JP2850893B2 - スローアウェイチップ及びスローアウェイ式ドリル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自動車部品や機
械部品などを加工する回転切削工具用のスローアウェイ
チップ、中でもドリル用として適したスローアウェイチ
ップと、そのチップで切れ刃を構成して切削バランス、
加工穴精度、切屑処理性能を高めたスローアウェイ式ド
リルに関する。

【０００２】

【従来の技術】経済的な複数コーナ使用のスローアウェ
イチップを用いるスローアウェイ式ドリルで、切削バラ
ンスを考慮したものとして、例えば、特公昭６１−２１
７６６号公報に示されるものがある。このドリルは、図
１２に示すように、鋭角コーナと鈍角コーナを交互に形
成した六角形のスローアウェイチップ２０をドリル本体
２４の先端の１８０°回転した位置に図のように取付
け、回転中心側におかれたチップを内刃、外周側におか
れたチップを外刃として両チップの山形の切れ刃２５で
被削域を径方向に２分して切削するようにしている。

【０００３】従来品の中には、図１２のスローアウェイ
チップに代えて図１３に示す形状のスローアウェイチッ
プ２１を用いるものもあるが、このドリルも、外刃、内
刃の両チップで被削域を径方向に２分して分担切削する
点は図１２のチップを使用するものと同じである。

【０００４】また、別の従来品は、内刃、外刃に図１４
に示す形状のスローアウェイチップ２２を用い、切れ刃
の中央部に設けた凸部２６が被削材に先行して切込まれ
るドリルを製品化しているものもある。

【０００５】また、本出願人が実公昭６０−１９２８号
で提案しているドリルもある。

【０００６】このほか、従来品の中には、図１５に示す
ように、長方形を基本とするチップの短辺の両端に凸切
れ刃部２７を形成したスローアウェイチップ２３を内刃
チップ、外刃チップとして利用するものがある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前述の一頂角の山形切
れ刃２５を利用するドリルは、山の頂点で交わる左右の
切れ刃部の傾き角を等しくすることにより、それぞれの
切れ刃部に働く切削抵抗の水平分力を打ち消すようにし
ている。

【０００８】実公昭６０−１９２８号のドリルも、内
刃、外刃を逆方向に傾けてそれぞれの刃に働く切削抵抗
の水平分力を相殺することを狙っているが、これ等のド
リルは、高能率条件（高速、高送り）での加工や硬度の
高い被削材の加工を行うと切削抵抗が安定せず、切削バ
ランスが崩れて加工穴精度が悪くなったり、チップ、ド
リルが破損するなどの問題が生じていた。特に、ドリル
剛性が要求される高送り加工、及び小径深穴加工では、
被削材への喰付時に急激に大きい負荷がかかると切削バ
ランスが著しく崩れ、ドリル破損などのトラブルが生じ
易かった。

【０００９】切削速度は、ドリルの場合回転中心部では
０であり、外周側ほど早くなる。このために、切削抵抗
も刃先の位置（回転中心からの距離）によって変化す
る。その傾向は、切削条件や被削材の種類によっても変
わり、従って、内刃チップは被削域の内側を、外刃チッ
プは同域の外側を担当する方式の従来ドリルは、高能率
或いは高負荷切削に用いると内刃、外刃に発生する切削
力の差が大きくなり、切削バランスが崩れ易かった。

【００１０】また、切屑分割数はチップ使用数と同数で
幅の広い切屑が発生するため、折れ難い軟鋼などを高速
或いは高送り加工して切屑排出量が多くなると切屑詰ま
りが生じ易く、これも加工精度低下、ドリル破損の原因
となっている。

【００１１】さらに、軟鋼の穴あけでは、外周部の切刃
角が大きいと穴出口で大きいバリが発生し易い問題があ
った。

【００１２】図１４のスローアウェイチップ２２を用い
るドリルは、凸部２６が被削材に先行して切込まれて切
削抵抗の水平分力を受け止めるが、回転中心から刃先ま
での距離差で内刃、外刃の切削力の差が大きくなる不具
合は解消されない。また、このドリルは、切れ刃形状や
チップ２２を支持する座の形状が複雑化するほか、凸部
２６の部分が強度的に弱くなるため、高能率加工、高負
荷加工では特に、チップ、ドリルの破損が生じ易い。

【００１３】さらに、凸部２６とその両側の切れ刃直線
部の３箇所から同時に切屑が流出するのでそれがからみ
合って切屑詰まりを生じる恐れもある。

【００１４】また、図１５のチップを用いる従来のドリ
ルは、凸切れ刃部２７が他側のチップの凹切れ刃部通過
域を補完切削するので切屑処理性は良いと考えられる
が、凸切れ刃部２７間に凹切れ刃部があり、その部分で
クランプ穴との間の肉厚が薄くなるため、チップ強度が
低下して高能率条件、高負荷条件の切削ではチップ欠損
等のトラブルが生じ易くなる。

【００１５】この発明は、上記の諸問題を解決してスロ
ーアウェイ式ドリルの更なる高性能化を実現することを
課題としている。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、スローアウェイチップの刃型
形状と、ドリル構成時のチップ配置に工夫を加える。刃
型形状の工夫については、中心にクランプ穴を有し、さ
らに、同一形状の複数の切れ刃とすくい面に鋭角に交わ
る正の逃げ面を有し、クランプ穴を中心にした所定角度
の回転でコーナ間の使用切れ刃の位置が入れ替わるよう
にしてある複数コーナ使用の回転切削工具用スローアウ
ェイチップを、下記構成の切れ刃、即ち、Ｒ形状の頂部
と、その頂部から左右のコーナ部に向かってそれぞれに
下り降りる第１傾斜部及び第２傾斜部を有し、さらに、
第２傾斜部は少なくとも一部が曲線で構成され、その傾
斜角が頂部側よりも下降終点のコーナ部側で小さくなっ
ている切れ刃を具備したものとなす。

【００１７】また、ドリル構成時のチップ配置について
は、ドリル本体の先端部の回転中心を基準にした両側に
チップ座を同数ずつ振り分けて設け、そのチップ座の各
々にスローアウェイチップをクランプネジで締付けて装
着し、各スローアウェイチップで被削域を分担して切削
するスローアウェイ式ドリルを改善の対象にしてこの発
明のスローアウェイチップを、図３のように、コーナ部
６ａが径方向の外側にあり、かつ、切れ刃の回転軌跡に
おいてそれぞれのチップの切れ刃頂部５ａとコーナ部６
ａ間に他のチップの切れ刃頂部５ａを中心とする切れ刃
又はコーナ部６ａ側の切れ刃が突出するように配置す
る。

【００１８】切れ刃頂部は、第１傾斜部下降終点のコー
ナ部６ｂ側に偏らせて配置するのが望ましい。また、第
２傾斜部下降終点のコーナ部６ａを面取り付きのコーナ
部にすると、この部分の切れ味を高めることができる。

【００１９】なお、スローアウェイチップは、すくい面
にチップブレーカを備えているものや、切れ刃に面取り
による刃先強化処理を施し、切削速度の早い側におかれ
る第２傾斜部下降終点のコーナ部側から切削速度の遅い
側におかれる第１傾斜部下降終点のコーナ部に向かって
切れ刃部の面取り量を大きくしたものが好ましい。

【００２０】また、ドリルは、切れ刃部に切削液を供給
する油穴を本体の内部に具備するものが好ましい。

【００２１】このほか、ドリル径によっては、従来行わ
れているように、ドリルの直進性を高めるパイロットド
リルを本体の先端中心に設けたり、加工穴面に接する防
振用の硬質ガイドを本体の先端外周に設けたり、回転中
心の両側にチップを各２個ずつ配置したりすることも考
えられる。

【００２２】

【作用】以下の説明は、便宜上、使用チップが内刃チッ
プと外刃チップの２個である場合を例に挙げて行う。

【００２３】この発明のスローアウェイチップは、一種
の一頂角チップであるが、従来の一頂角チップと違っ
て、第２傾斜部の少なくとも一部を曲線で構成したこと
により切れ刃頂部の頂角を小さくできるため、被削材へ
の喰付時に急激に大きな負荷がかかることがなく、喰付
性が向上する。

【００２４】また、第２傾斜部の傾斜角が下降終点のコ
ーナ側で小さくなっているため、工具の外周切れ刃部の
切れ刃角を小さくして加工穴に発生するバリを小さくす
ることも可能になる。面取りされたコーナ部をもつチッ
プは、コーナ部の切れ味が向上し、バリの発生をより少
なくすることができる。

【００２５】また、この発明のドリルは、上記の刃型形
状及びチップ配置により、内刃チップが本来受けもつ内
側領域の一部を外刃チップが、また、外刃チップが本来
受けもつ外周側領域の一部を内刃チップが各々切削する
ようになるため、切削抵抗は、切削条件、被削材の影響
を受け難くなり、高能率条件や高負荷条件での加工でも
内刃チップと外刃チップ間に生じる切削抵抗の水平分力
差が小さくて切削バランスの崩れが少なくなる。

【００２６】また、内刃チップ、外刃チップの頂部を中
心とする切れ刃部と外端コーナ側切れ刃部が有効刃とし
て働くので、切屑分割数が（チップ数×２）となって切
屑が細かくなる。また、外刃チップと内刃チップによる
切削領域が径方向に交互に並ぶので同時に削られた切屑
がからみ合う心配も無く、これにより切屑排出が円滑に
なって切屑詰まりが防止される。

【００２７】さらに、チップの切れ刃部に大きな凹みや
複雑な入り込み部が出来ないため、チップ強度の低下が
起こらず、高能率条件や高負荷条件での加工でもチップ
欠損が起こり難い。

【００２８】なお、チップブレーカを有するものは切屑
の処理がより効果的に行われる。

【００２９】また、第１傾斜部下降終点のコーナ側ほど
面取り量が大になる刃先強化処理を施したものは、チッ
プの欠損防止、加工穴精度の向上に効果を奏する。回転
中心部の切れ刃は切削速度が遅く溶着を生じ易いため強
度を高めることが望まれ、一方、外周側の切れ刃は切削
速度が早いので良好な切れ味をもつことが望まれる。こ
の２つの要求が上記の刃先処理により共に満たされ、そ
の結果チップの欠損が減少し、加工穴もバリ等の無い高
精度の穴になる。

【００３０】このほか、ドリル本体に油穴を設けたもの
は、切削液による切屑の強制排出作用で高能率加工の効
果がより高まる。

【００３１】

【発明の実施の形態】図１に、この発明のスローアウェ
イチップの第１の実施形態を示す。このスローアウェイ
チップ１は、三角形を基本とする３コーナ使用型であっ
て、中心にクランプ穴２を有している。また、各コーナ
間に、すくい面３と逃げ面４との交差稜で構成される同
一形状の３つの切れ刃５を有している。逃げ面４は、切
れ刃をポジティブにする方向に傾いた正の逃げ面になっ
ている。

【００３２】切れ刃５は、Ｒ形状の頂部５ａ、この頂部
５ａからコーナ部６ｂに向かって下り降りる第１傾斜部
５ｂ及び頂部５ａからコーナ部６ａに向かって下り降り
る第２傾斜部５ｃで構成されている。また、第２傾斜部
５ｃは、一部が凹形に彎曲した曲線で構成されて傾斜角
が頂部５ａ側よりもコーナ部６ａ側で小さくなってい
る。

【００３３】ここで云う傾斜角は、コーナ部６ａと６ｂ
を結ぶ直線７に対する傾き角である。

【００３４】なお、図の第２傾斜部５ｃは直線と曲線の
組み合わせになっているが、全体が曲線であってもよ
い。また、第１傾斜部５ｂは、曲線にすることも制限さ
れない（曲線にすると頂部５ａの頂角がより小さくな
る）が、チップの強度維持の面からは直線にした方がよ
い。

【００３５】この図１のスローアウェイチップ１は、ク
ランプ穴２を中心にして１２０°回転させると使用切れ
刃の位置が入れ替わる。

【００３６】図２は、図１のスローアウェイチップを外
刃チップ１Ａ、内刃チップ１Ｂとして用いたスローアウ
ェイ式ドリルの実施形態である。

【００３７】ドリル本体８は、先端の１８０°回転した
位置に略Ｖ字形のチップ座９を有し、また、外周の１８
０°回転した位置にチップ座９の位置から後方に延び出
す切屑排出溝１０を有し、各チップ座９に外刃チップ１
Ａと内刃チップ１Ｂが皿頭のクランプネジ１１を用いて
固定される。

【００３８】外刃、内刃の各チップ１Ａ、１Ｂは、図３
に示すように、コーナ部６ａが径方向の外側、コーナ部
６ｂが内側にあり、かつ、両チップの切れ刃頂部５ａが
ドリルの軸心（回転中心軸）Ｃと直交する線上にほぼ揃
い、さらに、内刃チップ１Ｂの頂部５ａとコーナ部６ａ
との間に外刃チップ１Ａの頂部５ａを中心とする切れ刃
部が、また、外刃チップ１Ａの頂部５ａとコーナ部６ａ
との間に内刃チップ１Ｂのコーナ部６ａ側切れ刃部が各
々突出するように径方向に所定量位置をずらし、かつ、
内刃、外刃チップを軸心Ｃに対し各々の姿勢が変わる方
向に所定量傾けて配置されている。

【００３９】１２は、ドリル本体の内部に設けた油穴で
あり、本体の先端に抜けるこの穴から切削液が供給され
る。

【００４０】このように構成した図２のドリルは、図３
に示すように、被削域がＡ１、Ｂ１、Ａ２、Ｂ２の４つ
に分割され、切屑が細かくなって円滑に排出される。ま
た、切れ刃頂部５ａの左右の２辺に働く切削抵抗の水平
分力が互いに打ち消し合うのに加え、外刃チップ１Ａが
Ａ１の領域のほかにＢ１、Ｂ２間の領域Ａ２を、内刃チ
ップ１ＢがＢ２の領域のほかにＡ１、Ａ２間の領域Ｂ１
を各々切削するので、両チップの切れ刃に加わる切削抵
抗の水平分力の差も小さく抑えられ、高能率加工、高負
荷加工でもバランスの良い切削が行える。

【００４１】さらに、被削材に対する喰付きが、内刃、
外刃チップの切れ刃頂部５ａの位置から徐々に進行する
ため、高能率加工や高負荷加工でもバランスの良い切削
が行える。

【００４２】また、最外周の切刃角が小さいため、穴貫
通時に発生するバリも小さくなる。

【００４３】図４は、第２実施形態のスローアウェイチ
ップである。このスローアウェイチップ１３は、略長方
形であって、対向２辺が切れ刃５となっている。その切
れ刃５の刃形は図１のチップとほぼ同じである。従っ
て、図１と同一要素については同一符号を付して詳細説
明を省く。図１のチップとの相違点は、クランプ穴２を
中心にした１８０°の回転で切れ刃５が入れ替わる２コ
ーナ使用型であることと、切削に使用されない側面１４
を２つ有していることである。側面１４は座側面による
専用の保持面として使用される。

【００４４】図５に、図４のスローアウェイチップを外
刃チップ１Ａ、内刃チップ１Ｂとして配置した状態を示
す。このチップを用いたドリルは、チップ及びチップ座
の形状が異なるだけで、その他の構成は図２、図３のド
リルと同じであるので全体図は省く。

【００４５】図６は、図４のスローアウェイチップ１３
に、切屑処理用のチップブレーカ１５を付加したもので
ある。ここでは溝形状のチップブレーカを用いたので切
れ刃の刃先角が鋭くなって切れ味も向上する。図７のス
ローアウェイチップは図６のチップに面取りによる刃先
強化処理を施している。刃先角が鋭くなると切削速度の
遅い回転中心側で切れ刃が欠け易くなるので、面取り部
１６の面取り量を回転中心側におかれるイ部で図７
（ｂ）に示すように大きくし、外周側に配置されるロ部
は、強度よりも切れ味が重視されるので図７（ｃ）に示
すように面取り量を小さくして刃先の鋭利さが保たれる
ようにしている。

【００４６】また、ここでは、２つある切れ刃５の刃先
処理を異ならせて処理度合のきつい図中上側の切れ刃５
を内刃チップ用、もう一方の切れ刃５を外刃チップ用と
して使用するようにしており、そのために、チップの種
類を増やさずに内刃、外刃の数のバランスをとることが
できる。

【００４７】（実施例１）図１のチップを用いた図２の
形状の本発明ドリルを試作し、切削抵抗の水平分力を調
べた。比較品は、図１２に示す従来ドリルとした。ドリ
ル径は、発明品、比較品とも２６ｍｍである。

【００４８】この発明品、比較品を用いて被削材Ｓ５０
Ｃに、切削速度Ｖ＝１５０ｍ／ｍｉｎの条件で直径２６
ｍｍの穴をあけた。このときの送り量と水平分力との関
係の調査結果を図８に示す。この図８から判るように、
この発明のドリルは、切削抵抗の水平分力が切削バラン
スの良いことで知られる図１２のドリルよりも更に小さ
く、加工の安定性に優れている。

【００４９】（実施例２）図４の刃型形状のドリル（発
明品）と、図１２の刃型形状のドリル（従来品）によっ
て生成される切屑形態の違いを調べた。ドリル径は共に
１４ｍｍとし、被削材Ｓ５０Ｃに、切削速度Ｖ＝１２０
ｍ／ｍｉｎで穴をあけ、送り０．０８ｍｍ／ｒｅｖ、
０．１２ｍｍ／ｒｅｖ、０．１５ｍｍ／ｒｅｖ時の切屑
を写真撮影した。図９に、写真の切屑をなぞって絵にし
たものを比較して示す。

【００５０】このように、発明品のドリルによる切屑は
比較品のドリルによる切屑よりも分割数が多く、細かい
切屑になっている。

【００５１】図１０は、実施例２において送り０．１２
ｍｍ／ｒｅｖの条件による加工で生じた切屑のうち、最
も幅の広いものを選んで比較したものであって、同図
（ａ）の切屑（発明品のドリルによるもの）の幅Ｗは
２．０ｍｍ、同図（ｂ）の切屑（比較品のドリルによる
もの）の幅Ｗは４．３ｍｍであった。この結果から切屑
処理性にも優れることが判る。

【００５２】図１１は、実施例２において送りを０．２
５ｍｍ／ｒｅｖまで上げていったときの切削動力を測定
したものである。この結果から、本発明のドリルは、従
来の小径ドリルでは不可能であった０．２５ｍｍ／ｒｅ
ｖの送りまで安定して使えることが判る。

【００５３】

【発明の効果】以上説明したように、この発明のスロー
アウェイチップ及びこれを用いたスローアウェイ式ドリ
ルは、刃型形状とチップ配置の工夫により切削抵抗の水
平分力が従来ドリルよりも小さく抑えられて切削バラン
スが良くなる。また、切れ刃頂部の頂角を小さくできる
ため、被削材への喰付性が向上し、さらに、外周切刃の
切刃角が小さくなるため、穴の貫通部に発生するバリを
小さくすることが可能である。

【００５４】これに加え、切屑分割数が増えて切屑が細
かくなり、その処理性が向上する。その結果、従来より
も硬い材料の加工、高能率条件での加工が可能になる。

【００５５】このほか、チップブレーカや油穴を有する
ものは切屑処理がより効果的に行われる。また、切れ刃
に回転中心側で面取り量を大きくした刃先強化処理を施
してあるものは、回転中心側切れ刃の欠け防止と外周側
切れ刃の良好な切れ味による加工穴精度向上の効果が得
られる。

【００５６】なお、この発明のスローアウェイチップ
は、特にドリル用として適するが、周知のサーフィンチ
ップと同様の使い方にして粗削り用エンドミルなどに利
用することも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）この発明のスローアウェイチップの第１
実施形態を示す斜視図 （ｂ）同上のスローアウェイチップの平面図

【図２】（ａ） 図１のチップを用いたドリルの側面図 （ｂ） 同上のドリルを半回転させたときの側面図 （ｃ） （ｂ）の状態にあるときの正面図

【図３】図２のドリルのチップ配置を示す図

【図４】スローアウェイチップの第２実施形態を示す平
面図

【図５】図４のチップのドリルに対する配置図

【図６】（ａ） 図４のチップにチップブレーカを付け
た状態の平面図 （ｂ） 図６（ａ）のＩ−Ｉ線部の拡大断面図 （ｃ） 図６（ａ）のII−II線部の拡大断面図 （ｄ） 図６（ａ）のIII −III 線部の拡大断面図

【図７】（ａ） 刃先強化処理を施したスローアウェイ
チップの平面図 （ｂ） 図７（ａ）のＩ−Ｉ線部の拡大断面図 （ｃ） 図７（ａ）のII−II線部の拡大断面図

【図８】切削抵抗の水平分力を比較した図表

【図９】切屑形態の比較図

【図１０】（ａ） この発明のドリルで生じた切屑中、
最大幅のものを拡大した図 （ｂ） 従来ドリルで生じた切屑中、最大幅のものを拡
大した図

【図１１】切削動力の測定結果を示す図表

【図１２】特公昭６１−２１７６６号のドリルの使用図

【図１３】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図

【図１４】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図

【図１５】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図

【符号の説明】

１、１３ スローアウェイチップ １Ａ 外刃チップ １Ｂ 内刃チップ ２ クランプ穴 ３ すくい面 ４ 逃げ面 ５ 切れ刃 ５ａ 頂部 ５ｂ 第１傾斜部 ５ｃ 第２傾斜部 ６ａ、６ｂ コーナ部 ７ コーナ間を結ぶ直線 ８ ドリル本体 ９ チップ座 １０ 切屑排出溝 １１ クランプネジ １２ 油穴 １４ チップの平坦な側面 １５ チップブレーカ １６ 面取り部 イ部 面取り量の大きい部分 ロ部 面取り量の小さい部分 Ａ１、Ｂ１、Ａ２、Ｂ２ 分割された被削域 Ｃ ドリルの軸心 ２０、２１、２２、２３ スローアウェイチップ ２４ ドリル本体 ２５ 山形切れ刃 ２６ 凸部 ２７ 凸切れ刃部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 那須 和親 伊丹市昆陽北一丁目１番１号 住友電気 工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平７−68408（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−134611（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−272006（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−180517（ＪＰ，Ａ) 実開 昭56−151705（ＪＰ，Ｕ) 実公 平５−33203（ＪＰ，Ｙ２) 特表 平７−509667（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23B 51/00 B23B 27/14 - 27/16

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心にクランプ穴を有し、さらに、同一
   形状の複数の切れ刃とすくい面に鋭角に交わる正の逃げ
   面を有し、クランプ穴を中心にした所定角度の回転で使
   用切れ刃が入れ替わるようにしてある回転切削工具用ス
   ローアウェイチップであって、前記切れ刃が、Ｒ形状の
   頂部と、その頂部から左右のコーナ部に向かって下り降
   りる第１傾斜部及び第２傾斜部を有し、さらに、第２傾
   斜部は少なくとも一部が曲線で構成され、その傾斜角が
   頂部側よりも下降終点のコーナ部側で小さくなっている
   ことを特徴とするスローアウェイチップ。
2. 【請求項２】 前記頂部を、第１傾斜部側に偏らせて配
   置した請求項１記載のスローアウェイチップ。
3. 【請求項３】 第２傾斜部の下降終点に位置するコーナ
   部を、面取り付きのコーナ部にした請求項１又は２記載
   のスローアウェイチップ。
4. 【請求項４】 すくい面にチップブレーカを備えている
   請求項１、２又は３記載のスローアウェイチップ。
5. 【請求項５】 切れ刃に刃先強化のための面取りを施
   し、その面取り量を第２傾斜部下降終点のコーナ部側か
   ら第１傾斜部下降終点のコーナ部側に向かって次第に大
   きくした請求項１、２、３又は４記載のスローアウェイ
   チップ。
6. 【請求項６】 ドリル本体の先端部の回転中心を基準に
   した両側にチップ座を同数ずつ振り分けて設け、そのチ
   ップ座の各々にスローアウェイチップをクランプネジで
   締付けて装着し、各スローアウェイチップで被削域を分
   担して切削するスローアウェイ式ドリルであって、前記
   スローアウェイチップとして請求項１乃至５のいずれか
   に記載のものを使用し、そのスローアウェイチップを、
   第２傾斜部下降終点のコーナ部が径方向の外側にあり、
   かつ切れ刃の回転軌跡においてそれぞれのチップの切れ
   刃頂部と第２傾斜部下降終点のコーナ部間に他のチップ
   の切れ刃頂部を中心とする切刃又は第２傾斜部下降終点
   のコーナ部側切れ刃が突出するように配置したことを特
   徴とするスローアウェイ式ドリル。
7. 【請求項７】 それぞれのスローアウェイチップを、各
   チップの姿勢がそれぞれに異なるようにドリルの軸心に
   対して傾けてある請求項６記載のスローアウェイ式ドリ
   ル。
8. 【請求項８】 切れ刃部に切削液を供給する油穴をドリ
   ル本体の内部に具備させた請求項６又は７記載のスロー
   アウェイ式ドリル。