JPH09272006A - スローアウェイチップ及びスローアウェイ式ドリル - Google Patents

スローアウェイチップ及びスローアウェイ式ドリル

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JPH09272006A
JPH09272006A JP8511396A JP8511396A JPH09272006A JP H09272006 A JPH09272006 A JP H09272006A JP 8511396 A JP8511396 A JP 8511396A JP 8511396 A JP8511396 A JP 8511396A JP H09272006 A JPH09272006 A JP H09272006A
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cutting edge
tip
cutting
throw
drill
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JP8511396A
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Kazuo Noguchi
和男 野口
Masaaki Kamishiro
政章 神代
Hisayoshi Kimura
寿良 木村
Kazuchika Nasu
和親 那須
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高能率条件や高負荷条件でもバランスが保た
れて加工が安定し、切屑処理も良好に行われるスローア
ウェイ式ドリルを実現することである。 【解決手段】 外刃チップ1A、内刃チップ1Bとし
て、図のように、切れ刃5が凸切れ刃部5a、5b、凹
切れ刃部5c、直線切れ刃部5dとから成る刃形のスロ
ーアウェイチップを用いる。また、外刃チップ1Aが本
来切削する領域B1を内刃チップの凸切れ刃部5aが、
内刃チップ1Bが本来切削する領域A2を外刃チップの
凸切れ刃部5bが各々切削するようにチップ1A、1B
を配置し、各チップの保持は、逃げ面中最大の平面にし
た直線切れ刃部5dの逃げ面をチップ座に密着させて行
うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車部品や機
械部品などを加工する回転切削工具用のスローアウェイ
チップ、中でもドリル用として適したスローアウェイチ
ップと、そのチップで切れ刃を構成して切削バランス、
切屑処理性能を高めたスローアウェイ式ドリルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】経済的な複数コーナ使用のスローアウェ
イチップを用いるスローアウェイ式ドリルで、切削バラ
ンスを考慮したものとして、例えば、特公昭61−21
766号公報に示されるものがある。このドリルは、図
13に示すように、鋭角コーナと鈍角コーナを交互に形
成した六角形のスローアウェイチップ20をドリル本体
24の先端の180°回転した位置に図のように取付
け、回転中心側におかれたチップを内刃、外周側におか
れたチップを外刃として両チップの山形の切れ刃25で
被削域を径方向に2分して切削するようにしている。
【0003】従来品の中には、図13のスローアウェイ
チップに代えて図14に示す形状のスローアウェイチッ
プ21を用いるものもあるが、このドリルも、外刃、内
刃の両チップで被削域を径方向に2分して分担切削する
点は図13のものと同じである。
【0004】また、別の従来品は、内刃、外刃に図15
に示す形状のスローアウェイチップ22を用い、切れ刃
の中央部に設けた凸部26が被削材に先行して切込まれ
るドリルを製品化しているものもある。
【0005】また、本出願人が実公昭60−1928号
で提案しているドリルもある。
【0006】このほか、従来品の中には、図16に示す
ように、長方形を基本とするチップの短辺の両端に凸切
れ刃部27を形成したスローアウェイチップ23を内刃
チップ、外刃チップとして利用するものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の一頂角の山形切
れ刃25を利用するドリルは、山の頂点で交わる左右の
切れ刃部の傾き角を等しくすることにより、それぞれの
切れ刃部に働く切削抵抗の水平分力を打ち消すようにし
ている。
【0008】実公昭60−1928号のドリルも、内
刃、外刃を逆方向に傾けてそれぞれの刃に働く切削抵抗
の水平分力を相殺することを狙っているが、これ等のド
リルは、高能率条件(高速、高送り)での加工や硬度の
高い被削材の加工を行うと切削抵抗が安定せず、切削バ
ランスが崩れて加工穴精度が悪くなったり、チップ、ド
リルが破損するなどの問題が生じていた。
【0009】切削速度は、ドリルの場合回転中心部では
0であり、外周側ほど早くなる。このために、切削抵抗
も刃先の回転中心からの位置によって変化する。その傾
向は、切削条件や被削材の種類によっても変わり、従っ
て、内刃チップは被削域の内側を、外刃チップは同域の
外側を担当する方式の従来ドリルは、高能率或いは高負
荷切削に用いると内刃、外刃に発生する切削力の差が大
きくなり、切削バランスが崩れ易かった。
【0010】また、切屑分割数はチップ使用数と同数で
幅の広い切屑が発生するため、折れ難い軟鋼などを高速
或いは高送り加工して切屑排出量が多くなると切屑詰ま
りが生じ易く、これも加工精度低下、ドリル破損の原因
となっている。
【0011】図15のスローアウェイチップ22を用い
るドリルは、凸部26が被削材に先行して切込まれて切
削抵抗の水平分力を受け止めるが、回転中心から刃先ま
での距離差で内刃、外刃の切削力の差が大きくなる不具
合は解消されない。また、このドリルは、切れ刃形状や
チップ22を支持する座の形状が複雑化するほか、凸部
26の部分が強度的に弱くなり、また、小さな平面の逃
げ面28を座側面で支えるので切削力の局部集中が起こ
るほか、チップの保持安定性も悪くなり、使用中にチッ
プが動いて高能率加工、高負荷加工では特にチップ、ド
リルの破損が生じ易い。
【0012】さらに、凸部26とその両側の切れ刃直線
部の3箇所から同時に切屑が流出するのでそれがからみ
合って切屑詰まりを生じる恐れもある。
【0013】また、図16のチップを用いる従来のドリ
ルは、凸切れ刃部27が他側のチップの凹切れ刃部通過
域を補完切削するので切屑処理性は良いと考えられる
が、凸切れ刃部27間に作られるチップ保持面に直線部
がなく、R曲面でクランプされるため、チップ23の保
持が不安定になり、高能率条件高負荷条件の切削ではチ
ップ欠損等のトラブルが生じ易くなる。
【0014】この発明は、上記の諸問題を解決してスロ
ーアウェイ式ドリルの更なる高性能化を実現することを
課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、スローアウェイチップの刃型
形状と、ドリル構成時のチップ配置に工夫を加える。刃
型形状の工夫については、中心にクランプ穴を有し、さ
らに、同一形状の複数の切れ刃とすくい面に鋭角に交わ
る正の逃げ面を有し、クランプ穴を中心にした所定角度
の回転でコーナ間の使用切れ刃の位置が入れ替わるよう
にしてある複数コーナ使用の回転切削工具用スローアウ
ェイチップを、切れ刃が、2つ以上の凸切れ刃部と各凸
切れ刃部間に配置される凹切れ刃部といずれかの凸切れ
刃部の頂点から緩やかに下る直線切れ刃部とを有してお
り、前記直線切れ刃部の逃げ面が切れ刃各部における逃
げ面の中で最大の平面の面となっているものとなす。
【0016】また、ドリル構成時のチップ配置について
は、ドリル本体の先端部の回転中心を基準にした両側に
チップ座を同数ずつ振り分けて設け、そのチップ座の各
々にスローアウェイチップをクランプネジで締付けて装
着し、各スローアウェイチップで被削域を分担して切削
するスローアウェイ式ドリルを改善の対象にしてこの発
明のスローアウェイチップを、切れ刃の回転軌跡におい
てそれぞれのチップの凹切れ刃部に他の位置のチップの
凸切れ刃部が重なるように配置する。そして更に、切削
に関与しない切れ刃の直線切れ刃部逃げ面をチップ座の
座側面に密着させてチップの保持を行う。
【0017】なお、スローアウェイチップは、すくい面
にチップブレーカを備えているものや、切れ刃に面取り
による刃先強化処理を施し、切削速度の遅い側におかれ
る切れ刃部の面取り量を切削速度の早い側におかれる切
れ刃部の面取り量よりも大きくしたものが好ましい。
【0018】また、ドリルは、切れ刃部に切削液を供給
する油穴を本体の内部に具備するものが好ましい。
【0019】このほか、ドリル径によっては、従来行わ
れているように、ドリルの直進性を高めるパイロツトド
リルを本体の先端中心に設けたり、加工穴面に接する防
振用の硬質ガイドを本体の先端外周に設けたり、回転中
心の両側にチップを各2個ずつ配置したりすることも考
えられる。
【0020】
【作用】以下の説明は、便宜上、使用チップが内刃チッ
プと外刃チップの2個である場合を例に挙げて行う。
【0021】上記の刃型形状及びチップ配置により、切
れ刃の回転軌跡において内刃チップの凹切れ刃部の位置
に外刃チップの凸切れ刃部が、外刃チップの凹切れ刃部
の位置に内刃チップの凸切れ刃部が各々重なり、内刃チ
ップが本来受けもつ内側領域の一部を外刃チップが、ま
た、外刃チップが本来受けもつ外周側領域の一部を内刃
チップが各々切削するようになるため、切削抵抗は、切
削条件、被削材の影響を受け難くなり、高能率条件や高
負荷条件での加工でも内刃チップと外刃チップ間に生じ
る切削抵抗の水平分力差が小さくて切削バランスの崩れ
が少なくなる。
【0022】また、内刃チップ、外刃チップの凸切れ刃
部が有効刃として働くので、切屑分割数が(チップ数*
凸切れ刃部数)となって切屑が細かくなる。また、外刃
チップと内刃チップによる切削領域が径方向に交互に並
ぶので同時に削られた切屑がからみ合う心配も無く、こ
れにより切屑排出が円滑になって切屑詰まりが防止され
る。
【0023】さらに、切れ刃各部の逃げ面の中で最大の
直線切れ刃部の逃げ面をチップ座の座側面で保持するの
で、チップのクランプが安定し、強固になる。また、そ
の広い平面の逃げ面で切削力を受けるため切削力の局部
集中も回避され、チップの欠損、ドリルの破損が減少す
る。
【0024】なお、チップブレーカを有するものは切屑
の処理がより効果的に行われる。
【0025】また、切削速度の遅い側ほど面取り量が大
になる刃先強化処理を施したものは、チップの欠損防
止、加工穴精度の向上に効果を奏する。回転中心部の切
れ刃は切削速度が遅く溶着を生じ易いため強度を高める
ことが望まれ、一方、外周側の切れ刃は切削速度が早い
ので良好な切れ味をもつことが望まれる。この2つの要
求が上記の刃先処理により共に満たされ、その結果チッ
プの欠損が減少し、加工穴もバリ等の無い高精度の穴に
なる。
【0026】このほか、ドリル本体に油穴を設けたもの
は、切削液による切屑の強制排出作用で高能率加工の効
果がより高まる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1に、この発明のスローアウェ
イチップの第1の実施形態を示す。このスローアウェイ
チップ1は、三角形を基本とする3コーナ使用型であっ
て、中心にクランプ穴2を有している。また、各コーナ
間に、すくい面3と逃げ面4との交差稜で構成される同
一形状の3つの切れ刃5を有している。逃げ面4は、切
れ刃をポジティブにする方向に傾いた正の逃げ面になっ
ている。
【0028】切れ刃5は、一端側と他端側に設ける山形
の凸切れ刃部5a、5bと、2つの凸切れ刃部間に配置
する凹切れ刃部5cと、凸切れ刃部5aの山頂から凸切
れ刃部5bの裾野に至る直線切れ刃部5dとで構成され
ている。なお、凹切れ刃部5cは、緩やかな下り傾斜の
直線切れ刃部5dが凸切れ刃部5bの裾野まで延びて作
り出されるので、凸切れ刃部5b側に偏った位置にあ
る。
【0029】この図1のスローアウェイチップ1は、ク
ランプ穴2を中心にして120°回転させると使用切れ
刃の位置が入れ替わる。
【0030】図2は、図1のスローアウェイチップを外
刃チップ1A、内刃チップ1Bとして用いたスローアウ
ェイ式ドリルの実施形態である。
【0031】ドリル本体6は、先端の180°回転した
位置に略V字形のチップ座7を有し、また、外周の18
0°回転した位置にチップ座7の位置から後方に延び出
す切屑排出溝8を有し、各チップ座7に外刃チップ1A
と内刃チップ1Bが皿頭のクランプネジ9を用いて固定
される。
【0032】外刃、内刃の各チップ1A、1Bは、図3
に示すように、凸切れ刃部5aが径方向の外側、5bが
内側にあり、かつ、ドリルの回転中心軸Cと直交する線
上に凸切れ刃部5a、5bの頂点が揃う姿勢にし、さら
に、図のように、各刃の回転軌跡において内刃チップ1
Bの凹切れ刃部5cの位置に外刃チップ1Aの凸切れ刃
部5bが、また、外刃チップ1Aの凹切れ刃部5cの位
置に内刃チップ1Bの凸切れ刃部5aが各々重なるよう
に径方向に所定量位置をずらして配置されている。
【0033】これ等のチップのチップ座7による支持
は、座底面でチップの裏面を受け、さらに、60°の交
差角をもった2つの座側面7a、7b(図3参照)で切
削に関与しない切れ刃の直線切れ刃部5dの逃げ面を受
けて行っている。
【0034】10は、ドリル本体の内部に設けた油穴で
あり、本体の先端に抜けるこの穴から切削液が供給され
る。
【0035】このように構成した図2のドリルは、図3
に示すように、被削域がA1、B1、A2、B2の4つ
に分割され、切屑が細かくなって円滑に排出される。ま
た、凸切れ刃部5a、5bの左右の2辺に働く切削抵抗
の水平分力が互いに打ち消し合うのに加え、外刃チップ
1AがA1の領域のほかにB1、B2間の領域A2を、
内刃チップ1BがB2の領域のほかにA1、A2間の領
域B1を各々切削するので、両チップの切れ刃に加わる
切削抵抗の水平分力の差も小さく抑えられ、高能率加
工、高負荷加工でもバランスの良い切削が行える。
【0036】さらに、被削材への押付圧によって生じる
楔効果でチップが図3の座側面7a、7bに押し当てら
れてクランプが強固になり、切削の安定性が高まる。ま
た、切削抵抗の垂直方向分力を面積の広い座側面7a、
7bで受けるので切削力の局部集中も無く、チップや本
体が損傷し難くなる。
【0037】図4は、第2実施形態のスローアウェイチ
ップである。このスローアウェイチップ11は、略菱形
であって、対向2辺が切れ刃5となっている。その切れ
刃5の刃形は図1のチップとほぼ同じである。中心にク
ランプ穴2を有する点、逃げ面4が正の逃げ面である
点、直線切れ刃部5d部の逃げ面が切れ刃各部の逃げ面
の中で最大の平面の面になっている点も図1のチップと
同じである。図1のチップとの相違点は、クランプ穴2
を中心にした180°の回転で切れ刃5が入れ替わる2
コーナ使用型であることと、傾斜の無い側面12を2つ
有していることである。側面12は座側面による専用の
保持面として使用される。
【0038】図5に、図4のスローアウェイチップを外
刃チップ1A、内刃チップ1Bとして採用したスローア
ウェイ式ドリルの実施形態を示す。このドリルは、チッ
プ及びチップ座の形状が異なるだけで、その他の構成は
図2のドリルと同じであるので図2と同一要素に同一符
号を付して詳細説明は省く。
【0039】図17に2コーナ使用タイプのチップの変
形例を示す。このスローアウェイチップ11’は、一側
面側に下り降りる直線切れ刃部5dの逃げ面がチップ保
持面になる。この面がクランプ穴2の中心よりも外側で
座側面7cに支えられるので、チップクランプがより強
固になる。
【0040】図18に3コーナ使用タイプのチップの別
の変形例を示す。このスローアウェイチップ1’も、図
17のチップと同様、座側面7aによる直線切れ刃部逃
げ面の保持がクランプ穴2の中心よりも外側で行われ、
従って、チップのクランプがより強固になる。
【0041】図6は、図4のスローアウェイチップ11
に、切屑処理用のチップブレーカ13を付加したもの
で、ここでは溝形状のチップブレーカを用いたので切れ
刃の刃先角が鋭くなって切れ味も向上する。図7のスロ
ーアウェイチップは図6のチップに面取りによる刃先強
化処理を施している。刃先角が鋭くなると切削速度の遅
い回転中心側で切れ刃が欠け易くなるので、面取り部1
4の面取り量を回転中心側におかれるイ部で図7(b)
に示すように大きくし、外周側に配置されるロ部は、強
度よりも切れ味が重視されるので図7(c)に示すよう
に面取り量を小さくして刃先の鋭利さが保たれるように
している。
【0042】また、ここでは、2つある切れ刃5の刃先
処理を異ならせて処理度合のきつい図中左側の切れ刃5
を内刃チップ用、もう一方の切れ刃5を外刃チップ用と
して使用するようにしており、そのために、チップの種
類を増やさずに内刃、外刃の数のバランスをとることが
できる。
【0043】なお、刃型形状は、図8に示すようにひと
つの切れ刃5に凸切れ刃部が3つ或いはそれ以上ある形
にしてもよい。また、直線切れ刃部5dは、図9に示す
ように凸切れ刃部5aを5b側に寄せて傾き方向を前述
のものとは逆にしてもよい。但し、図4の2コーナ使用
のチップには、この図9の刃形はチップクランプの安定
性が悪化するので好ましくない。
【0044】(実施例1)2頂角刃型のチップを用いた
図2の形状の本発明ドリルを試作し、切削抵抗の水平分
力を調べた。比較品は、図13に示す1頂角刃型のチッ
プを用いた従来ドリルとした。ドリル径は、発明品、比
較品とも26mmである。
【0045】この発明品、比較品を用いて被削材S50
Cに、切削速度V=150m/minの条件で直径26
mmの穴をあけた。このときの送り量と水平分力との関
係の調査結果を図10に示す。この図10から判るよう
に、この発明のドリルは、切削抵抗の水平分力が切削バ
ランスの良いことで知られる図13の刃型形状のドリル
よりも更に小さく、加工の安定性に優れている。
【0046】(実施例2)図2の刃型形状のドリル(発
明品)と、図13の刃型形状のドリル(従来品)によっ
て生成される切屑形態の違いを調べた。ドリル径は共に
14mmとし、被削材S50Cに、切削速度V=120
m/minで穴をあけ、送り0.08mm/rev、
0.12mm/rev、0.15mm/rev時の切屑
を写真撮影した。図11に、写真の切屑をなぞって絵に
したものを比較して示す。
【0047】このように、発明品のドリルによる切屑は
比較品のドリルによる切屑よりも分割数が多く、細かい
切屑になっている。
【0048】図12は、実施例2において送り0.12
mm/revの条件による加工で生じた切屑のうち、最
も幅の広いものを選んで比較したものであって、同図
(a)の切屑(発明品のドリルによるもの)の幅Wは
2.0mm、同図(b)の切屑(比較品のドリルによる
もの)の幅Wは4.3mmであった。この結果から切屑
処理性にも優れることが判る。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のスロー
アウェイチップ及びこれを用いたスローアウェイ式ドリ
ルは、刃型形状とチップ配置の工夫により切削抵抗の水
平分力が従来ドリルよりも小さく抑えられて切削バラン
スが良くなる。また、面積の大きい直線切れ刃部逃げ面
を形成してその面を保持面として利用するのでチップの
クランプも強固になり、切削の安定性が高まる。
【0050】これに加え、切屑分割数が増えて切屑が細
かくなり、その処理性が向上する。その結果、従来より
も硬い材料の加工、高能率条件での加工が可能になる。
【0051】このほか、チップブレーカや油穴を有する
ものは切屑処理がより効果的に行われる。また、切れ刃
に面取り量を回転中心側で大きくした刃先強化処理を施
してあるものは、回転中心側切れ刃の欠け防止と外周側
切れ刃の良好な切れ味による加工穴精度向上の効果が得
られる。
【0052】なお、この発明のスローアウェイチップ
は、特にドリル用として適するが、周知のサーフィンチ
ップと同様の使い方にして粗削り用エンドミルなどに利
用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスローアウェイチップの第1実施形
態を示す斜視図
【図2】(a) 図1のチップを用いたドリルの側面図 (b) 同上のドリルを半回転させたときの側面図 (c) (b)の状態にあるときの正面図
【図3】図2のドリルのチップ配置を示す図
【図4】スローアウェイチップの第2実施形態を示す斜
視図
【図5】(a) 図4のチップを用いたドリルの側面図 (b) 同上のドリルを半回転させたときの側面図 (c)(b)の状態にあるときの正面図
【図6】(a) 図4のチップにチップブレーカを付け
た状態の平面図 (b) 図6(a)のI−I線部の拡大断面図 (c) 図6(a)のII−II線部の拡大断面図 (d) 図6(a)のIII −III 線部の拡大断面図
【図7】(a) 刃先強化処理を施したスローアウェイ
チップの平面図 (b) 図7(a)のI−I線部の拡大断面図 (c) 図7(a)のII−II線部の拡大断面図
【図8】刃型形状の変形例を示す図
【図9】刃型形状の変形例を示す図
【図10】切削抵抗の水平分力を比較した図表
【図11】切屑形態の比較図
【図12】(a) この発明のドリルで生じた切屑中、
最大幅のものを拡大した図 (b) 従来ドリルで生じた切屑中、最大幅のものを拡
大した図
【図13】特公昭61−21766号のドリルの使用図
【図14】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図
【図15】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図
【図16】ドリルに用いられているチップの他の従来例
を示す平面図
【図17】(a)2コーナ使用型チップの変形例を示す
平面図 (b)同上のチップの座に対する取付状態を示す図
【図18】(a)3コーナ使用型チップの変形例を示す
平面図 (b)同上のチップの座に対する取付状態を示す図
【符号の説明】
1、1’、11、11’ スローアウェイチップ 2 クランプ穴 3 すくい面 4 逃げ面 5 切れ刃 5a、5b 凸切れ刃部 5c 凹切れ刃部 5d 直線切れ刃部 6 ドリル本体 7 チップ座 7a、7b、7c 座側面 8 切屑排出溝 9 クランプネジ 10 油穴 12 チップの平坦な側面 13 チップブレーカ 14 面取り部 イ部 面取り量の大きい部分 ロ部 面取り量の小さい部分 A1、B1、A2、B2 分割された被削域 C 回転中心軸 20、21、22、23 スローアウェイチップ 24 ドリル本体 25 山形切れ刃 26 凸部 27 凸切れ刃部 28 逃げ面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 那須 和親 伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友電気工 業株式会社伊丹製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心にクランプ穴を有し、さらに、同一
    形状の複数の切れ刃とすくい面に鋭角に交わる正の逃げ
    面を有し、クランプ穴を中心にした所定角度の回転でコ
    ーナ間の使用切れ刃の位置が入れ替わるようにしてある
    複数コーナ使用の回転切削工具用スローアウェイチップ
    であって、前記切れ刃が、2つ以上の凸切れ刃部と各凸
    切れ刃部間に配置される凹切れ刃部といずれかの凸切れ
    刃部の頂点から緩やかに下る直線切れ刃部とを有してお
    り、前記直線切れ刃部の逃げ面が切れ刃各部における逃
    げ面の中で最大の平面の面となっていることを特徴とす
    るスローアウェイチップ。
  2. 【請求項2】 すくい面にチップブレーカを備えている
    請求項1記載のスローアウェイチップ。
  3. 【請求項3】 切れ刃に面取りによる刃先強化処理を施
    し、切削速度の遅い側におかれる切れ刃部の面取り量を
    切削速度の早い側におかれる切れ刃部の面取り量よりも
    大きくした請求項1又は2記載のスローアウェイチッ
    プ。
  4. 【請求項4】 ドリル本体の先端部の回転中心を基準に
    した両側にチップ座を同数ずつ振り分けて設け、そのチ
    ップ座の各々にスローアウェイチップをクランプネジで
    締付けて装着し、各スローアウェイチップで被削域を分
    担して切削するスローアウェイ式ドリルであって、前記
    スローアウェイチップとして請求項1乃至3のいずれか
    に記載のものを使用し、そのスローアウェイチップを、
    切れ刃の回転軌跡においてそれぞれのチップの凹切れ刃
    部に他の位置のチップの凸切れ刃部が重なるように配置
    すると共に、切削に関与しない切れ刃の直線切れ刃部逃
    げ面をチップ座の座側面に密着させてチップの保持を行
    うことを特徴とするスローアウェイ式ドリル。
  5. 【請求項5】 切れ刃部に切削液を供給する油穴をドリ
    ル本体の内部に具備させた請求項4記載のスローアウェ
    イ式ドリル。
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