JP2002280139A - 電線の超音波接合方法 - Google Patents

電線の超音波接合方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線の交差部分を超音波振動で接合する際
に、過大な加圧力をかけることなく超音波振動の振動エ
ネルギーを導体の摩擦熱に効率良く伝えて、導体同士の
接合効率を高めることができる電線の超音波接合方法を
提供する。 【解決手段】 電線20,21を相互に交差するととも
に、その交差部分Cをホーン側チップ11とアンビル側
チップとの間に加圧状態でセットし、その交差部分Cに
超音波振動を入力して電線20,21を接合するにあた
って、電線20,21を、超音波振動の振動方向Xに対
して45゜の角度、若しくはこの角度の近傍に傾斜し
て、ホーン側チップ11とアンビル側チップとの間にセ
ットする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接続しようとする
電線を交差して、その交差部分を超音波振動で接合する
電線の超音波接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】被覆電線の超音波接合は、接合しようと
する被覆電線に超音波振動と同時に加圧力を加えて接合
するもの(特開平7−212036参照)で、例えば、
この超音波接合方法を用いて電線同士を接続することが
できる(特開平9−29445号公報参照)。
【0003】図4は従来の超音波接合装置1の一例を示
し、発振器1aから水平方向に突出するホーン1bの先
端部に、ホーン側チップ1cが固定されるとともに、こ
のホーン側チップ1cに対向してアンビル側チップ1d
が設けられ、このアンビル側チップ1を基台1eに固定
することにより構成される。そして、電線2,3の中間
部同士を接続する場合には、それら電線2,3を交差し
て、その交差部分Cをホーン側チップ1cとアンビル側
チップ1dとの間に挟み込み、この状態でホーン側チッ
プ1cを超音波振動することにより、その交差部分Cを
接合できるようになっている。このとき、ホーン側チッ
プ1cに入力される超音波振動の振動方向Xは、ホーン
1bの突出方向となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の電線の超音波接合方法では、図5に示すように、
一方の電線2を振動方向Xに対して直角方向に配置し、
他方の電線3をその振動方向Xに配置するのが一般的で
あった。このため、電線2,3の導体2a,3aが撚り
線である場合、図6に示すように、それぞれの絶縁体2
b,3bを超音波で溶融除去した後、導体2a,3a同
士を接合する場合に、振動方向Xと直交する導体2a
は、これの回転(ころがり)方向と超音波の振動入力方
向とが一致することになる。このため、超音波振動の振
動エネルギーが導体2aの回転として逃げてしまい、導
体表面に効率良く伝えることができず、接合効果が低下
してしまう。また、この導体2aの回転を、ホーン側チ
ップ1cの加圧力を大きくして抑え込もうとすると、過
大な加圧力により細い導線2aが切損してしまうことに
なる。
【0005】そこで、本発明はかかる従来の課題を解決
すべく成されたもので、電線の交差部分を超音波振動で
接合する際に、過大な加圧力をかけることなく超音波振
動の振動エネルギーを導体の表面に伝えることができ、
導体同士の接合効率を高めることができる電線の超音波
接合方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、電線
を相互に交差するとともに、その交差部分をホーン側チ
ップとアンビル側チップとの間に加圧状態でセットし、
その交差部分に超音波振動を入力して電線を接合する電
線の超音波接合方法において、前記電線を、前記超音波
振動の振動方向に対して45゜の角度、若しくはこの角
度の近傍に傾斜して、ホーン側チップとアンビル側チッ
プとの間にセットすることを特徴とする。
【0007】この場合、超音波振動は45゜若しくはそ
の近傍の角度をもって電線の交差部分を振動させるた
め、電線の導体が振動により回転するのを防止若しくは
抑制して、導体表面に効率良く伝えることができ、ひい
ては、それら導体同士の接合効率を高めることができ
る。
【0008】請求項2の発明は、請求項1に記載の電線
の超音波接合方法において、前記ホーン側チップとアン
ビル側チップのセット面うち、少なくともホーン側チッ
プのセット面に、振動方向に対して平行および直角とな
る溝を格子状に形成した凹凸部を設けたことを特徴とす
る。
【0009】この場合、電線が傾斜する場合にも、ホー
ン側チップとアンビル側チップとの間に電線の交差部分
を滑り無く挟み込むことができるため、超音波振動を電
線の交差部分に効率良く伝達することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1〜図3は本発明にか
かる電線の超音波接合方法の一実施形態を示し、図1は
電線のセット状態を示す要部断面図、図2は電線のセッ
ト状態を示す平面図、図3はチップの先端部構造を
(a)の端面図と(b)の正面図と(c)の側面図で示
す説明図である。
【0011】即ち、本実施形態の電線の超音波接合方法
は、電線として被覆電線を用いた場合を示し、図1に示
すように、上下対向配置されたホーン側チップ11とア
ンビル側チップ12との間に、接続しようとする被覆電
線20,21を交差して、その交差部分Cをセットする
ようになっている。前記ホーン側チップ11は昇降自在
になる一方、前記アンビル側チップ12は固定され、ホ
ーン側チップ11の下降により、両チップ11,12間
に配置した前記被覆電線20,21の交差部分Cが適宜
の加圧力をもって挟み込まれる。
【0012】そして、前記ホーン側チップ11に図外の
発振器から超音波振動を伝播することにより、被覆電線
20,21の交差部分Cに摩擦熱が発生して、まず、前
記被覆電線20,21の絶縁体20a,21aが溶融除
去された後、双方の撚り線構造の導体20b,21b同
士が接合される。
【0013】ここで、本実施形態では、前記被覆電線2
0,21をホーン側チップ11とアンビル側チップ12
との間にセットするにあたって、これら被覆電線20,
21を前記ホーン側チップ11に入力される超音波振動
の振動方向Xに対して45゜の角度に傾斜させるように
なっている。勿論、この場合の傾斜方向は水平面に沿っ
た方向となる。
【0014】また、本実施形態では前記ホーン側チップ
11とアンビル側チップ12の先端部構造は、図3に示
すように前記被覆電線20,21の交差部分Cに当接す
るセット面(先端面)11a,12aに、振動方向Xに
対して平行および直角となる溝13aを格子状に形成し
た凹凸部13を設けてある。
【0015】以上の構成により本実施形態の電線の超音
波接合方法にあっては、ホーン側チップ11とアンビル
側チップ12との間に、被覆電線20,21の交差部分
Cをセットするにあたって、これら被覆電線20,21
を超音波振動の振動方向Xに対して45゜の角度を持た
せたので、撚り線構造となった導体20b,21bの回
転方向を前記振動方向Xと異ならせることができる。こ
のため、入力される超音波振動エネルギーによって導体
20b,21bの表面に効率良く伝えることができ、ひ
いては、ホーン側チップ11とアンビル側チップ12と
の間に過大な加圧力をかけることなく、それら導体20
b,21b同士の接合効率を高めることができる。
【0016】また、本実施形態ではホーン側チップ11
とアンビル側チップ12のセット面11a,12aに、
溝13aが振動方向Xに対して平行および直角となる格
子状の凹凸部13を形成してあるので、被覆電線20,
21が傾斜する場合にも、これら両チップ11,12で
その交差部分Cを滑り無く挟み込むことができ、超音波
振動エネルギーを導体20b,21bの表面に効率良く
伝達することができる。従って、被覆電線20,21を
振動方向Xに対して45゜の角度に傾斜したことと、チ
ップ11,12先端部に凹凸部13を形成したこととが
相俟って、導体20b,21bの接合効率を更に高める
ことができる。また、この場合、前記凹凸部13は少な
くともホーン側チップ11に形成することによっても、
交差部分Cに超音波振動を効果的に伝達することができ
る。
【0017】この接合では、導体20b、21bの接合
面の酸化皮膜が超音波エネルギで破壊されて金属の表面
が清掃され、その結果活性化した金属原子が互いに接合
することで導体20b、21b同士が電気的に結合す
る。この場合、導体20b、21bの溶融温度より低い
温度で接合するいわゆるコールド接合がなされる。
【0018】更に、超音波接合装置が図4に示すよう
に、発振器1aからホーン1bが水平に突出されて構成
されている場合に、長尺となる被覆電線20,21が発
振器1aに干渉するのを避けることができるため、接合
作業性が向上することになる。
【0019】ところで、本実施形態では被覆電線20,
21を振動方向Xに対して45゜の角度に傾斜させる場
合を示したが、勿論、その傾斜方向は45゜に限ること
なく、その角度(45゜)の近傍であっても目的を達成
できることはいうまでもない。また、前記ホーン側チッ
プ11と前記アンビル側チップ12は、図3に示すよう
に断面矩形状とした場合を開示したが、その形状は交差
部分Cを効率良く挟み込む形状であればよく、例えば、
円形とすることもできる。更に、接合する電線として導
体20b,21bが撚り線構造となる被覆電線20,2
1を示したが、絶縁体20a,21aで被覆されない裸
電線や導体20b,21bが撚り線でない場合にあって
も本発明を適用できることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明にかかる電線の
超音波接合方法によれば、電線の交差部分をホーン側チ
ップとアンビル側チップとの間にセットする際に、その
電線を、超音波振動の振動方向に対して45゜の角度、
若しくはこの角度の近傍に傾斜してセットするようにし
たので、電線の導体が振動により回転するのを防止若し
くは抑制して、導体の表面に振動エネルギを効率良く伝
えることができ、ひいては、それら導体同士の接合効率
を高めることができる。従って、前記導体が回転しやす
い撚り線構造の場合にあっても、ホーン側チップとアン
ビル側チップとの間に過大な加圧力をかけることなく、
かつ、少ない振動エネルギーで確実に接合できるように
なり、接合作業性の向上を図ることができる。
【0021】請求項2に記載の本発明にかかる電線の超
音波接合方法によれば、請求項1の効果に加えて、ホー
ン側チップとアンビル側チップのうち、少なくともホー
ン側チップのセット面に、振動方向に対して平行および
直角となる溝を格子状に形成した凹凸部を形成したの
で、超音波振動を電線の交差部分に効率良く伝達するこ
とができ、ひいては、電線を振動方向に対して45゜の
角度に傾斜したことと相俟って、導体の接合効率を更に
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電線の超音波接合方法の一実施
形態を示す電線のセット状態の要部断面図である。
【図2】本発明にかかる電線の超音波接合方法の一実施
形態を示す電線のセット状態の平面図である。
【図3】本発明にかかる電線の超音波接合方法の一実施
形態を示すチップの先端部構造の説明図である。
【図4】従来の超音波接合装置の一例を示す側面図であ
る。
【図5】従来の超音波接合する電線のセット状態の平面
図である。
【図6】従来の電線の超音波接合状態を示す要部断面図
である。
【符号の説明】
11 ホーン側チップ 12 アンビル側チップ 13a 溝 13 凹凸部 20,21 被覆電線 20a,21a 絶縁体 20b,21b 導体 C 交差部分 X 振動方向

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線を相互に交差するとともに、その交
    差部分をホーン側チップとアンビル側チップとの間に加
    圧状態でセットし、その交差部分に超音波振動を入力し
    て電線を接合する電線の超音波接合方法において、 前記電線を、前記超音波振動の振動方向に対して45゜
    の角度、若しくはこの角度の近傍に傾斜して、ホーン側
    チップとアンビル側チップとの間にセットすることを特
    徴とする電線の超音波接合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電線の超音波接合方法
    において、前記ホーン側チップとアンビル側チップのセ
    ット面うち、少なくともホーン側チップのセット面に、
    振動方向に対して平行および直角となる溝を格子状に形
    成した凹凸部を設けたことを特徴とする電線の超音波接
    合方法。
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