JP2001240738A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2001240738A JP2000053364A JP2000053364A JP2001240738A JP 2001240738 A JP2001240738 A JP 2001240738A JP 2000053364 A JP2000053364 A JP 2000053364A JP 2000053364 A JP2000053364 A JP 2000053364A JP 2001240738 A JP2001240738 A JP 2001240738A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐衝撃性に優れた繊維状充填剤を
含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成
分)、ポリアミドで表面処理された繊維状充填剤(B成
分)、並びにカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エ
ポキシ基、およびオキサゾリン基から選択された少なく
とも1種の官能基を有する滑剤(C成分)を含んでなる
樹脂組成物であって、該樹脂組成物100重量%中A成
分をa重量%、B成分をb重量%、C成分をc重量%と
したとき、以下の[1]〜[3]式を満足してなる芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物。 {100−(b+c)}×0.2≦a≦96.9 [1] 3≦b≦55 [2] 0.05≦c≦10 [3]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れた
繊維状充填剤を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物に関する。更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート
樹脂、ポリアミドで表面処理された繊維状充填剤、およ
び特定の官能基を有する滑剤を含んでなる樹脂組成物で
あって、高剛性かつ良好な耐衝撃性を有する芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れ、しかも難燃性、耐熱性など
に優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られ
ている。しかし、繊維状充填剤で強化された芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、非強化のポリカーボネート樹脂組
成物に比べて、強度および剛性は向上するものの耐衝撃
性が大幅に劣る問題点がある。特に薄肉筐体用成形品な
どにおいては、十分な強度と剛性を有した上で、さらに
耐衝撃性と難燃性のバランスのとれた樹脂組成物の出現
が強く要望されている。
【0003】繊維強化の芳香族ポリカーボネート樹脂の
耐衝撃性を改良する方法としては、種々の提案がなされ
ている。例えば、(1)芳香族ポリカーボネート樹脂に
ゴム含有ポリマーとポリアミドで集束された炭素繊維を
用いる方法(特開昭60−88062号公報)、(2)
芳香族ポリカーボネート樹脂にガラス繊維およびカルボ
キシル基を有するオレフィン系ワックスを配合する方法
(特開昭56−45944号公報)、(3)芳香族ポリ
カーボネート樹脂に強化繊維とカルボキシル基を有する
オレフィン系ワックスと複合ゴム系グラフトポリマーを
配合する方法(特開平07−238213号公報)など
が提案されている。
【0004】(1)の芳香族ポリカーボネート樹脂にゴ
ム含有ポリマーとポリアミドで集束された炭素繊維を用
いる方法は、ゴム含有ポリマーを用いることにより芳香
族ポリカーボネート樹脂とポリアミドで集束された炭素
繊維との密着性を上げることが提案されている。しかし
ゴム含有ポリマーを必須とすることは組成物全体の剛性
を低下させるため必ずしも望ましいものでなく、またか
かる構成により達成される衝撃強度は未だ十分なものと
はいえない。
【0005】(2)の方法は、ポリカーボネート樹脂本
来の衝撃強度を生かす方法であり、ゴム成分を含有させ
ない場合であっても、良好な耐衝撃強度と剛性の両立を
達成し得るものであるが、近年は更に高いレベルが要求
されており、十分に対応できない場合があった。
【0006】(3)の方法は、(2)の方法を更に改良
したものであり、難燃性に対しても良好な特性を有する
ものではあるが、近年は更に高い耐衝撃性が求められる
分野もある。すなわちより製品肉厚が薄肉になること
で、剛性、耐衝撃性、および難燃性のいずれにおいても
より高いレベルが求められている。
【0007】すなわち、繊維状充填剤で強化された芳香
族ポリカーボネート樹脂においては、高い耐衝撃性、高
い剛性、高い難燃性に優れた樹脂組成物の出現が要望さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐衝撃性に
優れた繊維状充填剤を含有する芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明者は、
上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポ
リカーボネート樹脂、ポリアミドで表面処理された繊維
状充填剤、および特定の官能基を含有する滑剤からなる
樹脂組成物において、剛性などを維持しつつ耐衝撃性が
飛躍的に向上することを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(A成分)、ポリアミドで表面処理され
た繊維状充填剤(B成分)、カルボキシル基、カルボン
酸無水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選
択された少なくとも1種の官能基を有する滑剤(C成
分)を含んでなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物1
00重量%中A成分をa重量%、B成分をb重量%、C
成分をc重量%としたとき、以下の[1]〜[3]式を
満足してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に係る
ものである。 {100−(b+c)}×0.2≦a≦96.9 [1] 3≦b≦55 [2] 0.05≦c≦10 [3]
【0010】本発明でA成分として使用する芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネー
ト前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応
させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを
固相エステル交換法により重合させたもの、または環状
カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得ら
れるものである。
【0011】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、これらは
単独または2種以上を混合して使用できる。
【0012】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、更に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用される。特にビスフ
ェノールAの単独重合体が好ましい。
【0013】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートな
どが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが
挙げられる。
【0014】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当って
は、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの
酸化防止剤などを使用してもよい。また芳香族ポリカー
ボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共
重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族
または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエ
ステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られ
た芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混
合物であってもよい。
【0015】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ルなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニ
ル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリ
フェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸および
これらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0016】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0017】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属
水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられ
る。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベ
ンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、
反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n
−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチル
ホスホニウムブロマイドなどの第三級アミン、第四級ア
ンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物などの触
媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜
40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpH
は9以上に保つのが好ましい。
【0018】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末
端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されて
いるので、そうでないものと比べて熱安定性に優れてい
る。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェ
ノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下
記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すこ
とができる。
【0019】
【化1】
【0020】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0021】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0025】かかる一般式(2)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノールなどを挙げることができる。
【0026】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0027】末端停止剤は、得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好まし
くは少くとも10モル%末端に導入されることが望まし
い。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モ
ル%以上導入されること、すなわち二価フェノールに由
来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下である
ことがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末
端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちO
H基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤
は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0028】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点などにより異なるが、通常120〜350℃
の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0029】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0030】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属化合物、水
酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム
などのアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの含窒
素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のア
ルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機
酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム
化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機
スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アン
チモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジ
ルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステ
ル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触
媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて
使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の
二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10 -8
1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10
-4当量の範囲で選ばれる。
【0031】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
トなどの化合物を加えることが好ましい。なかでも2−
クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカ
ルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エト
キシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0032】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0033】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量とし
ては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの
割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネ
ート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より
好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0034】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特
定されないが、分子量が10,000未満であると高温
特性などが低下し、40,000を超えると成形加工性
が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して1
0,000〜40,000のものが好ましく、14,0
00〜30,000のものが更に好ましく、特に好まし
くは14,000〜23,000のものである。また、
芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差
し支えない。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレ
ン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを
20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式
に挿入して求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0035】本発明のB成分であるポリアミドで表面処
理された繊維状充填材とは、ポリアミドを繊維状充填材
表面に物理的、または化学的作用により付着させたもの
である。
【0036】かかる付着方法としては、(1)高温の繊
維状充填材をポリアミドと接触させる方法、例えば高温
とした繊維ロービングをポリアミド粉体中に通す方法な
どが挙げられる。(2)繊維状充填材を溶融したポリア
ミド、ポリアミド溶液、ポリアミド分散液中に通し、そ
の後乾燥または加熱する方法。例えば繊維ロービングを
ポリアミド溶液中に通す方法などが挙げられる。(3)
繊維状充填材の存在下でポリアミドを形成するモノマー
を重合させる方法。(4)メカノケミカルによる方法、
例えば繊維ロービングをポリアミド固体に擦り付ける方
法が挙げられる。また繊維状充填材とポリアミド粉体に
高せん断を作用させる方法も挙げられ、かかる方法を達
成する装置として奈良機械製作所(株)製ハイブリダイ
ゼーションシステム、(株)KCK製DMMメカノケミ
カル装置、ホソカワミクロン(株)メカノフュージョン
などが挙げられる。かかる中でも、繊維状充填材をポリ
アミド溶液、ポリアミド分散液に通し、その後乾燥また
は加熱する方法が好ましく挙げられる。
【0037】B成分として使用されるポリアミドとして
は、例えば環状ラクタムの開環重合体、アミノカルボン
酸の重縮合体、2塩基酸とジアミンとの重縮合体などが
挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン
11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メ
タキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフ
タルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミ
ド)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)などの
脂肪族−芳香族ポリアミドおよびこれらの共重合体およ
び混合物を挙げることができる。これらの中でも特に好
ましくは、ナイロン6、ナイロン66が挙げられる。重
合度としては100以下のものがより好ましく使用でき
る。
【0038】またポリアミドのアミド結合のアミノ部位
にアルコール類が置換するなどによりアルコール可溶性
とした変性ポリアミドも好ましく使用できる。すなわち
本発明でより好ましい表面処理方法としては溶剤として
フェノール類、塩化カルシウム飽和メタノール溶液、エ
タノール、メタノールなどを使用し、アルコール可溶性
とした変性ポリアミドの粉末、ペレットをこれらの溶剤
に溶解した濃度0.5〜20重量%に適宜調整した溶液
に、繊維のロービングを連続的に浸漬しそして、脱溶剤
して適当な長さに切断して製造する方法が挙げられる。
【0039】本発明のB成分におけるポリアミドの量と
しては、B成分100重量%中、0.1〜10重量%が
好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%、更に好ま
しくは0.7〜4.5重量%である。0.1重量%未満
では集束が不十分となり、また十分に繊維状充填剤の表
面を覆いにくいため本発明の効果を十分に発揮し得な
い。一方10重量%を超えるとポリアミドが芳香族ポリ
カーボネート樹脂の熱安定性の低下が大きくなる。
【0040】またB成分として使用する繊維状充填剤
は、一般に芳香族ポリカーボネート樹脂の強化に使用さ
れるものであれば特に限定されるものではなく、ワラス
トナイト、ゾノトライト、アタパルジャイトなどのケイ
酸塩鉱物繊維類;ガラス繊維、ミルドファイバー、金属
コートガラス繊維などのガラス繊維類;炭素繊維、カー
ボンミルドファイバー、金属コート炭素繊維などの炭素
繊維類;アラミド繊維、ポリアリレート繊維などの耐熱
有機繊維類;ステンレス鋼線、銅線、アルミ線、タング
ステン線などの金属繊維類;アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維などのセラミック繊維
類、ほう酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウム
ウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、針状
酸化チタン、針状炭酸カルシウムなどの各種ウイスカー
類などを挙げられ、これらは二種以上併用することがで
きる。
【0041】この中で好ましい繊維状充填材は、原材料
の時点でL/Dが10以上の形状を有する繊維をあげる
ことができ、中でも本発明の効果が顕著であり好ましい
のは炭素繊維類であり、なかでも特に炭素繊維が好まし
い。かかる理由としては、炭素繊維は高剛性が達成可能
である一方、良好な耐衝撃性が達成されにくく、また特
に難燃性を要求される場合には、炭素繊維の性質上より
多くの難燃剤を必要とし、かかる場合の耐衝撃性の低下
が顕著であることが挙げられる。尚、Lは繊維長、Dは
繊維径を表わす。
【0042】すなわち本発明によれば、B成分がポリア
ミドで集束されたL/Dが10以上の繊維状充填剤であ
り、特に好ましくは炭素繊維である繊維状充填剤と、A
成分およびC成分からなる樹脂組成物が提供され、かか
る樹脂組成物は高剛性と高耐衝撃性との両立を極めて高
い水準で可能とするものである。
【0043】本発明における炭素繊維としては、セルロ
ース系、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系などのいず
れも使用可能であり、また芳香族スルホン酸類またはそ
れらの塩のメチレン型結合による重合体と溶媒よりなる
原料組成物を紡糸または成形し、次いで炭化するなどの
方法に代表される不融化工程を経ない紡糸を行う方法に
より得られたものも使用可能である。更に気相成長法に
代表される紡糸工程を経ない製造法により製造されたも
のも使用可能である。
【0044】更にいわゆる汎用タイプ、中弾性率タイ
プ、高弾性率タイプのいずれも使用可能であるが、特に
ポリアクリロニトリル系の高弾性率タイプが好ましい。
また形状としてはチョップドストランド、ロービングス
トランドなどの形状のものである。また製法についても
溶融紡糸、溶剤紡糸のいずれの方法も使用可能であり、
更に溶剤紡糸については湿式紡糸、乾式紡糸のいずれも
使用可能である。
【0045】繊維径については、直径が0.5〜20μ
mのものが好ましく、1〜10μmのものが特に好まし
い。0.5μm未満では繊維同士が絡みやすく、繊維を
芳香族ポリカーボネート中に分散する工程において繊維
の折れが激しく、剛性向上の効率が低下し、20μmを
超えると繊維の表面積が低下することで樹脂への補強効
率が低下する。これらの炭素繊維は、酸化性ガス中で繊
維を加熱する気相酸化、酸化剤の溶液を用いる液相酸
化、電解浴中で炭素繊維を陽極酸化するなどの方法によ
り炭素繊維の表面を酸化することが望ましい。炭素繊維
は通常チョップドストランドとして集束剤により数千本
〜数万本を1単位として繊維長1〜10mm程度にカッ
トされており、これらのものが適宜使用可能である。
【0046】カーボンミルドファイバーは炭素繊維をカ
ットしたのち、更にボールミルなどにより粉砕を行い、
通常のチョップドストランド未満の長さに調整されるも
のである。かかる場合も元となる炭素繊維としては上記
の炭素繊維として挙げたものが使用可能である。
【0047】また金属コート炭素繊維とは、上記炭素繊
維に公知のメッキ法及び蒸着法等でニッケル、銅、コバ
ルト、銀、アルミニウム、鉄等及びこれらの合金等の金
属をコーティングしたものである。かかる金属は導電
性、耐食性、生産性、更に経済性の観点からニッケル、
銅及びコバルトから選ばれる1種または2種以上の金属
が好ましい。
【0048】本発明のC成分として使用されるカルボキ
シル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、およびオキ
サゾリン基から選択された少なくとも1種の官能基を有
する滑剤における滑剤としては、鉱物油、合成油、高級
脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、シリコンオイル、
シリコンパウダー、パラフィンワックス、ポリオレフィ
ンワックス、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪
酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサ
フルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなど
が挙げられる。
【0049】本発明は、かかるC成分がB成分において
表面処理されたポリアミド成分と極めて高い反応性を有
するために、かかる滑剤成分を効率よく繊維状充填剤の
周囲を被覆させることが可能となり、衝撃などの短時間
の変形時における充填剤による樹脂成分の拘束力を大幅
に低減することが可能となり、ポリカーボネート樹脂本
来の靭性を活かすことが可能となると思われる。かかる
観点では直接にこれらの滑剤成分で表面処理することも
考えられるが、現実には炭素繊維、ガラス繊維などの集
束を満足に行うことができず、同等の取り扱い性と衝撃
強度などの特性を両立することは困難である。
【0050】高級脂肪酸エステルとしては、グリセリン
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
【0051】上記に挙げた滑剤の中でもポリオレフィン
ワックスまたはシリコンオイルが好ましい。ポリオレフ
ィンワックスとしては、特にポリエチレンワックスおよ
び/または1−アルケン重合体の使用が好ましい。ポリ
エチレンワックスとしては現在一般に広く知られている
ものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したも
の、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合
物より低分子量成分を分離精製したものなどが挙げられ
る。また分子量、分岐度などは特に制限されるものでは
ないが、分子量としては重量平均分子量で500〜2
0,000が好ましく、より好ましくは1,000〜1
5,000である。
【0052】一方、シリコンオイルとしては、ジメチル
シリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、メチ
ルハイドロジェンシリコンオイル、環状ジメチルシリコ
ンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、ポリエーテ
ル変性シリコンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコ
ンオイル等が挙げられる。かかるシリコンオイルとして
は、20℃における動粘度が1×10-22/s以下で
あるものが取り扱いの点から好ましい。
【0053】官能基としては、カルボキシル基、カルボ
ン酸無水物基、およびエポキシ基から選択される少なく
とも1種の官能基がより好ましく、特にカルボキシル
基、およびカルボン酸無水物基から選択される少なくと
も1種の官能基が好ましい。
【0054】これらの滑剤とカルボキシル基、カルボン
酸無水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選
択された少なくとも1種の官能基を結合する方法として
は、滑剤に、上記の特定官能基および滑剤と反応性のあ
る官能基を有する化合物を反応させる方法、滑剤の合成
時に上記の特定官能基を有する化合物を共重合する方
法、滑剤、官能基を有する化合物およびラジカル発生剤
を加熱下で混合する方法などを挙げることができ、いず
れの方法も使用可能である。
【0055】本発明でC成分として特に好ましいのは、
カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択さ
れた少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワ
ックスである。かかるカルボキシル基またはカルボン酸
無水物基をポリオレフィンワックス中に含有させる方法
としては適宜各種の方法をとることができるが、例え
ば、マレイン酸や無水マレイン酸とポリエチレン、1−
アルケンの重合体、1−アルケンとエチレンの共重合体
などのポリマーとを加熱下で、ラジカル発生剤の存在下
または非存在下で混合する方法が挙げられ、主鎖、側鎖
または結合原子の解裂に伴ってこれらの官能基を導入す
ることができる。更により好ましい方法としては、エチ
レン、プロピレン、炭素数4以上の1−アルケン等を重
合または共重合する際に、マレイン酸、好ましくは無水
マレイン酸を共重合することにより官能基を導入する方
法である。かかる方法は不必要な熱負荷がなく、またか
かる官能基の量の制御が容易である点でより好ましい方
法である。かかる官能基の量としては、ポリオレフィン
ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲とするこ
とが好ましい。
【0056】本発明の上記A成分、B成分、C成分の割
合は、A成分〜C成分を含んでなる芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物100重量%中、A成分の割合をa重量
%、B成分の割合をb重量%、C成分の割合をc重量%
としたとき、以下の[1]〜[3]式を満足するもので
ある。 {100−(b+c)}×0.2≦a≦96.9 [1] 3≦b≦55 [2] 0.05≦c≦10 [3]
【0057】更に好ましくは以下の[4]式を満足する
ものである。 4≦b≦35 [4]
【0058】またA成分およびC成分の好ましい範囲と
しては、 {100−(b+c)}×0.4≦a≦94.9 [5] 0.05≦c≦5 [6] を挙げることができる。
【0059】本発明では更に他の熱可塑性樹脂、各種添
加剤、各種充填剤を含むものであってもよい。特に本発
明は更に難燃剤が含まれる場合の耐衝撃性の低下を十分
に改良することが可能となる点で、難燃剤を含む場合を
より好ましい態様として挙げることができる。
【0060】本発明の難燃剤(D成分)としては特に限
定されるものではないが、まず赤リン系難燃剤が挙げら
れる。使用する赤リン系難燃剤は、一般の赤リンの他
に、赤リン表面を熱硬化樹脂および/または無機材料を
用いてマイクロカプセル化されている赤リンを使用する
ことができる。更に、かかるマイクロカプセル化されて
いる赤リンの使用は、安全性、作業性を良好とするため
マスターペレット化したものが好ましく使用される。か
かるマイクロカプセル化に使用される無機材料として
は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化
チタン、水酸化スズ、水酸化セリウムなどがあげられ、
熱硬化樹脂としてはフェノール・ホルマリン系、尿素・
ホルマリン系、メラミン・ホルマリン系樹脂などが挙げ
られる。更にかかる無機材料で被覆されたものの上に、
熱硬化性樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処理し
た赤リンなども好ましく使用できる。また、使用する赤
リンは無電解メッキしたものも使用可能であり、無電解
メッキ被膜としては、ニッケル、コバルト、銅、鉄、マ
ンガン、亜鉛またはこれらの合金から選ばれた金属メッ
キ被膜を使用することができる。更に無電界メッキされ
た赤リンに更に上記に記載の無機材料および熱硬化性樹
脂で被覆された赤リンを使用することもできる。かかる
無機材料、熱硬化性樹脂および無電界メッキなどのマイ
クロカプセル化に使用する成分の量としては赤リン系難
燃剤100重量%中20重量%以下であることが望まし
く、より好ましくは5〜15重量%である。20重量%
を越えると、ホスフィンの抑制、安全性の確保などの効
果よりも難燃性の低下、機械的特性の低下などの悪影響
が大きくなるため好ましくない。赤リン系難燃剤の平均
粒径としては、1〜100μm、好ましくは1〜40μ
mが使用される。かかるマイクロカプセル化した赤リン
系難燃剤の市販品としては、ノーバエクセル140、ノ
ーバエクセルF−5(燐化学工業(株)製:商品名)、
ヒシガードTP−10(日本化学工業(株)製:商品
名)、ホスタフラムRP614(クラリアント・ジャパ
ン(株)製:商品名)などが挙げられる。
【0061】また、ハロゲン系難燃剤としては、芳香族
ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化
ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、
ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレ
ンエーテルなどが挙げられ、好ましくは、デカブロモジ
フェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノールA、
テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化
ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノー
ル系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカ
ーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリ
スチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブ
ロムフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサ
イドビスフェノール縮合物および含ハロゲンリン酸エス
テルなどを挙げることができる。
【0062】さらに有機リン化合物としては、ホスフィ
ン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム
塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステ
ルなどを挙げることができる。より具体的には、トリフ
ェニルホスフェート、メチルネオペンチルホスファイ
ト、ペンタエリスリトールジエチルジホスファイト、メ
チルネオペンチルホスフォネート、フェニルネオペンチ
ルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホ
スフェート、ジシクロペンチルハイポジホスフェート、
ジネオペンチルハイポホスファイト、フェニルピロカテ
コールホスファイト、エチルピロカテコールホスフェー
ト、ジピロカテコールハイポジホスフェートなどを挙げ
ることができる。
【0063】ここで特に下記一般式(4)で表される1
種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げること
ができる。
【0064】
【化4】
【0065】(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、
レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メ
タン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、
またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0
〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれ
ぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしく
は置換していないフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−
クミルフェノールから誘導されるものである。)
【0066】この中で好ましくは、上記式中のXは、ハ
イドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異な
るリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値で
あり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1
個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していな
いフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導され
るものである。
【0067】更に、特に好ましくは、Xはレゾルシノー
ルから誘導されるものであり、j、k、l、mはそれぞ
れ1であり、nは0または1であり、R1、R2、R3
およびR4はそれぞれ独立してフェノールまたはキシレ
ノールから誘導されるものである。
【0068】かかるリン酸エステル系難燃剤の中でも、
モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェ
ート、縮合リン酸エステルとしてはレゾルシノールビス
(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールA
ビス(ジフェニルホスフェート)が、難燃性が良好であ
りかつ成形時の流動性が良好であるなどの理由により好
ましく使用できる。
【0069】またポリリン酸アンモニウム塩などの無機
系リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化
ジルコニウム、酸化スズの水和物などの無機金属化合物
の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バ
リウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデ
ン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アン
チモンなどの無機系難燃剤を使用することができる。
【0070】更に本発明の難燃剤としては、第IIA族
硫化物、第IIB族硫化物、硫化錫、硫化鉄、硫化チタ
ン、硫化銅、硫化ビスマスなどの金属硫化物、元素態硫
黄、第IA族ホウ酸塩、第IA族リン酸塩、第IIA族
ホウ酸塩、第IIA族リン酸塩、第IIA族ホウリン酸
塩、第IIB族ホウ酸塩、第IIB族リン酸塩、第II
B族ホウリン酸塩、第IVB族リン酸塩、リン酸アルミ
ニウム、リン酸鉄、リン酸ビスマス、リン酸錫、リン酸
ジルコニウムおよびリン酸チタンなどの金属リン酸塩が
挙げられる。
【0071】更に適当な有機酸または無機酸のアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩、およびハロゲン含有
化合物が挙げられる。ここで、好ましい無機アルカリ金
属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム
塩、セシウム塩などが挙げられる。また、無機アルカリ
土類金属塩としてはカルシウム塩、マグネシウム塩など
が挙げられる。また、無機アルカリ金属塩または無機ア
ルカリ土類金属塩を得る際に用いられる無機酸として
は、H3AlF6、H3BF6、H3SbF6、H2TiF6
2SiF6、H3PO、H2ZrF6、H2WF6、HBF4
などが挙げられる。好ましい無機アルカリ金属塩または
無機アルカリ土類金属塩としては、Na3AlF6、Ca
3(AlF6)2が挙げられる。また、有機アルカリ金属塩
または有機アルカリ土類金属塩を得る際に用いられる好
ましい有機酸としては、脂肪族スルホン酸、芳香族スル
ホン酸、芳香族カルボン酸および脂肪族カルボン酸であ
る。具体例としては、メチルスルホン酸、ラウリルスル
ホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテルスルホン酸、エチレングライコー
ル、プロピレングライコール、ブタンジオールなどのモ
ノまたはジスルホン酸、ペンタエリスリトールのモノ、
ジ、トリまたはテトラスルホン酸、ステアリン酸モノグ
リセライドモノスルホン酸、1,3−ビス(2−エチル
ヘキシル)グリセリンエーテルモノスルホン酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン
酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブ
タンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン
酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘ
プタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、
ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2,5−ジ
クロロベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリクロロベ
ンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンス
ルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ジフ
ェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸、ナフタレン
トリスルホン酸、カプリル酸、ラウリル酸、安息香酸、
ナフトールカルボン酸、2,4,6−トリブロモ安息香
酸などが挙げられる。好ましい有機アルカリ金属塩また
は有機アルカリ土類金属塩としては、パーフルオロブタ
ンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸
カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、
ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェ
ニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸カリウムが挙げ
られる。
【0072】更にシリコン系難燃剤や、フェノキシホス
ファゼンオリゴマーや環状フェノキシホスファゼンオリ
ゴマーに代表されるホスファゼン化合物も使用すること
が可能である。
【0073】上記の難燃剤の中でも特に赤リン、ハロゲ
ン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤を本発明において
は好ましく挙げることができ、中でも耐衝撃性の低下し
やすい赤リン、リン酸エステル系難燃剤の場合、特にリ
ン酸エステル系難燃剤の場合が本発明の効果が認められ
るため好適な難燃剤であるといえる。
【0074】ここで、D成分の割合としては、芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物100重量%中、30重量%
以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2
0重量%、更に好ましくは1〜15重量%である。
【0075】本発明では更に難燃性を向上することを目
的に、チャー形成樹脂を添加することも可能である。チ
ャー形成樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、
クレゾール変性フェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、アリル化ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジフェニルポリフェニレンエーテル、ポリフェ
ニル、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテル
サルフォン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種
または2種以上組み合わせて用いることができる。この
うち、特に好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フ
ェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げる
ことができる。
【0076】本発明では更にA成分の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(E成分)を含んでなる
ものであってもよく、かかる熱可塑性樹脂としては各種
のものが使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱
可塑性ポリエステル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、A
BS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂等のスチレン系樹
脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂等を例
示することができる。更に、ポリアセタール等のエンジ
ニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド等のいわ
ゆるスーパーエンプラと呼ばれるものも用いることがで
きる。このうち、特に好ましい熱可塑性樹脂としては熱
可塑性ポリエステル樹脂、ゴム質重合体の含有量が40
重量%未満のスチレン系樹脂を挙げることができる。
【0077】本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹
脂とは芳香族ジカルボン酸またはその反応性誘動体と、
ジオール、またはそのエステル誘導体とを主成分とする
縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体であ
る。
【0078】ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテ
レフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−
ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニ
ルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデン
ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカル
ボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’
−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジン
ジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いら
れ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸が好ましく使用できる。
【0079】芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して
使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と
共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用する
ことも可能である。
【0080】また本発明の芳香族ポリエステルの成分で
あるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコ
ール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジ
オール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環
族ジオール等、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン等の芳香環を含有するジオール等お
よびそれらの混合物等が挙げられる。更に少量であれ
ば、分子量400〜6000の長鎖ジオール、すなわち
ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上
共重合してもよい。
【0081】また本発明の芳香族ポリエステルは少量の
分岐剤を導入することにより分岐させることができる。
分岐剤の種類に制限はないがトリメシン酸、トリメリチ
ン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0082】具体的な芳香族ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレー
ト(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、
ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート/イソフタレート、等のような共
重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的
性質等のバランスがとれたポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレートおよびこれらの混合
物が好ましく使用できる。
【0083】また得られた芳香族ポリエステル樹脂の末
端基構造は特に限定されるものではなく、末端基におけ
る水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場合以外
に、一方の割合が多い場合であってもよい。またかかる
末端基に対して反応性を有する化合物を反応させる等に
より、それらの末端基が封止されているものであっても
よい。
【0084】かかる芳香族ポリエステル樹脂の製造方法
については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アン
チモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しなが
らジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、
副生する水または低級アルコールを系外に排出すること
により行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒とし
ては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化
物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具
体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四
塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例
示できる。
【0085】また本発明では、従来公知の重縮合の前段
階であるエステル交換反応において使用される、マンガ
ン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せ
て使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸ま
たは亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させ
て重縮合することも可能である。
【0086】また芳香族ポリエステル樹脂の分子量につ
いては特に制限されないが、o−クロロフェノールを溶
媒としてで25℃で測定した固有粘度が0.4〜1.
2、好ましくは0.65〜1.15である。
【0087】本発明で使用するゴム成分の含有量が40
重量%未満のスチレン系樹脂とは、スチレン系単量体と
必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体お
よびゴム質重合体より選ばれる1種以上を重合して得ら
れる、ゴム質重合体の含有量が40重量%未満のスチレ
ン系樹脂である。
【0088】前記スチレン系樹脂成分に用いられるスチ
レン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニル
キシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t
ert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシ
スチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フ
ルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導
体であり、特にスチレンが好ましい。さらにこれらは単
独または2種以上用いることができる。
【0089】前記スチレン系単量体と共重合可能な他の
ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル化合物、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸のアリール
エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルア
クリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸
のアルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキ
シルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等の
メタクリル酸アルキルエステル、グリシジルメタクリレ
ート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド
等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等
のα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげら
れる。
【0090】前記スチレン系単量体と共重合可能なゴム
質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、
スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロッ
ク共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、
アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキ
ルエステルおよびブタジエンの共重合体、ブタジエン・
イソプレン共重合体等のジエン系共重合体、エチレン・
プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、
エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共
重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エ
チレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルア
クリレート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エ
ステルとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等
のエチレンと脂肪族ビニルとの共重合体、エチレン・プ
ロピレン・ヘキサジエン共重合体等のエチレンとプロピ
レンと非共役ジエンターポリマー、ポリアクリル酸ブチ
ル等のアクリル系ゴム、およびポリオルガノシロキサン
ゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
とが分離できないように相互に絡み合った構造を有して
いる複合ゴム(以下IPN型ゴム)等が挙げられる。
【0091】かかるスチレン系樹脂としては、例えばポ
リスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体
(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体(水添SBS)、水添スチレン・イソプレン・スチ
レン共重合体(水添SIS)、高衝撃ポリスチレン(H
IPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS
樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエ
ン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリ
レート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・
アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリ
ル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(A
ES樹脂)、スチレン・メチルメタクリレート共重合体
(MS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリ
ル・スチレン共重合体(MAS樹脂)、スチレン・無水
マレイン酸共重合体(SMA樹脂)およびスチレン・I
PN型ゴム共重合体等の樹脂、またはこれらの混合物が
挙げられる。尚かかるスチレン系熱可塑性樹脂はその製
造時にメタロセン触媒等の触媒使用により、シンジオタ
クチックポリスチレン等の高い立体規則性を有するもの
であってもよい。更に場合によっては、アニオンリビン
グ重合、ラジカルリビング重合等の方法により得られ
る、分子量分布の狭い重合体および共重合体、ブロック
共重合体、および立体規則性の高い重合体、共重合体を
使用することも可能である。これらは1種または2種以
上を混合して使用することも可能である。
【0092】これらの中でもポリスチレン(PS)、高
衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・ス
チレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタ
ジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニ
トリル・スチレン・アクリルゴム共重合体(ASA樹
脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・
スチレン共重合体(AES樹脂)メチルメタクリレート
・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)からな
る群より選択される1種または2種以上を混合して使用
することが好ましく、なかでもABS樹脂、ASA樹
脂、AES樹脂が最も好ましい。
【0093】本発明で使用するABS樹脂とは、ジエン
系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体の混
合物である。このABS樹脂を形成するジエン系ゴム成
分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンお
よびスチレン−ブタジエン共重合体等のガラス転移点が
10℃以下のゴムが用いられ、その割合はABS樹脂成
分100重量%中5〜39.9重量%であるのが好まし
く、特に好ましくは10〜39.9重量%である。
【0094】ジエン系ゴム成分にグラフトされるシアン
化ビニル化合物としては、前記のものをあげることがで
き、特にアクリロニトリルが好ましく使用できる。また
ジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物
としては、同様に前記のものを使用できるが、特にスチ
レンおよびα−メチルスチレンが好ましく使用できる。
かかるジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の割合
は、ABS樹脂成分100重量%中95〜20重量%が
好ましく、特に好ましくは50〜90重量%である。更
にかかるシアン化ビニル化合物および芳香族ビニル化合
物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合
物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50
重量%であることが好ましい。更に上記のジエン系ゴム
成分にグラフトされる成分の一部についてメチル(メ
タ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン
酸、N置換マレイミド等を混合使用することもでき、こ
れらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%以下であ
るものが好ましい。更に反応で使用する開始剤、連載移
動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の各種のもの
が使用可能である。
【0095】本発明のABS樹脂においては、ゴム粒子
径は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは
0.3〜3.0μm、特に好ましくは0.4〜1.5μ
mである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布である
ものおよび2山以上の複数の山を有するもののいずれも
が使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいても
ゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の
周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を
有するものであってもよい。
【0096】またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラ
フトされないシアン化ビニル化合物および芳香族ビニル
化合物を含有することは従来からよく知られているとこ
ろであり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の
際に発生するフリーの重合体成分を含有するものであっ
てもよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物および
芳香族ビニル化合物からなる共重合体の分子量は、好ま
しくは還元粘度で0.2〜1.0、より好ましくは0.
25〜0.5であるものである。
【0097】またグラフトされたシアン化ビニル化合物
および芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に
対して20〜200%が好ましく、より好ましくは20
〜70%のグラフト率のものである。
【0098】このABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳
化重合のいずれの方法で製造されたものでもよく、また
共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共重合して
もよい。また、かかる製造法により得られたABS樹脂
に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル成分とを別途共
重合して得られるビニル化合物重合体をブレンドしたも
のも好ましく使用できる。更に一般的な乳化重合法の
他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー
重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げるこ
とができる。また懸濁重合法においても、水相とモノマ
ー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に
供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同
様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体
中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは
多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御す
る方法なども可能である。
【0099】本発明で使用するASA樹脂とは、アクリ
ルゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体、また
は該熱可塑性グラフト共重合体と、シアン化ビニル化合
物と芳香族ビニル化合物の共重合体との混合物をいう。
本発明でいうアクリルゴムとは、炭素数が2〜10のア
ルキルアクリレート単位を含有するものであり、更に必
要に応じてその他の共重合可能な成分として、スチレ
ン、メチルメタクリレート、ブタジエンを含有してもよ
い。炭素数が2〜10のアルキルアクリレートとして好
ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチル
アクリレートが挙げられ、かかるアルキルアクリレート
はアクリレートゴム100重量%中50重量%以上含ま
れるものが好ましい。更にかかるアクリレートゴムは少
なくとも部分的に架橋されており、かかる架橋剤として
は、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、アリルメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジアクリレート等を挙げることができ、かかる架橋
剤はアクリレートゴムに対して0.01〜3重量%使用
されることが好ましい。またシアン化ビニル化合物およ
び芳香族ビニル化合物の割合はかかる合計量100重量
%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、
芳香族ビニル化合物が95〜50重量%であり、特にシ
アン化ビニル化合物が15〜35重量%、芳香族ビニル
化合物が85〜65重量%のものが好ましい。製造法と
してはABS樹脂と同様のものを使用することが可能で
ある。
【0100】本発明で使用するAES樹脂とは、エチレ
ン−プロピレンゴム成分またはエチレン−プロピレン−
ジエンゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
化合物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体、
または該熱可塑性グラフト共重合体と、シアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体との混合物であ
る。製造法としてはABS樹脂と同様のものを使用する
ことが可能である。
【0101】上記のE成分の割合としては、芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物中100重量%中、40重量%
以下であることが好ましく、更に好ましくは1〜25重
量%である。
【0102】更に本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物は、ゴム状弾性体の存在がなくとも十分な耐衝撃
性を達成し得るものであるが、かかる耐衝撃性を更に効
率的に向上させるためにゴム状弾性体(F成分)を使用
することもできる。本発明において使用可能なF成分の
ゴム状弾性体の例としては、ガラス転移温度が10℃以
下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれら
と共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの
1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を
挙げることができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性
エラストマーとして知られている各種、例えばポリウレ
タンエラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレ
ン−エチレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリ
エーテルアミドエラストマー等を使用することも可能で
ある。熱可塑性エラストマーでないゴム状弾性体は、単
独では射出成形等の付形が困難なものであって、ゴム成
分を40%以上含有するものであり、この点で本発明の
E成分のABS樹脂等とは明確に区別されるものであ
る。
【0103】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合
ゴム、イソブチレン−シリコン複合ゴム、イソプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エ
チレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−ア
クリルゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、
フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加
されたものを挙げることができる。
【0104】中でもガラス転移温度が10℃以下のゴム
成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジエ
ンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴ
ム、アクリル-シリコン複合ゴムを使用したゴム状弾性
体が好ましい。ブタジエン−アクリル複合ゴムとは、ブ
タジエンゴムの成分と、アクリルゴムの成分とを共重合
または分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造を
とるように重合したゴムであり、アクリル−シリコン複
合ゴムとは、アクリルゴムの成分とシリコンゴムの成分
とを分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造とし
たまたはシリコンゴム中の官能基と共重合したものをい
う。
【0105】芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレ
ン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にス
チレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等
を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチ
ルが特に好ましい。
【0106】ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を
含有するゴム状弾性体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであって
もよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グ
ラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生す
るグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であっても
よい。更に一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等
の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合
法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸
濁重合法においても、水相とモノマー相とを個別に保持
して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分
散機の回転数で制御する方法や、同様に連続式の製造方
法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数
〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔質フィルターを
通すことにより供給し粒径を制御する方法なども可能で
ある。
【0107】かかるゴム状弾性体は市販されており容易
に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が
10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、または
ブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとして
は、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱
レーヨン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業
(株)のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリ
ーズ、KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が1
0℃以下のゴム成分としてアクリル−シリコン複合ゴム
を主体とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメタ
ブレンS−2001あるいはSRK−200という商品
名で市販されているものが挙げられる。
【0108】ここで、F成分の割合としては、芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物100重量%中、剛性の点か
ら20重量%以下であることが好ましく、より好ましく
は1〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%であ
る。
【0109】本発明の組成物には、難燃性能を更に向上
させるためにG成分として、フィブリル形成能を有する
ポリテトラフルオロエチレンを配合することもできる。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン
はASTM規格においてタイプ3に分類されているもの
である。更にかかるフィブリル形成能を有するポリテト
ラフルオロエチレンは、1次粒子径が0.05〜10μ
mの範囲のものが好ましく、2次粒子径が50〜700
μmのものが好ましい。かかるポリテトラフルオロエチ
レンはUL規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼
テスト時に溶融滴下防止性能を有しており、かかるフィ
ブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、
例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)よりテフロ
ン6Jとして、またはダイキン化学工業(株)よりポリ
フロンとして市販されており容易に入手できる。
【0110】かかるポリテトラフルオロエチレン(以下
単に“PTFE”と称することがある)は、通常の固体
形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。ま
たかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中で
の分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特
性を得るために以下の形態のPTFE混合物を使用する
ことも可能である。
【0111】第1にPTFE分散液とビニル系重合体の
分散体との共凝集混合物を挙げることができる。具体的
には特開昭60−258263号公報に平均粒径0.0
5〜5μmのPTFE分散液とビニル系重合体の分散液
を混合し、30μmより大きいPTFE粒子を精製させ
ることなく凝固させ、かかる凝固物を乾燥することによ
りPTFE混合物を得る方法が記載されており、かかる
混合物の使用が可能である。
【0112】第2にPTFE分散液と乾燥したポリマー
粒子とを混合した混合物を挙げることができ、かかるポ
リマー粒子としては各種のものが使用できるが、より好
ましくはポリカーボネート樹脂粉末またはABS樹脂粉
末を使用したものである。かかる混合物については、特
開平4−272957号公報にPTFE分散液とABS
樹脂粉末との混合物について記載がされており、かかる
方法の使用が可能である。
【0113】第3にPTFE分散液と熱可塑性樹脂溶液
の混合物からそれぞれの媒体を同時に除去することによ
り得られたPTFE混合物を挙げることができ、具体的
にはスプレードライヤーを使用することにより媒体を除
去した混合物を挙げることができ、かかる混合物につい
ては特開平08−188653号公報に記載されてい
る。
【0114】第4にPTFE分散液中で他のビニル系単
量体を重合することにより得られたPTFE混合物を挙
げることができ、かかる混合物については特開平9−9
5583号公報に、PTFEラテックス中にスチレンお
よびアクリロニトリルを供給することによりPTFE混
合物を得る方法が具体的に記載されており、かかる混合
物等を使用することができる。
【0115】第5に、PTFE分散液とポリマー粒子分
散液を混合後、更に該混合分散液中でエチレン系不飽和
単量体を重合する方法を挙げることができ、かかる方法
は製造の簡便性とPTFEの分散の微細化を両立できる
点で好ましいPTFE混合物として挙げることができ
る。かかる混合物については特開平11−29679号
にその詳細が記載されており、すなわち粒子径0.05
〜1.0μmのPTFE分散液とポリマー粒子分散液と
を混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する
単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライに
より粉体化されたPTFE混合物を好ましいものとして
挙げることができる。
【0116】ここでポリマー粒子としては、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹
脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、ASA樹
脂、ポリアルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよ
びブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添
共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック
共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダ
ム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテン
のランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン
とα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリ
レート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共
重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポ
リオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アク
リレートを含む複合ゴム、更にかかる複合ゴムにスチレ
ン、アクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等
のビニル系単量体をグラフトした共重合体等を挙げるこ
とができるが、なかでもポリアルキル(メタ)アクリレ
ート、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹
脂が好ましい。
【0117】一方、エチレン系不飽和単量体としてはス
チレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−
ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系
単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸
ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エ
ステル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量
体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単
量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフ
ィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジ
エン等のジエン系単量体等の中から選択することができ
る。これらの単量体は単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。
【0118】かかる第5の形態のPTFE混合物として
は、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」
(商品名)が市販されており、入手が容易であると共
に、本発明において好ましく使用することができる。
【0119】フィブリル形成能を有するポリテトラフル
オロエチレンの割合は本発明の芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物100重量%中、3重量%以下であることが
好ましく、より好ましくは0.05〜1.5重量%、特
に好ましくは0.1〜1.0重量%である。3重量%の
範囲においては、十分な溶融滴下防止性能を得ることが
可能となる。
【0120】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、本発明のB成分以外に少量の無機充填材や耐熱有
機充填材を含むものであってもよい。
【0121】かかる無機充填剤としては、タルク、マイ
カ、ガラスフレーク、グラファイトフレーク等の板状充
填剤、ガラスビーズ、ガラスバルーン、セラミックバル
ーン、カーボンビーズ、シリカ粒子、チタニア粒子、ア
ルミナ粒子、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化
チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の各種粒子状充填
剤、および上記各種の無機充填材にメッキ、蒸着、スパ
ッタリング等の方法により、金、銀、ニッケル、銅、ク
ロム、アルミニウム等に代表される各種金属や、酸化チ
タン、酸化鉄、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリ
ウム等に代表される金属酸化物等を被覆した無機充填材
を挙げることができる。
【0122】耐熱有機充填剤としては、アラミド粉末、
ポリテトラフルオロエチレン粉末、架橋スチレン粒子、
架橋アクリル粒子等の粒子状充填剤を挙げることができ
る。
【0123】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、リン系の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
離型剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、染顔
料等を含むものでもよく、かかる目的に対して適宜処方
することが可能であるが、特にリン系の熱安定剤を含む
ことは好ましいものである。
【0124】リン系の熱安定剤としては亜リン酸、リン
酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル
等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、ト
リオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホ
スファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジ
イソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジ
フェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファ
イト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メ
チレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト等の亜リン酸エステル化合物、トリブチルホス
フェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホス
フェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェ
ニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニ
ルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニ
ルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジ
ブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソ
プロピルホスフェート等のリン酸エステル化合物、更に
その他のリン系熱安定剤として、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル
フェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−
ビフェニレンホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル化
合物等を挙げることができる。これらのうち、トリスノ
ニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリメチル
ホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4−ビフェニレンホスホナイトが好ましい。これらの熱
安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよ
い。かかる熱安定剤の割合は、本発明の芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物100重量%中1重量%以下が好ま
しく、0.0005〜0.5重量%がより好ましく、
0.002〜0.3重量%が更に好ましい。
【0125】酸化防止剤としては、例えばペンタエリス
リトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネー
ト)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリル
チオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリル
チオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオー
ル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトー
ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホス
フィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げら
れる。これら酸化防止剤の割合は、本発明の芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物100重量%中0.0001〜
1重量%が好ましい。
【0126】紫外線吸収剤としては、例えば2,2’−
ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表され
るベンゾフェノン系紫外線吸収剤、および例えば2−
(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシ
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メ
チレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス
(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベン
ゾトリアゾールおよび2−(3,5−ジ−tert−ア
ミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールに
代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示さ
れる。更にビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等に代表さ
れるヒンダードアミン系の光安定剤も使用することが可
能である。かかる紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、本
発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%
中5重量%以下であることが好ましく、特に0.01〜
3重量%が好ましい。
【0127】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は熱可塑性樹脂組成物には、溶融成形時の金型からの
離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわ
ない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる
離型剤としては、オレフィン系ワックス、シリコーンオ
イル、オルガノポリシロキサン、一価または多価アルコ
ールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋
等の従来公知であり、かつ本発明のC成分における特定
の官能基を有しないものが挙げられる。かかる離型剤の
割合は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物1
00重量%中2重量%以下であることが好ましく、特に
0.1〜1重量%が好ましい。
【0128】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の効果の範囲内において、帯電防止剤を
配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例
えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステ
アレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水
マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセ
ライド等が挙げられる。かかる帯電防止剤の割合は、本
発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%
中20重量%以下であることが好ましく、特に0.5〜
15重量%が好ましい。
【0129】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブ
ラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリー
ミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合し
て製造することができる。好ましくは2軸押出機による
溶融混練が好ましく、更にその際、B成分はサイドフィ
ーダー等により第2供給口より、溶融混合された他の成
分中に供給することが好ましい。
【0130】かくして得られる樹脂組成物は押出成形、
射出成形、圧縮成形などの方法で容易に成形可能であ
り、またブロー成形、真空成形などにも適用できる。特
に射出成形やブロー成形においては、断熱層を有する金
型や、予め金型キャビティの表面のみを局所的に高温と
した金型を使用することにより製造されるものが好まし
い。上記の各種製造法により得られた成形品は、剛性と
耐衝撃性の両立に優れるものであり、薄肉筐体などの分
野に最適である。具体的には携帯型通信機器、ノート型
パソコン、自動車内部部品、特に電気自動車部品などの
分野が挙げられる。特に高い難燃性が要求される分野の
材料として最適である。
【0131】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示し本発明を具体
的に説明する。本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0132】[参考例1]マスターペレット化された赤
リン系難燃剤の作成 芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、L−
1225WP、粘度平均分子量22,500)83.4
8重量部及びトリメチルホスフェート0.02重量部
を、V型ブレンダーを用いて均一に混合した。その後径
30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製
TEX30XSST]を用いて、かかる混合物を最後部
の第1投入口より、マイクロカプセル化した赤リン[燐
化学工業(株)製ノーバエクセル140、赤リン含有量
92重量%、平均粒径35μm]をシリンダ途中のサイ
ドフィード部の第2投入口より、計量器[(株)クボタ
製CWF]を用い、第1投入口の混合物83.5重量部
に対し、第2投入口のマイクロカプセル化した赤リンが
16.5重量部となるよう投入した。各投入部は窒素ガ
スボンベにより窒素ガス雰囲気として、シリンダー温度
280℃とし、またダイスは直径4mmφの円形孔を3
穴有するものを使用し、ストランド押出、冷却バスによ
る冷却の後、ペレタイザーによりペレット化した。かか
るペレットをV型ブレンダーで均一に混合した後、10
0個を抜き取り、かかるペレットを円柱と見立てて、径
及び長さをデジタルノギスにて測定し表面積を算出、及
び電子天秤により重量を測定して比表面積の値を算出し
た。これにより、赤リン含有量15重量%、比表面積1
5.5cm2/gであるマスターペレット化された赤リ
ン系難燃剤(マスター1)を得た。
【0133】[実施例1〜16、比較例1〜9]表1、
表2および表3に記載のA成分からG成分のうち、B成
分およびそれに相当する成分を除いた成分と、0.1重
量%のトリメチルホスフェート、および0.3重量%の
カーボンブラック#970(三菱化学(株)製)をV型
ブレンダーにて混合後、径30mmφベント式二軸押出
機[(株)日本製鋼所TEX−30XSST]を用い
て、かかる混合物を最後部の第1投入口より、また繊維
状充填材をシリンダー途中の第2投入口より、計量器を
用いて所定の割合となるように投入しサイドフィーダー
を用いて押出機に供給した。かかる条件下で真空ポンプ
を使用し0.5kPaの真空下において、シリンダー温
度290℃で溶融押出ししてペレット化した。得られた
ペレットを100℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾
燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG−15
0U)によりシリンダー温度290℃、金型温度90℃
で衝撃試験片を得た。評価結果を表1、表2および表3
に示した。
【0134】(a)ノッチ付き衝撃値:ASTM D−
256(アイゾットノッチ付き、厚み3.2mm)によ
り測定した。 (b)フィラーへの基材樹脂の付着量観察:アイゾット
ノッチ付き衝撃破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、フ
ィラーへの基材樹脂の付着度合いを調べた。フィラーの
周囲に基材樹脂の付着が少ないほど、衝撃という高速の
変形時におけるフィラーの拘束力が少なく、ポリカーボ
ネート樹脂本来の靭性が活かされるため好ましい。 ◎ : フィラーの周囲に基材樹脂の付着がほとんどな
い ○ : フィラーの周囲への基材樹脂の付着は少ない
が、わずかにあり × : フィラーの周囲への基材樹脂の付着が多い (c)難燃性:UL規格94Vに従い燃焼試験を実施し
た。 (d)曲げ弾性率:ASTM D−790により測定し
た。 なお、表1、表2および表3記載の各成分を示す記号は
下記の通りである。
【0135】(A成分) PC−1:芳香族ポリカーボネート樹脂 (帝人化成(株)製 L−1225WP、粘度平均分子
量22,500) PC−2;芳香族ポリカーボネート樹脂 (帝人化成(株)製 L−1225WX、粘度平均分子
量19,700)
【0136】(B成分) CF−1:N−メトキシメチル化ナイロン6をメチルア
ルコールに溶解し調整した溶液の中に、酸化処理を施し
た炭素繊維のロービングを60m/hrの速度で連続的
に浸漬し、そして脱溶剤を行った後、6mmの長さにカ
ットした。尚、かかる炭素繊維は、PAN系高弾性率タ
イプであり、繊維径7μm、体積抵抗率が約1×10-5
Ω・mのものであり、またナイロン6の付着量は3.5
重量%であった(熱減量法により測定)。 GF−1:N−メトキシメチル化ナイロン6をメチルア
ルコールに溶解し調整した溶液の中に、アミノシラン処
理を施したガラス繊維のロービングを60m/hrの速
度で連続的に浸漬し、そして脱溶剤を行った後、4mm
の長さにカットした。尚、かかるガラス繊維は、Eガラ
スからなり繊維径13μmのものであり、ナイロン6の
付着量は3.5重量%であった(熱減量法により測
定)。 NiCF−1:N−メトキシメチル化ナイロン6をメチ
ルアルコールに溶解し調整した溶液の中に、ニッケルで
表面メッキされた炭素繊維のロービングを60m/hr
の速度で連続的に浸漬し、そして脱溶剤を行った後、4
mmの長さにカットした。尚、かかる炭素繊維は炭素繊
維の繊維径7μm、ニッケル被覆後の繊維径7.5μ
m、体積抵抗率が約7×10-7Ω・mのものであり、ま
たナイロン6の付着量は3.5重量%であった(熱減量
法により測定)。 (B成分以外) CF−2:(ウレタン/エポキシ系集束剤で処理された
CF) CF−3:(エポキシ系集束剤で処理されたCF) GF−2:(日本電気硝子(株)製 ECS−03T−
511) WSN:ワラストナイト(巴工業(株)製 サイカテック
NN−4)
【0137】(C成分) C−1:カルボキシル基変性オレフィン系ワックス(三
菱化学(株)製 ダイヤカルナ−30)
【0138】(D成分) FR−1:モノリン酸エステル系難燃剤(トリフェニル
ホスフェート)(大八化学工業(株)製TPP) FR−2:縮合リン酸エステル系難燃剤(旭電化工業
(株)製アデカスタブFP−500) FR−3:ハロゲン系難燃剤(テトラブロモビスフェノ
ールAのカーボネートオリゴマ−、帝人化成(株)製フ
ァイヤガードFG−7000) FR−4:上記参考例1で作成したマスターペレット化
された赤リン系難燃剤
【0139】(E成分) ABS:ABS樹脂(三井化学(株)製 サンタックU
T−61)
【0140】(F成分) F−1:複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レイヨン
(株)製 メタブレンS−2001) F−2:ジエン系ゴム状重合体(呉羽化学工業(株)製
パラロイド EXL−2602) F−3:アクリル系共重合体(呉羽化学工業(株)製
HIA−15)
【0141】(G成分) G−1:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロ
エチレン(ダイキン工業(株)製ポリフロンFA−50
0)
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】これらの表から明らかなように、実施例1
と比較例1の比較から、ポリアミドで集束された炭素繊
維を使用しただけでは、高い耐衝撃性を達成することは
できない。比較例2からは、ポリアミドで集束された炭
素繊維にゴム成分を添加してだけでは高い耐衝撃性を達
成することはできず、剛性も低下する。また、比較例
3、4からは、ポリアミド以外の集束剤で集束された炭
素繊維を使用した系では、C成分と併用した系において
も高い耐衝撃性を達成することはできない。比較例5で
は、C成分を更に多く添加しても高い耐衝撃性を達成す
ることはできないことがわかる。また実施例6〜10に
おいてみられるように、高い耐衝撃性が達成しにくい難
燃剤を多く含む樹脂組成物の場合であっても本発明の芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物では極めて良好な耐衝
撃性を達成していることがわかる。
【0146】
【発明の効果】本発明の組成物は、耐衝撃性および剛性
に優れており、得られた難燃性樹脂組成物は電子機器の
筐体を始め幅広い産業分野で好適であり、本発明で得ら
れた樹脂組成物が奏する工業的効果は格別なものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 91/06 C08L 91/06 Fターム(参考) 4J002 AE033 BA013 BB093 BB103 BB203 BB213 CE00X CG01W CG02W CH023 CH053 CL06X CP053 CP093 DA016 DA076 DA096 DA116 DC006 DE096 DE136 DE146 DE186 DE236 DG046 DJ006 DK006 DL006 EB067 EH037 EP017 FA046 FA066 FA076 FB266 FB276 FD173 FD177

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成
    分)、ポリアミドで表面処理された繊維状充填剤(B成
    分)、並びにカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エ
    ポキシ基、およびオキサゾリン基から選択された少なく
    とも1種の官能基を有する滑剤(C成分)を含んでなる
    樹脂組成物であって、該樹脂組成物100重量%中A成
    分をa重量%、B成分をb重量%、C成分をc重量%と
    したとき、以下の[1]〜[3]式を満足してなる芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。 {100−(b+c)}×0.2≦a≦96.9 [1] 3≦b≦55 [2] 0.05≦c≦10 [3]
  2. 【請求項2】 B成分がポリアミドで集束されたL/D
    が10以上の繊維状充填剤である請求項1に記載の芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 B成分がポリアミドで集束された炭素繊
    維であり、かつ以下の[4]式を満足する請求項1に記
    載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 4≦b≦35 [4]
  4. 【請求項4】 更に難燃剤(D成分)を0.05〜30
    重量%含んでなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 C成分がカルボキシル基、カルボン酸無
    水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選択さ
    れた少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワ
    ックスまたはシリコンオイルである請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 C成分がカルボキシル基、およびカルボ
    ン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を
    有するポリオレフィンワックスである請求項5に記載の
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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