JPWO2015064010A1 - 木材切削用刃物及びこれを用いた切削工具 - Google Patents

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Abstract

かんな刃(21)は、木材を切削する鉋胴(10)のボディ(11)に装着される刃物であって、刃先(24)からすくい面(22)に延びた複数の溝(26)を設ける。溝(26)は、幅(w)が15〜75μm、深さ(d)が2〜14μm、ピッチ(p)が40〜800μm、幅(w)に対するピッチ(p)の比(p/w)が2〜16である。また、溝(26)の粗さがすくい面(22)の粗さより粗くなっている。

Description

本発明は、木材を切削する仕上げ鉋盤や回転鉋盤等の切削工具に取り付けられる鉋刃、カッター、丸鋸刃等の木材切削用刃物及びこれを用いた切削工具に関する。
かんな刃等の刃物を取り付けた木材切削用の鉋胴により、木材の表面切削加工を行う場合に、木材表面に逆目ボレが生じることにより切削肌が悪化し、加工品質が低下するという問題がある。特に、木材が逆目方向に切削される場合に、木材表面に逆目ボレが生じることにより切削肌が悪化し、加工品質が低下するという問題が顕著になる。図7に示すように、木材の切削加工の際には、刃物のすくい面において切屑に対して垂直方向の圧縮力Nと水平方向の摩擦力Tが作用し、圧縮力Nと摩擦力Tの合力である切削力Fが切屑に加えられる。刃物のすくい面は平坦面であることにより摩擦力Tは小さいので、切削力Fはほぼ送材方向の反対方向に向き、切屑に送材方向の反対方向の押圧力が作用する。そのため、切屑を被削材表面方向へ押し付ける力が小さく、その結果として、木材表面に逆目ボレが生じやすくなるのである。このような逆目ボレを除くために、サンディング等の後加工による修正作業が必要になるが、そのためのコストが高価であった。
このような木材表面における逆目ボレの発生を抑えるために、図12に示すように、刃物のすくい面にブレーカー、例えば替刃のチップブレーカーやベニヤナイフのプレッシャーバー等が用いられている。ブレーカーを設けることにより、切削された切屑にはブレーカーにより切削表面に向けた押圧力が作用し、この押圧力によって切屑が被削材方向に圧縮されるようになる。このように、切屑が被削材の表面方向に向けて押圧されることにより、先割れの発生を抑制し、結果として逆目ボレを抑えることができるのである。しかし、刃物の用途や使用方法によっては、このようなブレーカーを設けることができない場合もある。例えば、かんな刃のように再研磨を行う必要があるような刃物についてはブレーカーを設けることができない。そのため、従来は裏座を設けているが、裏座のみでは逆目ボレを抑えるには不十分であり、逆目ボレを抑えるための対策が必要になる。
このような切削用刃物について、そのすくい面に溝を形成する技術が、例えば特許文献1,2等に開示されている。特許文献1には、チップのすくい面にその先端から基部方向に延びる研削条痕を形成したチップ付き回転鋸が開示されている。このチップについては、研削条痕を設けたことにより、切屑がすくい面の研削条痕に沿って流れることにより、切屑の摩擦抵抗を低減させるというものである。また、特許文献2には、切削工具のすくい面に、すくい面の切屑が排出される方向に垂直に寸断されることなく伸びる山筋を有するうねりを設け、うねりをすくい面の切屑が排出される方向に多数配置した切削工具が開示されている。この切削工具では、うねりの山または谷の幅が1μm〜20μm、谷の深さが0.1μm〜10μmの大きさであり、隣り合ううねりの山と山又は谷と谷との間隔が、5μm〜100μmの間隔で規則的に配列されている。この切削工具は、アルミニウム合金等の切削用であり、うねりを設けることにより、工具と被加工材との接触面積を小さくし、谷の部分が油溜りとして作用することから、工具と被加工材の間の摩擦を低減し、切削抵抗や工具摩耗を抑制しようとするものである。つまり、特許文献1,2共に、刃物のすくい面と被削材との摩擦力を低減するものであり、木材の切削加工の際の問題である木材表面に発生する逆目ボレを抑えることはできない。
特開2005−231016号公報 特開2009−202283号公報
本発明は、このような問題を解決しようとするもので、木材の表面切削加工の際に、ブレーカーを設けなくても、木材表面の逆目ボレの発生を抑えることが可能な回転切削用刃物及びこれを用いた木材切削工具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、木材を切削する切削工具のボディに装着される木材切削用刃物であって、刃物の刃先からすくい面に延びた複数の溝を設け、溝の幅wが15〜75μm、溝の深さdが2〜14μm、溝のピッチpが40〜800μmであることにある。溝の幅wは15〜75μmであればよいが、より好ましくは15〜50μmである。溝の深さdは2〜14μmであればよいが、より好ましくは2〜10μmである。溝のピッチpは40〜800μmであればよいが、より好ましくは40〜400μmであり、さらに好ましくは40〜200μmである。
上記のように構成した本発明においては、刃物の刃先からすくい面に延びた上記寸法の複数の溝を設けたことにより、すくい面の摩擦が高められ、図7に示すように、切屑に作用する摩擦力Tが従来の値Tより大きくなる。そのため、摩擦力Tと圧縮力Nの合力である切削力Fが従来の切削力Fに比べてより被削材の表面方向に向けられるようになる。そのため、切屑に被削材の表面方向に向けた押圧力が作用するため、切屑が表面方向に押し付けられるようになり、先割れの発生を抑制することができる。その結果、被削材である木材の逆目ボレを効果的に抑えることができる。
また、本発明において、溝の粗さがすくい面の粗さより粗いことが好ましい。これにより、切屑が粗さの大きい溝に擦り合って加えられる摩擦力が大きくなるため、その結果、木材の先割れや逆目ボレが一層効果的に抑えられる。
また、本発明は、上記木材切削用刃物がボディに装着された切削工具に関する。
本発明においては、刃物のすくい面に上記条件の溝を設けることにより、すくい面の摩擦を高めることができ、その結果、ブレーカーを設けなくても木材の切削加工時に生じる逆目ボレを効果的に抑えることができる。
本発明の実施例1であるかんな刃を装着した鉋胴を概略的に示す一部破断正面図である。 鉋胴を概略的に示す一部破断右側面図である。 かんな刃を示す正面図である。 同かんな刃を示す側面図である。 かんな刃の溝形成部分を拡大して示す拡大正面図である。 かんな刃の刃先部分を拡大して示す斜視図である。 かんな刃の溝形成部分の断面を拡大して示す模式図である。 かんな刃による木材の切削加工状態を説明する説明図である。 実施例2である替刃を装着した鉋胴を概略的に示す正面図である。 鉋胴を概略的に示す左側面図である。 替刃を概略的に示す正面図である。 同替刃を示す側面図である。 替刃の溝形成部分を拡大して示す拡大側面図である。 ブレーカーを設けた刃物による木材の切削加工の状態を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1、図2は、実施例1に係るかんな刃が装着された木材切削用の回転切削工具である鉋胴10を、一部破断正面図、一部破断右側面図により示したものである。鉋胴10を構成する円筒形のボディ11は、鋼またはアルミでできており、その中心に加工機械の回転軸が挿嵌される中心孔12を設けている。ボディ11は、外周面の周方向の等間隔の4か所にて径方向に凹むと共に軸方向に両端間に延びた断面略長方形の取付溝13を設けている。
取付溝13は、回転方向R前方側が外周から中心に向けて延びた前壁面14になっており、前壁面14の下端には、直角方向に延びた底壁面15を設けている。また、取付溝13の回転後方側は、外周から中心側に対して傾斜して延びたかんな刃21が取り付けられる後壁面16になっている。後壁面16内端側は、底壁面15からわずかに凹んだかんな刃21の一部を収容するための凹部17になっている。
前壁面14側の回転方向R前方のボディ11外周面には、軸方向に離間した5か所において前壁面14に対して直角に貫通する5個の挿通孔18が設けられている。挿通孔18にはねじ溝18aが形成されており、ボルト19が挿嵌されてねじ溝18aに螺着されるようになっている。後壁面16には、かんな刃21が取付面23にて配設されている。
かんな刃21は、図3A,3Bに示すように、高速度工具鋼、超硬合金等を用いて加工された長方形の薄板であり、片面がすくい面22であり、反対面が取付面23であり、刃先24側の側面が略45°で傾斜した逃げ面25となっている。すくい面22には刃先24から直角に伸びた多数の溝26が形成されている。溝26は、図6に示すように、所定の幅w、深さd、ピッチpでレーザ、ブラスト、電子ビーム等を用いて形成される。溝26の幅wは15〜75μm、深さdは2〜14μm、ピッチpは40〜800μm、幅wに対するピッチpの比p/wは2〜16の範囲の値である。また、溝26は、図4、図5に詳細に示すように、すくい面22の表面粗さより粗さが大きくなっている。なお、図3に示すかんな刃21については、試験用として使用されるもので正方形であるが、鉋胴10に使用される場合は、取付溝13の長さに合わせた長さのものが用意される。
取付溝13内には、略直方体形状でボディ11と同一長さの裏座28が嵌め合わされている。取付溝13の後壁面16にかんな刃21が密着した状態で、取付溝13内に裏座28を嵌め合わせて、挿通孔18からボルト19を挿入して裏座28を押すことにより、裏座28が底壁面15に沿って移動してかんな刃21のすくい面22に押し付けられる。これにより、かんな刃21が取付溝13に位置決め固定される。
つぎに、実施例1のかんな刃21の溝26の最適寸法を検証するための具体的な切削試験について説明する。試料2〜26として、かんな刃21のすくい面22に、溝幅w、溝深さd、溝ピッチpの条件を変えた溝26を、ブラスト加工とレーザ加工で形成したものを用意した。試料1については、参考例として溝を設けないものを用意した。試料1〜26の詳細については、下記表1に示す。切削試験は、外径φ125mm、刃数1Pの試験用鉋胴に試料を装着し,NC切削試験機で行われた。鉋胴の回転数6000rpm、送り速度5m/min、切込量1mmとした。被削材の木材はスプルースとし、逆目となるように配置された。
切削肌の評価については、レーザ式の3D粗さ計で切削肌表面を測定し、その結果を10段階で判定したものである。評価1.0が最も切削肌が良好であることを示し、評価0は溝を設けないものである。評価×は溝なしのものよりも切削肌が悪化したものを示す。本試験では、評価0.7以上で溝を設けた効果が十分に発揮されたと評価される。ただし、評価0.1〜0.7でも従来の刃物を用いた場合よりは良好な結果である。評価結果についても、試料ごとに表1に示す。さらに、溝26の粗さについて、溝ありの試料と溝なしの試料について調べ、その結果を表2に示す。溝の粗さは、算術平均粗さRaで評価した。
Figure 2015064010
Figure 2015064010
表1から、試料2,5,10,13,14,16,17,19,20が溝26を設けたことによる十分な効果が得られたと評価された。その結果、実施例1に係るかんな刃21の適正な溝の構造としては、溝の幅wが15〜50μm、深さdが2〜10μm、ピッチpが40〜200μmであることが明らかにされた。特に、ピッチpは幅wの影響を受けると考えられ、幅wに対するピッチpの比p/wが2.7〜6.4の範囲で効果があった。なお、試料3,12,18,21についても、評価が0.5以上であり良好な結果であった。さらに、試料4,6,8,9,15についても、溝を設けない場合に比べて良好な切削肌が得られている。また、溝26の粗さについては、表2に示すように、溝を設けたかんな刃の溝部分は溝を設けないナイフと比べて、算術平均粗さRaで2倍以上の値であり、特にレーザ加工による値が非常に大きくなった。
つぎに、実施例2について説明する。図8、図9は、実施例2に係る回転切削工具であるラフィングカッター30を、正面図、左側面図により示したものである。ボディ31は、中心に加工機械の回転軸に挿嵌される中心孔32を設けており、周方向の等間隔の6か所にて径方向に円弧状にわずかに凹むと共に軸方向に対して10°程度の傾斜角度で傾斜した取付座33を設けている。取付座33には、複数の替刃35が、刃先39をボディ31から突出させて所定間隔を隔てて配設されている。
替刃35は、図10A,10Bに示すように、超硬合金あるいはサーメットを用いて加工された正方形の薄板であり、中心に板面を貫通した取付孔36を設けている。替刃35は、表側の逃げ面37と、裏側の取付面38と、逃げ面37の刃先39に沿って傾斜したすくい面41を設けている。すくい面41には、図11に詳細に示すように、刃先39から直角方向に延びた多数の溝42が、ブラスト加工やレーザ加工により形成されている。溝42の幅w、深さd、ピッチpについては上記実施例1に示した範囲の大きさである。
つぎに、実施例2の替刃35について、実施例1の結果に基づき溝の最適寸法を検証するための切削試験を行った。試料2〜5として、替刃35のすくい面41に、溝幅w、溝深さd、溝ピッチpの条件を変えた溝42を、ブラスト加工とレーザ加工で形成したものを用意した。試料1については、参考例として溝を設けないものを用意した。試料1〜5の詳細については、下記表3に示す。切削試験及び切削肌の評価については、実施例1と同様である。評価結果についても、試料ごとに表3に示す。さらに、溝42の粗さについて、溝なしの試料と比較した結果を上記表2に示す。溝の粗さは、算術平均粗さRaで評価した。
Figure 2015064010
表3から、本発明に係る適正な溝の構造としては、溝の幅wが40μm、深さdが6μm、ピッチpが80,160μmの試料2,3が良好な結果であった。また、試料4,5についても、溝を設けない場合に比べて良好な切削肌が得られている。また、溝42の粗さについては、表2に示すように、溝を設けていない部分と比べて、算術平均粗さRaで1.4倍以上の値であった。
つぎに、実施例2に係る替刃35を上記ラフィングカッター30に装着した切削試験を行った。ラフィングカッター30は、刃数4P、外径φ125mm、刃長130mmとし、7軸モルダーを使用し、回転数6000rpm、送り速度20m/min、切込量2mmでスプルースのプレーナー加工を行った。結果については明示しないが、上記切削試験と同様の結果が得られた。
つぎに、実施例3として、替刃35の表面を保護膜で被覆した場合の効果を検証するための切削試験を行った。試料2,4,6は、切削肌が良好であった溝幅wが40μm、溝深さdが6μm、溝ピッチpが160μmの替刃とし、その全面には保護膜が厚さ0,1,3μmでPVD法により形成されている。また、比較例である試料1,3,5は、溝なし替刃とし、その全面には保護膜が厚さ0,1,3μmでPVD法により形成されている。試料1〜6の詳細については、下記表4に示す。切削試験及び切削肌の評価については、実施例1と同様である。評価結果についても、試料ごとに表4に示す。
Figure 2015064010
表4から、替刃35の表面に保護膜を設けたことによる切削肌への影響は認められず、すくい面41に溝42を形成した効果が発揮された。
上記各実施例において行われた切削試験の結果として、かんな刃21や替刃35等の木材切削用刃物のすくい面に設ける溝の幅w、深さd、ピッチp、並びに幅wに対するピッチpの比p/wについては、以下のような結果が得られた。溝の幅wは15〜75μmであればよいが、より好ましくは15〜50μmである。溝の深さdは2〜14μmであればよいが、より好ましくは2〜10μmである。溝のピッチpは40〜800μmであればよいが、より好ましくは40〜400μmであり、さらに好ましくは40〜200μmである。比p/wは、2〜16であればよいが、好ましくは2〜12.8であり、さらに好ましくは2〜6.4である。
なお、上記各実施例においては、刃先からすくい面に設けた溝は刃先に対して垂直であるが、これに限らず、±30°程度傾斜していてもよい。また、溝の断面形状については、円弧形に限らず四角形などでもよい。溝の長さも短くてよい。刃物の材質は多結晶ダイヤモンドなどでもよい。また、上記各実施例においては、切削工具として回転切削用の鉋胴、ラフィングカッターについて説明されているが、その他の回転切削用の切削工具、あるいは仕上げ鉋盤のような水平切削用の工具についても同様に本発明が適用される。その他、上記実施例については一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することができる。
10…鉋胴、11…ボディ、13…取付溝、21…かんな刃、22…すくい面、25…逃げ面、26…溝、30…ラフィングカッター、31…ボディ、35…替刃、41…すくい面、42…溝。

Claims (3)

  1. 木材を切削する切削工具のボディに装着される刃物であって、該刃物の刃先からすくい面に延びた複数の溝を設け、該溝の幅wが15〜75μm、該溝の深さdが2〜14μm、該溝のピッチpが40〜800μmであることを特徴とする木材切削用刃物。
  2. 前記溝の粗さが前記すくい面の粗さより粗いことを特徴とする請求項1に記載の木材切削用刃物。
  3. 請求項1又は2に記載の木材切削用刃物がボディに装着されたことを特徴とする切削工具。
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