JP2002302598A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2002302598A
JP2002302598A JP2001105721A JP2001105721A JP2002302598A JP 2002302598 A JP2002302598 A JP 2002302598A JP 2001105721 A JP2001105721 A JP 2001105721A JP 2001105721 A JP2001105721 A JP 2001105721A JP 2002302598 A JP2002302598 A JP 2002302598A
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Yasuaki Kobayashi
泰明 小林
Yuji Tada
祐二 多田
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Otsuka Chemical Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Otsuka Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐衝撃性に優れ、かつ湿熱環境下における耐
加水分解性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸
基が、芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端を100モ
ル%とした時、10〜70モル%であり、かつ二価フェ
ノールとカーボネートエステルとをエステル交換反応さ
せて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)9
9〜70重量%、架橋ホスファゼン系難燃剤(b成分)
1〜30重量%からなるる難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物、およびそれを溶融成形してなる成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れ、
かつ湿熱環境下における耐加水分解性に優れた難燃性ポ
リカーボネート樹脂組成物およびこれから溶融成形して
得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性など
にも優れており、広く用いられている。このような芳香
族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェ
ノールAなどの二価フェノールにホスゲンを直接反応さ
せる方法(界面重合法)、あるいはビスフェノールなど
の二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのジア
リルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応させ
重合する方法(以下、溶融法と称することがある。)な
どが知られている。このような製造方法のなかで、二価
フェノールとジアリルカーボネートとのエステル交換反
応させる方法は、界面重合法による製造に比べて、ホス
ゲンやメチレンクロライド等のハロゲン化合物を使用す
る問題がなく、環境に対する負荷が少なく且つ安価に製
造できる利点があり、有望な技術である。
【0003】一方、芳香族ポリカーボネート樹脂は、エ
ンジニアプラスチックとして電気、電子機器分野、自動
車分野、OA分野などさまざまな分野において幅広く使
用されている。そしてこれらの用途のなかでも、OA機
器、家電製品等の用途を中心に、使用する樹脂材料の難
燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために芳香族
ポリカーボネート樹脂の難燃化の検討が数多くなされて
いる。従来、芳香族ポリカーボネート樹脂に難燃性を付
与するためにハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等を添加
した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されてい
る。臭素や塩素等のハロゲン元素を含有するハロゲン系
難燃剤は難燃効果の優れた難燃剤であるが、成形加工時
に熱分解してハロゲン化水素を発生し、金型を腐食させ
たり、樹脂組成物の熱安定性を低下させるなどの問題が
ある。また燃焼時に有害物質を発生するという問題点も
ある。
【0004】リン系難燃剤としては、リン酸エステル系
化合物、赤リン、ホスファゼン系化合物などが挙げられ
る。リン酸エステル系化合物は比較的良好な難燃効果が
得られることから広く用いられている。しかし、高い難
燃効果を得るためには多量に難燃剤を添加する必要があ
り、組成物の耐熱性低下あるいは衝撃強度の低下を招く
という問題がある。また、赤リンを用いて難燃化した場
合、少量の添加により高い難燃効果が得られるが、組成
物の着色の問題、成形加工時に臭気が発生するなどの問
題がある。これに対して、ホスファゼン系化合物はリン
酸エステル系化合物や赤リンなどと比べて比較的機械的
特性や熱的特性、成形加工性に悪影響を及ぼさないた
め、最近注目されてきている。
【0005】ホスファゼン系化合物を用いて難燃化され
た樹脂組成物としては、例えばポリカーボネート樹脂に
特定量のホスファゼン化合物を配合する方法(特開昭5
1−37149号公報)、ポリカーボネート系樹脂組成
物にホスファゼン化合物およびフッ素系樹脂を配合した
難燃性樹脂組成物(特開平7−292233号公報)、
ポリカーボネート樹脂に特定構造のホスファゼン化合
物、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、耐衝撃性改良
剤、紫外線吸収剤を配合した難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物(特開2000−351893号公報)などが
開示されている。しかしながら、これらの公報は溶融法
によって製造されたポリカーボネート樹脂において良好
な特性を有する樹脂組成物を十分に開示しているもので
はなかった。
【0006】さらに特開2001−2908号公報に
は、ポリカーボネート樹脂、アクリレート単量体がゴム
質重合体にグラフト重合された共重合体、ホスファゼン
化合物およびポリテトラフルオロエチレンからなる樹脂
組成物が開示されている。かかる公報にはポリカーボネ
ート樹脂として溶融エステル交換法によって製造され、
ヒドロキシ末端量が33%のポリカーボネートが具体的
に示され、さらにその効果として、従来公知の市販のリ
ン酸エステルオリゴマーと比べて耐加水分解性が良好で
あることが記載されている。しかしながら耐加水分解性
において更なる改良が求められる場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐衝
撃性に優れ、かつ湿熱環境下における耐加水分解性に優
れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること
にある。本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討
を重ねた結果、エステル交換反応で製造された特定の末
端水酸基濃度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂に特
定の架橋ホスファゼン系難燃剤を配合する事により目的
とする耐衝撃性に優れ、かつ湿熱環境下における耐加水
分解性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の末端水酸基が、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の全末端を100モル%とした時、10〜70モ
ル%であり、かつ二価フェノールとカーボネートエステ
ルとをエステル交換反応させて得られた芳香族ポリカー
ボネート樹脂(a成分)99〜70重量%、架橋ホスフ
ァゼン系難燃剤(b成分)1〜30重量%からなる樹脂
組成物であって、かつ該架橋ホスファゼン系難燃剤が下
記の一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】〔式中mは3〜25の整数を示す。Phは
フェニル基を示す。〕で表わされる環状フェノキシホス
ファゼンおよび一般式(2)
【0011】
【化5】
【0012】〔式中X1は基−N=P(OPh)3または
基−N=P(O)OPhを示し、Y1は基−P(OP
h)4または基−P(O)(OPh)2を示す。nは3〜
10,000の整数を示す。Phは前記に同じ。〕で表
される鎖状フェノキシホスファゼンからなる群より選ば
れる少なくとも1種のホスファゼン化合物が、o−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基および
一般式(3)
【0013】
【化6】
【0014】〔式中Aは−C(CH32−、−SO
2−、−S−または−O−を示す。aは0または1を示
す。〕で表されるビスフェニレン基からなる群より選ば
れる少なくとも1種の架橋基により架橋されてなる化合
物であって、(a)該架橋基はホスファゼン化合物のフ
ェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、(b)
フェニル基の含有割合が上記ホスファゼン化合物(1)
および/または(2)中の全フェニル基の総数を基準に
50〜99.9%であり、且つ(c)分子内にフリーの
水酸基を有していない架橋フェノキシホスファゼン化合
物であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物から溶融成形して得られる成形品に係るものであ
る。
【0015】本発明のa成分における芳香族ポリカーボ
ネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを溶融法で反応させて得られるものである。こ
こで使用される二価フェノールの代表的な例としては、
ハイドロキノン、レゾルシノール、1,6−ジヒドロキ
シナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルメタン、ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェ
ノールA)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブ
ロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−
ビス{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、4−ブロ
モレゾルシノール、2,2−ビス{(3−イソプロピル
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−フェニル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(3−エチル−4−ヒドロキシ)フ
ェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−n−プロピル
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−メトキシ−4−ヒドロ
キシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジブ
ロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレ
ン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス{(3−フェノキシ
−4−ヒドロキシ)フェニル}エチレン、エチレングリ
コールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメ
チルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−4−メチルペンタン、3,3−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロドデカン、9,9−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレ
ン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−
ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプ
ロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
エーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエス
テルなどがあげられ、これらは単独または2種以上を混
合して使用できる。
【0016】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シ)フェニル}プロパン、エチレングリコールビス(4
−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルフィド、および4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビス
フェノールより得られる単独重合体または共重合体が好
ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体が好まし
く使用される。
【0017】カーボネートエステルとしては、具体的に
は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、
ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシル
カーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されな
い。好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。
これら炭酸エステルもまた、単独で用いてもよく、また
二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】上記二価フェノールとカーボネートエステ
ルを溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を
製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、
二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また
ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化
合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であって
も、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合
したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、ま
た、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合し
た混合物であってもよい。
【0019】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2,2,4,6−トリメチル−2,4,6−
トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5
−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,
1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−
[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベ
ンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のト
リスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、
1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチ
ル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸
クロライド、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3’−フェノキシカルボニル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2
−(3’−カルボキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好まし
く、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましい。
【0020】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール
またはフェノールを留出させる方法により行われる。反
応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等
により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。
反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して
生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさ
せる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0021】また、溶融法において重合速度を速めるた
めに重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒とし
ては、例えば(i)アルカリ金属化合物或はアルカリ土
類金属化合物および/または(ii)含窒素塩基性化合
物よりなる触媒を用いて縮合される。触媒として用いら
れるアルカリ金属化合物或はアルカリ土類金属化合物と
しては、例えばアルカリ金属或はアルカリ土類金属化合
物の水酸化物、炭化水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸
塩、亜硝酸塩、亜流酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸
塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リ
ン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙
げられる。特にアルカリ金属化合物が好ましい。
【0022】アルカリ金属化合物の具体例としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナト
リウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウ
ム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリ
ウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシア
ン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸
リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリ
ウム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウ
ム、水酸化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、フ
ェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息
香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリ
ウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、
ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジ
リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、
リチウム塩などが挙げられる。特にナトリウム化合物が
好ましい。
【0023】触媒としてのアルカリ金属化合物は、二価
フェノール1モルに対し10-8〜10-5モルの範囲が好
ましい。さらに好ましくは10-8〜10-6モル、最も好
ましくは10-7〜10-6モルの範囲である。上記の使用
範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性
に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分
に進行せず高分子量のポリカーボネートが得られない等
の問題が起こることがある。
【0024】また、触媒としての含窒素塩基性化合物と
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ―CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)な
どの塩基性塩などを挙げることができる。これらの中
で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4
OH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et
4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Bu4NOH)が好ましく、特にテトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(Me4NOH)が好ましい。
【0025】上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性
化合物中のアンモニウム窒素原子が二価フェノール1モ
ル当り1×10-5〜1×10-3当量となる割合で用いる
のが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×
10-5〜7×10-4当量となる割合である。特に好まし
い割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量と
なる割合である。
【0026】本発明においては所望により、アルカリ金
属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属
やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ
素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲ
ルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、
オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化
合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの
通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触
媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよい
し、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合
触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、
好ましくは1×10-9〜1×10-5当量、より好ましく
は1×10-8〜5×10-6当量の範囲で選ばれる。
【0027】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の末
端水酸基は、芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端を1
00モル%とした時、10〜70モル%であり、好まし
くは15〜65モル%、さらに好ましくは20〜60モ
ル%、最も好ましくは20〜45モル%に制御すること
がよい。ここで芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸
基のモル%は、常法により1H―NMRにより決定でき
る。
【0028】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の末
端水酸基の割合は、原料である二価フェノールとカーボ
ネートエステル(代表的にはジフェニルカーボネート)
の仕込み比によってコントロールすることができる。重
合温度、重合時の真空度等の重合条件によっても異なる
が、一般的にはジフェニルカーボネート/二価フェノー
ルの比が1以上にすると非水酸基末端よりも末端水酸基
が少なくなり、1未満の場合は非水酸基末端よりも末端
水酸基が多くなる。また、かかる重合反応において、末
端水酸基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終
了後に、芳香族ポリカーボネート樹脂に末端封鎖剤を添
加し、一部の末端水酸基を封鎖することにより、末端水
酸基量をコントロールすることもできる。
【0029】かかる末端封鎖剤としては、例えばフェノ
ール、p−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェ
ニルフェニルカーボネート、p−t−ブチルフェニルカ
ーボネート、p−クミルフェノール、p−クミルフェニ
ルフェニルカーボネート、p−クミルフェニルカーボネ
ート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブ
ロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)
カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネー
ト、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェ
ニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカ
ーボネート、ジフェニルカーボネート、メトキシカルボ
ニルフェニルフェニルカーボネート、2,2,4−トリメ
チル−4−(4−ヒドロキシフェニル)クロマン2,4,
4−トリメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロ
マンおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボ
ネート等の化合物が挙げられる。なかでも2−クロロフ
ェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニル
フェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に
2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
が好ましく使用される。
【0030】本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂
中の触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好まし
い。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸
メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン
酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスル
ホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−
トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブ
チル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエン
スルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さら
に、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホ
ン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐ス
ルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン
酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンス
ルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テ
トラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスル
ホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルア
ンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデ
シルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフ
ェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ド
デシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テ
トラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、
テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシ
ルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、
テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェー
ト、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフ
ェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサ
ルフェート等の化合物を挙げることができるが、これら
に限定されない。これらの化合物を二種以上併用するこ
ともできる。
【0031】失活剤の中でホスホニウムもしくはアンモ
ニウム塩型の失活剤はそれ自身200℃以上でも特に安
定である。そしてその失活剤を芳香族ポリカーボネート
樹脂に添加した場合すみやかに重縮合反応触媒を中和
し、目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂を得ること
ができる。即ち、重合封鎖反応後に生成するポリカーボ
ネートに対し、失活剤を好ましくは0.01〜500p
pmの割合で、より好ましくは0.01〜300pp
m、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使
用される。
【0032】また、かかる失活剤は、重縮合反応触媒に
対する割合では、反応終了後に残存する重縮合反応触媒
1モル当り0.5〜50モルの割合で用いるのが好まし
い。失活剤を末端封鎖後の芳香族ポリカーボネート樹脂
に添加する方法には特に限定されない。例えば、反応生
成物である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にあ
る間にこれらを添加してもよいし、一旦芳香族ポリカー
ボネート樹脂をペレタイズした後再溶融して添加しても
よい。前者においては、末端封鎖反応が終了して得られ
る溶融状態にある反応器内または押出機内の反応生成物
である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間
に、これらを添加して芳香族ポリカーボネート樹脂を形
成した後、押出機を通してペレタイズしてもよいし、ま
た、重合封鎖反応で得られた芳香族ポリカーボネート樹
脂が反応器から押出機を通ってペレタイズされる間に、
失活剤を添加して混練することによって芳香族ポリカー
ボネート樹脂を得ることができる。
【0033】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、
粘度平均分子量(M)で12,000〜30,000が好
ましく、14,000〜27,000がより好ましく、1
5,000〜25,000が特に好ましい。かかる粘度平
均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、組成
物として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動
性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明で
いう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカ
ーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求
めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものであ
る。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7 本発明においてb成分として使用される架橋ホスファゼ
ン化合物は、一般式(1)
【0034】
【化7】
【0035】〔式中mは3〜25の整数を示す。Phは
フェニル基を示す。〕で表される環状フェノキシホスフ
ァゼンおよび一般式(2)
【0036】
【化8】
【0037】〔式中X1は基−N=P(OPh)3または
基−N=P(O)OPhを示し、Y1は基−P(OP
h)4または基−P(O)(OPh)2を示す。nは3〜
10,000の整数を示す。Phは前記に同じ。〕で表
される鎖状フェノキシホスファゼンからなる群より選ば
れる少なくとも1種のホスファゼン化合物が、o−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基および
一般式(3)
【0038】
【化9】
【0039】〔式中Aは−C(CH32−、−SO
2−、−S−または−O−を示す。aは0または1を示
す。〕で表されるビスフェニレン基からなる群より選ば
れる少なくとも1種の架橋基により架橋されてなる化合
物であって、(a)該架橋基はホスファゼン化合物のフ
ェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、(b)
フェニル基の含有割合が上記ホスファゼン化合物(1)
および/または(2)中の全フェニル基の総数を基準に
50〜99.9%であり、且つ(c)分子内にフリーの
水酸基を有してない架橋フェノキシホスファゼン化合物
を挙げることができる。
【0040】なお、一般式(2)における末端基X1
よびY1は反応条件等により変化し、通常の反応条件
で、例えば非水の系で温和な反応を行った場合には、X
1が−N=P(OPh)3、Y1が−P(OPh)4の構造
となり、水分もしくはアルカリ金属水酸化物が反応系内
に存在するような反応条件で、または転移反応が生じる
ような過酷な反応条件で反応を行った場合には、X1
−N=P(OPh)3、Y 1が−P(OPh)4の構造の
他に、X1が−N=P(O)OPh、Y1が−P(O)
(OPh)2の構造のものが混在する状態となる。
【0041】また、本明細書において、「分子内にフリ
ーの水酸基を有していない」とは、分析化学便覧(改訂
第3版、日本分析化学会編、丸善(株)、1981年)
第353頁に記載の無水酢酸とピリジンによるアセチル
化法に従って定量した場合に、フリーの水酸基量が検出
限界以下であることを意味する。ここで検出限界とは、
試料(本発明の架橋フェノキシホスファゼン化合物)1
g当たりの水酸基当量としての検出限界であり、より具
体的には1×10-6水酸基当量/g以下である。なお、
上記のアセチル化法で本発明の架橋フェノキシホスファ
ゼン化合物を分析すると、残留する原料フェノールの水
酸基の量も加算されるが、原料フェノールは高速液体ク
ロマトグラフィーによって定量できるので、架橋フェノ
キシホスファゼン化合物中のフリーの水酸基のみを定量
することができる。本発明の架橋フェノキシホスファゼ
ン化合物は、下記一般式(4)
【0042】
【化10】
【0043】〔式中mは前記に同じ。〕で表される環状
ジクロルホスファゼンおよび一般式(5)
【0044】
【化11】
【0045】〔式中X2は基−N=PCl3または基−N
=P(O)Clを示し、Y2は基−PCl4または基−P
(O)Cl2を示す。nは前記に同じ。〕で表される鎖
状ジクロルホスファゼンからなる群より選ばれる少なく
とも1種のジクロルホスファゼン化合物に、一般式
(6)
【0046】
【化12】
【0047】〔式中Mはアルカリ金属を示す。〕で表さ
れるアルカリ金属フェノラートと、一般式(7)
【0048】
【化13】
【0049】〔式中Mは前記に同じ。〕で表されるアル
カリ金属ジフェノラートおよび一般式(8)
【0050】
【化14】
【0051】〔式中A、aおよびMは前記に同じ。〕で
表されるアルカリ金属ジフェノラートからなる群より選
ばれる少なくとも1種のジフェノラートとの混合物を反
応させ(第一工程)、次いで得られる化合物に上記アル
カリ金属フェノラートをさらに反応させる(第二工程)
ことにより製造される。
【0052】本発明の架橋フェノキシホスファゼン化合
物の製造法において、原料として使用される、一般式
(4)および一般式(5)で表されるジクロルホスファ
ゼン化合物は、例えば、特開昭57−87427号公
報、特公昭58−19604号公報、特公昭61−13
63号公報、特公昭62−20124号公報等に記載の
公知の方法に従って製造できる。その一例を示せば、ま
ずクロルベンゼン中で、塩化アンモニウムと五塩化リン
(または塩化アンモニウムと三塩化リンと塩素)とを、
120〜130℃程度で反応させて、脱塩酸化すること
で製造できる。
【0053】一般式(6)で表されるアルカリ金属フェ
ノラートとしては、従来公知のものを広く使用でき、例
えばナトリウムフェノラート、カリウムフェノラート、
リチウムフェノラート等を挙げることができる。これら
アルカリ金属フェノラートは1種を単独で使用できまた
は2種以上を併用できる。
【0054】一般式(7)で表されるアルカリ金属ジフ
ェノラートにおいて、2つの基−OM(Mは上記に同
じ)は、オルト、メタまたはパラのいずれの位置関係に
あってもよい。該アルカリ金属ジフェノラートの具体例
としては、例えば、レゾルシノール、ハイドロキノン、
カテコール等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
これらの中でも、ナトリウム塩およびリチウム塩が好ま
しい。該アルカリ金属ジフェノラートは、1種を単独で
使用できまたは2種以上を併用できる。
【0055】一般式(8)で表されるアルカリ金属ジフ
ェノラートとしては、例えば、4,4’−イソプロピリ
デンジフェノール(ビスフェノール−A)、4,4’−
スルホニルジフェノール(ビスフェノール−S)、4,
4’−チオジフェノール、4,4’−オキシジフェノー
ル、4,4’−ジフェノール等のアルカリ金属塩等を挙
げることができる。これらの中でも、ナトリウム塩およ
びリチウム塩が好ましい。該アルカリ金属ジフェノラー
トは、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用でき
る。
【0056】本発明では、一般式(7)で表されるアル
カリ金属ジフェノラートおよび一般式(8)で表される
アルカリ金属ジフェノラートをそれぞれ単独で使用して
もよいし、これらを混合して使用してもよい。本発明に
よれば、ジクロルホスファゼン化合物にアルカリ金属フ
ェノラートとアルカリ金属ジフェノラートとの混合物を
反応させ(第一工程)、次いで得られる化合物にさらに
アルカリ金属フェノラートを反応(第二工程)させると
いう特定の構成を採用することにより、フリーの水酸基
を分子内に残存させることなく、アルカリ金属ジフェノ
ラートの両OM基のMが脱離して、二つの酸素原子がジ
クロルホスファゼン化合物中のリン原子に結合し、架橋
された(即ち分子量が増加した)フェノキシホスファゼ
ン化合物が製造される。
【0057】本発明の架橋フェノキシホスファゼン化合
物の製造法において、その第一工程は、ジクロルホスフ
ァゼン化合物中の塩素原子がアルカリ金属フェノラート
およびアルカリ金属ジフェノラートとの反応により全て
消費されないように、即ちジクロルホスファゼン化合物
中の塩素原子がアルカリ金属フェノラートおよびアルカ
リ金属ジフェノラートとの反応によってもなお残存して
いるように、アルカリ金属フェノラートおよびアルカリ
金属ジフェノラートの使用量を調節することが望まし
い。これにより、アルカリ金属ジフェノラートの両−O
M基(Mは前記に同じ)がジクロルホスファゼン化合物
のリン原子に結合する。第一工程では、アルカリ金属フ
ェノラートおよびアルカリ金属ジフェノラートの使用量
は、ジクロルホスファゼン化合物の塩素量を基準にし
て、両フェノラートの合計量で通常0.05〜0.9当量
程度、好ましくは0.1〜0.8当量程度とすればよい。
【0058】本発明の製造方法の第二工程においては、
上記第一工程で生成する化合物中の塩素原子およびフリ
ーの水酸基が全てアルカリ金属フェノラートとの反応に
よって全て消費されるように、アルカリ金属フェノラー
トの使用量を調節することが望ましい。本発明では、ア
ルカリ金属フェノラートの使用量は、ジクロルホスファ
ゼン化合物の塩素量を基準にして、通常1〜1.5当量
程度、好ましくは1〜1.2当量程度とすればよい。本
発明では、アルカリ金属フェノラート(第一工程および
第二工程で用いる合計量)とアルカリ金属ジフェノラー
トとの使用割合(アルカリ金属ジフェノラート/アルカ
リ金属フェノラート、モル比)は、通常1/2000〜
1/4程度、好ましくは1/20〜1/6とすればよ
い。
【0059】第一工程および第二工程の反応は、各々通
常室温〜150℃程度、好ましくは80〜140℃程度
の温度下に行われ、通常1〜12時間程度、好ましくは
3〜7時間程度で終了する。第一工程および第二工程の
反応は、いずれも、通常ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類、モノクロルベンゼン、ジクロル
ベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素等の有機溶媒中
にて行われる。上記反応により製造される本発明の架橋
フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、洗浄、濾
過、乾燥等の通常の単離方法に従い、反応混合物から容
易に単離、精製できる。
【0060】また、本発明における架橋フェノキシホス
ファゼン化合物中のフェニル基の含有割合は、一般式
(1)の環状フェノキシホスファゼンおよび/または一
般式(2)の鎖状フェノキシホスファゼン中の全フェニ
ル基の総数を基準に50〜99.9%であり、好ましく
は70〜90%である。本発明で使用される架橋ホスフ
ァゼン系難燃剤(b成分)の配合割合は、本発明のa成
分およびb成分の合計100重量%中1〜30重量%が
好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。b
成分の添加量が1重量%未満であると難燃効果が不十分
であり、また30重量%を超えると機械的強度や耐熱性
(特に荷重たわみ温度)が著しく低下する。
【0061】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物には、難燃性能をさらに向上させるために、フィブリ
ル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(c成
分)を配合することもできる。フィブリル形成能を有す
るポリテトラフルオロエチレンとしてはテトラフルオロ
エチレンを乳化重合して得られるラテックスを凝析およ
び乾燥した粉末(いわゆるポリテトラフルオロエチレン
のファインパウダーであり、ASTM規格においてタイ
プ3に分類されるもの)が挙げられる。あるいはそのラ
テックスに界面活性剤を加え濃縮および安定化して製造
される水性分散体(いわゆるポリテトラフルオロエチレ
ンのディスパージョン)が挙げられる。
【0062】かかるフィブリル形成能を有するポリテト
ラフルオロエチレンの分子量は、標準比重から求められ
る数平均分子量において100万〜1000万、より好
ましく200万〜900万である。さらにかかるフィブ
リル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、1
次粒子径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好まし
く、より好ましくは0.1〜0.5μmである。ファイン
パウダーを使用する場合の2次粒子径としては1〜10
00μmのものが使用可能であり、さらに好ましくは1
0〜500μmのものを用いることができる。
【0063】かかるポリテトラフルオロエチレンはUL
規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に
溶融滴下防止性能を有しており、かかるフィブリル形成
能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては具体的
には、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製の
テフロン(登録商標)6Jおよびテフロン(登録商標)
30J、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンMPA
FA−500、ポリフロンF−201Lおよびポリフ
ロンD−1、および旭アイシーアイフロロポリマーズ
(株)製のCD076などを挙げることができる。
【0064】かかるポリテトラフルオロエチレンはファ
ィンパウダーにおいて、2次凝集を防止するために各種
の処理を施したものがより好ましく使用される。かかる
処理としては、ポリテトラフルオロエチレンの表面を焼
成処理することが挙げられる。またかかる処理として
は、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチ
レンの表面を非フィブリル形成能のポリテトラフルオロ
テトラフルオロエチレンで被覆することが挙げられる。
本発明でより好ましいのは後者の処理を行ったポリテト
ラフルオロエチレンである。前者の場合には、目的とす
るフィブリル形成能が低下しやすいためである。かかる
場合フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチ
レンが全体量の70〜95重量%の範囲であることが好
ましい。またフィブリル非形成能ポリテトラフルオロエ
チレンとしては、その分子量が標準比重から求められる
数平均分子量において1万〜100万、より好ましく1
万〜80万である。
【0065】かかるポリテトラフルオロエチレン(以下
PTFEと称することがある)は、上記の通り固体形状
の他、水性分散液形態のものも使用可能である。本発明
においてc成分の配合割合は、a成分およびb成分の合
計100重量部当り0.1〜2重量部が好ましい。0.1
重量部未満では十分な溶融滴下防止性能が得られ難く、
2重量部を超えると外観が悪化するようになる。c成分
の割合は0.1〜1重量部が特に好ましい。かかるポリ
テトラフルオロエチレンは、通常の固体形状の他、水性
エマルジョン、およびディスパージョン形態のものも使
用可能であるが、分散剤成分が耐湿熱性に悪影響を与え
やすいため、特に固体状態のものが好ましく使用でき
る。またかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフ
ルオロエチレンは樹脂中での分散性を向上させ、さらに
良好な外観および機械的特性を得るために、ポリテトラ
フルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエ
マルジョンとの凝集混合物も好ましい形態として挙げる
ことができる。
【0066】ここでビニル系重合体としては、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS
樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、AAS
樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、スチレンおよ
びブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添
共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック
共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダ
ム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテン
のランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン
とα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリ
レート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共
重合体、ブチルアクリレート−ブタジエン等のアクリル
酸エステル−ブタジエン共重合体、ポリアルキル(メ
タ)アクリレート等のゴム質重合体、ポリオルガノシロ
キサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む
複合ゴム、さらにかかる複合ゴムにスチレン、アクリロ
ニトリル、ポリアルキルメタクリレート等のビニル系単
量体をグラフトした共重合体等を挙げることができる。
【0067】これらの中でも芳香族ポリカーボネート樹
脂との相容性の観点から、ポリアルキル(メタ)アクリ
レート、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA
樹脂が好ましく挙げることができる。
【0068】かかる凝集混合物を調整するためには、平
均粒子径0.01〜1μm、特に0.05〜0.5μmを
有する上記ビニル系重合体の水性エマルジョンを、平均
粒子径0.05〜10μm、特に0.05〜1.0μmを
有するポリテトラフルオロエチレンの水性エマルジョン
と混合する。かかるポリテトラフルオロエチレンのエマ
ルジョンは、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でポ
リテトラフルオロエチレンを重合させることにより得ら
れる。なお、かかる乳化重合の際、ヘキサフルオロプロ
ピレン等の他の共重合体成分をポリテトラフルオロエチ
レン全体の10重量%以下で共重合させることも可能で
ある。
【0069】なお、かかる凝集混合物を得る際には、適
当なポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは通常
40〜70重量%、特に50〜65重量%の固形分含量
を有し、ビニル系重合体のエマルジョンは25〜60重
量%、特に30〜45重量%の固形分を有するものが使
用される。さらに凝集混合物中のポリテトラフルオロエ
チレンの割合は、凝集混合物に使用されるビニル系重合
体との合計100重量%中、1〜80重量%、特に1〜
60重量%のものが好ましく使用できる。上記のエマル
ジョンを混合後、攪拌混合し塩化カルシウム、硫酸マグ
ネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、
凝固させることにより分離回収する製造方法を好ましく
挙げることができる。他に攪拌した混合エマルジョンを
スプレー乾燥、凍結乾燥等の方法により回収する方法も
挙げることができる。
【0070】また、フィブリル形成能を有するポリテト
ラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体の
エマルジョンとの凝集混合物の形態は種々のものが使用
可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン粒子の
周りをビニル系重合体が取り囲んだ形態、ビニル系重合
体の周りをポリテトラフルオロエチレンが取り囲んだ形
態、1つの粒子に対して、数個の粒子が凝集した形態な
どを挙げることができる。
【0071】さらに、凝集混合体のさらに外層に、同じ
または別の種類のビニル系重合体がグラフト重合したも
のも使用可能である。かかるビニル系単量体としては、
スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、
アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ドデシル、ア
クリル酸ドデシル、アクリロニトリル、アクリル酸−2
−エチルヘキシルを好ましく挙げることができ、これら
は単独でもまた共重合することも可能である。
【0072】上記のフィブリル形成能を有するポリテト
ラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体の
エマルジョンとの凝集混合物の市販品としては、三菱レ
イヨン(株)よりメタブレン「A3000」を代表例と
して挙げることができ、本発明のc成分の好ましい形態
として挙げることができる。また、本発明においては、
b成分以外の難燃効果を有する難燃剤を本発明の特性を
損なわない範囲で添加することも可能である。赤リン系
難燃剤、有機リン系難燃剤、無機系リン酸塩、無機金属
化合物の水和物、有機アルカリ(土類)金属塩系難燃剤
およびシリコーン系難燃剤から選択される少なくとも1
種の難燃剤を添加することもできる。
【0073】赤リン系難燃剤としては、一般の赤リンの
他に赤リン表面を熱硬化樹脂および/または無機材料を
用いてマイクロカプセル化されている赤リンを使用する
ことができる。さらにかかるマイクロカプセル化されて
いる赤リンの使用は、安全性、作業性を良好とするため
マスターペレット化したものが好ましく使用される。か
かるマイクロカプセル化に使用される無機材料として
は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化
チタン、水酸化スズ、水酸化セリウムなどがあげられ、
熱硬化樹脂としてはフェノール・ホルマリン系、尿素・
ホルマリン系、メラミン・ホルマリン系樹脂などが挙げ
られる。さらにかかる無機材料で被覆されたものの上
に、熱硬化性樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処
理した赤リンなども好ましく使用できる。また、使用す
る赤リンは無電解メッキしたものも使用可能であり、無
電解メッキ被膜としては、ニッケル、コバルト、銅、
鉄、マンガン、亜鉛またはこれらの合金から選ばれた金
属メッキ被膜を使用することができる。さらに無電界メ
ッキされた赤リンにさらに上記に記載の無機材料および
熱硬化性樹脂で被覆された赤リンを使用することもでき
る。かかる無機材料、熱硬化性樹脂および無電界メッキ
などのマイクロカプセル化に使用する成分の量としては
赤リン系難燃剤100重量%中20重量%以下であるこ
とが望ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
20重量%以下の場合には、作業性および樹脂中での分
散性に優れる。赤リン系難燃剤の平均粒径としては、1
〜100μm、好ましくは1〜40μmが使用される。
かかるマイクロカプセル化した赤リン系難燃剤の市販品
としては、ノーバエクセル140、ノーバエクセルF−
5(燐化学工業(株)製:商品名)などが挙げられる。
【0074】有機リン系難燃剤としては、有機リン酸エ
ステル系難燃剤が好ましく、有機リン酸エステル系難燃
剤として特に下記一般式(9)で表される1種または2
種以上のリン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0075】
【化15】
【0076】(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、
レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メ
タン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、
またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0
〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれ
ぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしく
は置換していないフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−
クミルフェノールから誘導されるものである。) この中で好ましくは、上記式中のXは、ハイドロキノ
ン、レゾルシノール、ビスフェノールAから誘導される
ものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、
nは0〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エ
ステルのブレンドの場合は0〜3の平均値であり、
1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上
のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェ
ノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるもの
である。
【0077】さらに、特に好ましくは、Xはレゾルシノ
ールから誘導されるものであり、j、k、l、mはそれ
ぞれ1であり、nは0または1であり、R1、R2
3、およびR4はそれぞれ独立してフェノールまたはキ
シレノールから誘導されるものである。
【0078】かかる有機リン酸エステル系難燃剤の中で
も、モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホス
フェート、リン酸エステルオリゴマーとしてはレゾルシ
ノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフ
ェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、難燃性
が良好でありかつ成形時の流動性が良好であるなどの理
由により好ましく使用できる。また無機系リン酸塩とし
ては、ポリリン酸アンモニウム塩などをあげることがで
きる。無機金属化合物の水和物としては、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタ
ルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性
炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水
和物などを使用することができる。
【0079】無機または有機アルカリ(土類)金属塩系
難燃剤としては、有機酸または無機酸のアルカリ金属塩
またはアルカリ土類金属塩、およびハロゲン含有化合物
が挙げられる。ここで、好ましい無機アルカリ金属塩と
しては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシ
ウム塩などが挙げられる。また、無機アルカリ土類金属
塩としてはカルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げら
れる。また、無機アルカリ金属塩または無機アルカリ土
類金属塩を得る際に用いられる無機酸としては、H3
lF6、H3BF6、H3SbF6、H2TiF6、H2SiF
6、H3PO、H2ZrF6、H2WF6、HBF4などが挙
げられる。好ましい無機アルカリ金属塩または無機アル
カリ土類金属塩としては、Na3AlF6、Ca3(Al
62が挙げられる。
【0080】また、有機アルカリ金属塩または有機アル
カリ土類金属塩を得る際に用いられる好ましい有機酸と
しては、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳香族
カルボン酸および脂肪族カルボン酸である。具体例とし
ては、メチルスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ヘキサ
デシルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルスルホン酸、エチレングライコール、プロピレン
グライコール、ブタンジオールなどのモノまたはジスル
ホン酸、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリまたは
テトラスルホン酸、ステアリン酸モノグリセライドモノ
スルホン酸、1,3−ビス(2−エチルヘキシル)グリ
セリンエーテルモノスルホン酸、トリフルオロメタンス
ルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオ
ロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン
酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオ
ロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン
酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、ドデカンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼン
スルホン酸、2,4,6−トリクロロベンゼンスルホン
酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ジフェ
ニルスルホン−3−スルホン酸、ジフェニルスルホン−
3,3’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、
カプリル酸、ラウリル酸、安息香酸、ナフトールカルボ
ン酸、2,4,6−トリブロモ安息香酸などが挙げられ
る。好ましい有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土
類金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸カリ
ウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パー
フルオロブタンスルホン酸セシウム、ジフェニルスルホ
ン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−
3,3’−ジスルホン酸カリウムが挙げられる。
【0081】さらにシリコーン系難燃剤としては、主と
して2官能型単位[R2SiO]と3官能型単位[RS
iO1.5]からなり、1官能型単位[R3SiO0.5]お
よび/または4官能型単位[SiO2]を含むことがで
きる比較的低分子量の溶液状シリコーン樹脂などが挙げ
られる。ここで、Rは炭素数1〜12の炭化水素基また
は一個以上の置換基で置換された炭素数1〜12の炭化
水素基であり、置換基としてはエポキシ基、アミノ基、
ヒドロキシル基およびビニル基等が挙げられる。Rの構
造を変えることによりマトリックス樹脂との相溶性を改
善することが可能である。
【0082】シリコーン系難燃剤としては、無溶剤のシ
リコーン系難燃剤や溶剤を含むシリコーン系難燃剤など
が挙げられ、溶剤を含まないシリコーン系難燃剤が好ま
しい。シリコーン系難燃剤の粘度は、300センチスト
ークス以下であることが好ましい。300センチストー
クスを越えると難燃性が不十分になる。シリコーン系難
燃剤の粘度は、好ましくは250センチストークス以下
であり、より好ましくは200センチストークス以下で
ある。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に
は、さらに難燃性を向上することを目的に、チャー形成
化合物を添加することも可能である。チャー形成化合物
としては以下のものが挙げられる。
【0083】第1にヒドロキシベンゼン化合物、ヒドロ
キシナフタレン化合物、およびヒドロキシアントラセン
化合物などとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられ
る。例えば、ノボラック型フェノール樹脂、およびクレ
ゾール変性フェノール樹脂を挙げることができる。また
スルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する化合物も入
手容易であり好ましく使用できる。例えばナフタレンス
ルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物を挙げる
ことができる。
【0084】第2に重質油類またはピッチ類とホルムア
ルデヒドとの縮合物が挙げられる。かかる重質油類また
はピッチ類は、芳香族炭化水素分率fa値が0.40〜
0.95、芳香環水素量Ha値が20〜80%であるこ
とが好ましい。例えば、減圧軽油の流動接触分解工程で
得た塔底油とパラホルムアルデヒドとの縮合物を挙げる
ことができる。
【0085】第3に上記重質油類またはピッチ類そのも
のを挙げることができる。第4に熱可塑性樹脂タイプの
ものとして、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、アリル化ポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレンエーテル)、2,6−ジフェニルポリフェ
ニレンエーテル、ポリパラフェニレン、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどが挙
げられる。その他、ポリパラフェニレンオリゴマー、
1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げるこ
とができる。
【0086】これらの中から選ばれた1種または2種以
上を組み合わせて用いることができる。このうち、特に
好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フェノール樹
脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げることができ
る。
【0087】本発明において得られる難燃性ポリカーボ
ネート樹脂組成物の衝撃強度等をさらに向上させる為に
弾性重合体を使用することができる。本発明において使
用可能な弾性重合体の例としては、ガラス転移温度が1
0℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およ
びこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモ
ノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共
重合体を挙げることができる。
【0088】またかかるゴム成分と上記モノマーのブロ
ック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体と
しては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチ
レンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレ
ンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・
スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙
げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーし
て知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタン
エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテ
ルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
【0089】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコン複合
ゴム、イソブチレン−シリコン複合ゴム、イソプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エ
チレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−ア
クリルゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、
フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加
されたものを挙げることができる。
【0090】中でもガラス転移温度が−10℃以下、よ
り好ましくは−30℃以下のゴム成分を含有する弾性重
合体が好ましく、特にブタジエンゴム、ブタジエン−ア
クリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコン複
合ゴムを使用した弾性重合体が好ましい。複合ゴムと
は、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できな
いよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合し
たゴムをいう。
【0091】芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレ
ン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にス
チレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等
を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチ
ルが特に好ましい。
【0092】ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を
含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであって
もよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グ
ラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生す
るグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であっても
よい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、
過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合
法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることが
できる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相と
を個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給
し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連
続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモ
ノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔
質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方
法などを行ってもよい。
【0093】かかる弾性重合体は市販されており容易に
入手することが可能である。例えばガラス転移温度が1
0℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリル
ゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とする
ものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリ
ーズ、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ、W
シリーズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HI
Aシリーズ、BTAシリーズ、KCAシリーズ、宇部サ
イコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ
が挙げられ、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分と
してアクリル−シリコン複合ゴムを主体とするものとし
ては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001あ
るいはSRK−200という商品名で市販されているも
のが挙げられる。
【0094】また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物には熱安定剤を配合することができる。かかる
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、
ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体
的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホ
スファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオ
クチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノ
フェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファ
イト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチ
ルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオル
ソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオ
クチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、
4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼン
ホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベ
ンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかで
も、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホ
スフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイトおよびベンゼンホスホン酸ジメチ
ルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独で
もしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定
剤の配合量は、本発明のa成分とb成分の合計100重
量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0
005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.
1重量部がさらに好ましい。
【0095】また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止
剤を配合することもできる。かかる酸化防止剤として
は、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メル
カプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ
キス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロー
ル−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレン
グリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレン
ジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−
2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカ
ン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、本発
明のa成分とb成分の合計100重量部に対して0.0
001〜0.5重量部が好ましい。
【0096】また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物には溶融成形時の金型からの離型性をより向上
させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤
を配合することも可能である。かかる離型剤としては、
オレフィン系ワックス、カルボキシル基および/または
カルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、
シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価また
は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワ
ックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量
は、本発明のa成分とb成分の合計100重量部に対
し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0097】オレフィン系ワックスとしては、特にポリ
エチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体の
使用が好ましくきわめて良好な離型効果が得られる。ポ
リエチレンワックスとしては現在一般に広く知られてい
るものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したも
の、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合
物より低分子量成分を分離精製したもの等が挙げられ
る。また分子量、分岐度等は特に制限されるものではな
いが、分子量としては数平均分子量で1,000以上が
好ましい。1−アルケン重合体としては炭素数5〜40
の1−アルケンを重合したものが使用できる。1−アル
ケン重合体の分子量としては数平均分子量で1,000
以上が好ましい。
【0098】カルボキシル基および/またはカルボン酸
無水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、オレフ
ィン系ワックスを後処理により、カルボキシル基および
/またはカルボン酸無水物基を含有させた化合物、好ま
しくはマレイン酸および/または無水マレイン酸で後処
理により変性したものが挙げられる。さらにエチレンお
よび/または1−アルケンを重合または共重合する際に
かかるモノマー類と共重合可能なカルボキシル基および
/またはカルボン酸無水物基を含有する化合物、好まし
くはマレイン酸および/または無水マレイン酸を共重合
したものも挙げられ、かかる共重合をしたものはカルボ
キシル基および/またはカルボン酸無水物基が高濃度か
つ安定して含まれるので好ましい。このカルボキシル基
やカルボン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスの
どの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定さ
れないが、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6m
eq/gの範囲が好ましい。かかるカルボキシル基およ
び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系
オレフィン系ワックスは、市販品としては例えばダイヤ
カルナ−PA30[三菱化学(株)の商品名]、ハイワ
ックス酸処理タイプの2203A、1105A[三井石
油化学(株)の商品名]等が挙げられ、これら単独でま
たは二種以上の混合物として用いられる。
【0099】本発明において無機充填材を配合する場合
には、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物
基を含有するオレフィン系ワックスを添加することは、
溶融成形時の金型からの離型性をより向上させる為だけ
ではなく、無機充填材配合による衝撃強度低下を抑制す
る効果も発現し好ましく使用できるものである。
【0100】高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数
1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10
〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステル
であるのが好ましい。かかる一価または多価アルコール
と飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとして
は、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリ
セリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モ
ノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエ
リスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトール
テトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラ
ルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、
ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブ
チルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパ
ルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノ
ステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙
げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステ
アリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラ
ステアレートが好ましく用いられる。
【0101】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を
配合することができる。かかる光安定剤としては、例え
ば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−
ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒ
ドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フ
ェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチ
レンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニ
ル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオ
キサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる光安定剤
の配合量は、本発明のa成分とb成分の合計100重量
部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
【0102】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤
を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、
例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノス
テアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アル
キルスルホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリ
セライド、無水マレイン酸ジグリセライド等が挙げられ
る。かかる帯電防止剤の配合量は、本発明のa成分とb
成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部が
好ましい。
【0103】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、充填材を配
合することができる。かかる充填材としては、ガラスチ
ョップドファイバー、ガラスミルドファイバー、ガラス
ロービングストランド、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、ガラス粉末等のガラス系充填材、カーボンファイバ
ー、カーボンミルドファイバー、カーボンロービングス
トランド、カーボンフレーク等のカーボン系充填材、タ
ルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、モンモリロ
ナイト、ベントナイト、セピオライト、ゾノトライト、
クレー、シリカ等の無機充填材、アラミドファイバー等
の有機充填材、酸化チタン等の無機顔料、カーボンブラ
ック等が挙げられ、これらのなから選択するか、または
これらの組み合わせとすることができる。これらの中で
も、本発明では耐衝撃性の低下が少なく、補強効果が高
い無機充填材であるタルク、ワラストナイト、マイカを
好ましい充填材として挙げることができる。中でもタル
ク、ワラストナイトが最も好ましい。
【0104】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物には、他の樹脂を本発明の目的が損なわれない範囲で
あれば配合することもできる。かかる他の樹脂として
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体
(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0105】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造
するには、任意の方法が採用される。例えばa成分、b
成分および他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェル
ミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備
混合手段を用いて充分に混合した後、場合により押出造
粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行
い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練
機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレ
ット化する方法が挙げられる。
【0106】他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二
軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法や、
各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶
融混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合す
る方法としては例えば、配合予定の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂パウダーの一部と配合添加剤とをブレンドして
芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈した添加剤
のマスターバッチとする方法が挙げられる。なお、配合
する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への
供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用するこ
とができる。
【0107】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得るこ
とにより各種製品を製造することができる。かかる射出
成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法
だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナー
によって製造することも可能である。また射出成形にお
いても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成
形、射出圧縮成形、射出プレス成形、インサート成形、
インモールド成形、局所金型高温成形(断熱金型成形を
含む)、二色成形、サンドイッチ成形、超高速射出成形
などを使用することができる。
【0108】また本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シー
ト、フィルムなどの形で使用することもできる。またシ
ート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレ
ンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さ
らに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブ
として成形することも可能である。また本発明の難燃性
熱可塑性樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより
中空成形品とすることも可能である。
【0109】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物は、OA機器や家電製品の内部部品や筐体などに好適
なものである。かかる用途としては例えば、パソコン内
外装、ノートパソコン外装、CRTディスプレー、プリ
ンター、携帯端末、携帯電話、コピー機、ファックス、
記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライ
ブ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、テレビ、ア
イロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響
機器、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディ
スクなどの音声機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、タ
イプライター、ワードプロセッサーなどを挙げることが
できる。
【0110】またランプソケット、ランプリフレクタ
ー、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、セ
ンターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナ
ビケーション部品、カーステレオ部品などの車両用部品
を挙げることができる。その他機械部品や雑貨などの各
種用途に有用である。特に難燃性、衝撃強度などが要求
されるOA機器のハウジング(事務機器ハウジング、携
帯用パソコンなど)に有用である。さらに耐湿熱性に優
れていることから長期使用や湿熱環境下での劣化が少な
いため製品をリサイクル使用する場合にも極めて有用で
ある。
【0111】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて本発明をさ
らに説明する。実施例中の「部」または「%」は重量部
または重量%を示し、また評価項目および組成物中の各
成分の記号は下記の内容を意味する。 (1)末端水酸基濃度 サンプル0.02gを0.4mlのクロロホルムに溶解
し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−27
0)を用いて末端水酸基および末端フェニル基を測定
し、下記式(i)により末端水酸基濃度を測定した。 末端水酸基濃度(モル%)=(末端水酸基数/全末端数)×100 …(i) (2)耐湿熱性−1:厚み3.2mmのアイゾット衝撃
用試験片をノッチ切削処理後環境試験機(タバイエスペ
ック(株)製プラチナスサブゼロルシファー)で65
℃、85%RHの条件下で1,500時間処理した後、
ASTM D256に従ってアイゾットノッチ付き耐衝
撃値を測定し、湿熱処理前のアイゾットノッチ付き耐衝
撃値との比較を行なった。なお、保持率は湿熱処理前の
値に対する湿熱処理後の値の割合を%で表わしている。
【0112】(3)耐湿熱性−2:(2)の湿熱処理後
の試験片につき、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量
を測定するのと同一の手法で見掛けの粘度平均分子量を
測定した。すなわち、試験片を塩化メチレンに溶解した
後、不溶分をろ過により取り除いて溶液として得られた
ものの比粘度を、本文記載のポリカーボネート樹脂の粘
度平均分子量測定と同様に測定し、さらに同一の算出式
を用いて見掛けの粘度平均分子量の値を算出した。な
お、保持率は湿熱処理前の値に対する湿熱処理後の値の
割合を%で表わしている。 (4)難燃性:UL規格94Vに従い厚み1.6mmに
おける燃焼試験を実施した。 (5)耐衝撃性:ASTM D256に従い、厚み3.
2mmのアイゾットノッチ付き耐衝撃値を測定した。 (a成分)芳香族ポリカーボネート樹脂
【0113】EX−PC 参照例1 本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造 撹拌機および蒸留塔を備えた反応器に2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン228部(ビスフェノ
ールA1モル)、ジフェニルカーボネート(バイエル社
製)223部(約1.06モル)および触媒として水酸
化ナトリウム0.000024部(約6×10-7モル/
ビスフェノールA1モル)とテトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド0.0073部(約8×10-5モル/ビス
フェノールA1モル)を仕込み、窒素置換した。この混
合物を200℃まで加熱して撹拌しながら溶解させた。
次いで、減圧度を3.99kPa(30Torr)とし
て加熱しながら1時間で大半のフェノールを留去し、さ
らに270℃まで温度を上げ、減圧度を0.133kP
a(1Torr)として2時間重合反応を行った。次に
溶融状態のままで、触媒中和剤としてドデシルベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.0035部
(約6×10-6モル/ビスフェノールA1モル)添加し
て270℃、1.33kPa(10Torr)以下で反
応を継続し、粘度平均分子量23,300、末端水酸基
濃度34モル%の芳香族ポリカーボネート樹脂を得た。
この芳香族ポリカーボネート樹脂をギアポンプでエクス
トルーダーに送った。エクストルーダー途中でトリスノ
ニルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメ
チルホスフェートを0.05重量%加え、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂ペレットを得た。ここで得られた芳香族
ポリカーボネート樹脂をEX−PCと称する。
【0114】CEX−PC 参照例2 比較のための芳香族ポリカーボネート樹脂の
製造 ジフェニルカーボネート(バイエル社製)を219部
(約0.995モル)に変更した以外は参照例1と同様
な条件で芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。な
お、この芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
23,100、末端水酸基濃度74モル%であった。こ
こで得られた芳香族ポリカーボネート樹脂をCEX−P
Cと称する。 (b成分)架橋フェノキシホスファゼン化合物
【0115】FR−1 合成例1 パラフェニレンによる架橋構造を有するフェ
ノキシホスファゼン化合物の合成 1.1モル(103.5g)のフェノール、1.1モル
(44.0g)の水酸化ナトリウム、水50gおよびト
ルエン500mLの混合物を加熱還流し、水のみを系外
に取り除くことにより、ナトリウムフェノラートのトル
エン溶液を調整した。
【0116】前記反応と並行し、2L四つ口フラスコに
0.15モル(16.5g)のハイドロキノン、1.0モ
ル(94.1g)のフェノール、1.3モル(31.1
g)の水酸化リチウム、水52gおよびトルエン600
mLの混合物を入れ、加熱還流し、水のみを系外に取り
除くことにより、ハイドロキノンとフェノールのリチウ
ム塩のトルエン溶液を調整した。このトルエン溶液にジ
クロルホスファゼンオリゴマー(3量体62%、4量体
12%、5量体および6量体11%、7量体3%、8量
体以上12%の混合物)1.0ユニットモル(115.9
g)を含む20%クロルベンゼン溶液580gを、撹拌
下で30℃以下で滴下した後、110℃で3時間撹拌反
応した。次に、先に調整したナトリウムフェノラートの
トルエン溶液を撹拌下で添加した後、110℃で4時間
反応を継続した。反応終了後、反応混合物を3%水酸化
ナトリウム水溶液1.0Lで3回洗浄し、次に、水1.0
Lで3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得ら
れた生成物を80℃、400Pa(3mmHg)以下で
11時間加熱真空乾燥して、211gの微黄色粉末を得
た。
【0117】上記で得られた架橋フェノキシホスファゼ
ン化合物の加水分解塩素は0.04%、重量平均分子量
(Mw)はポリスチレン換算(GPC分析による)で1
100であり、リン含有率並びにCHN元素分析値より
最終物の組成は、[N=P(−O−C64−O−)0.15
(−O−Ph)1.7]であった。TG/DTA分析では
明確な融点は示さず、分解開始温度は、306℃、5%
重量減少温度は311℃であった。またアセチル化法に
よって残存ヒドロキシ基の定量を行った結果、検出限界
(サンプル1g当たりのヒドロキシ当量として:1×1
-6当量/g以下)以下であった。
【0118】FR−2 合成例2 2,2−ビス(p−オキシフェニル)イソプ
ロピリデン基による架橋構造を有するフェノキシホスフ
ァゼン化合物の合成 フェノール0.7モル(65.9g)およびトルエン50
0mLを1L四つ口フラスコに入れ、攪拌下、内部の液
温を25℃に保ち、金属ナトリウム0.65グラム原子
(14.9g)を細かく裁断して投入した。投入終了後
77〜113℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで
8時間撹拌を続けた。
【0119】前記反応と並行し、ビスフェノール−A
0.25モル(57.1g)、フェノール1.1モル(1
03.5g)およびテトラヒドルフラン(THF)80
0mLを3L四つ口フラスコに入れ、撹拌下、内部の液
温を25℃に保ち、金属リチウム1.6グラム原子(1
1.1g)を細かく裁断して投入した。投入終了後、6
1〜68℃で金属リチウムが完全に消失するまで、8時
間撹拌を続けた。このスラリー溶液にジクロルホスファ
ゼンオリゴマー(濃度:37%、クロルベンゼン溶液3
13g、組成:3量体75%、4量体17%、5量体お
よび6量体6%、7量体1%、8量体以上1%の混合
体)1.0モル(115.9g)を撹拌下、内部の液温を
20℃以下に保ちつつ、1時間かけて滴下した後、80
℃で2時間反応した。次いで撹拌下、内部の液温を20
℃に保ち、別途調整したナトリウムフェノラート溶液を
1時間かけて添加した後、80℃で5時間反応した。
【0120】反応終了後、反応混合物を濃縮しTHFを
除き、新たにトルエン1Lを添加した。このトルエン溶
液を2%NaOH 1Lで3回洗浄し、次に、水1Lで
3回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた
生成物を80℃、400Pa(3mmHg)以下で11
時間加熱真空乾燥して、229gの白色粉末を得た。上
記で得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物の加水
分解塩素は0.07%、リン含有率並びにCHN元素分
析値より最終物の組成は、[N=P(−O−C64−C
(CH32−C64−O−)0.25(−O−Ph)1.50
であった。重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算
(GPC分析による)で1130であり、TG/DTA
分析では明確な融点は示さず、分解開始温度は308
℃、5%重量減少温度は313℃であった。また、アセ
チル化法によって残存ヒドロキシル基の定量を行った結
果、検出限界(サンプル1g当たりのヒドロキシル当量
として:1×10-6当量/g以下)以下であった。
【0121】FR−3 合成例3 4,4−スルホニルジフェニレン(ビスフェ
ノール−S残基)による架橋構造を有するフェノキシホ
スファゼンの合成 フェノール0.4モル(37.6g)およびTHF 50
0mLを1L四つ口フラスコに入れ、攪拌下、内部の液
温を25℃に保ち、金属ナトリウム0.45グラム原子
(9.2g)を細かく裁断して投入した。投入終了後、
65〜72℃で金属ナトリウムが完全に消失するまで5
時間撹拌を続けた。
【0122】前記反応と並行し、1Lの四つ口フラスコ
で、フェノール1.70モル(160.0g)とビスフェ
ノール−S 0.05モル(12.5g)をテトラヒドロ
フラン(THF)500mlに溶解し、25℃以下で金
属ナトリウム1.8グラム原子(41.4g)を投入し、
投入終了後1時間かけて61℃まで昇温、61℃〜68
℃で6時間撹拌を続け、ナトリウムフェノラート混合溶
液を調整した。この溶液をジクロルホスファゼンオリゴ
マー(3量体62%、4量体12%、5量体および6量
体11%、7量体3%、8量体以上12%の混合体)
1.0ユニットモル(115.9g)を含む20%クロル
ベンゼン溶液580gに、25℃以下の冷却・撹拌下で
滴下後、71〜73℃で5時間撹拌反応した。次に、先
に調整したナトリウムフェノラート混合溶液を滴下した
後、71〜73℃で3時間反応を継続した。
【0123】反応終了後、反応混合物を濃縮し、クロル
ベンゼン500mLに再溶解した後、5%NaOH水洗
浄を3回、5%硫酸洗浄、5%重曹水洗浄、水洗3回を
行い、濃縮乾固して淡黄色のワックス状物218gを得
た。上記で得られた架橋フェノキシホスファゼン化合物
の加水分解塩素は0.01%以下であり、燐含有率並び
にCHN元素分析値より、この物の組成は[N=P(−
O−C64−SO2−C64−O−)0.05(−O−P
h)1.90]と決定した。重量平均分子量(Mw)はポリ
スチレン換算で1080であり、TG/DTA分析によ
る融解温度(Tm)は103℃、分解開始温度は320
℃、5%重量減少温度は334℃であった。また、アセ
チル化法によって残存ヒドロキシ基の定量を行った結
果、検出限界(サンプル1g当たりのヒドロキシ当量と
して:1×10-6当量/g以下)以下であった。
【0124】(b成分以外の難燃剤) FR−4:架橋構造を有していない市販の環状フェノキ
シホスファゼン化合物[日本曹達(株)製P−380
0] FR−5:トリフェニルホスフェート[大八化学工業
(株)製TPP] (c成分)ポリテトラフルオロエチレン PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオ
ロエチレン[ダイキン工業(株)製ポリフロンMPA
FA−500)]
【0125】<その他の成分> 添加剤−1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイト[日本チバガイギー(株)製IR
GAFOS168] 添加剤−2:脂肪酸エステル系離型剤[理研ビタミン
(株)製リケマールSL−900]
【0126】実施例1〜4、比較例1〜6 上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂および表1
記載の各成分を表記載の量に基づいてa成分以外をプリ
ブレンドして均一にした後a成分を混合し、30mmφ
のベント付き二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−3
0]により、真空ポンプを使用し1.33kPa(10
mmHg)の真空下において、シリンダー温度270℃
で溶融押出ししてペレット化した。このペレットを11
0℃で5時間乾燥した後、射出成形機[FANUC
(株)製T−150D]でシリンダー温度280℃、金
型温度80℃で各種試験片を作成し評価した。
【0127】
【表1】
【0128】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組
成物は、耐衝撃性に優れ、かつ湿熱環境下における耐加
水分解性に優れることから、OA機器分野、電気電子機
器分野等の各種工業用途に極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 69/00 C08L 85:02 85:02) 27:18 (C08L 69/00 27:18 85:02) (72)発明者 多田 祐二 大阪府大阪市中央区大手通3丁目2番27号 大塚化学株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA50 AC15 AE07 AF01 AF23 AH05 AH07 AH11 AH13 AH14 AH16 AH17 BA01 BB05 BB06 BC01 BC04 4H028 AA38 AA42 AA48 BA06 4J002 BD153 CG041 CQ012 EW156 FD019 FD039 FD069 FD079 FD133 FD136 FD139 FD169 GG01 GM00 GQ00 GS01 GS02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸
    基が、芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端を100モ
    ル%とした時、10〜70モル%であり、かつ二価フェ
    ノールとカーボネートエステルとをエステル交換反応さ
    せて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)9
    9〜70重量%、架橋ホスファゼン系難燃剤(b成分)
    1〜30重量%からなる樹脂組成物であって、かつ該架
    橋ホスファゼン系難燃剤が下記の一般式(1) 【化1】 〔式中mは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を
    示す。〕で表される環状フェノキシホスファゼンおよび
    一般式(2) 【化2】 〔式中X1は基−N=P(OPh)3または基−N=P
    (O)OPhを示し、Y1は基−P(OPh)4または基
    −P(O)(OPh)2を示す。nは3〜10,000の
    整数を示す。Phは前記に同じ。〕で表される鎖状フェ
    ノキシホスファゼンからなる群より選ばれる少なくとも
    1種のホスファゼン化合物が、o−フェニレン基、m−
    フェニレン基、p−フェニレン基および一般式(3) 【化3】 〔式中Aは−C(CH32−、−SO2−、−S−また
    は−O−を示す。aは0または1を示す。〕で表される
    ビスフェニレン基からなる群より選ばれる少なくとも1
    種の架橋基により架橋されてなる化合物であって、
    (a)該架橋基はホスファゼン化合物のフェニル基が脱
    離した2個の酸素原子間に介在し、(b)フェニル基の
    含有割合が上記ホスファゼン化合物(1)および/また
    は(2)中の全フェニル基の総数を基準に50〜99.
    9%であり、且つ(c)分子内にフリーの水酸基を有し
    ていない架橋フェノキシホスファゼン化合物であること
    を特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、フィブリル形成能を有するポリ
    テトラフルオロエチレン(c成分)を、a成分およびb
    成分の合計100重量部当り、0.1〜2重量部含有す
    る請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれか1項に記載の難
    燃性ポリカーボネート樹脂組成物から溶融成形してなる
    成形品。
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