JP5457372B2 - 香辛料入り混合物の製造方法及び香辛料入り混合物の使用 - Google Patents

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Description

本発明はソバをベースとする香辛料入り混合物の製造方法及び香辛料入り混合物の使用に関する。
ソバは文献で擬似穀物と呼ばれる。ソバは植物学上ではタデ科(Polygonaceae)植物に属するが、穀物と同様に食することができるからである。ソバ[Buchweizen=Bucheブナ+Weizenコムギ]の命名は、一方ではそのコムギに似た成分に、またブナの実に比せられるその外観に由来する。栄養生理学的観点からすれば、ソバは在来のコムギ品種に比して価値が高い。特にソバは遥かに高い割合の必須アミノ酸を含有し、それとともに非常に高い生物学的価値を有するからである。しかもソバはグルテンを含まないから、スプルー及びセリアック病患者にも適している。
天然のまま及び脱穀した形のソバは周知のようにオートミール、スープ、カツレツ(cutlet)、パンケーキ及びタルトに関連して多面的に使用され、またソバ粒は焙焼した形でもミューズリ及びグラノーラ調理品に使用される。焙焼したソバは僅かにナッツの風味があり、挽いたものはパンケーキ、ワッフル並びにその他のペストリー及びベーキング製品に添加物として使用される。
これまで使用されたソバ粒は、天然のままの形であれ、予備焙焼した形(ソバがゆとも呼ばれる)であれ、硬い穀粒であり、例えば製粉工程等により食品に加工するため又は食物を得るための再加工用の出発材料となる。食物のためにソバ粒はたいてい水の添加に伴って膨潤させられる。この点に関連して、ソバ粒が食物の調理のための成分として利用される多数のレシピがある。
例えば食品製造のために脱穀し粉砕したソバ粒に焙焼工程を行う方法が日本国特許公開JP55015784Aに見られる。
カカオ様の食品の製造のために、とりわけソバを焙焼し、乾燥し、製粉し、その際得られた粉末にカカオを混入することがオーストリア特許公報AT163512に記載されている。
特開昭55-015784号公報 オーストリア特許第163512号
本発明の根底にあるのは、前述の栄養生理学的に有益な性質を有するソバを、日常の食品需要のその他の幅広い用途で利用できるようにするという課題である。特にエコロジー製品の要求を考慮して、一切の保存剤を廃止し、それでもできる限り長期の保存期間を可能にする、ソバをベースとする製品を提供することが重要である。さらにソバをベースとする製品が味覚に関する要求も、食するときの触覚に関連した要求も満たすという観点、即ち生理的に感知される食感が快適かつ新鮮に感じられねばならないということを考慮に置くことが重要である。
本発明の根底にある課題の解決手段は請求項1に示されている。本発明に係る方法により製造される製品の有利な使用が請求項16及び17の発明である。
本発明の着想の基礎をなす製品は、脱穀し、焙焼したソバ粒をベースとし、香辛料を適当に使用及び/又は添加することによって個々の味覚の特色を得る香辛料入り混合物(spicy mixture)、香辛料混合物(spice mixture)又は香辛料調製品である。本発明に係る製造方法によって、製品を食するときに生理的に感知される食感を左右する触覚をソバ粒に付与し、ソバ粒がパリパリしていて、こんがり焼きあがった感じがあるようにすることができる。それによって製品をその主要な用途分野のほかに、ソース等のための香辛料入り混合物又は香辛料調製品としても、あるいは直接食するための独立したスナックとしても提供することができる。
ソバをベースとするこのような香辛料入り混合物を製造するための本発明の方法は、以下に述べる工程を包含する。
まず脱穀したソバ粒を用意する。このソバ粒は本来の脱穀操作のほかにその他の予備処理をまったく必要としない。脱穀したソバ粒を1種の焙焼によって加熱し、その際その他の添加剤を加えずにソバ粒を焙焼容器(例えば焙焼なべの形)に入れ、その中でできる限り迅速かつ効果的に加熱する。この焙焼工程のために必要な焙焼温度は最高200℃であって、その際焙焼工程に起因する劣化現象、例えば焼けを回避するために、脱穀したソバ粒が焙焼容器の中で絶えず掻き混ぜられるように注意しなければならない。量及び調整した焙焼温度に応じて、この最初の焙焼工程は数分であり、ソバ粒は予備焙焼状態になり、この状態で例えばサンプルを手にもったときに熱いないしごく熱い温感を伝えることができる。
上記のように予備焙焼したソバ粒は次に食用油、とりわけゴマ油又はナタネ油を加えながら引き続き焙焼し、その際添加される食用油の焼けを回避するために焙焼温度を引き下げる。食用油の添加は、すべてのソバ粒の表面の完全が保証されるような量で行う。今や油付けしたソバ粒の、やや引き下げられた焙焼温度で行われる穏やかな焙焼の結果、目下の理解によれば、ソバ粒は加えられた食用油をその表面から粒の内部へ吸収する。焙焼容器内でソバ粒を絶えず攪拌し、掻き混ぜながら、再び焙焼工程を行い、心部が当該の粒表面を経てもはやこれ以上の油を吸収できないようになるまで、食用油を定量の形でソバ粒に加える。焙焼工程の過程でソバ粒が黄金色、即ち前述のようにソバ粒の加工量に応じて約10分の焙焼時間の後に現れる状態になったならば、その後の工程で焙焼温度を再び最高200℃に高め、その際引き続き絶えず掻き混ぜながらソバ粒に塩及び/又は砂糖を含む溶液を加える。少なくとも1つの香料を含む溶液を加えることも考えられる。
例えば塩味の香辛料入り混合物を製造しようとする場合、含塩溶液としてとりわけ梅酢を使用し、これをとりわけスプレーの形で、焙焼容器中の油付けし焙焼したソバ粒にできる限り均質にかつ全体的に塗布する。梅酢は梅の実といわゆるシソの葉から得られる抽出物であり、梅干のすべての栄養素を含み、特に腸の活動を刺激し、消化を助けるものである。梅酢の吹付け塗布によって焙焼容器の中にあるすべての油付け焙焼ソバ粒の表面が湿り、その際支配する焙焼温度に基づき梅酢の液体分が蒸発し、少なくとも梅酢の蒸発しない残留成分はソバ粒に付着している。行われた焙焼操作の大多数で得た知見に基づき現在想定されるところでは、梅酢の含塩成分は、先行する焙焼工程での油と同じく、ソバ粒の表面を通って粒の内部に浸透し、こうしてソバ粒に塩味が十分に付与される。
焙焼容器の中で絶えず掻き混ぜられるソバ粒に梅酢を吹付け塗布する操作は、遂次的に複数回行うことが好ましい。即ち梅酢の液相が蒸発したならば、直ちにソバ粒を新たに梅酢スプレーで処理する。試験焙焼で判明したところでは、ソバ粒の味覚的に受け入れられる塩味を得るために、焙焼したソバ粒への梅酢の吹付け処理を3回から5回繰り返せば十分である。
塩味のソバ粒を得るために梅酢だけを加えるのと同じく、含糖溶液、例えば米シロップ、スペルト小麦シロップ、メープルシロップ、粗糖(サトウキビ)又は類似の天然糖製品(さらに希釈するために適当な溶剤に添加することができる)をさらに加えることによって、甘いソバ粒を得ることが可能である。
特に含糖溶液を使用する場合は、支配する焙焼温度によって起こる添加された糖のカラメル化により個々のソバ粒の表面が糖層で覆われ、このためソバ粒がくっつきあって塊になる。添加する糖の量は、ソバ粒の表面に付着する糖層が比較的薄く、とりわけ数十〜数百ミクロンの範囲であって、塊の中で互いに接触するソバ粒がとりわけ点状にしか接触しないように量定することが好ましい。こうして間隙に大きな空気分があるソバの塊が形成される。
さらにソバの塊に乾燥果実又は乾燥ベリー類、例えばアロニア、酸果サクランボ又はクランベリー、さらにはブルーベリー、コケモモ又はバーベリーを加えることが特に好ましい。これらはいわば別の成分としてソバの塊に組み込まれる。
最後に、当該の溶剤のすべての液体分が蒸発し、前述のように処理されたソバ粒を最後の包装に送ることができるようになるまで、残りの焙焼工程を継続する。強調すべき味覚方向によっては、塩味のソバ粒に別の香辛料添加物、例えば海苔、アロエベラ植物又はパプリカの成分を混合することが考えられる。この形で香辛料入りソバ粒を、気密に閉じた最終包装でのパッケージングへ送ることができる。上記の例の代わりに又は上記の例と組み合わせて、その他の各種添加物ももちろん可能である。各種の果物、果実類又は野菜の成分を加えることも考えられる。
ソバ粒の上記の焙焼処理によって、一方ではソバ粒にとりわけ塩味又は甘味(使用する香料含有溶液の選択によっては苦味又は酸味の味覚方向も考えられる)の味付けを、ソバ粒の自然な形を損なわずに施すことができ、さらには食するときに粒がカリカリパリパリした食感を与えるように、個々のソバ粒の長時間安定した品質改善を行うことができる。この性質は上記のように製造されたソバ粒に、直接食するために例えばスナックの形で使用する可能性を開く。また上記の香辛料入り混合物を例えばヨーグルト、甘性若しくはサワークリーム又は類似の乳製品をベースとするサラダソース又はドレッシング又はディップに加えることによって、ソバ粒は液状媒質に起因する軟化過程にさらされる前に、そのパリパリ感を長時間にわたり保持し続ける。
上記の香辛料混合物に甘味が付与される場合も、ソバ粒に混合することができる補助香辛料、例えばシナモン、クローブ、ショウガ、バーボンバニラ等が利用可能である。特に甘味型の香辛料混合物はベーキング製品、クッキー及びその他の菓子製品で使用し、さらにはシリアル食品、例えばグラノーラバー等に添加することが可能である。糖層で覆われたソバ粒を加工し、塊の形に仕上げ、これにとりわけ乾燥ベリー類の形の添加物を混合することによって、特に興味深い製品が生まれる。このような製品は塊の形状と大きさに応じてグラノーラバー又はスナックとして提供することができ、その他の添加物及び/又は調理なしで直接食することができる。

Claims (17)

  1. 下記の工程:
    −脱穀したソバ粒を用意し、ソバ粒を1種の焙焼により加熱して、予備焙焼したソバ粒を得る工程、
    −焙焼を続けながら、予備焙焼したソバ粒に食用油を加えるが、ソバ粒の表面が食用油で完全に湿るような量の食用油を予備焙焼したソバ粒に添加し、ソバ粒が油の吸収と焙焼によって引き起こされた黄金色の着色を得るまで焙焼を継続する工程、
    −油付けし焙焼したソバ粒の表面を吹付け塗布により塩、砂糖又は少なくとも1つの香料を含む溶液で湿らすことによって、塩、砂糖又は少なくとも1つの香料を含む溶液を、油付けし焙焼したソバ粒に加える工程、
    −溶剤を含まない塩、砂糖又は香料含有焙焼ソバ粒の形の香辛料入り混合物を得るまで焙焼を継続する工程
    を含む、ソバをベースとする香辛料入り混合物の製造方法。
  2. 穀したソバ粒の焙焼を、特に焙焼なべの形の焙焼容器で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 焙焼工程が最高200℃の焙焼温度で行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 予備焙焼したソバ粒に食用油を加える前及び/又はその間に、焙焼温度を食用油が焼け現象を示さない、食用油に適合する温度に引き下げることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 食用油としてゴマ油又はナタネ油を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 塩、砂糖又は香料を含む溶液を油付けしたソバ粒に最高200℃の焙焼温度で添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 先行する吹付け塗布によってソバ粒の表面に沈着した溶剤が蒸発により完全に逃失したならば、直ちに次の吹付け塗布が行われるようにして、吹付け塗布を何回も繰り返すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 塩、砂糖又は香料を含む焙焼したソバ粒が焙焼に起因する劣化を実質的に受けず、かつ溶剤成分が完全に逃失するような引き下げられた焙焼温度で、香辛料調製品を得るまで焙焼を継続することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 食用油の添加及び塩、砂糖又は少なくとも1つの香料を含む溶液の吹付け塗布によって行われる添加を含めて、焙焼の間にソバ粒を掻き混ぜることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 塩を含む溶液として梅酢を使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 糖を含む溶液として、米シロップ若しくはスペルト小麦シロップ、又は米シロップ若しくはスペルト小麦シロップを含む溶液を使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 糖を含む溶液を使用する場合に、ソバ粒の表面が糖層で覆われるように、添加される糖の量を選定し、支配する焙焼温度により溶液に含まれる糖がカラメル化することによって、それぞれが表面のカラメル化した糖層を介して互いに付着する多数のソバ粒からなる塊が形成されるように、糖層を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 焙焼の終了後に、溶剤を含まない塩、糖又は香料含有焙焼ソバ粒を冷却のために密閉可能な容器に入れることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 焙焼の間及び/又は終了時に、溶剤を含まない塩、糖又は香料含有焙焼ソバ粒に海苔、アロエベラの成分、パプリカ又はベリー類から選択される少なくとも1の添加物を添加することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ベリー類としてアロニアベリー、酸果サクランボ又はクランベリー、ブルーベリー、コケモモ、及びバーベリーを選択することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により製造される香辛料入り混合物の、ディップ、ソース、スープ若しくはサラダへの香辛料添加物としての、又は直接食するための独立したスナックの形での使用。
  17. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により製造される香辛料入り混合物の、特に乾燥果実及び/又はナッツ入りの、食品、ベーキング製品、デザート、ミックスドリンク、シリアル食品又はシリアル混合物への香辛料添加物としての使用。
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