JP2001031860A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物および該組成物から形成されてなる印刷機器の内部機構部品 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物および該組成物から形成されてなる印刷機器の内部機構部品

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JP2001031860A
JP2001031860A JP20895499A JP20895499A JP2001031860A JP 2001031860 A JP2001031860 A JP 2001031860A JP 20895499 A JP20895499 A JP 20895499A JP 20895499 A JP20895499 A JP 20895499A JP 2001031860 A JP2001031860 A JP 2001031860A
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JP20895499A
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English (en)
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Tetsushi Ono
哲志 小野
Yoshikazu Niide
義和 新出
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 難燃性、耐衝撃性、耐湿熱性に優れた難燃性
熱可塑性樹脂組成物に関し、加えて、かかる難燃性、耐
衝撃性、耐湿熱性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物か
ら形成されてなる印刷機器の内部機構部品を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)
86.7〜35重量%、ポリアルキレンテレフタレート
樹脂(b成分)10〜40重量%、安定化赤リン(c成
分)0.1〜10重量%、ゴム質重合体(d成分)1〜
10重量%、フィブリル形成能を有するポリテトラフル
オロエチレン(e成分)0.1〜1重量%およびケイ酸
塩を主成分とする無機化合物(f成分)0.1〜35重
量%の合計100重量%からなる熱可塑性樹脂組成物、
およびかかる難燃性熱可塑性樹脂組成物から形成されて
なる印刷機器の内部機構部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、安定化赤リン、ポリテトラ
フルオロエチレン、複合ゴム系グラフト共重合体および
/またはアクリル系グラフト共重合体、ケイ酸塩を主成
分とする無機化合物からなり、該赤リンが芳香族ポリカ
ーボネート樹脂および/またはポリエチレンテレフタレ
ート樹脂でマスター化された安定化赤リンマスターペレ
ットにより配合された難燃性熱可塑性樹脂組成物、およ
び該組成物から形成されてなる印刷機器の内部機構部品
に関する。詳しくは、難燃性、耐衝撃性に加えて耐湿熱
性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物に関し、更にかか
る難燃性、耐衝撃性、耐湿熱性に優れた難燃性熱可塑性
樹脂組成物から形成されてなる印刷機器の内部機構部品
に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエチ
レンテレフタレート樹脂に代表されるポリアルキレンテ
レフタレート樹脂とからなる樹脂組成物は、耐薬品性、
耐衝撃性に優れる材料として種々の研究がなされ、自動
車分野、OA分野などの種々の分野に幅広く使用されて
いる。
【0003】このOA分野で使用されるOA機器の内、
レーザービームプリンター(LBP)、複写機等の印刷
機器では通常、感光ドラムを使用してトナーを印刷紙に
転写した後、高温下でそのトナーを印刷紙に定着させて
印刷するというプロセスを踏んで印刷するが、印刷紙が
元々水分を含んでいる為に、印刷機器の定着ユニット、
排風機、排紙ガイドなどの定着プロセス以降の内部機構
部品は、極めて高温・高湿な環境下に曝されることにな
る。
【0004】芳香族ポリカーボネート樹脂とポリアルキ
レンテレフタレート樹脂からなる樹脂組成物では通常、
溶融混練するとポリアルキレンテレフタレート樹脂中に
残存する重合触媒がエステル交換反応を引き起こすた
め、重合触媒を失活させる安定剤としてリン酸エステル
系、或いは亜リン酸エステル系などのリン系安定剤を配
合する手法(特開昭52−111956号)が取られて
いる。しかし、これらのリン系安定剤は加水分解し易い
ため、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリアルキレンテ
レフタレート樹脂の組成物からなる成形品を高温高湿下
において処理すると、配合したリン系安定剤が加水分解
し芳香族ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合、あ
るいはポリアルキレンテレフタレート樹脂のエステル結
合の加水分解を促進させて成形品の強度を高温高湿処理
前に比べて著しく低下させるなどの問題があり、これら
LBP、複写機などの印刷機器の定着ユニット、排風
機、排紙ガイドなどの内部機構部品として使用すること
ができなかった。
【0005】また、印刷機器の内部機構部品に使用され
る熱可塑性樹脂材料においてはUL−94規格V−0
(米国アンダーライターズラボラトリー規格)に適合す
るような高度な難燃性が要求される例が多く、樹脂材料
としては難燃性の樹脂材料が広く使用されている。これ
ら樹脂材料の難燃化に際して従来、最も広く行なわれて
いるのはハロゲン系化合物、リン化合物、無機水和物な
どを配合する方法が挙げられる。ところが近年、欧州を
中心に環境問題に関する関心の高まりから非ハロゲン系
難燃剤が注目されており、その中でリン化合物、とりわ
け耐熱性が重視される用途に関しては赤リン系の難燃剤
が注目されている。
【0006】しかしながら、リン化合物を配合した樹脂
組成物では、上記の如くリン化合物の加水分解が発生す
るため、高温高湿下で使用される部品においては適用が
より困難であるとの問題を含んでいた。すなわち、芳香
族ポリカーボネート樹脂とポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂からなる非ハロゲン系難燃樹脂組成物において
は、高温高湿下においても使用可能な樹脂組成物が求め
られているものの、かかる要求を十分に満足する難燃性
樹脂組成物は得られていないのが現状である。
【0007】このような問題を解決するために、例えば
特開平10−237295号公報には芳香族ポリカーボ
ネート樹脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂からな
る樹脂組成物にケイ酸アルミニウムを主成分とする無機
化合物を配合することが提案されている。かかる配合に
より、高温高湿下での加水分解は著しく抑制できるもの
の、更に難燃剤としてリン化合物を多量に配合した場合
には、印刷機器の内部機構部品に要求される高温高湿下
での強度低下抑制に対して十分とはいえないところがあ
った。
【0008】特開平11−12454号公報にはポリカ
ーボネート系樹脂およびポリエチレンテレフタレート系
樹脂からなる熱可塑性樹脂に対し、ポリカーボネート系
樹脂および/またはポリエチレンテレフタレート系樹脂
でマスターバッチ化された安定化赤リンを使用すること
が提案されており、外観等が向上することが記載されて
いる。しかしながらかかる公報に記載の樹脂組成物では
やはり印刷機器の内部機構部品に要求される高温高湿下
での強度低下抑制に対しては、不十分であった。
【0009】更にWO97/38051号には芳香族ポ
リカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹
脂、安定化赤リン、およびケイ酸塩化合物からなる樹脂
組成物、および更にポリテトラフルオロエチレンやゴム
成分を配合した樹脂組成物の記載がある。しかしながら
かかる樹脂組成物であっても、印刷機器の内部機構部品
に要求される高温高湿下での強度低下抑制に対しては、
不十分であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、難燃
性、耐衝撃性に加え、耐湿熱性に優れた難燃性熱可塑性
樹脂組成物および該組成物から形成されてなる印刷機器
の内部機構部品を提供することにある。本発明者は、上
記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリ
カーボネート樹脂、ポリアルキレンフタレート樹脂、安
定化赤リン、ゴム成分、ポリテトラフルオロエチレン、
およびケイ酸塩を主成分とする無機化合物からなる熱可
塑性樹脂組成物において、ポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂を特定の割合からなるポリエチレンテレフタレー
ト樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の混合物と
し、安定化赤リンを芳香族ポリカーボネート樹脂および
/またはポリエチレンテレフタレート樹脂で予め溶融混
練し、更にゴム質重合体を特定のものとすることで上記
目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(a成分)86.7〜35重量%、ポリ
アルキレンテレフタレート樹脂(b成分)10〜40重
量%、安定化赤リン(c成分)0.1〜5重量%、ゴム
質重合体(d成分)3〜10重量%、フィブリル形成能
を有するポリテトラフルオロエチレン(e成分)0.1
〜1重量%およびケイ酸塩を主成分とする無機化合物
(f成分)0.1〜35重量%の合計100重量%から
なる熱可塑性樹脂組成物において、(1)該b成分がポ
リエチレンテレフタレート樹脂(b−1)およびポリブ
チレンテレフタレート樹脂(b−2)からなり、(b−
1)と(b−2)の割合が重量比で95/5〜60/4
0であり、(2)該c成分が、芳香族ポリカーボネート
樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂から選択さ
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂80〜95重量%お
よび安定化赤リン5〜20重量%の合計100重量%を
予め溶融混練することにより配合され、(3)該d成分
がポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互
に絡み合った構造を有している複合ゴムに少なくとも一
種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系
グラフト共重合体、該複合ゴム系グラフト共重合体とビ
ニル系共重合体の混合物、およびアクリル系グラフト共
重合体から選択された少なくとも1種以上のゴム質重合
体であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物、
および該組成物から形成されてなる印刷機器の内部機構
部品に係るものである。
【0012】本発明のa成分として使用される、および
c成分の配合においてマスター化に使用される芳香族ポ
リカーボネート樹脂は、通常2価フェノールとカーボネ
ート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反
応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマー
を固相エステル交換法により重合させたもの、または環
状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得
られるものである。2価フェノールの代表的な例を挙げ
ると、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチルフェニル)プロパン、2,2−(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフォン等があげられる。好ましい2
価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカ
ン、特にビスフェノールAを主原料とするものである。
また、カーボネート前駆体としてはカルボニルハライ
ド、カルボニルエステルまたはハロホルメート等が挙げ
られ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、
2価フェノールのジハロホルメートおよびそれらの混合
物である。ポリカーボネート樹脂を製造するに当たり、
前記2価フェノールを単独でまたは2種以上を使用する
ことができる。かくして得られた芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。かかる芳
香族ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって、適当
な分子量調節剤、分岐剤、反応を促進するための触媒な
どを使用してもよい。
【0013】分岐剤としては、例えばフロログルシン、
フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6
−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2,
2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4
−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−
α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノ
ール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビ
ス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼ
ン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等
が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、
特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タンが好ましい。
【0014】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特
定されないが、分子量が10,000未満であると高温
特性等が低下し、50,000を超えると成形加工性が
低下するようになるので、粘度平均分子量で表して1
0,000〜50,000のものが好ましく、15,0
00〜30,000のものが特に好ましい。また、芳香
族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支
えない。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン1
00mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶
解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して
求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c (但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0015】次に芳香族ポリカーボネート樹脂を製造す
る基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物
質としてホスゲンを用いる界面重縮合法では、通常酸結
合剤および有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤と
しては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のア
ルカリ金属の水酸化物、またはピリジン等のアミン化合
物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレ
ン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられ
る。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級
アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調
節剤としては例えばフェノールやp−tert−ブチル
フェノールのようなアルキル置換フェノールおよび4−
(2−フェニルイソプロピル)フェノールのようなアル
アルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが
望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10
分〜5時間、反応中のpHは9以上に保つのが好まし
い。尚、結果として得られた分子鎖末端の全てが末端停
止剤に由来の構造を有する必要はない。
【0016】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
ス雰囲気下に所定割合の2価フェノール成分および必要
に応じて分岐剤等を炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌
して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出さ
せる方法により行われる。反応温度は生成するアルコー
ルまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常1
20〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧
にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出さ
せながら反応を完結させる。また反応を促進するため
に、アルカリ金属化合物や含窒素塩基性化合物等の現在
公知のエステル交換反応に使用される触媒を使用するこ
ともできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジ
エステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジ
ナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ
ブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特に
ジフェニルカーボネートが好ましい。また末端停止剤と
してジフェニルカーボネートやメチル(2−フェニルオ
キシカルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレート等
を、反応の初期段階でまたは反応の途中段階で添加する
こと、および反応終了直前に従来公知の各種触媒失活剤
を添加することも好ましく行われる。
【0017】本発明のa成分の芳香族ポリカーボネート
は、上記芳香族ポリカーボネート樹脂であって、かつ実
質的にハロゲン原子を含まないものである。実質的にハ
ロゲン原子を含まないとは、上記の製造方法以外に更に
ハロゲン系難燃剤の如く、ハロゲン原子を含有する化合
物を配合しないことをいい、上記芳香族ポリカーボネー
トの製造方法において残留する微量の塩素系溶媒他まで
も対象とするものではない。
【0018】本発明のb成分において使用されるポリア
ルキレンテレフタレートのうち、(b−1)として使用
される、またはc成分のマスター化に使用されるポリエ
チレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいは
その誘導体と、エチレングリコールあるいはその誘導体
とから重縮合反応により得られる樹脂であるが、本発明
の目的を損なわない範囲で、他のジカルボン酸、グリコ
ールを共重合することが可能である。(b−1)とc成
分に使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂とは同
一であっても異なっていてもよい。
【0019】本発明のb成分において使用されるポリア
ルキレンテレフタレートのうち、(b−2)として使用
されるポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタ
ル酸あるいはその誘導体と、1,4−ブタンジオールあ
るいはその誘導体とから重縮合反応により得られる樹脂
であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、他のジカ
ルボン酸、グリコールを共重合することが可能である。
【0020】共重合可能なジカルボン酸としては、イソ
フタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロ
テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチ
ルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン
酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メ
タン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シク
ロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカル
ボン酸を挙げることができる。これら共重合可能なジカ
ルボン酸は単独でも、2種類以上混合しても用いること
ができる。
【0021】共重合可能なグリコールとしては、1,4
−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3
−プロパンジオール、トランス−またはシス−2,2,
4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオー
ル、p−キシレンジオール、ビスフェノールAなどを挙
げることができる。更に少量であれば、分子量400〜
6,000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリ
コール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール等を1種以上共重合してもよ
い。これら共重合可能なグリコールは単独でも、2種類
以上を混合しても用いることができる。
【0022】また本発明のポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂は少量の分岐剤を導入することにより分岐させる
ことができる。分岐剤の種類に制限はないがトリメシン
酸、トリメリチン酸、トリメチロールエタン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ
る。
【0023】また得られたポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂の末端基構造は特に限定されるものではなく、末
端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量
の場合の他、一方の割合が多い場合であってもよい。ま
たかかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応さ
せる等により、それらの末端基が封止されているもので
あってもよい。
【0024】本発明のポリアルキレンテレフタレート樹
脂の製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマ
ニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下
に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分
とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外
に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム
系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化
物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例
示でき、更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲ
ルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲル
マニウム等が例示できる。
【0025】また本発明では、従来公知の重縮合の前段
回であるエステル交換反応において使用される、マンガ
ン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せ
て使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸ま
たは亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させ
て重縮合することも可能である。
【0026】ポリアルキレンテレフタレート樹脂の分子
量については特に制限されないが、o−クロロフェノー
ルを溶媒としてで25℃で測定した固有粘度が0.4〜
1.2であるのが好ましく、特に好ましくは0.65〜
1.15である。
【0027】本発明のb成分においては、ポリエチレン
テレフタレート樹脂(b−1)とポリブチレンテレフタ
レート樹脂(b−2)の割合が重量比で、95/5〜6
0/40の範囲であることが必要であり、好ましくは9
0/10〜70/30、特に好ましくは85/15〜7
5/25の範囲である。
【0028】本発明でc成分として使用される安定化赤
リンとは、赤リン表面を熱硬化性樹脂、金属水酸化物、
および金属メッキから選択される少なくとも1種を用い
て表面被覆されたものであり、これらは単独で用いても
よく2種以上を組合わせて用いてもよい。また2種以上
組合わせて使用する場合には、組み合わせは特に限定さ
れず、例えば被覆剤の同じ2種以上のもの、被覆剤の異
なる2種以上のもの、および粒径の異なるものなどを任
意で組合わせることが可能である。かかる被覆材の被覆
割合としては、安定化赤リン100重量%中、1〜30
重量%であることが好ましい。かかる範囲においては、
被覆による安定化効果および耐湿熱性と、難燃性との両
立が良好に満足できる。
【0029】被覆剤として使用される熱硬化性樹脂の具
体例としては、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−
ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、エポ
キシ樹脂などを挙げることができる。
【0030】被覆剤として使用される金属水酸化物の具
体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウムなどが挙げられ
る。更に金属メッキは無電解メッキにより被覆すること
が可能であり、無電解メッキ被覆を形成し得る金属であ
れば、特に制限されるものではないが、特にNi、C
u、Co、Zn、Feおよびこれらの合金の中から選択
される金属メッキ被膜が好ましく、特にNiまたはその
合金を好ましく挙げることができる。
【0031】さらにかかる被覆は2種以上を組合わせ
て、あるいは2種以上を積層してもよく、例えば金属水
酸化物や金属メッキで被覆されたものの上に、熱硬化性
樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処理した安定化
赤リンなども好ましく使用できる。
【0032】本発明の安定化赤リンの平均粒径として
は、100μm以下であるものが使用でき、好ましくは
40μm以下である。100μmを超える場合には、成
形物の耐衝撃性、表面外観、難燃性が悪化する。一方下
限は0.5μm、好ましくは1μmである。粒径が小さ
いほど得られる成形物の耐衝撃性、外観および難燃性等
が向上するとの利点はあるが、0.5μm未満であると
取り扱いが困難となるため好ましくない。かかるマイク
ロカプセル化した赤リンの市販品としては、ノーバエク
セル140(燐化学工業(株)製:商品名)、ヒシガー
ドTP10(日本化学工業(株):商品名)、ホスタフ
ラムRP614(クラリアント・ジャパン(株)製:商
品名)等が挙げられる。
【0033】本発明はかかるc成分の安定化赤リンを、
芳香族ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテレフ
タレート樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性
樹脂80〜95重量%および該安定化赤リン5〜20重
量%の合計100重量%を予め溶融混練することにより
配合するもの、すなわち予め安定化赤リンが溶融混練さ
れた樹脂組成物を成分の1つとしてなるものである。
【0034】予め溶融混練する形態としては、かかる樹
脂および安定化赤リンを押出機等により溶融混練しマス
ターバッチ化する方法の他、複数の押出機等を結合する
ことにより芳香族ポリカーボネート樹脂およびポリエチ
レンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1種
の熱可塑性樹脂と安定化赤リンを溶融混練した樹脂組成
物を溶融状態で押出機等の溶融混練機内に導入する方
法、更には該熱可塑性樹脂と安定化赤リンを押出機の上
流部分で予備混練した後、残りの成分を供給する方法等
を挙げることができる。これらの中でも予め十分な溶融
混練が可能となる点などからマスターバッチ化する方法
を好ましく使用することができる。
【0035】本発明のd成分として使用されるゴム質重
合体は、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないよう
に相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに少なく
とも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合
ゴム系グラフト共重合体、該複合ゴム系グラフト共重合
体とビニル系共重合体の混合物、およびアクリル系グラ
フト共重合体から選択される少なくとも1種以上のもの
である。
【0036】かかるゴム系グラフト重合体の内、ポリオ
ルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アク
リレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合
った構造を有している複合ゴムに少なくとも一種のビニ
ル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト
共重合体は、まず3員環以上の各種の環状オルガノシロ
キサン例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ
ペンタシロキサンなどと、架橋剤および/またはグラフ
ト交叉剤を用いて乳化重合によりポリオルガノシロキサ
ンゴムのラテックスを調整し、次にアルキル(メタ)ア
クリレート単量体、架橋剤およびグラフト交叉剤とをポ
リオルガノシロキサンゴムのラテックスに含浸させてか
ら重合することによって得られる。
【0037】ここで用いるアルキル(メタ)アクリレー
ト単量体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル
アクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレートなどのアルキルメタクリレー
トが挙げられるが、特にn−ブチルアクリレートが好ま
しい。
【0038】この複合ゴムにグラフト重合させるビニル
系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなど
の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル化合物、メチルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのメタ
クリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、ブチルアクリレートなどのアクリル酸エステル
を挙げることができ、これらは単独でまたは二種以上組
み合わせて用いられる。この複合ゴム系グラフト共重合
体中のポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分の架橋網目が相互に絡ん
だ構造を有しているためそれぞれのゴム成分はアセトン
やトルエンなどの通常の有機溶媒では分離・抽出できな
いものであり、またかかる構造を有しているためこれを
配合することにより衝撃強度の優れた成形品を得ること
ができる。ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分の割合は、両ゴム成
分の合計量を100重量%とすると、ポリオルガノシロ
キサンゴム成分10〜90重量%とポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分90〜10重量%の範囲を取
ることができる。また、複合ゴムの平均粒径は、通常
0.08〜0.6μm程度である。
【0039】更にかかる複合ゴム系グラフト共重合体
と、ビニル系共重合体の混合物も本発明のd成分として
使用可能である。ビニル系共重合体におけるビニル系単
量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのシアン化ビニル化合物、メチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのメタクリ
ル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレートなどのアクリル酸エステルを挙
げることができる。
【0040】複合ゴム系グラフト共重合体は市販品とし
て三菱レイヨン(株)製メタブレンS−2001、SR
K−200等があり、容易に入手できる。
【0041】また、本発明のd成分におけるアクリル系
グラフト共重合体としては、いわゆるMBS樹脂および
アクリル酸エステル系コア−シェルグラフト共重合体を
挙げることができ、ゴム成分を50重量%以上含有する
ものを好ましく挙げることができる。
【0042】ここで、MBS樹脂とは、ポリブタジエン
やブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴム
質重合体にメタクリル酸エステルを必須成分とし、更に
必要に応じて芳香族ビニル化合物、アクリル酸エステル
およびシアン化ビニル化合物の一種以上を塊状重合、懸
濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合あるいは乳化重合等の
方法、特に乳化重合の方法でグラフト重合してなるもの
である。ここにブタジエン系重合体の使用量は、50〜
85重量%、好ましくは55〜75重量%であり、ブタ
ジエン系重合体が共重合体の場合には、該共重合体中の
ブタジエン成分が50重量%以上であるものを用いるの
が好ましい。ブタジエン成分の量が50重量%未満では
得られる組成物の耐衝撃性が低く、85重量%を超える
と得られる組成物の難燃性が低下するため好ましくな
い。ここでメタクリル酸エステルとしては、メチルメタ
クリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート
等の炭素数1〜4のアルキルエステルを挙げることがで
き、特にメチルメタクリレートが好ましい。芳香族ビニ
ル化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メ
チルスチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好
ましい。アクリル酸エステルとしてはメチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどをあ
げることができる。シアン化ビニル化合物としては、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリルを挙げることがで
きる。
【0043】上記の中でも、メタクリル酸エステルと芳
香族ビニル化合物の組み合わせおよびメタクリル酸エス
テルとアクリル酸エステルとの組み合わせが好ましく、
特にメチルメタクリレートとアクリル酸エステルの組合
わせが好ましい。かかるグラフト共重合体は市販品とし
ては呉羽化学工業(株)製パラロイドEXL2602等
があり、容易に入手できる。
【0044】本発明でいうアクリル酸エステル系コア−
シェルグラフト共重合体とは、アクリル酸アルキルエス
テル単位60〜90重量%およびブタジエン単位10〜
40重量%の合計100重量%を含有するゴムラテック
スからなるコア50〜75重量部に対して、芳香族モノ
ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、メタクリル酸エ
ステルの中から選ばれたモノマーの1種または2種以上
よりなる混合物を、1段または2段以上のグラフト重合
によりグラフトさせてなるシェル25〜50重量部から
なり、かかるコアとシェルの合計が100重量部となる
ものである。
【0045】かかるアクリル酸エステル系コア−シェル
グラフト共重合体に使用するアクリル酸エステルは、ア
ルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸エステルで
あり、例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレ
ート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等を挙げることが
できる。これらの中でもブチルアクリレートや2−エチ
ルヘキシルアクリレートが好ましく用いられ、特に2−
エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0046】また、アクリル酸エステル系コア−シェル
グラフト共重合体に使用する芳香族モノビニル化合物と
しては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ンを挙げることができ、特にスチレンが好ましい。シア
ン化ビニル化合物としては、アクリロニトリルおよびメ
タクリロニトリルを挙げることができ、特にアクリロニ
トリルが好ましい。
【0047】更に、アクリル酸エステル系コア−シェル
グラフト共重合体に使用するメタクリル酸エステルと
は、メタクリル酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを
いい、例えば、メチルメタクリレートやプロピルメタク
リレート、ブチルメタクリレートを挙げることができ、
特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0048】本発明で使用するアクリル酸エステル系コ
ア−シェルグラフト共重合体は、乳化重合法によりコア
およびそれに1段または2段以上でよりグラフト重合し
たシェルからなるコア−シェルグラフト共重合体であ
り、コアおよびシェルの合計100重量部中コア50〜
75重量部およびシェル50〜25重量部、好ましくは
コア50〜70重量部およびシェル50〜30重量部か
らなるものである。更にかかるコアの平均粒径としては
0.08〜0.25μmが好ましく、より好ましくは
0.13〜0.20μmからなるものである。
【0049】またかかるコアには、コア全量中20重量
%以下の範囲で、他の共重合可能なモノマー、好ましく
はメチルメタクリレートおよび/またはスチレン、特に
好ましくはメチルメタクリレートの単位を共重合するこ
ともできる。
【0050】またかかるシェルは、芳香族モノビニル化
合物、シアン化ビニル化合物、メタクリル酸エステルの
中から選ばれたモノマーの1種または2種以上の混合物
からなるものであるが、特に芳香族モノビニル化合物お
よびメタクリル酸エステルを含むものが好ましい。ここ
でシェルにおける各モノマーの割合としては、該シェル
の全量100重量%中メタクリル酸エステルが45〜8
0重量%であることが好ましく、より好ましくは55〜
70重量%である。したがって芳香族モノビニル化合
物、またはシアン化ビニル化合物を含有する場合は芳香
族モノビニル化合物およびシアン化ビニル化合物の合計
が20〜55重量%が好ましく、より好ましくは30〜
45重量%である。更にシアン化ビニル化合物を含有す
る場合はかかるシアン化ビニル化合物が芳香族モノビニ
ル化合物との合計100重量%中20〜35重量%が好
ましく、より好ましくは22〜30重量%である。
【0051】更に本発明のアクリル酸エステルコア−シ
ェルグラフト共重合体として好ましいものとしては、シ
ェルが2段のグラフト重合からなり、第1グラフト成分
が芳香族モノビニル化合物およびメタクリル酸エステル
の混合物、または芳香族モノビニル化合物、シアン化ビ
ニル化合物およびメタクリル酸エステルの混合物のいず
れかからなるものであり、更に第2グラフト成分がメタ
クリル酸エステルからなるものであって、かつシェル成
分の合計100重量%中第1グラフト成分が40〜75
重量%および第2グラフト成分が25〜60重量%が好
ましく使用できる。第1グラフト成分が42〜70重量
%および第2グラフト成分が30〜58重量%であるも
のがより好ましい。
【0052】更に本発明のアクリル酸エステルコア−シ
ェルグラフト共重合体は、かかるコアおよび各段階のシ
ェルを重合するに際し、上記に示したモノマー成分の他
に、少量の架橋性モノマーを混合し重合してなるもので
ある。ここで架橋性モノマーの量としては、コアの重合
においてはかかるコアの重合に使用するモノマーの合計
100重量%に対し0.01〜3重量%、各段階のシェ
ルの重合においてはかかる各段階のモノマー100の合
計100重量%に対し0.01〜2重量%である。
【0053】ここでコアの重合の際に使用する架橋性モ
ノマーとしては、好ましくは、分子内に二個以上の重合
性エチレン性不飽和結合を有するモノマーが用いられ
る。具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン等の芳
香族ジビニルモノマー、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、オリゴ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることが
できる。これらのなかではエチレングリコールジメタク
リレート、ジビニルベンゼンが好ましく用いられる。
【0054】シェルの重合に使用する架橋性モノマーと
しては、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジアク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレート等が好まし
く用いられ、なかでも、特にエチレングリコールジメタ
クリレート、ジビニルベンゼンが好ましく用いられる。
【0055】かかるアクリル酸エステル系コア−シェル
グラフト共重合体として、呉羽化学工業(株)から商品
名「HIA−15」「HIA−28」「HIA−30」
として市販されている樹脂が好適に用いられる。
【0056】かかるd成分のなかでも、ポリオルガノシ
ロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造
を有している複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体
がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合
体、および該複合ゴム系グラフト共重合体とビニル系共
重合体の混合物は、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
の耐湿熱性をより良好とすることができるため特に好ま
しく使用することができる。
【0057】本発明のe成分として使用されるフィブリ
ル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとして
は、重合体中に容易に分散し、且つ重合体同士を結合し
て繊維状材料を作る傾向を示すものである。フィブリル
形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM
規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有す
るポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・
デュポンフロロケミカル(株)よりテフロン6Jまたは
テフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業
(株)よりポリフロンF−201LまたはポリフロンF
A500として市販されている。
【0058】かかるポリテトラフルオロエチレンは、通
常の固体形状の他、水性エマルジョン、およびディスパ
ージョン形態のものも使用可能である。またかかるフィ
ブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとし
て、樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な外観およ
び機械的特性を得るために、ポリテトラフルオロエチレ
ンと他の重合体との共沈殿することにより、またはポリ
テトラフルオロエチレン存在下で他の重合体を重合する
ことにより得られたポリテトラフルオロエチレン含有物
を使用することも可能である。
【0059】ここでポリテトラフルオロエチレン含有物
に使用される重合体としては、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹
脂、MBS樹脂、MABS樹脂、ASA樹脂、ポリメチ
ル(メタ)アクリレート、スチレンおよびブタジエンか
らなるブロック共重合体およびその水添共重合体、スチ
レンおよびイソプレンからなるブロック共重合体、およ
びその水添共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およ
びブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重
合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィ
ンの共重合体、エチレン−ブチルアクリレート等のエチ
レン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、ブチル
アクリレート−ブタジエン等のアクリル酸エステル−ブ
タジエン共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート
等のゴム質重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリ
アルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、更にか
かる複合ゴムにスチレン、アクリロニトリル、ポリアル
キルメタクリレート等のビニル系単量体をグラフトした
共重合体等のビニル系重合体、および芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を挙げることができる。
【0060】これらのなかでも本発明のa成分との相溶
性の観点から、ポリスチレン、HIPS、ABS樹脂、
ASA樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリオルガノ
シロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを
含む複合ゴム、更にかかる複合ゴムにスチレン、アクリ
ロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等のビニル系
単量体をグラフトした共重合体、および芳香族ポリカー
ボネート樹脂が好ましい。
【0061】共沈殿物を調整する場合は、平均粒子径
0.01〜1μm、特に0.05〜0.5μmを有する
重合体の水性エマルジョンを、平均粒子径0.05〜1
0μm、特に0.05〜1.0μmを有するポリテトラ
フルオロエチレンの水性エマルジョンと混合する。かか
るポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは、含フ
ッ素界面活性剤を用いる乳化重合でポリテトラフルオロ
エチレンを重合させることにより得られる。尚、かかる
乳化重合の際、ヘキサフルオロプロピレン等の他の共重
合成分をポリテトラフルオロエチレン全体の10重量%
以下で共重合させることも可能である。
【0062】共沈殿物の調整法としては、上記のエマル
ジョンを混合後、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等
の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させる
ことにより分離回収する製造法を好ましく挙げることが
できる。攪拌混合した熱水中への投入がより好ましい。
他にエマルジョン混合物中に水蒸気を注入および放出す
ることにより気化を達成して水および溶剤を同時に除去
する方法も好ましく挙げることができる。更に混合エマ
ルジョンをスプレー乾燥、凍結乾燥等の方法により回収
する方法も挙げることができる。
【0063】一方、ポリテトラフルオロエチレン存在下
で他の重合体を重合して得られるポリテトラフルオロエ
チレン含有物は、平均粒子径0.05〜10μm、特に
0.05〜1.0μmを有するポリテトラフルオロエチ
レンの水性エマルジョンの存在下に、上記ビニル系重合
体を乳化重合させることにより調整される。
【0064】尚、かかるポリテトラフルオロエチレン含
有物を得る際には、適当なポリテトラフルオロエチレン
のエマルジョンは通常40〜70重量%、特に50〜6
5重量%の固形分含量を有するものが好ましく使用され
る。更にポリテトラフルオロエチレン含有物中のポリテ
トラフルオロエチレンの割合は、5〜40重量%、特に
10〜30重量%のものが好ましく使用できる。
【0065】また、ポリテトラフルオロエチレン含有物
の形態は種々のものが使用可能であり、例えばポリテト
ラフルオロエチレン粒子の周りを重合体が取り囲んだ形
態、重合体の周りをポリテトラフルオロエチレンが取り
囲んだ形態、1つの粒子に対して、数個の粒子が凝集し
た形態などを挙げることができるが、ポリテトラフルオ
ロエチレン粒子の周りを重合体が取り囲んだ形態がより
好ましい。
【0066】更に、かかるポリテトラフルオロエチレン
含有物のさらに外層に、同じまたは別の種類のビニル系
単量体がグラフト重合したものも使用可能である。かか
るビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、アク
リロニトリル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを好ま
しく挙げることができ、これらは単独でもまた共重合す
ることも可能である。
【0067】上記のポリテトラフルオロエチレン含有物
としては、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A30
00」を市販品の代表例としてあげることができ、本発
明において好ましく使用できるものである。
【0068】本発明のf成分として使用するケイ酸塩を
主成分とする無機化合物とは、その構造中にケイ酸塩を
有し、層構造、あるいは三次元骨格を形成するものであ
る。層構造を形成するケイ酸塩を主成分とする無機化合
物としては、カオリン鉱物が挙げられ、このカオリン鉱
物はSi四面体、Al八面体の層が積み重なった結晶で
ある。これらカオリン鉱物としてはカオリナイト、ディ
ッカイト、ナクライト、あるいは層間に水分子を持って
いるハロイサイトが挙げられる。また、カオリン鉱物を
焼成した化合物も好ましく用いられる。このカオリン鉱
物を焼成した化合物は、上記カオリンを加熱したことで
結晶構造が非晶質になったものである。ここで非晶質と
いうのは水酸基の脱水によりX線的にアモルファスな構
造に変化したものである。
【0069】三次元骨格を形成するケイ酸塩を主成分と
する無機化合物としてはゼオライトが挙げられる。この
ゼオライトは一般的に三次元骨格を有するケイ酸アルミ
ニウム塩であり、一般式M2O・Al23・xSiO2
yH2Oで表わされる。ここでMはNaまたはそれと当
量の1価または多価金属であり、xは1.5〜2.0、
yは0〜10である。ゼオライトの具体例としては、A
型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、アナ
ルサイム、チャバサイト、クリプチライト、エリオナイ
ト、モルデナイトなどが挙げられる。これらゼオライト
の中でA型ゼオライトが好ましく用いられる。また、ゼ
オライトを酸処理および加熱処理した無水非晶質ケイ酸
アルミニウムも好ましく用いられる。この無水非晶質ケ
イ酸アルミニウムはゼオライトを酸、または酸性物質で
処理することによりゼオライトの粒子形状は維持しなが
ら、結晶構造を破壊して非晶質化させ、さらに加熱処理
により構造水を消失したものである。
【0070】カオリン鉱物およびゼオライト以外の本発
明に使用するケイ酸塩を主成分とする無機化合物として
は、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライ
ト)、タルク、クレー、マイカなどが挙げられる。
【0071】これらケイ酸塩を主成分とする無機化合物
の中でも、耐湿熱性、外観、機械的強度の観点からゼオ
ライトを酸処理および加熱処理した無水非晶質ケイ酸ア
ルミニウムおよびタルクが最も好ましい。
【0072】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、上
記a成分〜f成分からなる樹脂組成物において、b成分
としてポリエチレンテレフタレート樹脂(b−1)とポ
リブチレンテレフタレート樹脂(b−2)を特定割合と
したポリアルキレンテレフタレートとすることにより、
リン化合物を多量に配合した芳香族ポリカーボネート樹
脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂からなる樹脂組
成物の耐湿熱性を更に改良すると共に、加えて安定化赤
リンを予め溶融混合し、および特定のゴム質重合体を使
用することによりかかる耐湿熱性を更に高めたものであ
る。
【0073】上記において説明した、本発明におけるa
成分の芳香族ポリカーボネート樹脂の配合割合として
は、a成分〜f成分の合計100重量%中、86.7〜
35重量%である。a成分の配合割合が、35重量%未
満では耐衝撃性などの強度維持が困難であり、86.7
重量%を超えると印刷機器の内部機構部品に要求される
耐薬品性が不十分となってしまうため実用的ではない。
b成分であるポリアルキレンテレフタレート樹脂の配合
割合としては、a成分〜f成分の合計100重量%中、
10〜40重量%である。b成分の配合割合が、10重
量%未満では耐薬品性が不十分であり、40重量%を超
えると耐熱性や耐衝撃性等の強度が低下してしまう。c
成分である安定化赤リンの配合割合としては、a成分〜
f成分の合計100重量%中、0.1〜10重量%であ
る。c成分の配合割合が0.1重量%未満では、難燃性
の改良が不十分であり、10重量%を超えて配合する
と、機械的強度が大きく低下する。d成分であるゴム質
重合体の配合割合としては、a成分〜f成分の合計10
0重量%中、1〜10重量%である。d成分の配合割合
が1重量%未満では、耐衝撃性の改良が不十分であり、
10重量%を超えて配合しても、耐衝撃性の向上は認め
られない。e成分であるフィブリル形成能を有するポリ
テトラフルオロエチレンの配合割合としては、a成分〜
f成分の合計100重量%中、0.1〜1重量%であ
る。e成分の配合割合が0.1重量%未満では、難燃性
が不十分であり、1重量%を超えて配合しても、難燃性
の向上は認められない。f成分であるケイ酸塩を主成分
とする無機化合物の配合割合としては、a成分〜f成分
の合計100重量%中0.1〜35重量%である。f成
分の配合割合が0.1重量%未満では、耐湿熱性の改良
が不十分であり、35重量%を超えて配合しても、耐湿
熱性の向上は認められない。
【0074】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、a
成分、b成分、c成分、d成分、e成分、およびf成分
からなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であるが、本発明の
難燃性熱可塑性樹脂組成物と実質的に同等の特性を維持
できる範囲であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹
脂、ポリアリレート等の他の熱可塑性樹脂が混合された
ものも使用可能である。更に本発明の目的を損なわない
範囲であれば、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウ
ム、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体等)、安
定剤(例えば、リン酸エステル、亜リン酸エステル
等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化
合物等)、光安定剤、着色剤、発泡剤、帯電防止剤等の
一般に微量配合される各種の添加剤を配合することも可
能である。
【0075】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造
するには、任意の方法が採用される。例えば、芳香族ポ
リカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフル
オロエチレン、ゴム質重合体、ケイ酸塩を主成分とする
無機化合物、芳香族ポリカーボネート樹脂および/また
はポリエチレンテレフタレート樹脂でマスターペレット
化された安定化赤リン系難燃剤マスターペレットおよび
適宜、その他の添加剤を例えばV型ブレンダー等の混合
手段を用いて充分に混合した後、ベント式二軸ルーダー
に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザ
ー等の機器によりペレット化される。
【0076】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は通
常、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなるペレッ
トを射出成形して成形品を製造する方法等の一般に工業
的に用いられる方法を適宜用いて製造することが可能で
ある。かかる射出成形においては、通常のコールドラン
ナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とす
るホットランナーによって製造することも可能である。
また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガ
スアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形等
を使用することができる。
【0077】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて更に説明す
るが、本発明はそれに限定されるものではない。尚、評
価としては以下の項目について実施した。
【0078】(1)材料特性 (1−)難燃性 UL規格に従って作成した厚さ0.8mmの試験片を用
いて試験を行った。試験の結果に基づいてUL−94V
−0、V−1およびV−2のいずれかの等級に評価し
た。
【0079】(1−)耐衝撃性(ノッチ付きアイゾッ
ト衝撃強さ) ASTM規格 D−256に従って作成した厚さ1/
8”の試験片を用いて試験を行った。
【0080】(1−)耐湿熱性(ノッチ付きアイゾッ
ト衝撃強さ) ASTM規格 D−256に従って作成した厚さ1/
8”の試験片を93℃の熱水浸漬試験機にて24時間の
浸漬試験を行い、試験片取出し24時間後、アイゾット
衝撃試験を行った。アイゾット衝撃強さ保持率は以下の
式(1)に準じて算出した。
【0081】
【数1】
【0082】(1−)耐熱性(荷重たわみ温度) JIS規格 K7207−1995 A法に従って作成
した試験片を用いて試験を行った。
【0083】(1−)耐薬品性 ASTM規格 D−638に従って作成した厚さ1/
8”の試験片に0.4%の歪みを与えてグリース
((株)協同油脂製 マルテンプ SRL)を塗布し、
40℃にて48時間処理した後、成形品外観にクラック
発生の有無を目視観察し、以下の基準で耐薬品性を判定
した。 ○:クラックの発生無し △:クレーズの発生有り ×:クラック発生有り
【0084】(2)排紙ユニット部品成形品の特性 (2−)面衝撃特性(破壊エネルギー) 図1〜図3に示された排紙ユニット部品成形品(平均肉
厚:1.6mm)の符号3に示した平坦部を40mm×
50mmの大きさに切り出し、高速面衝撃試験機
((株)島津製作所製 高速面衝撃試験機 ハイドロシ
ョット HTM−1)にて、ポンチ径1/2インチ、下
穴径1インチ、平均速度7.0m/sのスピードで高速
面衝撃試験を行ない、破壊までに要するエネルギー(破
壊エネルギー)を測定した。
【0085】(2−)耐湿熱性(破壊エネルギー) 図1〜図3に示された排風機本体成形品(平均肉厚:
1.6mm)の符号3に示した平坦部を40mm×50
mmの大きさに切り出した試験片を93℃の熱水浸漬試
験機にて24時間の浸漬試験を行い、試験片取出し24
時間後、高速面衝撃試験機((株)島津製作所製 高速
面衝撃試験機 ハイドロショット HTM−1)にて、
ポンチ径1/2インチ、下穴径1インチ、平均速度7.
0m/sのスピードで高速面衝撃試験を行なった。破壊
エネルギー保持率は以下の式(2)に準じて算出した。
【0086】
【数2】
【0087】[参考例1]マスターペレット化された赤
リン系難燃剤の作成 芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、L−
1225WP、粘度平均分子量22,500)83.4
8重量部およびトリメチルホスフェート0.02重量部
を、V型ブレンダーを用いて均一に混合した。その後径
30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製
TEX30XSST]を用いて、かかる混合物を最後部
の第1投入口より、マイクロカプセル化した赤リン[燐
化学工業(株)製ノーバエクセル140、赤リン含有量
92重量%、平均粒径35μm]をシリンダ途中のサイ
ドフィード部の第2投入口より、計量器[(株)クボタ
製CWF]を用い、第1投入口の混合物83.5重量部
に対し、第2投入口のマイクロカプセル化した赤リンが
16.5重量部となるよう投入した。各投入部は窒素ガ
スボンベにより窒素ガス雰囲気として、シリンダー温度
280℃とし、またダイスは直径4mmφの円形孔を3
穴有するものを使用し、ストランド押出、冷却バスによ
る冷却の後、ペレタイザーによりペレット化した。
【0088】[実施例1〜7および、比較例1〜7]表
1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレ
ン、複合ゴム系グラフト共重合体、ケイ酸塩を主成分と
する無機化合物、安定化赤リン系難燃剤マスターペレッ
トおよび適宜、その他の添加剤を表1記載の量(重量%
で表示)タンブラーにて配合し、径30mmの二軸ルー
ダー[(株)神戸製鋼所KTX−30]にて、シリンダ
ー温度280℃で押出してペレットを得た。得られたペ
レットを110℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥
し、射出成形機[ファナック(株)T−150D]によ
りシリンダー温度290℃、金型温度70℃で試験片お
よび図3に示すLBP排風機成形品を成形した。
【0089】また、表1および表2に記載の使用した原
材料等は以下の通りである。尚、表1には仕込みの際の
組成(仕込み組成)を表記し、表2にはその実質的組成
(実組成)を表記した。
【0090】(a成分)PC−1:直鎖状芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンより製造
される粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂。尚、赤リンマスターペレット(FR−1)
およびカーボンブラックマスター(CBM)中に含有さ
れる芳香族ポリカーボネート成分を合わせて表2中PC
と表記した。) (b−1)PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂
(帝人(株)製 TR−4550、固有粘度0.71) (b−2)PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂
(帝人(株)製 TRB−J、固有粘度0.87) (c成分)RPM:上記参考例1で得られた安定化赤リ
ンマスターペレット(尚、安定化赤リンは表2中RPと
表記した。) (d成分)IM−1:複合ゴム系グラフト共重合体(三
菱レイヨン(株)製 メタブレン S−2001) (d成分)IM−2:アクリル系グラフト共重合体(呉
羽化学(株)製 パラロイド EXL2602) (e成分)PTFE;フィブリル形成能を有するポリテ
トラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフ
ロン FA−500) (f成分)SALT−1:ゼオライトを酸処理および加
熱処理した無水非晶質ケイ酸アルミニウム((株)耕正
製 AM−200) (f成分)SALT−2:タルク(林化成(株)製 U
PN HS−T0.8) (f成分以外)SALT−3:ガラス繊維(日本電気硝
子(株)製 ECS−03 T−511) (その他の成分)安定剤−1:リン酸エステル化合物
(トリメチルホスフェート)(大八化学工業(株)製
TMP) (その他の成分)安定剤−2:ホスファイト系酸化防止
剤(旭電化工業(株)製アデカスタブ PEP−8) (その他の成分)離型剤:脂肪酸エステル系離型剤(理
研ビタミン(株)製 リケマール SL−900) (その他の成分)CBM:カーボンブラックマスター
(粘度平均分子量15,500のビスフェノールA型芳
香族ポリカーボネート樹脂60重量%およびカーボンブ
ラック(三菱化成(株)製C#970)40重量%を溶
融押出混合して得られたマスターペレット。尚、カーボ
ンブラックは表2中CBと記載した。)
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】これらの表から以下のことが明らかであ
る。実施例と比較例との比較から、本発明のb−1成分
であるポリエチレンテレフタレート樹脂とb−2成分で
あるポリブチレンテレフタレート樹脂の割合が適当でな
い場合は、耐薬品性、耐衝撃性、耐湿熱性が低下してし
まい、e成分であるケイ酸塩を主成分とする無機化合物
が適当でない場合は、耐湿熱性、耐衝撃性を満足しない
ことが分かる。
【0095】
【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の難燃
性熱可塑性樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性、耐薬品
性、耐湿熱性に優れることから、印刷機器の内部機構部
品を初めとするOA機器分野、電気電子分野などの各種
工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は
極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】LBPの概要を模式的に表す図である。
【図2】排風機を側面から見た概要図である。
【図3】排風機を上方から見た概要図である。
【符号の説明】
1 LBP本体 2 排風機本体(太線部分) 3 排風機本体より面衝撃試験片を切り出した部分(一
点鎖線で囲まれた部分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:02 51:04 27:18) Fターム(参考) 4F071 AA33 AA46 AA50 AA67 AA77 AB05 AB26 AH17 BB05 BC07 4J002 BD155 BN124 BN164 BN224 CF062 CF073 CG011 DA056 DJ007 FB076 FB266 GM00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)
    86.7〜35重量%、ポリアルキレンテレフタレート
    樹脂(b成分)10〜40重量%、安定化赤リン(c成
    分)0.1〜10重量%、ゴム質重合体(d成分)1〜
    10重量%、フィブリル形成能を有するポリテトラフル
    オロエチレン(e成分)0.1〜1重量%およびケイ酸
    塩を主成分とする無機化合物(f成分)0.1〜35重
    量%の合計100重量%からなる熱可塑性樹脂組成物に
    おいて、(1)該b成分がポリエチレンテレフタレート
    樹脂(b−1)およびポリブチレンテレフタレート樹脂
    (b−2)からなり、(b−1)と(b−2)の割合が
    重量比で95/5〜60/40であり、(2)該c成分
    が、芳香族ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテ
    レフタレート樹脂から選択される少なくとも1種の熱可
    塑性樹脂80〜95重量%および安定化赤リン5〜20
    重量%の合計100重量%を予め溶融混練することによ
    り配合され、(3)該d成分がポリオルガノシロキサン
    ゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
    とが分離できないように相互に絡み合った構造を有して
    いる複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体がグラフ
    ト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体、該複合
    ゴム系グラフト共重合体とビニル系共重合体の混合物、
    およびアクリル系グラフト共重合体から選択された少な
    くとも1種以上のゴム質重合体であることを特徴とする
    難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成
    物から形成されてなる印刷機器の内部機構部品。
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