JP2002129003A - 電磁波遮蔽性樹脂組成物 - Google Patents

電磁波遮蔽性樹脂組成物

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JP2002129003A
JP2002129003A JP2000326863A JP2000326863A JP2002129003A JP 2002129003 A JP2002129003 A JP 2002129003A JP 2000326863 A JP2000326863 A JP 2000326863A JP 2000326863 A JP2000326863 A JP 2000326863A JP 2002129003 A JP2002129003 A JP 2002129003A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波遮蔽効果に優れかつ電磁波遮蔽効果保
持率の高い導電性繊維を含有する樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする
熱可塑性樹脂(A成分)93.95〜20重量%、導電
性繊維(B成分)5〜50重量%、A成分とB成分の密
着性を阻害する成分(C成分)0.05〜10重量%、
およびTGAによる窒素ガス雰囲気中における23℃か
ら20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5
%重量減少温度が300℃以上の有機リン化合物(D成
分)1〜20重量%を含んでなり、それらの合計が10
0重量%である樹脂組成物であって、その本文中に定義
する30%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が
75%以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた電磁波遮蔽
効果を有する樹脂組成物に関する。更に詳しくは、優れ
た電磁波遮蔽効果を有しかつリサイクル時の電磁波遮蔽
効果保持率が高い電磁波遮蔽性樹脂組成物、それからリ
サイクルされた電磁波遮蔽性樹脂組成物、およびそれら
の電磁波遮蔽性樹脂組成物からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的
強度、寸法精度、難燃性等に優れ、電気・電子機器分
野、自動車分野等において幅広く使用されている。近年
は特にノート型パーソナルコンピューターの筐体、およ
び携帯端末機器の筐体等の分野により多く利用されてい
る。
【0003】近年、コンピューター等のOA機器および
情報端末機器等の小型軽量化に伴う回路の高集積化、高
密度化によって、電子機器が誤作動を引き起こすといっ
た電磁波障害が社会的問題となっており、電子機器の筐
体には外部からの電磁波の遮蔽および外部への電磁波漏
洩を防止する処方を施す必要がある。
【0004】電磁波遮蔽効果を得る為には、電子機器筐
体に導電性を付与する必要があり、一般的に導電性が高
いほど良好な電磁波遮蔽性を有する。特に、近年CPU
(中央演算処理装置)の急速な高速化に伴い、より高度
な電磁波遮蔽効果が要求されてきている。また、環境問
題からスプルー、ランナーの再利用をはじめ、使用済み
製品のリサイクルに対する要求が近年益々高まってきて
いる。
【0005】熱可塑性樹脂からなる筐体を導電化する方
法としては、一般的に導電塗料の塗布、電磁波遮蔽メッ
キ、亜鉛溶射、イオンプレーティング等の表面処理によ
る方法が挙げられる。しかしながら、表面処理による方
法は、成形された成形品表面に導電処理を施す加工工程
を必要とし、その設備にも高いコストがかかり、また導
電層が剥離しやすい等の欠点を有している。更に表面処
理を行なう際の溶剤や排水の規制といった環境問題もあ
る。また再利用に関しては、成形品の導電層を剥がすな
どの工程が必要となり、それによって熱可塑性樹脂の分
子量低下や機械的特性の低下が起こるといった問題があ
る為に再利用が困難な状況にある。
【0006】筐体に電磁波遮蔽性を付与する別の方法と
して、炭素繊維、金属繊維および金属をコートした導電
性充填剤を配合した導電性の高い樹脂材料を使用する方
法がある。例えば、特公平6−97695号公報におい
て、導電性繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物であっ
て、成形品中の導電性繊維の繊維長が特定の範囲にある
電磁波遮蔽効果の高い樹脂成形品が提案されている。
【0007】該樹脂組成物からなる成形品は高い電磁波
遮蔽効果を有している。しかしながら、再利用という観
点からは、成形品の粉砕および再生を行なう場合に導電
性繊維の折れや充填剤をコートしている金属の剥がれな
どが少なからず発生し、導電性の低下が大き目であっ
た。したがって電磁波遮蔽用途に再利用するには十分と
いえるものではなかった。
【0008】また、特開2000−103954号公報
において、芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする熱可
塑性樹脂、導電性繊維、赤リンおよび特定の官能基を含
有するオレフィン系ワックスからなる電磁波遮蔽効果に
優れた樹脂組成物が提案されている。しかしながら、現
在ではかかる樹脂組成物よりも更に高いリサイクル性が
求められている。すなわち再生材を混入した場合におい
ても高い電磁波遮蔽性のレベルの低下が少ない特性が求
められている。
【0009】したがって、優れた電磁波遮蔽効果を有
し、機械的特性、特に耐衝撃性および剛性に優れ、かつ
材料の再利用が可能な電磁波遮蔽性樹脂組成物の出現が
強く要望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電磁波遮蔽
効果に優れかつ電磁波遮蔽効果保持率の高い導電性繊維
を含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂を主と
する熱可塑性樹脂、導電性繊維、樹脂と導電性繊維の密
着性を阻害する成分および特定の有機リン化合物を含ん
でなる樹脂組成物が、成形品の粉砕物とバージン材料と
を混合して再度成形品を得る工程を繰り返した場合で
も、かかる成形品が電磁波遮蔽効果保持特性に優れ、か
つ剛性、耐衝撃性などの保持特性も優れることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂(A成分)9
3.95〜20重量%、導電性繊維(B成分)5〜50
重量%、A成分とB成分の密着性を阻害する成分(C成
分)0.05〜10重量%、およびTGAによる窒素ガ
ス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で
600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が300℃
以上の有機リン化合物(D成分)1〜20重量%を含ん
でなる樹脂組成物であって、その本文中に定義する30
%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が75%以
上である電磁波遮蔽性樹脂組成物に係るものである。
【0013】本発明で使用する芳香族ポリカーボネート
樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前駆体と
を界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得ら
れたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステ
ル交換法により重合させたもの、または環状カーボネー
ト化合物の開環重合法により重合させて得られるもので
ある。
【0014】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0015】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましい。
【0016】特にビスフェノールAの単独重合体が好ま
しく使用される。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0017】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0018】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化す
るのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。
またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香
族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっ
ても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重
合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、
また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合
した混合物であってもよい。
【0019】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0020】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0021】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0022】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフ
ェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、
下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示す
ことができる。
【0023】
【化1】
【0024】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して
使用してもよい。
【0025】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0026】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0027】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0028】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロ
ロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボ
ニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシ
カルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、
特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネ
ートが好ましく使用される。
【0029】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0030】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量と
しては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モル
の割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボ
ネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、よ
り好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0031】ポリカーボネート樹脂の分子量は特定され
ないが、分子量が10,000未満であると強度などが
低下し、50,000を超えると成形加工性が低下する
ようになるので、粘度平均分子量で表して10,000
〜50,000のものが好ましく、15,000〜4
0,000のものがより好ましく、更に好ましくは20
0,000〜35,000である。また、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。
この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリ
カーボネート樹脂とを混合することも当然に可能であ
る。
【0032】特に粘度平均分子量が50,000を超え
る芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はその高いエ
ントロピー弾性に由来する特性(ドリップ防止特性、ド
ローダウン特性、およびジェッティング改良などの溶融
特性を改良する特性)を発揮するものであるため、これ
らの特性が要求される場合には好ましいものである。よ
り好ましくは粘度平均分子量が80,000以上の芳香
族ポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好まし
くは100,000以上の粘度平均分子量を有する芳香
族ポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちG
PC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)など
の測定方法により2ピーク以上の分子量分布を観察でき
るものが好ましく使用できる。
【0033】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族
ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液
からオストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数]
【0034】求められた比粘度を次式にて挿入して粘度
平均分子量Mを求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0035】芳香族ポリカーボネート樹脂以外の他の熱
可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、およびポリ−4−メチルペンテン−1、および
環状ポリオレフィン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポ
リスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹
脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、
MAS樹脂、水添ポリスチレン樹脂、およびSMA樹脂
などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなど
のアクリル樹脂、並びにスチレン系熱可塑性エラストマ
ー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなど各種の熱可
塑性エラストマーを挙げることができる。(ここでMS
樹脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる
共重合体、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−
プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共重
合体、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およ
びアクリルゴムから主としてなる共重合体、MAS樹脂
はメチルメタクリレート、アクリルゴム、およびスチレ
ンから主としてなる共重合体、SMA樹脂はスチレンと
無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体を指
す。)
【0036】更にポリフェニレンエーテル樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂
肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレー
ト樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレー
ト)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフ
ォン樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂など
を挙げることができる。
【0037】芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする
とはA成分の合計100重量%中、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂が50重量%以上、好ましくは60重量%以
上、更に好ましくは70重量%以上であることをいう。
【0038】本発明のB成分として使用される導電性繊
維は、例えばステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊
維、黄銅繊維等の金属繊維、炭素繊維、金属コート炭素
繊維、金属コートガラス繊維等が挙げられ、これらは二
種以上併用することができる。中でも電磁波遮蔽効果の
優れた導電性樹脂組成物が得られるものとして、特に体
積固有抵抗が1.0×10-5〜1.0×10-8Ω・mで
ある繊維が好ましく、例えばステンレス繊維、アルミニ
ウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等の金属繊維、金属コート
炭素繊維、金属コ−トガラス繊維等が挙げられる。また
その中でも金属コート炭素繊維が導電性の面、並びに樹
脂組成物における剛性をはじめとする機械的強度の面お
よび寸法精度の面から好ましい。かかる金属コート炭素
繊維は、炭素繊維にメッキ法および蒸着法等の公知の方
法でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等
およびこれらの合金等の金属を被覆したものである。か
かる金属は導電性、耐食性、生産性、および経済性の観
点からニッケル、銅、銀、金およびアルミニウムから選
ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。炭素繊維
はピッチ系、PAN系のいずれであってもよい。
【0039】繊維径については、金属繊維としては、直
径が6〜80μmのものが好ましく、6〜60μmが特
に好ましい。かかる範囲では繊維同士の絡み合いに起因
する成形加工性の悪化(繊維が範囲を超えて細い場合に
生ずる)や、電磁波遮蔽性の低下や外観も不良(繊維が
範囲を超えて太い場合に生ずる)がないためである。
【0040】炭素繊維、金属コ−ト炭素繊維および金属
コートガラス繊維においては、その繊維直径が2〜20
μmのものが特に好ましい。かかる範囲では、繊維の折
れやすさに起因する電磁波遮蔽性およびリサイクル性の
低下(繊維が範囲を超えて細い場合に生ずる)や、電磁
波遮蔽性の低下(繊維が範囲を超えて太い場合に生ず
る)がないためである。
【0041】本発明の導電性繊維は、シランカップリン
グ剤、チタネ−トカップリング剤、アルミネ−トカップ
リング剤等で表面処理したものが使用できる。通常上記
の各種カップリング剤は、マトリックス樹脂との密着性
を向上させるために使用される。また炭素繊維などにお
いては酸化処理などの密着性を向上させる処理が行われ
ているのが通常である。
【0042】一方本発明の導電性繊維は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂との密着性が低
いことにより良好なリサイクル性を達成するものであ
る。したがって本発明の導電性繊維はカップリング剤や
酸化処理などによる表面処理がなされていないものを使
用することもできる。しかしながら下記に示すように集
束処理がなされていることが繊維長を維持するために好
ましいことから、カップリング剤や酸化処理などによる
表面処理がなされていることがより好ましい。かかる集
束剤を良好に繊維に被覆するためにはかかる表面処理が
ある程度必要なためである。
【0043】本発明の導電性繊維は集束剤により集束処
理がされているものが好ましい。集束されていない導電
性繊維を他の原料と共に直接溶融混練すると、繊維が綿
状となりその製造自体が困難となる。加えて絡み合った
繊維の影響で不均一な滞留が生じ樹脂の熱劣化を生じた
り、絡み合った繊維間の応力の作用によって繊維が折れ
やすくなったりする。
【0044】集束剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを挙
げることができる。一方でこれら以外の集束剤であって
C成分に含まれる化合物からなる集束剤も使用可能であ
る。
【0045】本発明のC成分は、A成分の樹脂とB成分
の導電性繊維との間の密着性を阻害するものである。密
着性が阻害されている場合には、引張破断強度試験片の
破断面や衝撃試験片の破断面を観察した場合、破断した
樹脂部分から突き出した導電性繊維の周りに樹脂の付着
がほとんど認められない。更に好ましい場合には、それ
らの破断した樹脂部分において樹脂と導電性繊維との間
に明確な隙間が生じていることが観察される。試験片の
製造時、樹脂は溶融状態から体積収縮を伴い固化する。
その際樹脂と導電性繊維との密着性が悪いと、樹脂がか
かる繊維から離れてその体積収縮が生じていくと考えら
れる。上記の樹脂と導電性繊維との間の隙間はこのよう
な両者の密着性が特に低い場合に生じる現象だと考えら
れる。
【0046】本発明のC成分は具体的には、(i)A成
分と親和性の低い化合物をB成分の表面に直接被覆する
方法、及び(ii)A成分と親和性の低い構造を有し、
かつB成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物を
A成分およびB成分と共に溶融混練する方法によりA成
分とB成分の間に密着性を阻害するものである。
【0047】A成分と親和性の低い化合物としては各種
の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例
えば、、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂
肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイ
ル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パ
ラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポ
リアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、ト
リフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピ
レングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
【0048】高級脂肪酸エステルとしては、グリセリン
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステルなどを挙げることができ、中
でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0049】また上記に挙げた滑剤においてはオレフィ
ン系ワックスまたはポリオルガノシロキサンが好まし
い。オレフィン系ワックスにおいては、ポリオレフィン
ワックスが好ましく、特にポリエチレンワックスおよび
/または1−アルケン重合体(α−オレフィンの重合体
を含む)の使用が好ましい。また分子量、分岐度などは
特に制限されるものではないが、分子量としては重量平
均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ま
しくは1,000〜15,000である。ポリエチレン
ワックスとしては現在一般に広く知られているものが使
用でき、エチレンを高温高圧下で重合したもの、ポリエ
チレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合物より低分
子量成分を分離精製したものなどが挙げられる。ポリオ
レフィン系ワックスは各種の官能基で変性されているも
のでもよい。
【0050】一方、ポリオルガノシロキサンにおいて
は、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルと
しては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシ
リコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイ
ル、環状ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシ
リコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、
高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等が挙げられ
る。かかるシリコーンオイルとしては、20℃における
動粘度が1×10-22/s以下であるものが取り扱い
の点から好ましい。ポリオルガノシロキサンは各種の官
能基で変性されているものでもよい。
【0051】A成分と親和性の低い化合物をB成分の表
面に直接被覆する方法としては、(1)A成分と親和性
の低い化合物、かかる化合物を溶剤に溶解した溶液、お
よびかかる化合物の乳化液または懸濁液にB成分を浸漬
し、これらの液剤を付着させた後、乾燥させる方法、
(2)A成分と親和性の低い化合物の蒸気中、かかる化
合物の粉体中にB成分を通過させる方法、(3)A成分
と親和性の低い化合物の粉体などをB成分に高速で照射
する方法、(4)繊維ロービングを滑剤固体に擦り付け
るメカノケミカルによる方法などを挙げることができ
る。
【0052】A成分と親和性の低い構造を有し、かつB
成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物として
は、各種の官能基で修飾された上記の滑剤を挙げること
ができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル
基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン
基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコ
キシシリル基などを挙げることができる。
【0053】A成分と親和性の低い構造を有し、かつB
成分の表面と反応可能な官能基を有する化合物は、A成
分およびB成分と共に溶融混合することで、A成分には
結合または密着せず、一方B成分とは結合または密着す
るため、結果としてB成分の周囲を被覆しA成分との親
和性が低い構造の作用によりA成分とB成分との密着性
を阻害することが可能となる。かかる点から官能基がA
成分との反応性がより低く、一方でB成分との反応性が
高いものが好ましい。
【0054】A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂を主
体とすることから、C成分におけるB成分の表面と反応
可能な官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸無
水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選ばれ
る少なくとも1種の官能基が好ましく、より好ましくは
カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選ばれ
る少なくとも1種の官能基である。
【0055】すなわち本発明において好ましいC成分と
しては、(i)B成分に予め被覆処理されてなる滑剤を
挙げることができる。より好ましくはポリグリセリン脂
肪酸エステル、オレフィン系ワックス、およびポリオル
ガノシロキサンから選択される少なくとも1種の滑剤が
B成分に予め被覆処理されてなる滑剤を挙げることがで
きる。中でも好ましいのはオレフィン系ワックスがB成
分に予め被覆処理されてなるものである。
【0056】また本発明において好ましいC成分として
は、(ii)カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エ
ポキシ基、およびオキサゾリン基から選ばれる少なくと
も1種の官能基を有する滑剤を挙げることができる。滑
剤としてはポリグリセリン脂肪酸エステル、オレフィン
系ワックス、およびポリオルガノシロキサンから選択さ
れる少なくとも1種の滑剤がより好ましく挙げられる。
【0057】より好ましくは本発明のC成分としては、
カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択さ
れた少なくとも1種の官能基を有する滑剤を挙げること
ができる。
【0058】本発明のC成分は、上記の(i)および
(ii)のいずれの態様においても本発明の電磁波遮蔽
性樹脂組成物中において、B成分の導電性繊維の周囲を
被覆するように存在する。これにより本発明の電磁波遮
蔽性樹脂組成物製造時および本発明の電磁波遮蔽性樹脂
組成物を溶融成形する際に、B成分に過大な応力が加わ
るのを低減し、B成分の破損を抑制する作用を有する。
このため成形品中の導電性繊維が長く存在し、得られた
樹脂組成物が電磁波遮蔽効果に優れるものと考えられ
る。またかかる作用により目的とする成形品の粉砕を繰
り返しても高い電磁波遮蔽特性を保持することが可能と
なる。また導電性繊維が樹脂マトリックスであるA成分
を拘束しなくなるため、A成分の靭性をより活かすこと
が可能となる。
【0059】これらの滑剤と各種の官能基を結合する方
法としては、(1)滑剤に上記の官能基および滑剤と反
応性のある官能基を有する化合物を反応させる方法、
(2)滑剤の合成時に上記の官能基を有する化合物を共
重合する方法、(3)滑剤、官能基を有する化合物およ
びラジカル発生剤を加熱下で混合して反応する方法、お
よび(4)熱酸化により修飾する方法などを挙げること
ができ、いずれの方法も使用可能である。
【0060】本発明でC成分として特に好ましいのは、
カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択さ
れた少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワ
ックスである。かかるカルボキシル基またはカルボン酸
無水物基をポリオレフィンワックス中に含有させる方法
としては適宜各種の方法をとることができる。例えば、
マレイン酸や無水マレイン酸などの化合物と、ポリエチ
レン、1−アルケン(α−オレフィンを含む)の重合
体、および1−アルケン(α−オレフィンを含む)とエ
チレンの共重合体などのポリマーとを加熱下で、ラジカ
ル発生剤の存在下または非存在下で混合する方法が挙げ
られる。かかる方法により主鎖、側鎖または結合原子の
開裂に伴ってこれらの官能基を導入することができる。
更により好ましい方法としては、エチレン、プロピレ
ン、炭素数4以上の1−アルケン(α−オレフィンを含
む)等を重合または共重合する際に、マレイン酸、好ま
しくは無水マレイン酸を共重合することにより官能基を
導入する方法である。かかる方法は不必要な熱負荷がな
く、またかかる官能基の量の制御が容易である点でより
好ましい方法である。
【0061】本発明のC成分において、カルボキシル基
およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル
基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも
1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10me
q/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6m
eq/gであり、更に好ましくは0.5〜4meq/g
である。尚、ここで1eq(1当量)とは、カルボキシ
ル基の場合はカルボキシル基が1モル分存在することを
いい、カルボン酸無水物基の場合には、カルボン酸無水
物基が0.5モル分存在することをいう。他の官能基の
場合もカルボキシル基と同程度含まれていることが好ま
しい。
【0062】本発明の好適なC成分であるカルボキシル
基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも
1種の官能基を有する滑剤において、特に好ましいもの
としてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を
挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラ
ジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法
で製造することができる。ここでα−オレフィンとして
はその炭素数が平均値として10〜60のものを好まし
く挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ま
しくはその炭素数が平均値として16〜60、更に好ま
しくは25〜55のものを挙げることができる。またそ
のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量として
は、0.1〜6meq/gであることが好ましく、更に
好ましくは0.5〜4meq/gである。
【0063】本発明のD成分として使用される、TGA
(Thermogravimetric Analys
is;熱重量解析)による、窒素ガス雰囲気中における
23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し
た時の5%重量減少温度が300℃以上の有機リン化合
物としては、その条件を満たしているものであれば特に
制限されない。かかる有機リン化合物は樹脂組成物の溶
融粘度を低下させ、樹脂組成物が繰り返し溶融混練され
た際も樹脂組成物からの分離や揮発が少なく、熱分解が
少ない。
【0064】樹脂組成物の溶融粘度を低下させることに
より、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物製造時および本
発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物を溶融成形する際に、C
成分と同様にB成分である導電性繊維に加わる応力を低
減し、B成分の破損を抑制する作用を有するものと考え
られる。C成分およびD成分単独添加時と比較して、C
成分とD成分を併用することにより、極めて高い電磁波
遮蔽効果および電磁波遮蔽効果保持率を発現することが
できる。これは、C成分とD成分の相乗効果によってB
成分の破損を最小限とし、成形品中の導電性繊維長を極
めて長く保持することが可能となることから、得られた
樹脂組成物が電磁波遮蔽効果に優れるものと考えられ
る。
【0065】また、熱分解温度が高いことから、繰り返
し溶融混練された際に樹脂組成物からの分離、揮発が少
なく、リサイクル特性に優れる。D成分としてより好ま
しくは、そのTGAによる、窒素ガス雰囲気中における
23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し
た時の5%重量減少温度が320℃以上、より好ましく
は330℃以上、更に好ましくは340℃以上である有
機リン化合物を挙げることができる。
【0066】好ましい有機リン化合物としては、下記一
般式(2)で表される化合物のうち、上記TGAによる
重量減少温度の条件を満足する1種または2種以上のリ
ン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0067】
【化2】
【0068】(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、
レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メ
タン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、
またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0
〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれ
ぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしく
は置換していないフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−
クミルフェノールから誘導されるものである。) 更に好ましいものとしては、上記式中のXが、ハイドロ
キノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから誘導さ
れるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であ
り、nは0〜3の整数であり、またはn数の異なるリン
酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値であり、
1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上
のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェ
ノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるもの
である。
【0069】かかるリン酸エステル系化合物の中でも、
リン酸エステルオリゴマーのレゾルシノールビス(ジキ
シレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス
(ジフェニルホスフェート)が、得られる樹脂組成物の
溶融粘度低減効果に優れると共に、繰り返し溶融混練さ
れた際の樹脂組成物からの分離、揮発が少なく、かつ熱
安定性に優れるなどの理由により好ましく使用される。
【0070】更にフェノキシホスファゼンオリゴマーや
環状フェノキシホスファゼンオリゴマーに代表されるホ
スファゼン化合物も同様の理由により使用することが可
能である。
【0071】これらリン酸エステル化合物およびホスフ
ァゼン化合物は、樹脂組成物に難燃性が要求される場
合、難燃性付与にも貢献する。
【0072】ここでA成分、B成分、C成分およびD成
分の樹脂組成物中の割合としては、これらの合計100
重量%中A成分が93.95〜20重量%、B成分が5
〜50重量%、C成分が0.05〜10重量%、および
D成分が1〜20重量%である。B成分はより好ましく
は5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%で
ある。C成分はより好ましくは0.1〜5重量%であ
り、更に好ましくは0.2〜3重量%である。また、D
成分はより好ましくは2〜18重量%であり、更に好ま
しくは4〜15重量%である。
【0073】B成分が5重量%未満では電磁波遮蔽効果
が不十分であり、50重量%を超えると成形が困難とな
ることから好ましくない。また、C成分が0.05重量
%未満では電磁波遮蔽効果保持特性が不十分であり、1
0重量%より多いとC成分がマトリックス樹脂の特性に
対して影響を与え機械的特性が低下する。また外観が悪
化する点においても好ましくない。更に、D成分が1重
量%未満ではC成分同様に電磁波遮蔽効果保持特性が不
十分となり、20重量%より多いと機械的特性や耐熱性
が低下するので適当でない。
【0074】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、上記
の組成割合からなり更に以下の方法による30%リサイ
クル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が75%以上、好ま
しくは80%以上であることを満足するものである。
【0075】かかる特性は、上記のA成分、B成分、C
成分、およびD成分をB成分の導電性繊維の折れ、また
は金属コートタイプの繊維の場合にはそのコートされた
金属の剥離を抑制できる溶融混練をして得られた樹脂組
成物により達成されるものである。
【0076】しかしながらその他の成分が更に加えられ
た場合には上記の電磁波遮蔽効果保持率を達成しない場
合が生じる。例えば硬質な充填材が更に加えられた場合
には、再生品の粉砕および溶融成形を繰り返し行う間
に、硬質な充填材が導電性繊維の折れや繊維にコートさ
れた金属の剥離を誘発しやすくなる。硬質な充填材とし
ては例えば、酸化チタン、アルミナ、赤リンなどを挙げ
ることができ、これらを高充填する場合には条件となる
特性を満足しない場合がある。
【0077】尚、本発明における「30%リサイクル試
験」は次の要領で行う。すなわち、押出機を用いて樹
脂、導電性繊維、およびその他の原材料を溶融混練して
バージンのペレットを得る。かかるペレットの一部を適
正温度で乾燥後、射出成形することで必要な試験片を得
る。かかる試験片からランダムに一部を抜き取って試験
を行い、残りの試験片を粉砕機を使用して粉砕する。こ
の場合粉砕粒の大きさはペレットと同等の大きさ(数m
m径、好ましくは2〜6mm径程度の大きさ)とする。
かかる大きさは粉砕機のスクリーンのメッシュの大きさ
により調整する。
【0078】得られた粉砕粒30重量%とバージンペレ
ット70重量%を均一に混合して、上記と同じ乾燥温度
で乾燥し、同じ成形機および成形条件で試験片の成形を
行う。ここで得られた試験片を“1回目のリプロ品”と
する。得られた1回目のリプロ品の試験片を上記と同様
に粉砕し、30重量%の割合でバージンペレットと混合
し成形を行う工程を更に2回繰返し、“3回目のリプロ
品”の試験片の特性をバージンペレットの場合の試験片
と比較し、その割合から保持率を決定する。
【0079】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の電磁波
遮蔽効果は、試験片として一辺150mmおよび厚み2
mmの平板を、測定装置として(株)アドバンテスト製
TR−17301AおよびR3361Aを併用した装置
に準ずる装置を、および測定周波数として周波数500
Hzの電界波を使用した測定における電磁波遮蔽効果を
dB(デシベル)単位により示したものである。測定は
試験片の反りなどの変形を極力少なして行う必要があ
る。
【0080】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物における
電磁波遮蔽効果としては、上記の測定法において50d
B以上の効果が好ましく、より好ましくは55dB以
上、更に好ましくは60dB以上の電磁波遮蔽効果であ
る。
【0081】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、上記
のすぐれた電磁波遮蔽効果保持率を達成できるものであ
るため、得られた再生材を混合した場合にあっても良好
な電磁波遮蔽効果を有する製品を得ることができる。す
なわち本発明によれば、A成分、B成分、C成分および
D成分を含んでなる樹脂組成物のバージン材(α成分)
100重量部に対して、A成分、B成分、C成分および
D成分を含んでなる樹脂組成物の再生材(β成分)5〜
100重量部を配合してなる電磁波遮蔽性樹脂組成物が
提供される。更に好ましくは、α成分100重量部に対
して、β成分10〜50重量部を配合してなる電磁波遮
蔽性樹脂組成物が提供される。
【0082】更に本発明によれば好適には、かかるα成
分とβ成分からなる電磁波遮蔽性樹脂組成物の上記測定
法における電磁波遮蔽効果が50dB以上、好ましくは
55dB以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物が提供され
る。かかる電磁波遮蔽性樹脂組成物は、市場から回収さ
れる再生品、並びに製造時のスプルー、ランナーや成形
不良品などから得られる再生品などの各種再生品を有効
活用できるものである。かかる特性は電磁波遮蔽性樹脂
組成物の特徴である、電磁波遮蔽用のメッキ工程を省略
し、またそのリサイクル性も容易であるとの特徴を更に
向上させるものであり、その意義は極めて大きい。
【0083】本発明においては、本発明の特性を損なわ
ない範囲においてE成分として耐衝撃性の向上を目的と
して、各種ゴム状弾性体を配合することができる。
【0084】本発明において使用可能なE成分のゴム状
弾性体の例としては、ガラス転移温度が10℃以下のゴ
ム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重
合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種ま
たは2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げる
ことができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性エラス
トマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエ
ラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレン−エ
チレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリエーテ
ルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
熱可塑性エラストマー以外のゴム状弾性体は、通常ゴム
成分を40%以上含有するものである。
【0085】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複
合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレ
ン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリ
ンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水
素が添加されたものを挙げることができる。
【0086】中でもガラス転移温度が−10℃以下のゴ
ム成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジ
エンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴ
ム、アクリル-シリコーン複合ゴムを使用したゴム状弾
性体が好ましい。ここで複合ゴムとは、2種以上のゴム
成分が共重合または分離できないよう相互に絡み合った
IPN構造をとるように重合したゴムをいう。
【0087】芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレ
ン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にス
チレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等
を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチ
ルが特に好ましい。
【0088】ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を
含有するゴム状弾性体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであって
もよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グ
ラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生す
るグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であっても
よい。更に重合法としては一般的な乳化重合法の他、過
硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合
法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることが
できる。また懸濁重合法においても、水相とモノマー相
とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給
し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同様に
連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中に
モノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔
質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方
法なども可能である。
【0089】かかるゴム状弾性体は市販されており容易
に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が
10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、または
ブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとして
は、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱
レーヨン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業
(株)のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリ
ーズ、KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が1
0℃以下のゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴ
ムを主体とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメ
タブレンS−2001あるいはSRK−200という商
品名で市販されているものが挙げられる。
【0090】かかるE成分の中でも好ましいゴム状弾性
体としては、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリア
ルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できない
ように相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに一
種または二種以上のビニル系単量体がグラフト重合され
た複合ゴム系グラフト重合体を挙げることができる。
【0091】かかるE成分の割合としては、A成分〜D
成分の合計100重量部に対して、1〜20重量部が好
ましい。より好ましくは2〜18重量部、更に好ましく
は3〜15重量部である。
【0092】また本発明の電磁波遮蔽性組成物には、難
燃性能を向上させるために、F成分としてフィブリル形
成能を有する含フッ素ポリマーを併用することが好まし
い。かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テト
ラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、など)、米国特許第4379910号公報に示され
るような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノール
から製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げること
かできるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレン
(以下PTFEと称することがある)である。
【0093】フィブリル形成能を有するPTFEの分子
量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用
によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示す
ものである。その分子量は、標準比重から求められる数
平均分子量において100万〜1000万、より好まし
く200万〜900万である。かかるPTFEは、固体
形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。ま
たかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中で
の分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特
性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物
を使用することも可能である。
【0094】かかるフィブリル形成能を有するPTFE
の市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル
(株)のテフロン6J、ダイキン化学工業(株)のポリ
フロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げる
ことができる。PTFEの水性分散液の市販品として
は、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオ
ンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフ
ルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル
(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げること
ができる。
【0095】混合形態のPTFEとしては、(1)PT
FEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液
とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開
昭60−258263号公報、特開昭63−15474
4号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水
性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法
(特開平4−272957号公報に記載された方法)、
(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均
一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に
除去する方法(特開平06−220210号公報、特開
平08−188653号公報などに記載された方法)、
(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する
単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に
記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液
と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液
中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法
(特開平11−29679号などに記載された方法)に
より得られたものが使用できる。これらの混合形態のP
TFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタ
ブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャ
リティーケミカル社製「BLENDEX449」(商品
名)などを挙げることができる。
【0096】混合形態におけるPTFEの割合として
は、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜6
0重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%、
更に好ましくは5〜30重量%である。PTFEの割合
がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を
達成することができる。
【0097】フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマ
ーの割合は本発明のA成分〜D成分の合計100重量部
に対して0.05〜3重量部が好ましく、より好ましく
は0.01〜1.5重量部、更に好ましくは0.05〜
1.0重量部である。
【0098】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物には、目
的に応じて上記以外の各種の添加剤を配合することがで
きる。その他各種添加剤としては、例えばB成分以外の
補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭
酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバル
ーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素フレー
ク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、シリ
カ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、
アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導
電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、難燃
剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離
型剤、滑剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンな
どの顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリ
コーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム
粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防
止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌
剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜
鉛など)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを挙
げることができる。
【0099】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の難燃剤
としては、まずはハロゲン系難燃剤を挙げることができ
る。ハロゲン系難燃剤としては、芳香族ハロゲン化合
物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネ
ート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シ
アヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテルな
どが挙げられ、好ましくは、デカブロモジフェニルオキ
サイド、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロム
ビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノー
ル系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキ
シ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、
ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブ
ロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブロムフェニレ
ンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェ
ノール縮合物などを挙げることができる。
【0100】その他の難燃剤としては、ポリリン酸アン
モニウムなどの無機リン系難燃剤、水酸化マグネシウム
の水和物などの無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、
メタホウ酸亜鉛などの無機系難燃剤、Na3AlF6およ
びCa3(AlF6)2などの無機酸のアルカリ金属塩また
はアルカリ土類金属塩、パーフルオロブタンスルホン酸
カリウムや芳香族スルホンスルホン酸カリウムなどの有
機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩、およ
び有機シロキサン化合物などのシリコーン系難燃剤を挙
げることができる。
【0101】上記の各種難燃剤の組成割合は、本発明の
D成分との混合物において、D成分が満足すべき条件の
範囲内となる割合が好ましい。
【0102】本発明では更に難燃性を向上することを目
的に、難燃助剤としてチャー形成化合物を添加すること
も可能である。チャー形成化合物としては以下のものが
挙げられる。
【0103】第1にヒドロキシベンゼン化合物、ヒドロ
キシナフタレン化合物、およびヒドロキシアントラセン
化合物などとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられ
る。例えば、ノボラック型フェノール樹脂、およびクレ
ゾール変性フェノール樹脂を挙げることができる。また
かかるヒドロキシ基をスルホン酸基またはスルホン酸塩
基に置換した化合物も入手容易であり好ましく使用でき
る。例えばナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムア
ルデヒド縮合物を挙げることができる。
【0104】第2に重質油類またはピッチ類とホルムア
ルデヒドとの縮合物が挙げられる。かかる重質油類また
はピッチ類は、芳香族炭化水素分率fa値が0.40〜
0.95、芳香環水素量Ha値が20〜80%であるこ
とが好ましい。例えば、減圧軽油の流動接触分解工程で
得た塔底油とパラホルムアルデヒドとの縮合物を挙げる
ことができる。
【0105】第3に上記重質油類またはピッチ類そのも
のを挙げることができる。第4に熱可塑性樹脂タイプの
ものとして、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)、アリル化ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジフェニルポ
リフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン、ポリエー
テルサルフォン、ポリアリレート、ポリフェニレンスル
フィド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなど
が挙げられる。その他、ポリパラフェニレンオリゴマ
ー、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げ
ることができる。
【0106】これらの中から選ばれた1種または2種以
上を組み合わせて用いることができる。このうち、特に
好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フェノール樹
脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げることができ
る。
【0107】これら難燃助剤の組成物中の割合として
は、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%部中
0.001〜15重量%であることが好ましい。より好
ましくは電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.0
05〜10重量%である。更に好ましくは0.01〜5
重量%である。
【0108】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物の熱安定
剤としては、リン系安定剤を含むことが好ましい。かか
るリン系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイ
ト系、およびホスフェート系のいずれも使用可能であ
る。
【0109】ホスファイト化合物における好ましい具体
例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、
2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ
(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホ
スファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフ
ェノールテトラトリデシルホスファイトなどを挙げるこ
とができる。
【0110】更に好ましいホスファイト化合物として
は、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス
(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−is
o−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイトなどがあげられ、特にトリス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好まし
い。
【0111】ホスホナイト化合物における好ましい具体
例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピ
ルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、
テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイ
ト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テ
トラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテト
ラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビ
フェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ま
しく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナ
イト(E2−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホ
スホナイト(E2−2成分)および、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフ
ェニレンジホスホナイト(E2−3成分)の1種もしく
は2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはか
かる3種の混合物である。また、3種の混合物の場合そ
の混合比は、E2−1成分、E2−2成分およびE2−
3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲
が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がよ
り好ましい。
【0112】その他ホスホナイト化合物の好ましい具体
例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェ
ニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ
−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニ
ルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニ
ル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェ
ニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホス
ホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好まし
く、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。この
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェ
ニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好
ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト
(E3−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナ
イトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、
好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混
合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が
好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0113】一方ホスフェート系安定剤としては、トリ
ブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ
クロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノ
オルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェ
ート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることが
でき、好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0114】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物はフェノ
ール系酸化防止剤を含むことができる。かかるフェノー
ル系酸化防止剤としては種々のものを使用することがで
きる。
【0115】かかるフェノール系酸化防止剤の具体例と
しては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−
(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−
6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−
ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジ
メチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエ
チルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−
6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレ
ンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert
−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−
ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−ク
レゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン
−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
ert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール
−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−
へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビ
ス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−te
rt−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)
フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチル
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス(6−ter
t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス
(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ
−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−ter
t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチル
チオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−te
rt−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,
N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−ト
リメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−
ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレ
ート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン
−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げる
ことができ、好ましく使用できる。
【0116】より好ましくは、n−オクタデシル−β−
(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−
6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−
ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル
オキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およ
びテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタンであり、更にn−オクタデシル−β−(4’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)プロピオネートが好ましい。
【0117】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物はイオウ
系酸化防止剤を含んでいることができる。かかるイオウ
系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’
−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,
3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−
3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル
−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルス
テアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペ
ンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオ
ネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウ
リルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチル
フェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メ
ルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メ
チルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナ
フトール)などを挙げることができる。より好ましく
は、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプ
ロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0118】上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系
酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独
または2種以上併用することができる。
【0119】これら安定剤の組成物中の割合としては、
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中、リン
系安定剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸
化防止剤はそれぞれ0.0001〜1重量%であること
が好ましい。より好ましくは電磁波遮蔽性樹脂組成物1
00重量%中0.0005〜0.5重量%である。更に
好ましくは0.001〜0.2重量%である。
【0120】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は離型剤
を含有することができる。かかる離型剤としては公知の
ものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽
和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエ
チレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性など
の官能基含有化合物で変性されているものも使用でき
る)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに
代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、
蜜蝋などを挙げることができる。
【0121】好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステ
ルが挙げられ、例えばステアリン酸モノグリセライド、
ジグリセライド、トリグリセライドなどのグリセリン脂
肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよ
びデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリ
ン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの
低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高
級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステ
アレートなどのエリスリトールエステル類が使用され
る。離型剤は電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中
0.01〜2重量%であることが好ましい。
【0122】紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシ
ルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジ
ロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキ
シ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5
−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニ
ル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸
収剤を挙げることができる。
【0123】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’
−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェ
ニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−
3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミド
メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−ter
t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエ
チレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0124】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げる
ことができる。
【0125】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−2n−ブチルマロネート、1,
2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコール
との縮合物、1,2,3,4−ブタンジカルボン酸と
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノー
ルとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テト
ラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブ
チル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イ
ミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジル)イミノ]}、ポリ{[6−モルフォリノ
−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,
6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミ
ノ]}、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと
β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ン)ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−ア
ミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−
ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)アミノ]−クロロ−1,3,5−トリア
ジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9
−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]
ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ポリメチルプロ
ピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチ
ル)ピペリジニル]シロキサンに代表されるヒンダード
アミン系の光安定剤も配合することができる。
【0126】かかる紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、
本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物100重量%中0.0
1〜5重量%、より好ましくは0.02〜1重量%であ
る。
【0127】また、本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物に
は紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すために各
種の着色剤を配合することができる。着色剤としては無
機顔料や有機顔料を使用することができる。また顔料と
してはマイカの表面に酸化チタンや酸化鉄などをコート
したもの、アルミニウムフレーク、ガラスフレークの表
面に金属コートをしたもの、マイカやガラスフレークの
表面に屈折率の異なる複数の層をコートし見る角度によ
り色味の変化するものなどに代表されるメタリック顔料
を含むこともできる。
【0128】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物を製造す
るには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜D成
分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘ
ンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機な
どの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場合によ
り押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造
粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶
融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によ
りペレット化する方法が挙げられる。
【0129】他に、A成分〜D成分および任意に他の成
分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される
溶融混練機に供給する方法や、A成分〜D成分および任
意に他の成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独
立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。特に
繊維状であるB成分については、溶融混練時の繊維の折
れを防止する目的から、押出機途中から溶融状態の樹脂
中に供給する方法が好ましい。
【0130】尚、配合する成分に液状のものがある場合
には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または
液添装置を使用することができる。
【0131】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、押出
成形、射出成形、圧縮成形、回転成形、ブロ−成形、真
空成形など適用できる。更に射出成形においては、通常
のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナー
レスを可能とするホットランナーによって製造すること
も可能である。また射出成形においても、通常の成形方
法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超
高速射出成形、局所高温金型成形、断熱金型成形等を使
用することができる。
【0132】殊に、局所高温金型成形や断熱金型成形
は、成形品表面の状態を導電繊維繊維を含まない場合と
同等の平滑性や、通常の成形法で達し得ない艶消状(凹
凸状態)を達成できる点で好ましい。すなわちこれらの
成形法は製品に必要とされる良好な外観を達成するもの
であり、それにより従来行われていた塗装を省略するこ
とができる。したがって更に効率的なリサイクルを達成
できる。
【0133】本発明の電磁波遮蔽性樹脂組成物は、電子
・電気機器、OA装置、機械装置、車両など幅広い用途
に使用可能である。特に電磁波遮蔽効果が要求されるノ
ートパソコンや携帯型コンピューター、携帯情報端末お
よび壁掛けディスプレーなどのハウジングに代表される
の電子・電気機器の筐体に好適である。
【0134】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示し本発明を具体
的に説明する。本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0135】[実施例1〜14、および比較例1〜9]
表1および表2に記載の樹脂組成物を以下の要領で作成
した。尚、説明は以下の表中の記号にしたがって説明す
る。
【0136】まず成分中にTMP、STまたはPTFE
が含まれる場合には以下に示すPCと予備混合を行っ
た。かかるPCの量はA成分、B成分、C成分およびD
成分の合計100重量%中、10重量%に相当する量と
した。これらの2成分または3成分の混合物をヘンシェ
ル型ミキサーで均一に混合した。
【0137】次に表1および表2に記載の樹脂組成物に
ついては、これらの各成分中B成分(およびB成分以外
の成分)は除き、残りの成分と上記の予備混合物とをV
型ブレンダ−で混合して均一な混合物とした。かかる混
合物を押出機の最後部にある第1投入口から投入した。
一方B成分(およびB成分以外の成分)をシリンダ途中
の第2投入口からサイドフィーダーを用いて投入した。
それぞれの投入量は計量器[(株)クボタ製CWF]に
より精密に計測された。押出機としては径30mmφの
ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XS
ST)を使用した。スクリュー構成はサイドフィーダー
位置以前に第1段のニーディングゾーンを、サイドフィ
ーダー以後に第2段のニーディングゾーンを設けてあっ
た。シリンダ−温度およびダイス温度が280℃、およ
びベント吸引度が3000Paの条件でストランドを押
出し、水浴において冷却した後ペレタイザーでストラン
ドカットを行い、ペレット化した。
【0138】上記で得られたペレットは100℃で5時
間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG−
150U)によりシリンダ−温度290℃、金型温度8
0℃で各評価用試験片を作成し、得られた試験片を用い
て各種評価を実施した。評価結果を表1および表2に示
した。
【0139】また、30%リサイクル試験時の特性評価
方法における乾燥条件、成形機および成形条件はバージ
ンペレットの場合と同じとした。各評価用試験片を作成
後、該試験片を粉砕し、上記で得られたペレット70重
量%と該粉砕品30重量%を混合したものを射出成形し
て再度試験片を作成した。同様の操作を計3回繰返し
“3回目のリプロ品”の試験片の特性を評価した。評価
結果を表1〜2に示した。
【0140】粉砕は横一軸回転せん断式粉砕機(森田精
機工業(株)製)を使用し、スクリーンのメッシュ径5
mm(直径)として行った。得られた粉砕粒の大きさは
2〜5mm径のものが全体の90重量%を占めるもので
あった。
【0141】評価項目は以下の通りである。 (a)電磁波遮蔽効果:一辺150mm、厚み2mmの
試験片を用い、(株)アドバンテスト製のTR−173
01AとR3361Aを併用して電界波(周波数500
MHz)について測定した。 (b)衝撃強さ:ASTM D 256(アイゾットノ
ッチ付き、厚み3.2mm)により測定した。 (c)曲げ弾性率:ASTM D 790により測定し
た(試験片形状:長さ127mm×幅12.7mm×厚
み6.4mm)。
【0142】なお、本発明(a)〜(c)の保持特性の
効果を表す為に、以下の式により各種特性保持率を算出
した。
【0143】各種特性保持率(%)=(30%リサイク
ル試験時の特性値/粉砕品未添加時の特性値)×100 (d)表面固有抵抗:一辺40mm、厚み2mmの試験
片表面に導電性塗料(藤倉化成(株)製ドータイトD−
550)を10mm間隔で塗布し、テスター(KENW
OOD(株)製DL−712)の端子を当て測定を行っ
た。 (e)難燃性:UL規格94Vに従い1.0mm厚にお
ける燃焼試験を実施した。
【0144】また、D成分のTGA5%重量減少温度に
ついては、以下に示す分析法により評価を実施した。 (1)装置:ティー・エイ・インスツルメント製 TG
A2950 (2)試料:20±10mg、白金試料パン 100μ
l (3)測定条件:23℃から20℃/分の昇温速度で昇
【0145】なお、表1、2記載の各成分を示す記号は
下記の通りである。
【0146】(A成分) PC:ポリカーボネート樹脂(ホスゲン法で作成された
ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert
−ブチルフェノールからなるポリカーボネート樹脂。か
かるポリカーボネート樹脂はアミン系触媒を使用せず製
造され、ポリカーボネート樹脂末端中、末端水酸基の割
合は10モル%であり、粘度平均分子量は19,500
であった) ABS:ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 サ
ンタックUT−61) AS:AS樹脂(三井化学(株)製 ライタックA98
0PCU)
【0147】(B成分) Ni−CF:ニッケルコ−ト炭素繊維(東邦レ−ヨン
(株)製ベスファイト MCHTA−C6−US
(I)、直径7.5μm,長さ6mm、エポキシ樹脂と
ウレタン樹脂からなる集束剤) CF:炭素繊維 (東邦レーヨン(株)製ベスファイト
HTA−C6−U、直径7μm、長さ6mm、エポキシ
樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤)
【0148】(C成分) C−1:無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体
(三菱化学(株)製ダイヤカルナPA30M、無水マレ
イン酸の割合として約1meq/g、GPC法により測
定され標準ポリスチレン換算で算出された重量平均分子
量約8,400)
【0149】(D成分) リン−1:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェ
ート)(旭電化工業(株)製アデカスタブFP−50
0、TGA5%重量減少温度=351.0℃) リン−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ
ート)(大八化学工業(株)製CR−741、TGA5
%重量減少温度=335.9℃)(D成分以外の有機リ
ン化合物) リン−3:トリフェニルホスフェート(大八化学工業
(株)製TPP、TGA5%重量減少温度=239.4
℃)
【0150】(E成分) E−1:複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レーヨン
(株)製メタブレンS−2001) E−2:ブタジエンゴム強化−メタクリル酸メチル−ア
クリル酸エチル共重合体(呉羽化学工業(株)製パラロ
イドEXL−2602) E−3:ブタジエン−アクリル酸エステル共重合ゴム強
化−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(呉羽化学
工業(株)製HIA15) (F成分) PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオ
ロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMPA
FA−500)
【0151】(その他) TMP:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)
製 TMP) ST:ホスホナイト系抗酸化剤(サンド社製 サンドス
タブP−EPQ) C.B:カーボンブラック(三菱化学(株)製 カーボ
ンブラック#970) FR−1:ハロゲン系難燃剤(テトラブロモビスフェノ
ールAのカーボネートオリゴマー、帝人化成(株)製フ
ァイヤガードFG7000) FR−2:有機シロキサン(メトキシ基、およびフェニ
ル基を有する有機シロキサン、25℃での粘度48cS
t、信越化学工業(株)製 X40−9243) 赤リン:マイクロカプセル化赤リン(赤リン含有量92
重量%)(燐化学工業(株)製 ノーバエクセル14
0)
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】これらの表から明らかなように、芳香族ポ
リカーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊
維からなる樹脂組成物に対して、ポリカーボネート樹脂
を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊維の密着性を阻害す
る成分と特定の有機リン化合物を併用添加した場合に
は、再生材を混入しても電磁波遮蔽効果および機械的特
性の保持率が高く、リサイクル特性に優れることが分か
る。比較例に見られるようには導電性繊維のみ、ポリカ
ーボネート樹脂を主とする熱可塑性樹脂と導電性繊維の
密着性を阻害する成分単独、あるいは特定の有機リン化
合物単独では、電磁波遮蔽効果および機械的特性の保持
率が低いことから、本発明の効果は顕著であるといえ
る。
【0155】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、成形、粉砕を繰
り返しても優れた電磁波遮蔽効果を有しかつ機械的特性
にも優れていることから、電子機器の筐体を始め幅広い
産業分野で好適であり、本発明で得られた樹脂組成物が
奏する工業的効果は格別なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AE032 BB031 BB171 BC021 BC041 BC071 BD122 BG001 BH011 BN071 BN121 BN161 CB001 CF031 CF051 CF161 CG001 CH022 CH071 CH091 CL001 CM041 CN011 CN031 CP032 DA016 DA076 DA096 DC006 DL006 EA017 EH017 EH047 EP007 EW048 FA046 FB076 FB096 FD177 GR01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂を主とする
    熱可塑性樹脂(A成分)93.95〜20重量%、導電
    性繊維(B成分)5〜50重量%、A成分とB成分の密
    着性を阻害する成分(C成分)0.05〜10重量%、
    およびTGAによる窒素ガス雰囲気中における23℃か
    ら20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5
    %重量減少温度が300℃以上の有機リン化合物(D成
    分)1〜20重量%を含んでなり、それらの合計が10
    0重量%である樹脂組成物であって、その本文中に定義
    する30%リサイクル試験時の電磁波遮蔽効果保持率が
    75%以上である電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記A成分、B成分、C成分およびD成
    分を含んでなる樹脂組成物のバージン材(α成分)10
    0重量部に対して、A成分、B成分、C成分およびD成
    分を含んでなる樹脂組成物の再生材(β成分)5〜10
    0重量部を配合してなる電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 その本文中に定義する電磁波遮蔽効果が
    50dB以上である請求項2に記載の電磁波遮蔽性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 B成分が、金属コート炭素繊維である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 C成分が、カルボキシル基、およびカル
    ボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基
    を有する滑剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の電磁波遮蔽性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載され
    た電磁波遮蔽性樹脂組成物から形成された成形品。
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