JP2002209530A - 遠心力による食品の含浸処理方法 - Google Patents

遠心力による食品の含浸処理方法

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JP2002209530A JP2001007904A JP2001007904A JP2002209530A JP 2002209530 A JP2002209530 A JP 2002209530A JP 2001007904 A JP2001007904 A JP 2001007904A JP 2001007904 A JP2001007904 A JP 2001007904A JP 2002209530 A JP2002209530 A JP 2002209530A
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impregnated
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Hajime Nishimaki
巻 一 西
Takafumi Kato
藤 貴 文 加
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明による食品の含浸処理方法は、室温
での粘度が1〜7,000センチポイズである液体を食品に
接触させた状態で、遠心力を該食品に作用させることに
より、液体を該食品中に含浸させることを特徴とする含
浸方法である。好ましくは、上記食品がパン生地または
焼菓子生地であり、上記液体が、チョコレート、ソース
類、または複合調味油から選ばれる。 【効果】本発明の方法によれば、遠心分離機を使用する
簡便な方法により、食品中に液体を効率的に含浸するこ
とができる。特に粘稠な液体であっても短時間に含浸処
理を施すことができ、含浸の程度、含浸液体の掛率など
の制御も遠心時間および回転数の調整で容易になし得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、遠心力による食品の含浸
処理方法およびこの方法により製造された焼菓子に関す
る。さらに詳しくは、液体を食品に接触させた状態で該
食品に遠心力を作用させることにより、液体を該食品に
含浸させる処理方法、およびこの方法により製造された
焼菓子に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】食品の風味を向上し付加価値を高
めるために、食材に調味料などの液体物質をしみ込ませ
た食品の例は、漬物、佃煮、珍味類など多く知られてい
る。様々な食材の内部にも調味成分で味付けるために、
各種の含浸方法が利用されている。例えば、食材を調味
料を含む湯中で煮る、調味料に浸漬するなどの簡易な方
法がある。これらの方法は容易であるが、加熱により食
品が凝固もしくは軟化する場合が多く、加熱前の食品と
異なる食感をもたらすこととなり、浸漬しつつ加熱する
方法が不都合な場合には採用できない。また浸漬のみで
は調味料などが食材中にしみ込むのに時間がかかるとい
う問題点がある。
【0003】また、食品の形状、性状・鮮度を損なうこ
となく常温で含浸する目的で、減圧および加圧の圧力変
化を利用して液体物質のしみ込みを促す方法も広く行な
われている。例えば、特開平10−323155号公報
では、繊維状タンパク質にチョコレートを含浸させる方
法として減圧および減圧解除の工程による方法が開示さ
れている。このような方法においては、減圧/加圧専用
の装置を必要とし、操作も煩雑となる傾向にある。
【0004】ところで、焼菓子の生地のように、生地組
織に空隙が多くてもその表面開口部が塞がった状態の食
品にあっては、効率的で一様な味付けもしくは含浸は容
易ではない。生地に調味液をコーティングした後に含浸
する場合、エアスプレーによる方法では、内部まで充分
に調味液が染み込まないために生地と味付けに一体感を
欠き食感に不満が残る。これに対し、減圧装置の使用で
は調味液の含浸が良好であるため、生地と調味液が渾然
一体となり好ましい風味となっている。しかしながら、
掛率を極力低減させることにより食味に連食性を持たせ
ようとすると効率低下を来たし、装置コストと併せてコ
スト面の上昇を招くなどの問題点がある。
【0005】特にチョコレート、シロップ、ソース類、
複合調味油といった粘稠な調味液を含浸させる場合には
含浸が不十分になりがちであるか、含浸の程度を上げる
には長時間の処理を要し、さらに掛率の調整も煩雑であ
るなど従来の含浸方法では限界があり、こうした問題点
を解決する新規な含浸方法の開発が待たれていた。本発
明者らは、このような状況に鑑みて鋭意研究したとこ
ろ、含浸が容易でない液体、食品であっても、遠心力を
利用すれば、含浸を容易かつ効率的に行ない得るととも
に掛率の調整も容易であることを見出して本発明を完成
した。本発明による含浸処理方法に従うと、例えば、融
解チョコレート液などの粘稠な調味液を焼菓子に高速で
含浸させることが可能でありその掛率も容易に調整でき
るため、食味・食感に優れた焼菓子を効率的に製造する
ことができる。
【0006】
【発明の目的】本発明は、含浸する液体を食品に接触さ
せ遠心力場におくことにより食品中に含浸させる方法を
提供することを目的とする。さらに本発明は、コーティ
ングおよび含浸を組合わせて、食味食感を向上させると
ともに連食性、スナック性も付与された焼菓子を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】本発明による食品の含浸処理方法は、室
温での粘度が1〜7,000センチポイズである液体を食品
に接触させた状態で、遠心力を該食品に作用させること
により、液体を該食品に含浸させることを特徴とする含
浸方法である。上記食品がパン生地または焼菓子生地で
あり、上記液体が、チョコレート、ソース類、または複
合調味油である場合に、好ましく含浸処理が行なわれ
る。
【0008】本発明に係る焼菓子は、本発明の含浸処理
方法により製造された焼菓子であって、上記液体の掛率
が、生地の重量に対して50〜300重量%であり、かつ付
着または含浸している液体総重量のうち含浸した比率
が、5〜95重量%であることを特徴としている。
【0009】
【発明の具体的説明】本発明による食品の含浸処理方法
は、室温での粘度が1〜7,000センチポイズである液体
を食品に接触させた状態で、遠心力を該食品に作用させ
ることにより、液体を該食品中に含浸させることを特徴
とする方法である。食品には、通常多くの空隙、細孔ま
たは管状組織を有しており、その内部には、水分、空気
または低揮発成分が存在している。「含浸」は、食品の
有する空隙、細孔または管状組織中に存在する水分、空
気などを導入する液体または気体に物理的に置換する処
理をいう。物理的に置換するには、強制的にこれらの水
分、空気などを追い出した後、または追い出すと同時に
外部からの液体をその空隙などに導入する必要がある。
このような物理的過程に作用する力として、本発明の方
法が利用する遠心力は含浸する液体物質に直接に作用す
るため、含浸の目的を高速に達成するものである。
【0010】さらに、本発明によるこのような遠心力を
利用する含浸方法では、粘稠なコーティング素材であっ
ても、高速で食品内部に充分に、かつ一様に染み込ま
せ、しかも食味と製造コストに関係する掛率も調整でき
るということにおいて従来の含浸方法にない特色を有す
る。なお「掛率」は、対食品重量に対する割合であり、
含浸に加えコーティングも行う場合は、そのコーティン
グ量および含浸量の和についていう。対象とする食品 本発明において食品は固形状のものであれば、その種類
および形状などは特に制限はなく、大きさも任意であ
る。一般に食品の組織内部に液体、とりわけ粘稠な液体
を含浸させるためには、ある程度表面に開口部を有する
多孔性ないし層状の組織である方が含浸効率が高くなる
傾向にある。
【0011】本発明では、作用する遠心力に対して形状
が変化しない食品がより好ましい。本発明で用いること
ができる食品として、パンまたは焼菓子の生地、麺類、
干しブドウ、干しガキ、干しリンゴなどの乾燥果実;干
ししいたけなどの野菜;干魚類;麩、油揚、(凍)豆
腐、乾燥卵、練り製品などの加工食品;などが挙げられ
る。
【0012】焼菓子の生地などのように内部が多孔性組
織であっても、概して表面開口部が塞がった状態のもの
であると、液体、特に粘稠な液体をその内部全体に均一
に含浸させることは、一般には容易ではないが、本発明
による方法では、短時間に含浸処理をおこなうことがで
きる。本発明による方法が好ましく用いられる多孔質生
地として、具体的にはパン生地(ラスク生地)、ビスケ
ット生地、クラッカー生地、パフ生地、ケーキ生地、ウ
ェハース生地、パイ生地などが挙げられる。含浸する液体 本発明では、含浸する液体として、液体、溶液、スラリ
ー液、分散液など、含浸時に液状で取り扱い可能な成分
はいずれも用いることができる。
【0013】本発明においては、他の含浸方法では極め
て時間がかかる粘稠な液体であっても効率的に含浸させ
ることができる。粘性が高い液体は、遠心力の作用を受
け進入速度に加速度がついて食品組織中に浸透するため
である。このため、本発明による方法では、粘性の低い
液体のみならず粘性の高い液体も含浸する液体となりう
る。したがって室温における粘度が1〜7,000センチポ
イズの広い範囲にある液体を含浸させることができる。
含浸する液体は、主に調味目的の流動状もしくは液状物
質であることが多いため、本発明の方法により好ましく
は1〜4,000センチポイズ、特に好ましくは1〜2,500セ
ンチポイズの範囲にある液体を含浸することができる。
【0014】具体的には、チョコレート、キャラメル、
ミルク、生クリーム、クリームチーズ;水あめ、メープ
ルシロップ、その他の天然もしくは人工甘味料;ソース
類、醤油、味噌、味りん、リキュール、甘味果実酒、ケ
チャップ、マヨネーズなどの調味料;食用油、ショート
ニングオイル、マーガリン、シーズニングを配合した複
合調味油;果汁、肉汁などの食品抽出物;胡椒、トウガ
ラシ、カラシ、ワサビ、ニンニク、生姜などの香辛料を
含む調味液;コーヒー、紅茶、緑茶などの嗜好性飲料;
などを例示することができる。
【0015】本発明において、含浸する液体として、パ
ン生地または焼菓子生地に対しては、チョコレート、ソ
ース類、またはシーズニングを配合した複合調味油が好
ましく用いられる。その他、含浸する液体として、各種
食酢、各種酒類;クエン酸、酒石酸、乳酸などの有機酸
酸味料;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化鉄などの無機塩類溶液;ヨ
ウ素などの必須無機元素含有溶液;などでもよい。
【0016】調味目的以外に、食品の品質保持のための
液体物質を含浸する場合にも本発明の方法を使用するこ
とができる。すなわち、賞味期限の延長のため保存性を
高める成分の含浸;風味、食感の調整のために各種脂肪
分、糖質、調味料の含浸;栄養価、見栄え、香りなどの
向上のための含浸;薬効の添加、殺菌消毒、各種添加剤
の添加などのための含浸;新種の食品への応用;などに
おいても適宜、含浸処理を適用することができる。
【0017】そのような目的のために使用される含浸液
体として、例えば、ビタミン類、アミノ酸などの栄養強
化剤;各種香料;グリセリン、カゼイン、糖類などの保
湿剤;安息香酸塩、ソルビン酸、タンニン、ポリフェノ
ールなどの保存剤;天然もしくは合成の着色剤;寒天、
こんにゃく液などの可溶性食物繊維成分;にかわ、ゼラ
チンなどのゼラチン質;カテキン、エリソルビン酸など
の酸化防止剤;ポリリン酸塩などの品質改良剤;各種酵
素および発酵菌;木酢液、燻油などの燻製成分;殺菌
剤、抗菌剤、静菌剤、その他の食品添加物、薬効成分お
よび医療用薬剤;などが挙げられる。
【0018】なお、上記した含浸する液体は単独で用い
てもよく、または2以上適宜組合わせた混合物であって
もよい。遠心力 本発明による含浸方法において利用する遠心力は、特に
限定されないが、大抵の含浸処理において、回転数が毎
分100〜4,000の通常の遠心分離機により発生させられ
る遠心力場におけるものであればよい。食品の形態保持
と操作容易性の観点からは、好ましくは毎分の回転数が
150〜2,500、より好ましくは200〜1,500、特に好まし
くは300〜800である場合の遠心力が望ましい。そのため
の遠心分離機の種類などは特に問わない。
【0019】回転数および遠心時間は、含浸する食品お
よび含浸液体の性状、含浸程度、必要な掛率などにより
規定されるため、これらの因子を考慮して必要とされる
遠心の条件を設定する。密な組織の食品、チョコレート
のように粘度の高い液状物、深く含浸させる場合には回
転数を高くするか遠心時間を長くすることにより好適に
達成できる。
【0020】含浸の程度、含浸液の掛率も遠心力場の大
きさまたはそこにおく時間を制御することにより加減す
ることができ、所望の含浸程度を達成した食品を製造す
ることができる。すなわち、中心部まで均一に含浸処理
を施された食品、表面部のみを含浸処理をした食品いず
れも上記の条件を適宜設定することにより製造すること
ができる。含浸の方法 含浸する液体と食品との接触は、コーティング機械を使
用して、含浸液体を食品表面に塗布するか、低粘度の液
体であって噴霧できる場合には噴霧することにより食品
表面の全体に含浸液体の塗膜を形成する。あるいは食品
を含浸液体中に浸漬してもよい。食品の味付けを目的と
して、その表面のコーティングと内部への含浸いずれも
行なう場合には、コーティング機械を利用するのが好ま
しい。
【0021】次に、遠心分離機に収容して、通常は常温
常圧で遠心分離を行なう。食品の種類に応じて冷却下で
遠心分離を行なってもよい。遠心終了後、当該食品とと
もに、分離した余分な含浸液体もまた簡単に回収するこ
とができ、その再使用も可能である。なお、遠心力に抗
し難く形状を維持することができない食品の場合には、
従来技術である減圧・加圧方法による含浸処理を一先ず
行い、その後に余分な含浸液体を除去するか、または掛
率を調整する目的も兼ねて穏やかな条件下での遠心分離
操作を加えてもよい。
【0022】遠心分離の操作は、通常1回でよいが、所
望する場合には、複数回に分けて行っても良い。特に含
浸の目的を異にするか、同時に含浸できないために複数
の処理が必要な場合でも短時間に処理することができ
る。本発明の含浸処理方法が最も好適に行われる態様の
一例として、コーティングおよび含浸を好ましく組合わ
せた焼菓子の製造がある。パン生地または焼菓子生地に
対して、含浸する液体が、チョコレート、ソース類、複
合調味油などの粘稠なものである場合に、本発明に基づ
き、遠心力を利用して好ましく含浸処理が行なわれる。
この場合、含浸とコーティングのいずれも行なう味付け
では、味付けの液体の掛率を調整することにより、見栄
え、食味・食感の向上が達成される。これは従来の含浸
処理方法では適切に行い得なかった生地全体の味付けで
ある。いうまでもなく、本発明は、この態様に限定され
るものではない。
【0023】なお、以下の工程は、含浸を効率的に行な
うために含浸工程の前後に行われる任意の操作であり、
必要に応じて加えてもよい。 ・前処理 本発明の食品の含浸処理方法においては、含浸処理に先
立ち、食品に必要な前処理を施しても良い。このための
前処理として、切断、冷凍、解凍、加熱、乾燥、調味、
撹拌、加圧、減圧および薬品処理など食品に施し得る処
理をいずれも所望により行うことができる。
【0024】例えば、チョコレート液などを焼菓子にコ
ーティングしさらに含浸する場合には、生地の発酵、焙
焼などの工程が含浸の前に行われ、品温が高い状態の間
にコーティングおよび含浸の工程に移行する。チョコレ
ート液などは温度が高いほど、その粘性は低くなり含浸
に好都合であるからである。 ・後処理 含浸処理を行なった後に適宜後処理を行なってよい。す
なわち、冷却、冷凍、切断、加熱、乾燥、撹拌、加圧、
減圧および薬品処理など、食品に施し得る処理をいずれ
も行なうことができる。
【0025】例えば、チョコレート液などを焼菓子にコ
ーティングし含浸する場合には、含浸処理の後に、冷却
の操作がチョコレートなどの固化および品温を室温まで
下げる目的で行われる。含浸の条件および掛率 遠心分離の条件は、回転速度および遠心時間で規定され
るが、これは、上記したとおりである。
【0026】本発明の食品の含浸処理は、温度条件を特
に限定するものではなく、所望の温度条件で適宜行うこ
とができる。通常、−10〜200℃、好ましくは−5〜15
0℃、特に好ましくは1〜100℃で行うのが望ましい。
本発明の方法においては、含浸液体の掛率は、遠心分離
の条件、さらに含浸液体のコーティングも行う場合には
コーティングの条件とともに設定すればよく、掛率は、
広い範囲で容易に調整することができる。これらの点に
ついて最適条件が確立されれば、簡単な操作のために常
に均一なコーティング、高い歩留まりが達成できる。こ
のため、食品の味覚・品質管理、製造効率、コストなど
の面において条件を好適に選択または設定する自由度が
大きい。
【0027】これに対して減圧装置による含浸では、食
品表面に残る含浸液体を除去する処理を別途必要とし、
あるいは含浸液体をコーティングしたまま残す場合であ
ってもその掛率の調整は極めて煩雑である。特に含浸液
体が粘稠であるほど、その傾向は増大する。含浸液体の
掛率の調整は、製造コストの節減に留まらず、食味・食
感の観点からも考慮される必要がある。特に、本発明の
方法が最も好適に行われる態様の一例として上に挙げた
調味液のコーティングと含浸いずれも有する菓子類の場
合について、以下この観点から説明する。掛率は好みに
より任意に定められるが、特に低い掛率の実現は、食味
・食感の向上に大いに効果を発揮する。すなわち、チョ
コレートなどの調味液を使用し、表面が薄くコーティン
グされ内部全体にその味が一様に含浸されている焼菓子
では、ぼってりとした厚いコーティングのみの菓子と比
べると、その食味・食感には、サクサクとした食感があ
り、生地とチョコレートなどとの味の一体感、調和感を
有する食味となっている。さらに、続けて食してもすぐ
に飽きがこない連食性ならびにスナック菓子のようなス
ナック性が付与されている。
【0028】そのような焼菓子を製造する際、上記液体
の掛率は、なるべく低い方が好ましく、生地の重量に対
して50〜300重量%であることが望ましい。ここにいう
掛率は、含浸に加えコーティングも行なうため、そのコ
ーティング量および含浸量の和を生地重量で除したもの
である。諸操作、遠心条件を考慮すると、好ましくは80
〜250重量%、より好ましくは130〜180重量%、特に好
ましくは140〜170重量%である。含浸の割合も食味に影
響するため、コーティングまたは含浸された液体総重量
のうち含浸した比率は、5〜95重量%であることが望ま
しい。好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは70〜90
重量%である。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、遠心分離機を使
用する簡便な方法により、食品中に液体を効率的に含浸
することができる。本発明の方法によれば、特に粘稠な
液体であっても高速で含浸処理を施すことができる。
【0030】本発明の方法によれば、含浸の程度、含浸
液体の掛率などの制御も遠心時間および回転数の調整で
容易になし得る。掛率は、広い範囲で極めて容易に調整
することができるため、食品の味覚・品質管理、製造効
率、コストなどの面において選択・設定の自由度が大き
い。本発明の方法によれば、調味液で含浸された食品
は、食品内部まで味付けがされているため、食したとき
に食品と調味液の一体感および調和感が醸し出されて、
好ましい食味・食感が達成される。コーティングと含浸
とを組合わせた菓子類などでは、さらに連食性、スナッ
ク性の特性も打出せる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。以下の実施例などで「部」とあるのは重
量部を示す。
【0032】
【実施例1】強力粉100部、食塩1.5部、ドライイースト
0.7部、イーストフード0.1部、モルトエキス0.5部、乳
化剤0.5部、マーガリン3部および水60部をそれぞれ所
定量配合して混練することにより、ラスク生地を調製し
た。一次発酵を32℃、湿度65〜75%にて、二次発酵を
37℃、湿度80〜85%の条件下で行い、次いで、焙焼温
度230℃で18分間焙焼した。焙焼後の生地は、品温50
℃前後の温度で、融解したチョコレート液をコーティン
グ機によりコーティングした。これを直ちに遠心分離機
を使用して15秒間、毎分420回転数にて遠心分離を
行なった。ラスクおよび分離したチョコレート液を回収
し、コーティングされたラスクは、冷却してから包装な
どの工程に移して焼菓子製品を製造した。そのチョコレ
ート掛率は、対生地として160重量%であった。な
お、この掛率は、120重量%まで低下させることが可能
であった。ラスク製品の外観は、チョコレートが一様に
薄くコーティングされて見栄えもよく、その内部にもチ
ョコレートが充分含浸されていることが観察された。
【0033】
【比較例1】チョコレート液でコーティングした表面を
エアースプレーで吹き付けることにより含浸を行った以
外は、実施例1と同様にして焼菓子を製造した。そのチ
ョコレート掛率は、対生地として260重量%であっ
た。製品は、チョコレートのコーティングがべっとりと
厚く、手にも付きやすい外観を呈していた。チョコレー
トの含浸は、ほとんどないか表面近くにとどまっている
ことが観察された。
【0034】
【比較例2】含浸処理は、減圧装置内で減圧後にチョコ
レート液に浸漬しその後、減圧を解除して行なった以外
は、実施例1と同様にして焼菓子を製造した。そのチョ
コレート掛率は、対生地として270重量%であった。
製品はチョコレートのコーティングが厚いため手に付き
やすく、チョコレートの含浸が不充分であることが観察
された。
【0035】
【試験例】官能検査 上記実施例1、比較例1および2で製造した焼菓子のラ
スクの食感(サクサク感、歯ざわり、舌触りなど)およ
び食味について15名のパネルにより試食評価を行なっ
た。その結果を表1および2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1から明らかなように、遠心力を利用し
てチョコレート液を含浸させた実施例1の焼菓子は、比
較例1,2の焼菓子と比べてサクサクとした歯ざわり、
舌触りなど食感に優れていた。また味についても、表2
に示されるように、実施例1の製品は他のものより高い
評価を得た。本発明の方法による焼菓子では、さらにチ
ョコレートの掛率を約120重量%まで落とすことがで
き、このような低いチョコレートの掛率はコスト節減に
貢献するのみならず食味・食感の向上に効果を発揮して
いる。すなわち、ぼってりとしたチョコレートのコーテ
ィングではなく内部までチョコレート味が一様に含浸さ
れているために、続けて食してもすぐに飽和感がこない
連食性ならびにスナック菓子のようなスナック性を打ち
出す味覚となっていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B014 GB04 GG14 GG17 GK01 GP22 GP27 4B032 DB01 DL04 DL06 DL20 DP66 DP80 4B035 LG12 LG57 LK01 LP25

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室温での粘度が1〜7,000センチポイズで
    ある液体を食品に接触させた状態で、遠心力を該食品に
    作用させることにより、液体を該食品に含浸させること
    を特徴とする食品の含浸処理方法。
  2. 【請求項2】上記食品がパン生地または焼菓子生地であ
    り、上記液体が、チョコレート、ソース類、または複合
    調味油である請求項1に記載の食品の含浸処理方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の方法により製造
    された焼菓子であって、上記液体の掛率が、生地の重量
    に対して50〜300重量%であり、かつ付着または含浸し
    ている液体総重量のうち含浸した比率が、5〜95重量%
    であることを特徴とする焼菓子。
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