JP2004267116A - チーズ含有食品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
また、本発明のチーズ含有食品の製造方法は、基食材の空隙内部にチーズ食材が充填されたチーズ含有食品を製造する方法であって、少なくとも一部に多孔質構造の空隙を有する基食材を、減圧処理した後または減圧状態で、チーズ食材と接触させるか、または、基食材とチーズ食材とを接触した状態で減圧処理することで、基食材中にチーズを含有する食品を含浸させる工程を有することを特徴としている。
【効果】本発明によれば、多孔質構造の空隙を有する基食材の空隙中にチーズを含有する食材が充填され、基食材およびチーズを含有する食材が一体化し、かつ、それぞれの食感が生かされた新規な食品、およびその効率的な製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の技術分野】
本発明は、チーズ含有食品およびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、空隙を有する基食材の空隙部の少なくとも一部が、チーズ食材で充填されたチーズ含有食品およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、チーズを含有する食品としては、はんぺんやパンなどの素材でシート状のチーズを挟んだもの、穴にチーズを挿入した竹輪、チーズを含有する生地を焼き上げた菓子、チーズクリームをサンドした菓子などの、種々の加工食品が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの従来の食品では、チーズとそれ以外の食品素材とが、単に組み合わされたものであってそれぞれ独立した食感を示すか、または、完全に一体であってチーズ本来の食感が失われているものであった。
このような状況において、チーズおよびそれ以外の素材が有するそれぞれの風味および食感が生かされており、かつ、素材同士がより一体感を有する食品およびその製造方法の出現が望まれていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、多孔質構造の空隙を有する基食材の、空隙部の少なくとも一部が、チーズ食材で充填されてなる新規なチーズ含有食品と、減圧処理を伴って、該食品を効率的に製造することのできるチーズ含有食品の製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明のチーズ含有食品は、多孔質構造の空隙を有する基食材の、空隙部の少なくとも一部が、チーズ食材で充填されてなることを特徴としている。
このような本発明のチーズ含浸食品では、基食材が、含水率が40重量%以下の食材であることが好ましく、基食材が、穀類を主成分とし、加熱して得られる食材であることも好ましく、また、基食材が、魚介類を主成分とした食材であることも好ましい。
【0006】
また、本発明のチーズ含有食品では、チーズ食材が、ナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズを含有する食材であることが好ましい。
本発明のチーズ含有食品の製造方法は、基食材の空隙内部にチーズ食材が充填されたチーズ含有食品を製造する方法であって、
少なくとも一部に多孔質構造の空隙を有する基食材を、減圧処理した後または減圧状態で、チーズ食材と接触させて、基食材中にチーズを含有する食品を含浸させる工程を有することを特徴としている。
【0007】
このような本発明のチーズ含有食品の製造方法では、基食材が、含水率が40重量%以下の食材であることが好ましい。また、基食材が、穀類を主成分とし、加熱して得られる食材であることも好ましく、基食材が、魚介類を主成分とした食材であることも好ましい。
また本発明のチーズ含有食品の製造方法では、チーズ食材が、含浸時の温度条件において、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで測定した粘度が300,000センチポイズ以下であることが好ましい。
【0008】
本発明のチーズ含有食品の製造方法では、含浸を、基食材を減圧処理し、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触し、減圧処理し、次いで昇圧して行うことが好ましく、また、含浸を、基食材とチーズ食材とを接触し、減圧処理し、次いで昇圧して行うことも好ましい。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
<チーズ含有食品>
本発明のチーズ含有食品は、多孔質構造の空隙を有する基食材と、チーズ食材とから構成されており、基食材の空隙部の少なくとも一部が、チーズ食材で充填されている。
【0010】
チーズ食材
本発明のチーズ含有食品を構成するチーズ食材は、チーズのみであってもよく、チーズと適当な溶媒あるいは分散媒とからなっていてもよく、その他の食材または食品添加成分を適宜含有していてもよい。また、本発明に係るチーズ食材は、油脂を主成分とする食材にチーズ風味を付与した食材、乾燥チーズ粉末などのチーズ加工食品と油脂とからなる食材などの、菓子用チーズ風食材であってもよい。
【0011】
本発明において、チーズとは、乳あるいは脱脂乳などの乳製品を、乳酸菌、有機酸、酵素などによりを加えて凝固させ、必要に応じて微生物の作用によって発酵・熟成させた食品全般を指し、ナチュラルチーズおよびプロセスチーズの両方を含む。これらのチーズは複数種組み合わせて用いてもよく、さらに他の成分を含有していてもよく、また、本発明ではこれらのチーズをさらに加工した食品を用いてもよい。
【0012】
本発明におけるチーズ食材は、チーズと、必要に応じてその他の食品成分からなる食材であって、ナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズを含有する食材であるのが好ましく、チーズ食材中におけるナチュラルチーズとプロセスチーズの合計量が30重量%以上であるのがより好ましく、50重量%以上であるのがさらに好ましく、70重量%以上であるのが特に好ましい。このような量でチーズを含有するチーズ食材を用いた場合には、チーズ含有食品が良好なチーズ風味およびチーズ食感を示す。
【0013】
本発明に係るチーズ食材は、チーズ含有食品の製造において、基食材への含浸の際に流動性を有していればよいが、チーズ食材が、含浸時の温度条件において、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで測定した粘度が300,000センチポイズ以下、好ましくは5,000〜300,000センチポイズ、より好ましくは10,000〜150,000センチポイズの範囲であるのが望ましい。
【0014】
このため本発明に係るチーズ食材は、含浸時の温度などの条件で流動性を有するチーズであればチーズのみであってもよく、チーズが適当な溶媒に溶解されたものであってもよく、チーズが適当な分散媒に分散されたものであってもよい。溶媒あるいは分散媒としては、食用に用いられる液体または含浸時の温度条件で液状の成分を用いることができる。
【0015】
このような溶媒あるいは分散媒としては、特に限定されるものではなく、流動性を有する食材をいずれも用いることができるが、たとえば、水、牛乳、スープ、酒類などの飲料;サラダ油、オリーブ油、ゴマ油、バター、マーガリンなどの動物性または植物性油脂;全卵、卵白、卵黄;生クリーム、マヨネーズ、キレート剤、液体調味料などが挙げられる。本発明に係るチーズ食材が、チーズを溶媒あるいは分散媒に溶解あるいは分散させたものである場合には、食品添加剤として公知の溶解助剤、分散剤、乳化剤などを含有することも好ましい。
【0016】
また、チーズ食材は、必要に応じてその他の食品成分を含有していてもよい。その他の食品成分としては、たとえば、醤油、味噌などの発酵調味料;果汁、肉汁などの食品抽出成分:塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄などの無機塩類;ヨウ素、Zn、Mn、Se、Mo、Cr、Co等の必須無機元素およびその化合物;ショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、オリゴ糖、キシリトール、水飴、蜂蜜、メープルシロップ、その他天然甘味料および人口甘味料などの甘味料;各種食酢、酢酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などの酸味料;グルタミン酸、グリシン、イノシン酸などの旨み調味料;苦味成分;胡椒、唐辛子、からし、わさび、にんにく、生姜、クミン、ターメリックなどの香辛料または香辛料抽出成分;各種酵素および発酵菌;グリセリン、みりん、カゼイン、糖類などの保湿剤;ソルビン酸、安息香酸塩、タンニン、ポリフェノールなどの保存剤;殺菌剤、抗菌剤、静菌剤;木酢液、燻油などの燻製成分;香料;天然および合成の色素および着色料;発色剤;カテキン、エリソルビン酸などの酸化防止剤;各種ビタミン、ミネラル、DNA、RNA、DHA、アミノ酸などの栄養強化成分;薬効成分および医療用薬剤;ポリリン酸などの品質改良剤;バジル、タイム、パセリなどのハーブ類、海苔などの海藻類、各種食品を粉砕した成分、その他の食品添加物が挙げられる。
【0017】
このようなその他の食品成分の、チーズ食材中における量は、チーズ食材を基食材に含浸する際にチーズ食材が流動性を有する範囲内であれば特に限定されず、チーズ含有食品が所望の食感、風味、性状となるように適宜調整して用いることができる。また本発明では、たとえば、加熱時に流動性を示す種類のチーズ、チーズクリーム、チーズソース、チーズペーストなどとして公知のチーズ製品を、チーズ食材として用いることもできる。
【0018】
基食材
本発明のチーズ含有食品を構成する基食材は、その少なくとも一部に多孔質構造の空隙を有し、空隙部の少なくとも一部にチーズ食材を充填することが可能な食材である。本発明に係る基食材は、本発明のチーズ含有食品を製造する時点で、チーズ食材を含浸により充填しうる多孔質構造の空隙を有していればよく、たとえば魚介練り製品など、空隙中に水分や油分などが存在する食材であっても、チーズ食材を充填する際の減圧処理で基食材中の水分または油分が除去され、多孔質構造の空隙が生じる食材などは、本発明に係る基食材として用いることができる。
【0019】
本発明に係る基食材としては、このうち、少なくとも一部に多孔質構造の空隙を有し、含水率が50%以下、より好ましくは40%以下である基食材が望ましい。含水率が低い基食材を用いた場合には、保存性に優れると共に、常温においても粘度の低いチーズ食材を用いた場合にも、チーズ食材が基食材中に良好に保持されるため好ましい。
【0020】
なお、本発明において多孔質構造とは、一つの大きな空洞ではなく、複数の空隙部を有する構造を意味し、複数の空隙は均質であってもよく、ランダムであってもよく、たとえば、セル状、束状、ランダム状などどのような形態であってもよい。
このような基食材としては、たとえば、
パイ、ワッフル、食パン、黒パン、コッペパン、フランスパンなどの含水率30〜40%程度の食材;
魚介類干物などの水産乾物、ドーナツなどの含水率20〜30%程度の食材;
凍り豆腐、ふ、乾燥湯葉、はるさめ、あずき、インゲン豆、えんどうまめ、ささげ、だいず、乾麺、そうめん、冷麦、マカロニ、スパゲッティ、パスタ、とうもろこし、もろこしなどの含水率10〜20%程度の食材;
含水率10%以下の食材、たとえば以下に挙げるもの。
【0021】
フリーズドライ食材:たとえば、野菜類、果実類、野菜全般、魚介類、畜肉類、たまご類、イモ類、成型食品、健康食品群(アガリクス、プロポリス、ローヤルゼリーなど)、アニバーサリーフーズ(おせち料理、七草など)など;
マッシュポテトフレーク、ポテトチップス、ポップコーン、コーンフレーク、各種せんべい、あられ、おこし、かりんとう、ウェハース、クラッカー、ビスケット、ボーロ、クルトン、ロシアケーキなど。
【0022】
このような基食材のうち、本発明では、たとえば凍結乾燥して得られる食材が好ましく用いられる。凍結乾燥して得られる食材は、原料の食材を凍結乾燥する際に、食材中の水分が凍結し、該水分が昇華することにより、本発明のチーズ含有食品を製造するのに好適な多孔質構造の空隙を通常有する。凍結乾燥した食品は、該食品を凍結乾燥せずに用いる場合よりも、形体安定性に優れ、良好な多孔質構造の空隙を有することにより、基食材の形状を損なうことなくチーズ食材が良好に充填されたチーズ含有食品を得ることができる。
【0023】
またたとえば、本発明では、上述のような基食材のうち、穀物を主成分とし、加熱して得られる食材も好ましく用いることができる。このような食材としては、穀物を主成分とする原料を、焼く、揚げる、蒸す、単に加熱するなどの方法で得られるものが挙げられ、たとえば、パイ、ワッフル、食パン、コッペパン、フランスパン、ドーナツ、ポップコーン、煎餅、揚げ煎餅、あられ、おこし、かりんとう、ウェハース、クラッカー、ビスケット、ボーロ、クルトン、ロシアケーキなどが挙げられる。これらの食材は、空隙率の大きい多孔質構造を有し、チーズ食材が良好に充填されたチーズ含有食品を得ることができる。
【0024】
さらに、本発明では、魚介練り製品、魚介類干物などの水産乾物、魚介類燻製、魚介類加熱加工品などの水産加工品も基食材として好適に用いることができる。これらの基食材を用いた場合には、チーズ含有食品として、チーズ食材の風味および食感を良好に有するチーズ含有魚介加工品が得られ、おつまみ、惣菜、調理材料などとして好適である。
【0025】
本発明で用いる基食材は、少なくとも一つの開口を有していてもよい。開口の形状は、穴状、スリット状など限定されるものではない。基食材が少なくとも一つの開口を有することにより、本発明のチーズ含有食品を製造する際にチーズ食材が基食材の内部まで充填されやすくなる。
特に、基食材が、多孔質構造ではない空洞を内部に有する場合、または、には、内部の空洞と基食材の外表面とを連通する部位(穴または開口)を有することが好ましい。このような基食材を用いた場合には、空洞が外部に連通することにより、チーズ含有食品を製造する際に、空洞部にまで容易にチーズ食材を充填することができ、空洞内部まで充分にチーズ食材が充填されたチーズ含有食品が得られる。このような基食材としては、たとえば、種を除去した部分などの空洞部を有する凍結乾燥した果物、野菜;焼く、揚げるなど加熱処理により内部に空洞の生じた食材などが挙げられる。
【0026】
チーズ含有食品
本発明のチーズ含有食品は、多孔質構造の空隙を有する基食材の空隙部に、チーズ食材が充填された食品である。
このような本発明のチーズ含有食品としては、上述のチーズ食材と、基食材とをどのように組み合わせたものであってもよい。具体的には、たとえば、クッキー、クラッカー、パン、ポップコーンなどの穀物を主成分とし、加熱して得られる食材に、加熱時に流動性を示すチーズまたはチーズソースなどのチーズ食材が充填された菓子、ホタテ貝柱乾物、魚介類燻製などの水産加工品にチーズ食材が充填されたおつまみ、さつま揚げなどの魚介練り製品にチーズ食材が充填された惣菜などが挙げられる。
【0027】
本発明のチーズ含有食品は、そのまま食用として用いてもよく、さらに加工して食用としてもよい。たとえば、本発明のチーズ含有食品を、チーズ食材または他の食材でさらに表面をコーティングしてもよく、他素材と組み合わせて用いてもよく、焼く、揚げる、蒸す、電磁波処理などにより加熱して用いてもよい。また、本発明のチーズ含有食品は、調理用食材としても好適に用いることができ、たとえば、スープなどの液体に入れて用いるなど、各種料理の具材として用いることもできる。
<チーズ含有食品の製造方法>
本発明のチーズ含有食品の製造方法では、基食材を、減圧処理した後または減圧状態で、チーズ食材と接触させ、基食材中にチーズを含浸させる工程を有する。
【0028】
本発明のチーズ含有食品の製造方法で用いる基食材としては、少なくとも一部が多孔質構造の空隙を有する基食材が挙げられ、好ましくは、基食材の含水率が0〜50%、より好ましくは0〜40%であるのが望ましい。本発明では、この基食材が、食品を凍結乾燥して得られる食材、または、魚介類を主成分とした食材であることが好ましい。このような本発明で用いる基食材としては、上述の本発明のチーズ含有食品で例示した基食材が挙げられる。
【0029】
本発明では、基食材に少なくとも一つの開口を設ける工程を有していてもよい。開口の形状は、穴状、スリット状など限定されるものではない。また、開口を設ける手段は、特に限定されない。基食材に少なくとも一つの開口を設ける工程を有している場合には、基食材が開口を有することにより、チーズ食材が好適に内部まで含浸されるため好ましい。
【0030】
特に本発明において、基食材として、内部に多孔質構造ではない空洞を有する食材を用いる場合、または、表面の細孔径が小さいなどチーズ食材を比較的含浸し難い表面性状を有する食材を用いる場合には、基食材を含浸工程に供する前に、基食材の外表面と内部とを連通する部位(穴または開口)を形成することが好ましい。このような基食材を用いた場合には、空洞または内部の細孔が外部に連通することにより、含浸工程において、基食材内部まで容易にチーズ食材を含浸させることができ、充分にチーズ食材が充填されたチーズ含有食品を得ることができる。基食材内部と基食材の外表面とを連通する部位(穴または開口)を形成する方法としては、具体的には、たとえば、種を除去した部分などの空洞部を有する凍結乾燥した果物や野菜;焼く、揚げるなど加熱処理により内部に空洞の生じた食材など、内部に空洞部を有する基食材に、楊枝を刺して穴を形成するなどの物理的手段によって行うことができる。基食材が穴または開口を有する場合には、チーズ食材の含浸時に、穴または開口部が下を向かないように制御すると、含浸されたチーズ食材の流出を防ぐことができるため好ましい。
【0031】
また、本発明のチーズ含有食品の製造方法において、チーズ食材としては、チーズを含有し、基食材への含浸の際に流動性を有する食材をいずれも用いることができる。このようなチーズ食材は、チーズのみであってもよく、チーズと適当な溶媒あるいは分散媒とを含んでいてもよく、さらにその他の食材または食品添加成分を含んでいてもよい。
【0032】
本発明で用いるチーズ食材を構成するチーズとは、乳あるいは脱脂乳などの乳製品を、乳酸菌、有機酸、酵素などによりを加えて凝固させ、必要に応じて微生物の作用によって発酵・熟成させた食品全般を指し、ナチュラルチーズおよびプロセスチーズの両方を含む。これらのチーズは複数種組み合わせて用いてもよく、さらに他の成分を含有していてもよく、これらのチーズをさらに加工した食品であってもよい。
【0033】
本発明では、チーズ食材がチーズのみである場合には、常温で流動性を有するか、加熱時に流動性を有するチーズを用いるのがよい。また、チーズ食材がチーズと適当な溶媒あるいは分散媒とを含む場合には、溶媒あるいは分散媒としては上述の本発明のチーズ含有食品で例示したものが挙げられ、チーズ食材は、チーズと溶媒あるいは分散媒とが、基食材への含浸の際に流動性を有する範囲の割合で混合されたものであるのがよく、食品添加剤として公知の溶解助剤、分散剤、乳化剤などを含有していてもよい。さらに本発明で用いるチーズ食材は、基食材への含浸の際に流動性を有する範囲内で、必要に応じて上述の本発明のチーズ含有食品で例示したような、その他の食品成分を含有してもよい。
【0034】
本発明で用いるチーズ食材は、含浸時の温度条件において、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで測定した粘度が300,000センチポイズ以下、好ましくは5,000〜300,000センチポイズ、より好ましくは10,000〜150,000センチポイズであるのが望ましい。
このようなチーズ食材は、チーズ食材を構成する各成分を適宜混合することにより調製することができる。また、チーズ食材として、常温あるいは加熱時に流動性を示す種類のチーズ、チーズクリーム、チーズソース、チーズペーストなどとして公知のチーズ製品を用いることもできる。
【0035】
本発明で用いるチーズ食材は、含浸工程において流動性を液状で取り扱えるものであればよく、溶液、乳化液、懸濁液のいずれであってもよいが、含浸時にほぼ均質な液状成分として取り扱えるものが望ましい。チーズ食材は、含浸時において、その構成成分に基食材の有する多孔質構造の空隙よりも大きい粒子がなく、ほぼ均質であるのが好ましい。
【0036】
本発明によれば、含浸時に流動性を有する範囲である程度粘度の高いチーズ食材でも、良好に基食材中に含浸することができる。ある程度粘度の高いチーズ食材を用いた場合には、基食材がチーズ食材を良好に保持し、チーズ食材の流出を生じにくいため好ましい。チーズ食材の粘度は、チーズ食材の成分組成、濃度および温度により適宜調製することができる。
【0037】
含浸工程
以下、基食材中にチーズ食材を含浸させる工程について説明するが、この工程において、チーズ食材とは流動性を有する状態のチーズ食材を意味する。
チーズ食材の基食材への含浸は、減圧処理した後または減圧状態で、基食材とチーズ食材とを接触させて行うか、または基食材とチーズ食材とを接触した状態で減圧処理することにより行うことができる。このような方法としては、基食材を減圧処理し(ドライバキューム)、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触し、次いで昇圧して行う(A)法、および、基食材をチーズ食材と接触し、減圧処理し(ウェットバキューム)、次いで昇圧して行う(B)法が挙げられる。
【0038】
また、本発明では、基食材を減圧処理した後、チーズ食材と接触させることにより、チーズ食材を基食材中に含浸させてもよい。たとえば、基食材を減圧処理し、基食材内の減圧状態が保たれているうちなどに速やかにチーズ食材と接触する態様などにおいては、減圧処理後チーズ食材と接触するまでに、基食材が短時間常圧に晒される場合があっても差し支えない。
【0039】
まずは、(A)法、すなわち、基食材を減圧処理(ドライバキューム)し、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触し、次いで昇圧することによりチーズ食材を基食材に含浸する方法について説明する。
(A)法において、基食材を減圧処理する工程、すなわち基食材と含浸するチーズ食材とが接触しない状態で基食材を減圧するいわゆるドライバキューム工程では、減圧装置内に基食材を収容し、基食材周囲を通常10〜70,000Pa、好ましくは100〜50,000Pa、特に好ましくは100〜25,000Pa程度まで減圧することができる。この減圧処理により、基食材の多孔質構造の空隙またはその他の空隙に存在する、水分、低揮発成分または空気が、基食材の外部に排出され、基食材が有する空隙が基食材周囲と同等の減圧状態となる。減圧処理時の圧力は、温度条件および所望の含浸程度などにより、適宜調整することができる。
【0040】
このような、基食材を減圧処理する工程では、圧力が低く減圧度が高いほど、基食材中の空気などが排出されやすく、高度な含浸を行うことができるが、好適な圧力条件は温度によっても異なるものであり、高温度においては比較的小さい減圧度でもよく、低温度においては大きな減圧度を必要とする傾向がある。
次いで、基食材を減圧状態に保ちながら、チーズ食材と接触する。基食材とチーズ食材との接触は、その方法を特に限定するものではなく、減圧下で基食材の含浸部位が充分にチーズ食材と接触されればよく、チーズ食材への浸漬などの方法が挙げられ、たとえば、容器に入った基食材を減圧装置内に収容している場合には、減圧処理による減圧状態を保持したまま、基食材の入った容器にチーズ食材を注入するなどの方法により行うことができる。
【0041】
減圧処理および減圧状態における圧力条件は、大気圧よりも低い圧力であればよく、減圧状態では、減圧処理による減圧度をできるだけ保持した圧力条件であるのが好ましく、通常10〜70,000Pa、好ましくは100〜50,000Pa、特に好ましくは、含浸するチーズ食材の粘度が低い場合で1,000〜50,000Pa、含浸するチーズ食材の粘度が比較的高い場合で100〜25,000Pa程度の圧力条件であるのが望ましい。
【0042】
このようにして減圧処理した基食材を、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触した後、減圧装置内の圧力を昇圧することによって、チーズ食材が基食材中に含浸される。昇圧は、チーズ食材と接触した基食材の雰囲気圧力が、通常10,000Pa〜1.1MPa、好ましくは0.1MPa(大気圧)〜0.9MPa程度の圧力まで上昇する条件で行うのが望ましい。
【0043】
昇圧は、通常、エアパージなどで減圧状態を解除するなどの方法により、大気圧(0.1MPa)程度まで圧力を上昇させることにより行うことができるが、さらに加圧を行ってもよい。大気圧よりもさらに加圧を行う場合には、適宜加圧装置を用いることができる。このような加圧は、たとえば、減圧操作を行う容器に耐圧容器を採用して減圧処理した後、チーズ食材に基食材が浸漬された状態で、装置内に、空気、窒素ガス、炭酸ガスなどの気体を導入して所望の加圧状態まで昇圧することにより行うことができる。また、昇圧に用いる気体としては、細菌や夾雑物などを含まないよう、滅菌、フィルター通過などを行ったガスも好ましく用いられ、また食品の酸化を防止するため、酸素含有量の低いガスも好ましく用いられる。
【0044】
このような(A)法によれば、含浸前の基食材の空隙に、空気などの気体成分、あるいは、水分、油分、低揮発成分などの液体成分のいずれが含まれている場合であっても、含浸するチーズ食材と好適に置換して、含浸処理を好適に達成することができる。
次に(B)法、すなわち、基食材をチーズ食材と接触し、減圧処理し、次いで昇圧することにより、基食材中にチーズ食材を含浸させる方法について説明する。
【0045】
(B)法では、まずは、含浸処理前の基食材をチーズ食材に浸漬するなどの方法で接触した後減圧処理する、いわゆるウェットバキューム工程を行う。この工程は、たとえば、容器中に基食材およびチーズ食材を入れて、基食材がチーズ食材に浸漬された状態とし、この容器を減圧装置中に導入して減圧することにより行うことができる。このような減圧処理は、通常10〜50,000Pa、好ましくは100〜10,000Pa、特に好ましくは、含浸するチーズ食材の粘度が低い場合で1,000〜10,000Pa、含浸するチーズ食材の粘度が比較的高い場合で100〜5,000Pa程度の圧力条件で行うのが望ましい。(B)法では、このようにして、食品を減圧状態で液体成分と接触させる。
【0046】
次いで、減圧装置内の圧力を昇圧することによって、食品と接触している液体成分が、食品中に含浸される。昇圧は、上述した(A)法と同様、通常10,000Pa〜1.1MPa、好ましくは0.1MPa〜0.9MPa程度の圧力条件まで、チーズ食材に浸漬した基食材の雰囲気圧力が上昇する条件で行うのが望ましく、通常、減圧条件を解除するなどの方法により、大気圧程度まで圧力を上昇させることにより行うことができるが、さらに加圧を行ってもよい。
【0047】
このような(B)法によれば、含浸前の基食材の空隙に空気などの気体成分が含まれている場合に特に好適にチーズ食材の含浸を行うことができる。また、含浸前の基食材の空隙などに液体成分が含まれており、該液体成分の沸点が、含浸するチーズ食材の沸点よりも低い沸点である場合にも好適にチーズ食材の含浸を行うことができる。
【0048】
たとえば、沸点の低い揮発成分を組織中に含む基食材に、チーズ食材を含浸する場合などには、基食材中の揮発成分が沸騰し、かつ、含浸するチーズ食材が沸騰しない圧力まで減圧処理することにより、食品から揮発成分が排出され、その後の昇圧によりチーズ食材が良好に含浸される。
このような(A)法および(B)法ではいずれも、含浸に用いたチーズ食材のうち、基食材に充填されなかった余剰分を、別の基食材を含浸する際に用いることができる。特に、基食材を減圧処理し(ドライバキューム)、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触し、次いで昇圧して行う(A)法では、余剰のチーズ食材中に基食材の成分が混入しにくいため、余剰のチーズ食材を好適に再利用することができる。
【0049】
本発明において、基食材にチーズ食材を含浸する工程では、適宜含浸条件を変更することにより、基食材へチーズ食材を所望の含浸程度で充填することができる。たとえば、基食材表面の開孔径が小さい場合、チーズ食材の粘度が比較的高い場合など、基食材へのチーズ食材の含浸が比較的困難な場合には、上記(A)法を採用するか、昇圧時に大気圧以上の加圧を行うかにより、基食材に多くのチーズ食材を容易に充填することができる。また上記いずれの方法においても、通常、含浸時のチーズ食材温度を高くすると、チーズ食材の粘度が低くなり、含浸を容易に行うことができる。さらに、含浸時のチーズ食材と基食材とに温度差をつけることによっても、含浸を容易にすることができ、この場合には、基食材とチーズ食材のどちらの温度が高くてもよい。
【0050】
このような、基食材にチーズ食材を含浸する工程では、上述した種々の食品成分を含有するチーズ食材を基食材に含浸することができるため、味付け、風味および食感の改良、殺菌消毒、薬効および栄養の添加、着色、各種添加剤の添加などを行うことができる。
このようにして得られた、チーズ食材を含浸した基食材は、必要に応じて表面のチーズ食材を除去してもよい。基食材表面のチーズ食材を充分に除去した場合には、得られるチーズ含有食品の表面性状を、原料である基食材と同等程度とすることができるため、個装することなく複数のチーズ含有食品を一括して梱包したり、食品を手でつまんで食べたりすることができる。
【0051】
本発明では、このようにして得られたチーズ含有食品を食用とする際には、そのまま用いてもよく、チーズ食材または他の食材でさらに表面をコーティングして用いてもよく、他素材と組み合わせて用いてもよく、焼く、揚げる、蒸す、電磁波処理などにより加熱して用いてもよい。
本発明では、基食材およびチーズ食材の種類およびその組成比、含浸方法および含浸条件などを適宜選択することによって、得られるチーズ含有食品に含まれるチーズ食材の量、該食品の硬度、食感などを所望の状態に制御することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質構造の空隙を有する基食材の空隙中にチーズを含有する食材が充填され、基食材およびチーズを含有する食材が一体化し、かつ、それぞれの食感が生かされた新規な食品、およびその効率的な製造方法を提供することができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、基食材中にチーズ食材を含浸させる工程は、次のいずれかの含浸方法による。
【0054】
含浸方法A(ドライバキューム)
チーズ食材を含浸する対象となる基食材を、バスケット(ステンレス製、円筒型、(株)プラセラム製)の底面に並べ、該バスケットの上にポリエチレン製の蓋をする。
次いで、このバスケットを内タンク(ステンレス製、円筒型、(株)プラセラム製)に入れ、内タンクを含浸装置((株)プラセラム製、商品名:FCOM)内に設置し、真空引き(ドライバキューム)を行い、含浸装置内を20kPaまで減圧して、減圧を継続して20kPaの減圧度を2分間保持し、チーズ食材を、基食材が完全に浸るまで内タンクに導入する。
【0055】
その後、エアパージして含浸装置内を大気圧まで昇圧し、内タンクを取り出す。
含浸方法B(ウェットバキューム)
チーズ食材を含浸する対象となる基食材を、バスケット((株)プラセラム製)の底面に並べ、該バスケットの上にポリエチレン製の蓋をする。
【0056】
このバスケットを、基食材を浸漬できる量のチーズ食材が入っている内タンク((株)プラセラム製)中に入れ、バスケット内の基食材が、チーズ食材に完全に浸る状態とする。
次いで、この内タンクを含浸装置((株)プラセラム製、商品名:FCOM)内に設置し、真空引き(ウェットバキューム)を行い、含浸装置内を20kPaまで減圧し、減圧を継続して20kPaの減圧度を5分間保持した。
【0057】
その後、エアパージして含浸装置内を大気圧まで昇圧し、内タンクを取り出す。
含浸方法C(ドライバキューム+加圧)
チーズ食材を含浸する対象となる基食材を、バスケット((株)プラセラム製)の底面に並べ、該バスケットの上にポリエチレン製の蓋をする。
【0058】
次いで、このバスケットを内タンク((株)プラセラム製)に入れ、内タンクを含浸装置((株)プラセラム製、商品名:FCOM)内に設置し、真空引き(ドライバキューム)を行い、含浸装置内を20kPaまで減圧して、減圧を継続して20kPaの減圧度を2分間保持し、チーズ食材を、基食材が完全に浸るまで内タンクに導入する。
【0059】
その後、エアパージして含浸装置内を大気圧まで昇圧し、引き続き空気にて加圧を行い、含浸装置内を0.5MPaまで加圧して10分間保持した後にエアパージし、含浸装置内を大気圧まで減圧して内タンクを取り出す。
含浸方法D(ウェットバキューム+加圧)
チーズ食材を含浸する対象となる基食材を、バスケット((株)プラセラム製)の底面に並べ、該バスケットの上にポリエチレン製の蓋をする。
【0060】
このバスケットを、基食材を浸漬できる量のチーズ食材が入っている内タンク((株)プラセラム製)中に入れ、バスケット内の基食材が、チーズ食材に完全に浸る状態とする。
次いで、この内タンクを含浸装置((株)プラセラム製、商品名:FCOM)内に設置し、真空引き(ウェットバキューム)を行い、含浸装置内を20kPaまで減圧して、減圧を継続して20kPaの減圧度を5分間保持した。
【0061】
その後、エアパージして含浸装置内を大気圧まで昇圧し、引き続き空気にて加圧を行い、含浸装置内を0.5MPaまで加圧して10分間保持した後にエアパージし、含浸装置内を大気圧まで減圧して内タンクを取り出す。
【0062】
【実施例1】
チーズ含有菓子1〜8の製造
基食材a(商品名「クラコット プレーン」(三笠フーズ (株)製))を用い、チーズ食材として▲1▼:商品名「チーズソース」(森永乳業(株)製)または▲2▼:商品名「アルチザンレーヴ ゴルゴンゾーラ入りチーズペースト」(森永乳業(株)製)を用いて、表1に示す含浸方法により、含浸温度44℃で基食材にチーズ食材を含浸させ、キッチンペーパーで表面の余分な含浸液(チーズ食材)を軽く拭き取り、チーズ含有菓子1〜8を得た。
【0063】
なお、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで、含浸温度(44℃)で測定したチーズ食材▲1▼の粘度は81,000センチポイズ、チーズ食材▲2▼の粘度は80,000センチポイズであった。
得られたチーズ含有菓子について、パネラー10名によりチーズ風味の強弱について以下の5段階で評価した。評価結果を表1に併せて示す。
・チーズ風味の強弱評価基準
5:非常に強い味
【0064】
4:強い味
3:やや強い味
2:弱い味
1:非常に弱い味
また、含浸前の基食材と、含浸後に得られたチーズ含有菓子についての、重量、密度、密度変化率および空隙率を表1に併せて示す。なお、本願実施例において、空隙率は、測定対象物の体積および重量より、測定対象物の空隙以外の比重を1、空隙内の気体の比重を0として求めた割合である。
【0065】
【表1】
【0066】
【実施例2】
チーズ含有菓子9〜16の製造
実施例1において、基食材aを用いる代わりに、基食材b(商品名「森永クッキー ムーンライト」(森永製菓 (株)製))を用いたことの他は、実施例1と同様にして、表2に示す含浸方法によりチーズ含浸菓子9〜16を得た。
【0067】
得られたチーズ含有菓子について、実施例1と同様にしてチーズ風味の強弱を5段階で評価した。評価結果を表2に併せて示す。
また、含浸前の基食材と、含浸後に得られたチーズ含有菓子についての、重量、密度、密度変化率および空隙率を表2に併せて示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【実施例3〜8】
実施例1において、基食材aを用いる代わりに、表3または表4に示す基食材を用いたことの他は、実施例1と同様にして、表3または表4に示す含浸方法によりチーズ含浸菓子17〜64を得た。
得られたチーズ含有菓子について、実施例1と同様にしてチーズ風味の強弱を5段階で評価した。評価結果を表3または表4に併せて示す。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【実施例9】
チーズ含有ホタテ1〜4の製造
基食材として、ホタテ貝柱乾物(藤和乾物(株)製))を用い、チーズ食材として、商品名「チーズソースマイルド」(森永乳業(株)製)を用いて、表5に示す含浸方法により、含浸温度44℃で基食材にチーズ食材を含浸させ、キッチンペーパーで表面の余分な含浸液(チーズ食材)を軽く拭き取り、チーズ含有ホタテ1〜4を得た。得られたチーズ含有ホタテの全体および断面の写真を図1に示す。チーズ含有ホタテの外観および断面を観察したところ、いずれも内部までチーズ食材が含浸されている様子が確認された。
【0073】
なお、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで、含浸温度(44℃)で測定したチーズ食材(「チーズソースマイルド」(森永乳業(株)製))の粘度は、35,000センチポイズであった。
得られたチーズ含有ホタテについて、実施例1と同様にしてチーズ風味の強弱を5段階で評価した。評価結果を表5に併せて示す。
【0074】
また、含浸前の基食材と、含浸後に得られたチーズ含有ホタテについての、重量、密度、密度変化率および空隙率を表5に併せて示す。
【0075】
【比較例1】
基食材(ホタテ貝柱乾物(藤和乾物(株)製))を、バスケット(ステンレス製、円筒型、(株)プラセラム製)の底面に並べ、該バスケットの上にポリエチレン製の蓋をした。
次いで、44℃に保温され、基食材が浸漬される充分量のチーズ食材(商品名「チーズソースマイルド」(森永乳業(株)製))が入っている内タンク(ステンレス製、円筒型、(株)プラセラム製)中に、バスケットを入れて、基食材がチーズ食材に浸漬された状態とし、1時間保持した。その後、基食材を取り出し、キッチンペーパーで表面の余分な含浸液(チーズ食材)を軽く拭き取り、チーズ含有ホタテ5を得た。得られたチーズ含有ホタテの全体および断面の写真を図1に示す。チーズ含有ホタテ5の外観および断面を観察したところ、表面の溝部に若干のチーズの付着があるのみであって、内部へのチーズ食材の含浸は見られなかった。
【0076】
得られたチーズ含有ホタテ5について、実施例1と同様にしてチーズ風味の強弱を5段階で評価したが、チーズの味はほとんど感じられなかった。
また、含浸前の基食材と、含浸後に得られたチーズ含有ホタテについての、重量、密度、密度変化率および空隙率を表5に併せて示す。
【0077】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例9および比較例1で得られたチーズ含有ホタテの全体および断面の写真である。
Claims (12)
- 多孔質構造の空隙を有する基食材の、空隙部の少なくとも一部が、チーズ食材で充填されてなることを特徴とするチーズ含有食品。
- 基食材が、含水率が40重量%以下の食材であることを特徴とする請求項1に記載のチーズ含有食品。
- 基食材が、穀類を主成分とし、加熱して得られる食材であることを特徴とする請求項1または2に記載のチーズ含有食品。
- 基食材が、魚介類を主成分とした食材であることを特徴とする請求項1または2に記載のチーズ含有食品。
- チーズ食材が、ナチュラルチーズおよび/またはプロセスチーズを含有する食材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチーズ含有食品。
- 基食材の空隙内部にチーズ食材が充填されたチーズ含有食品を製造する方法であって、
少なくとも一部に多孔質構造の空隙を有する基食材を、減圧処理した後または減圧状態で、チーズ食材と接触させて、基食材中にチーズを含有する食品を含浸させる工程を有することを特徴とするチーズ含有食品の製造方法。 - 基食材が、含水率が40重量%以下の食材であることを特徴とする請求項6に記載のチーズ含有食品の製造方法。
- 基食材が、穀類を主成分とし、加熱して得られる食材であることを特徴とする請求項6または7に記載のチーズ含有食品の製造方法。
- 基食材が、魚介類を主成分とした食材であることを特徴とする請求項6または7に記載のチーズ含有食品の製造方法。
- チーズ食材が、含浸時の温度条件において、BROOKFIELD粘度計を用い、回転数1.5rpmで測定した粘度が300,000センチポイズ以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のチーズ含有食品の製造方法。
- 含浸を、基食材を減圧処理し、減圧状態に保ちながらチーズ食材と接触し、減圧処理し、次いで昇圧して行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のチーズ含有食品の製造方法。
- 含浸を、基食材とチーズ食材とを接触し、減圧処理し、次いで昇圧して行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のチーズ含有食品の製造方法。
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