JP2002255552A - チタン酸バリウム粉末およびその製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム粉末およびその製造方法Info
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Abstract
電体を得るために焼成されるチタン酸バリウム粉末の微
粒化を図るとともに、結晶型を改善し、積層セラミック
コンデンサの静電容量の温度特性をより良好なものにす
る。 【解決手段】 チタン酸バリウム粉末を得るため、加熱
分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合物
と、X線回折法によって求めたルチル化率が30%以
下、好ましくは5%以下でありかつBET法によって求
めた比表面積が5m2/g以上である純度99.8重量
%以上の二酸化チタンとを、混合し、好ましくは全圧力
が1×103 Pa以下の雰囲気圧力下で、仮焼する。得
られたチタン酸バリウム粉末は、微粒であり、正方晶性
が高い。
Description
ム粉末およびその製造方法に関するもので、特に、高い
正方晶性を有するチタン酸バリウム粉末およびその製造
方法に関するものである。
るチタン酸バリウム粉末の製造方法として、従来より、
固相反応法が用いられており、この固相反応法によりチ
タン酸バリウムを合成するため、炭酸バリウムおよび二
酸化チタンの各粉末を混合し、仮焼する方法が広く採用
されている。この方法を用いて、微粒のチタン酸バリウ
ム粉末を得るためには、微粒の炭酸バリウム粉末と微粒
の二酸化チタン粉末とをできるだけ均一に混合するよう
にされる。
としては、得られた誘電体セラミックの特性を劣化させ
ないようにするために、典型的には、四塩化チタンを熱
分解した高純度のものが用いられている。この場合、得
られた二酸化チタンの結晶型は、熱分解条件によって異
なるが、通常の熱処理条件を適用した場合には、ルチル
化率が高くなり、一般的には、ルチル型が支配的であ
る。
クコンデンサにおける誘電体を得るためのセラミック原
料粉末として用いられるチタン酸バリウム粉末は、内部
電極間のセラミック層の薄層化に伴い、より微粒であ
り、かつ高い正方晶性(高いテトラゴナリティ)を有し
ているものであることが求められる。
タン粉末を用いて、チタン酸バリウム粉末の微粒化を図
ろうとすると、ルチル型の二酸化チタン粉末はその反応
性が悪いため、得られたチタン酸バリウムの正方晶性が
低くなってしまうという問題がある。そして、このよう
にチタン酸バリウムの正方晶性が低いと、たとえば積層
セラミックコンデンサに備える誘電体の原料粉末として
用いた場合、焼成工程において、原料粉末に添加された
添加成分のチタン酸バリウムへの固溶が進行しやすく、
そのため、焼成後において、コア−シェル構造の焼結体
を得にくく、それゆえ、得られた積層セラミックコンデ
ンサの静電容量の温度特性が悪くなるという問題に遭遇
する。
え高くても、原料粉末の1次粒子径が大きいと、内部電
極間に位置する誘電体セラミック層の厚みが5μm以下
というように、誘電体セラミック層の薄層化が図られた
場合には、積層セラミックコンデンサの信頼性を低下さ
せてしまう。
るためには、固相反応法において、炭酸バリウムのよう
なバリウム化合物と二酸化チタンとを混合し、仮焼し
て、チタン酸バリウムを合成する際の仮焼温度を高くす
ることが有効であるが、このように仮焼温度を高くする
と、粒子の成長や粒子同士の凝結が生じ、得られたチタ
ン酸バリウム粉末の微粒化が困難であるという問題があ
る。
な問題を解決し得る、チタン酸バリウム粉末およびその
製造方法を提供しようとすることである。
バリウム粉末は、上述した技術的課題を解決するため、
加熱分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合
物と、X線回折法によって求めたルチル化率が30%以
下でありかつBET法によって求めた比表面積が5m2
/g以上である二酸化チタンとを、混合し、仮焼して得
られたものであることを特徴としている。
末の製造方法は、加熱分解によって酸化バリウムを生成
するバリウム化合物を用意する工程と、X線回折法によ
って求めたルチル化率が30%以下でありかつBET法
によって求めた比表面積が5m2 /g以上である二酸化
チタンを用意する工程と、上述のようなバリウム化合物
と二酸化チタンとを、混合し、仮焼する工程とを備える
ことを特徴としている。
ウム粉末あるいはこの発明に係る製造方法によって得ら
れたチタン酸バリウム粉末によれば、走査型電子顕微鏡
(SEM)観察による平均粒子径を0.07〜0.3μ
mというように小さくすることができ、また、X線回折
のリードベルト解析によって求めたc軸/a軸比が1.
007以上であるというように高い正方晶性を有するも
のとすることができる。
造方法は、前述したように、X線回折法によって求めた
ルチル化率が30%以下でありかつBET法によって求
めた比表面積が5m2 /g以上である二酸化チタンを用
いることを特徴とするものであるが、この発明に係るチ
タン酸バリウム粉末の製造方法は、好ましくは、次のよ
うに実施される。
ム粉末の製造方法において、加熱分解によって酸化バリ
ウムを生成するバリウム化合物を用意する工程と、二酸
化チタンを用意する工程と、この二酸化チタンに関し
て、X線回折法によって求めたルチル化率が30%以下
でありかつBET法によって求めた比表面積が5m2 /
g以上であることを確認する工程と、このように確認さ
れた二酸化チタンを用いて、バリウム化合物と二酸化チ
タンとを、混合し、仮焼する工程とが実施される。
ンのルチル化率が5%以下であることが好ましい。これ
によって、得られたチタン酸バリウムを、正方晶性のよ
り高いものとすることができる。
チタンとを仮焼するとき、全圧力が1×103 Pa以下
の雰囲気圧力下で実施されることが好ましい。これによ
っても、得られたチタン酸バリウムを、正方晶性のより
高いものとすることができる。
化チタンの純度は99.8重量%以上であることが好ま
しい。
であると、これをもって製造されたチタン酸バリウム粉
末を焼結させて得られた誘電体セラミックの誘電特性が
低下することがあるからである。
粉末を得るため、まず、加熱分解によって酸化バリウム
を生成するバリウム化合物の粉末が用意される。このバ
リウム化合物としては、たとえば、炭酸バリウム(Ba
CO3 )、水酸化バリウム(Ba(OH)2 )などを用
いることができ、また、2種類以上のバリウム化合物を
併用してもよい。
この二酸化チタンについては、X線回折法によって求め
たルチル化率が30%以下でありかつBET法によって
求めた比表面積が5m2 /g以上であるものが選ばれ
る。したがって、用意された二酸化チタンに関して、上
述のように、X線解決法によって求めたルチル化率が3
0%以下でありかつBET法によって求めた比表面積が
5m2 /g以上であることを確認しておくことが好まし
い。
しくは、5%以下とされる。また、二酸化チタンの純度
は99.8重量%以上であることが好ましい。
二酸化チタンは、たとえば、四塩化チタンを熱分解する
ことによって得られるが、この場合、熱分解工程での雰
囲気をコントロールするなどして、ルチル化率を低くす
るように熱分解条件が設定される。
化チタンの各粉末が混合される。この混合比率は、得よ
うとする粉末を構成するチタン酸バリウムにおけるBa
/Tiモル比に応じて調整すればよい。
ンの混合粉末は、たとえば950〜1100℃の最高温
度をもって仮焼される。これによって、目的とするチタ
ン酸バリウム粉末が得られる。
下の雰囲気圧力下で実施されることが好ましい。
必要に応じて、たとえば擂潰機によって解砕される。
粉末は、焼成工程を経て焼結体とされることによって、
たとえば、積層セラミックコンデンサにおける誘電体と
して有利に用いることができる。
り具体的に説明する。
表面積(BET法によって求めた比表面積。以下同
様。)が5m2 /gのものを用いた。また、二酸化チタ
ンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られたもの
を用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%であっ
て、比表面積が12m2 /gであるとともに、熱分解条
件をコントロールすることによって、ルチル化率(X線
回折法で求めたルチル化率。以下同様。)が2%になる
ようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1050℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.2
5μmであり、c軸/a軸比が1.009であった。
最も典型的な例であり、高純度で、比表面積が大きく、
ルチル化率の低い二酸化チタンを用いることによって、
微粒でありかつ高い正方晶性を有するチタン酸バリウム
粉末が得られることを示すものである。
表面積が5m2 /gのものを用いた。また、二酸化チタ
ンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られたもの
を用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%であっ
て、比表面積が5m2 /gであるとともに、熱分解条件
をコントロールすることによって、ルチル化率が30%
となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1100℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.30μm
であり、c軸/a軸比が1.007であった。
二酸化チタンのルチル化率および比表面積といったパラ
メータの境界上の条件をもって、チタン酸バリウム粉末
を作製したものである。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
たものを用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%
であって、比表面積が30m2 /gであるとともに、熱
分解条件をコントロールすることによって、ルチル化率
が2%となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1000℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.07μm
であり、c軸/a軸比が1.007であった。
酸化チタンが用いられている。この試料3から、二酸化
チタンの微粒化を行いながら、ルチル化率を低くするこ
とを行なえば、得られたチタン酸バリウム粉末のc軸/
a軸比が目標ぎりぎりの1.007で十分な場合、平均
粒子径を0.07μmにまで微粒化できることがわか
る。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
たものを用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%
であって、比表面積が12m2 /gであるとともに、熱
分解条件をコントロールすることによって、ルチル化率
が2%となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて最高温度1050℃で2時間保持する
ことによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.22μm
であり、c軸/a軸比が1.010であった。
リウムとして、より微粒なものを用いているが、得られ
たチタン酸バリウム粉末の平均粒径については、わずか
に小さくなったに過ぎない。この試料4は、炭酸バリウ
ムの微粒化によってもたらされる、チタン酸バリウムの
微粒化に対する効果がわずかであることを示すものであ
る。
表面積が5m2 /gのものを用いた。また、二酸化チタ
ンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られたもの
を用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%であっ
て、比表面積が5m2 /gであるとともに、熱分解条件
として一般的なものを適用することによって、ルチル化
率が90%となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1100℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.32μm
であり、c軸/a軸比が1.006であった。
チタンのルチル化率のみが、この発明の範囲から外れた
場合について示したものである。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
たものを用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%
であって、比表面積が30m2 /gであるとともに、熱
分解条件として一般的なものを適用することによって、
ルチル化率が90%となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1000℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.17μm
であり、c軸/a軸比が1.004であった。
化チタンを用いても、この二酸化チタンのルチル化率が
高い場合には、得られたチタン酸バリウムについては、
微粒ではあるが、正方晶性が低いことを示すものであ
る。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
たものを用いた。この二酸化チタンは、純度99.9%
であって、比表面積が4m2 /gであるとともに、熱分
解条件をコントロールすることによって、ルチル化率が
30%となるようにした。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて最高温度1100℃で2時間保持する
ことによって仮焼した。
で解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、得られ
たチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.50μm
であり、c軸/a軸比が1.007であった。
の低い二酸化チタンを用いても、その比表面積が5m2
/g未満である場合には、得られたチタン酸バリウム
は、その正方晶性が高いが、粒子径が大きくなっている
ことを示すものである。
々に係るチタン酸バリウム粉末を用いて、以下のよう
に、積層セラミックコンデンサを作製した。
量部に対して、Dy2 O3 粉末を1.86重量部、Mg
O粉末を0.168重量部、BaO粉末を0.64重量
部、SiO2 粉末を0.37重量部、MnO2 粉末を
0.109重量部、およびB2O3 粉末を0.156重
量部それぞれ加えて湿式混合し、次いで乾燥させること
によって、耐還元性誘電体セラミック原料粉末を得た。
トルエン/エタノールの容積比が1/1の溶剤にポリビ
ニルブチラールを20重量%溶解させたバインダ液を1
08gと、可塑剤としてのジオクチルフタレートを6g
とを加え、ボールミルにて混合した後、グラビアコータ
ーを用いて、厚み5μmのセラミックグリーンシートを
成形した。
対して、ニッケルを含む導電性ペーストを用いて内部電
極を形成し、所定の寸法に打ち抜いた後、内部電極によ
って挟まれる有効誘電体セラミック層の数が50となる
ように、セラミックグリーンシートを積層し圧着した。
シート積層体を、カットし、得られた生の積層体チップ
を、還元性雰囲気において、1240℃で2時間焼成
し、焼結後の積層体チップを得た。そして、この積層体
チップの外表面上に外部電極を形成し、積層セラミック
コンデンサを完成させた。
ンデンサについて、表1に示すように、比誘電率
(εr )、誘電損失(tanδ)、絶縁抵抗(logI
R)および静電容量の温度変化率を求めた。
ものは、この発明の範囲外の比較例に相当する。また、
試料7については、積層体チップが未焼結の状態であ
り、表1に示すような誘電特性を測定できなかった。
に相当する試料1〜4によれば、特に、静電容量の温度
変化率に着目したとき、比較例に相当する試料5〜7に
比べて、優れた結果が得られており、試料1〜4のすべ
てが、±15%以内といったEIA規格のX7R特性を
満足している。
チル化率に関して、より好ましい範囲を求めようとして
実施したもので、この実験例2では、以下のような試料
8〜10を作製した。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
た、純度が99.9%、比表面積が30m2 /g、およ
びルチル化率が30%のものを用いた。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1050℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.1
1μmであり、c軸/a軸比が1.007であった。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
た、純度が99.9%、比表面積が30m2 /g、およ
びルチル化率が5%のものを用いた。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度1050℃で2時間保持す
ることによって仮焼した。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.1
0μmであり、c軸/a軸比が1.008であった。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
た、純度が99.9%、比表面積が30m2 /g、およ
びルチル化率が2%のものを用いた。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、バッチ炉にて、最高温度950℃で2時間保持する
ことによって仮焼した。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.0
8μmであり、c軸/a軸比が1.008であった。
酸バリウムのc軸/a軸比に関して、試料9および10
は、1.008であり、試料8の1.007より大き
く、正方晶性がより高いことがわかる。これは、試料8
〜10では、二酸化チタンの粒径が互いに同等でありな
がら、二酸化チタンのルチル化率が、試料8では、30
%であり、試料9および10では、それぞれ、5%以下
の5%および2%であるためである。
に、ルチル化度が5%以下の二酸化チタンを用いれば、
得られたチタン酸バリウムの正方晶性をより高めること
ができることがわかる。
バリウム粉末を用いて、実験例1の場合と同様の方法に
よって、積層セラミックコンデンサを作製した。そし
て、得られた積層セラミックコンデンサについて、実験
例1の場合と同様に、比誘電率(εr )、誘電損失(t
anδ)、絶縁抵抗(logIR)および静電容量の温
度変化率を求めた。
層セラミックコンデンサに、150℃の温度下で、10
kV/mmの直流電圧を連続印加し、積層セラミックコ
ンデンサの絶縁抵抗値がその初期値より3桁以上低下す
るまでの時間を求め、その平均値を平均寿命時間とし
た。
のように、ルチル化度が5%以下の二酸化チタンを用い
ることによって、正方晶性がより高められたチタン酸バ
リウム粉末を用いれば、信頼性により優れた積層セラミ
ックコンデンサを得ることができる。
ために、バリウム化合物と二酸化チタンとの混合物を仮
焼する工程での雰囲気圧力に関して、より好ましい範囲
を求めようとして実施したもので、この実験例3では、
以下のような試料11および12を作製した。
表面積が10.5m2/gのものを用いた。また、二酸
化チタンとして、四塩化チタンの熱分解によって得られ
た、純度が99.9%、比表面積が30m2 /g、およ
びルチル化率が2%のものを用いた。
タンの各粉末を、等モル比となるように秤量かつ調合し
た後、ボールミルにて湿式混合した。次いで、この混合
によって得られたスラリーを、蒸発乾燥工程に付した
後、大気雰囲気中において、全圧力が1×103 Paに
なるように調整したバッチ炉にて、最高温度950℃で
2時間保持することによって仮焼した。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.1
0μmであり、c軸/a軸比が1.009であった。
したバッチ炉にて実施したことを除いて、試料11と同
様の条件で、チタン酸バリウム粉末を得た。
によって解砕し、その粉体特性を分析した。その結果、
得られたチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.0
9μmであり、c軸/a軸比が1.009であった。
実験例2における試料10の場合と同じ粒径およびルチ
ル化度を有する二酸化チタンを用いたが、得られたチタ
ン酸バリウムのc軸/a軸比に関して、試料11および
12は、1.009であり、試料10の1.008より
大きく、正方晶性がより高いことがわかる。これは、試
料11および12では、仮焼を、全圧力が1×103 P
a以下の雰囲気圧力下で行なったためである。
〜10においては、仮焼の雰囲気圧力は、大気圧とし
た。
に、全圧力が1×103 Pa以下の雰囲気圧力下で仮焼
を行なえば、得られたチタン酸バリウムの正方晶性をよ
り高めることができることがわかる。
タン酸バリウム粉末を用いて、実験例1および2の場合
と同様の方法によって、積層セラミックコンデンサを作
製した。そして、得られた積層セラミックコンデンサに
ついて、実験例1および2の場合と同様に、比誘電率
(εr )、誘電損失(tanδ)、絶縁抵抗(logI
R)および静電容量の温度変化率を求めた。
を評価するため、実験例2の場合と同様の方法によっ
て、平均寿命時間を求めた。
なお、表3には、比較を容易にするため、前掲の表2に
示した「試料10」に関する評価結果も併せて示されて
いる。
2のように、全圧力が1×103 Pa以下の雰囲気圧力
下で仮焼を行なうことによって、正方晶性がより高めら
れたチタン酸バリウム粉末を用いれば、信頼性により優
れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
ン酸バリウム粉末を得るにあたって、加熱分解によって
酸化バリウムを生成するバリウム化合物と、X線回折法
によって求めたルチル化率が30%以下でありかつBE
T法によって求めた比表面積が5m2 /g以上である二
酸化チタンとを、混合し、仮焼するようにしているの
で、SEM観察による平均粒子径が0.07〜0.3μ
mというように微粒であり、また、X線回折のリードベ
ルト解析によって求めたc軸/a軸比が1.007以上
というように正方晶性の高いチタン酸バリウム粉末を得
ることができる。
粉末を用いて、たとえば積層セラミックコンデンサの誘
電体を構成するようにすれば、焼成工程において、添加
成分のチタン酸バリウムへの固溶が生じにくく、コア−
シェル構造の焼結体を容易に得ることができ、その結
果、積層セラミックコンデンサを、静電容量の温度特性
に優れたものとすることができる。
ンのルチル化率を5%以下とすると、得られたチタン酸
バリウムを、正方晶性のより高いものとすることがで
き、これを用いて積層セラミックコンデンサが製造され
ると、この積層セラミックコンデンサの信頼性をより優
れたものとすることができる。
ウム化合物と二酸化チタンとを仮焼するとき、この仮焼
工程を、全圧力が1×103 Pa以下の雰囲気圧力下で
実施するようにすれば、得られたチタン酸バリウムを、
正方晶性のより高いものとすることができ、これを用い
て積層セラミックコンデンサが製造されると、この積層
セラミックコンデンサの信頼性をより優れたものとする
ことができる。
して、純度が99.8重量%以上のものを用いると、チ
タン酸バリウム粉末を焼結させて得られた誘電体セラミ
ックの誘電特性を高く維持することができる。
末の製造方法において、用いられる二酸化チタンに関し
て、X線回折法によって求めたルチル化率が30%以下
でありかつBET法によって求めた比表面積が5m2 /
g以上であることを確認するようにすれば、上述したよ
うな優れた特性を与え得るチタン酸バリウム粉末を確実
に製造することができ、チタン酸バリウム粉末の製造の
歩留まりひいてはこれを用いて構成されるセラミック電
子部品の製造の歩留まりを向上させることができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 加熱分解によって酸化バリウムを生成す
るバリウム化合物と、X線回折法によって求めたルチル
化率が30%以下でありかつBET法によって求めた比
表面積が5m2 /g以上である二酸化チタンとを、混合
し、仮焼して得られた、チタン酸バリウム粉末。 - 【請求項2】 前記二酸化チタンのルチル化率が5%以
下である、請求項1に記載のチタン酸バリウム粉末。 - 【請求項3】 前記仮焼は、全圧力が1×103 Pa以
下の雰囲気圧力下での仮焼である、請求項1または2に
記載のチタン酸バリウム粉末。 - 【請求項4】 前記二酸化チタンの純度が99.8重量
%以上である、請求項1ないし3のいずれかに記載のチ
タン酸バリウム粉末。 - 【請求項5】 加熱分解によって酸化バリウムを生成す
るバリウム化合物を用意し、 X線回折法によって求めたルチル化率が30%以下であ
りかつBET法によって求めた比表面積が5m2 /g以
上である二酸化チタンを用意し、 前記バリウム化合物と前記二酸化チタンとを、混合し、
仮焼する、各工程を備える、チタン酸バリウム粉末の製
造方法。 - 【請求項6】 加熱分解によって酸化バリウムを生成す
るバリウム化合物を用意し、 二酸化チタンを用意し、 前記二酸化チタンに関して、X線回折法によって求めた
ルチル化率が30%以下でありかつBET法によって求
めた比表面積が5m2 /g以上であることを確認し、 確認された前記二酸化チタンを用いて、前記バリウム化
合物と前記二酸化チタンとを、混合し、仮焼する、各工
程を備える、チタン酸バリウム粉末の製造方法。 - 【請求項7】 前記二酸化チタンのルチル化率が5%以
下である、請求項5または6に記載のチタン酸バリウム
粉末の製造方法。 - 【請求項8】 前記仮焼する工程は、全圧力が1×10
3 Pa以下の雰囲気圧力下で実施される、請求項5ない
し7のいずれかに記載のチタン酸バリウム粉末の製造方
法。 - 【請求項9】 前記二酸化チタンの純度が99.8重量
%以上である、請求項5ないし8のいずれかに記載のチ
タン酸バリウム粉末の製造方法。
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