JP2003113314A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品ならびにシャーシまたは筐体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品ならびにシャーシまたは筐体

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JP2003113314A
JP2003113314A JP2001270023A JP2001270023A JP2003113314A JP 2003113314 A JP2003113314 A JP 2003113314A JP 2001270023 A JP2001270023 A JP 2001270023A JP 2001270023 A JP2001270023 A JP 2001270023A JP 2003113314 A JP2003113314 A JP 2003113314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、薄肉流動性、低そり性、制振性、セ
ルフタッピング性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそ
れからなる成形品ならびにシャーシまたは筐体を提供せ
んとするものである。 【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
樹脂(A)99.5〜50重量%と液晶性樹脂(B)
0.5〜50重量%とからなる樹脂組成物100重量部
に対し、ポリテトラフルオロエチレンと有機系重合粒子
とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を
0.01〜15重量部添加してなることを特徴とするも
のである。また、本発明の成形品は、かかる熱可塑性樹
脂組成物からなり、かつ、ネジ挿入部分を有することを
特徴とするものであり、また、本発明のシャーシまたは
筐体は、かかる成形品を用いて構成されていることを特
徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉流動性、低そ
り性、制振性、セルフタッピング性に優れた熱可塑性樹
脂組成物および成形品ならびにシャーシまたは筐体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、軽量化の要求とともに自動車部
品、家電部品、携帯機器部品、事務機部品の樹脂化が検
討されてきているが、これまで樹脂化が困難とされてい
た分野への用途開拓も盛んに試みられ、樹脂に対する要
求性能は、益々多様化すると共に厳しくなる傾向にあ
る。近年、特に目立つのが、従来は板金、アルミダイキ
ャストが用いられていた電子機器あるいは事務機のシャ
ーシ部材、FDD(フロッピィーディスクドライブ)、
HDD(ハードディスクドライブ)、CD−ROMのシ
ャーシ及びCD(コンパクトディスク)、LD(レーザ
ーデスク)、MD(ミニディスク)等を情報媒体として
用いるゲーム機、音楽プレイヤー、AV機器等のシャー
シ、ポンプのケーシング等の部品の樹脂化が検討されて
いる。
【0003】ところが、製品の小型化・高性能化に伴
い、成形品の薄肉化が要求されるものの、流動性不足に
よる成形品の未充填、成形時の残留応力あるいは、高温
環境下での使用によるソリ変形による問題、CD−RO
Mの高速化に伴う振動音や振動による読み取りエラーの
低減が課題となってきている。また、金属代替によって
ねじによる部品取り付け時のタッピング強度等が要求さ
れている。
【0004】そこで、これら要求に対して、制振性改良
としてポリカーボネートに液晶性樹脂を針状分散させる
方法(特開平9−143379号公報)、ポリカーボネ
ートに液晶性樹脂を配合し、さらに摺動性改良剤を添加
する方法(特開平10−87982号公報)、また、事
務機器外装部材等として使用するにあたり、耐衝撃性と
外観の改良からポリカーボネートに熱可塑性ポリエステ
ルおよびポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(特
開2000−290486号公報)が提案されている。
【0005】しかしながら、上記で提案されている方法
のうち、特開平9−143379号公報および特開平1
0−87982号公報では、確かに流動性が改良され、
制振性も若干改良されるものの、十分ではなく、セルフ
タッピング性に至っては、一度の取り付けで失敗した場
合にネジ山がつぶれ、部品取り付け不能になるという問
題がある。また、特開2000−290486号公報に
おいて開示されてる組成物は、確かに本発明の熱可塑性
樹脂組成物を一部重複するものの、本発明で得られる向
上効果については特定の樹脂組成かつ、特定の組成比に
限り、特異的に得られるため、その特性発現について
は、何ら触れられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、薄肉流動性、低そり性、制振性、セ
ルフタッピング性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそ
れからなる成形品ならびにシャーシまたは筐体を提供せ
んとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑
性樹脂(A)99.5〜50重量%と液晶性樹脂(B)
0.5〜50重量%とからなる樹脂組成物100重量部
に対し、ポリテトラフルオロエチレンと有機系重合粒子
とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を
0.01〜15重量部添加してなることを特徴とするも
のである。
【0008】また、本発明の成形品は、かかる熱可塑性
樹脂組成物からなり、かつ、ネジ挿入部分を有すること
を特徴とするものであり、また、本発明のシャーシまた
は筐体は、かかる成形品を用いて構成されていることを
特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり薄肉
流動性、低そり性、制振性、セルフタッピング性に優れ
た熱可塑性樹脂組成物について、鋭意検討し、熱可塑性
樹脂(A)と液晶性樹脂(B)の特定量からなる組成物
に、ポリテトラフルオロエチレンと有機系重合粒子とか
らなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を特定
量添加してみたところ、かかる課題を一挙に解決するこ
とを究明したものである。
【0010】以下、本発明の実施の形態を説明する。本
発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0011】本発明で用いられる熱可塑性樹脂(A)
は、成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例
としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非
液晶性全芳香族ポリエステルなどの非液晶性ポリエステ
ル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳
香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミ
ド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミ
ダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェ
ニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスル
フィド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン
などのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重
合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロ
ピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸
エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共
重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジ
ル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレ
イン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、
ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステル
ポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれ
る1種または2種以上の混合物が使用される(“/”は
共重合を表す。以下同じ)。
【0012】上記非液晶性半芳香族ポリエステルの具体
例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフ
タレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレ
フタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノ
キシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほ
か、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよび
ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフ
タレートなどの共重合ポリエステル等が使用される。
【0013】また、ポリアミドの具体例としては、例え
ば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮
合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが用い
られ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロ
ン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイ
ロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ
(メタキシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレン
テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタル
アミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ
(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペ
ンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族
ポリアミド、およびこれらの共重合体が使用され、共重
合体として、例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレン
テレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチ
レンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6
/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘ
キサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレ
ンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチ
レンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフ
タルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタ
ルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)
などを使用することができる。なお、共重合の形態とし
てはランダム、ブロックのいずれでもよいが、ランダム
の方が好ましい。
【0014】上述した熱可塑性樹脂のうち機械的性質、
成形性などの点から、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非
液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナ
イロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレ
フタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレ
フタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレン
テレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポ
リ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサ
メチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレン
イソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタル
アミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフ
タルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘ
キサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタ
メチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド)などのポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキ
シド、フェノキシ樹脂から選ばれる1種または2種以上
の混合物が好ましく用いられる。
【0015】なかでも寸法安定性、低そり性の点から、
以下に示すスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく用いられる。
【0016】かかるスチレン系樹脂としては、スチレン
及び/またはその誘導体から生成した単位を含有するも
のが好ましく使用される。
【0017】かかるスチレン、その誘導体(これらを総
称して芳香族ビニル系単量体と称する場合がある)から
生成した単位の具体例としては、下記構造単位のものが
使用される。
【0018】
【化4】
【0019】R3〜R7は、水素、塩素等のハロゲン、
炭素数1〜10の脂肪族基、芳香族基、脂環式、スルホ
ニル基、ニトロ基などの基を示し、これらはそれぞれ同
じであっても異なっていてもよい。
【0020】R3〜R7は、水素、塩素、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、フェニ
ル、ベンジル、メチルベンジル、クロルメチル、シアノ
メチル、シアノメトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニト
ロなどの基であり、これらはそれぞれ同じであっても異
なっていてもよい。
【0021】スチレン、その誘導体の好ましい例として
は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙
げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ま
しく使用され、また、これらを併用することもできる。
【0022】かかるスチレン系樹脂としては、スチレン
系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が使用
さる。かかるスチレン系(共)重合体としては、芳香族
ビニル系単量体の1種または2種以上を重合した重合
体、芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれ
と共重合可能な単量体の1種または2種以上を共重合し
た共重合体が使用される。また、ゴム強化スチレン
(共)重合体としては、ゴム質重合体に芳香族ビニル系
単量体の1種または2種以上をグラフト重合したゴム強
化グラフト重合体、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量
体の1種または2種以上とそれと共重合可能な単量体の
1種または2種以上をグラフト共重合したグラフト共重
合体が使用される。
【0023】上記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な
単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、シアン
化ビニルなどが使用される。
【0024】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が用い
られるが、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどが使用される。
【0025】上記ゴム質重合体としては、ブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)な
どのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリ
ル系ゴムおよびエチレン−プロピレン−非共役ジエン三
元共重合体ゴム(EPDM)などのポリオレフィン系ゴ
ムが使用され、なかでもポリブタジエン、エチレン−プ
ロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)
が好ましく用いられる。
【0026】前記ゴム強化スチレン系(共)重合体を更
に詳しく説明すると、ゴム質重合体(a)に芳香族ビニ
ル化合物(b)から選ばれる少なくとも一種、またはそ
れと共単量体であるメタクリル酸エステル(c)および
シアン化ビニル化合物(d)から選ばれる少なくとも1
種とがグラフト重合したグラフト共重合体(重合体
(i))、あるいは該重合体(i)と芳香族ビニル化合
物(b)、メタクリル酸エステル(c)等から選ばれる
少なくとも1種のビニル化合物とシアン化ビニル化合物
(d)が重合した共重合体(重合体(ii))とを配合
した樹脂等が使用される。
【0027】該重合体(i)として、ゴム質重合体
(a)に対し、芳香族ビニル化合物(b)とメタクリル
酸エステル(c)および/またはシアン化ビニル化合物
(d)とをグラフト重合する場合、ゴム状重合体(a)
の共重合量は、5〜80重量%に制御するのが好まし
い。グラフト成分中、芳香族ビニル化合物(b)、メタ
クリル酸エステル(c)などから選ばれるビニル化合物
の1種または2種以上の合計が、50〜97重量%であ
り、シアン化ビニル化合物(d)が、3〜50重量%の
範囲に制御するのが好ましい。
【0028】重合体(i)の重合方法は、特に限定され
ず、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合および塊
状−懸濁重合などの公知の方法のいずれをも用いること
ができる。
【0029】一方、重合体(ii)中のシアン化ビニル
化合物(d)の共重合量としては、3〜50重量%の範
囲にするのが好ましい。
【0030】重合体(ii)の重合方法は、特に限定さ
れず、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合および
塊状−懸濁重合などの公知の方法を用いることができ
る。
【0031】ゴム状重合体を共重合させたスチレン系樹
脂は重合体(i)を必須成分とし、重合体(ii)を任
意の割合で配合して用いることもできる。
【0032】本発明において好ましいスチレン系樹脂と
しては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、
HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン
系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合
体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリ
ル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレ
ン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン
/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/
ブタジエン/スチレン共重合体)などのゴム強化(共)
重合体等が用いられ、なかでも特にPS(ポリスチレ
ン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/
スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、ABS
(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)
が好ましく使用される。
【0033】ポリカーボネート系樹脂としては、カーボ
ネート結合を有し、芳香族二価フェノール系化合物とホ
スゲンまたは炭酸ジエステルなどを反応させることによ
り得られる芳香族ホモまたはコポリカーボネートが用い
られる。該芳香族ホモポリカーボネート樹脂または芳香
族コポリカーボネート樹脂は、メチレンクロライド中
1.0g/dlの濃度で20℃で測定した対数粘度が、
好ましくは0.2〜3.0dl/g、より好ましくは
0.3〜1.5dl/gの範囲のものが用いられる。こ
こで二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエ
チルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用でき、
これら単独あるいは混合物として使用することができ
る。
【0034】ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、
下記繰り返し単位で表される熱可塑性樹脂が用いられ、
クロロホルム中、30℃で測定した固有粘度が0.01
〜0.80dl/gの重合体が好ましく用いられる。
【0035】
【化5】
【0036】R8〜R11 は、水素、ハロゲン、炭素
数1〜10の脂肪族基、芳香族基、脂環式、スルホニル
基、ニトロ基などの基であり、これらはそれぞれ同じで
あっても異なっていてもよい。
【0037】R8〜R11 の具体例としては、水素、
塩素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリ
ル、ブチル、フェニル、ベンジル、メチルベンジル、ク
ロルメチル、シアノメチル、シアノメトキシ、エトキ
シ、フェノキシ、ニトロなどの基が好ましく使用され
る。
【0038】かかるポリフェニレンエーテル系樹脂とし
ては、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−
フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/
2,4,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−
ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノー
ル共重合体などが好ましく使用される。
【0039】また、かかるスチレン系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂は、
2種以上を併用してもよく、具体的には、ABSとポリ
カーボネートの組み合わせ、ポリフェニレンエーテルと
ポリスチレンまたは耐衝撃ポリスチレンとの組み合わせ
などを用いることができる。また、その他特性、例えば
耐薬品性等を付与させるために、スチレン系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂の
一部(通常、樹脂成分全量(100重量%)の85重量
%以下、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは5
0重量%以下)を結晶性の熱可塑性樹脂に置き換えるこ
とが可能であり、このような結晶性の熱可塑性樹脂とし
ては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などが
用いられ、具体的には、ポリカーボネートとポリブチレ
ンテレフタレートの組み合わせ、ポリカーボネートとポ
リエチレンテレフタレートの組み合わせ、ポリフェニレ
ンエーテルとナイロン6の組み合わせ、ポリフェニレン
エーテルとナイロン66の組み合わせなどが好ましく採
用される。
【0040】また、特に耐熱性と成形性のバランスか
ら、ポリカーボネート系樹脂が好適に用いられる。
【0041】本発明に用いる液晶性樹脂(B)は、異方
性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有す
るものが好ましく使用される。例えば芳香族オキシカル
ボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/また
は脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位な
どから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を
形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位
と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、
芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位から
なり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル
アミドなどが用いられる。
【0042】具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸およ
び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単
位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香
酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物
および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単
位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香
酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタ
ル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構
造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安
息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから
生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位
からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸
から生成した構造単位、エチレングリコールから生成し
た構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成
した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロ
キシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコー
ルから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/ま
たはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸か
ら生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−
ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレング
リコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化
合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエス
テルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳
香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香
族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレン
ジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp
−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ
単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルア
ミドが用いられる。
【0043】上記液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリ
エステルアミドのうち、好ましい構造の具体例として
は、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単
位からなる液晶性ポリエステル、(I)、(III) および
(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが使
用される。
【0044】特に好ましく使用されるのは(I)、(I
I)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエ
ステルである。
【0045】
【化6】
【0046】(ただし式中のR1は
【0047】
【化7】
【0048】から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0049】
【化8】
【0050】から選ばれた1種以上の基を示す。ただし
式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0051】上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息
香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,
5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェ
ニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−
ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタ
レン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルか
ら選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生
成した構造単位を、構造単位(III)は、エチレングリコ
ールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフ
タル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,
2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−
ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸か
ら生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0052】
【化9】
【0053】であり、R2が
【0054】
【化10】
【0055】であるものが特に好ましく用いられる。
【0056】本発明に好ましく使用することができる液
晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、
(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、
(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1
種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(I
V)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発
揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0057】すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(II
I)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)
および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合
計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モ
ル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位
(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が
好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構
造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好まし
くは75/25〜95/5であり、より好ましくは78
/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単
位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであること
が好ましい。
【0058】一方、上記構造単位(II) を含まない場合
は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および
(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好
ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、
構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルである
ことが好ましい。
【0059】ここで実質的に等モルとは、末端を除くポ
リマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端
を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らな
いことを意味する。
【0060】また液晶性ポリエステルアミドとしては、
上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールか
ら生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性
溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0061】上記好ましく用いることができる液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単
位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン
酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安
息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液
晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0062】本発明において使用する上記液晶性ポリエ
ステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエス
テルの重縮合法に準じて製造できる。例えば、上記液晶
性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好まし
く採用される。 (1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性
ポリエステルを製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無
水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化し
た後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを
製造する方法。 (3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよ
び4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン
などの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール
重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを
反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重
縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)ま
たは(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する
方法。
【0063】本発明に使用する液晶性ポリエステルは、
フィラー高充填による流動性低下を抑制するため、溶融
粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・s
がより好ましい。また、流動性がより優れた組成物を得
ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とするこ
とが好ましい。
【0064】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で
高化式フローテスターによって測定した値である。ここ
で、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完
了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定
した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測
後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃
/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃
/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温
度(Tm2 )を指す。
【0065】本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)と液晶
性樹脂(B)の配合比は、薄肉流動性、低そり性、制振
性、セルフタップ強度等の特性のバランスの点から、
(A)と(B)の合計に対し、(A)99.5〜50重
量%、(B)0.5〜50重量%、好ましくは(A)9
7〜65重量%、(B)3〜35重量%、より好ましく
は(A)95〜75重量%、(B)5〜25重量%であ
る。
【0066】また、熱可塑性樹脂(A)にポリカーボネ
ート系樹脂を用いた場合、ポリカーボネート系樹脂に対
し、液晶性樹脂(B)を配合すると一部交換反応が起こ
り、得られる組成物のガラス転移温度(℃)は液晶樹脂
配合前のポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度
(℃)から変化するが、本発明の効果を最大限に発揮す
るためには、ポリカーボネート系樹脂に対する得られた
組成物のガラス転移温度(℃)の変化率が好ましくは5
%未満、さらには3%未満であることが、とりわけ優れ
た流動性を得る点で好ましい。これは、充填材を添加し
た場合も同様であるが、ただし、リン酸エステル等をは
じめとする可塑化効果のある添加剤を用いた組成物
(D)のガラス転移温度(℃)は、液晶性樹脂(B)未
配合でもポリカーボネート系樹脂(A)単体に対して低
下するので、そのような組成物(D)にさらに液晶性樹
脂(B)を添加する場合は、得られた液晶性樹脂(B)
配合の組成物(E)のガラス転移温度(℃)の変化率
は、液晶性樹脂(B)未配合の樹脂組成物(D)に対す
るガラス転移温度(℃)の変化率であり、その変化率
は、好ましくは5%未満、さらには3%未満である。
【0067】ガラス転移温度(℃)の求め方は、示差熱
量測定において、20℃/分の昇温条件で測定した際に
観測される変曲点をガラス転移温度(℃)とする。樹脂
組成物が複数の樹脂成分からなる場合には複数の変曲点
が観察される場合があるが、対象とする変曲点はポリカ
ーボネート系樹脂由来の変曲点とする。
【0068】また、熱可塑性樹脂(A)中における液晶
性樹脂(B)の分散状態については特に規定されない
が、優れた流動性および低ソリ性を発揮するためには、
成形品の厚み方向の中心部において流れ方向(粒子の配
向方向)に切削した場合、球状分散に近いことが好まし
く、具体的には液晶性樹脂粒子の平均アスペクト比(粒
子の(長径/短径)の平均値)が、6未満が好ましく、
より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下であ
る。また、粒子の長径を測定した数平均分散径が、好ま
しくは0.5μm以上、より好ましくは1〜10μm、
さらに好ましくは1.5〜4μmである。液晶性樹脂の
ポリカーボネート系樹脂(A)中の分散状態が上記の範
囲内の時に本組成物における最大の効果を発現する。
【0069】液晶性樹脂(B)中の熱可塑性樹脂(A)
の数平均分散径の測定方法は、成形品の厚み方向の中心
部において、粒子の配向方向に切削して得られたコア層
部分の切片を電子透過型顕微鏡(TEM)により、観察
・写真撮影し、分散粒子100個の平均値を、それぞれ
平均アスペクト比および数平均分散径として求める。な
お、数平均分散粒子径は、長径方向で測定するものとす
る。
【0070】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体は、粒子径10μm以下のポリテトラフ
ルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるものであ
り、ポリテトラフルオロエチレンは、粒子径が10μm
を超え、凝集体となっていないことが好ましい。さら
に、熱可塑性樹脂に配合した際の分散性の観点から、粒
子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレ
ン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混
合した分散液中で、ビニル単量体を重合した後、凝固ま
たはスプレードライにより、粉体化して得られるものを
用いるのが好ましい。
【0071】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体を得るために用いる、粒子径 0.05
〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散
液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフ
ルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られ
る。
【0072】ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重
合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわな
い範囲で、共重合成分として、ヘキサフルオロプロピレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエ
チレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フ
ッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アク
リレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを
用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフル
オロエチレンに対して10重量%以下であることが好ま
しい。
【0073】ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の
市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオ
ン(R)AD−1、AD−936、ダイキン工業社製の
ポリフロン(R)D−1、D−2(R)、三井デュポン
フロロケミカル社製 のテフロン(R)30J等を代表
的に使用することができる。
【0074】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体を得るために用いる有機系重合体粒子水
性分散液は、ビニル単量体を乳化重合等の公知の方法で
重合させることにより得ることができる。
【0075】有機系重合体粒子水性分散液を得るために
用いるビニル単量体および、粒子径0.05〜1.0μ
mのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機
系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で重合さ
せるビニル単量体としては、特に制限されるものではな
いが、ポリカーボネートを始めとする熱可塑性樹脂
(A)に配合する際の分散性の観点から、熱可塑性樹脂
(A)との親和性が高いものであることが好ましい。
【0076】これらビニル単量体の具体例としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチル
スチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、
2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、
o −メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等
の芳香族ビニル単量体;アクリル酸メチル、メタクリル
酸メ チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−
2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アク
リル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル
酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル
酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の
(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニトリ
ル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フ
ェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロ
ヒキシルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシジル
メタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル
単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル
単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−
オレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチル
ブタジエン等のジエン単量体等を用いることができる。
これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用
いることができる。
【0077】これらの単量体の中で熱可塑性樹脂(A)
との親和性の観点から、芳香族ビニル系単量体、シアン
化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単
量体を30重量%以上含有する単量体を好ましく用いる
ことができる。特に好ましくはスチレンおよびアクリロ
ニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を3
0重量%以上含有する単量体を用いることができる。
【0078】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体中に占めるポリテトラフルオロエチレン
の含有割合は、0.1〜90重量%であることが好まし
く、より好ましくは、20〜70重量%である。0.1
重量%未満であると、特性改良効果が得られず、90重
量%を超えると、表面外観および流動性に悪影響を及ぼ
す可能性がある。
【0079】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体は、その水性分散液を、塩化カルシウ
ム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投
入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレードライ
により粉体化することができる。
【0080】通常のポリテトラフルオロエチレンファイ
ンパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収す
る工程で100μm以上の凝集体となってしまうために
熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに
対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒
子径10μmを超えるドメインを形成していないために
熱可塑性樹脂(A)に対する分散性がきわめて優れてい
る。この結果、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリテ
トラフルオロエチレンが熱可塑性樹脂中で効率よく微分
散化しており、セルフタップ強度が優れる上に、表面性
にも優れるものを提供することができる。
【0081】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体の添加量は、流動性、低そり性およびセ
ルフタップ強度の点から、(A)と(B)の合計量10
0重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましく
は、0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜
5重量部である。
【0082】本発明において熱可塑性樹脂組成物の機械
強度その他の特性を付与するために充填剤を使用するこ
とが可能であり、特に限定されるものではないが、繊維
状もしくは、板状、粉末状、粒状など非繊維状の充填剤
を使用することができる。具体的には例えば、ガラス繊
維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、
アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポ
リアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、
シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロック
ウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウ
ムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケ
イ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マ
イカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガ
ラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルー
ン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化
チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイ
トなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が用いられ
る。上記充填剤中、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カ
オリンが好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一
般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例
えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストラン
ド、ミルドファイバーなどから選択して用いることがで
きる。また、上記の充填剤は機械強度と成形品そりのバ
ランスを得るために、2種以上を併用して使用すること
もでき、例えば、ガラス繊維とマイカあるいはカオリ
ン、ガラス繊維とガラスビーズ、炭素繊維とマイカある
いはカオリン、炭素繊維とミルドファイバーあるいはガ
ラスフレーク等が用いられる。
【0083】なお、本発明に使用する上記の充填剤は、
その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カ
ップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、そ
の他の表面処理剤で処理して用いることもできるが、好
ましくは、マイカ、カオリン、グラファイトをはじめと
する板状フィラーを用いるのが、特に制振性の向上効果
が大きくなるので好ましい。
【0084】また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニ
ル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱
硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0085】上記の充填剤の添加量は、(A)成分と
(B)成分の合計100重量部に対して、0.5〜25
0重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜
100重量部、特に好ましくは20〜80重量部であ
る。
【0086】本発明において、熱可塑性樹脂組成物に薄
肉難燃性などの特性を付与するために、赤リンおよび/
または下記一般式(1)で表される燐酸エステルを使用
することができる。流動性向上効果の点から、好ましく
はリン酸エステルが用いられる。
【0087】本発明で使用される赤リンは、そのままで
は不安定であり、また、水に徐々に溶解したり、水と徐
々に反応する性質を有するので、これを防止する処理を
施したものが好ましく用いられる。このような赤リンの
処理方法としては、特開平5−229806号公報に記
載の如く赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素
との反応性が高い破砕面を形成させずに赤リンを微粒子
化する方法、赤リンに水酸化アルミニウムまたは水酸化
マグネシウムを微量添加して赤リンの酸化を触媒的に抑
制する方法、赤リンをパラフィンやワックスで被覆し、
水分との接触を抑制する方法、ε−カプロラクタムやト
リオキサンと混合することにより安定化させる方法、赤
リンをフェノール系、メラミン系、エポキシ系、不飽和
ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆することによ
り安定化させる方法、赤リンを銅、ニッケル、銀、鉄、
アルミニウムおよびチタンなどの金属塩の水溶液で処理
して、赤リン表面に金属リン化合物を析出させて安定化
させる方法、赤リンを水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などで被覆する方
法、赤リン表面に鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、
スズなどで無電解メッキ被覆することにより安定化させ
る方法およびこれらを組合せた方法が挙げられるが、好
ましくは、赤リンの粉砕を行わずに赤リン表面に破砕面
を形成させずに赤リンを微粒子化する方法、赤リンをフ
ェノール系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエス
テル系などの熱硬化性樹脂で被覆することにより安定化
させる方法、赤リンを水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、などで被覆する
ことにより安定化させる方法であり、特に好ましくは、
赤リンの粉砕を行わず、表面に破砕面を形成させずに赤
リンを微粒子化する方法、赤リンをフェノール系、メラ
ミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬
化性樹脂で被覆することにより安定化させる方法あるい
はこれらの両者を組み合わせた方法である。これらの熱
硬化性樹脂の中で、フェノール系熱硬化性樹脂、エポキ
シ系熱硬化性樹脂で被覆された赤リンが耐湿性の面から
好ましく使用することができ、特に好ましくはフェノー
ル系熱硬化性樹脂で被覆された赤リンである。
【0088】なお、本発明において用いる赤燐として好
ましい赤燐である未粉砕赤燐は、破砕面を形成させずに
製造された赤燐を指す。
【0089】また樹脂に配合される前の赤リンの平均粒
径は、難燃性、機械特性、耐湿熱特性およびリサイクル
使用時の粉砕による赤燐の化学的・物理的劣化を抑える
点から35〜0.01μmのものが好ましく、さらに好
ましくは、30〜0.1μmのものである。
【0090】なお赤燐の平均粒径は、一般的なレーザー
回折式粒度分布測定装置により測定することが可能であ
る。粒度分布測定装置には、湿式法と乾式法があるが、
いずれを用いてもかまわない。湿式法の場合は、赤リン
の分散溶媒として、水を使用することができる。この時
アルコールや中性洗剤により赤リン表面処理を行っても
よい。また分散剤として、ヘキサメタ燐酸ナトリウムや
ピロ燐酸ナトリウムなどの燐酸塩を使用することも可能
である。また分散装置として超音波バスを使用すること
も可能である。
【0091】また本発明で使用される赤リンの平均粒径
は上記のごとくであるが、赤リン中に含有される粒径の
大きな赤リン、すなわち粒径が75μm以上の赤リン
は、難燃性、機械的特性、耐湿熱性、リサイクル性を著
しく低下させるため、粒径が75μm以上の赤リンは分
級とうにより除去することが好ましい。粒径が75μm
以上の赤リン含量は、難燃性、機械的特性、耐湿熱性、
リサイクル性の面から、10重量%以下が好ましく、さ
らに好ましくは8重量%以下、特に好ましくは5重量%
以下である。下限に特に制限はないが、0に近いほど好
ましい。
【0092】ここで赤リンに含有される粒径が75μm
以上の赤リン含量は、75μmのメッシュにより分級す
ることで測定することができる。すなわち赤リン100
gを75μmのメッシュで分級した時の残さ量A(g)
より、粒径が75μm以上の赤リン含量は(A/10
0)×100(%)より算出することができる。
【0093】また、本発明で使用される赤リンの熱水中
で抽出処理した時の導電率(ここで導電率は赤リン5g
に純水100mLを加え、例えばオートクレーブ中で、
121℃で100時間抽出処理し、赤リンろ過後のろ液
を250mLに希釈した抽出水の導電率を測定する)
は、得られる成形品の耐湿性、機械的強度、耐トラッキ
ング性、およびリサイクル性の点から、0.1〜100
0μS/cmが好ましく、より好ましくは0.1〜80
0μS/cm、さらに好ましくは0.1〜500μS/
cmである。
【0094】このような赤リンの市販品としては、燐化
学工業社製“ノーバエクセル”(R)140、“ノーバ
エクセル”(R)F5が用いられる。
【0095】本発明に使用される燐酸エステルとして
は、下記式(1)で表されるものが用いられる。
【0096】
【化11】
【0097】まず前記式(1)で表される難燃剤の構造
について説明する。前記式(1)の式中nは0以上の整
数であり、好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5
である。上限は難燃性の点から40以下が好ましい。
【0098】またk、mは、それぞれ0以上2以下の整
数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数である
が、好ましくはk、mは、それぞれ0以上1以下の整
数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0099】また前記式(1)の式中、R12〜R19
は、同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアル
キル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体
例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、n−イソプロピル、ネオペンチル、t
ert−ペンチル基、2ーイソプロピル、ネオペンチ
ル、tert−ペンチル基、3−イソプロピル、ネオペ
ンチル、tert−ペンチル基、ネオイソプロピル、ネ
オペンチル、tert−ペンチル基などであるが、水
素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好
ましい。
【0100】また、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4
は、同一または相異なる芳香族基あるいはハロゲンを含
有しない有機残基で置換された芳香族基を表す。かかる
芳香族基としては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、イ
ンデン骨格、アントラセン骨格を有する芳香族基が挙げ
られ、なかでもベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格
を有するものが好ましい。これらはハロゲンを含有しな
い有機残基(好ましくは炭素数1〜8の有機残基)で置
換されていてもよく、置換基の数にも特に制限はない
が、1〜3個であることが好ましい。具体例としては、
フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシ
チル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基など
の芳香族基が挙げられるが、フェニル基、トリル基、キ
シリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフ
ェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0101】また、Yは、直接結合、O、S、SO2、
C(CH3)2、CH2、CHPhを表し、Phはフェ
ニル基を表す。
【0102】このような燐酸エステルとしては、大八化
学社製PX−200、PX−201、PX−130、C
R−733S、TPP、CR−741、CR747、T
CP、TXP、CDPから選ばれる1種または2種以上
が使用することができ、好ましくはPX−200、TP
P、CR−733S、CR−741、CR747から選
ばれる1種または2種以上、特に好ましくはPX−20
0、CR−733S、CR−741を使用することがで
きるが、この中で特に好ましくはPX−200である。
【0103】本発明において赤燐および燐酸エステルの
いずれか1種、または2種以上の混合物であってもよ
い。
【0104】上記赤燐および/または燐酸エステルを添
加する場合の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計
100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量
部、より好ましくは0.1〜25重量部、さらに好まし
くは1〜20重量部、特に好ましくは2〜20重量部で
ある。なかでも3〜15重量部が、最も好ましい。
【0105】赤燐の添加量が本発明の範囲より少なすぎ
た場合、添加による難燃性付与効果が小さくなり、多す
ぎる場合、かえって燃焼促進剤として働くか、または機
械物性が低下する傾向にある。
【0106】燐酸エステルの添加量が、本発明の範囲よ
り多すぎる場合、機械物性の低下およびガス発生による
噛み込み不良あるいはガス焼け等が発生しやすくなる傾
向にあり、少なすぎる場合、添加による難燃性付与効果
が小さい。
【0107】また、赤燐を添加した場合、難燃性の他に
成形時の熱安定性が向上するなどの効果も同時に発現
し、燐酸エステルを添加した場合には、流動性がさらに
向上する。
【0108】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、赤
燐を配合する場合には、さらに赤燐の安定剤として、金
属酸化物を添加することにより、押出し、成形時の安定
性や強度、耐熱性、成形品の端子腐食性などを向上させ
ることができる。このような金属酸化物の具体例として
は、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二
銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マン
ガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなど
が用いられるが、なかでも酸化カドミウム、酸化第一
銅、酸化第二銅、酸化チタンなどのI族および/または
II族の金属以外の金属酸化物が好ましく、特に酸化第一
銅、酸化第二銅、酸化チタンが好ましく用いられるが、
I族および/またはII族の金属酸化物であってもよい。
押出し、成形時の安定性や強度、耐熱性、成形品の端子
腐食性の他に、非着色性をさらに向上させるためには、
酸化チタンが最も好ましく用いられる。
【0109】金属酸化物を添加する場合の添加量は、機
械物性、成形性の面から熱可塑性樹脂(A)および液晶
性樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜
20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10重
量部である。
【0110】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフ
ェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれら
の置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノー
ル、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノ
ンなど)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止
剤、滑剤、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料
(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含
む着色剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその
塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルア
ルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスな
ど)、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、
結晶核剤、可塑剤、その他の難燃剤(例えばブロム化ポ
リスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポ
リカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンおよび
シアヌール酸またはその塩など)、難燃助剤、摺動性改
良剤(グラファイト、フッ素樹脂)、帯電防止剤などの
通常の添加剤を添加して、所定の特性をさらに付与する
ことができる。
【0111】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常公知
の方法で製造される。例えば、熱可塑性樹脂(A)、液
晶性樹脂(B)およびポリテトラフルオロエチレン含有
混合粉体成分中、その他の必要な添加剤および充填剤を
予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分
溶融混練することにより調製される。また、充填剤を添
加する場合、充填剤の繊維の折損を抑制するために好ま
しくは、熱可塑性樹脂(A)、液晶性樹脂(B)、ポリ
テトラフルオロエチレン含有混合粉体および添加剤を押
出機の元から投入し、充填剤をサイドフィーダーを用い
て、押出機へ供給することにより調整される。
【0112】赤燐および/または燐酸エステルを添加す
る場合には、ハンドリング性、分散性を向上させるため
に(A)または(B)で予め、高濃度品を作成し、添加
するマスターペレット法を用いることも可能である。
【0113】熱可塑性樹脂組成物を製造するに際し、例
えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた
単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混
練機などを用いて180〜350℃で溶融混練して組成
物とすることができるが、本発明の効果をより鮮明に発
揮するためには溶融加工条件を制御することが好まし
い。
【0114】例えば、溶融混練温度については、配合す
る液晶性樹脂(B)の融点以下かつ液晶開始温度以上で
行うことが好ましく、より好ましくは液晶性樹脂(B)
の融点−5℃〜液晶開始温度であり、さらに好ましくは
液晶性樹脂(B)の融点−10℃〜液晶開始温度であ
る。かかる方法で溶融混練する場合には、(A)と
(B)との必要以上の交換反応等がコントロール可能で
あるため、組成物のガラス転移温度(℃)の変化率を小
さくし得る傾向があり、ひいては発明の効果である流動
性を特に効率よく発揮することができる。本発明におい
ては、溶融混練した組成物を直接成形してもよいが、一
旦ペレタイズなどして成形材料とした後、成形に供する
ことも可能である。
【0115】ここでいう溶融混練温度とは、樹脂温度を
指す。例えば、溶融混練、溶融成形などの溶融加工時に
おいては、一般的にせん断発熱により樹脂温度がシリン
ダー設定温度より高温になるため、シリンダー設定温度
を目的の樹脂温度になるように若干低温に設定するか、
あるいは、それとともに、スクリュー回転数やスクリュ
ーアレンジを制御して、樹脂温度を上記範囲におさめる
こと、あるいは、サイドフィーダー備え付けの押出機を
用いる場合には、サイドから液晶性樹脂(B)を配合す
る全量の一部もしくは全部を投入する方法が好ましく用
いられる。
【0116】液晶開始温度の測定は、剪断応力加熱装置
(CSS−450)により剪断速度1,000(1/
秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍におい
て測定し、視野全体が流動開始する温度を液晶開始温度
とした。
【0117】また、熱可塑性樹脂組成物を成形するにあ
たっての成形方法は、通常の成形方法(射出成形、プレ
ス成形、インジェクションプレス成形など)により、三
次元成形品、シート、ケース(筐体)などに加工するこ
とができるが、生産性を考慮した場合、射出成形あるい
はインジェクションプレス成形等が好ましく採用され
る。
【0118】かくして得られる成形品は、薄肉流動性、
低ソリ性、制振性、セルフタップ強度に優れていること
などの特性を生かし、各種ギヤー、各種ケース、センサ
ー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リ
レーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、
バリコンケース、光ピックアップ、光ピックアップスラ
イドベース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プ
リント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォ
ン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、
パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプ
レー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD
部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテ
ナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電
子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアード
ライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オ
ーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクト
ディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、
エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサ
ー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフ
ィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファク
シミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイル
レス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モー
ター部品、ライター、タイプライターなどに代表される
機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代
表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーター
ターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレ
ーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、
排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・
吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケ
ル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、タンク、エ
ンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ
ー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却
水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセ
ンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャ
フトポジションセンサー、エアーフローメーター、イグ
ニッションコイル用部品、パワーシートギアハウジン
グ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュタ
ー、スタータースィッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、エアコンパネルスィッ
チ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネク
ター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモ
ーターローター、ランプソケット、ランプリフレクタ
ー、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイド
ボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースな
どの自動車・車両関連部品、パソコンハウジング、携帯
電話ハウジングなどの筐体用途、便座、手洗い器・カウ
ンターなどのトイレタリー用途、玩具、パチンコ台部品
などの娯楽用途、その他各種用途に有用であり、フィル
ムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用
フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィル
ム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィル
ム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、
インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイド
フレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席
用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインド
ウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよ
びそれらの周辺部品に有用であり、繊維として用いる場
合にはタイヤコード、コンベアーベルト、ホース等のゴ
ム補強材、ロープ、ケーブル、スピーカーコーン、テン
ションメンバー、スクリーン紗、封止剤補強、電池セパ
レーター、カンパス、基布、漁網、不織布、安全着、防
弾チョッキ、宇宙服、海底作業服等幅広い分野に有用で
あり、特にセルフタッピング性に優れることから、ネジ
挿入部を有する成形品、さらにはシャーシ、筐体用途に
好適であり、具体的には磁気記録再生装置用シャーシ、
デジタルディスク駆動装置用シャーシ、モーター部、光
学ピックアップおよびディスクテーブルが取り付けられ
たメカニカルシャーシ、光書き込みユニット固定シャー
シ、光学ディスク用ピックアップシャーシ、 OA機器
シャーシ、AV機器シャーシ、カメラ外装カバーなどに
特に好ましく用いられる。
【0119】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0120】参考例1(熱可塑性樹脂) PC:”レキサン”(R)141(ゼネラルエレクトリ
ック社製)(フェノール性末端基(EP)と非フェノー
ル性末端基(EN)の当量比 (EP)/(EN)は、四
塩化チタン錯体測光定量の結果1/100) PPE:PPO534(ゼネラルエレクトリック社製) N−6:アミラン(R)CM1010(東レ社製) 参考例2(液晶性樹脂) LCP1:p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタ
ル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリ
エチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸96
0重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、
室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、1
50℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から
320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、
1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに約0.25時
間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニ
ル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当
量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジ
カルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、液
晶開始温度293℃の18Pa・s(324℃、オリフィス
0.5mm直径×10mm、ずり速度1,000(1/
秒))のペレットを得た。
【0121】LCP2:p−ヒドロキシ安息香酸907
重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部
及び無水酢酸873重量部を攪拌翼、留出管を備えた反
応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3
時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温
し、250℃から310℃まで1.5時間で昇温させた
後、310℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さら
に約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、重合を
行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル等
量からなる融点283℃、液晶開始温度233℃、29
3℃で150Pa・s(オリフィス0.5φ×10mm、
ずり速度1,000(1/秒))であった。
【0122】参考例3(フッ素系樹脂) (1)ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体 KA:メタブレン(R)KA−1259(三菱レイヨン
社製) (2)ポリテトラフルオロエチレン 6J:テフロン(R)6J(三井・デュポン・フロロケ
ミカル社製) (1)薄肉流動性 ROBOSHOTα−30C(ファナック社製)を用い
て表1中成形時樹脂温度として示したシリンダー温度、
金型温度80℃で12mm幅×150mm長×0.8m
m厚の成形品を射出速度150mm/sec、樹脂圧79M
Paで流動長を評価した。
【0123】(2)低そり性 東芝IS−55EPN(東芝機械社製)を用いて表1中
成形時樹脂温度として示したシリンダー温度、金型温度
80℃で55mm幅×85mm長×0.8mm厚で名刺
型成形品を成形し、4角の一端を押さえ、そのそり性
(浮き上がり)を見た。
【0124】評価は、◎:全く反りなし、○:1mm未
満の浮きあり、×:1mm以上のソリあるいは成形不可
とした。
【0125】(3)制振性(振幅回数) 住友ネスタ−ル射出成形機プロマット40/25(住友
重機械工業(株)製)を用いて表1中成形時樹脂温度と
して示したシリンダー温度、金型温度80℃に設定し、
かつ、圧力MAX、充填速度を樹脂が金型内に充填可能
な最低速で成形品(120mm×12.7mm×3.2
mm厚)を作成し、その成形品の振幅回数(前置増幅器
(B&K製2639S型)および電力増幅器(B&K製
2706型)および2チャンネルFFT分析器(B&K
製2034型)を用いる。)を200〜300Hzの領
域で測定した。
【0126】(4)セルフタッピング性 東芝ISー55EPN(東芝機械(株)製)を用いて表
1中成形時樹脂温度として示したシリンダー温度、金型
温度80℃に設定し、セルフタップ成形品(内径3.2
mm、厚み3mm)を成形し、傘型トルクドライバーで
(中村製作所社製”カノントルクレンチ”20DPS
K)により、タッピングネジ(4×8mmナベ頭)を成
形品の穴に挿入し、最大トルク時の破損状況について評
価した。
【0127】評価は、○:破損しない、×:破損する、
とした。
【0128】(4)ガラス転移温度(Tg)変化率 上記(1)で得られた試験片をパーキンエルマー製示差
走査熱量計にて20℃/minでポリカーボネート由来の
変曲点を測定し、液晶性樹脂を配合した組成物のガラス
転移点(Y)を求めた。また、液晶性樹脂未配合のポリカ
ーボネート系樹脂組成物のガラス転移点(X)とする以
外は同様の方法で得られた試験片を用い、同様の方法で
ガラス転移点(ポリカーボネートTg)を求めた。これらの
結果に基づき以下の式で変化率を求めた。 変化率(%)=((X−Y)/X)×100 実施例1〜7、比較例1〜7 表1に示した割合でPCM30型2軸押出機(池貝鉄鋼
社製)を用いて熱可塑性樹脂(A)、液晶性樹脂
(B)、フッ素系樹脂および表1に示す充填剤をドライ
ブレンドし、表1中押出時樹脂温度として示した樹脂温
度で溶融混練してペレットとした。このペレットを上記
評価方法ごとに成形品を得た。
【0129】実施例8、比較例8 表1に示した割合でPCM30型2軸押出機(池貝鉄鋼
社製)を用いて熱可塑性樹脂(A)、液晶性樹脂
(B)、フッ素系樹脂、リン酸エステル(PX−20
0;大八化学社製)および表1に示す充填剤をドライブ
レンドし、表1中押出時樹脂温度として示した樹脂温度
で溶融混練してペレットとした。このペレットを上記評
価方法ごとに成形品を得た。
【0130】
【表1】
【0131】表1からも明らかなように、実施例1〜8
のものは、比較例1〜8のものに比べ、薄肉流動性、低
そり性、制振性、セルフタッピング性に優れることか
ら、これらの特性が要求される用途、特にネジ挿入部を
有するシャーシ用の成形品として優れたものが得られる
ことがわかる。
【0132】
【発明の効果】本発明によれば、薄肉流動性、低そり
性、制振性、セルフタッピング性に優れることから、自
動車部品、電気電子部品、機械機構部品、一般雑貨をは
じめとするネジ挿入部を有する成形品として極めて実用
的に用いることができる熱可塑性樹脂組成物を提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 33/02 305 G11B 33/02 305Z 33/12 303 33/12 303Z H05K 5/02 H05K 5/02 J Q //(C08L 69/00 C08L 67:00 67:00 27:18 27:18 101:00 101:00) C08L 69:00 (C08L 101/00 69:00 27:18) Fターム(参考) 4E360 AB02 ED02 EE02 GA28 GA53 GB99 GC08 4F071 AA01 AA02 AA27 AA35 AA43 AA50 AA51 AB03 AB06 AB08 AB09 AB17 AB18 AB20 AB23 AB25 AB26 AB27 AB28 AC15 AD01 AD02 AE07 AE17 AF35 AF47 AF51 AF54 AH05 AH07 AH12 AH16 AH17 AH19 BA01 BB03 BB05 BC01 BC04 BC07 BC17 4J002 AA002 AA004 AA011 BB031 BB034 BB051 BB071 BB121 BB124 BB151 BB184 BC031 BC034 BC044 BC061 BD153 BE044 BG044 BG054 BG094 BH004 BL014 BL024 BN071 BN151 CB001 CD194 CF002 CF032 CF041 CF042 CF051 CF052 CF061 CF071 CF081 CF101 CF171 CF182 CG001 CH071 CJ001 CL011 CL031 CL051 CM021 CM041 CN011 DA017 DA027 DA097 DE097 DE107 DE137 DE237 DG027 DH057 DJ007 DJ017 DJ027 DJ037 DJ047 DJ057 DK007 DL007 EW046 FA047 FA067 FA083 FA084 FA087 FD017 FD136 GG00 GM00 GN00 GT00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(A)99.5〜50重量%
    と液晶性樹脂(B)0.5〜50重量%とからなる樹脂
    組成物100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレ
    ンと有機系重合粒子とからなるポリテトラフルオロエチ
    レン含有混合粉体を0.01〜15重量部添加してなる
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂(A)99.5〜50重量%
    と液晶性樹脂(B)0.5〜50重量%とからなる樹脂
    組成物100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレ
    ンと有機系重合粒子とからなるポリテトラフルオロエチ
    レン含有混合粉体を0.01〜15重量部およびリン酸
    エステルを0.1〜30重量部添加してなることを特徴
    とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】該熱可塑性樹脂(A)が、ポリカーボネー
    ト系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】該熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度の
    変化率が、該ポリカーボネート系樹脂単体のガラス転移
    温度に対して5%未満であることを特徴とする請求項1
    または3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】該熱可塑性樹脂において液晶性樹脂(B)
    未配合の樹脂組成物のガラス転移温度(℃)に対する液
    晶性樹脂(B)配合後の樹脂組成物のガラス転移温度
    (℃)の変化率が5%未満であることを特徴とする請求
    項2または4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】該熱可塑性樹脂(A)成分と該液晶性樹脂
    (B)成分の合計100重量部に対して、充填剤を0.
    5〜300重量部含有してなる請求項1〜5のいずれか
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】該液晶性樹脂(B)が、下記構造単位
    (I)、(II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステ
    ルである請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    組成物。 【化1】 (ただし式中のR1は 【化2】 から選ばれた1種以上の基を示し、R2は 【化3】 から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素
    原子または塩素原子を示す。)
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか記載の熱可塑性樹
    脂組成物からなり、かつ、ネジ挿入部分を有することを
    特徴とする成形品。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の成形品を用いて構成され
    ていることを特徴とするシャーシまたは筐体。
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