JP2002080313A - 種子消毒用粒状水和剤及びその製法、並びに種子消毒用薬液及びその製法 - Google Patents

種子消毒用粒状水和剤及びその製法、並びに種子消毒用薬液及びその製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉立ちがなく、少量の水中でも均一に分散
し、高濃度希釈液を容易に調製しうる種子消毒用粒状水
和剤及びその製法、、並びに種子消毒用薬液及びその製
法を提供する。 【解決手段】 粒状水和剤の組成が農薬活性成分として
ペフラゾエートを含み、さらに界面活性剤、及び増量剤
とを含み、この粒状水和剤の水和性を3分以内、より好
ましくは2分以内とし、かつ製剤の見掛け比重を0.4
以上となるように製剤化することとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、以下ペンタ−4−
エニル=N−フルフリル−N−イミダゾール−1−イル
カルボニル−DL−ホモアラニナート(以下「ペフラゾ
エート」という。)を含有する種子消毒用の粒状水和剤
及びその製法、並びに種子消毒用薬液及びその製法に関
する。特に、粒状水和剤を水で希釈して、高濃度希釈液
を調製する時、粉立ちも少なく、水によく分散する種子
消毒用粒状水和剤に関する。
【0002】
【従来の技術】種子消毒は、農薬活性成分、界面活性剤
を有機溶剤にとかした乳剤や、農薬活性成分、界面活性
剤、クレーなどの増量剤からなる水和剤を調製し、これ
を水で20〜200倍に希釈した希釈液としてこれに種
籾を浸漬する方法が一般的に行われている。
【0003】一方、最近では大量の種子を省力的に消毒
する方法として水和剤を3〜20倍に希釈した希釈液、
いわゆる高濃度希釈液を乾燥種籾重量の3%相当量を種
子消毒用吹き付け装置を用いて種子に吹き付ける方法が
普及してきている。この消毒方法に使用する水和剤に関
する研究として、例えば、種子病害防除用活性成分とし
てペンタ−4−エニル=N−フルフリル−N−イミダゾ
ール−1−イルカルボニル−DL−ホモアラニナートを
含む種子吹き付け用水和剤であり、低倍量の水で高濃度
希釈液を作る時に生ずる沈殿物が弱い撹拌力で容易に水
に再分散させることのできる水和剤に関する特開平7−
233015号公報記載の技術が知られている。また、
種子消毒用農薬活性成分を含む種子消毒用水和剤であっ
て、この水和剤を水で希釈して特に高濃度希釈液とした
時、いったん沈殿した固体沈殿物を簡単な撹拌又は浸透
で水によく再分散できる種子消毒用水和剤に関する特開
平7−252103号公報記載の技術が知られている。
【0004】また、この吹き付け装置を用いた種子消毒
のための高濃度薬液を調製するには水和剤が微粉状であ
るため粉立ちが著しく、作業者の薬剤による被爆などの
安全性が問題となっており、これらの問題のない種子消
毒剤として、粒状水和剤の開発が進められている。一
方、本発明で用いるのと同様な「粒状水和剤」は、剤型
としては既に、地上散布用としては公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中で
本発明は、粉立ちがなく、少量の水中でも均一に分散
し、高濃度希釈液を容易に調製しうる種子消毒用粒状水
和剤及びその製法、並びに種子消毒用薬液及びその製法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明らは、これらの課
題を解決すべく鋭意検討した。その結果、従来種子消毒
剤として使用してきた水和剤を粒状に製剤化して、かつ
水和性と見掛け比重を特定の範囲とすることで前記した
課題を解決することを見い出した。より詳しくは、粒状
水和剤の組成が農薬活性成分、界面活性剤、及び増量剤
とからなり、この粒状水和剤の水和性を3分以内、より
好ましくは2分以内とし、かつ製剤の見掛け比重を0.
4以上となるように製剤化した種子消毒用粒状水和剤が
前記の課題を解決するうえで極めて有用であるとの知見
を得た。そして、この種子消毒用の粒状水和剤は、水で
3〜20倍に希釈して種子消毒薬液とし、種子消毒用の
吹き付け装置を用いて常法により種子に吹き付ければよ
い。このとき、種子消毒薬液の調製時の粒状水和剤の容
量は水和剤の場合に比べて非常に小さく、容易に水にな
じみ、分散させられ扱い易いと同時に粉立ちもない。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る種子消毒用
粒状水和剤及びその製法、並びに種子消毒用薬液及びそ
の製法について、その実施の形態をさらに詳細に説明す
る。本発明の種子消毒用粒状水和剤は、農薬活性成分と
して以下の化学式で表わされるペフラゾエートを含む。
【0008】
【化1】
【0009】さらに、本発明の種子消毒用粒状水和剤
は、一般に種子消毒に用いられる他の農薬活性成分を併
用しても何ら問題ない。そのような農薬活性成分は、稲
馬鹿苗病、稲ごま葉枯病などの種子病害や種子消毒によ
る害虫防除に用いられる農薬活性成分であればよく、こ
れらの1種又は2種以上を併用しても何ら問題ない。こ
れらの農薬活性成分としては、例えば次のようなものが
挙げられる。
【0010】種子消毒用殺菌成分 ベノミル、チアベンダゾール、チオファネートメチル、
チウラム、プロクロラズトリフミゾール、イプコナゾー
ル、塩基性塩化銅、フルジオキソニル、水酸化第二銅な
ど。種子消毒用殺虫成分 フェニトロチオンなど。これらの農薬活性成分の製剤中
への添加量は特に制限されないが、一般的には製剤全量
の1〜90重量%、好ましくは5〜70重量%である。
【0011】なお、これらの農薬活性成分名は「農薬ハ
ンドブック」1998年版(1998年12月15日、
社団法人 日本植物防疫協会発行)に記載の化合物であ
る。また、本発明に使用する界面活性剤としては、非イ
オン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性
界面活性剤、両性界面活性剤があり、具体的には次のも
のを使用することができる。
【0012】非イオン性界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンス
チリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレー
ト、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポ
リオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオ
キシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー
など。
【0013】陰イオン性界面活性剤 リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸
塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフ
ェニルエーテルサルフェートなど。
【0014】陽イオン性界面活性剤 アルキルアミン塩など。両性界面活性剤 第4級アンモニウム塩アルキルベタイン、アミンオキサ
イドなど。
【0015】なお、本発明で使用できる界面活性剤は、
これらに限定されるものではなく、これらの1種又は2
種以上を併用しても何ら問題ない。また、これらの界面
活性剤の添加量は特に限定されないが、水和性を3分以
内とするために、製剤中に0.1重量%以上添加するこ
とが望ましく、また30重量%を超えて添加しても水和
性の改善効果が認められないので、製剤中に0.1〜3
0重量%が望ましい。
【0016】本発明に使用できる増量剤は、無機担体又
は有機担体のいずれでもよく例えば、次のようなものが
挙げられる。無機担体 クレー、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、炭酸
ナトリウム、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪
石、ケイソウ土、軽石、ゼオライト、バーミキュライ
ト、塩化カリウム、尿素、ホワイトカーボン、硫酸アン
モニウム、硫酸ナトリウム、パーライト、硫酸マグネシ
ウムなど。有機担体 グルコース、マルトース、シュークロース、ラクトース
など。これらの無機担体又は有機担体は1種又は2種以
上を併用することができるが、本発明では、見掛け比重
が0.4以上になるようにすることが重要である。ま
た、無機担体と有機担体を併用してもよい。
【0017】また、補助剤として、粘結剤、防腐防かび
剤、溶剤、農薬活性成分の安定化剤として酸化防止剤、
紫外線防止剤、結晶析出防止剤などを各々必要に応じて
添加してもよいが、ここに例示した補助剤に限定される
ものではない。本発明に使用できる粘結剤としては、特
に限定されるものではないが、例えば、次のようなもの
を挙げることができる。澱粉、デキストリン、セルロー
ス、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプ
ン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アン
モニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、
グァーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キ
サンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングルコー
ル、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアク
リル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどを挙げる
ことができる。
【0018】これらの1種又は2種以上を併用すること
ができる。また、これらの粘結剤の添加量は特に限定さ
れないが、効果、経済性より製剤中に0.1〜40重量
%が望ましい。
【0019】また、本発明では、低融点の有効成分を液
状化する目的あるいは効果増強などを目的として溶剤を
使用することができる。本発明に使用できる溶剤として
は、アジピン酸イソブチル、アジピン酸ジオレイル、ア
ジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジエチルヘキシル、フ
タル酸ジデシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、
トリメット酸トリイソデシルなどの多塩基酸アルコール
エステル、2−エチルヘキサン酸セチル、ヤシ脂肪酸セ
チル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイ
ン酸メチル、オレイン酸オクチルなどの脂肪酸アルコー
ルエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモ
ノオレエートなどの多価アルコール脂肪酸エステル、オ
クチルアルコール、ラウリルアルコールなどの高級アル
コール、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン、メチ
ルナフタレン、1−フェニル−1−キシリルエタン、1
−キシリル−1,3−ジフェニルブタンなどの芳香族炭
化水素、などがあり、これらの1種又は2種以上を併用
することができる。これらの使用量は特に限定されない
が1〜20重量%が好ましい。
【0020】また、本発明の粒状水和剤は、単に粒状水
和剤としただけでは所期の目的を達成することはできな
い。すなわちまず、水和性(「農薬科学用語辞典」社団
法人日本植物防疫協会 平成6年6月15日発行第14
0頁)を3分以内となるように、調整することが必要で
ある。そして、製剤の見掛け比重を0.4以上とする必
要がある。なお、製剤の見掛け比重は0.4以上であれ
ば特に問題はないが、有効成分、界面活性剤、固体担
体、その他の補助剤の個々の見掛け比重の点から、製剤
の見掛け比重は一般的に0.4〜2.0となる。この粒
状水和剤の見掛け比重が0.4よりも小さくなると水で
の希釈時に薬剤の容量が大きくなり水への水和性、そし
て分散に時間がかかり、作業性に劣る。また、水和性が
3分を超えても水への分散に時間がかかり、作業性が悪
くなる。これらの水和性、分散性は界面活性剤の種類、
添加量を適宜選択することにより調整でき、また固体担
体、その他補助剤の種類、添加量を適宜選択することが
見掛け比重を0.4以上に調整することができる。な
お、水和性、及び見掛け比重は後述する試験例について
説明した方法により測定した。
【0021】種子消毒用粒状水和剤の調製法 本発明に係る種子消毒用粒状水和剤の調製法は特に限定
されないが次の方法によって調製することができる。例
えば、前記したごとく農薬活性成分、界面活性剤、増量
剤を混合し、さらに必要があれば粘結剤、防腐防かび
剤、農薬活性成分安定化剤などと混合して、加水混練
後、押し出し造粒機にて造粒し、乾燥、整粒すればよ
い。また、加水しながら転動造粒機にて造粒し乾燥、整
粒してもよい。さらに水を添加する前の粉体混合物を水
に分散させ噴霧造粒機により造粒してもよく、また、粉
体混合物を流動させながら粘結剤溶液あるいは農薬活性
成分などをスプレーして造粒する流動層造粒機により、
造粒してもよい。また、本発明の種子消毒用粒状水和剤
を得るには、界面活性剤の使用により、分散性機能を付
与して、水和性を3分以内、好ましくは2分以内になる
ように調整し、比重の異なる増量剤などを使用して粒状
水和剤の見掛け比重を0.4以上になるように調整すれ
ばよい。
【0022】
【実施例】次に、実施例で本発明をさらに具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以
下に部とあるのはすべて重量部を意味する。
【0023】実施例1 ペフラゾエート20部、ポリオキシエチレンスチリルフ
ェニルエーテル5部、リグニンスルホン酸ナトリウム5
部、乳糖15部、ホワイトカーボン10部、クレー45
部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合す
る。その後、この混合物100部に対し水10部を添加
し、双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練混
合する。次いで0.8mm径のスクリーンを付けた押し
出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流
動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)にて乾燥篩別
し、粒径0.355mm〜1.18mmの粒状水和剤を
得た。得られた粒状水和剤の水和性は58秒、見掛け比
重は0.55、粉立ち性は1秒であった。
【0024】実施例2 ペフラゾエート20部、ポリオキシエチレンアリールフ
ェニルエーテルホスフェート5部、ドデシルベンゼンゼ
ンスルホン酸ナトリウム10部、ホワイトカーボン10
部、珪石54部、ベントナイト1部をハンマーミルで混
合する。その後、この混合物100部に対し水12部を
添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次いで0.8m
m径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さ
らに流動層乾燥機で乾燥、篩別し粒径0.355〜1.
18mmの粒状水和剤を得た。得られた粒状水和剤の水
和は14秒、見掛け比重は0.66、粉立ち性は1秒で
あった。
【0025】実施例3 実施例1のリグニンスルホン酸ナトリウム5部を、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム10部に、乳糖15
部をショ糖10部にかえた以外は、実施例1と同様で、
粒径0.355〜1.18mmの粒状水和剤を得た。得
られた粒状水和剤の水和性は36秒、見掛け比重は0.
54、粉立ち性は2秒であった。
【0026】実施例4 ペフラゾエート20部、チウラム20部、ポリオキシエ
チレンスチリルフェニルエーテル5部、β−ナフタレン
スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩2部、ホワ
イトカーボン15部、クレー38部をハンマーミルで混
合する。その後この混合物100部に対して水13部を
添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次いで0.8m
mのスクリーンを付けた押し出し造粒機にて造粒し、さ
らに流動層乾燥機で乾燥、篩別し粒径0.355〜1.
18mmの粒状水和剤を得た。得られた粒状水和剤の水
和性は107秒、見掛け比重は0.42、粉立ち性は3
秒であった。
【0027】実施例5 実施例4のホワイトカーボン15部とクレー38部を、
ホワイトカーボン10部、乳糖2部、珪石41部におき
かえた以外は、実施例4と同様で粒径0.355〜1.
18mmの粒状水和剤を得た。得られた粒状水和剤の水
和性は38秒、見掛け比重は0.69粉立ち性は1秒で
あった。
【0028】比較例1 ペフラゾエート20部、ポリオキシエチレンスチリルフ
ェニルエーテル5部、リグニンスルホン酸ナトリウム5
部、乳糖15部、ホワイトカーボン10部、クレー45
部をハンマーミルで混合し水和剤を得た。得られた水和
剤の水和性は181秒、見掛け比重は0.26、粉立ち
性は21秒であった。
【0029】比較例2 ペフラゾエート20部、ポリオキシエチレンアリールフ
ェニルエーテル5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム10部、珪石54部、ホワイトカーボン10部、
ベントナイト1部をハンマーミルで混合し、水和剤を得
た。得られた水和剤の水和性は206秒、見掛け比重は
0.25、粉立ち性は20秒であった。
【0030】比較例3 ペフラゾエート20部、チウラム20部、ポリオキシエ
チレンスチリルフェニルエーテル5部、β−ナフタレン
スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩2部、ホワイ
トカーボン15部、クレー部38部をハンマーミルで混
合し水和剤を得た。得られた水和剤の水和性は218
秒、見掛け比重は0.20、粉立ち性は25秒であっ
た。
【0031】比較例4 比較例3のホワイトカーボン15部とクレー38部を、
ホワイトカーボン10部、乳糖2部、珪石41部におき
かえた以外は、比較例3と同様にして水和剤を得た。得
られた水和剤の水和性は139秒、見掛け比重0.2
7、粉立ち性17秒であった。
【0032】比較例5 実施例4のホワイトカーボン15部とクレー38部を、
ホワイトカーボン18部、珪石15部、クレー20部に
おきかえた以外は、実施例4と同様にして、粒径0.3
55〜1.18mmの粒状水和剤を得た。得られた粒状
水和剤の水和性は192秒、見掛け比重は035、粉立
ち性は7秒であった。
【0033】ここで、上記水和性、見掛け比重、粉立ち
性の試験方法について、以下の試験例1〜3の記載によ
って説明する。また、これらに加えて、試験例4及び試
験例5によって、さらに本発明の有用性を明らかにす
る。
【0034】試験例1(水和性) この試験では、500mlビーカーに20℃の水(以下
の*1に説明)200mlを入れ、これに試料5gを水
面上約10cmの位置よりうすくひろがるように静かに
落とす。試料を落とし終わってから水面に没するまでの
時間(秒)を測定する。この試験結果は、前述したが、
表1にもまとめて示す。なお、本方法は公定検査法と同
じ方法である。
【0035】*1 水:硬度3度のものを使用する。 硬度3度水の調整法 炭酸カルシウム0.3077g、酸化マグネシウム0.
092gを少量の希 塩酸に溶かした後、砂
浴上で蒸発乾固して塩酸を除去し、水で10リット
ルに希釈する。
【0036】試験例2(見掛け比重) この試験では、試料20gを底面が平で座りのよい10
0ml容量ガラス製メスシリンダー(重量が127±5
g、5〜100mlまで1mlごとに目盛が刻まれてい
て0〜100ml標線までの距離が15.5〜16.5
mmであること)に流し込み、親指と人さし指でシリン
ダー上部をはさみ、1秒間で指定の高さ(下から25±
2mm)まで持ち上げ、次の1秒の初めに親指と人さし
指をすばやくはなし、シリンダーを厚さ2cmの木板
(杉板)の上に落下させる。このようにしてシリンダー
を2秒に1回の割合で50回落下させる。シリンダーを
持ち上げ指を放す直前に角度にして約10°シリンダー
を回す。こうすることにより、試料層が平に収まり体積
が読み取り易くなる。50回落下させた後、直ちにシリ
ンダーを目の高さに持ち上げ体積をml単位で読み取る
(Vml)。見掛け比重(D)は、次式を用いて計算す
る。その結果は、前述したとおりであるが、表1にもま
とめて示す。 D=20/V
【0037】試験例3(粉立ち性) この試験では、試料200gを1リットル容量の大きさ
のマヨネーズ瓶中に入れ、ふたをして激しく上下に20
回振とうし静置する。その後、浮遊性粒子がほとんど沈
降するのを内眼で確かめ、それまでの時間を測定する。
この試験結果は、前述したとおりであるが、表1にもま
とめて示す。試験結果から了解されるように、実施例1
〜5の粉立ち性は極端に小さくなっている。
【0038】試験例4(崩壊性試験) この試験では、100ml容量の有栓シリンダーに20
℃の3度の硬水95mlを入れ、粒状水和剤5gを投入
し、1分後にシリンダーを転倒し、すべての粒が崩壊す
るまでの転倒回数を計測した。その結果は、表1のとお
りである。結果から了解されるように、実施例1〜5の
崩壊性は、比較例5に比べて良好であり、すばやく所定
の濃度に調整できる。
【0039】
【表1】
【0040】試験例5(イネ馬鹿苗病防除効果試験) イネ馬鹿苗病自然感染罹病籾(品種「日本晴」)の乾燥
種籾150gに対し実施例に準じて調製した粒状水和剤
を水で所定の濃度になるように希釈した薬液あるいは市
販薬剤を水で希釈した薬液のそれぞれ4.5ml(種籾
重量の3%相当量)を種籾に均一に付着するようにエア
ースプレーガン(F88型 明治機械製作所製)を用い
て吹き付け処理した。
【0041】処理した種籾を15℃で6日間浸種し、さ
らに30℃で1晩催芽した。この種籾150g中の18
g量を、通常の育苗箱(縦×横×高さ=60cm×30
cm×3cm)の1/10の大きさの育苗箱(縦×横×
高さ=12cm×15cm×3cm)に播種し直ちに覆
土した。覆土後は32℃で2日間出芽処理し、出芽後2
日間は温室内の寒冷紗で遮光し、その後は寒冷紗を除去
し通常の栽培管理をした。
【0042】なお、育苗培土には市販のクミアイ粒状培
土D(呉羽化学工業株式会社製)を使用した。播種30
日後に育苗箱の全苗について徒長、枯死などのイネ馬鹿
苗病状を示した発病苗数と無病徴の苗数について調査し
下記式によって発病苗率(%)を求め防除価(%)を求
めた。また薬害については出芽程度、生育程度などにつ
いて観察し、下記の薬害程度で示した。 発病苗率(%)=(発病苗数)/(総調査苗数)×10
0 防除価(%)={1−(処理区の発病苗率)/(無処理
区の発病苗率)}×100
【0043】薬害程度 −:無 ±:微 +:小 ++:中 +++:大 この結果を表2に示す。この結果から了解されるよう
に、本発明によれば、優れた種子消毒活性を期待するこ
とができる。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明を実施すると、次のような効果が
もたらされる。すなわち、第1に本発明は水和性と見掛
け比重を特定の範囲に制限することにより、粉立ちを極
端に小さくすることができる。したがって、種子消毒用
の薬液を調製する作業がやり易くかつ人にかかることも
なく安全に行うことができる利点がある。第2に水和性
を3分以内とすることにより、種子消毒用の高濃度希釈
液を、たとえ大量に調整する必要があっても、例えば3
〜20倍の希釈倍率のいずれの濃度に調整する場合でも
すばやく調整することができる。第3に、使用できる種
子消毒用の農薬活性成分は特定の種類のものに限定され
ることはなく、かつ実際に使用しても、本来有する種子
消毒活性をいかんなく発揮するものである。これらのこ
とから、本発明に係る種子消毒用粒状水和剤は、新しい
種子消毒用の製剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 47/14 A01N 47/14 A (72)発明者 米村 伸二 神奈川県厚木市岡田1−8−11−205 Fターム(参考) 2B022 EA10 4H011 AA01 BA05 BA06 BB09 BB13 BC07 BC10 BC18 BC19 BC20 DA15 DC05 DC06 DC08 DD03 DH02 DH03 DH10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農薬活性成分としてペンタ−4−エニル
    =N−フルフリル−N−イミダゾール−1−イルカルボ
    ニル−DL−ホモアラニナート、界面活性剤、及び固体
    担体からなる粒状水和剤であって、該粒状水和剤の水和
    性が3分以内でかつ見掛け比重が0.4以上に調整され
    ていることを特徴とする種子消毒用粒状水和剤。
  2. 【請求項2】 農薬活性成分としてペンタ−4−エニル
    =N−フルフリル−N−イミダゾール−1−イルカルボ
    ニル−DL−ホモアラニナート、界面活性剤、固体担
    体、及び必要により他の補助成分からなる粒状水和剤で
    あって、該粒状水和剤の水和性が3分以内でかつ見掛け
    比重が0.4以上に調整されていることを特徴とする種
    子消毒用粒状水和剤。
  3. 【請求項3】 水和性が2分以内に調整されていること
    を特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の種子
    消毒用粒状水和剤。
  4. 【請求項4】 界面活性剤、固体担体、及び必要により
    添加した他の補助剤により水和性が3分以内、又は2分
    以内、見掛け比重が0.4以上に調整されていることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の種子消毒用
    粒状水和剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の種子消
    毒用粒状水和剤を水で希釈してなる種子消毒用薬液。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の種子消
    毒用粒状水和剤を水で3〜20倍に希釈してなる高濃度
    希釈型の吹き付け用の種子消毒用薬液。
  7. 【請求項7】 農薬活性成分としてペンタ−4−エニル
    =N−フルフリル−N−イミダゾール−1−イルカルボ
    ニル−DL−ホモアラニナート、界面活性剤、及び固体
    担体を混合してなる粒状水和剤であって、これらの組成
    を用いて該粒状水和剤の水和性が3分以内でかつ見掛け
    比重を0.4以上に調整することを特徴とする種子消毒
    用粒状水和剤の製法。
  8. 【請求項8】 農薬活性成分としてペンタ−4−エニル
    =N−フルフリル−N−イミダゾール−1−イルカルボ
    ニル−DL−ホモアラニナート、界面活性剤、固体担
    体、及び必要により他の補助成分を混合してなる粒状水
    和剤であって、これらの組成を用いて該粒状水和剤の水
    和性が3分以内でかつ見掛け比重を0.4以上に調整す
    ることを特徴とする種子消毒用粒状水和剤の製法。
  9. 【請求項9】 水和性を2分以内に調整することを特徴
    とする請求項7又は8のいずれかに記載の種子消毒用粒
    状水和剤の製法。
  10. 【請求項10】 界面活性剤、固体担体、必要により添
    加した他の補助剤により水和性を3分以内又は2分以
    内、見掛け比重を0.4以上に調整することを特徴とす
    る請求項7〜9のいずれかに記載の種子消毒用粒状水和
    剤の製法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜4のいずれかに記載の種子
    消毒用粒状水和剤を水で使用濃度に希釈する種子消毒用
    薬液の製法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜4のいずれかに記載の種子
    消毒用粒状水和剤を水で3〜20倍に希釈する高濃度希
    釈型の吹き付け用の種子消毒用薬液の製法。
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