JP3892662B2 - 電磁波遮蔽性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた電磁波遮蔽効果を有する樹脂組成物に関する。更に詳しくは、優れた電磁波遮蔽効果を有しかつリサイクル時の電磁波遮蔽効果保持率が高い電磁波遮蔽性樹脂組成物、それからリサイクルされた電磁波遮蔽性樹脂組成物、およびそれらの電磁波遮蔽性樹脂組成物からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、寸法精度、難燃性等に優れ、電気・電子機器分野、自動車分野等において幅広く使用されている。近年は特にノート型パーソナルコンピューターの筐体、および携帯端末機器の筐体等の分野により多く利用されている。
【0003】
近年、コンピューター等のOA機器および情報端末機器等の小型軽量化に伴う回路の高集積化、高密度化によって、電子機器が誤作動を引き起こすといった電磁波障害が社会的問題となっており、電子機器の筐体には外部からの電磁波の遮蔽および外部への電磁波漏洩を防止する処方を施す必要がある。
【0004】
電磁波遮蔽効果を得る為には、電子機器筐体に導電性を付与する必要があり、一般的に導電性が高いほど良好な電磁波遮蔽性を有する。特に、近年CPU(中央演算処理装置)の急速な高速化に伴い、より高度な電磁波遮蔽効果が要求されてきている。また、環境問題からスプルー、ランナーの再利用をはじめ、使用済み製品のリサイクルに対する要求が近年益々高まってきている。
【0005】
熱可塑性樹脂からなる筐体を導電化する方法としては、一般的に導電塗料の塗布、電磁波遮蔽メッキ、亜鉛溶射、イオンプレーティング等の表面処理による方法が挙げられる。しかしながら、表面処理による方法は、成形された成形品表面に導電処理を施す加工工程を必要とし、その設備にも高いコストがかかり、また導電層が剥離しやすい等の欠点を有している。更に表面処理を行なう際の溶剤や排水の規制といった環境問題もある。また再利用に関しては、成形品の導電層を剥がすなどの工程が必要となり、それによって熱可塑性樹脂の分子量低下や機械的特性の低下が起こるといった問題がある為に再利用が困難な状況にある。
【0006】
筐体に電磁波遮蔽性を付与する別の方法として、炭素繊維、金属繊維および金属をコートした導電性充填剤を配合した導電性の高い樹脂材料を使用する方法がある。例えば、特公平6−97695号公報において、導電性繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、成形品中の導電性繊維の繊維長が特定の範囲にある電磁波遮蔽効果の高い樹脂成形品が提案されている。
【0007】
該樹脂組成物からなる成形品は高い電磁波遮蔽効果を有している。しかしながら、再利用という観点からは、成形品の粉砕および再生を行なう場合に導電性繊維の折れや充填剤をコートしている金属の剥がれなどが少なからず発生し、導電性の低下が大き目であった。したがって電磁波遮蔽用途に再利用するには十分といえるものではなかった。
【0008】
また、特開2000−103954号公報において、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂、導電性繊維、赤リンおよび特定の官能基を含有するオレフィン系ワックスからなる電磁波遮蔽効果に優れた樹脂組成物が提案されている。しかしながら、現在ではかかる樹脂組成物よりも更に高いリサイクル性が求められている。すなわち再生材を混入した場合においても高い電磁波遮蔽性のレベルの低下が少ない特性が求められている。
【0009】
したがって、優れた電磁波遮蔽効果を有し、機械的特性、特に耐衝撃性および剛性に優れ、かつ材料の再利用が可能な電磁波遮蔽性樹脂組成物の出現が強く要望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電磁波遮蔽効果に優れかつ電磁波遮蔽効果保持率の高い導電性繊維を含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂、導電性繊維、樹脂と導電性繊維の密着性を阻害する成分および特定の有機リン化合物を含んでなる樹脂組成物が、成形品の粉砕物とバージン材料とを混合して再度成形品を得る工程を繰り返した場合でも、かかる成形品が電磁波遮蔽効果保持特性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性などの保持特性も優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂(A成分)93.95〜20重量%、導電性繊維(B成分)5〜50重量%、A成分とB成分の密着性を阻害する成分(C成分)0.05〜10重量%、およびTGAによる窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が300℃以上の有機リン化合物(D成分)1〜20重量%を含んでなる樹脂組成物であって、その本文中に定義する30%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が75%以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物に係るものである。
【0013】
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0014】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0015】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましい。
【0016】
特にビスフェノールAの単独重合体が好ましく使用される。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0017】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0018】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0019】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0020】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0021】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0022】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0023】
【化1】
Figure 0003892662
【0024】
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0025】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0026】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0027】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0028】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0029】
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0030】
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0031】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分子量が10,000未満であると強度などが低下し、50,000を超えると成形加工性が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、15,000〜40,000のものがより好ましく、更に好ましくは200,000〜35,000である。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0032】
特に粘度平均分子量が50,000を超える芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はその高いエントロピー弾性に由来する特性(ドリップ防止特性、ドローダウン特性、およびジェッティング改良などの溶融特性を改良する特性)を発揮するものであるため、これらの特性が要求される場合には好ましいものである。より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上の芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの測定方法により2ピーク以上の分子量分布を観察できるものが好ましく使用できる。
【0033】
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
【0034】
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0035】
芳香族ポリカーボネート樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリ−4−メチルペンテン−1、および環状ポリオレフィン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MAS樹脂、水添ポリスチレン樹脂、およびSMA樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、並びにスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。(ここでMS樹脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主としてなる共重合体、MAS樹脂はメチルメタクリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体を指す。)
【0036】
更にポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂などを挙げることができる。
【0037】
芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とするとはA成分の合計100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上であることをいう。
【0038】
本発明のB成分として使用される導電性繊維は、例えばステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等の金属繊維、炭素繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラス繊維等が挙げられ、これらは二種以上併用することができる。中でも電磁波遮蔽効果の優れた導電性樹脂組成物が得られるものとして、特に体積固有抵抗が1.0×10-5〜1.0×10-8Ω・mである繊維が好ましく、例えばステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等の金属繊維、金属コート炭素繊維、金属コ−トガラス繊維等が挙げられる。またその中でも金属コート炭素繊維が導電性の面、並びに樹脂組成物における剛性をはじめとする機械的強度の面および寸法精度の面から好ましい。かかる金属コート炭素繊維は、炭素繊維にメッキ法および蒸着法等の公知の方法でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等およびこれらの合金等の金属を被覆したものである。かかる金属は導電性、耐食性、生産性、および経済性の観点からニッケル、銅、銀、金およびアルミニウムから選ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。炭素繊維はピッチ系、PAN系のいずれであってもよい。
【0039】
繊維径については、金属繊維としては、直径が6〜80μmのものが好ましく、6〜60μmが特に好ましい。かかる範囲では繊維同士の絡み合いに起因する成形加工性の悪化(繊維が範囲を超えて細い場合に生ずる)や、電磁波遮蔽性の低下や外観も不良(繊維が範囲を超えて太い場合に生ずる)がないためである。
【0040】
炭素繊維、金属コ−ト炭素繊維および金属コートガラス繊維においては、その繊維直径が2〜20μmのものが特に好ましい。かかる範囲では、繊維の折れやすさに起因する電磁波遮蔽性およびリサイクル性の低下(繊維が範囲を超えて細い場合に生ずる)や、電磁波遮蔽性の低下(繊維が範囲を超えて太い場合に生ずる)がないためである。
【0041】
本発明の導電性繊維は、シランカップリング剤、チタネ−トカップリング剤、アルミネ−トカップリング剤等で表面処理したものが使用できる。通常上記の各種カップリング剤は、マトリックス樹脂との密着性を向上させるために使用される。また炭素繊維などにおいては酸化処理などの密着性を向上させる処理が行われているのが通常である。
【0042】
一方本発明の導電性繊維は、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂との密着性が低いことにより良好なリサイクル性を達成するものである。したがって本発明の導電性繊維はカップリング剤や酸化処理などによる表面処理がなされていないものを使用することもできる。しかしながら下記に示すように集束処理がなされていることが繊維長を維持するために好ましいことから、カップリング剤や酸化処理などによる表面処理がなされていることがより好ましい。かかる集束剤を良好に繊維に被覆するためにはかかる表面処理がある程度必要なためである。
【0043】
本発明の導電性繊維は集束剤により集束処理がされているものが好ましい。集束されていない導電性繊維を他の原料と共に直接溶融混練すると、繊維が綿状となりその製造自体が困難となる。加えて絡み合った繊維の影響で不均一な滞留が生じ樹脂の熱劣化を生じたり、絡み合った繊維間の応力の作用によって繊維が折れやすくなったりする。
【0044】
集束剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを挙げることができる。一方でこれら以外の集束剤であってC成分に含まれる化合物からなる集束剤も使用可能である。
【0045】
本発明のC成分は、A成分の樹脂とB成分の導電性繊維との間の密着性を阻害するものである。密着性が阻害されている場合には、引張破断強度試験片の破断面や衝撃試験片の破断面を観察した場合、破断した樹脂部分から突き出した導電性繊維の周りに樹脂の付着がほとんど認められない。更に好ましい場合には、それらの破断した樹脂部分において樹脂と導電性繊維との間に明確な隙間が生じていることが観察される。試験片の製造時、樹脂は溶融状態から体積収縮を伴い固化する。その際樹脂と導電性繊維との密着性が悪いと、樹脂がかかる繊維から離れてその体積収縮が生じていくと考えられる。上記の樹脂と導電性繊維との間の隙間はこのような両者の密着性が特に低い場合に生じる現象だと考えられる。
【0046】
本発明のC成分は具体的には、(i)A成分と親和性の低い化合物をB成分の表面に直接被覆する方法、及び(ii)A成分と親和性の低い構造を有し、かつB成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物をA成分およびB成分と共に溶融混練する方法によりA成分とB成分の間に密着性を阻害するものである。
【0047】
A成分と親和性の低い化合物としては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例えば、、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
【0048】
高級脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどを挙げることができ、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0049】
また上記に挙げた滑剤においてはオレフィン系ワックスまたはポリオルガノシロキサンが好ましい。オレフィン系ワックスにおいては、ポリオレフィンワックスが好ましく、特にポリエチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体(α−オレフィンの重合体を含む)の使用が好ましい。また分子量、分岐度などは特に制限されるものではないが、分子量としては重量平均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000〜15,000である。ポリエチレンワックスとしては現在一般に広く知られているものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したもの、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合物より低分子量成分を分離精製したものなどが挙げられる。ポリオレフィン系ワックスは各種の官能基で変性されているものでもよい。
【0050】
一方、ポリオルガノシロキサンにおいては、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等が挙げられる。かかるシリコーンオイルとしては、20℃における動粘度が1×10-22/s以下であるものが取り扱いの点から好ましい。ポリオルガノシロキサンは各種の官能基で変性されているものでもよい。
【0051】
A成分と親和性の低い化合物をB成分の表面に直接被覆する方法としては、(1)A成分と親和性の低い化合物、かかる化合物を溶剤に溶解した溶液、およびかかる化合物の乳化液または懸濁液にB成分を浸漬し、これらの液剤を付着させた後、乾燥させる方法、(2)A成分と親和性の低い化合物の蒸気中、かかる化合物の粉体中にB成分を通過させる方法、(3)A成分と親和性の低い化合物の粉体などをB成分に高速で照射する方法、(4)繊維ロービングを滑剤固体に擦り付けるメカノケミカルによる方法などを挙げることができる。
【0052】
A成分と親和性の低い構造を有し、かつB成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物としては、各種の官能基で修飾された上記の滑剤を挙げることができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
【0053】
A成分と親和性の低い構造を有し、かつB成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物は、A成分およびB成分と共に溶融混合することで、A成分には結合または密着せず、一方B成分とは結合または密着するため、結果としてB成分の周囲を被覆しA成分との親和性が低い構造の作用によりA成分とB成分との密着性を阻害することが可能となる。かかる点から官能基がA成分との反応性がより低く、一方でB成分との反応性が高いものが好ましい。
【0054】
A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とすることから、C成分におけるB成分の表面と反応可能な官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種の官能基が好ましく、より好ましくはカルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基である。
【0055】
すなわち本発明において好ましいC成分としては、(i)B成分に予め被覆処理されてなる滑剤を挙げることができる。より好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル、オレフィン系ワックス、およびポリオルガノシロキサンから選択される少なくとも1種の滑剤がB成分に予め被覆処理されてなる滑剤を挙げることができる。中でも好ましいのはオレフィン系ワックスがB成分に予め被覆処理されてなるものである。
【0056】
また本発明において好ましいC成分としては、(ii)カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する滑剤を挙げることができる。滑剤としてはポリグリセリン脂肪酸エステル、オレフィン系ワックス、およびポリオルガノシロキサンから選択される少なくとも1種の滑剤がより好ましく挙げられる。
【0057】
より好ましくは本発明のC成分としては、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有する滑剤を挙げることができる。
【0058】
本発明のC成分は、上記の(i)および(ii)のいずれの態様においても本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物中において、B成分の導電性繊維の周囲を被覆するように存在する。これにより本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物製造時および本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物を溶融成形する際に、B成分に過大な応力が加わるのを低減し、B成分の破損を抑制する作用を有する。このため成形品中の導電性繊維が長く存在し、得られた樹脂組成物が電磁波遮蔽効果に優れるものと考えられる。またかかる作用により目的とする成形品の粉砕を繰り返しても高い電磁波遮蔽特性を保持することが可能となる。また導電性繊維が樹脂マトリックスであるA成分を拘束しなくなるため、A成分の靭性をより活かすことが可能となる。
【0059】
これらの滑剤と各種の官能基を結合する方法としては、(1)滑剤に上記の官能基および滑剤と反応性のある官能基を有する化合物を反応させる方法、(2)滑剤の合成時に上記の官能基を有する化合物を共重合する方法、(3)滑剤、官能基を有する化合物およびラジカル発生剤を加熱下で混合して反応する方法、および(4)熱酸化により修飾する方法などを挙げることができ、いずれの方法も使用可能である。
【0060】
本発明でC成分として特に好ましいのは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワックスである。かかるカルボキシル基またはカルボン酸無水物基をポリオレフィンワックス中に含有させる方法としては適宜各種の方法をとることができる。例えば、マレイン酸や無水マレイン酸などの化合物と、ポリエチレン、1−アルケン(α−オレフィンを含む)の重合体、および1−アルケン(α−オレフィンを含む)とエチレンの共重合体などのポリマーとを加熱下で、ラジカル発生剤の存在下または非存在下で混合する方法が挙げられる。かかる方法により主鎖、側鎖または結合原子の開裂に伴ってこれらの官能基を導入することができる。更により好ましい方法としては、エチレン、プロピレン、炭素数4以上の1−アルケン(α−オレフィンを含む)等を重合または共重合する際に、マレイン酸、好ましくは無水マレイン酸を共重合することにより官能基を導入する方法である。かかる方法は不必要な熱負荷がなく、またかかる官能基の量の制御が容易である点でより好ましい方法である。
【0061】
本発明のC成分において、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gであり、更に好ましくは0.5〜4meq/gである。尚、ここで1eq(1当量)とは、カルボキシル基の場合はカルボキシル基が1モル分存在することをいい、カルボン酸無水物基の場合には、カルボン酸無水物基が0.5モル分存在することをいう。他の官能基の場合もカルボキシル基と同程度含まれていることが好ましい。
【0062】
本発明の好適なC成分であるカルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤において、特に好ましいものとしてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、更に好ましくは25〜55のものを挙げることができる。またそのカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、0.1〜6meq/gであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜4meq/gである。
【0063】
本発明のD成分として使用される、TGA(Thermogravimetric Analysis;熱重量解析)による、窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が300℃以上の有機リン化合物としては、その条件を満たしているものであれば特に制限されない。かかる有機リン化合物は樹脂組成物の溶融粘度を低下させ、樹脂組成物が繰り返し溶融混練された際も樹脂組成物からの分離や揮発が少なく、熱分解が少ない。
【0064】
樹脂組成物の溶融粘度を低下させることにより、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物製造時および本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物を溶融成形する際に、C成分と同様にB成分である導電性繊維に加わる応力を低減し、B成分の破損を抑制する作用を有するものと考えられる。C成分およびD成分単独添加時と比較して、C成分とD成分を併用することにより、極めて高い電磁波遮蔽効果および電磁波遮蔽効果保持率を発現することができる。これは、C成分とD成分の相乗効果によってB成分の破損を最小限とし、成形品中の導電性繊維長を極めて長く保持することが可能となることから、得られた樹脂組成物が電磁波遮蔽効果に優れるものと考えられる。
【0065】
また、熱分解温度が高いことから、繰り返し溶融混練された際に樹脂組成物からの分離、揮発が少なく、リサイクル特性に優れる。D成分としてより好ましくは、そのTGAによる、窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が320℃以上、より好ましくは330℃以上、更に好ましくは340℃以上である有機リン化合物を挙げることができる。
【0066】
好ましい有機リン化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物のうち、上記TGAによる重量減少温度の条件を満足する1種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0067】
【化2】
Figure 0003892662
【0068】
(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導されるものである。)
更に好ましいものとしては、上記式中のXが、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるものである。
【0069】
かかるリン酸エステル系化合物の中でも、リン酸エステルオリゴマーのレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、得られる樹脂組成物の溶融粘度低減効果に優れると共に、繰り返し溶融混練された際の樹脂組成物からの分離、揮発が少なく、かつ熱安定性に優れるなどの理由により好ましく使用される。
【0070】
更にフェノキシホスファゼンオリゴマーや環状フェノキシホスファゼンオリゴマーに代表されるホスファゼン化合物も同様の理由により使用することが可能である。
【0071】
これらリン酸エステル化合物およびホスファゼン化合物は、樹脂組成物に難燃性が要求される場合、難燃性付与にも貢献する。
【0072】
ここでA成分、B成分、C成分およびD成分の樹脂組成物中の割合としては、これらの合計100重量%中A成分が93.95〜20重量%、B成分が5〜50重量%、C成分が0.05〜10重量%、およびD成分が1〜20重量%である。B成分はより好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。C成分はより好ましくは0.1〜5重量%であり、更に好ましくは0.2〜3重量%である。また、D成分はより好ましくは2〜18重量%であり、更に好ましくは4〜15重量%である。
【0073】
B成分が5重量%未満では電磁波遮蔽効果が不十分であり、50重量%を超えると成形が困難となることから好ましくない。また、C成分が0.05重量%未満では電磁波遮蔽効果保持特性が不十分であり、10重量%より多いとC成分がマトリックス樹脂の特性に対して影響を与え機械的特性が低下する。また外観が悪化する点においても好ましくない。更に、D成分が1重量%未満ではC成分同様に電磁波遮蔽効果保持特性が不十分となり、20重量%より多いと機械的特性や耐熱性が低下するので適当でない。
【0074】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、上記の組成割合からなり更に以下の方法による30%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が75%以上、好ましくは80%以上であることを満足するものである。
【0075】
かかる特性は、上記のA成分、B成分、C成分、およびD成分をB成分の導電性繊維の折れ、または金属コートタイプの繊維の場合にはそのコートされた金属の剥離を抑制できる溶融混練をして得られた樹脂組成物により達成されるものである。
【0076】
しかしながらその他の成分が更に加えられた場合には上記の電磁波遮蔽効果保持率を達成しない場合が生じる。例えば硬質な充填材が更に加えられた場合には、再生品の粉砕および溶融成形を繰り返し行う間に、硬質な充填材が導電性繊維の折れや繊維にコートされた金属の剥離を誘発しやすくなる。硬質な充填材としては例えば、酸化チタン、アルミナ、赤リンなどを挙げることができ、これらを高充填する場合には条件となる特性を満足しない場合がある。
【0077】
尚、本発明における「30%リサイクル試験」は次の要領で行う。すなわち、押出機を用いて樹脂、導電性繊維、およびその他の原材料を溶融混練してバージンのペレットを得る。かかるペレットの一部を適正温度で乾燥後、射出成形することで必要な試験片を得る。かかる試験片からランダムに一部を抜き取って試験を行い、残りの試験片を粉砕機を使用して粉砕する。この場合粉砕粒の大きさはペレットと同等の大きさ(数mm径、好ましくは2〜6mm径程度の大きさ)とする。かかる大きさは粉砕機のスクリーンのメッシュの大きさにより調整する。
【0078】
得られた粉砕粒30重量%とバージンペレット70重量%を均一に混合して、上記と同じ乾燥温度で乾燥し、同じ成形機および成形条件で試験片の成形を行う。ここで得られた試験片を“1回目のリプロ品”とする。得られた1回目のリプロ品の試験片を上記と同様に粉砕し、30重量%の割合でバージンペレットと混合し成形を行う工程を更に2回繰返し、“3回目のリプロ品”の試験片の特性をバージンペレットの場合の試験片と比較し、その割合から保持率を決定する。
【0079】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の電磁波遮蔽効果は、試験片として一辺150mmおよび厚み2mmの平板を、測定装置として(株)アドバンテスト製TR−17301AおよびR3361Aを併用した装置に準ずる装置を、および測定周波数として周波数500Hzの電界波を使用した測定における電磁波遮蔽効果をdB(デシベル)単位により示したものである。測定は試験片の反りなどの変形を極力少なして行う必要がある。
【0080】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物における電磁波遮蔽効果としては、上記の測定法において50dB以上の効果が好ましく、より好ましくは55dB以上、更に好ましくは60dB以上の電磁波遮蔽効果である。
【0081】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、上記のすぐれた電磁波遮蔽効果保持率を達成できるものであるため、得られた再生材を混合した場合にあっても良好な電磁波遮蔽効果を有する製品を得ることができる。すなわち本発明によれば、A成分、B成分、C成分およびD成分を含んでなる樹脂組成物のバージン材(α成分)100重量部に対して、A成分、B成分、C成分およびD成分を含んでなる樹脂組成物の再生材(β成分)5〜100重量部を配合してなる電磁波遮蔽性樹脂組成物が提供される。更に好ましくは、α成分100重量部に対して、β成分10〜50重量部を配合してなる電磁波遮蔽性樹脂組成物が提供される。
【0082】
更に本発明によれば好適には、かかるα成分とβ成分からなる電磁波遮蔽性樹脂組成物の上記測定法における電磁波遮蔽効果が50dB以上、好ましくは55dB以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物が提供される。かかる電磁波遮蔽性樹脂組成物は、市場から回収される再生品、並びに製造時のスプルー、ランナーや成形不良品などから得られる再生品などの各種再生品を有効活用できるものである。かかる特性は電磁波遮蔽性樹脂組成物の特徴である、電磁波遮蔽用のメッキ工程を省略し、またそのリサイクル性も容易であるとの特徴を更に向上させるものであり、その意義は極めて大きい。
【0083】
本発明においては、本発明の特性を損なわない範囲においてE成分として耐衝撃性の向上を目的として、各種ゴム状弾性体を配合することができる。
【0084】
本発明において使用可能なE成分のゴム状弾性体の例としては、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性エラストマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。熱可塑性エラストマー以外のゴム状弾性体は、通常ゴム成分を40%以上含有するものである。
【0085】
ここでいうガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができる。
【0086】
中でもガラス転移温度が−10℃以下のゴム成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴムを使用したゴム状弾性体が好ましい。ここで複合ゴムとは、2種以上のゴム成分が共重合または分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
【0087】
芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0088】
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有するゴム状弾性体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。更に重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法においても、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法なども可能である。
【0089】
かかるゴム状弾性体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、またはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱レーヨン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリーズ、KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
【0090】
かかるE成分の中でも好ましいゴム状弾性体としては、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに一種または二種以上のビニル系単量体がグラフト重合された複合ゴム系グラフト重合体を挙げることができる。
【0091】
かかるE成分の割合としては、A成分〜D成分の合計100重量部に対して、1〜20重量部が好ましい。より好ましくは2〜18重量部、更に好ましくは3〜15重量部である。
【0092】
また本発明の電磁波遮蔽性組成物には、難燃性能を向上させるために、F成分としてフィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを併用することが好ましい。かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることかできるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
【0093】
フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
【0094】
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げることができる。
【0095】
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカル社製
「BLENDEX449」(商品名)などを挙げることができる。
【0096】
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
【0097】
フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーの割合は本発明のA成分〜D成分の合計100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1.5重量部、更に好ましくは0.05〜1.0重量部である。
【0098】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物には、目的に応じて上記以外の各種の添加剤を配合することができる。その他各種添加剤としては、例えばB成分以外の補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを挙げることができる。
【0099】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の難燃剤としては、まずはハロゲン系難燃剤を挙げることができる。ハロゲン系難燃剤としては、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテルなどが挙げられ、好ましくは、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブロムフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物などを挙げることができる。
【0100】
その他の難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウムなどの無機リン系難燃剤、水酸化マグネシウムの水和物などの無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛などの無機系難燃剤、Na3AlF6およびCa3(AlF6)2などの無機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムや芳香族スルホンスルホン酸カリウムなどの有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩、および有機シロキサン化合物などのシリコーン系難燃剤を挙げることができる。
【0101】
上記の各種難燃剤の組成割合は、本発明のD成分との混合物において、D成分が満足すべき条件の範囲内となる割合が好ましい。
【0102】
本発明では更に難燃性を向上することを目的に、難燃助剤としてチャー形成化合物を添加することも可能である。チャー形成化合物としては以下のものが挙げられる。
【0103】
第1にヒドロキシベンゼン化合物、ヒドロキシナフタレン化合物、およびヒドロキシアントラセン化合物などとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂、およびクレゾール変性フェノール樹脂を挙げることができる。またかかるヒドロキシ基をスルホン酸基またはスルホン酸塩基に置換した化合物も入手容易であり好ましく使用できる。例えばナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。
【0104】
第2に重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。かかる重質油類またはピッチ類は、芳香族炭化水素分率fa値が0.40〜0.95、芳香環水素量Ha値が20〜80%であることが好ましい。例えば、減圧軽油の流動接触分解工程で得た塔底油とパラホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0105】
第3に上記重質油類またはピッチ類そのものを挙げることができる。第4に熱可塑性樹脂タイプのものとして、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、アリル化ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジフェニルポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。その他、ポリパラフェニレンオリゴマー、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。
【0106】
これらの中から選ばれた1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、特に好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げることができる。
【0107】
これら難燃助剤の組成物中の割合としては、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%部中0.001〜15重量%であることが好ましい。より好ましくは電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.005〜10重量%である。更に好ましくは0.01〜5重量%である。
【0108】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の熱安定剤としては、リン系安定剤を含むことが好ましい。かかるリン系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート系のいずれも使用可能である。
【0109】
ホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファイトなどを挙げることができる。
【0110】
更に好ましいホスファイト化合物としては、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどがあげられ、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0111】
ホスホナイト化合物における好ましい具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物である。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0112】
その他ホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト(E3−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0113】
一方ホスフェート系安定剤としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0114】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物はフェノール系酸化防止剤を含むことができる。かかるフェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用することができる。
【0115】
かかるフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
【0116】
より好ましくは、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンであり、更にn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートが好ましい。
【0117】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物はイオウ系酸化防止剤を含んでいることができる。かかるイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0118】
上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。
【0119】
これら安定剤の組成物中の割合としては、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中、リン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止剤はそれぞれ0.0001〜1重量%であることが好ましい。より好ましくは電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.0005〜0.5重量%である。更に好ましくは0.001〜0.2重量%である。
【0120】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は離型剤を含有することができる。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。
【0121】
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられ、例えばステアリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。離型剤は電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.01〜2重量%であることが好ましい。
【0122】
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0123】
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0124】
更に紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0125】
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンジカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリ{[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も配合することができる。
【0126】
かかる紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜1重量%である。
【0127】
また、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すために各種の着色剤を配合することができる。着色剤としては無機顔料や有機顔料を使用することができる。また顔料としてはマイカの表面に酸化チタンや酸化鉄などをコートしたもの、アルミニウムフレーク、ガラスフレークの表面に金属コートをしたもの、マイカやガラスフレークの表面に屈折率の異なる複数の層をコートし見る角度により色味の変化するものなどに代表されるメタリック顔料を含むこともできる。
【0128】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜D成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
【0129】
他に、A成分〜D成分および任意に他の成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法や、A成分〜D成分および任意に他の成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。特に繊維状であるB成分については、溶融混練時の繊維の折れを防止する目的から、押出機途中から溶融状態の樹脂中に供給する方法が好ましい。
【0130】
尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
【0131】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、回転成形、ブロ−成形、真空成形など適用できる。更に射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、局所高温金型成形、断熱金型成形等を使用することができる。
【0132】
殊に、局所高温金型成形や断熱金型成形は、成形品表面の状態を導電繊維繊維を含まない場合と同等の平滑性や、通常の成形法で達し得ない艶消状(凹凸状態)を達成できる点で好ましい。すなわちこれらの成形法は製品に必要とされる良好な外観を達成するものであり、それにより従来行われていた塗装を省略することができる。したがって更に効率的なリサイクルを達成できる。
【0133】
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、電子・電気機器、OA装置、機械装置、車両など幅広い用途に使用可能である。特に電磁波遮蔽効果が要求されるノートパソコンや携帯型コンピューター、携帯情報端末および壁掛けディスプレーなどのハウジングに代表されるの電子・電気機器の筐体に好適である。
【0134】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
【0135】
[実施例1〜14、および比較例1〜9]
表1および表2に記載の樹脂組成物を以下の要領で作成した。尚、説明は以下の表中の記号にしたがって説明する。
【0136】
まず成分中にTMP、STまたはPTFEが含まれる場合には以下に示すPCと予備混合を行った。かかるPCの量はA成分、B成分、C成分およびD成分の合計100重量%中、10重量%に相当する量とした。これらの2成分または3成分の混合物をヘンシェル型ミキサーで均一に混合した。
【0137】
次に表1および表2に記載の樹脂組成物については、これらの各成分中B成分(およびB成分以外の成分)は除き、残りの成分と上記の予備混合物とをV型ブレンダ−で混合して均一な混合物とした。かかる混合物を押出機の最後部にある第1投入口から投入した。一方B成分(およびB成分以外の成分)をシリンダ途中の第2投入口からサイドフィーダーを用いて投入した。それぞれの投入量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出機としては径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用した。スクリュー構成はサイドフィーダー位置以前に第1段のニーディングゾーンを、サイドフィーダー以後に第2段のニーディングゾーンを設けてあった。シリンダ−温度およびダイス温度が280℃、およびベント吸引度が3000Paの条件でストランドを押出し、水浴において冷却した後ペレタイザーでストランドカットを行い、ペレット化した。
【0138】
上記で得られたペレットは100℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG−150U)によりシリンダ−温度290℃、金型温度80℃で各評価用試験片を作成し、得られた試験片を用いて各種評価を実施した。評価結果を表1および表2に示した。
【0139】
また、30%リサイクル試験時の特性評価方法における乾燥条件、成形機および成形条件はバージンペレットの場合と同じとした。各評価用試験片を作成後、該試験片を粉砕し、上記で得られたペレット70重量%と該粉砕品30重量%を混合したものを射出成形して再度試験片を作成した。同様の操作を計3回繰返し“3回目のリプロ品”の試験片の特性を評価した。評価結果を表1〜2に示した。
【0140】
粉砕は横一軸回転せん断式粉砕機(森田精機工業(株)製)を使用し、スクリーンのメッシュ径5mm(直径)として行った。得られた粉砕粒の大きさは2〜5mm径のものが全体の90重量%を占めるものであった。
【0141】
評価項目は以下の通りである。
(a)電磁波遮蔽効果:一辺150mm、厚み2mmの試験片を用い、(株)アドバンテスト製のTR−17301AとR3361Aを併用して電界波(周波数500MHz)について測定した。
(b)衝撃強さ:ASTM D 256(アイゾットノッチ付き、厚み3.2mm)により測定した。
(c)曲げ弾性率:ASTM D 790により測定した(試験片形状:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)。
【0142】
なお、本発明(a)〜(c)の保持特性の効果を表す為に、以下の式により各種特性保持率を算出した。
【0143】
各種特性保持率(%)
=(30%リサイクル試験時の特性値/粉砕品未添加時の特性値)×100(d)表面固有抵抗:一辺40mm、厚み2mmの試験片表面に導電性塗料(藤倉化成(株)製ドータイトD−550)を10mm間隔で塗布し、テスター(KENWOOD(株)製DL−712)の端子を当て測定を行った。
(e)難燃性:UL規格94Vに従い1.0mm厚における燃焼試験を実施した。
【0144】
また、D成分のTGA5%重量減少温度については、以下に示す分析法により評価を実施した。
(1)装置:ティー・エイ・インスツルメント製 TGA2950
(2)試料:20±10mg、白金試料パン 100μl
(3)測定条件:23℃から20℃/分の昇温速度で昇温
【0145】
なお、表1、2記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
【0146】
(A成分)
PC:ポリカーボネート樹脂(ホスゲン法で作成されたビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールからなるポリカーボネート樹脂。かかるポリカーボネート樹脂はアミン系触媒を使用せず製造され、ポリカーボネート樹脂末端中、末端水酸基の割合は10モル%であり、粘度平均分子量は19,500であった)
ABS:ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 サンタックUT−61)
AS:AS樹脂(三井化学(株)製 ライタックA980PCU)
【0147】
(B成分)
Ni−CF:ニッケルコ−ト炭素繊維(東邦レ−ヨン(株)製ベスファイト MCHTA−C6−US(I)、直径7.5μm,長さ6mm、エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤)
CF:炭素繊維 (東邦レーヨン(株)製ベスファイトHTA−C6−U、直径7μm、長さ6mm、エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤)
【0148】
(C成分)
C−1:無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体(三菱化学(株)製ダイヤカルナPA30M、無水マレイン酸の割合として約1meq/g、GPC法により測定され標準ポリスチレン換算で算出された重量平均分子量約8,400)
【0149】
(D成分)
リン−1:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)(旭電化工業(株)製アデカスタブFP−500、TGA5%重量減少温度=351.0℃)
リン−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業(株)製CR−741、TGA5%重量減少温度=335.9℃)
(D成分以外の有機リン化合物)
リン−3:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製TPP、TGA5%重量減少温度=239.4℃)
【0150】
(E成分)
E−1:複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レーヨン(株)製メタブレンS−2001)
E−2:ブタジエンゴム強化−メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(呉羽化学工業(株)製パラロイドEXL−2602)
E−3:ブタジエン−アクリル酸エステル共重合ゴム強化−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(呉羽化学工業(株)製HIA15)
(F成分)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMPA FA−500)
【0151】
(その他)
TMP:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製 TMP)
ST:ホスホナイト系抗酸化剤(サンド社製 サンドスタブP−EPQ)
C.B:カーボンブラック(三菱化学(株)製 カーボンブラック#970)
FR−1:ハロゲン系難燃剤(テトラブロモビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、帝人化成(株)製ファイヤガードFG7000)
FR−2:有機シロキサン(メトキシ基、およびフェニル基を有する有機シロキサン、25℃での粘度48cSt、信越化学工業(株)製 X40−9243)
赤リン:マイクロカプセル化赤リン(赤リン含有量92重量%)(燐化学工業(株)製 ノーバエクセル140)
【0152】
【表1】
Figure 0003892662
【0153】
【表2】
Figure 0003892662
【0154】
これらの表から明らかなように、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊維からなる樹脂組成物に対して、ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊維の密着性を阻害する成分と特定の有機リン化合物を併用添加した場合には、再生材を混入しても電磁波遮蔽効果および機械的特性の保持率が高く、リサイクル特性に優れることが分かる。比較例に見られるようには導電性繊維のみ、ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊維の密着性を阻害する成分単独、あるいは特定の有機リン化合物単独では、電磁波遮蔽効果および機械的特性の保持率が低いことから、本発明の効果は顕著であるといえる。
【0155】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、成形、粉砕を繰り返しても優れた電磁波遮蔽効果を有しかつ機械的特性にも優れていることから、電子機器の筐体を始め幅広い産業分野で好適であり、本発明で得られた樹脂組成物が奏する工業的効果は格別なものである。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂(A成分)93.95〜20重量%、導電性繊維(B成分)5〜50重量%、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有する滑剤(C成分)0.05〜10重量%およびTGAによる窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が300℃以上の有機リン化合物(D成分)1〜20重量%を含んでなり、それらの合計が100重量%であり、かつ酸チタン、アルミナ、赤リンを含有しない樹脂組成物であって、30%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が75%以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  2. 上記A成分、B成分、C成分およびD成分を含んでなる樹脂組成物のバージン材(α成分)100重量部に対して、A成分、B成分、C成分およびD成分を含んでなる樹脂組成物の再生材(β成分)5〜10重量部を配合してなる請求項1記載の電磁波遮蔽性樹脂組成物
  3. 磁波遮蔽効果が50dB以上である請求項2に記載の電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  4. B成分が金属コート炭素繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載された電磁波遮蔽性樹脂組成物から形成された成形品。
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