JP2002020565A - 難燃性樹脂組成物、その製造方法および難燃性成形品 - Google Patents
難燃性樹脂組成物、その製造方法および難燃性成形品Info
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Abstract
性樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)ポリスチレン系樹脂55〜85容
量%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃
/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可
塑性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物であっ
て、電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において、
前記(B)成分がマトリックス相(連続相)、(A)成
分が分散相となる特異な相構造を形成している難燃性樹
脂組成物。
Description
すると共に、耐衝撃性および耐熱性に優れた難燃性樹脂
組成物、その製造方法および難燃性成形品に関するもの
である。
は、すぐれた機械的性質、成形加工性および電気絶縁性
などの特性を生かして、従来から家庭電気機器、OA機
器および自動車などの各部品を始めとする広範な分野で
使用されている。
っては安全性の問題から難燃性が必要になり、この難燃
化に対して種々の技術が提案されてきた。
化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤と酸化
アンチモンを樹脂に配合して難燃化する方法が一般的に
採用されている。しかしながら、この方法は、燃焼の際
の発煙量が多いことなどの問題点を有していた。
燃剤の欠点を克服するために、ハロゲンを全く含まない
難燃性樹脂または難燃性樹脂組成物の実現が強く望まれ
ている。
塑性樹脂を難燃化する方法としては、例えば特開平2−
115262号公報に、ポリカーボネート樹脂とABS
樹脂とからなる樹脂組成物に対し、燐酸エステルを配合
する方法が提案されている。
公報に記載の難燃性樹脂組成物では、高度な難燃性レベ
ルを達成するために、ポリカーボネート樹脂あるいは燐
酸エステルを多量に添加しなければならず、この結果と
して流動性や耐熱性の低下や、衝撃強度の厚み依存性の
増加などが招かれるばかりか、組成物の滞留安定性に劣
るため、リサイクル使用が困難であるという問題点があ
った。
来技術における問題点の解決を課題として検討した結
果、達成されたものである。
性を有すると共に、耐衝撃性および耐熱性に優れた難燃
性樹脂組成物、その製造方法および難燃性成形品を提供
することにある。
決すべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂と、特定の
加熱重量減量特性を有する熱可塑性樹脂とを、特定の割
合で配合して得られる樹脂組成物において、その樹脂相
分離構造を制御することにより、優れた難燃性が付与で
きることに加え、かつ機械特性、耐衝撃性、耐熱性に優
れることを見い出したものである。
(A)ポリスチレン系樹脂55〜85容量%および
(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)によ
る600℃での重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂4
5〜15容量%からなる樹脂組成物であって、かつ電子
顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において、前記
(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)によ
る600℃での重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂が
マトリックス相(連続相)、前記(A)ポリスチレン系
樹脂が分散相となる相構造を形成していることを特徴と
する。
は、前記樹脂組成物100重量部に対して、(C)非ハ
ロゲン系難燃剤0.1〜50重量部をさらに含有してな
ること、前記(C)非ハロゲン系難燃剤が、後述する一
般式(1)で表される芳香族ホスフェートであること、
および前記樹脂組成物100重量部に対して、(D)フ
ッ素系樹脂またはシリコーン系化合物0.01〜3重量
部をさらに含有してなること、(A)ポリスチレン系樹
脂がABS樹脂であり、(B)熱可塑性樹脂がポリカー
ボネート樹脂であり、電子顕微鏡で観察する際の観察画
面の大きさが10μm×10μmであることが好まし
い。
法は、(A)ポリスチレン系樹脂および(B)空気中で
の加熱試験(昇温速度40℃/分)による600℃での
重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂を溶融混合するに
際し、前記(A)ポリスチレン系樹脂および(B)空気
中での加熱試験(昇温速度40℃/分)による600℃
での重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂の各溶融粘度
を、後述する一般式(1)を満たす溶融粘度比に制御す
ることを特徴とする。
難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とし、特に
機械機構部品、電気電子部品または自動車部品として有
用である。
物、その製造方法および難燃性成形品について具体的に
説明する。
脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリ
ル共重合体およびゴム変性スチレン系樹脂などが挙げら
れる。
ニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が分散してなるグラフト重合体を意味し、ゴム状重
合体の存在下に芳香族ビニル系単量体および必要に応じ
てこれと共重合可能なビニル系単量体を加えた単量体混
合物を、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合また
は乳化重合に供することにより得られるポリマである。
例としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹
脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−ス
チレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル
−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが
挙げられる。
は、スチレン系単量体を含有する(共)重合体がゴム質
重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン系
単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラ
フトした構造をとったものを含むものである。
に芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有する単量
体または単量体混合物95〜20重量部をグラフト重合
して得られる(a)グラフト(共)重合体5〜100重
量%と、芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有す
る単量体または単量体混合物を重合して得られる(b)
ビニル系(共)重合体0〜95重量%とからなるものが
好適である。
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、お
よびポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系
三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエ
ンまたはブタジエン共重合体が好ましく使用される。
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
μm、特に0.2〜0.55μmのものが、耐衝撃性に
優れることから好ましい。なかでも、重量平均粒子径が
0.20〜0.25μmのものと、重量平均粒子径が
0.50〜0.65μmのものとの重量比が、90:1
0〜60:40の範囲にあるゴム質重合体の使用が、耐
衝撃性および薄肉成形品の落錘衝撃が著しく優れること
から好ましい。
ubber Age Vol.88p.484〜490
(1960)by E.Schmidt, P.H.B
iddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(ア
ルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブ
タジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化し
た重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率
より累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定
することができる。
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチル
スチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ
るが、特にスチレンが好ましく使用される。
は、一層の耐衝撃性向上を目的とする場合にはシアン化
ビニル系単量体が、靭性、色調の向上を目的目的とする
場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、それ
ぞれ好ましく用いられる。シアン化ビニル系単量体とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタク
リロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリ
ルが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル
系単量体としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメ
チル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによ
るエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸
メチルが好ましく使用される。
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用する
こともできる。
る単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性
の観点から、芳香族ビニル系単量体を20重量%以上、
さらに好ましくは50重量%以上含有することが好まし
い。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂
組成物の成形加工性の観点から、60重量%以下、さら
に50重量%以下であることが好ましい。また、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、
靱性、対衝撃性の観点から、80重量%以下、特に75
重量%以下であることが好ましい。単量体または単量体
混合物における芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル
系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の
配合量の総和は95〜20重量%、さらに好ましくは9
0〜30重量の範囲である。
ム質重合体と単量体混合物との割合は、全グラフト共重
合体100重量部中に、ゴム質重合体5〜80重量部、
さらに好ましくは10〜70重量部である。また、単量
体または単量体混合物の割合は、95〜20重量部、さ
らに好ましくは80〜30重量部である。ゴム質重合体
の割合が5重量部未満では、樹脂組成物の耐衝撃性が低
下し、80重量部を越える場合は、樹脂組成物の耐衝撃
性および成形品の外観が損なわれる傾向が招かれる。
合法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテック
スの存在下に、単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化
剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器
に供給して乳化重合する方法などによって得ることがで
きる。
合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造を
とった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含有
したものである。(A)グラフト(共)重合体のグラフ
ト率には特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡
して優れる樹脂組成物を得るためには、20〜80重量
%、特に25〜50重量%の範囲であることが好まし
い。
る値である。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100 この(a)グラフト(共)重合体のメチルエチルケトン
可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)は、0.25
〜0.6dl/g、特に0.25〜0.5dl/gの範
囲であることが、またN,N−ジメチルホルムアミド溶
媒、30℃測定した場合には0.25〜0.75dl/
g、特に0.35〜0.7dl/gの範囲であること
が、いずれも優れた耐衝撃性の樹脂組成物が得られるこ
とから好ましい。
ニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香族ビニ
ル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトル
エンおよびo−エチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましく使用される。これらは1種または
2種以上を用いることができる。
は、一層の耐衝撃性向上を目的とする場合には、シアン
化ビニル系単量体が好ましく用いられる。靭性、色調の
向上を目的賭する場合には、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビニル系単
量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリルお
よびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアク
リロニトリルの使用が好ましい。(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体としては、アクリル酸およびメタクリル
酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチ
ルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタク
リル酸メチルの使用が好ましい。
重合可能な他のビニル系単量体としては、マレイミド、
N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの
マレイミド系単量体が挙げられる。
ある芳香族ビニル系単量体の割合は、樹脂組成物の耐衝
撃性の観点から、全単量体に対し20重量%以上が好ま
しく、さらに好ましくは50重量%以上である。シアン
化ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動
性の観点から60重量%以下が好ましく、さらに好まし
くは50重量%以下である。また(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の
観点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量%
以下が好ましく用いられる。また、これらと共重合可能
な他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%
以下が好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。
はないが、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、
30℃測定)が、0.4〜0.65dl/g、特に0.
45〜0.55dl/gの範囲の範囲のものが、また
N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃測定した場
合には、0.35〜0.85dl/g、特に0.45〜
0.7dl/gの範囲のものが、いずれも優れた耐衝撃
性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られること
から好ましい。
特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合
法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常
の方法を用いることができる。
ルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基
およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官
能基を含有する変性ビニル系重合体(以下、変性ビニル
系重合体と略称する。)を用いることもできる。
または二種以上のビニル系単量体を重合または共重合し
て得られる構造を有し、かつ分子中にカルボキシル基、
ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾ
リン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する
重合体である。これらの官能基を含有する化合物の含有
量に関しては、特に制限されないが、変性ビニル系重合
体中0.01〜20重量%の範囲であることが好まし
い。
導入する方法には特に制限はないが、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステ
ル、無水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などの
カルボキシル基または無水カルボキシル基を有するビニ
ル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、
γ,γ´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α
´−アゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸およ
び過酸化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合
発生剤および/またはチオグリコール酸、α−メルカプ
トプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メ
ルカプト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト
安息香酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を
用いて、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、
およびメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの
(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系
単量体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重
合体をアルカリによってケン化する方法などを用いるこ
とができる。
特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒド
ロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペ
ンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−
テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,
5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−
プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒ
ドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2
−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペ
ン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−
5−ヒドロキシ−2−ペンテン、および4−ジヒドロキ
シ−2−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系
単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法など
を用いることができる。
制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸
グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p
−グリシジルエーテル、およびp−グリシジルスチレン
などのエポキシ基を有するビニル系単量体を、所定のビ
ニル系単量体と共重合する方法などを用いることができ
る。
限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリ
ルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸
アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルア
ミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メ
タクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジ
エチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミ
ン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−
アミノスチレンなどのアミノ基、およびその誘導体を有
するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合
する方法などを用いることができる。
ても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オ
キサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイ
ル−オキサゾリン、および2−スチリル−オキサゾリン
などのオキサゾリン基を有するビニル系単量体を、所定
のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることが
できる。
制限はないが、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶
媒、30℃測定)が、0.2〜0.65dl/g、特に
0.35〜0.6dl/gの範囲のものが、またN,N
−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には
0.3〜0.9dl/g、特に0.4〜0.75dl/
gの範囲のものが、いずれも優れた難燃性、耐衝撃性お
よび成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから
好ましい。
加熱試験(昇温速度40℃/分)による600℃での重
量減量が80%以下の熱可塑性樹脂とは、より具体的に
は、空気中での示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電
子工業社製、TG/DTA−200)を用いて、100
〜800℃の温度領域を40℃/分の昇温速度で行った
加熱試験において、600℃での重量減量が80%以下
のものが好ましく、とりわけ600℃での重量減量が7
0%以下のものが好ましい。
(B)熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、
ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシ
ド樹脂、ポリアリレート樹脂および液晶性ポリエステル
樹脂から選ばれた1種以上の樹脂が挙げられ、ポリカー
ボネート樹脂およびポリアリレート樹脂が特に好ましく
用いられる。
族二価フェノール系化合物とホスゲンまたは炭酸ジエス
テルとを反応させることにより得られるポリマである。
ここでいう二価フェノール系化合物としては、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1−フェニル
−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなど
が挙げられ、これらは単独あるいは混合物として使用す
ることができる。
式(2)で表される構造を有するものである。すなわ
ち、芳香族ジオキシ単位と芳香族ジカルボキシ単位とか
らなる液晶性ポリエステル樹脂以外の熱可塑性ポリエス
テルである。
族ジオキシ単位、Ar 6 はハロゲンを含まない芳香族ジ
カルボキシ単位を表す。)ここで、Ar5 としては、例
えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)ブタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1
−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキ
ノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、フェニル
レゾルシノール、t−ブチルレゾルシノール、2,6−
ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタ
レンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル
などの1種あるいは2種以上から生成した構造単位が挙
げられる。
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、およ
び4,4’ジフェニルエーテルジカルボン酸などの1種
あるいは2種以上から生成した構造単位が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂(以下、(A)成分と呼ぶことがあ
る。)および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40
℃/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱
可塑性樹脂(以下、(B)成分と呼ぶことがある。)の
配合割合は、(A)成分/(B)成分=55〜85容量
%/45〜15容量%、好ましくは、(A)成分/
(B)成分=60〜80容量%/40〜20容量%、さ
らに好ましくは(A)成分/(B)成分=65〜75容
量%/35〜25容量%の範囲である。(A)成分の配
合割合が上記の範囲を越えると、本発明の特徴である
(B)成分が連続相を形成することが困難となり、また
(A)成分の割合が上記の範囲未満になると、樹脂組成
物の流動性が低下するばかりか、表面外観を損なうため
好ましくない。
(B)成分が少量成分であっても、この(B)成分が連
続相(マトリックス相)を形成し、大量成分である
(A)成分が分散相を形成する相構造とすることが必須
である。
相となり、多量成分がマトリックス相になるのが通常で
ある。
鏡で観察するが、不連続相の大きさは配合する熱可塑性
樹脂の種類、混練状況によって異なるので、不連続相が
確認できる倍率を選ぶ必要がある。例えば、ABS樹脂
とポリカーボネート樹脂の場合には10μm×10μm
の広さを見れば過不足なく確認することが出きる。
するに際しては、この特異的な相分離構造をとるため
に、(A)成分/(B)成分の溶融粘度比が下記一般式
(1)を満たすように、(A)成分および(B)成分の
各溶融粘度を適切に制御することが重要な要件となる。
どの測定条件を同一としてキャピログラフィーで測定し
た値であり、また測定温度は(A)成分と(B)成分お
よびその他の添加剤を混練する温度を示す。) (A)成分および(B)成分の溶融粘度を調整する方法
としては、特に制限はないが、例えば(イ)目的の溶融
粘度となる分子量のポリマーを使用する方法、(ロ)分
子量の異なるポリマーを混合して目的の溶融粘度となる
ように調整する方法および(ハ)目的の溶融粘度となる
ような任意の添加剤を混合する方法などが挙げられる。
使用する場合には、ポリマ混合物の空気中での加熱試験
(昇温速度40℃/分)による600℃での重量減量が
80%未満であることが必要である。
は、上記のごとき特異的な相分離構造をとることに起因
して、(A)スチレン系樹脂の優れた耐衝撃性および耐
熱性を損なうことがなく、逆に向上する傾向さえ得るこ
とができるばかりか、難燃性、特にJIS K 702
1に準じて測定した限界酸素指数(LOI)が改善でき
るという効果を発現する。
に(C)非ハロゲン系難燃剤を添加することにより、よ
り優れた難燃性を発揮することができる。
燃剤には特に制限はなく、例えば燐系難燃剤、窒素系難
燃剤、金属酸化物や金属水酸化物あるいは金属水酸化物
の水和物などが挙げられ、なかでも燐系難燃剤を最も好
ましく用いることができる。
含有する有機または無機化合物であれば特に制限はな
く、例えば赤燐、ポリ燐酸アンモニウム、ポリホスファ
ゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネートお
よびホスフィンオキシドなどが挙げられ、なかでもポリ
燐酸アンモニウムおよびホスフェートが好ましく、特に
下記式(1)で表される芳香族ホスフェートを最も好ま
しく用いることができる。
素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。また、
Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は、同一または相異な
るフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で
置換されたフェニル基を表す。Yは直接結合、O、S、
SO2 、C(CH3 )2 、CH2 、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。また、nは0以上の整数、k、
mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは
0以上2以下の整数を表す。) ここで、前記式(1)で表される難燃剤の構造について
説明する。前記式(1)の式中nは0以上の整数であ
る。またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であ
り、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ま
しくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ま
しくはk、mはそれぞれ1である。
同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル
基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基およびte
rt−ブチル基などが挙げられるが、水素、メチル基お
よびエチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有し
ない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例と
しては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル
基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基およびアン
トリル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、
キシリル基、クメニル基およびナフチル基が好ましく、
特にフェニル基、トリル基およびキシリル基が好まし
い。
(CH3 )2 、CH2 、CHPhを表し、Phはフェニ
ル基を表す。
大八化学社製“PX−200”、“PX−201”、
“CR−733S”、“CR−741”、“CR74
7”、”TCP”、”TXP”、”CDP”、“TP
P”を使用することができる。本発明においては2種以
上の芳香族ホスフェートの混合物であってもよい。
の添加量は、(A)ポリスチレン系樹脂55〜85容量
%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/
分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可塑
性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物100重量
部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜40
重量部、より好ましくは3〜30重量部の範囲である。
さらに(D)フッ素系樹脂またはシリコーン系化合物を
添加した場合には、燃焼時の延燃抑制効果、燃焼時の発
熱量の抑制効果、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制
効果、および耐熱性向上効果を付与することができる。
トラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレ
ン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフル
オロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロ
プロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフ
ルオライドおよび(ビニリデンフルオライド/エチレ
ン)共重合体などが挙げられるが、なかでもポリテトラ
フルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフ
ルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合
体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体お
よびポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリ
テトラフルオロエチレンおよび(テトラフルオロエチレ
ン/エチレン)共重合体が好ましく使用できる。
樹脂および/またはシリコーンオイルのことである。
下記一般式(3)〜(6)で表される単位およびこれら
の混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単
位(ここで、Rはそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水
素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ア
リール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基を表
す。)からなるポリオルガノシロキサンであり、室温で
約200〜300000000センチポイズの粘度のも
のが好ましいが、上記のシリコーン樹脂である限り、そ
れに限定されるものではない。
(7)で表されるものである(ここで、Rはアルキル基
またはフェニル基を表し、nは1以上の整数であ
る。)。使用するシリコーンオイルは、0.65〜10
0000センチトークスの粘度のものが好ましいが、上
記のシリコーンオイルである限り、それに限定されるも
のではない。
ーン樹脂および/またはシリコーンオイルを使用するこ
とができるが、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト特
性、耐接点汚染性および湿熱処理後の電気特性低下の面
から、なかでもシリコーン樹脂が好ましく使用される。
系化合物の添加量は、(A)ポリスチレン系樹脂55〜
85容量%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度
40℃/分)による600℃での重量減量が80%未満
の熱可塑性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物1
00重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは
0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部
の範囲である。
さらに充填材を添加することにより、強度、剛性および
耐熱性などを大幅に向上させることができる。充填材の
形状としては、繊維状、粒状などいずれでもよく、また
両者を併用することも可能である。
ス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベス
ト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラ
スフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化
アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドスト
ランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
あれば、本発明の難燃性樹脂組成物に対し、さらにヒン
ダードフェノール系以外のリン系、イオウ系などの酸化
防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、およ
び染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以
上添加することができる。
方法で製造される。例えば、(A)ポリスチレン系樹
脂、(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)
による600℃での重量減量が80%未満の熱可塑性樹
脂、(C)非ハロゲン系難燃剤およびその他の必要な添
加剤を、予備混合してまたはせずに押出機などに供給し
て、150℃〜350℃の温度範囲において十分溶融混
練することにより調製される。この場合には、例えば”
ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、
二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用
いることができ、特にアスペクト比をコントロールする
ことから、スクリューにニーディングエレメントを数個
挿入あるいは未挿入にすることにより使用することが好
ましい。
優れるばかりか、機械特性、耐熱性、滞留安定性さらに
成形加工性にも優れ、溶融成形可能であるため、押出成
形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィル
ム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った
成形品に成形して使用することができる。さらには、優
れた難燃性を活かして電気・電子部品、自動車部品、機
械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよ
びそれらの部品類など種々の用途に用いることができ
る。
例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPラ
ンプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、
スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケー
ス、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プ
ラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイ
クロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッド
ベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液
晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラ
ッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関
連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、
テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部
品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザー
ディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声
機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイ
プライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表さ
れる家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター
関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品複写
機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、
水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、
タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微
鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、
精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタ
ネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバ
ルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種
パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテー
クマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイン
ト、キャブレターメインボディー、キャブレタースペー
サー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジ
ションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタット
ベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエー
ターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプ
インペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部
品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スター
ターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、
ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ
基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ
ー、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモー
ターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、
ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビ
ン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、パソ
コン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレ
イ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、
携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フ
ロッピー(登録商標)ディスクドライブなどの記憶装置
のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部
材、トランス部材、コイルボビンなどが挙げられ、これ
らに限らず各種の電気・電子機器部品、自動車部品、機
械部品、その他各種用途に有用である。
下、実施例および比較例を挙げて説明する。 [参考例1](A)ポリスチレン系樹脂(ABS樹脂) <a1>グラフト共重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約10
0×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾
過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。
[(m)×L]×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率(重量%)を
意味する。
径0.3μm、ゲル含率85%)60重量部(固形分換
算)の存在下でスチレン70重量%、アクリロニトリル
30重量%からなる単量体混合物40重量部を加えて乳
化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固
し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダー
状のグラフト共重合体<a1>を調製した。
フト率が36%であった。このグラフト共重合体<a1
>は、スチレン構造単位70重量%およびアクリロニト
リル30重量%からなる非グラフト性の共重合体を1
8.1重量%含有するものであった。またN,N−ジメ
チルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.48dl/g
であった。 <a2>、<a3>ビニル系共重合体の調製 スチレン70重量%およびアクリロニトリル30重量%
からなる単量体混合物を懸濁重合することによりビニル
系共重合体を調製した。得られたビニル系共重合体<a
2>および<a3>のメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度は以下のとおりであった。
℃/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱
可塑性樹脂として、下記<b−1>〜<b−4>を準備
した。 <b1>600℃での重量減量が74%、重量平均分子
量が22000のポリカーボネート樹脂 <b2>600℃での重量減量が76%、重量平均分子
量が2000のポリカーボネート樹脂 <b3>600℃での重量減量が64%、重量平均分子
量が10000のポリアリレート樹脂 <b4>600℃での重量減量が66%、重量平均分子
量が5000のポリアリレート樹脂 [参考例4](C)燐系難燃剤の準備 <C−1>下記式(8)で表される芳香族ビスホスフェ
ート“PX−200”(大八化学社製)を使用した。
社製)を使用した。 [参考例5](D)フッ素系樹脂および/またはシリコ
ーン系化合物の準備 <D−1>ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロ
ンF201(ダイキン工業(株)製)を使用した。 <D−2>シリコーン樹脂である”DC4−7081”
(東レダウコーニングシリコーン社製)を使用した。 [参考例6] (A)成分および(B)成分の溶融粘度
調整 表1に示した組成により(A)成分および(B)成分を
溶融混合して調整することにより得られた樹脂または樹
脂組成物<A−1>〜<A−2>および<B−1>〜<
B−4>の溶融粘度を表1に併せて示す。なお溶融粘度
は、キャピログラフィーを使用し、250℃、オリフィ
ス厚み5mm、ダイ直径0.5mmで測定し、ずり速度
1000秒-1の値を示した。
A−1>〜<A−2>成分および<B−1>〜<B−4
>成分およびその他の必要な添加剤を、それぞれ表2お
よび表3に示した配合比で混合し、ベント付き30mm
φ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用
し、250℃で溶融混練、押出しを行うことによって、
ペレット状のポリマを製造した。
マット40/25)により、射出圧を下限圧+1MPa
とした条件でそれぞれの試験片を成形し、次の条件で物
性を測定した。 (1)難燃性(UL評価):射出成形により得た1/1
6”厚み難燃性評価用試験片についてUL94に定めら
れている評価基準に準じて、5本の試験片について難燃
性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2
>HBの順に低下する。 (2)難燃性(LOI):JIS K 7021に準じ
て限界酸素指数(LOI)を評価した。 (3)耐衝撃性:ASTM D256−56Aに準じて
耐衝撃性を評価した。 (4)耐熱性:ASTM D648(荷重:1.82M
Pa)に準じて耐熱性を評価した。
表2、表3に示す。また、相分離構造を評価した電子顕
微鏡写真に基づく模式図をそれぞれ図1(実施例1)お
よび図2(比較例1)に示す。図1、図2の画面は約1
0μm×10μmである。
較、および図1と図2の比較から、本発明の特徴である
空気中での加熱重量減量が80%以下の熱可塑性樹脂相
((B)成分)がマトリックス相となった特定の相分離
構造に制御することにより、難燃性(LOI)が特異的
に向上するとともに、耐衝撃性および耐熱性が向上して
いることがわかる。
において、小さい粒子状のものがグラフト共重合体成分
(3)であり、これを含む相がABS樹脂相(1)であ
り、その他の連続なマトリックスを形成しているのがポ
リカーボネート樹脂相(2)である。ABS樹脂/ポリ
カーボネート樹脂=65容量%/35容量%の配合割合
において、少量成分であるポリカーボネート樹脂相がマ
トリックス相(連続相)、大量成分であるABS樹脂が
分散相となる相構造を形成している。
いて、同様に小さい粒子状のものがグラフト共重合体成
分(3)であり、これを含む連続の相がABS樹脂相
(1)であり、不連続の島を形成しているのがポリカー
ボネート相(2)である。ABS樹脂/ポリカーボネー
ト樹脂=65容量%/35容量%の配合割合において、
大量成分であるABS樹脂相がマトリックス相(連続
相)、少量成分であるポリカーボネート樹脂が分散相と
なる一般的な相構造を形成しているため、本発明が目的
とする効果を発現し得ない。
に非ハロゲン系難燃剤((C)成分)を添加することに
より、難燃性がさらに向上し、UL評価で高度な難燃性
付与が可能になることがわかる。
脂組成物およびその製造方法によれば、ポリスチレン系
樹脂と特定の加熱重量減量を有する熱可塑性樹脂との溶
融粘度比を制御することにより、特定の相分離構造を達
成でき、その結果、高度な難燃性付与が可能になるばか
りか、優れた耐衝撃性および耐熱性の発現を期待するこ
とができる。
られる成形品は、上記の優れた特徴を活かして機械部
品、電気電子部品および自動車部品などとして好適であ
る。
電子顕微鏡写真をもとにした模式図である。
電子顕微鏡写真をもとにした模式図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 (A)ポリスチレン系樹脂55〜85容
量%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃
/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可
塑性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物であっ
て、かつ電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造におい
て、前記(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/
分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可塑
性樹脂がマトリックス相(連続相)、前記(A)ポリス
チレン系樹脂が分散相となる相構造を形成していること
を特徴とする難燃性樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)ポリスチレン系樹脂55〜85容
量%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃
/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可
塑性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物100重
量部に対して、(C)非ハロゲン系難燃剤0.1〜50
重量部をさらに含有してなることを特徴とする請求項1
に記載の難燃性樹脂組成物。 - 【請求項3】 前記(C)非ハロゲン系難燃剤が、下記
一般式(1)で表される芳香族ホスフェートであること
を特徴とする請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、上記式R1 〜R8 は、同一または相異なる水
素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。また、
Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は、同一または相異な
るフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で
置換されたフェニル基を表す。Yは直接結合、O、S、
SO2 、C(CH3 )2 、CH2 、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。また、nは0以上の整数、k、
mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは
0以上2以下の整数を表す。) - 【請求項4】 (A)ポリスチレン系樹脂55〜85容
量%および(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃
/分)による600℃での重量減量が80%未満の熱可
塑性樹脂45〜15容量%からなる樹脂組成物100重
量部に対して、(D)フッ素系樹脂またはシリコーン系
化合物0.01〜3重量部をさらに含有してなることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性
樹脂組成物。 - 【請求項5】(A)ポリスチレン系樹脂がABS樹脂で
あり、(B)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であ
り、電子顕微鏡で観察する際の観察画面の大きさが10
μm×10μmであることを特徴とする請求項1〜5の
いずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。 - 【請求項6】 (A)ポリスチレン系樹脂および(B)
空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)による60
0℃での重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂を溶融混
合するに際し、前記(A)ポリスチレン系樹脂および
(B)空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)によ
る600℃での重量減量が80%未満の熱可塑性樹脂の
各溶融粘度を、下記一般式(1)を満たす溶融粘度比に
制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。 【数1】 (ここで、溶融粘度は、温度、ずり速度、オリフィスな
どの測定条件を同一としてキャピログラフィーで測定し
た値であり、また測定温度は(A)成分と(B)成分お
よびその他の添加剤を混練する温度を示す。) - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の難
燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする難燃性
成形品。 - 【請求項8】 成形品が、機械機構部品、電気電子部品
または自動車部品であることを特徴とする請求項7に記
載の難燃性成形品。
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