JP2006335886A - 光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光反射板 - Google Patents

光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光反射板 Download PDF

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)5〜30重量部、リン酸エステル(C)1〜15重量部、エチレン−オクテン共重合体(D)0.1〜5重量部、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)0.01〜2重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびこれを成形してなる光反射板。
【効果】本発明の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、塩素、臭素化合物等からなるハロゲン系難燃剤を含まないことから、燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを含むガスの発生がなく、環境面に配慮した材料であり、かつ高度な難燃性と光反射性を具備するのみならず、優れた耐薬品性および流動性を有しており、とりわけ液晶バックライト用途等の反射板素材として好適に用いることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂、酸化チタン、リン酸エステル、エチレン−オクテン共重合体および特定のポリテトラフルオロエチレンよりなる光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびこれを形成してなる光反射板に関する。本発明に係わるポリカーボネート樹脂組成物は光反射性に優れ、さらには、難燃性や耐薬品性、耐熱性にも優れていることから、特に液晶バックライト等の光反射板に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、機械、自動車などの分野に広く用いられている。一方、ポリカーボネート樹脂が有するこれらの優れた性能に加えて、電気、電子、OA分野では安全上の要求を満たすため、高い難燃性を具備した材料が求められている。そこで、最近ではポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来から使用されてきた有機臭素化合物などに替わって、より環境面への影響を配慮したリン系難燃剤を使用する難燃化の方法が種々提案され、採用されつつある。また、液晶バックライト等の光反射板の用途においても同様の状況である。(例えば、特許文献1、2参照)
特開平10−1600号公報 特許3563711号公報
一方、ポリカーボネート樹脂に酸化チタン、リン系難燃剤、ポリテトラフルオロエチレンを配合した光反射性難燃樹脂組成物にあっては、ベースとなる樹脂がポリカーボネート樹脂であるが故に、耐薬品性に劣るといった点が指摘されている。例えば、パーソナルコンピューターのディスプレイをOAクリーナー等で洗浄した際に、当該クリーナーの溶媒蒸気が光反射板をアタックし、これに環境応力亀裂を発生させるといった事例も報告されており、製品安全の観点から、こういった問題点の改善が強く望まれてきた。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に、酸化チタン、リン系難燃剤、特定構造のオレフィン系重合体、ならびにポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を特定量配合することにより、驚くべきことに、高度の光反射性の維持、耐薬品性の飛躍的向上、さらには薄肉での難燃化等が同時に達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)5〜30重量部、リン酸エステル(C)1〜15重量部、エチレン−オクテン共重合体(D)0.1〜5重量部、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)0.01〜2重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる光反射板を提供するものである。
本発明の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、塩素、臭素化合物等からなるハロゲン系難燃剤を含まないことから、燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを含むガスの発生がなく、環境面に配慮した材料であり、かつ高度な難燃性と光反射性を具備するのみならず、優れた耐薬品性および流動性を有しており、とりわけ液晶バックライト用途等の反射板素材として好適に用いることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独または2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは16000〜19000である。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明で使用される酸化チタン(B)としては、塩素法、硫酸法どちらで製造されたものでもよく、その結晶形態としてはルチル型、アナターゼ型又はイタチタン石型のいずれであっても構わない。また、酸化チタンの粒径としては特に限定するものではないが、0.1〜0.5μm程度のものが好適に使用できる。
酸化チタン(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり5〜30重量部である。配合量が5重量部未満では光反射性に劣り、また30重量部を超えると外観、難燃性、機械的強度等が悪化するので好ましくない。より好適には 8〜25重量部、さらに好適には11〜20重量部の範囲である。
本発明のリン酸エステル(C)は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
Figure 2006335886
一般式(1)において、式中Ar1〜4は、各々、同一もしくは相異なる1価の芳香族基であり、フェニル基、クレジル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基等が挙げられる。また、Xは2価のフェノール類より誘導される芳香族基であり、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチルカテコール、2−tert−ブチルヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシルフェニル)スルホン等が挙げられる。これらの、2価のフェノールは、レゾルシノール、ヒドロキノール、ビスフェノールAが好ましく、更には、レゾルシノールやビスフェノールAがより好適である。該ポリホスフェートは、これら2価のフェノール類およびAr・OHで表される1価のフェノール類と、オキシ塩化燐との反応によって得ることが出来る。また、一般式(1)中、nは1から5のいずれかの整数を表す。
上記、リン酸エステル(C)にはフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・ヒドロキノンポリホスフェート、クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノ−ルA型)ポリホスフェート、クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、フェニル・クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、キシリル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・p−t−ブチルフェニルレゾルシン・ポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート、クレジルキシリルレゾルシンポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルジイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート等が例として挙げられる。これらは市販品として容易に入手可能である。
リン酸エステル(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、1〜15重量部である。配合量が1重量部未満では十分な難燃性が得られないので好ましくない。一方、15重量部を超えると耐熱性や機械的物性が大きく損なわれるので好ましくない。好ましくは2〜12重量部、さらに好ましくは4〜10重量部である。
本発明にて使用されるエチレン−オクテン共重合体(D)としては、主鎖が線状エチレンポリマーであり、側鎖にオクテンポリマーが結合した共重合体である。この種の共重合体は例えば米国特許第3645992号、同第4937279号、同第4701482号、同第4937301号、同第4935397号、同第5055438号、欧州特許第129368号、同第260995号、及びWO/07526に開示されている。また、エチレン−オクテン共重合体(D)は、例えばデュポン・ダウ・エラストマー社製のエンゲージが上市されており、容易に入手できる。
エチレン−オクテン共重合体(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲である。配合量が0.1重量部未満では、環境応力亀裂の発生防止が十分でないため好ましくなく、5重量部を超えると表層剥離が発生することがあり、また、十分な難燃性が得られないため好ましくない。より好適には、1〜3重量部の範囲である。
本発明にて使用されるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)は粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるものであり、ポリテトラフルオロエチレンは粒子径が10μmを超え凝集体となっていないものが好ましい。さらに、ポリカーボネート樹脂に配合した際の分散性の観点から、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、ビニル単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものが好適に使用される。本発明に係わるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)を得るために用いる、粒子径0.05〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。
ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン30J等を代表例として挙げることができる。
本発明に係わるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)を得るために用いる有機系重合体粒子水性分散液は、ビニル単量体を乳化重合等の公知の方法により重合させることにより得ることができる。
有機系重合体粒子水性分散液を得るために用いるビニル単量体および、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で重合させるビニル単量体としては特に制限されるものではないが、ポリカーボネート樹脂(A)に配合する際の分散性の観点からポリカーボネート樹脂(A)との親和性が高いものであることが好ましい。
これらビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
これらの単量体の中でポリカーボネート樹脂(A)との親和性の観点から好ましいものとして、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。特に好ましいものとして、スチレン、アクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1重量%〜90%重量であることが好ましい。0.1重量%未満であると難燃性の改良効果が不十分となり、90重量%を超えると表面外観に悪影響を及ぼす場合がある。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)は、その水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレードライにより粉体化することができる。
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないためにポリカーボネート樹脂(A)に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレンがポリカーボネート中で効率よく微細繊維化しており、難燃性が優れる上に、表面性、衝撃特性にも優れるものとなる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.01〜2重量部である。0.01重量部未満ではドリッピング防止効果に劣るため難燃性が得られにくいので好ましくない。また2重量部を超えると耐衝撃性や表面外観等が低下するので好ましくない。好ましくは0.1〜1.5重量部、より好ましくは0.7〜1.3重量部の範囲である。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポリオルガノ水素シロキサン、充填材、離型剤、軟化材、帯電防止剤、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)等の添加剤、他のポリマーを配合しても良い。
充填材としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレイ粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉、アルミナ粉等が挙げられる。
他のポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、さらにポリカーボネートとアロイ化して通常使用されるポリマーが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン(B)、リン酸エステル(C)、エチレン−オクテン共重合体(D)並びにポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)を混合する方法や順序には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等で混合し、通常の一軸またはニ軸押出機等で容易に溶融混練することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は断りのない限り重量基準に基づく。
実施例にて使用された材料の詳細は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製カリバー200−20(分子量:18600、以下PCと略記)
酸化チタン:
クロノス・インターナショナル社製S2230(以下TiO2と略記)
リン酸エステル:
大八化学工業社製 CR741(以下Pと略記)
エチレン―オクテン共重合体:
デュポン・ダウ・エラストマー社製エンゲージ8407(以下EOと略記)
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体:
三菱レイヨン社製メタブレンA3800(以下PTFEと略記)
前述の各種材料を表2〜3に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼製KTX37)を用いて、溶融温度250℃にて溶融混練し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを用いて、射出成形機(日本製鋼社製J100E−C5)にて溶融温度270℃の条件下、ASTM仕様の機械物性評価用試験片、長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片、UL94燃焼性評価用の試験片(1.6mm厚み)等を作成した。
評価方法はそれぞれ下記のとおりである。
1.燃焼性
下記のUL94V垂直燃焼試験法に準拠して燃焼性を評価した。
該試験片を温度23℃湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、アンダーライタ
ーズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料
の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持し
た所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリッ
プ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
Figure 2006335886
上に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が有炎燃焼を続ける時間の長
さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある
標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによ
り決定される。
評価の基準は、1.6mm厚さの試験においてV−0を合格とした。
2.光反射性
長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片の厚み
1mmの部分につき波長400〜800nmにおけるY値を分光光度計(村上色彩
技術研究所製CMS−35SP)により測定した。Y値が90%以上となるものを
合格とした。
3.加重たわみ温度(HDT)
東洋精機社製のゼミオート式HDTテスターを用いて、ASTM D648に準拠
し、HDTを測定した。HDTが105℃以上を合格とした。
<条件>
試験片厚み:3.2mm、ファイバーストレス:18.6Kg/cm2、試験片の
アニール:なし
4.耐薬品性
図1に示すカンチレバー式の環境応力亀裂試験機に試験片(サイズ:125(長さ
)×13(幅)×3.2(厚み)mm)をセットし、試験片に27mmのたわみを
与え、試験片表面に応力を発生させる。そして、この試験片表面に薬品(コクヨ社
製OAクリーナー・EAS−CL−S)を 塗布し、25℃の室内にて24時間静置
する。その後、試験片上のクラックの有無を目視により確認した。
なお薬品は、下記のように塗布した。
5×5mmのペーパータオルに薬品を含浸させ、図1に示すカンチレバー式の
環境応力亀裂試験機に固定した試験片上に貼り付ける。貼り付けた位置は、図
1のXが8cmのポイントである。
また、X:8cmのポイントに発生する歪(ε)レベルは約1%であり、下記
式により求めた。
ε=0.15×[h:試験片厚み(cm)]×[δ:たわみ量(cm)]
×[X:クラックの入った位置(cm)]
クラック発生なし:○を合格とし、クラック発生あり:×を不合格とした。
結果を表2〜3に示す。
Figure 2006335886
Figure 2006335886
注.難燃性:NRは難燃性がどのクラスにも属さない。
実施例1〜5に示すように、本発明の必須成分および各配合成分の配合量の規定値範囲を満足するものについては、難燃性、光反射性、耐薬品性、HDT等全ての性能の規格を満たしていた。一方、比較例1〜4に示すように、本発明の必須成分および各配合成分の配合量の規定値範囲を満足しないものについては、それぞれ欠点を有していた。
比較例1においては、本発明のエチレン−オクテン共重合体(D)が規定範囲の下限よりさらに少ない場合であり、耐薬品性が規格を満足しなかった。
比較例2においては、本発明のエチレン−オクテン共重合体(D)が規定範囲の上限を超えている場合であり、難燃性が規格を満足しなかった。
比較例3においては、本発明のリン酸エステル(C)が規定範囲の上限を超えている場合であり、加重たわみ温度(HDT)が規格を満足しなかった。
比較例4においては、本発明の酸化チタン(B)の配合量が規定範囲の下限より少ない場合であり、光反射性が規格を満足しなかった。
カンチレバー式環境応力亀裂試験機の模式図である。
符号の説明
δ:たわみ量
h:試験片の厚み
X:クラックの入った位置
l:たわみを与えられた長さ




Claims (2)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)5〜30重量部、リン酸エステル(C)1〜15重量部、エチレン−オクテン共重合体(D)0.1〜5重量部、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(E)0.01〜2重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる液晶バックライト用光反射板。




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