるびびり振動も抑制されるという効果が得られる。

図 30は、図 28に示す従来技術のインサート 101を有する転削工具 112を示す斜視図である。また図 31は、転削工具 112のインサート装着部の断面を示すとともに切り屑 116の生成状態を示す概略模式図である。重切削時に、被削材力生成される切り屑 116は、厚み、言い換えると断面積が大きぐ剛性が高く変形しづらい。したがつて転削工具 112の主切刃 103で生成された切り屑 116は、すく!/、面 104上をホルダ 111の中心側に向力つて流れて、切り屑ポケット 113のホルダ壁面 114に突き当たる。次に、切り屑 116は、ホルダ壁面 114をガイドとして切り屑ポケット 113の外方へ排出される。この場合、ホルダ壁面 114に切り屑 116が衝突し、ホルダ壁面 114と切り屑 116とが互いに摩擦するという問題がある。この場合、被削材に対する切削加工を繰り返して、被削材を転削すると、切り屑ポケット 113のホルダ壁面 114が次第に摩耗してゆき、ついには削り取られた状態となり、この削り取られた壁面に切り屑 116 が詰まって、切り屑排出性能が低下するという問題がある。

この場合、インサート 101が欠損する原因となったり、ホルダ 111の剛性が低下して加工精度が悪ィ匕したりするという問題がある。特に、重切削加工に起因して、生成される切り屑 116が厚くなつてゆくと摩耗が著しぐ損傷したホルダ 111を早期に交換しなければならな!/ヽと、うことが大きな問題となる。

発明の開示

本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、切り屑排出性を向上させることができ、切り屑ポケットに切り屑が詰まることを防ぐことができるスローァウェイインサートおよびそれを装着した転削工具を提供することを目的とする。

本発明は、略板状をなし、厚み方向一方の面にすくい面を、側面に逃げ面を具備するとともに、前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に主切刃が形成され、かつ前記主切刃が分断された複数の分割主切刃からなるスローァウェイインサートであつて、

前記すくい面から突出して、前記各分割主切刃に対応する位置に突起が形成されて、ることを特徴とするスローァウェイインサートである。

また本発明は、前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて高さが漸減する形状に形成されて!ヽることを特徴とする。

また本発明は、前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて幅が漸減する形状に形成されて!ヽることを特徴とする。

また本発明は、前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて幅と高さとが漸減するように先細りした形状に形成されていることを特徴とする。

また本発明は、前記突起のうち主切刃側部分は、上方に向かうにつれて互いの間の距離が漸減する 2つの突起側面を有し、前記 2つの突起側面によって形成される交差稜線部は、前記分割主切刃に近づくにつれて、前記すくい面との間の距離が漸減することを特徴とする。

また本発明は、前記各突起のうち少なくとも 1つの突起は、分割主切刃に対して略直交する方向に延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記各突起のうち少なくとも 1つの突起は、分割主切刃の中間部分に向カゝつて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記分割主切刃の略垂直二等分線上に、前記突起が配設されていることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の略中央に、厚み方向に貫通した貫通孔を具備するとともに、貫通孔周りに環状の隆起部を具備していることを特徴とする。

また本発明は、前記突起は、前記各分割主切刃と対をなすように、それぞれ形成されることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃と対をなす各突起が、前記分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起は、前記コーナー R切刃に向力つて幅と高さが漸減するように形成されていることを特徴とする。

また本発明は、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記突起は、前記各分割主切刃に対応して 1つ以上、それぞれ形成されることを特徴とする。また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃に対応する各突起が、前記分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応して突起が設けられ、この対応する突起のうち、前記コーナー R切刃に最近接して配設される突起は、前記コーナー R切刃に向カゝつて幅と高さが漸減するように形成されてヽることを特徴とする。

また本発明は、前記コーナー R切刃に最近接して配設される突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応して突起が設けられ、この突起のうち、前記コーナー R切刃に最近接して配設される突起以外の突起が、前記分割主切刃と略直交する方向に延びて配設されることを特徴とする。

また本発明は、略板状の本体部の厚み方向一方の面に形成されたすくい面と、前記本体部の厚み方向他方の面に形成された底面と、

前記本体部側面に形成された逃げ面と、

前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に形成された主切刃と、

前記逃げ面上に形成され、両端が前記すくヽ面および前記底面に達する主溝部とを備えたスローァウェイインサートであって、

前記主切刃および前記逃げ面は、各々前記主溝部によって分断された複数の第 1 分割主切刃および分割逃げ面からなるとともに、さらに前記第 1分割主切刃は、一端が前記すくい面に達するようにして前記主溝部と並んで前記分割逃げ面上に配される副溝部によって分断された複数の第 2分割主切刃からなるスローァウェイインサートである。また本発明は、前記副溝部の幅が前記主溝部の幅より小さいことを特徴とする。また本発明は、前記副溝部の長さが前記本体部の厚みより短いことを特徴とする。また本発明は、前記副溝部の深さが前記主溝部の深さより小さいことを特徴とするまた本発明は、前記副溝部が前記第 1分割主切刃を略等分するように配設されることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面上に、前記第 2分割主切刃に対応する位置に、少なくとも 1つ以上の突起が配設されて、ることを特徴とする。

また本発明は、前記すく!、面の中央に厚み方向に貫通した貫通孔を具備するとともに、貫通孔周りに環状の隆起部を具備していることを特徴とする。

また本発明は、前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、すくい面と反対側にホルダに当接する底面が形成され、

前記各分割主切刃は、コーナー R切刃に近づくにつれて、前記底面から離反する方向に傾斜することを特徴とする。

また本発明は、前述のスローァウェイインサートと、前記スローァウェイインサートを複数装着するホルダとを具備することを特徴とする転削工具である。

図面の簡単な説明

本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。

図 1は、本発明の第 1実施形態によるスローァウェイインサート 1を示す全体斜視図である。

図 2は、インサート 1を示す平面図である。

図 3は、インサート 1を示す長辺側側面図である。

図 4は、インサート 1を示す短辺側側面図である。

図 5は、本発明のインサート 1, 21を用いた転削工具 12の全体斜視図である。図 6は、本発明の転削工具 12のインサート装着状態を示す拡大斜視図である。図 7は、図 6の転削工具の S— S断面図である。図 8は、本発明の第 2実施形態によるインサート 21を示す全体斜視図である。図 9は、インサート 21を示す平面図である。

図 10は、本発明の第 3実施形態によるインサート 31を示す全体斜視図である。図 11は、インサート 31を簡略ィ匕して示す長辺側側面図である。

図 12は、本発明の第 3実施形態のインサート 31の変形例のインサート 31aを簡略化して示す長辺側側面図である。

図 13は、本発明の第 3実施形態のインサート 31の他の変形例のインサート 31bを簡略化して示す長辺側側面図である。

図 14は、本発明の第 4実施形態によるインサート 41を示す全体斜視図である。図 15は、インサート 41の長辺側側面図である。

図 16は、本発明の第 5実施形態によるインサート 51を示す全体斜視図である。図 17は、インサート 51を示す平面図である。

図 18は、インサート 51を示す長辺側側面図である。

図 19は、インサート 51を示す短辺側側面図である。

図 20A〜20Dは、第 5実施形態のインサート 51と、比較例のインサート 151A, 15 IB, 151Cの切れ刃形状を簡略ィ匕して示す平面図である。

図 21は、本発明の第 6実施形態によるインサート 61を示す平面図である。

図 22は、インサート 61を示す長辺側側面図である。

図 23は、インサート 61を示す短辺側側面図である。

図 24は、本発明のインサート 51, 61を装着した転削工具 12を示す斜視図である。図 25は、本発明の第 7実施形態のインサート 71を示す全体斜視図である。

図 26は、本発明の転削工具 12のインサート装着状態を示す拡大斜視図である。図 27は、第 7実施形態の変形例のインサート 71aを示す全体斜視図である。

図 28は、従来技術のインサート 101を示す斜視図である。

図 29は、従来技術のインサート 101を示す長辺側側面図である。

図 30は、図 28に示す従来技術のインサート 101を有する転削工具 112を示す斜視図である。

図 31は、転削工具 112のインサート装着部の断面を示すとともに切り屑 16の生成状態を示す概略模式図である。

発明を実施するための最良の形態

以下図面を参考にして本発明の好適な実施例を詳細に説明する。

(第 1実施形態）

図 1は、本発明の第 1実施形態によるスローァウェイインサート 1 (以下、インサート 1 と略する）を示す全体斜視図である。図 2は、インサート 1を示す平面図であり、図 3は、インサート 1を示す長辺側側面図であり、図 4は、インサート 1を示す短辺側側面図である。

本実施例によるインサート 1は、略多角形板状、具体的には略平行四辺形板状をなしており、その上面にすくい面 2を、側面に逃げ面 3を具備している。前記すくい面 2と前記逃げ面 3との交差稜線部には主切刃 4が形成され、主切刃 4は前記逃げ面 3 上に形成された 1つ以上の溝部 5によって分断された複数の分割主切刃 4aから構成されている。また、インサート 1の 1つの鋭角の角部には、側面とすくい面 2との交差稜線部にコーナー R切刃 7が形成されており、主切刃 4の最もコーナー R切刃 7側に位置する分割主切刃 4aと連なっている。また各分割主切刃 4aに隣接するすくい面 2上には、前記各分割主切刃 4aに対応して突起 6がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、各分割主切刃 4aと対をなすように、すくい面 2上に突起 6がそれぞれ形成されている。

インサート 1には、厚み方向 Aに貫通する円筒状の貫通孔 16が形成される。貫通孔 16は、インサート 1をホルダに固定するための穴となる。貫通孔 16は、インサート 1の長手方向 Bおよび幅方向 Cにおける中央位置に形成される。インサート 1は、貫通孔 16の軸線に関して、 180度回転対称形状、言い換えると 2回回転対称形状に形成される。したがって任意の方向からインサート 1を仮想平面に投影したときに、貫通孔 1 6の軸線まわりに 180度回転させた状態と、回転させる前の状態とで、仮想平面に投影されるインサート 1の形状は同一となる。このようにインサート 1は、 180度回転対称に形成されるので、対称な形状のうち一方の形状について説明し、一方の形状に対称な他方の形状についての説明を省略する場合がある。

インサート 1のうちで厚み方向一方側部分となる上面部の縁辺には、長手方向 Bに延びる主切刃 4が形成されるとともに、主切刃 4の一端部に連なり円弧状に延びるコーナー R切刃 7が形成される。インサート 1がホルダに装着された状態で、主切刃 4はホルダ軸線と略平行に延びてホルダの外周面カゝらホルダ半径方向に突出し、主切刃 4に連なるコーナー R切刃 7はインサート 1のうちでホルダ先端部側部分に形成されるこのように本実施の形態ではインサート 1は、略平行四辺形板状に形成され、厚み方向 Aに垂直な平面に投影した投影形状が、略平行四辺形に形成される。以下、この略平行四辺形板状の厚み方向をインサート厚み方向 Aと称し、この略平行四辺形の長手方向をインサート長手方向 Bと称し、インサート厚み方向 Aとインサート長手方向 Bとに互いに垂直に延びる方向をインサート幅方向 Cと称する場合がある。インサート 1は、厚み方向一方 A1の面にすくい面 2が形成され、厚み方向他方 A2に底面が形成される。またインサート 1は、インサート幅方向 Cの端面に逃げ面 3が形成される。すくい面 2と逃げ面 3との交差稜線部は、インサート 1の長手方向 Bに延びる。したがって交差稜線部に形成される主切刃 4は、インサート長手方向 Bに延びる。本実施の形態では、インサート厚み方向 Aに垂直な平面に沿って延びる。またインサート 1 は、ホルダに対して着脱可能に構成され、インサート 1の底面がホルダに設けられる着座面に当接した状態で、ホルダに装着される。

インサート 1の幅方向 Cの端部には、幅方向端面力インサート幅方向 Cに没入して、インサート厚み方向 Aに延びるように形成される溝部 5を有する。本実施の形態では、溝部 5はインサート長手方向 Bに間隔をあけて複数設けられる。各溝部 5は、ィンサート 1のすくい面 2から底面にわたって形成され、底面に近づくにつれてインサート長手方向 B寸法である幅寸法が大きくなる。また溝部 5のインサート幅方向 Cである深さ寸法は、重切削加工において一般的に用いられる条件の中での、転削工具の一刃あたりの最大送り量よりも大きく設定される。インサート 1がホルダに装着された状態では、各溝部 5は、ホルダの回転軸線に垂直な平面上を、ホルダ 11の周方向に沿つて延びる。

主切刃 4および逃げ面 3は、溝部 5によってインサート長手方向 Bに分断される。したがって主切刃 4は、互いに間隔をあけてインサート長手方向 Bに並ぶ複数の分割主切刃 4aを有する。また逃げ面 3は、互いに間隔をあけてインサート長手方向 Bに並ぶ複数の分割逃げ面を有する。本実施の形態では、インサート 1には、インサート長手方向 Bに並ぶ 4つの溝部 5が形成されるので、主切刃 4は 5つの分割主切刃 4aを有し、逃げ面 3は 5つの分割逃げ面を有する。各溝部 5は、略同形状に形成され、ィンサート長手方向 Bに略等間隔に並ぶ。

また本実施の形態では、すくい面 2からインサート厚み方向 Aに突出する複数の突起 6が形成される。各突起 6は、対応する分割主切刃 4aに対をなしてそれぞれ形成され、各々対をなす分割主切刃 4aに向カゝつて配設される。また突起 6のうち分割主切刃側部分は、インサート幅方向 Cに向力つて、各々対応する分割主切刃 4aに近づくにつれて、幅と高さが漸減するように先細りした形状に形成される。ここで、突起 6の高さとは、すくい面 2に対する突起 6のインサート厚み方向 Aの寸法である。また突起 6の幅とは、突起 6のインサート長手方向 Bの寸法である。

突起 6のうち分割主切刃側部分は、インサート長手方向 B—方に露出する一方突起側面と、インサート長手方向 B他方に露出する他方突起側面とを有する。 2つの突起側面は、インサート厚み方向一方 A1に向力うにつれて、インサート長手方向 Bの間隔が漸減する。また 2つの突起側面は、インサート厚み方向一方 A1側端部で交差して、交差稜線部が形成される。 2つの突起側面によって形成される突起 6の交差稜線部は、対応する分割主切刃 4aに近づくにつれて、すくい面 2とのインサート厚み方向 Aの距離が漸減する。

また図 2に示すように、分割主切刃 4aと突起 6との間のインサート幅方向 Cの距離 t は、分割主切刃 4aのインサート長手方向 B中央部で最短となるように構成される。また突起 6と、前記突起 6に対応する分割主切刃 4aとの間の最短距離 tは、 0. 5mm以上 5. Omm以下に形成される。最短距離 tが、 0. 5mm以上に設定されることで、インサート 1が重切削に用いられる場合であっても、切り屑が突起 6に衝突するときの衝撃が過剰となることを防ぐことができる。また最短距離 tが、 5. Omm以下に設定されることで、切り屑を十分に湾曲させることができ、切り屑排出性能を向上させることができる。

本実施の形態では、分割主切刃 4aの長さ Xが 5. 2ミリメートルであり、前記最短距離 tは、 2. 3mmとなる。また後述する図 7に示すように、すくい面 2と突起 6の稜線との成す突起角度 αは、 90° 以上 170° 以下が好ましぐ本実施の形態では、突起角度 αは、約 165° に選択される。突起角度 exが 90° より小さく設定されると、切り屑がつまりやすくなり、突起角度 αが 170° より大きいと、切り屑が湾曲変形されずに伸びた状態となってしまう。本実施の形態では、突起角度 exが約 165° に選択されることで、切り屑が詰まることなく円滑に湾曲変形させることができる。

また突起 6の稜線と底面との成す角度 βは、約 150° に選択される。また分割主切刃 4aから突起 6の頂点までの距離 uは、 3. Ommに選択される。このように突起 6の形状の構成要素として、高さ、幅および分割主切れ刃から突起先端までの距離の要素が重要となる。たとえば各突起 6の最大幅は、分割主切刃 4aの長さ Xよりも小さく形成される。

また各突起 6のうちで、コーナー R切刃 7に連なる分割主切刃 4aに対応する突起 6 をコーナー R突起 6aと称し、コーナー R突起 6a以外の突起 6を直交突起 6bと称する o各突起 6のうちで直交突起 6bは、各々対応する分割主切刃 4aの略垂直二等分線上に配設される。すなわち直交突起 6bは、各々対応する分割主切刃 4aの長手方向略中央部分に向かって配設され、分割主切刃 4aに直交する仮想直線に沿ってそれぞれ延びて配設される。言い換えると、各直交突起 6bの稜線が、各々対応する分割主切刃 4aの垂直二等分線上に延びる。また各直交突起 6bの分割主切刃側先端部分は、形状が略同一形状に形成される。ここで分割主切刃 4aの垂直二等分線とは、分割主切刃 4aをインサート長手方向 Bに二等分するとともに、分割主切刃 4aに対して垂直に延びる直線である。

各突起 6のうちでコーナー R突起 6aは、コーナー R切刃 7に近づくにつれて、幅と高さとが漸減するように形成される。言い換えると、コーナー R突起 6aは、インサート上面視において、その交差稜線部の稜線と分割主切刃との成す傾斜角度 Θ力 90° 未満となる。またコーナー R突起 6aの稜線は、インサート上面視における分割主切刃 4aとの成す傾斜角度 0力 60° 以上 85° 以下に設定される仮想直線に沿って延びて配設されることが好ましい。本実施の形態では傾斜角度 Θは、 65° に設定される。またすくい面 2の中央部の貫通孔 16周りに島状部、具体的には環状の隆起部 15 が形成されている。隆起部 15は、すくい面 2からインサート厚み方向一方 A1に突出し、主切刃 4に向かうにつれて、幅および高さが漸減する形状に形成される。隆起部 15の高さとは、すくい面 2に対する隆起部 15のインサート厚み方向 Aの寸法である。また隆起部 15の幅とは、隆起部 15のインサート長手方向 Bの寸法である。隆起部 15 は、各突起 6の分割主切刃側部分よりも、インサート幅方向 C中央寄りに形成される。また隆起部 15は、ねじ部材 17によってインサート 1がホルダの装着部に装着された状態で、ねじ部材 17の頭部よりもインサート厚み方向 Aに突出する。また本実施の形態では、インサート 1に形成される突起 6のうちで、インサート長手方向中間部に配置される突起は、隆起部 15と一体に形成される。隆起部 15と一体に形成される突起 6 の交差稜線部は、隆起部の厚み方向一方端部と滑らかに連なる。隆起部 15と突起 6 とが一体に形成されることで、突起 6の欠損を防止することができる。

インサート 1の底面がホルダに形成される着座面に当接した状態で、インサート 1に形成される貫通孔 16と、ホルダの装着部に形成される円筒状の装着孔とが略同軸となる。この状態で、外ねじが形成されるねじ部材 17をインサート 1の貫通孔 16に挿入し、ホルダの装着孔に螺進させることによって、インサート 1をホルダの装着部に締結することができる。これによつて、インサート 1がホルダの装着部に装着される。

ホルダの先端部には、ホルダの外周面および軸線方向端面力没入する凹所が形成される。この凹所は、装着されるインサート 1が収容されるインサート収容空間と、被削材カも切削される切り屑が一時的に収容される切り屑ポケットとが形成される。インサート収容空間と切り屑ポケットとはホルダ周方向に隣接して設けられる。

図 5は、本発明のインサート 1, 21を用いた転削工具 12の全体斜視図であり、図 6 は、本発明の転削工具 12のインサート装着状態を示す拡大斜視図である。図 7は、図 6の転削工具 12の S1— S1断面図である。転削工具 12は、インサート 1と、インサ一ト 1を着脱可能に装着する略円筒状のホルダ 11とを含んで構成される。本実施の形態では、ホルダ 11は、ホルダ周方向に間隔をあけて、複数、たとえば 6つのインサート 1を外周部に装着する。また本実施の形態では、ホルダ 11は、周方向に複数並んだインサート 1の組合せ力ホルダ軸線方向に複数列、たとえば 2列並ぶ。このような転削工具 12は、 1つのインサート 1で一度に切削する切削量が大きい重切削加工、言い換えると荒削り加工に用いられる。

ホルダ 11の軸線方向基端部には、連結用部材であるアーパーを介してフライス盤に保持される被保持部が形成される。また軸線方向先端部には、インサート 1の主切刃が外周面から突出した状態で、インサート 1を装着する装着部が形成される。フライス盤は、クランプした被削材と、保持した転削工具 12とを相対移動する移動駆動手段と、保持した転削工具 12をホルダ 11の軸線まわりに回転駆動する回転駆動手段とを含む。転削工具 12は、ホルダ 11の軸線まわりに回転しながら被削材に接触することで、インサート 1の主切刃 4が被削材を断続切削する。これによつて被削材を予め定める形状に切削することができる。たとえば転削工具 12を用いて、被削材に肩カロェ、溝カ卩ェまたは段つきカ卩ェなどを施すことができる。転削工具 12は、インサート 1 の主切刃 4が摩耗または欠損した場合に、そのインサート 1をホルダ 11に形成される装着孔の軸線まわりに 180度回転させて取り付けたり、新 U、インサート 1に取り替えたりすることで、切削能力を回復することができる。

上述したように、ホルダ 11の外周先端部に複数の切り屑ポケット 13が形成されており、切り屑ポケット 13に隣接するインサート収容空間に前記インサート 1が取り付けられる。詳細には、前記インサート 1は、回転方向にすくい面 2を向けて最外周に前記主切刃 4が位置するように装着され、主切刃 4がホルダ 11とともに回転することによつて切削が行われる。

このような転削工具 12において、主切刃 4、厳密には分割主切刃 4aによって形成された切り屑 16は前記インサート 1のすくい面 2上を外周側力もホルダ 11の中心側、すなわち切り屑ポケット 13内のホルダ壁面 14に向かって流れてくる。

図 31に示すように、従来のインサート 101を用いた構成によれば、生成された切り屑 116が生成方向にそのままに進み、生成方向前方のホルダ壁面 114に突き当たることでカールするため、ホルダ壁面 114が切り屑 116との摩擦によって徐々に摩滅してくる。

これに対して、図 7に示すように、本発明の第 1実施形態のインサート 1においては、各分割主切刃 4aに隣接するすくい面 2上に突起 6が形成されていることから、各分割主切刃 4aによって幅狭に形成された切り屑 8が突起 6に当たって小さくカールする。その結果、切り屑 8がホルダ壁面 14に突き当たることなく外部へ排出される。このような構成とすることにより、切り屑ポケット 13内のホルダ壁面 14の摩滅が防止でき、その結果としてホルダ 11を長寿命のものとすることができる。さらには、切り屑 8のカール径が小さくなることで各切り屑 8のサイズが小さくなるので、切り屑ポケット 13から外部への切り屑排出がスムーズとなり、主切刃 4の切り屑かみこみによる欠損等の不具合が抑制され、インサート 1をも長寿命とすることができる。

また本実施の形態では、図 1および図 2に示すように、前記突起 6の前記主切刃側部分は、各々対をなす前記分割主切刃 4aに近づくにつれて幅と高さが漸減するように形成されている。これにより、切り屑 8と接触する前記突起 6の稜線部分が、前記分割主切刃 4aに近づくにつれて高さが低くなる、言い換えると分割主切刃 4aから離れるにつれて前記突起 6の稜線部分の高さが徐々に高くなるので、突起 6と切り屑 8との接触がスムーズとなり切削抵抗の増加が抑制される。また突起 6は、分割主切刃 4aから離反するにつれて幅広となる。このように突起 6が幅広となることで突起 6の強度が増し、切り屑衝突時に突起 6が欠損することを防ぐことができ、インサート 1をさらに長期にわたって使用することが可能となる。また突起 6は、インサート長手方向 Bにそれぞれ間隔をあけて配置されるので、分割主切刃 4aによって形成された切り屑 8が 1つの突起 6だけに衝突して案内されることとなり、切り屑 8が複数の突起 6に衝突して案内される場合に比べて、突起 6によって生じる切削抵抗を低減させることができる。また突起 6が切り屑 8によって摩耗したり、切り屑 8の生成方向が少々ずれたりしても、対応する 1つの突起 6の稜線部分に切り屑 8を接触させるこができる。

さらに図 2に示すように、前記分割主切刃 4aと前記突起 6との距離 tが、前記分割主切刃 4a各々の長さ Xの略中央部分で最短となるよう構成されて、る。これにより前記分割主切刃 4aで生成された各切り屑 8のインサート長手方向 Bにおける略中央部分で、切り屑 8と突起 6とが接触することとなり、切り屑 8が左右に振れずに一定の方向にカールされるため、良好な切り屑排出性が得られる。

また突起 6のうち少なくとも 1つ、具体的にはコーナー R突起 6a以外の直交突起 6b の主切刃側部分における稜線と、各々対をなす前記分割主切刃 4aとが、インサート 1の上面視において略直角な関係にある。コーナー R突起 6a以外の直交突起 6bが向かって配設される分割主切刃 4aから形成される切り屑 8は、各々分割主切刃 4aに対して略直交する方向に流れる。この場合、直交突起 6bが分割主切刃 4aに対して略直交する方向に延びて配設されることによって、すく、面 2上を移動する切り屑 8と、直交突起 6bとによって生じる切削抵抗を低減させることができる。また切り屑 8の移動の勢、を保って、切り屑 8を一定の方向に最も効率よくカールさせることができる。またインサート長手方向 Bに関して、各々分割主切刃 4aの中間部分に、直交突起 6 bがそれぞれ向カゝつて配設される。言い換えると、直交突起 6bは、分割主切刃 4aの長手方向中間部分に向カゝつて配設される。分割主切刃 4aによって形成される切り屑 8は、分割主切刃 4aとほぼ同じ幅に形成される。この場合、切り屑 8の幅方向中央部分に直交突起 6bが接触することとなる。これによつて直交突起 6bは、切り屑 8の左右の振れを防いで、分割主切刃 4aに対して略直交する方向に切り屑 8を案内させることができる。また各分割主切刃 4aによってそれぞれ生じた複数の切り屑 8が互いに接触することを防いで、切り屑ポケット 13内で切り屑 8が詰まることを防ぐことができる。また後述するように、分割主切刃 4aの配置位置が異なる 2種類のインサートをホルダ 11に装着して切削加工を行う場合には、分割主切刃 4aの中央部分に対応する切り屑 8の断面積が大きくなる。本実施の形態では、分割主切刃 4aの中央部分に突起 6が向力つて配設されるので、切り屑 8のうちで断面積が大きくなる部分を、突起 6に当接させることができ、より確実に切り屑 8をスムーズに案内することができ、突起 6によって生じる切削抵抗を低減させ切り屑 8を湾曲変形させることができる。

また本実施形態によれば、突起 6が各分割主切刃 4aと対をなすように形成される。すなわち分割主切刃 4aごとに 1つの突起 6がそれぞれ形成される。分割主切刃 4aによって形成された切り屑 8が 1つの突起 6だけに衝突して案内されることで、切り屑 8が複数の突起 6に衝突して案内される場合に比べて、突起 6によって生じる切削抵抗を低減させることができる。

またコーナー R切刃寄りの分割主切刃 4aは、コーナー R切刃 7と連なっているので、コーナー R切刃寄りの分割主切刃 4aによって形成される切り屑 8は、コーナー R切刃 7によって形成される切り屑 8と連なった円弧状に形成されて、すくい面 2上を分割主切刃 4aに対して傾斜して生成される。前述したように、コーナー R突起 6aは、コーナー R切刃 7に向力つて幅と高さが漸減するように形成されている。これによつて、前記コーナー R切刃 7によって断面の一部分が円弧状に形成された切り屑 8を最も効率よくかつ一定の方向にカールさせることができる。またコーナー R切刃 7とそれに連なる分割主切刃 4aとによって形成される切り屑 8を、コーナー R突起 6aに円滑に衝突させることができ、コーナー R突起 6aによって生じる切削抵抗を低減させることができる。

またインサート上面視おいて、コーナー R突起 6aの稜線と、前記分割主切刃 4aとのなす傾斜角度 0力 ½0° 以上 85° 以下であることが、コーナー R切刃 7によって形成された切り屑 8をより確実に小さくカールさせることができるという点で好適である。傾斜角度 Θ力 0° 未満であると切り屑 8が詰まりやすくなり、突起によって生じる切削抵抗が増加するおそれがある。また傾斜角度 Θ力 ¾5° を超えると切り屑 8がカールしにくくなるため、ホルダ壁面 14の摩滅が改善されないば力りでなぐ切り屑 8のサイズが大きくなつて切り屑排出性が低下するとともに切り屑 8のかみこみによる切刃の欠損等の不具合を生じるおそれがある。

本実施の形態では、コーナー R突起 6aの稜線と、分割主切刃との成す傾斜角度 Θ が 60° 以上 85° 以下、具体的には 65° に設定されるので、上述した不具合が生じることはない。したがってコーナー R突起 6aによって生じる切削抵抗を低減させて、コーナー R切刃 7およびそれに連なる分割主切刃 4aによって形成された切り屑 8をより確実に湾曲変形させることができる。

さらにまた、すくい面 2の中央部の貫通孔 16周りに島状部、具体的には環状の隆起部 15が形成されていることにより、突起 6による切り屑 8のカール作用が不十分な条件下においても切り屑 8が確実にカールされるようになる。そして、図 6および図 7 に示すように、インサート 1をホルダ 11に装着した状態では、クランプ用のねじ部材 1 7の頭部が環状の隆起部 15に隠れる、すなわち環状の隆起部 15よりねじ部材 17の頭部が低い状態となるため、切り屑 8の衝突によるねじ部材 17の頭部の摩滅を防止することができる。また溝部 5は、インサート厚み方向他方 A2に進むにつれて、幅広になるので、被削材に生じる削り残し部分が、溝部 5の壁面に当接することを防ぐことができ、溝部 5によって生じる切削抵抗を低減させることができる。

以上のように、本実施の形態によれば、各分割主切刃 4aによって幅狭に形成された切り屑 8がすくい面 2上に形成される突起 6a, 6bに接触することで、切り屑 8は湾曲変形して曲率半径が小さくなり、切り屑 8は、ホルダ 11に形成されるホルダ壁面 14〖こ接触する前に破断し、切り屑ポケット 13の外方に移動する。これによつて切り屑 8が、ホルダ壁面 14に衝突してホルダ壁面 14を傷つけることを防ぐことができる。またホルダ 11の剛性が低下することを防いで、被削材の加工精度の悪ィ匕を防ぐことができる。またホルダ 11を延命して長期にわたって使用可能とすることができ、コストパフォーマンスの高いインサート 1およびインサート 1が装着される転削工具 12を実現することができる。

さらに切り屑 8が突起 6に接触して、その曲率半径が小さくなることで、切り屑 8のサィズが小さくなる。これによつて切り屑ポケット 13からホルダ外方へ、切り屑 8が円滑に移動し、切り屑排出性を向上させることができる。したがって切り屑ポケット 13における切り屑の詰まり、切り屑 8のかみこみ等の不具合が抑制される。また突起 6に衝突する切り屑 8は、分割主切刃 4aによって既に幅狭に形成されているので、突起 6と切り屑 8が衝突した場合に突起 6によって生じる切削抵抗が大きくなることを防ぐことができ、切削加工を円滑に行うことができるとともに、重切削を行っても突起 6が欠損することを防ぐことができる。たとえば本実施の形態のインサートを用いることによって、切り屑排出量、すなわち一分間に切削可能な被削材の体積として lOOOccZminを実現することができる。

(第 2実施形態）

図 8は、本発明の第 2実施形態によるインサート 21を示す全体斜視図であり、図 9 は、インサート 21を示す平面図である。図 1に示す本発明の第 1実施形態では、主切刃 4を 4つの溝部 5で分断して 5つの分割主切刃 4aから構成されたインサート 1を例示した。本発明の第 2実施形態のインサート 21は、図 8に示すように、主切刃 4が、 3 つの溝部 5で分断されて 4つの分割主切刃 4aから構成される。このように本発明のィンサートは、溝部 5の数および各溝部 5の配置が第 1実施形態と異なるインサートも当然含まれる。本発明の第 1実施形態および第 2実施形態のような主切刃 4に溝部 5を具備したィンサート 1, 21では、溝部 5では切削が行われないために、単一種類のインサートだけをホルダ 11に複数装着した場合には、被削材の加工壁面には帯状の削り残し部が発生してしまう。これに対して、第 1実施形態で示す第 1のインサート 1と、第 2実施形態で示す第 2のインサート 21との、溝部 5の配置が互いに異なるインサート 1, 21をホルダ 11の同一円周上に交互に配置することで、第 1のインサート 1の溝部 5による削り残しを、第 2のインサート 21の分割主切刃 4aが切削するので、結果的に溝部 5による削り残しが防がれ、切削後の被削材の加工壁面に生じる段差を抑えることができる。図 5に示す転削工具 12は、第 1実施形態のインサート 1と、第 2実施形態のインサート 21とが、周方向に交互に装着される状態を示す。

次に、本発明の第 2実施形態のインサート 21について、図 8および図 9を用いて説明する。なお、図 1で示した第 1実施形態のインサート 1と同様の構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。第 2実施形態のインサート 21 において、図 1に示す第 1実施形態のインサート 1と異なる点は、第 1実施形態のインサート 1の溝部 5で生じた削り残しを削り取るために、第 1実施形態のインサート 1とは異なる位置に溝部 5が配置される。

また分割主切刃 4a, 4b, 4cの長さが異なって形成されており、各分割主切刃 4a〜 4cの長さに応じて、各分割主切刃 4a〜4cに対応する突起 6の数が増加するよう、突起 6が配設される。このような構成によって、第 1実施形態のインサート 1で生じた削り残しを削るために形成される長い分割主切刃 4b、 4cによって幅広の切り屑が形成されても確実にカールさせることができる。

言い換えると、第 2実施形態のインサート 21は、複数の分割主切刃 4a〜4cのうち、長さが長い分割主切刃 4b, 4cと、長さが短い分割主切刃 4aとが存在する。長さの短い分割主切刃 4aに対応する突起 6bの数に比べて、長さの長い分割主切刃 4b, 4c に対応する突起 6c, 6d ; 6e, 6fの数が増えるように設けられる。このように、分割主切刃 4a〜4cに対応する突起の数は、分割主切刃 4a〜4cの長さに応じて増加させてもよい。これによつて、長さの長い分割主切刃 4b, 4cによって形成される幅広の切り屑 8をより確実に湾曲変形させることができるとともに、長さの長い分割主切刃 4b, 4cに対応する突起 6c, 6d ; 6e, 6fが、幅広の切り屑 8の衝突によって欠損することを防ぐことができる。

本実施の形態では、すく、面 2からインサート厚み方向 Aに突出する複数の突起 6 b〜6fが形成される。各突起 6b〜6fは、対応する分割主切刃 4a〜4cに対応して 1つ以上形成され、各々対応する分割主切刃 4a〜4cにそれぞれ向かって配設される。また突起 6のうち分割主切刃側部分は、インサート幅方向 Bに向かって、各々対応する分割主切刃 4a〜4cに近づくにつれて、幅と高さが漸減するように先細りした形状に形成される。

突起 6のうち分割主切刃側部分は、インサート長手方向 B—方に露出する一方突起側面と、インサート長手方向 B他方に露出する他方突起側面とを有する。 2つの突起側面は、互いに対向し、インサート厚み方向一方 A1に向力うにつれて、インサート長手方向 Bの間隔が漸減する。また 2つの突起側面は、インサート厚み方向一方側端部で交差して、交差稜線部が形成される。 2つの突起側面によって形成される突起 6の交差稜線部は、対応する分割主切刃 4a〜4cに近づくにつれて、すくい面 2とのインサート厚み方向 Aの距離が漸減する。また図 8および図 9に示すように、分割主切刃 4a〜4cと突起 6との間のインサート幅方向の距離 tは、分割主切刃 4aの略ィンサート長手方向中央部で最短となるように構成される。また各突起 6b〜6fの最大幅は、各々対応する分割主切刃 4a〜4cのインサート長手方向 B寸法よりも小さく形成される。

コーナー R切刃 7に連なる第 1の角部寄りの分割主切刃 4bと、コーナー R切刃 7と反対側となる第 2の角部寄りの分割主切刃 4cとが、残余の分割主切刃 4aに比べてインサート長手方向寸法が長く形成される。また第 1および第 2の角部寄りの分割主切刃 4b, 4c〖こ対応して、突起 6c, 6d; 6e, 6fがそれぞれ 2っ配設される。したがって各角部寄りの分割主切刃 4b, 4cには、 2つの突起 6c, 6d ; 6e, 6fがそれぞれ向かって配設される。

第 1の角部寄りの分割主切刃 4bに対応して設けられる複数の突起 6c, 6dのうち、コーナー R切刃 7に最近接して配設される突起を第 1突起 6dと称し、第 1突起 6d以外の突起を第 2突起 6cと称する。第 1突起 6dは、コーナー R切刃 7に近づくにつれて、幅と高さとが漸減するように形成される。言い換えると、インサート上面視において、第 1突起 6dは、その交差稜線部の稜線と分割主切刃 4bとの成す傾斜角度 Θが、 90 度未満となる。この傾斜角度 Θは、 60° 以上 85° 以下に設定されることが好ましぐ本実施の形態では傾斜角度 Θは、 65° に設定される。また第 2突起 6cの稜線は、第 1の角部寄りの分割主切刃 4bに対して略直角に延びて配設される。第 1の角部寄りの分割主切刃 4bに対応して設けられる複数の突起 6c, 6dのインサート幅方向じの先端部は、第 1の角部寄りの分割主切刃 4bの垂直二等分線に関して略対称となる位置に配置される。

また第 2の角部寄りの分割主切刃 4cに対応して設けられる複数の突起 6を第 3突起 6f, 6eと称する。第 3突起 6f, 6eは、それぞれ第 2の角部寄りの分割主切刃 4cにそれぞれ向かって配設され、その稜線は、第 2の角部寄りの分割主切刃 4cに対して略直角に延びて配設される。また第 2の角部寄りの分割主切刃 4cに対応して設けられる複数の突起 6e, 6fのインサート幅方向 Cの先端部は、第 2の角部寄りの分割主切刃 4cの垂直二等分線に関して略対称となる位置に配置される。

また各角部寄りの分割主切刃 4b, 4c以外の分割主切刃 4aに対応する突起 6を第 4 突起 6bと称する。第 4突起 6bは、それぞれ各々対応する分割主切刃 4aのインサート長手方向中央部にそれぞれ向かって配設され、その稜線は、対応する分割主切刃 4 aに対して略直角に延びる。すなわち第 4突起 6bは、各々対応する分割主切刃 4aの垂直二等分線に沿ってそれぞれ延びて配設される。

コーナー R切刃に最近接する第 1突起 6dが、第 1の角部寄りの分割主切刃 4bに対して傾斜する。これにより、コーナー R切刃 7に連続する第 1の角部寄りの分割主切刃 4bおよびコーナー R切刃 7によって生成される、断面が直線状部分と円弧状部分と力もなる幅広の切り屑 8を、円弧状部分を前記第 1突起 6dによって、直線状部分を第 1突起 6d以外の第 2突起 6cによって、最も効率よく湾曲変形させることができる。さらにまた、前記主切刃 4の両端のうち、コーナー R切刃 7とは反対側の第 2の角部寄りの分割主切刃 4cに対応する突起 6e, 6fも 2っ配設されている。しかし、コーナー R切刃 7と反対側の角部は切削に寄与しないため、第 2の角部寄りの分割主切刃 4c によって形成される切り屑断面は、略直線状となりどの部分も円弧状とはならない。そのため第 2の角部に対応して形成される第 3突起 6e, 6fは、分割主切刃側部分の稜線と第 2の角部寄りの分割主切刃 4cとが略直角に位置するよう配設されるため、生成する幅広の切り屑 8を左右に振れることなく一定方向により確実にカールさせることができる。

以上のように本実施の形態では、分割主切刃に対応して 1つ以上の突起 6が形成される。これによつて、 1または複数の突起 6b〜6fに切り屑 8を当接させて、切り屑 8 を湾曲変形させることができる。複数の突起 6に切り屑 8を当接させて、切り屑 8を湾曲変形させることで、切り屑 8の断面積が大きい場合および切り屑 8の剛性が高い場合であっても、切り屑 8から与えられる衝撃力を複数の突起 6で分担することができ、突起 8が欠損することを防いで、切り屑 8を十分に湾曲変形させることができる。本実施の形態のように、複数の分割主切刃のうち、長い分割主切刃と、短い分割主切刃とが存在する場合、短い分割主切刃 4aに対応する突起 6bの数に比べて、長い分割主切刃 4b, 4cに対応する突起 6c, 6d ; 6e, 6fの数を増やすことで、長い分割主切刃 4b, 4cによって形成される幅広の切り屑をより確実に湾曲変形させることができるとともに、長い分割主切刃 4b, 4cに対応する突起 6c, 6d ; 6e, 6fが、幅広の切り屑 8の衝突によって欠損することを防ぐことができる。また短い分割主切刃 4aに対応して形成される突起 6の数が不所望に増えることが防がれ、突起によって生じる切削抵抗を低減させることができる。

コーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4b以外の分割主切刃 4a, 4cによって形成される切り屑は、それぞれ対応する分割主切刃 4a, 4cに略直交する方向に移動する。本実施の形態では、コーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4b以外の分割主切刃 4a, 4c と対応する各突起 6b, 6e, 6fが、対応する分割主切刃 4a, 4cと略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることで、分割主切刃 4a, 4cに対して略直交する方向に移動する切り屑に対して、突起 6b, 6e, 6fによって生じる切削抵抗を低減させることができる。また、たとえば各突起 6b, 6e, 6fが、各々対応する分割主切刃 4a, 4cのインサ一ト長手方向中間部に向力つて配設されることで、切り屑の左右の振れを防いで、切り屑を分割主切刃に対して略直交する方向に移動させることができ、複数の切り屑が互いに接触することを防いで、ポケット内で切り屑が詰まることを防ぐことができる。コーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4bは、コーナー R切刃 7と連なっているので、コーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4bによって形成される切り屑は、コーナー R切刃 7 によって形成される切り屑と連なった円弧状に形成されて、すくい面 2上を分割主切刃 4aに対して傾斜して移動する。本実施形態では、コーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4bに対応する複数の突起 6c, 6dのうちで、コーナー R切刃 7に最近接して配設される第 1突起 6dがコーナー R切刃 7に向かって幅と高さが漸減するように形成されるので、コーナー R切刃 7とそれに連なる分割主切刃 4bとによって形成される切り屑を、第 1突起 6dに円滑に衝突させることができ、第 1突起 6dによって生じる切削抵抗を低減させることができる。またコーナー R切刃 7とそれに連なる分割主切刃 4bとによつて形成される切り屑につ、て、円滑に湾曲変形させることができる。

またコーナー R切刃 7寄りの分割主切刃 4bとのなす傾斜角度 Θ力 60° 以上 85° 以下である仮想直線に沿って、第 1突起 6dが延びて配設されることによって、第 1突起 6dによって生じる切削抵抗を低減するるとともに、コーナー R切刃 7によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。たとえば前記傾斜角度 Θ力 6 0° 未満であると切り屑が詰まりやすくなり、第 1突起 6dによって生じる切削抵抗が増加するおそれがある。また傾斜角度 Θ力 ¾5° を超えると切り屑が湾曲変形しに《なるので、ホルダ壁面 14の摩滅が改善されないば力りでなぐ切り屑のサイズが大きくなって切り屑排出性が低下するとともに、切り屑のかみこみによる切刃の欠損等の不具合を生じるおそれがある。

また傾斜角度 Θ力 0° 未満であると、コーナー R切刃 7に連なる分割主切刃 4bで形成される切り屑部分が第 1突起 6dに衝突した場合に生じる切削抵抗が過剰となる。また傾斜角度が 85° を超えると、コーナー R切刃 7で形成される切り屑部分が第 1 突起 6dに衝突した場合に生じる切削抵抗が過剰となる。

本実施形態では、傾斜角度 Θ力 0° 以上 85° 以下に設定されるので、上述した不具合が生じることなぐコーナー R切刃 7によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。

また、本実施形態のように分割主切刃 4a〜4cの長さに応じて、分割主切刃 4a〜4c に対応する突起 6の数が増加してもよい。たとえば長さの異なる分割主切刃が形成される場合、長さの長い分割主切刃 4b, 4cに対応して設けられる突起 6の数は、長さの短、分割主切刃 4aに対応して設けられる突起 6の数に比べて多く設定される。長さが長い分割主切刃 4b, 4cによって形成される剛性が高い切り屑は、複数の突起 6 c, 6d ; 6e, 6fに衝突する。これによつて形成される切り屑の剛性に応じて、 1または複数の突起 6は、切り屑力与えられる力を分担することができ、各突起が欠損することを防ぐことができる。

分割主切刃 4a〜4cの長さが予め定める設定範囲を超える毎に、対応する突起 6の数が増加させてもよい。ただし、分割主切刃 4a〜4cに対応する突起 6の数が過剰となると、突起によって生じる切削抵抗が増えたり、切り屑が突起につまったりするおそれがある。また分割主切刃 4a〜4cに対応する突起 6の数が不足すると、突起 6の大きさによっては欠損するおそれがある。

また図 8では、前記主切刃 4の両端を各々有する 2つの角部寄りの分割主切刃 4b, 4cに対応する突起 6c, 6d ; 6e, 6fの数のみ力複数である構成をとる力同様の効果を得るために前記分割主切刃の長さに応じて、インサートのいずれの位置の分割主切刃に対応する突起の数が複数であってもかまわな、。

(第 3実施形態）

図 10は、本発明の第 3実施形態によるインサート 31を示す全体斜視図であり、図 1 1は、インサート 31を簡略化して示す長辺側側面図である。第 3実施形態では、各分割主切刃 4aは、インサート厚み方向 Aに垂直な平面に対して傾斜して延びる。その他の構成については、第 1実施形態と同様であるので説明を省略し、第 1実施形態と同様の参照符号を付する。各分割主切刃 4aは、コーナー R切刃 7に近づく長手方向一方に進むにつれて、インサート厚み方向 Aに関して底面力遠ざ力る方向に傾斜する。本実施の形態では、各分割主切刃 4aは、予め定める一仮想直線状に沿ってそれぞれ延びる。

本実施の形態では、主切刃 4がインサート長手方向 Bに分断された複数の分割主切刃 4aによって構成されるので、形成される切り屑の幅方向寸法が小さく分断される oまたインサート全体の長手方向寸法に比べて、主切刃の長さを短くすることでき、切削時の切削抵抗を減少させることができる。さらにインサート 1の底面に対して各分割主切刃 4aが傾斜して形成されるので、インサート 1が装着される転削工具 12にポジティブ方向のアキシャルレーキを形成することができる。これによつて被削材へのくいつき性をさらに向上して、被削材から与えられる切削抵抗を低減させることができる。したがって重切削加工を行っても、切削抵抗の増加を抑えて、加工中におけるびびり振動をより確実に抑制することができる。

また本実施の形態でも、上述した各実施の形態と同様に突起 6が形成されるので、突起 6に切り屑が接触することで、突起 6を湾曲変形させて小さいサイズにすることができる。これによつて切り屑がホルダ壁面 14に衝突することを防ぐとともに、切り屑ポケット 13から切り屑が脱出しやすくすることができ、切り屑排出性を向上させることができる。また本実施の形態では分割主切刃 4aが傾斜することで、分割主切刃 4aから排出される切り屑がホルダ基端部に向力方向に移動し、切り屑が切り屑ポケットから脱出しやすくすることができ、切り屑排出性をさらに向上させることができる。この場合、突起 6の稜線は、切り屑の排出方向に延びるほうが好ましい。これによつて切り屑を円滑に湾曲させることができる。

また本実施形態では、インサート 1の底面に対して分割主切刃 4aを傾斜させて、ァキシャルレーキを付与する。これによつて、ホルダ 11に形成される着座面を、ホルダ軸線に対してホルダ周方向に大きく傾斜させる必要がなぐホルダ 11の肉厚の減少を抑えることができ、ホルダ 11の剛性低下を抑えることができ、ホルダ 11の寿命を長くすることができる。また、被削材へのくいっき性を向上させることができ、被削材から与えられる切削抵抗を低減させることができる。したがって一度に切削する切削量がさらに大きくなる重切削加工を行っても、切削抵抗の増加を抑えて、加工中におけるびびり振動をより確実に抑制することができる。

また本実施の形態では、各分割主切刃 4aは、予め定める一仮想直線 L3上にそれぞれ配置される。これによつてインサート長手方向 Bに並ぶ 2つの分割主切刃 4aのうち、長手方向一方の分割主切刃によって削られた切り屑が、長手方向他方の分割主切刃に衝突することが防がれる。これによつて排出される切り屑力ホルダ基端部に向かって勢いよく移動しやすぐ切り屑排出性をさらに向上させることができる。

図 12は、本発明の第 3実施形態のインサート 31の変形例のインサート 31aを簡略化して示す長辺側側面図である。このインサート 3 laは、図 10および図 11に示す第 3実施形態のインサート 31と類似しており、同様の構成については説明を省略し、同様の参照符号を付する。

図 12に示すように、変形例のインサート 31aは、インサート幅方向 C力も側面端面を見た場合には、各分割主切刃 4aを形成する分割主切刃形成部分 8と、分割主切刃 4 aの間となる切刃間部分 9とが形成される。分割主切刃形成部分 8のインサート厚み方向一方 A1の縁辺となる各分割主切刃 4aは、それぞれ平行に延びる。また分割主切刃 4aの長手方向一方側端部と底面との厚み方向寸法 T1は、それぞれ一様に形成される。また切刃間部分 9のインサート厚み方向一方 A1の縁辺は、コーナー R切刃 7から離反するインサート長手方向 Bに進むにつれて、底面に近接する方向にインサート厚み方向 Aに傾斜する。このような変形例のインサート 31aは、上述したインサート 1と同様の効果を得ることができる。また各分割主切刃形成部分 8の厚み方向肉厚を大きくすることができ、主切刃の欠損を防ぐことができる。また切刃間部分 9と、その切刃間部分 9よりもコーナー R切刃 7から離反する長手方向側の切刃形成部分との段差を大きくすることができ、この段差部分が切り屑を細分ィ匕するチップブレーカとして働き、切り屑を細分ィ匕することができ、切り屑排出性をさらに向上させることができる。

図 13は、本発明の第 3実施形態のインサート 31の他の変形例のインサート 31bを簡略化して示す長辺側側面図である。このインサート 31bは、図 10および図 11に示す第 3実施形態のインサート 31と類似しており、同様の構成については説明を省略し、同様の参照符号を付する。

図 13に示すように、他の変形例のインサート 31bは、インサート幅方向 C力側面端面を見た場合には、各分割主切刃 4aを形成する分割主切刃形成部分 8と、分割主切刃 4aの間となる切刃間部分 9とが形成される。分割主切刃形成部分 8のインサート厚み方向一方 A1の縁辺となる各分割主切刃 4aは、それぞれ平行に延びる。また分割主切刃 4aの長手方向一方側端部と底面とのインサート厚み方向 A寸法 T1は、それぞれ一様に形成される。また切刃間部分 9のインサート厚み方向一方 A1の縁辺は、コーナー R切刃 7から離反するインサート長手方向 Bに進むにつれて、底面から離反する方向に厚み方向に傾斜する。このような変形例のインサート 31bは、上述したインサート 1と同様の効果を得ることができる。また各分割主切刃形成部分 8の厚み方向肉厚を大きくすることができ、主切刃の欠損を防ぐことができる。また切刃間部分 9と、その切刃間部分 9よりもコーナー R切刃 7から離反する長手方向側の切刃形成部分 8との段差を小さくすることができ、主切刃の欠損をさらに確実に防ぐことができる。また切り屑が段差を乗り越えることによって、小さく湾曲変形し、切り屑のサイズを小さくして、切り屑ポケット 13から脱出する切り屑の切り屑排出性をさらに向上させることがでさる。

(第 4実施形態）

図 14は、本発明の第 4実施形態によるインサート 41を示す全体斜視図であり、図 1 5は、インサート 41の長辺側側面図である。このインサート 41は、上述した第 1実施形態のインサート 1と類似しており、同様の構成については説明を省略し、同様の参照符号を付する。

上述した第 1実施形態のインサート 1は、 1または複数の溝部 5によってすくい面 2の一部が切除されることで、複数の分割主切刃 4aが形成される。これに対して、第 4実施形態のインサート 41では、主切刃 4は、インサート長手方向 Bに並ぶ複数の分割主切刃 4aによって構成され、各分割主切刃 4aは、インサート厚み方向 Aにずれた位置に形成される。このように各分割主切刃 4aに厚み方向 Aに段差が形成されることによって、複数の分割主切刃 4aの連なることがなぐ分割主切刃 4aごとに切り屑が生成される。したがって幅狭の切り屑が発生することになり、切削抵抗を低減させることができる。

また本実施の形態では、上述した本実施の形態のインサート 1と同様に、すくい面 2 から突出し、各分割主切刃 4aにそれぞれ対応する突起 6が形成される。突起 6の形状および配置については、上述する実施の形態と同様であるので省略する。このように各分割主切刃 4aに対応して、突起 6が形成されることで、分割主切刃 4aによって発生した幅狭の切り屑を突起 6によってそれぞれ湾曲変形させることができる。これによって切り屑がホルダ壁面 13に接触することを防ぐことができる。また切り屑の曲率半径を小さくすることで、切り屑ポケット 13から切り屑を円滑に排出させることができ、切り屑排出性を向上させることができる。また本実施の形態では、各分割主切刃 4aは、コーナー R切刃 7に近づくにつれて底面との距離が離れるように傾斜して形成される。本実施の形態では、これに限定されず、各分割主切刃 4aと底面とが平行な場合も含む。また複数の分割主切刃 4aのうち、一部の傾斜が異なる場合も含む。また底面に対して分割主切刃 4aが傾斜する場合には、分割主切刃 4aから移動する切り屑の生成方向に沿って突起 6の稜線が形成されることが好ま、。

以上のような、第 3実施形態のインサート 31および第 4実施形態のインサート 41であっても、ホルダ 11に装着される場合には、分割主切刃の位置が異なるように装着される。これによつて、溝部 5による削り残しを少なくすることができる。また分割切刃の長さに応じて、突起 6の数および突起 6の配置がそれぞれ選択されてもょ、。

(第 5実施形態）

図 16は、本発明の第 5実施形態によるインサート 51を示す全体斜視図である。図 1 7は、インサート 51を示す平面図であり、図 18は、インサート 51を示す長辺側側面図であり、図 19は、インサート 51を示す短辺側側面図である。

図 16に示す本発明の第 5実施形態によるインサート 51は、略多角形板状に形成される本体部を有し、本体部下面に底面 52を、上面にすくい面 53を、側面に逃げ面 5 4を具備している。そして、すくい面 53と逃げ面 54との交差稜線部に主切刃 55が形成されている。

ここで、逃げ面 54には、その両端がすくい面 53および底面 52に達する主溝部 56 が形成されている。主切刃 55は、各々主溝部 56で分断された複数の第 1分割主切刃 55Aによって構成されている。また逃げ面 54は、各々主溝部 56で分断された複数の分割逃げ面 54Aによって構成されている。そして、さらに、分割逃げ面 54A上には、副溝部 57が、その一端がすくい面 53に達するようにして前記主溝部 56と並んで配設されている。また、第 1分割主切刃 55Aは、副溝部 57のその一端によって分断された複数の第 2分割主切刃 55aによって構成される。

第 5実施形態のインサート 51は、第 2実施形態のインサート 21と類似した構成を有し、第 5実施形態のインサート 51は、第 2実施形態のインサート 21に形成される突起を有して!/、な!/、点と、第 2実施形態のインサート 21には形成されて、な、副溝部 57 を有する点とで異なる。また第 5実施形態のインサート 51の主溝部 56は、図 8に示す第 2実施形態のインサート 21に形成される溝部 5に対応し、同様の構成を有する。第 5実施形態のインサート 51のうち、第 2実施形態のインサート 21に対応する構成につ V、ては説明を省略し、第 2実施形態のインサート 21には形成されて、な、副溝部 57 の構成に関連して説明する。

図 16〜図 19に示すように本発明の第 5実施形態のインサート 51は、主溝部 56と、主溝部 56よりも小さく形成される副溝部 57とを有する。主溝部 56は、インサート 51の幅方向端部に形成され、幅方向端面力インサート幅方向 Cに没入して、インサート厚み方向 Aに延びて形成される。主溝部 56は、インサート 51のすくい面 53から底面 52にわたつて形成され、底面 52に近づくにつれてインサート長手方向 B両方に広がる。言い換えると、主溝部 56は、すくい面 53から底面 52まで達する。

主切刃 55および逃げ面 54は、主溝部 56によってインサート長手方向 Bに分断される。したがって主切刃 55は、互いに間隔を開けてインサート長手方向 Bに並ぶ複数の第 1分割主切刃 55Aを有する。また、逃げ面 54は、互いに間隔をあけてインサート長手方向 Bに並ぶ複数の分割逃げ面 54Aを有する。本実施の形態では、インサート 51には、インサート長手方向 Bに並ぶ 3つの主溝部 56が形成されるので、主切刃 55 は、 4つの第 1分割主切刃 55Aを有し、逃げ面 54は、 4つの分割逃げ面 54Aを有する。各主溝部 56の形状はそれぞれ略同形状に形成され、インサート長手方向 Bに略等間隔に並ぶ。主溝部 56は、切れ刃強度が維持できる範囲内で、形状、配置および個数が選択される。

また副溝部 57は、インサート 51の幅方向端部に形成され、幅方向端面からインサート幅方向 Cに没入して、インサート厚み方向 Aに延びて形成される。副溝部 57は、インサート 51のすくい面 53からインサート厚み方向 Aに延びる。また副溝部 57は、主溝部 56に比べてインサート 51に没入する没入量、すなわち深さが小さく形成されるまた主溝部 56および副溝部 57のインサート幅方向 Cの寸法は、少なくとも、予め設定される転削工具 12の一刃あたりの最大送り量よりも大きく設定される。本実施の形態では、主溝部 56のインサート幅方向 Cの寸法は、切削抵抗の低下が臨界となる寸法に設定され、副溝部 57のインサート幅方向 Cの寸法は、予想される送り量の最大値に設定される。また主溝部 56のインサート長手方向、インサート幅方向およびインサート厚み方向寸法は、インサート 1の強度を維持するのに必要な寸法にそれぞれ設定される。

本実施の形態では、インサート 51には、逃げ角が設定される。逃げ面 54は、すくい面 53力も底面 52に向力つてインサート厚み方向 Aに進むにつれて、内方に向力つてインサート幅方向 Cに没入する。副溝部 57の底部分は、逃げ面 54のうちで底面 52 に交差する部分よりも、インサート幅方向 Cに突出した位置に配置される。これによつて副溝部 57は、インサート 51の幅方向端部のうち、底面 52寄りの部分を除いたすくい面 53寄りの部分に形成される。また副溝部 57のインサート幅方向壁面は、インサート厚み方向 Aに略平行に延びる。

なお、各副溝部 57は、主溝部 56に比べて、深さ、幅および長さの少なくとも 1つが小さく形成される。すなわち、各副溝部 57の深さおよび幅が小さくても、深さのみ、幅のみが主溝部 56のそれよりも小さくても良い。ちなみに本実施の形態では、各副溝部 57は、各主溝部 56に比べて、深さ、幅および長さがそれぞれ小さく形成される。副溝部 57は、インサート長手方向 Bに隣接する 2つの主溝部 56の間と、主溝部 56とインサート長手方向端面部との間とにそれぞれ形成される。すなわち各副溝部 57は、主溝部 56によって分割された第 1分割主切刃 55Aを複数に分割する位置にそれぞれ配置される。

本実施の形態では、主切刃 55は、インサート長手方向寸法が長い第 1分割主切刃と、インサート長手方向寸法が短い第 1分割主切刃とを有する。長い第 1分割主切刃は、 2つの副溝部 57によって 3つの第 2分割主切刃に分割される。また短い第 1分割主切刃は、 1つの副溝部 57によって 2つの分割主切刃に分割される。これによつて第 2分割主切刃は、第 1分割主切刃の長さに拘わらず、短くすることができる。このように各副溝部 57は、第 1分割主切刃を 2等分または 3等分する位置に配置される。このように本実施の形態においては、主切刃 55を含む逃げ面 54を分断する主溝部 56は、切刃強度が維持できる数の範囲内で形成され、更なる切削抵抗の低減を図るために、主溝部 56に比べて小さな副溝部 57によって第 1分割主切刃 55Aを複数の第 2分割主切刃 55aにさらに分割する構成としている。このような構成とすることで、主切刃が形成される切刃部の強度低下を抑えて、切削抵抗を低減させることができる。その結果、特に切込み量が大きな重切削加工等においても、インサート 51に欠損を生じることなくびびり振動を抑制することが可能となる。

本実施形態において新たに配設した副溝部 57と主溝部 56とは、以下に示すように溝部の構成要素として幅 W、深さ D、長さ Lの 3つの寸法が重要となる。図 17に示すように、各溝部 56, 57の幅 Wl, W2とは、インサート長手方向 Bの寸法のことで、すくい面 53と各溝部 56, 57の壁面との交差稜線部と、主切刃 5の仮想直線との 2つの交点間の距離である。言い換えると、溝部 56, 57におけるインサート長手方向両壁面の間のインサート長手方向寸法である。

また各溝部 56, 57の深さ Dl, D2とは、インサート幅方向 Cの寸法のことで、主切刃 55の仮想直線力各溝部の前記交差稜線部までのインサート幅方向 Cに最長の距離である。言い換えると、すくい面 53近傍の逃げ面 54から、溝部 56, 57におけるインサート幅方向壁面までのインサート幅方向 C寸法である。

さらに図 18に示すように、各溝部 56, 57の長さ LI, L2とは、インサート厚み方向 A の寸法のことで、インサート 51の底面 52を平坦面に静置した時の、すくい面 53に達する各溝部の一端力他端までのインサート厚み方向 Aの最短の距離である。

ここで、特に副溝部 57の幅 W2において、主溝部 56の幅 W1の 1Z6以上 5Z6以下であることが、切削抵抗の低減と切刃強度の維持とをバランスよく両立できる点で好ましい。副溝部 57の幅 W2が、主溝部 56の幅 W1の 1Z6より小さいと切削抵抗の低減効果が不十分であり、主溝部 56の幅 W1の 5Z6より大きいと切刃部の強度が不十分となるからである。すなわち、このような構成が、第 2分割主切刃 55aの切刃長が適度に保持できるため、切刃のチッビング、欠損、破損等の防止に効果的である。また、特に副溝部 57の深さ D2において、主溝部 56の深さ D1の 1Z6以上 5Z6以下であることが好ましい。副溝部 57の深さ D2が、主溝部 56の深さ D1の 1Z6より小さいと、重切削加工時の送り量より副溝部 57の深さ D2が小さくなる傾向にあるため、切り屑が分割されず切削抵抗の低減が十分になされない。また、切り屑が分割されない場合には、切り屑が副溝部 57の溝壁面に接触してしまうため、結果的に切削抵抗が増大しやすくなる。副溝部 57の深さ D2が、主溝部 56の深さ D1の 5Z6より大きいと、切刃部の強度が不十分になるとともに、インサート本体部の強度も低下してしまうさらに、本実施形態では、主溝部 56の長さ L1はインサート 1の厚み寸法と略同じとなるが、副溝部 57の長さ L2は、そのインサート 51の厚み寸法よりも短く形成される。このような構成により、副溝部 57の他端は分割逃げ面 54A上に位置するため、他端が底面 52まで達する主溝部 56の数を単純に増力！]させた場合に比べて、切刃強度の低下、さらには、インサート本体部の強度の低下を抑えることができる。

具体的には、本実施の形態では、主溝部 56の幅 W1は、 1. 6mmであり、主溝部 5 6の深さ D1は、 1. 2mmであり、主溝部 56の長さ L1は、 6. 4mmに設定される。また畐 IJ溝部 57の幅 W2は、 0. 6mmであり、畐 ij溝部 57の深さ D2は、 0. 4mmであり、畐 ij 溝部 57の長さ L2は、 2. 4mmに設定される。

ここで、本実施形態のインサートの切削性能を調べるために行なった実験にっヽて説明する。図 20A〜20Dは、本実験に用いた各種インサートの切れ刃形状を簡略化して示し、第 5実施形態のインサート 51と、比較例のインサート 151A, 151B, 15 1Cの各々の平面図である。第 5実施形態のインサート 51は、図 20 (B)に示すように、 3つの主溝部 56と 4つの副溝部 57とを有する。これに対して第 1比較例のインサート 151Aは、図 20 (A)に示すように、 3つの主溝部 56を有する。また第 2比較例のィンサート 151Bは、図 20 (C)に示すように、 7つの主溝部 56を有する。また第 3比較例のインサート 151Cは、図 20 (D)に示すように、 7つの副溝部 57を有する。それぞれ第 5実施形態のインサート 51、第 1〜第 3比較例のインサート 151A, 151B, 151 Cにおける、主溝部 56と副溝部 57の大きさは、それぞれ同じに形成される。

第 1比較例のインサート 151Aは、 3つの主溝部 56によって略 4分割された分割主切刃を有する。また第 5実施形態のインサート 51は、第 1比較例のインサート 151A にさらに副溝部 57が形成されたものであり、主溝部 56によって分割された分割主切刃が、各副溝部 57によってさらにそれぞれ 2分割される。また第 2比較例のインサート 151Bは、 7つの主溝部 56によって略 8等分された分割主切刃を有し、第 3比較例のインサート 151Cは、 7つの副溝部 57によって略 8等分された分割主切刃を有する。 [表 1]

そして、各インサートの切削抵抗と、切刃強度と、仕上げ面の状態とをそれぞれ比較するために、切削速度 Vを 200mZminとし、被削材として JISに規定される SS40 0を用いて、乾式にて切削試験を行った。またホルダ軸線方向の切込み量を 15mm 、ホルダ半径方向の切込み量を 5mmとし、切削抵抗および仕上げ面測定時には、ィンサートー刃あたりの送り量 fを 0. 2mm/刃とした。その結果を表 1に示す。また切削抵抗は、上述の切削条件下において、キスラー社製、切削抵抗測定器を用いて測定し、主分力を切削抵抗として表記した。また切れ刃強度は、インサートにかかる負荷が徐々に大きくなるように送り量を上げていき、最終的にインサートが欠損するまで試験を行い、インサートが欠損した限界送りを表記した。具体的には、インサート一刃あたりの送り量を増加させていき、インサートの主切刃が欠損したときの送り量で表わした。

切削抵抗は、インサートと被削材との接触面、すなわちインサートに設けられる各分割主切刃の長さの合計に比例して増加する。したがって各溝部 56, 57が多いほど、切削抵抗が低減される。第 1比較例のインサート 151Aに比べて、副溝部 57が形成される分だけ溝部が多い第 5実施形態のインサート 51の切削抵抗が低い。また第 3 比較例のインサート 151Cのように、副溝部 57だけを増やしても、主溝部 56を増やす場合に比べて切削抵抗の低下割合が小さい。これは、インサートに設けられる各分割主切刃の長さの合計が長いことによるだけでなぐ副溝部 57は、深さ Dおよび幅 W が小さいので、肖 ijり残し部分が副溝部 57の壁面に接触しやすぐこれによつて切削抵抗を効果的に低減させることができない。また主溝部 56も副溝部 57も形成されない場合には、切削抵抗は、約 5000Nとなる。また切れ刃強度は、分割主切刃の長さに比例して高くなる。言い換えると、各分割主切刃が短くなるにつれて切刃強度が低下する。したがって第 1比較例のインサート 151Aに比べて主溝部 56を増やした第 2比較例のインサート 151Bのほうが、切れ刃強度が低くなる。これに対して、第 5実施例のインサート 51は、主溝部 56よりも小さい副溝部 57を形成することで、第 2比較例のインサート 151Bに比べて、第 1比較例のインサート 151Aに対する切れ刃強度の低下を抑えることができる。

また副溝部 57の深さ D2が、一刃あたりのホルダ切込み量 fよりも小さい (f >D2)場合には、副溝部 57のインサート長手方向両壁面のほか、インサート幅方向壁面とも、削り残し部分とが接触しやすい。この場合、被削材とインサートの接触面がさらに増加して、その分切削抵抗が増大し、切れ刃の欠損が生じやすくなる。これによつて切れ刃強度が、低下してしまう。したがって、第 5実施形態のインサート 51は、副溝部 5 7の深さ D2が、インサート一刃あたりの予想される送り量の最大値 fmaxよりも大きく形成される。これによつて副溝部 57に起因する切削抵抗の増加を抑え、切れ刃強度の低下を防ぐとともに、切削抵抗を低減させることができる。たとえば本実施の形態では、予想される送り量の最大値 fmaxは、 0. 3mm/刃に設定される。

また切削後の被削材の仕上げ面に生じる凹部と凸部との差は、切削抵抗に大きく影響される。第 5実施形態のインサート 51は、上述したように第 1比較例のインサート 151Aよりも切削抵抗が低いので、第 5実施形態のインサート 51のほうが、第 1比較例のインサート 151Aに比べて仕上げ面の凹凸差を少なくして、仕上げ面を滑らかにすることができる。

このように、より切削条件の厳しい重切削加工を実現するために、第 1比較例のインサート 151Aに比べて、主溝部 56の数を増やすと、切削抵抗は低下する力切れ刃強度が半分にまで低下するので、重切削加工での使用が困難となる。また上述したように第 3比較例のインサート 151Cのように副溝部 57のみを複数配設した場合には、切れ刃強度の低下を抑えることはできるが、切削抵抗が十分に低下せずに、最終的に重切削加工での使用が困難となる。

これに対して、第 5実施例のインサート 51のように、第 1比較例のインサート 151A に、主溝部 56よりも小さな副溝部 57を付設することによって、切削抵抗を低下させつつ、切れ刃強度の低下を抑えることができる。これによつて第 5実施例のインサート 51 を用いて、切削条件の厳、重切削加工を行うことが可能となる。

なお、上述のとおり本実施形態においては、副溝部 57の他端は底面 52に達しない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなぐ逃げ面 54の逃げ角やインサート本体部の厚み、副溝部 57の幅 W2、深さ D2との兼ね合いによりインサート本体部の強度が十分に維持できる場合においては、副溝部 57の他端は底面 52に達するように形成しても同様の効果が得られることは言うまでもな、。

さらに、副溝部 57は、第 1分割主切刃 55Aを略等分するように配設され、第 2分割主切刃 55aを形成する。これにより、各第 2分割主切刃 55aにかかる切削抵抗は等しく分散されるため、切削抵抗が低減され、切刃強度の低下を最大限に抑制できる。ここで、本実施形態においては、副溝部 57によって第 1分割主切刃 55Aを 2等分および 3等分した場合について例示した力本発明はこれに限定されるものではなぐ 2 等分、 3等分、 4等分 · · 'など第 1分割主切刃 55Aを、略等しい長さの複数の第 2分割主切刃 55aに分割する場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。本実施の形態によれば、主溝部 56によって分断された第 1分割主切刃 55A力副溝部 57によって、さらに複数の第 2分割主切刃 55aに分断される。生成される切り屑 8の幅は、第 2分割主切刃 55aの長さと略一致するので、切り屑 8が小さくなり軽量ィ匕する。これによつて、ホルダ 11に形成される切り屑ポケット 13から切り屑 8が排出しやすくなり、切り屑排出性を向上させることができる。したがって切り屑ポケット 13における切り屑 8の詰まり、切り屑 8のかみこみ等の不具合が抑制され、インサート 51およびホルダ 11を長期にわたって使用することが可能となる。また切り屑ポケット 13から外方に排出された切り屑 8は、軽量であるので、被削材周辺に堆積せずに移動し、切り屑によって被削材が傷つくことを防ぐことができる。また被削材周辺に切り屑が堆積することが防がれることによって、結果的に切れ刃への切り屑のかみこみを低減させることができる。このように重切削加工時における切り屑の排出性能を向上させることができる。

また副溝部 57によって第 1分割主切刃 55Aがさらに分断されるため、主切刃部に力かる切削抵抗を低減させることができるとともに、副溝部 57は、主溝部 56より小さく形成されることで、主溝部 56の形成の際にみられる切刃部の大きな強度低下は抑制される。すなわち主溝部 56および副溝部 57を併存させることで、切刃強度の低下を抑制しつつ、インサート 51と被削材との接触面の減少に伴う切削抵抗の低減も可能となる。これによつて、加工中におけるびびり振動を抑制でき、切削条件の厳しい重切削加工も可能となる。

また本実施の形態では、主溝部 56に比べて副溝部 57の幅が小さく形成されるので、幅が異なる 2つの溝部 56, 57を形成することができる。主溝部 56の幅が大きく形成されることで、インサート全体に占める第 1分割主切刃 55Aの割合を低くすることができ、切削抵抗を小さくすることができ、切削時に生じるびびり振動を防ぐことができる。また副溝部 57の幅が小さく形成されることで、切り屑をさらに細分ィ匕する機能を達成しつつ、第 1分割主切刃 55Aの強度低下を防ぐことができる。これによつて主切刃の欠損を防いで、インサート 51の寿命を延命することができる。このように本実施の形態のインサート 51を用いることで、切刃強度の低下を抑えたうえで、切削抵抗を低減させることができ、重切削加工に好適に用いることができる。

また本実施の形態によれば、副溝部 57の長さが本体部の厚みよりも短く形成される。 2つの主溝部 56の間に形成される逃げ面 54Aは、副溝部 57によって複数に分割され、分割された複数の逃げ面 54Aは、底面側でそれぞれ連なる。これによつて 2つの主溝部 56に挟まれた逃げ面部分または、副溝部 57と主溝部 56とによって挟まれた逃げ面部分が欠損することが防がれ、切刃強度を向上させることができる。

また本実施の形態によれば、副溝部 57の深さが主溝部 56の深さよりも小さく形成される。これによつて 2つの主溝部 56に挟まれたすくい面部分または、副溝部 57と主溝部 56によって挟まれたすくい面部分が欠損することが防がれ、切刃強度を向上させることができる。

また本実施の形態によれば、主溝部 56の深さが、それ以上深くしても切削抵抗の低下が期待できない臨界値に設定されることで、切削抵抗を可及的に小さくすることができる。また副溝部 57の深さが最大送り量に相当する深さ以上に設定されることで、副溝部 57によって切り屑の幅を確実に分断することができる。また副溝部 57の深さは、主溝部 56の深さ以下に設定されることで、切刃強度の低下を抑えることができる。また副溝部 57が第 1分割主切刃 55Aを略等分するように配設されることで、副溝部 57によって分割される各第 2分割主切刃 55aにかかる切削抵抗を等しく分散することができ、切削抵抗を低減させるとともに切刃強度の低下を抑えることができる。

また本実施の形態によれば、第 1実施形態と同様に貫通孔 16のまわりに隆起部 15 が形成されていることによって、切り屑のカールを促進することができる。また貫通孔 16に螺合したねじ部材の頭部が隆起部 15によって隠れるので、切り屑とねじ部材のねじ頭とが接触することを防ぐことができ、ねじ部材の頭部の摩耗を防ぐことができる

(第 6実施形態）

図 16〜図 19では、主切刃 5を 3つの主溝部 56で分断してなるインサート 51を例示したが、本発明の第 6実施形態として、主切刃 55を 4つの主溝部 56で分断してなるィンサート 61を図 21〜図 23に示す。図 21は、本発明の第 6実施形態によるインサート 61を示す平面図であり、図 22は、インサート 61を示す長辺側側面図であり、図 23は、インサート 61を示す短辺側側面図である。

第 6実施形態のインサート 61は、第 1実施形態のインサート 1と類似した構成を有し、第 6実施形態のインサート 61は、第 1実施形態のインサート 1に形成される突起を有して、な、点と、第 1実施形態のインサート 1には形成されて、な、副溝部 57を有する点とで異なる。また第 6実施形態のインサート 61の主溝部 56は、図 1に示す第 1 実施形態のインサート 1に形成される溝部 5に対応し、同様の構成を有する。また第 6 実施形態のインサート 61の主溝部 56および副溝部 57の構成については、第 5実施形態のインサート 51と同様である。

第 6実施形態のインサート 61は、第 5実施形態のインサート 51に比べて主溝部 56 および第 1分割主切刃 55Aの配置が異なる。第 6実施形態のインサート 61は、 4つの主溝部 56が形成される。これによつて主切刃 55は、 5つの第 1分割主切刃 55Aに分割される。また副溝部 57は、各第 1分割主切刃 55Aを 2等分して、それぞれ第 2分割主切刃 55aを形成する。したがって副溝部 57は、 5つ形成される。

第 5実施形態のインサート 51と、第 6実施形態のインサート 61とをホルダ 11の外周部に周方向に並べて装着した場合に、第 5実施形態のインサート 51の主溝部 56が通過する領域が、第 6実施形態のインサート 61の第 1分割主切刃 55Aが通過する領域に含まれるようにするとともに、第 6実施形態のインサート 61の主溝部 56が通過する領域が、第 5実施形態のインサート 51の第 1分割主切刃 55Aが通過する領域に含まれるように、各インサート 51, 61の主溝部 56の配置が選択される。

図 24は、本発明のインサート 51, 61を装着した転削工具 12を示す斜視図である。ここで、ホルダ 11の外周先端部に複数の切り屑ポケット 13が形成されており、切り屑ポケット 13内の各々外周位置にインサート 51, 61が取り付けられる。詳細には、インサート 51, 61は、回転方向にすくい面 53を向けて最外周に主切刃 55が位置するように装着され、主切刃 55がホルダ 11とともに回転することによって切削が行われる。一般に、このような転削工具 12で切削加工をする場合には、ホルダ 11に曲げ応力が働くが、このような曲げ応力によって大きなたわみが発生することのないように、ホルダ 11は一定の剛性を備えている。し力しながら、実際の切削加工においては、加ェ条件等によってホルダ 11に働く曲げ応力の大きさが変化するので、加工負荷が大きい場合には、ホルダ 11の剛性が不足することにより大きなたわみが発生し、その結果として加工中のびびり振動を誘発することがある。特に、切込み量が大きな重切削加工等においては、切削抵抗が著しく増大するためにびびり振動が発生しやすい。そのため従来より、上記のような転削工具 12においては、切削抵抗を低減させるための手段として、主切刃を含む逃げ面を、両端がすくい面および底面に達する溝部によって分断したインサートを複数組合せて用いることが広く行われてきた。すなわち、このようなインサートにおいては、生成される切り屑の幅が小さく分割されるので、切削抵抗が低減することにより加工中のびびり振動が抑制されるというものである。しかし、より厳しい切削条件下での重切削加工を可能にするために、従来のままの形状の溝部を単純に数だけ増やすと、溝部によって分断された切刃部の強度が低下してチッビングや欠損等が生じやすくなるため、切削抵抗の低減には限界があった。本実施の形態では、上述したように主溝部 56と副溝部 57とを形成することで、切刃部の強度低下を抑えて、切削抵抗を低減させることができる。その結果、特に切込み量が大きな重切削加工等においても、インサート 51, 61に欠損を生じることなくびびり振動を抑制することが可能となる。図 16〜19に示した第 5実施形態のインサート 51のみを用いた切削加工は、主切刃 55に主溝部 56が形成されているので、加工後の被削材壁面に必然的に削り残しが生じてしまう。そこで、主溝部 56による削り残しを生じさせないために、主溝部 56の配置が互いに異なるインサート 51, 61、たとえば第 5実施形態のインサート 51と第 6 実施形態のインサート 61とを、図 24に示すようにホルダ 11の同一円周上に交互に配置して、切削加工を行う。これによつて、一方のインサート 51の溝部 56, 57による肖 IJり残しを他方のインサート 61の主切刃 55が切削することができ、被削材の加工壁面に生じる凹凸を少なくして加工できるようになる。このように 2種類のインサート 51, 61が用いられる場合、主溝部 56の幅および主溝部間の寸法は、 2種類のインサート 51, 61でほぼ同じに設定される。第 3実施形態と同様に、第 5および第 6実施形態のインサート 51, 61は、分割主切刃がコーナー R切刃からインサート長手方向に進むにつれて、底面に近接するように傾斜して、てもよ、。

(第 7実施形態）

図 25は、本発明の第 7実施形態のインサート 71を示す全体斜視図であり、図 26は、本発明の転削工具 12のインサート装着状態を示す拡大斜視図である。第 7実施形態のインサート ₇₁は、第 5実施形態のインサート 51と対応した構成を有し、対応した構成については説明を省略し、第 5実施形態と同様の参照符号を付する。第 7実施形態のインサート 71は、上述した第 5実施形態のインサート 51の構成要素に加えて、第 1分割主切刃 55Aに隣接するすくい面 53上に、前記各第 1分割主切刃 55Aに対応して少なくとも 1つの突起 58がそれぞれ形成されている。突起 58は、すくい面 5 3から厚み方向に突出する。具体的には、前記第 1分割主切刃 55Aと対をなすように突起 58が形成される。突起 58の主切刃側部分は、副溝部 57によってさらに分断された第 2分割主切刃 55aに対応するように、枝分かれした形状となっている。

各突起 58のうち分割主切刃側部分のうち枝分かれした部分は、インサート幅方向 Cに向かって、各々対応する第 2分割主切刃 55aに近づくにつれて、幅と高さが漸減するように先細りした形状に形成される。ここで、突起 58の高さとは、すくい面 53に対する突起 58のインサート厚み方向 Aの高さ寸法である。また突起 58の幅とは、突起 5 8のインサート長手方向 Bの寸法である。また第 2分割主切刃 55aと突起 58との間のインサート幅方向 Cの距離は、第 2分割主切刃 55aのインサート長手方向中央部で最短となるように構成される。すなわち枝分かれした先端部が、第 2分割主切刃 55a のインサート長手方向中央部に向力つて配設される。

本実施の形態では、各第 2分割主切刃 55aによって幅狭に形成された切り屑がすくい面 53上に形成された前記突起 58に接触して、小さく湾曲変形され、切り屑が切り屑ポケット内のホルダ壁面 14を傷つけることを防ぐことができる。さらに、幅狭に形成された各切り屑が、すくい面 53上に形成される突起 58に接触することで、その曲率半径が小さくなり、切り屑のサイズが小さくなる。これによつて切り屑ポケット 13からホルダ 11外方へ切り屑がスムーズに移動し、切り屑排出性を向上させることができる。したがって切り屑ポケット 13における切り屑の詰まり、切り屑のかみこみ等の不具合が抑制され、インサート 71およびホルダ 11を長期にわたって使用することが可能となる。また主溝部 56および副溝部 57は、ホルダ 11に装着された場合に、ホルダ軸線に垂直な平面に沿って延びるとともに、ホルダ周方向に延びる。

図 24に示すように、第 1分割主切刃 55Aが形成される部分が異なる複数種類のィンサート 51, 61をホルダ 11に交互に装着して転削加工を行う場合、被削材の加工壁面には、 2つのうち一方のインサートの分割主切刃 55Aによって切削される部分と、両方のインサートの分割主切刃 55Aによって切削される部分とが存在する。このとき、生成する切り屑断面の中央部は、一方のインサートの分割主切刃のみによって切削される部分に相当するため、最も厚くなる。第 7実施形態に示すようにホルダ 11 に装着される各インサート 71が、突起 58を有することで、前述した切り屑断面の最も厚い部分に突起 58が接触し、生成した切り屑を選択的にかつ効率よく湾曲変形、すなわちカールさせることができる。

第 7実施形態のインサート 71は、第 5実施形態のインサート 51に突起 58が形成された場合を示したが、第 6実施形態のインサート 61についても同様に突起 58が形成されてもよい。したがって、ホルダ 11に装着されるインサートの全てに、突起が形成されることが好ましい。また突起については、各分割主切刃 55aに 1つ以上の突起が形成されていればよぐ第 1実施形態または第 2実施形態のインサート 1, 21と同様の突起が形成されていてもよい。また図 26に示すように、すくい面 53の中央部の貫通孔 16周りに環状の隆起部 15 が形成されている。これによつて隆起部 15が形成されることに関して、第 1実施形態のインサート 1と同様の効果を得ることができる。

図 27は、第 7実施形態の変形例のインサート 71aを示す全体斜視図である。第 7実施形態のインサート 71は、第 1分割主切刃 55Aに隣接するすくい面 53上に、前記各第 1分割主切刃 55Aに対応して少なくとも 1つの突起が形成され、突起は、第 2分割主切刃 55aに対応するように主切刃側が枝分かれした形状をとる。

これに対して変形例のインサート 71aは、図 27に示すように、第 2分割主切刃 55a の各々に対応して独立した複数の突起 68を有する。このような突起 68を有するインサート 71aであっても第 7実施形態のインサート 71と同様の効果を得ることができる。すなわち、突起は、対応する各々の第 2分割主切刃 55aによって生成される切り屑が衝突して、カールされるように配設されることで、突起のすくい面中央側の形状に拘わらず同様の効果が得られる。この突起 68は、第 1実施形態のインサート 1に示す突起 6と対応するものが好ましい。第 1実施形態の突起 6は、分割主切刃に向かって配設されるとしたが、第 7実施形態の変形例のインサート 71aの突起 68は、第 2分割主切刃 55aに向力つて配設される。突起 68についての他の特徴については、第 1実施形態のインサート 1と同様の構成に形成されてもよい。これによつて突起 68が形成されることに関して、第 1実施形態のインサート 1と同様の効果を得ることができる。また図 1〜図 27では、本体部が略長方形板状または略平行四辺形板状をなしているインサートを例示したが、本発明の他の実施形態として、ホルダ形状に対応して本体部が略多角形板状および略円板状で形成されても、同様の効果が得られることは言うまでもない。以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施形態に限定されるものではなぐ発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。たとえば本実施の形態では、インサートは、 180度回転対称形状であるとしたが、主切刃がインサートの幅方向一方の縁辺だけに形成されていてもよい。また分割主切刃の傾斜、溝部の形状および突起の形状などは、適宜選択されればよぐ本実施の形態の構成に限定されない。また本実施の形態を適宜組合せて用いることも可能である。また本発明のインサートは、重切削加工以外にも用いることができる。

本発明は、その精神または主要な特徴力逸脱することなぐ他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。

産業上の利用可能性

請求項 1記載の本発明によれば、各分割主切刃によって幅狭に形成された切り屑が突起に接触することで、湾曲変形して曲率半径が小さくなる。切り屑の曲率半径が小さくなることで、切り屑は、ホルダに形成されるホルダ壁面に接触する前に破断し、切り屑ポケットの外方に移動する。これによつて切り屑力ホルダ壁面に衝突してホルダ壁面を傷つけることを防ぐことができる。さらに切り屑が突起に接触して、その曲率半径が小さくなることで、切り屑のサイズが小さくなる。これによつて切り屑ポケットからホルダ外方へ、切り屑が円滑に移動し、切り屑排出性を向上させることができる。した力 Sつて切り屑ポケットにおける切り屑の詰まり、切り屑のかみこみ等の不具合が抑制され、インサートおよびホルダを長期にわたって使用することが可能となる。

請求項 2記載の本発明によれば、突起は、分割主切刃から離反するにつれてすくい面からの高さが高くなる。したがって切り屑は、突起によってすくい面力離反する方向に案内されて、湾曲変形して曲率半径が小さくなる。本発明では分割主切刃に近づくにつれて突起の高さが漸減することで、切り屑が突起にスムーズに接触し、接触時の衝撃を抑えて、切削抵抗の増加を抑制することができる。

請求項 3記載の本発明によれば、突起は、分割主切刃から離反するにつれて幅広となる。このように突起が幅広となることで突起の強度が向上し、切り屑衝突時に突起力 Sインサート本体力も欠損することを防ぐことができる。これによつてインサートを長期にわたつて使用することが可能となる。

請求項 4記載の本発明によれば、切り屑は、すくい面に沿って移動して、分割主切刃から遠ざかり、切り屑が突起に接触する。切り屑は、すくい面から厚み方向に離反する方向に案内されて、曲率半径力、さくなるように湾曲変形する。本発明では前記突起の主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて幅と高さが漸減するように先細りした形状に形成される。したがって突起は、分割主切刃から離反するにつれてすくい面力もの高さが高くなる。この場合、切り屑と突起との接触がスムーズとなり、言い換えると切り屑が突起に接触する時の衝撃が小さくなり、接触時の衝撃を抑えて、切削抵抗の増加を抑制することができる。また突起は、高さが高くなるとともに、その幅が広がることで突起の強度低下を防ぐことができ、湾曲変形するように切り屑を案内する時に突起力 Sインサート本体力も欠損することを防ぐことができる。これによってインサートを長期にわたって使用することが可能となる。

請求項 5記載の本発明によれば、突起の交差稜線部は、分割主切刃から離反するにつれて、すくい面との間の厚み方向の距離、すなわち突起の高さが大きくなる。切り屑は、突起の交差稜線部に衝突し、切り屑は、突起の交差稜線部に沿って移動して湾曲変形する。このように突起に交差稜線部が形成され、突起の交差稜線部に切り屑が衝突することで、切り屑と突起とが接触する部分を、極めて小さくすることができ、切り屑をさらに円滑に移動させることができ、切り屑を湾曲変形させるのに起因する切削抵抗をさらに低減させることができる。また切削抵抗の低減のためには、突起の交差稜線部は、突起が対応する分割主切刃の垂直二等分線に沿って延びて、分割主切刃に近づくにつれて高さが漸減することが好ま、。

請求項 6記載の本発明によれば、切り屑は、分割主切刃に対して略直交する方向に移動する。本発明では、突起が分割主切刃に対して略直交する方向に延びて配設されるので、すくい面上を移動する切り屑に対して、突起によって生じる切削時の切削抵抗を低減させることができる。

請求項 7記載の本発明によれば、突起は、分割主切刃の長手方向中間部分に向かって配設配置される。分割主切刃によって形成される切り屑は、分割主切刃とほぼ同じ幅に形成される。この場合、切り屑の幅方向中央部分に突起が接触することとなる。これによつて突起は、切り屑の左右の振れを防いで、分割主切刃に対して略直交する方向に切り屑を案内させることができる。

請求項 8記載の本発明によれば、分割主切刃の略垂直二等分線上に前記突起が配設される。これによつて突起は、分割主切刃に対して略直交する方向に延びて配設されるとともに、分割主切刃の長手方向中間部分に向カゝつて配設されることとなる。これによつて分割主切刃に対して略直交する方向に移動する切り屑に対して、突起によって生じる切削時の切削抵抗を低減させることができる。また突起は、切り屑の幅方向中央部分に突起が接触することとなるので、切り屑の左右の振れを防いで、切り屑を分割主切刃に対して略直交する方向に移動させることができる。

請求項 9記載の本発明によれば、貫通孔のまわりに隆起部が形成されて、ることによって、突起による切り屑の湾曲変形作用が不十分な条件下においても、切り屑が隆起部に接触することで、切り屑の湾曲変形を促進することができる。また貫通孔に螺合したねじ部材の頭部が隆起部によって隠れることで、切り屑とねじ部材のねじ頭とが接触することを防ぐことができ、ねじ部材の頭部の摩耗を防ぐことができるとともに、ねじ頭が切り屑の排出に悪影響を与えることを防ぐことができる。

請求項 10記載の本発明によれば、突起が各分割主切刃と対をなすように形成される。すなわち分割主切刃ごとに 1つの突起がそれぞれ形成される。本発明では、分割主切刃によって形成された切り屑が 1つの突起だけに衝突して案内されることで、切り屑が複数の突起に衝突して案内される場合に比べて、切削抵抗をさらに低減させることができる。また突起が切り屑によって摩耗したり、切り屑の生成方向が少々ずれたりしても、対応する 1つの突起の稜線部分に切り屑を接触させるこができる。

請求項 11記載の本発明によれば、コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃によって形成される切り屑は、それぞれ分割主切刃に略直交する方向に移動する。本発明では、コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃と対をなす各突起が、分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることで、分割主切刃に対して略直交する方向にそれぞれ移動する切り屑に対して、突起によって生じる切削抵抗を低減させることができる。またたとえば各突起が、各々対をなす分割主切刃の長手方向中間部に向かって配設されることで、切り屑の左右の振れを防いで、切り屑を分割主切刃に対して略直交する方向に移動させることができ、複数の切り屑が互いに接触することを防いで、ポケット内で切り屑が詰まることを防ぐことができる。

請求項 12記載の本発明によれば、すくい面の角部寄りの分割主切刃は、コーナー R切刃と連なっているので、コーナー R切刃寄りの分割主切刃によって形成される切り屑は、コーナー R切刃によって形成される切り屑と連なった円弧状に形成されて、すくい面上を分割主切刃に対して予め定められる角度傾斜して移動する。本発明では、コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起がコーナー R切刃に向かって幅と高さが漸減するように形成されるので、コーナー R切刃とそれに連なる分割主切刃とによって形成される切り屑を、突起に円滑に衝突させることができ、切削抵抗をさらに低減させることができる。またコーナー R切刃とそれに連なる分割主切刃とによつて形成される切り屑につ、て、円滑に湾曲変形させることができる。

請求項 13記載の本発明によれば、コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす傾斜角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることによって、突起によって生じる切削抵抗を低減させるとともに、コーナー R切刃によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。たとえば前記傾斜角度が、 60° 未満であると、切り屑が詰まりやすくなり、切削抵抗が増加するおそれがある。また傾斜角度が 60° 未満であると、コーナー R切刃に連なる分割主切刃で形成される切り屑部分に起因する切削抵抗が過剰となる。また傾斜角度が 85° を超えると、切り屑が湾曲しに《なるので、ホルダの壁面の摩滅が改善されないば力りでなぐ切り屑のサイズが大きくなつて切り屑排出性が低下するとともに、切り屑のかみこみによる切刃の欠損等の不具合を生じるおそれがある。また傾斜角度が 85° を超えると、コーナー R切刃で形成される切り屑部分に起因する切削抵抗が過剰となる。

これに対して本発明では、傾斜角度が 60° 以上 85° 以下に設定されるので、上述した不具合が生じることはない。したがって切削抵抗を抑えて、コーナー R切刃およびコーナー R切刃に連なる分割主切刃によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。

請求項 14記載の本発明によれば、分割主切刃に対応して 1つ以上の突起が形成される。これによつて、 1または複数の突起に切り屑を当接させて、切り屑を湾曲変形させることができる。複数の突起に切り屑を当接させて、切り屑を湾曲変形させることで、切り屑の断面積が大きい場合および切り屑の剛性が高い場合であっても、切り屑から与えられる衝撃力を複数の突起で分担することができ、突起が欠損することを防いで、切り屑を十分に湾曲変形させることができる。たとえば複数の分割主切刃のうち、分割主切刃の長さが長い分割主切刃と、分割主切刃の長さが短い分割主切刃とが存在する場合、長さの短い分割主切刃に対応する突起の数に比べて、長さの長い分割主切刃に対応する突起の数を増やすことで、長さの長!ヽ分割主切刃によって形成される幅広の切り屑をより確実に湾曲変形させることができるとともに、長さの長い分割主切刃に対応する突起が、幅広の切り屑の衝突によって欠損することを防ぐことができる。

請求項 15記載の本発明によれば、コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃によって形成される切り屑は、それぞれ対応する分割主切刃に略直交する方向に移動する。本発明では、コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃と対応する各突起が、分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることで、分割主切刃に対して略直交する方向に移動する切り屑に対して、突起によって生じる切削抵抗を低減させることができる。またたとえば各突起が、各々対応する分割主切刃の長手方向中間部に向かって配設されることで、切り屑の左右の振れを防いで、切り屑を分割主切刃に対して略直交する方向に移動させることができ、複数の切り屑が互いに接触することを防いで、ポケット内で切り屑が詰まることを防ぐことができる。

請求項 16記載の本発明によれば、コーナー R切刃寄りの分割主切刃は、コーナー R切刃と連なっているので、コーナー R切刃寄りの分割主切刃によって形成される切り屑は、コーナー R切刃によって形成される切り屑と連なった円弧状に形成されて、すくい面上を分割主切刃に対して予め定められる角度傾斜して移動する。本発明では、コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応する突起のうちで、コーナー R切刃に最近接して配設される突起がコーナー R切刃に向力つて幅と高さが漸減するように形成されるので、コーナー R切刃とそれに連なる分割主切刃とによって形成される切り屑を、コーナー R切刃に最近接して配置される突起に円滑に衝突させることができ、切削抵抗をさらに低減させることができる。またコーナー R切刃とそれに連なる分割主切刃とによって形成される切り屑について、円滑に湾曲変形させることができる。ここで、コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応する突起が 1つの場合は、その 1つの突起が、突起がコーナー R切刃に最近接して配設される突起となる。またコーナー R 切刃寄りの分割主切刃に対応する突起が複数の場合は、それらの複数の突起のうちのコーナー R切刃に最近接する突起が、コーナー R切刃に最近接して配設される突起となる。

請求項 17記載の本発明によれば、コーナー R切刃に最近接して配設される突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす傾斜角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることによって、突起によって生じる切削抵抗を低減させるとともに、コーナー R切刃によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。たとえば前記傾斜角度が、 60° 未満であると切り屑が詰まりやすくなり、切削抵抗が増加するおそれがある。また傾斜角度が 60° 未満であると、コーナー R切刃に連なる分割主切刃で形成される切り屑部分に起因する切削抵抗が過剰となる。また傾斜角度が 85° を超えると切り屑が湾曲変形しに《なるので、ホルダの壁面の摩滅が改善されないば力りでなぐ切り屑のサイズが大きくなつて切り屑排出性が低下するとともに、切り屑のかみこみによる切刃の欠損等の不具合を生じるおそれがある。また傾斜角度が 85° を超えると、コーナー R切刃で形成される切り屑部分に起因する切削抵抗が過剰となる。本発明では、傾斜角度が 60° 以上 85° 以下に設定されるので、上述した不具合が生じることなぐコーナー R切刃によって形成された切り屑をより確実に湾曲変形させることができる。

請求項 18記載の本発明によれば、コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃によって形成される切り屑は、それぞれ対応する分割主切刃に略直交する方向に移動する。本発明では、コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応する複数の突起のうちで、コーナー R切刃に最近接する突起以外の突起が、前記分割主切刃と略直交する方向に延びて配設されることで、分割主切刃に対して略直交する方向にそれぞれ移動する切り屑が突起にスムーズに当接して、突起によって生じる切削抵抗を低減させることができる。

請求項 19記載の本発明によれば、主溝部によって分断された前記第 1分割主切刃が、前記副溝部によって、さらに複数の第 2分割主切刃に分断される。生成される切り屑の幅は、前記第 2分割主切刃の長さに対応してさらに小さくなるため、切り屑が軽量化する。これによつて、ホルダに形成される切り屑ポケットから切り屑が排出しやすくなり、切り屑排出性を向上させることができる。したがって切り屑ポケットにおける切り屑の詰まり、切り屑のかみこみ等の不具合が抑制され、インサートおよびホルダを長期にわたって使用することが可能となる。また切り屑ポケットから外方に排出された切り屑は、軽量であるので、被削材周辺に堆積せずに移動し、切り屑によって被削材が傷つくことを防ぐことができる。

また前記副溝部によって前記第 1分割主切刃がさらに分断されるため、主切刃部に力かる切削抵抗を低減させることができるとともに、前記副溝部は、前記主溝部より小さく形成されることで、前記主溝部の形成の際にみられる切刃部の大きな強度低下を抑制することができる。すなわち前記主溝部および前記副溝部を併存させることで、切刃強度の低下を抑制しつつ、インサートと被削材との接触面の減少に伴う切削抵抗の低減も可能となる。これによつて、加工中におけるびびり振動を抑制でき、切り屑排出性能を向上させるとともに、切削条件の厳しい重切削加工も可能となる。

請求項 20記載の本発明によれば、主溝部に比べて副溝部の幅が小さく形成されるので、幅が異なる 2つの溝部を形成することができる。主溝部の幅が大きく形成されることで、

インサート全体に占める第 1分割主切刃の割合を低くすることができ、切削抵抗を小さくすることができ、切削時に生じるびびり振動を防ぐことができる。また副溝部の幅が小さく形成されることで、幅の大きな主溝部が複数形成されるインサートで見られる、切れ刃強度の大きな低下およびそれにより生じる切刃のチッビング、欠損、破損などが抑制される。したがって切り屑をさらに細分ィ匕する機能を達成しつつ、第 1分割主切刃の強度低下を防ぐことができる。これによつて主切刃の欠損を防いで、インサートの寿命を延命することができる。このように本発明のインサートを用いることで、切刃強度の低下を抑えたうえで、切削抵抗を低下することができ、切り屑排出性能を向上させるとともに、重切削加工に好適に用いることができる。

請求項 21記載の本発明によれば、副溝部の長さが本体部の厚みよりも短く形成される。 2つの主溝部の間に形成される逃げ面は、副溝部によって複数に分割され、分割された複数の逃げ面は、底面側でそれぞれ連なる。これによつて 2つの主溝部に挟まれた逃げ面部分または、副溝部と主溝部とによって挟まれた逃げ面部分が欠損することが防がれ、切刃強度を向上させることができる。

請求項 22記載の本発明によれば、副溝部の深さが主溝部の深さよりも小さく形成される。これによつて切れ刃強度の維持と切削抵抗の低減とをバランスよく両立することができ、その結果、切削時の切込み量を増やすなどの重切削加工も可能になるため、望ましい。これによつて 2つの主溝部に挟まれたすくい面部分または、副溝部と主溝部によって挟まれたすくい面部分が欠損することが防がれ、切刃強度を向上させることができる。

請求項 23記載の本発明によれば、副溝部が第 1分割主切刃を略等分するように配設されることで、副溝部によって分割される各第 2分割主切刃にかかる加工負荷を等しく分散することができ、切削抵抗を低減させるとともに切刃強度の低下を抑えることができる。

請求項 24記載の本発明によれば、各第 2分割主切刃によって幅狭に形成された切り屑がすくい面上に形成された前記突起に接触して、小さく湾曲変形され、切り屑が切り屑ポケット内のホルダ壁面を傷つけることを防ぐことができる。さらに、幅狭に形成された各切り屑が、すくい面上に形成される突起に接触することで、その曲率半径が小さくなり、切り屑のサイズが小さくなる。これによつて切り屑ポケットからホルダ外方へ切り屑がスムーズに移動し、切り屑排出性を向上させることができる。これによつて切り屑ポケットにおける切り屑の詰まり、切り屑のかみこみ等の不具合が抑制され、スローアウエィインサートおよびホルダを長期にわたって使用することが可能となる。請求項 25記載の本発明によれば、貫通孔のまわりに隆起部が形成されて、ることによって、突起による切り屑のカール作用が不十分な条件下においても、切り屑の力ールを促進することができる。また貫通孔に螺合したねじの頭部が隆起部によって隠れるので、切り屑とねじ頭とが接触することを防ぐことができ、ねじの頭部の摩耗を防ぐことができる。

請求項 26記載の本発明によれば、スローァウェイインサートをホルダに装着することで、ポジティブ方向のアキシャルレーキを有する転削工具を実現することができる。これによつて被削材へのくいっき性を向上させることができ、被削材から与えられる切削抵抗を低減させることができる。したがって一度に切削する切削量がさらに大きくなる重切削加工、いわゆる荒削り加工を行っても、切削抵抗の増加を抑えて、加工中におけるびびり振動をより確実に抑制することができる。

また本発明では、インサートの底面に対して各分割主切刃を傾斜させることで、ァキシャルレーキを付与するために、ホルダに形成されるインサート底面をホルダの回転軸線に対してホルダ周方向に大きく傾斜させる必要がない。これによつてホルダの肉厚の減少を抑えて、ホルダの剛性低下を抑えることができ、転削工具の寿命を長くして、一度に切削可能な切削量を大きくすることができる。

請求項 27記載の本発明によれば、上述するような、切り屑を細力べ分断することが出来るスローァウェイインサートが複数ホルダに装着されることで、切り屑の排出性能を向上させることができる。特に、一度の切削工程における切削量が大きい重切削加ェであっても、切削時に発生した切り屑を、切り屑ポケットからホルダ外方に円滑に排出することができ、切り屑ポケットに切り屑が堆積することを防ぐことができる。これによつてインサートおよびホルダの欠損および摩耗を減らして、寿命を延命するとともに、交換回数を減らすことができ、生産効率を向上させることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 略板状をなし、厚み方向一方の面にすくい面を、側面に逃げ面を具備するとともに

、前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に主切刃が形成され、かつ前記主切刃が分断された複数の分割主切刃カゝらなるスローァウェイインサートであって、前記すくい面から突出して、前記各分割主切刃に対応する位置に突起がそれぞれ形成されて、ることを特徴とするスローァウェイインサート。

[2] 前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて高さが漸減する形状に形成されていることを特徴とする請求項 1記載のスローアウエイインサート。

[3] 前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて幅が漸減する形状に形成されていることを特徴とする請求項 1記載のスローァウェイインサート。

[4] 前記突起のうち主切刃側部分は、各々対応する分割主切刃に近づくにつれて幅と高さとが漸減するように先細りした形状に形成されていることを特徴とする請求項 1記載のスローァウェイインサート。

[5] 前記突起のうち主切刃側部分は、上方に向かうにつれて互いの間の距離が漸減する 2つの突起側面を有し、前記 2つの突起側面によって形成される交差稜線部は、前記分割主切刃に近づくにつれて、前記すく、面との間の距離が漸減することを特徴とする請求項 1〜4のいずれか 1つに記載のスローアウエィインサート。

[6] 前記各突起のうち少なくとも 1つの突起は、分割主切刃に対して略直交する方向に延びて配設されることを特徴とする請求項 1〜5のいずれか 1つに記載のスローアウエィインサート。

[7] 前記各突起のうち少なくとも 1つの突起は、分割主切刃の中間部分に向力つて配設されることを特徴とする請求項 1〜6のいずれか 1つに記載のスローアウエイインサー

[8] 前記分割主切刃の略垂直二等分線上に、前記各突起のうち少なくとも 1つの突起が配設されていることを特徴とする請求項 1〜7のいずれか 1つに記載のスローアウエィインサート。

[9] 前記すくい面の略中央に、厚み方向に貫通した貫通孔を具備するとともに、貫通孔周りに環状の隆起部を具備して、ることを特徴とする請求項 1〜8の、ずれか 1つに記載のスローァウェイインサート。

[10] 前記突起は、前記各分割主切刃と対をなすように、それぞれ形成されることを特徴とする請求項 1〜9のいずれか 1つに記載のスローアウエィインサート。

[11] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃と対をなす突起が、前記分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることを特徴とする請求項 10記載のスローァウェイインサート。

[12] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起は、前記コーナー R切刃に向力つて幅と高さが漸減するように形成されていることを特徴とする請求項 10または 11記載のスローァウェイインサート。

[13] 前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃と対をなす突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることを特徴とする請求項 12記載のスローァウェイインサート。

[14] 前記突起は、前記各分割主切刃に対応して 1つ以上、それぞれ形成されることを特徴とする請求項 1〜9のいずれ力 1つに記載のスローァウェイインサート。

[15] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃以外の分割主切刃に対応する各突起が、前記分割主切刃と略直交する方向にそれぞれ延びて配設されることを特徴とする請求項 14記載のスローアウエィインサート。

[16] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応して突起が設けられ、この対応する突起のうち、前記コーナー R切刃に最近接して配設される突起は、前記コーナー R切刃に向力つて幅と高さが漸減するように形成されてヽることを特徴とする請求項 14または 15記載のスローァウェイインサート。

[17] 前記コーナー R切刃に最近接して配設される突起は、前記角部寄りの分割主切刃とのなす角度が、 60° 以上 85° 以下となる仮想直線に沿って延びて配設されることを特徴とする請求項 16記載のスローアウエィインサート。

[18] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、前記コーナー R切刃寄りの分割主切刃に対応して複数の突起が設けられ、この複数の突起のうち、コーナー R切刃に最近接して配設される突起以外の突起が、前記分割主切刃と略直交する方向に延びて配設されることを特徴とする請求項 16または 17記載のスローァウェイインサート。

[19] 略板状の本体部の厚み方向一方の面に形成されたすくい面と、

前記本体部の厚み方向他方の面に形成された底面と、

前記本体部側面に形成された逃げ面と、

前記主切刃および前記逃げ面は、各々前記主溝部によって分断された複数の第 1 分割主切刃および分割逃げ面からなるとともに、さらに前記第 1分割主切刃は、一端が前記すくい面に達するようにして前記主溝部と並んで前記分割逃げ面上に配される副溝部によって分断された複数の第 2分割主切刃からなるスローァウェイインサート

[20] 前記副溝部の幅が前記主溝部の幅より小さいことを特徴とする請求項 19記載のスローァウェイインサート。

[21] 前記副溝部の長さが前記本体部の厚みよりも短いことを特徴とする請求項 19または 20記載のスローァウェイインサート。

[22] 前記副溝部の深さが前記主溝部の深さより小さいことを特徴とする請求項 19〜21 のいずれ力 1つに記載のスローァウェイインサート。

[23] 前記副溝部が前記第 1分割主切刃を略等分するように配設されることを特徴とする請求項 19〜22のいずれ力 1つに記載のスローアウエィインサート。

[24] 前記すくい面上に、前記第 2分割主切刃に対応する位置に、少なくとも 1つ以上の突起が配設されていることを特徴とする請求項 19〜23のいずれか 1つに記載のスロ一ァウェイインサート。

[25] 前記すくい面の中央に厚み方向に貫通した貫通孔を具備するとともに、貫通孔周りに環状の隆起部を具備していることを特徴とする請求項 19〜24のいずれか 1つに記載のスローァウェイインサート。

[26] 前記すくい面の 1つの角部には、その角部に近接する角部寄りの分割主切刃に連なるコーナー R切刃が形成され、すくい面と反対側にホルダに当接する底面が形成され、

前記各分割主切刃は、コーナー R切刃に近づくにつれて、前記底面から離反する方向に傾斜することを特徴とする請求項 1〜25のいずれか 1つに記載のスローアウエィインサート。

[27] 請求項 1〜26のいずれ力 1つに記載のスローアウエィインサートと、前記スローァゥイインサートを複数装着するホルダとを具備することを特徴とする転削工具。