JP2002356397A - 炭化珪素(SiC)単結晶の製造方法 - Google Patents
炭化珪素(SiC)単結晶の製造方法Info
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Abstract
iCのバルク単結晶を実効的な速度で安定して製造する
方法を提供する。 【解決手段】 Siを含む原料を融解した融液にSiC
単結晶基板を接触させ基板上にSiC単結晶を成長させ
る方法において、大気圧下または加圧下で炭化水素を含
むガスを前記融液に供給し、かつ融液の温度と比べて基
板と融液との接触部を低温にする。
Description
バルク単結晶の製造方法に関する。
定な半導体材料であり、これらの特徴を生かして近年、
Siデバイスの物理的な限界を打破するためパワーデバ
イスや高温で動作する耐環境デバイスなどへの応用が期
待されている。一方、光デバイスの研究においては短波
長化を目指した窒化ガリウム(GaN)系の材料開発が
なされているが、SiCはGaNとの格子不整合が格段
に小さいためにGaNエピタキシャル成長用の基板材料
として注目されている。これらデバイスに適した基板材
料として、大型で良質なSiCのバルク単結晶が必要で
ある。
有名である。結晶多形とは化学量論的には同じ組成であ
りながら原子の積層様式がC軸方向にのみ異なる多くの
結晶構造を取る現象である。結晶多形の混在はデバイス
への応用上好ましくない。
相成長法、アチソン法および溶液成長法が知られてい
る。
(CVD)法がある。昇華法は、SiC粉末を原料とし
て、2000℃以上の高温下で昇華させ、SiとCから
なる蒸気が、原料より低温に設定された種結晶基板上で
過飽和になり再結晶化する現象を利用したものである。
CVD法は、SiCを製造原料としてシランガスと炭化
水素系のガスを用い、加熱したSiなどの基板上におい
て化学反応によりSiC単結晶をエピタキシャル成長さ
せる方法である。CVD法はSiC単結晶薄膜の製造に
用いられている。
℃以上の高温に加熱して人造研磨剤を製造する方法であ
り、単結晶は副産物として生成する。
でSiあるいはSiを含有する金属を融解して融液と
し、黒鉛るつぼから炭素を溶解させ、るつぼより低温に
設定された種結晶基板上にSiCを結晶化し、その結晶
を成長させる方法である。
昇華法で成長させた単結晶にはマイクロパイプ欠陥と呼
ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥などの格子欠陥や結
晶多形が生じやすいという欠点を有する。このため従
来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造され
ているものの、数mm角のデバイスを歩留よく製造する
ことは困難である。
ために原料供給量が少なく、生成するSiC単結晶は薄
膜に限られ、デバイス用の基板材料としてバルク単結晶
を製造することは困難である。
し、高純度化が不可能であるうえ、大型の単結晶を得る
ことができない。
少ないうえ、結晶多形が生じる欠点もないことから結晶
性の良好な単結晶が得られる。しかし、SiC結晶の成
長速度は非常に遅く、たとえばSiを原料とした場合、
融液温度が1650℃のときの成長速度は5〜12μm
/hと言われ、この値は昇華法に比べると約2桁小さ
い。融液温度を2000℃以上にまで上げて融液内に溶
解しうる炭素濃度を上げる改良法が原理的には期待でき
るが、常圧下ではSi融液の蒸発が激しく実用的ではな
い。Material Science Engineering B61-62(19
99)29−39には超高圧によりSi融液の蒸発を抑
制しつつ融液内の炭素濃度を上げる方法が開示されてい
るが、装置が大がかりになるために工業的な製造は困難
である。また現段階で得られている結晶の成長速度は2
00μm/h以下であり、昇華法に比べるといまだ1桁
小さな値である。
移金属のうち少なくとも一種類の元素とSiおよびCを
含む原料を加熱融解して融液とし、この融液を冷却する
ことにより、SiC単結晶を析出成長させる方法が開示
されており、添加元素により成長温度は異なるが175
0〜2150℃で平均成長速度が200〜800μm/
hであるとされている。しかしこの方法では2000℃
近傍まで融液を加熱して融液中の炭素溶解度を上げなけ
れば平均成長速度200μm/h以上は見込めず、融液
の蒸発が激しく、安定したSiC単結晶が成長しないた
めに実用的ではない。
することは容易であるが温度により基板表面に達するガ
ス種が異なり化学量論的な制御が困難であり、また格子
欠陥が多数存在し、さらに結晶多形が生じ易い欠点があ
る。一方、他の方法では結晶欠陥は昇華法に比べて格段
に少ないが、安定したSiC単結晶が得られる条件下で
は結晶成長速度が遅いためバルク単結晶の製造方法とし
て実用的ではない。
減した上で高品質なSiCのバルク単結晶を実効的な速
度で安定して製造する方法を提供することを目的とす
る。
料を融解した融液にSiC単結晶基板を接触させ基板上
にSiC単結晶を成長させる方法において、大気圧下ま
たは加圧下で炭化水素を含むガスを前記融液に供給し、
かつ融液の温度と比べて基板と融液との接触部を低温に
することを特徴とするSiC単結晶の製造方法に関す
る。
素を含むものが好ましく、炭化水素はメタンまたはプロ
パンが好ましい。
供給する態様が好ましい。
るための改良した溶液成長法に関する。すなわち本発明
は、大気圧下または加圧下で、炭化水素を含むガスを用
いてSi融液に炭素を供給し、かつ融液の温度と比べて
基板と融液との接触部を低温にすることを特徴とするS
iC結晶の製造方法に関する。
を用いる。従来の溶液成長法では、るつぼのみを炭素の
供給源とするため、融液への炭素の溶解および融液内で
の炭素の輸送のいずれの過程もともに遅く、SiC単結
晶の成長速度が小さな値となっていた。本発明では炭化
水素を用いることにより、るつぼのみを供給源とする場
合と比べて融液への炭素の溶解が促進され、融液への炭
素の供給がスムーズなものとなる。このためSiC単結
晶の成長速度が速くなり、融液温度を蒸発が激しくなる
ような高温にまで上げなくてもSiCの実効的な成長速
度が見込め、安定した単結晶を製造できる。
は加圧下で行なうが、融液への炭素の溶解度が高くな
り、SiC結晶の成長速度を高めることができる点で加
圧下で供給するのが好ましく、具体的には0.1〜10
MPaが好ましい。0.1MPaより低圧であるときは
結晶の成長を十分に速めることができず、一方10MP
aより高圧であるときは特殊な装置が必要になり実用的
でない。
る態様にすると、SiC単結晶の成長を一層速めること
ができる。炭化水素を融液内に通じて供給すると融液内
に強制的な融液の流動が生じ、SiC単結晶を成長させ
ている種結晶基板上へのSiCの供給が速くなる。
ン、n−ブタン、i−ブタンなどを用いることができる
が、熱分解しすす状の炭素の生成する温度が高く、扱い
易い点でメタン、プロパンが好ましい。
られる。希釈後の炭化水素の濃度は3〜15容積%が好
ましく、5〜10容積%がより好ましい。3容積%より
少ないときは融液中の炭素濃度が低く、SiC単結晶の
成長速度が遅い。一方15容積%より多いときは融液内
の炭素濃度は飽和濃度に達するが、融液に溶解しきれな
かった炭化水素ガスが分解してすす状のカーボンとな
り、炉内に付着するため結晶成長を阻害することとな
る。
と比べて基板と融液との接触部を低温にする。結晶を成
長させる領域である基板と融液の接触部を融液より低温
にすることにより結晶の成長を促進し、結晶の成長速度
を高めることができる。基板と融液の接触部は融液の温
度と比べて10〜250℃低温であることが好ましく、
50〜100℃低温がより好ましい。融液の温度に比べ
て基板と融液の接触部の温度が低温であるほどSiCの
成長速度が速くなるが、温度差が250℃より大きくな
ると、種結晶の保持治具に自然核発生したSiCが晶出
しやすくなり、多結晶化してしまうため好ましくない。
炭化水素を含むガスの融液への供給部は炭素が融液に溶
解しやすくなり、融液中の炭素濃度を高めることができ
る温度であればよい。具体的には融液へのガス供給部
は、炭化水素の種類やSiに配合する金属元素の種類に
より微妙に調整する必要はあるが、一般には1600〜
1750℃が好ましい。融液中の炭素濃度を高める点で
はガス供給部の温度は高い方がよいが、1750℃より
高いと融液の蒸発が激しくなり、また炭化水素ガスの分
解によりすす状炭素が大量に発生してしまう。このよう
な温度調整は、複数個のヒータを設けヒータ間の加熱の
調整、炭化水素を含むガスの供給位置の変更、単結晶基
板への輻射熱の遮断、単結晶基板の強制冷却などにより
行なうことができる。
iのほか1種以上の金属元素を含むものが好ましい。S
iに金属元素を添加することにより融液中のSiCの溶
解量を増大させることができ、溶解量の温度依存性が高
まり、溶液中に温度勾配を形成したときに低温域でより
多くのSiCを生成させることができるようになる。金
属元素は初晶でSiCを析出し、生成速度がC−Si系
に比べて速い点で、遷移金属や希土類元素などが好まし
く、具体的な元素としてはFe、Co、Cu、Cr、N
i、Mn、Ti、Sc、Dy、Er、Ce、Alが好ま
しく、Fe、Cr、Mn、Ti、Sc、Ce、Dy、E
r、Alがより好ましい。金属元素の添加量は融液中の
Siに対して通常、金属元素:Si=20:80〜7
0:30(原子数比)の範囲で添加するが、金属元素の
種類によって最適量が異なる。たとえば、Tiを添加す
る場合、Si−Ti−Cの3元系の状態図をみると、S
iCが初晶で晶出しかつ最もC溶解量が多くなる組成
は、Ti:Si=40:60〜30:70(原子数比)
である。一方、Niを添加する場合、Si−Ni−Cの
3元系の状態図をみると、Ni:Si=50:50〜4
0:60(原子数比)が最もC溶解量が多くなる組成で
ある。最適な組成範囲で融液を作成することでC溶解量
が増加し、より大きな金属添加の効果が得られる。一
方、最適な組成範囲外の融液を使用した場合、初晶でS
iCが晶出しないこともある。
反応による劣化で溶液の漏れなどを生じることがなく、
融液内に混入して不純物として作用することがなければ
どのようなものでもよいが、通常は黒鉛製やSiC製の
容器、SiCをコートしたものが用いられる。
うとするSiC単結晶の結晶構造と同一のものを選択す
ることができる。たとえば6H−SiC単結晶構造の基
板を用いるときは、同じ結晶構造である6H−SiC単
結晶が基板上にエピタキシャル成長する。
品質は、昇華法により製造された単結晶に比べて格子欠
陥が著しく少なく、結晶多形の発生も抑制されているた
め、光デバイスや電子デバイス用として適し、良質であ
る。
めの装置の一形態を示す。ヒータ2は、るつぼ3を囲む
ように側壁および底部に設置され、各ヒータは別個に温
度コントロールすることができる。SiC単結晶基板7
を保持する引上げ棒8には、SiC単結晶基板7を冷却
できるようにガス冷却器9が設けられている。黒鉛製の
るつぼ3は二重構造からなり、ガス導入路4から炭化水
素を含むガスを導入すると、ガスは、るつぼ3の内壁と
外壁の隙間にある融液1内に通じる構造になっている。
るつぼ3の底面の温度とSiC単結晶基板7の背面の温
度を測定するために図1に示すとおりパイロメータ12
とW/Reの熱電対11を取付けた。また実験を始める
前に、黒鉛製の治具6で6H−SiC単結晶基板7を引
上げ棒8に保持し、引上げ棒8の周囲には黒鉛製の輻射
熱遮断板10を設置し、引上げ棒8が輻射加熱されるの
を抑制した。
しながら、るつぼ3の底面の温度が1650℃であり、
SiC単結晶基板7の背面の温度が1600℃となるよ
うにヒータ2およびガス冷却器9を調整した。炭化水素
を含むガスの導入後、引上げ棒8をさげ、6H−SiC
単結晶基板7を融液1に接触させた。SiC単結晶基板
7上の結晶の成長にあわせて、結晶が融液1に接触する
ように引上げ棒8を上げていった。引上げ時間(結晶成
長時間)は、SiC単結晶基板7と融液1との接触を開
始してから10時間とした。引上げ完了後、炉内温度を
室温にまで下げ、SiC単結晶基板7を回収した。
したメタン(CH4)ガスを融液1内に通じて供給する
方式から炉内にそのまま供給する方式に変え、るつぼ3
を二重構造から一重構造のものとした以外は実施例1と
同様にしてSiC単結晶を製造した。
実施例2と同様にしてSiC単結晶を製造した。
外は実施例2と同様にしてSiC単結晶を製造した。
(原子数比))に変えた以外は実施例2と同様にしてS
iC単結晶を製造した。
スに変えた以外は実施例2と同様にしてSiC単結晶を
製造した。
た以外は実施例5と同様にしてSiC単結晶を製造し
た。
て、結晶成長速度を測定した。結晶成長速度は、製造し
たSiC単結晶を基板側から研磨し、SiC単結晶を自
立した成長結晶として回収し、結晶の厚さを測定した
後、結晶成長時間である10時間で除して求めた。
成長速度を整理すると表1のとおりである。
らなるガスを炉内供給から溶液内供給へ変更することに
より、結晶成長速度が350μm/hから1200μm
/hに4倍程度加速しており、炭化水素を融液内に通じ
て供給することにより融液内に強制的な融液の流動が生
じる結果、SiC単結晶を成長させている種結晶基板へ
のSiCの供給が速くなるものと考察された。
供給するガスをアルゴンに変えて、メタンまたはプロパ
ンといった炭化水素とすることにより、結晶成長速度が
10μm/hから350〜400μm/hに35〜40
倍程度加速しており、るつぼのみを炭素の供給源とする
場合に比べ、炭化水素を用いることにより融液への炭素
の溶解が促進され、融液への炭素の供給がスムーズにな
るものと考察された。
0.10MPa(大気圧)から1.01MPa(10気
圧)へ変更することにより、結晶成長速度が350μm
/hから800μm/hに2倍程度加速しており、炭化
水素の供給を加圧下で行なう方が融液への炭素の溶解度
が高くなり、SiC単結晶の成長速度が高くなるものと
考察された。
び2にもとづき、原料をSiのみとするよりもSiのほ
かにNiを含む方が、実施例2および5では結晶成長速
度が350μm/hから1000μm/hに3倍程度加
速し、比較例1および2では結晶成長速度が10μm/
hから40μm/hに4倍程度加速しており、Siに金
属元素を添加することにより融液中のSiCの溶解量が
増大し、SiC結晶の成長が促進されるようになるもの
と考察された。
て、製造されたSiC単結晶は基板と同じ6H−SiC
結晶であった。また最も温度の高い部分でも1650℃
であり、融液の蒸発などの問題がほとんど生じない比較
的低い温度で、安定したSiC単結晶を製造することが
できた。さらにマイクロパイプ欠陥フリーであった。
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
の少ない高品質なSiCのバルク単結晶を実効的な速度
で安定して製造することができる。
ための装置の一例を示す概略図である。
ための装置の他の例を示す概略図である。
5 ガス排出路、6治具、7 SiC単結晶基板、8
引上げ棒、9 ガス冷却器、10 輻射熱遮断板、11
熱電対、12 パイロメータ。
Claims (4)
- 【請求項1】 Siを含む原料を融解した融液にSiC
単結晶基板を接触させ基板上にSiC単結晶を成長させ
る方法において、大気圧下または加圧下で炭化水素を含
むガスを前記融液に供給し、かつ融液の温度に比べて基
板と融液との接触部を低温にすることを特徴とするSi
C単結晶の製造方法。 - 【請求項2】 融液がSiおよび1種以上の金属元素を
含む原料を融解したものであることを特徴とする請求項
1記載のSiC単結晶の製造方法。 - 【請求項3】 炭化水素を含むガスを融液内に通じて供
給することを特徴とする請求項1または2記載のSiC
単結晶の製造方法。 - 【請求項4】 炭化水素はメタンまたはプロパンである
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
SiC単結晶の製造方法。
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