JP5900499B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、透明性を維持しつつ、衝撃強度改良剤の配合で耐衝撃性等の機械的物性が改善され、更には、表面硬度も良好な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物と、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品に関するものである。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用部品類や、光ディスク関連の部品などの精密成形品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。特に、家電機器、電子機器、画像表示機器の筐体などにおいては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い商品が得られる。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の改善を目的として、芳香族ポリカーボネート樹脂に衝撃強度改良剤として各種のゴム質重合体を配合することが行なわれており、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐加圧水分解性を損なうことなく耐衝撃性を向上させることができるグラフト共重合体の製造方法の提案もなされている(例えば、特許文献1)。
また、本発明者らは、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する高い耐熱性と透明性を維持しつつ、表面硬度が高い芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供するべく、質量平均分子量が15,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の質量比(b1/b2)が5〜80/20〜95で、質量平均分子量が5,000〜30,000である(メタ)アクリレート共重合体(B)とを、所定の割合で含む樹脂成分に対して、所定量のリン系安定剤と、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提案した(特許文献2)。
特開2008−255240公報 特願2010−162559
芳香族ポリカーボネート樹脂に各種のゴム質重合体を衝撃強度改良剤として配合することにより、耐衝撃性を改善することができるが、衝撃強度改良剤を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の優れた透明性が著しく損なわれるという課題がある。
特許文献2に記載される芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、特定の(メタ)アクリレート共重合体を配合することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂の透明性を損なうことなく表面硬度を改善することができるが、この特許文献2においては、衝撃強度改良剤を配合した場合の透明性についての検討はなされていない。
本発明は、衝撃強度改良剤の配合で耐衝撃性を改善した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、透明性に優れ、かつ表面硬度も良好な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物と、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、衝撃強度改良剤を配合することによる透明性の低下は、樹脂マトリックスと衝撃強度改良剤との屈折率差が大きいことが原因であること、樹脂マトリックスとして芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを特定の割合で用い、かつ衝撃強度改良剤として、この樹脂マトリックスとの屈折率差の小さいものを用いることにより、樹脂マトリックスと衝撃強度改良剤との屈折率差に起因する透明性の低下を防止することができ、しかも(メタ)アクリレート共重合体の配合で表面硬度を高めることができること、を見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 質量平均分子量が15,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)55〜85質量%と、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の質量比(b1/b2)が10〜30/70〜90で、質量平均分子量が5,000〜30,000である(メタ)アクリレート共重合体(B)15〜45質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、衝撃強度改良剤(C)1〜20質量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、前記衝撃強度改良剤(C)が、MBS樹脂、SBS樹脂、及びSEBS樹脂よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記衝撃強度改良剤(C)が、スチレン構造を60〜80質量%含有し、前記樹脂成分の波長589nmでの屈折率をnab、前記衝撃強度改良剤(C)の波長589nmでの屈折率をncとした場合、nabとncが下記式i)を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
式i) −0.01≦nab−nc≦+0.01
] 前記衝撃強度改良剤(C)を構成するモノマーの分子構造中に水酸基を含有しないことを特徴とする[1]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
] さらに、(D)成分として、Eガラス強化材を前記樹脂成分100質量部に対して1〜100質量部含有することを特徴とする[1]又は2]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
] 該樹脂組成物により成形された厚み2mmのプレート試験片について、JIS K-7105に準拠して測定したヘイズ(HAZE)が30%以下であることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
] [1]ないし[]のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物によれば、衝撃強度改良剤を配合することにより、耐衝撃性を改善することができる。しかも、樹脂成分として、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定の(メタ)アクリレート共重合体とを特定の割合で用い、かつ衝撃強度改良剤として、この樹脂成分との屈折率差の小さいものを用いることにより、樹脂マトリックスと衝撃強度改良剤との屈折率差に起因する透明性の低下を防止して、透明性を高く維持することができる上に、(メタ)アクリレート共重合体の配合で表面硬度をも高めることができる。このため、本発明によれば、耐衝撃性等の機械的物性に優れると共に、透明性に優れ、表面硬度が高く、耐傷付き性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品を提供することができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[概要]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、特定の(メタ)アクリレート共重合体(B)と、特定の屈折率を有する衝撃強度改良剤(C)とを特定の割合で含有してなる。また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
本発明によれば、衝撃強度改良剤(C)の配合で耐衝撃性を向上させることができる。また、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の(メタ)アクリレート共重合体(B)とを特定の割合で配合すると共に、衝撃強度改良剤(C)としてこれらの樹脂成分との屈折率差の小さいものを用いることにより、衝撃強度改良剤(C)を配合したことによる透明性の低下の問題を回避して良好な透明性を得ることができる。更には、(メタ)アクリレート共重合体(B)の配合で芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の耐衝撃性や耐熱性などの特性を損なうことなく、表面硬度の向上、即ち耐傷付き性の向上を図ることができる。
なお、ここで、「良好な透明性」とは、後述の実施例の項に記載される方法で測定された2mm厚みの成形品(プレート試験片)のヘイズ(HAZE)が30%以下であることを指すが、用途によってはこのヘイズは20%以下がより好ましく、10%以下であることが最も好ましい。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)(以下「(A)成分」と称す場合がある。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
上述した芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、この一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、成形性、強度等の点から芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリカーボネート(PC)換算の質量平均分子量[Mw]で、15,000〜40,000、好ましくは15,000〜30,000である。この様に、質量平均分子量を15,000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、質量平均分子量を40,000以下とすることで流動性の低下がより抑制されて改善される傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の質量平均分子量は、中でも17,000〜30,000、特に19,000〜27,000であることが好ましい。また質量平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この場合には、質量平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の質量平均分子量は上記範囲となることが望ましい。
[(メタ)アクリレート共重合体(B)]
本発明で使用される(メタ)アクリレート共重合体(B)(以下「(B)成分」と称す場合がある。)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)とを含有する。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方をさす。また、「単位」とは、単量体を共重合させて(メタ)アクリレート共重合体を製造する際に用いられる原料単量体に由来する構造部分をさす。
芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)を構成する単量体である芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有する(メタ)アクリレートのことを言う。芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。(メタ)アクリレート共重合体()が芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)を有することで、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と混合して得られる樹脂組成物の透明性を向上させることができる。
メチル(メタ)アクリレート単位(b2)を構成する単量体は、メチルメタクリレートである。メチル(メタ)アクリレート単位(b2)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)とを良分散させる効果を有し、成形品の表面硬度を向上させることができる。
本発明に係る(メタ)アクリレート共重合体(B)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の質量比(b1/b2)が5〜50/50〜95のもの、即ち、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)5〜50質量%とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)50〜95質量%とを含有するものである(但し、(b1)と(b2)の合計は100質量%である)。(メタ)アクリレート共重合体(B)中の芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)の含有率が5質量%以上でメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の含有率が95質量%以下であれば、(メタ)アクリレート共重合体(B)の高添加領域において透明性が維持され、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)の含有率が50質量%以下でメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の含有率が50質量%以上であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、成形品表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しない。
また、(メタ)アクリレート共重合体(B)の高添加領域において、より一層透明性を維持しつつ高い表面硬度を発現することから、(メタ)アクリレート共重合体(B)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)10〜30質量%及びメチル(メタ)アクリレート単位(b2)70〜90質量%を含有することが好ましい(但し、(b1)と(b2)の合計は100質量%である)。
(メタ)アクリレート共重合体(B)中の芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)の含有率が10質量%以上でメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の含有率が90質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相容性が高過ぎず、成形品表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下せず、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)の含有率が30質量%以下でメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の含有率が70質量%以上であれば、(メタ)アクリレート共重合体(B)の高添加領域において透明性が維持される。
また、(メタ)アクリレート共重合体(B)の質量平均分子量は、5,000〜30,000であり、10,000〜25,000が好ましく、13,000〜20,000が特に好ましい。(メタ)アクリレート共重合体(B)の質量平均分子量が5,000〜30,000において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が良好であり、表面硬度の向上効果に優れる。
なお、(メタ)アクリレート共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、溶媒としてクロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定を行うことができる。なお、分子量はポリスチレン(PS)換算の値である。
本発明で用いる(メタ)アクリレート共重合体(B)を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、添加剤としては、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
[樹脂成分]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂成分として芳香族ポリカーボネート樹脂(A)55〜85質量%と、(メタ)アクリレート共重合体(B)15〜45質量%とを含有する(但し、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計で100質量%である。)。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、(メタ)アクリレート共重合体(B)との質量割合は、より好ましくは(A)成分が60〜85質量%に対し、(B)成分15〜40質量%であり、特に好ましくは(A)成分65〜80質量%に対し、(B)成分20〜35質量%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との質量割合が上記範囲内であることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に対して(メタ)アクリレート共重合体(B)を配合することによる、透明性を維持しつつ物性バランスを保ち、表面硬度を向上させることができる、という効果を確実に得ることができると共に、樹脂成分の屈折率を、衝撃強度改良剤(C)として好適な各種の成分、更には、必要に応じて配合されるEガラス強化材(D)の屈折率に近似させて、衝撃強度改良剤(C)、更にはEガラス強化材(D)を配合した上で高い透明性を得ることができる。
なお、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、樹脂成分として、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)以外の他の樹脂成分を含有していてもよい。配合し得る他の透明性樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、(A)成分以外のポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られ、好ましくは、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)とを特定の割合で用いることによる本発明の効果を得るために、特に衝撃強度改良剤(C)、更にはEガラス強化材(D)の屈折率に近似した屈折率の樹脂マトリックスを形成するために、これらの他の透明性樹脂成分は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計100質量部に対して20質量部以下とすることが好ましい。
[衝撃強度改良剤(C)]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)からなる樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部の衝撃強度改良剤(C)を含むことを特徴とするものであり、特定量の衝撃強度改良剤(C)の配合で、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を改善する。
本発明に用いる衝撃強度改良剤(C)は、ガラス転移温度が0℃以下、中でも−20℃以下のゴム性重合体又はこれと共重合可能な単量体成分を共重合した共重合体であり、一般に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に配合されて、その耐衝撃性を改良し得るものであって、その屈折率が後述の式i)を満たすものであればよく、従来公知の任意のものの中から選択して使用することができる。
ただし、衝撃強度改良剤(C)が水酸基を有すると、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を加水分解させて分子量を低下させ、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の物性を低下させるため、衝撃強度改良剤(C)は、これを構成するモノマーの分子構造中に水酸基を含有しないものであることが好ましい。
衝撃強度改良剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム;ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム等)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」を意味し、後述の「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」を意味する。
かかる衝撃強度改良剤に必要に応じ共重合される単量体成分としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物及びそれらの無水物、例えば無水マレイン酸等を挙げることができる。これらの単量体成分についても、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性の改良には、中でも、ポリカーボネート樹脂組成物中への分散性および相溶性の観点から、コア/シェル型グラフト共重合体タイプの衝撃強度改良剤を用いることが好ましい。とりわけブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレート含有ゴム、2−エチルヘキシルアクリレート含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム性重合体をコア層とし、その周囲に、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及び芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を共重合して形成されたシェル層からなるコア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。より具体的には、スチレン−ブタジエン重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPN(interpenetrating polymer network)ゴム)重合体等の、シェル層がポリメチルメタクリレート(PMMA)系重合又は共重合体ブロックからなるコア/シェル型エラストマーを挙げることができる。
コア/シェル型エラストマーの体積平均粒子径は、0.15μm〜0.35μmが好ましい。体積平均粒子径が0.15μmより小さいと衝撃強度改善効果が得られず、一方0.35μmより大きいと透明性が低下する。
ゴム性重合体にこれと共重合可能な単量体成分とを共重合したゴム性重合体のその他の具体例としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)等が挙げられる。
本発明においては、このような衝撃強度改良剤のうち、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)からなる樹脂成分の波長589nmでの屈折率をnab、衝撃強度改良剤(C)の波長589nmでの屈折率をncとした場合、nabとncが下記式i)を満足する衝撃強度改良剤(C)を用いる。
式i) −0.01≦nab−nc≦+0.01
上記nab−ncが−0.01未満であったり、0.01を超えると、樹脂マトリックスと衝撃強度改良剤(C)との屈折率差が大きく、透明性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができない。nab−ncは、0に近い程好ましく、−0.008≦nab−nc≦0.008であることが好ましく、−0.005≦nab−nc≦0.005であることがより好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の屈折率は、通常1.58程度、(メタ)アクリレート共重合体(B)の屈折率は、通常1.51程度であり、これらを本発明で規定される範囲内で混合してなる樹脂成分の屈折率は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との混合割合によっても異なるが、通常1.54〜1.57程度であることから、衝撃強度改良剤(C)の屈折率は1.53〜1.58、特に1.56〜1.57の範囲内のものであることが好ましい。
前述の衝撃強度改良剤のうち、屈折率の調整が比較的容易で、本発明で用いる樹脂成分の屈折率と同等の屈折率のものを製造することが容易であることから、衝撃強度改良剤(C)としては、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物との相溶性の良好なMBS樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂を用いることが好ましく、これらは、樹脂を構成するモノマー成分の構成比率を調整することにより、その屈折率を容易に制御することができる。
これらの樹脂を構成するモノマー成分のうち、スチレンの屈折率は1.595程度、ブタジエンの屈折率は1.515程度、(メタ)アクリル化合物の屈折率は1.494程度であることから、本発明で用いる衝撃強度改良剤(C)は、通常、スチレン構造を50質量%以上、特に60〜80質量%程度含有することにより、樹脂成分の屈折率に近似した屈折率のものとすることができ、好ましい。スチレン構造を80質量%より多く含有する場合、耐衝撃性が大きく低下するため、衝撃強度改良剤(C)のスチレン構造の含有量は80質量%以下が好ましい。
なお、衝撃強度改良剤(C)の樹脂を構成するモノマー成分の構成比率を調整してMBS樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂等の衝撃強度改良剤(C)を製造するには、常法に従って行うことができるが、例えば、特開2008−255240公報に記載の方法を採用することができる。
これらの衝撃強度改良剤(C)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、衝撃強度改良剤(C)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計100質量部に対して1〜20質量部の範囲で、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の用途による要求性能や用いる衝撃強度改良剤(C)の種類によって適宜調整される。衝撃強度改良剤(C)の配合量が上記下限よりも少ないと衝撃強度改良剤(C)を配合したことによる耐衝撃性の向上効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと表面硬度が低下する傾向にある。好ましい衝撃強度改良剤(C)の配合量は芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計100質量部に対して2〜15質量部であり、より好ましくは3〜10質量部であり、特に好ましくは4〜8質量部である。
[(D)成分]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、(D)成分としてEガラス強化材(以下「Eガラス強化材(D)」と称す場合がある。)を含有していてもよく、Eガラス強化材(D)の配合で弾性率、曲げ強度、耐衝撃性、機械物性の更なる向上を図ることができる。Eガラス強化材(D)は、Eガラスからなるガラス強化材であり、ガラス強化材がEガラスからなることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)とからなる樹脂マトリックスとの屈折率差を極く小さくして、Eガラス強化材(D)を配合したことによる透明性の低下を防止して、透明性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、Eガラスとは、以下のような成分組成の無アルカリガラスであり、その屈折率は通常1.545〜1.562程度である。
<Eガラス組成:質量%>
SiO:52〜56
Al:12〜16
Fe:0〜0.4
CaO:16〜25
MgO:0〜6
:5〜13
TiO:0〜0.5
O(NaO+KO):0〜0.8
一方、前述の如く、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の屈折率は通常1.58程度で(メタ)アクリレート共重合体(B)の屈折率は通常1.51程度であるため、これらを本発明で規定される範囲内で混合してなる樹脂マトリックスの屈折率は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との混合割合によっても異なるが、通常1.54〜1.57程度であり、Eガラスの屈折率に略等しい屈折率に調整可能である。
なお、透明性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るために、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の樹脂マトリックス(この樹脂マトリックスには、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)と必要に応じて配合される前述の他の透明性樹脂が含まれる。)の屈折率とEガラス強化材(D)の屈折率との差は0.02以下、特に0.01以下であることが好ましい。
本発明で用いるEガラス強化材(D)の形状に特に制限はなく、粒状(即ち、粒状ガラス)、繊維状(即ち、ガラス繊維、このガラス繊維には、「ミルドファイバー」も包含される。)、フレーク状(即ち、ガラスフレーク)のいずれであってもよいが、好ましくは、弾性率、曲げ強度、耐衝撃性等の改善効果に優れ、透明性にも優れた樹脂組成物が得られることから、ガラス繊維(ミルドファイバーを含む)又はガラスフレークが用いられる。
粒状ガラスの形状は、球状、サイコロ状等のいずれでもよいが、好ましくは真球度(最大直径と最小直径との比)が1に近い、真球度の高い粒状ガラス(ガラスビース)であり、その平均粒径は1〜100μmであることが好ましい。粒状のEガラス強化材(D)の平均粒径が1μm未満であると配合時に飛散するなど取り扱い性が劣り、組成物中に均一に分散させることが困難となり、一方、平均粒径が100μmより大きいものを使用すると得られる成形品の外観が損なわれ易く、補強効果も不十分になり易い。
この粒状ガラスは、後述の(E)成分等の表面処理剤により表面処理されたものであってもよく、このような表面処理により、樹脂成分と粒状ガラスとの接着性が向上し、高い透明性と機械的強度を達成することができるようになる。
ガラス繊維としては、連続的に巻き取った「ガラスロービング」やこれを長さ1〜10mmに切りそろえた「チョップドストランド」であってもよく、長さ10〜500μm程度に粉砕した「ミルドファイバー」であってもよく、これらを併用してもよい。
ガラス繊維チョップドストランドとは、ガラス単繊維(フィラメント)を数十本から数千本束ねたガラス繊維(ストランド)を所定の長さに切断したものであり、ガラス繊維を長さ方向に直角に切断した場合の断面形状が、通常、真円状又は多角形状となるものである。
ガラス繊維チョップドストランドとしては、円柱状や角柱状等の略柱状の形状を有するものであって、その平均繊維径が1〜25μm、特に8〜15μmであり、長軸方向の平均繊維長さが1〜10mm、特に2〜5mmのものが好ましく用いられる。
平均繊維径が1μm未満のチョップドストランドでは、嵩密度が小さく、ガラス繊維の均一分散性が低下し、成形加工性が損なわれる傾向にある。また、平均繊維径が25μmより大きいと、成形品の外観が損なわれ、補強効果が不十分となる傾向がある。また、平均繊維長さが短か過ぎるものは補強効果が不十分であり、長過ぎるものは混練時の作業性や成形加工性が損なわれるため好ましくない。
本発明におけるガラス繊維チョップドストランドは、後述の(E)成分等の表面処理剤により表面処理されたものであってもよく、このような表面処理により、単繊維が収束するとともに繊維の表面に潤滑性が与えられ、繊維表面の損傷が防止され、また、ガラス繊維と樹脂成分との接着性が向上し、高い透明性と機械的強度が達成されるようになる。
ガラス繊維ミルドファイバーとは、上述したガラス繊維(ストランド)を粉砕したものであり、円柱状や角柱状等の略柱状の形状を有し、その平均繊維径は1〜25μm、好ましくは5〜15μmであり、平均繊維長さは1〜500μm、好ましくは10〜300μm、更に好ましくは20〜200μmのものが好ましい。
平均繊維径が1μm未満の短繊維のミルドファイバーでは、成形加工性が損なわれ、また、平均繊維径が25μmより大きいと、成形品の外観が損なわれ、補強効果が不十分となる傾向がある。
このミルドファイバーについても、後述の(E)成分等の表面処理剤で表面処理したものを用いることにより、樹脂成分との接着性を改良して、樹脂組成物の透明性や機械的物性をより一層高めることができる。
ガラスフレークとは、通常、平均粒径が10〜4000μm、平均厚みが数μmで、アスペクト比(平均最大径/平均厚みの比)が2〜200程度の鱗片状のガラス粉末である。本発明で用いるガラスフレークは、平均粒径2000μm以下、特に500〜1500μmで、平均厚みが1〜10μm、特に2〜6μmでアスペクト比が10〜180、特に50〜150のものが好ましい。
ガラスフレークの平均粒径が2000μmを超えるものは、樹脂組成物の各成分を配合する際に分級を起こすため、樹脂成分との均一分散が困難となり、また成形品に斑を生じる傾向がある。ただし、平均粒径が小さ過ぎると補強効果が不十分である。また、平均厚みが薄過ぎると強度不足で混練中に破砕しやすく、厚過ぎると補強効果が不十分となったり成形加工性が損なわれるため好ましくない。
このガラスフレークについても、ガラス繊維の場合と同様に、樹脂成分との接着性を改良するために、後述の(E)成分等の表面処理剤で表面処理したものを使用してもよい。
なお、本発明において、粒状ガラスの粒径、ガラスフレークの粒径とは、粒状ガラス又はガラスフレークを2枚の平行な板で挟んだときに、この2枚の板の距離が最も大きくなるときの当該距離に相当する長さをさす。また、ガラス強化材の平均繊維径、平均繊維長さ、平均粒径、平均厚みは、ガラス強化材をガラス上に極力重ならないように広げ、光学顕微鏡により40〜100倍で観察し、撮影をした後、任意に選択した1000個のガラス強化材の各々について、最大直径や長さ等をノギスにて測定し、加算平均をとることにより求めることができる。これらの値として、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
本発明において、Eガラス強化材(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、平均粒径や形状の異なる粒状ガラスの2種以上を併用してもよく、平均繊維径や平均長さなどの異なるガラス繊維(ミルドファイバーを含む)の2種以上を併用してもよく、平均粒径や、平均厚さ、アスペクト比の異なるガラスフレークの2種以上を併用してもよく、1種又は2種以上の粒状ガラスと、1種又は2種以上のガラス繊維(ミルドファイバーを含む)とを組み合わせて用いたり、1種又は2種以上の粒状ガラスと、1種又は2種以上のガラスフレークとを組み合わせて用いたり、1種又は2種以上のガラスフレークと、1種又は2種以上のガラス繊維(ミルドファイバーを含む)とを組み合わせて用いたり、1種又は2種以上の粒状ガラスと、1種又は2種以上のガラス繊維(ミルドファイバーを含む)と、1種又は2種以上のガラスフレークとを組み合わせて用いたりしてもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物がEガラス強化材(D)を含む場合、その配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計100質量部に対して1〜100質量部の範囲で、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の用途による要求性能や用いるEガラス強化材(D)の種類によって適宜調整されることが好ましい。Eガラス強化材(D)の配合量が上記下限よりも少ないとEガラス強化材(D)を配合したことによる機械的物性の向上効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと成形性が損なわれる傾向にある。好ましいEガラス強化材(D)の配合量は芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)との合計100質量部に対して2〜80質量部であり、より好ましくは5〜50質量部である。
[(E)成分]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、特にEガラス強化材(D)を含む場合において、(E)成分として、下記式(1)で表される有機シラン化合物(E−1)及び/又はシリコーン化合物(E−2)を含有していてもよい。
(RO)pSiR 4-p …(1)
(式中、R及びRは有機基を表し、pは1〜4の整数を表す。)
及びRで表される有機基としては、脂肪族、芳香族及び脂環式の各種の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基はエチレン性不飽和結合を有していても良く、また内部にエーテル結合やエステル結合などを含有していても良く、更にはエポキシ基、アミノ基などの反応性の官能基を有していても良い。
好ましくはRは、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜12の芳香族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜16のエチレン性不飽和結合を有する炭化水素基、又は炭素数3〜15のエポキシ基を有する炭化水素基である。特に好ましいのはRが炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、Rが炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基であるものである。
この有機シラン化合物(E−1)は、R及びRをそれぞれ1個以上有するものが好ましく、従って、pは好ましくは1〜3である。
炭素数6〜12の芳香族若しくは脂環式炭化水素基としては、フェニル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、デシル基などが挙げられ、炭素数2〜16のエチレン性不飽和結合を有する炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基更にはメタクリロキシプロピル基、アクリロシキプロピル基などの内部にエステル結合を有するものが挙げられ、炭素数3〜15のエポキシ基を有する炭化水素基としては、3,4−エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシプロピル基などが挙げられる。
本発明で用いる有機シラン化合物(E−1)の具体例としては、トリメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらの有機シラン化合物(E−1)は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明に用いるシリコーン化合物(E−2)としては、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類、及びオルガノポリシロキサン類のいずれであっても良い。また、その分子量についても特に制限されず、オリゴマー及びポリマーのいずれの群に属するものであっても良い。より具体的には、特公昭63−26140号公報に記載されている式(イ)〜式(ハ)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサン類、及び特公昭63−31513号公報に記載されている式で表される炭化水素オキシシロキサン類などが好ましい。(E)成分として用いるシリコーン化合物は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類から選択されるのが好ましい。例えば、下記式(2)を繰り返し単位とするポリシロキサン、ならびに下記式(3)又は(4)で表される化合物を用いるのが好ましい。
(R)α(H)βSiO …(2)
(上記式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、α及びβの合計は2である。)
Figure 0005900499
(上記式中、A及びBは各々以下の群から選ばれる基であり、rは1〜500の整数である。)
Figure 0005900499
Figure 0005900499
(上記式中、A及びBは前記式(3)中におけるそれぞれと同義であり、tは1〜50の整数である。)
シリコーン化合物(E−2)としては市販品のシリコーンオイル、例えば、SH1107(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製品)を用いることができる。
これらのシリコーン化合物(E−2)は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、本発明では、(E)成分として、有機シラン化合物(E−1)の1種又は2種以上とシリコーン化合物(E−2)の1種又は2種以上とを併用しても良い。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物がEガラス強化材(D)と共に上記(E)成分を含む場合、(E)成分はEガラス強化材(D)に対して0.5〜3質量%、特に1〜10質量%の範囲で含むことが好ましい。
(E)成分は、Eガラス強化材(D)の表面の活性点を被覆して樹脂成分の劣化を防止し、また、Eガラス強化材(D)と樹脂マトリックスとの密着性を高めて透明性や機械的物性をより一層高める機能を発揮するが、(E)成分の配合量が少な過ぎると、この効果を十分に得ることができず、得られる樹脂組成物の透明性が低下し、さらに、熱安定性や機械的強度、色相、耐熱性及び耐湿熱性も低下する。逆に(E)成分の配合量が多過ぎると溶融混練時にガスが発生し、モールドデポジットの原因となりやすい。
なお、一般に有機シラン化合物(E−1)よりもシリコーン化合物(E−2)の方が少量で効果を発現するので、(E)成分としてシリコーン化合物(E−2)を用いる場合には、Eガラス強化材(D)に対し1〜6質量%とすることが好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、リン系熱安定剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、難燃剤、滴下防止剤などが挙げられる。
<リン系熱安定剤(F)>
リン系熱安定剤(F)は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。
本発明で用いるリン系熱安定剤(F)としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイトテトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好であることと加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
これらのリン系熱安定剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物がリン系熱安定剤(F)を含む場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.003質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、通常0.1質量部以下、好ましくは0.08質量部以下、より好ましくは0.06質量部以下である。リン系熱安定剤(F)の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、熱安定効果が不十分となる可能性があり、リン系熱安定剤(F)の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
<離型剤(G)>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(G)を含有していてもよく、離型剤(G)としては、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物が好適に用いられる。
フルエステル化物を構成する脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
一方、フルエステル化物を構成する脂肪族アルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
なお、上記脂肪族アルコールと上記脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物は、そのエステル化率が必ずしも100%である必要はなく、80%以上であればよい。本発明にかかるフルエステル化物のエステル化率は好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
本発明で用いる脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物は、特に、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物の1種又は2種以上と、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物の1種又は2種以上とを含有することが好ましく、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物と、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物との併用により、離型効果を向上させると共に溶融混練時のガス発生を抑制し、モールドデポジットを低減させる効果が得られる。
モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸のフルエステル化物としては、ステアリルアルコールとステアリン酸とのフルエステル化物(ステアリルステアレート)、ベヘニルアルコールとベヘン酸とのフルエステル化物(ベヘニルベヘネート)が好ましく、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物としては、グリセリンとステアリン酸とのフルエステル化物(グリセリントリステアリレート)、ペンタエリスリトールとステアリン酸とのフルエステル化物(ペンタエリスリトールテトラステアリレート)が好ましく、特にペンタエリスリトールテトラステアリレートが好ましい。
なお、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物等の離型剤(G)を含有する場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して通常2質量部以下であり、好ましくは1質量部以下である。離型剤(G)の含有量が多過ぎると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。
離型剤(G)として、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物と、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物とを併用する場合、これらの使用割合(質量比)は、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物:多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物=1:1〜10とすることが、これらを併用することによる上記の効果を確実に得る上で好ましい。
<酸化防止剤(H)>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって酸化防止剤(H)を含有することが好ましい。酸化防止剤(H)を含有することで、色相劣化や、熱滞留時の機械物性の低下が抑制できる。
酸化防止剤(H)としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、チバ社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、アデカ社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、酸化防止剤(H)は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が酸化防止剤(H)を含有する場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.0001質量部以上、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。酸化防止剤(H)の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤(H)の含有量が上記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
<紫外線吸収剤(I)>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって紫外線吸収剤(I)を含有することが好ましい。紫外線吸収剤(I)を含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性を向上させることができる。
紫外線吸収剤(I)としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−n−ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられ、このようなベンゾフェノン化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、共同薬品社製「バイオソーブ100」、「バイオソーブ110」、「バイオソーブ130」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ10」、「ケミソーブ11」、「ケミソーブ11S」、「ケミソーブ12」、「ケミソーブ13」、「ケミソーブ111」、BASF社製「ユビヌル400」、BASF社製「ユビヌルM−40」、BASF社製「ユビヌルMS−40」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV9」、「サイアソーブUV284」、「サイアソーブUV531」、「サイアソーブUV24」、アデカ社製「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA−51」等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられ、このようなサリシレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられ、このようなシアノアクリレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ501」、共同薬品社製「バイオソーブ910」、第一化成社製「ユビソレーター300」、BASF社製「ユビヌルN−35」、「ユビヌルN−539」等が挙げられる。
オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられ、このようなオキザリニド化合物としては、具体的には例えば、クラリアント社製「サンデュボアVSU」等が挙げられる。
マロン酸エステル化合物としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。このようなマロン酸エステル化合物としては、具体的には例えば、クラリアントジャパン社製「PR−25」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「B−CAP」等が挙げられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が紫外線吸収剤(I)を含有する場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.4質量部以下である。紫外線吸収剤(I)の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤(I)の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
なお、紫外線吸収剤(I)は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
<染顔料>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって染顔料を含有していてもよい。染顔料を含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の隠蔽性、耐候性を向上できるほか、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる成形品のデザイン性を向上させることができる。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が染顔料を含有する場合、その含有量は、必要な意匠性に応じて適宜選択すればよいが、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。染顔料の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、着色効果が十分に得られない可能性があり、染顔料の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
<帯電防止剤>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤は特に限定されないが、好ましくは下記一般式(5)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩である。
Figure 0005900499
(一般式(5)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、置換基を有していても良く、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
前記一般式(5)中のRは、炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であるが、透明性や耐熱性、ポリカーボネート樹脂への相溶性の観点からアリール基の方が好ましく、炭素数1〜34、好ましくは5〜20、特に、10〜15のアルキル基で置換されたアルキルベンゼン又はアルキルナフタリン環から誘導される基が好ましい。また、一般式(5)中のR〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくは炭素数2〜8のアルキルであり、更に好ましくは3〜6のアルキル基であり、特に、ブチル基が好ましい。
このようなスルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が帯電防止剤を含有する場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0質量部、更に好ましくは0.3〜2.0質量部、特に好ましくは0.5〜1.8質量部である。帯電防止剤の含有量が0.1質量部未満では、帯電防止の効果は得られず、5.0質量部を超えると透明性や機械的強度が低下し、成形品表面にシルバーや剥離が生じて外観不良を引き起こし易い。
<難燃剤・滴下防止剤>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤、滴下防止剤を含有していてもよい。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムなどの有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤等が挙げられ、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物がリン酸エステル系難燃剤を含有する場合、リン酸エステル系難燃剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜25質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。リン酸エステル系難燃剤の含有量が、上記下限未満では難燃性が十分でない場合があり、逆に上記上限を超えると耐熱性が十分でない場合がある。
また、滴下防止剤としては、例えばポリフルオロエチレンなどのフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、好ましくはフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。これは、重合体中に容易に分散し、且つ、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン(登録商標)6J又はテフロン(登録商標)30Jとして、又はダイキン工業(株)よりポリフロン(商品名)として市販されている。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が滴下防止剤を含有する場合、滴下防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.02〜4質量部、さらに好ましくは0.03〜3質量部である。滴下防止剤の配合量が上記上限を超えると成形品外観の低下が生じる場合がある。
<その他の成分>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、摺動性改質剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などの各種樹脂添加剤などが挙げられる。これらの樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用することができる。
その具体例を挙げると、本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、(メタ)アクリレート共重合体(B)、衝撃強度改良剤(C)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの各種混合機を用いて予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
中でも、(D)成分(Eガラス強化材(D))を用いる場合、(D)成分と(E)成分を予め混合して(D)成分の表面に(E)成分を付着させた後、(A)成分、(B)成分及び必要に応じて配合される添加成分を混合する方法が、(D)成分の表面活性を効果的に抑制し、樹脂組成物中で不必要な副反応を生じさせないという観点から、より好ましい混合方法である。特に好ましいのは有機シラン化合物等の(E)成分を溶媒に溶解した溶液と(D)成分とを混合し、次いで溶媒を蒸発させて(D)成分の表面に(E)成分を被覆したものと、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じて配合される添加成分を混合する方法である。
この場合、(E)成分を溶解する溶媒としては、水あるいは、アルコール、アセトン等の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。また、この溶液中には(E)成分の(D)成分表面への結合反応を促進するために、乳酸、酢酸、リン酸等の1種又は2種以上の酸成分を0.05〜1質量%程度の濃度に添加しても良いが、酸成分を添加する場合には弱酸を用いることが好ましい。(E)成分溶液中の(E)成分の濃度は通常0.01〜20質量%の範囲で、(D)成分への付着量に応じて適宜調整される。上記の溶媒を蒸発させるには、40〜100℃に加熱すれば良く、この際、減圧条件としても良い。
上記方法で各成分を予め混合した後、溶融混練する方法としてはバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを使用する方法が挙げられる。
[芳香族ポリカーボネート樹脂成形品]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して芳香族ポリカーボネート樹脂成形品として用いる。この成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、特に限定されず、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
特に、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物がEガラス強化材(D)を含む場合、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて本発明の成形品を成形するには、キャビティ内の成形面が熱伝導率0.3〜6.3W/m・Kの材料で構成された金型(以下、この金型を「断熱金型」と称す場合がある。)を用いて成形することが好ましく、このような断熱金型を用いることにより、成形時の金型キャビティ内の樹脂組成物の急冷による成形品表面へのEガラス強化材(D)の浮き上がりを防止し、成形品の表層に透明な樹脂層を形成し、金型面の転写性を向上させることにより、透明性を高めると共に成形品外観をより一層良好なものとすることができる。
このような断熱金型としては、好ましくはキャビティ内の成形面であって、樹脂成形品の外面の輪郭構成面のうちの少なくとも最大面に相当する成形面が熱伝導率0.3〜6.3W/m・Kの材料で構成されている金型であり、例えば、キャビティの内面を上記の熱伝導率を有する各種の材料、例えば、ジルコニア系材料、アルミナ系材料、KO−TiOの群から選択される各種のセラミックス、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスの群から選択される各種のガラス等の被覆材で被覆したものを用いることができる。上記のセラミックスの具体例としては、ZrO、ZrO−CaO、ZrO−Y、ZrO−MgO、ZrO−SiO、KO−TiO、Al、Al−TiC、Ti、3Al−2SiO、MgO−SiO、2MgO−SiO、MgO−Al−SiO等が挙げられ、被覆材としてはZrO、ZrO−Y、石英ガラス、結晶化ガラスの群から選択される何れかの材料が好ましい。
被覆材の構造は、材料の種類に応じ、例えば、塗布構造、溶射構造、貼付構造(すなわち入れ子タイプ)の何れであってもよい。
被覆材の厚さは、熱伝導率や上記の構造にも依存するが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmである。また、被覆材の表面粗さは、Rzとして通常0.01〜15μmである。
さらには、金型表面層の耐傷付き性を向上させ、表面硬度を上げるために金属層を設けることが出来る。この場合、この金属層は、Cr、Cr合金等のCr材料、Cu、Cu合金等のCu材料、Ni及びNi合金等のNi材料から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、該金属層は、1層から構成してもよいし、複数層から構成してもよい。Cr合金として、具体的には、ニッケル−クロム合金を挙げることができる。また、Cu合金として、具体的には、銅−亜鉛合金、銅−カドミウム合金、銅−錫合金を挙げることができる。更には、Ni合金として、具体的には、ニッケル−リン合金(Ni−P系合金)、ニッケル−鉄合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−鉄−リン合金(Ni−Fe−P系合金)、ニッケル−コバルト−リン合金(Ni−Co−P系合金)を挙げることができる。金属層に高い耐擦傷性が要求される場合には、例えば、金属層をクロム(Cr)材料で構成することが好適である。一方、金属層に耐擦傷性はさほど要求されないが、厚さが必要とされる場合には、例えば、金属層を銅(Cu)材料で構成することが好適である。更には、金属層に耐擦傷性も或る程度要求され、しかも、厚さも必要な場合には、例えば、金属層をニッケル(Ni)材料で構成することが好適である。更に、金属層に厚さが必要とされ、しかも、表面硬度が必要とされる場合には、金属層を2層構成とし、例えば、下層を銅(Cu)材料あるいはニッケル(Ni)材料で構成して所望の厚さとし、厚さの調整を行い、一方、上層を薄いクロム(Cr)材料で構成することが好ましい。
このようにして製造される本発明の成形品の適用例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、本発明の成形品は、その優れた透明性、表面硬度及び耐衝撃性等の機械的物性から、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適であり、電気電子機器、照明機器の部品、シート部材に用いて特に好適である。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、カーナビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。なかでも、テレビ、パソコン、カーナビ、電子ペーパー等の筐体の意匠性部品等に好適に用いることができる。
前記の照明機器の部品としては、LED照明、EL照明等のカバー等に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例及び比較例で用いた測定・評価法並びに使用材料は、以下の通りである。
[測定・評価法]
<質量平均分子量(Mw)の測定・算出>
まず、標準ポリマーとしてポリスチレン(PS)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件にて平均分子量の測定を行った。
装置;Waters社製Alliance
カラム;昭和電工製「Shodex K−805L」(2本)
検出器;UV検出器 254nm
溶離液;クロロホルム
次いで、GPC測定後、ユニバーサルキャリブレーション法により溶出時間とポリカーボネート(PC)の分子量の関係を求めて検量線とした。PCの溶出曲線(クロマトグラム)を検量線の場合と同一の条件で測定し、溶出時間(分子量)とその溶出時間のピーク面積(分子数)とから質量平均分子量を求めた。
質量平均分子量(Mw)は分子量Miの分子数をNiとすると
Mw=Σ(NiMi2)/Σ(NiMi)
で表される。
換算式としては以下の計算式を使用した。計算式中、MPCはPCの分子量、MPSは
PSの分子量を示す。計算式は、以下の極限粘度[η]と分子量Mの関係を表したMark−Houwinkの式から求めたものである。ただし、K、αの値は、PSの場合、K:1.11×10−4,α:0.725、PCの場合、K:3.89×10−4,α:0.700の値を使用した。
MPC=0.47822MPS1.01470
MPS=2.0689MPC0.98551
[η]=KMα
そして、ポリカーボネートの溶出曲線(クロマトグラム)を検量線の場合と同一の条件で測定し、溶出時間(分子量)とその溶出時間のピーク面積(分子数)とから質量平均分子量を求めた。
(メタ)アクリレート共重合体については、溶離液としてTHFを用い、カラムに東ソー製「TSKgel SuperHZM−M (4本)」を用い、PSの検量線から算出した。
<屈折率評価>
(A)成分及び(B)成分を混合してなる樹脂成分ならびに(C)成分である衝撃強度改良剤の屈折率の測定は、Metricon社のModel2010プリズムカプラー測定器を用いて行った。
樹脂成分の試験片は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と(メタ)アクリレート共重合体(B)よりなる樹脂成分のみを用い、後述の<厚み2mmのプレート試験片の作製>の<Eガラス強化材(D)を含まない芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の場合>の方法で成形した厚み2mmのプレート試験片を用いた。一方、衝撃強度改良剤(C)の試験片は、衝撃強度改良剤(C)の各種ゴム材料を260℃で溶融プレス成形して得た厚み1.2mmのフイルムを用いた。いずれの試験片も、測定前に23℃、50%RH、48時間以上の環境で状態調節を行った。屈折率測定条件は、bulk/substrateモードにて、3点の屈折率(473nm、633nm、826nm)の測定を行い、Cothyの式から波長589nmの屈折率(nd)を算出した。結果を表1〜表5に示す。なお、表中、樹脂成分ならびに衝撃強度改良剤(C)の波長589nmでの屈折率をそれぞれ、nab、ncと表記する。
<流動性評価>
樹脂組成物のペレットを100℃で4時間以上乾燥した後、高荷式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cc/sec)を測定して、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。結果を表2〜表4に示す。なお、表中、「流動性」と表記する。
<透明性評価>
JIS K−7105に準拠し、2mm厚みのプレート試験片について、日本電色工業(株)製のNDH−2000型ヘイズメーターでヘイズ値(単位:%)を測定した。ヘイズ(Haze)は、樹脂の濁度の尺度として用いられる値であり、数値が小さい程、透明性が高いことを示し、好ましい。結果を表2〜表5に示す。なお、表中、「Haze」と表記する。
<衝撃強度評価>
<シャルピー衝撃強度>
シャルピー衝撃強度の評価は、ノッチなしシャルピー衝撃試験(ISO−179に準じたエッジワイズ衝撃試験)にて行った。測定は、幅10mm、厚み3mmのシャルピー衝撃試験片を用い、15Jの錘を用いて行った。試験片が破壊を伴わず変形だけのものをNBと表記した。結果を表2〜表4に示す。なお、表中「シャルピー衝撃強度」と表記する。
<面衝撃強度>
ガラス繊維で強化した樹脂組成物の面衝撃強度の評価として、JISK7211に準拠したパンクチャー面衝撃試験を行った。試験片は、縦100mm×横100mm、厚み2mmのプレート試験片を用いた。結果を表5に示す。なお、表中「面衝撃強度」と表記する。
<表面硬度評価>
2mm厚みのプレート試験片に、JIS K5400に準じ、5回の引掻き試験を行って硬度の評価を行った。結果を表2〜表5に示す。なお、表中、「鉛筆硬度」と表記する。
[使用材料]
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
(A−1)三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品名「ユーピロン(登録商標)E−2000」、質量平均分子量:35,500、鉛筆硬度:3B
(A−2)三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品名「ユーピロン(登録商標)S−3000」、質量平均分子量:26,800、鉛筆硬度:3B
<(メタ)アクリレート共重合体(B)>
温度計、窒素導入管、還流冷却管、及び攪拌装置を備えた加温可能な反応容器中に、脱イオン水200部、以下の分散剤0.3部、硫酸ナトリウム0.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部、フェニルメタクリレート15部、メチルメタクリレート84部、メチルアクリレート1部、n−オクチルメルカプタン1.8部を仕込み、反応容器内を窒素で置換し、80℃に昇温した。4時間攪拌後、得られたビーズ状の重合体を水洗、乾燥し、(メタ)アクリレート共重合体(B)を得た。この(メタ)アクリレート共重合体(B)の鉛筆硬度は2Hであり、質量平均分子量は15,000であった。
分散剤:カリウムメタクリレート70部、メチルメタクリレート30部を共重合した重合体と、ナトリウム2−スルホエチルメタクリレート65部、カリウムメタクリレート10部、及びメチルメタクリレート25部を共重合した重合体とを、質量比1:1で混合し、この混合した重合体の10%水溶液を分散剤として用いた。
<衝撃強度改良剤(C)>
(C−1)(C−2)(C−3):ポリ(ブタジエン・スチレン/スチレン)共重合物からなるコア/シェル型グラフト共重合体
(C−4)(C−5):ポリ(ブタジエン・スチレン/スチレン・アクリル)共重合物からなるコア/シェル型グラフト共重合体(MBS)
上記(C−1)〜(C−5)は、モノマーとして、スチレン、ブタジエン、メチルメタクレートを用い、その構成比率を変えることによって製造した屈折率ncが異なる平均粒径0.17μmのコアシェルゴムである。各コアシェルゴムのモノマー成分の構成比率及び屈折率ncを表1に示す。
Figure 0005900499
(C−6)アクリルブタジエンスチレンコアシェルゴム(MBS):カネカ社製 商品名「M−300」(アクリル構造がエチレングリコールメタアクリレートからなる化合物。屈折率nc:1.564、スチレン構造の含有量:63質量%)
(C−7)スチレンエチレンブタジエンスチレンゴム(SEBS):旭化成工業社製 商品名「L605」(屈折率nc:1.559、スチレン構造の含有量:60質量%以上80質量%以下)
(C−8)アクリルブタジエンスチレンコアシェルゴム:ロームアンドハース社 商品名「EXL2603」(屈折率nc:1.512、ブタジエン成分80%以上)
(C−9)スチレンブタジエンゴム(SBS):シェブロンアンドフィリップス社製 商品名「KR−05E」(屈折率nc:1.574)
(C−10)アクリルブタジエンスチレンコアシェルゴム:三菱レイヨン社製 商品名「C−930」(屈折率nc:1.543)
(C−11)アクリルブタジエンスチレンコアシェルゴム:電気化学工業社製 商品名「TH−21」(屈折率nc:1.547)
<Eガラス強化材(D)>
Eガラスチョップドストランド:日本電気硝子社製 商品名「T−571」(屈折率:1.56、平均繊維径:13μm、平均繊維長さ:3mm、アミノシラン処理、耐熱ウレタン収束)
<リン系熱安定剤(F)>
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト:アデカ社製 商品名「アデカスタブ2112」
<離型剤(G)>
(G−1)ステアリルステアリレート:日油社製 商品名「ユニスターM9676」
(G−2)ペンタエリスリトールテトラステアレート:コグニスジャパン社製 商品名「ロキシオールVPG861」
<酸化防止剤(H)>
ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]:チバ社製 商品名「イルガノックス1010」
<紫外線吸収剤(I)>
2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール:シプロ化成社製 商品名「シーソーブ709」
<アクリル樹脂(J)>
ポリメチルメタクリレート:三菱レイヨン社製 商品名「アクリペットVH−001」(鉛筆硬度:2H、質量平均分子量:60,000)
<スチレン樹脂(K)>
ポリスチレン:PSジャパン社製 商品名「HF77」(鉛筆硬度:B)
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、(メタ)アクリレート共重合体(B)、アクリル樹脂(J)、スチレン樹脂(K)として使用した各材料の鉛筆硬度は、前述の<表面硬度評価>と同様にして測定した値である。
[実施例1〜20、比較例1〜12]
{樹脂ペレットの製造}
上記の各成分を、表2〜5に示す質量比で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出した溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
{試験片の作製}
<厚み2mmのプレート試験片の作製>
<Eガラス強化材(D)を含まない芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の場合>
上述の製造方法で得られたペレットを100℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(名機製作所製「M150AII−SJ」)にて、鋼材金型を使用してシリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、100×100×2mm厚みのプレート試験片を作製した。
<Eガラス強化材(D)を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の場合>
鋼材金型の代りに、ジルコニアセラミック(熱伝導率:3.8W/m・K)上に無電解メッキ法にて100μm厚のNi−P層が形成された断熱金型を使用した以外は上記と同様にして、金型温度120℃で100×100×2mm厚みのプレート試験片を作製した。
<シャルピー衝撃試験片の作製>
上述の製造方法で得られたペレットを100℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75Mk−II」)にて、鋼材金型を使用してシリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、3mm厚みのシャルピー衝撃試験片を作製した。
[評価結果]
Figure 0005900499
Figure 0005900499
Figure 0005900499
Figure 0005900499
表2〜5の結果より次のことがわかる。
実施例1〜19の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、衝撃強度に優れ、高い表面硬度を有する。なかでも衝撃強度改良剤(C)のアクリル構造中に水酸基を含んでいない実施例1〜17は、水酸基を含む衝撃強度改良剤(C−6)を用いた実施例18と比べ、さらに優れた透明性及び熱安定性を得ることができる。
比較例1は(メタ)アクリレート共重合体(B)を含まないため表面硬度が低く、比較例2は、アクリル樹脂(J)の分子量が高いため透明性に劣る。比較例3は衝撃強度改良剤(C)が含まれないため衝撃強度が低い。比較例4は(メタ)アクリレート共重合体(B)の配合量が少ないため充分な表面硬度が得られず、一方、比較例5は(メタ)アクリレート共重合体(B)の配合量が多いため、衝撃強度に劣る。比較例6〜9は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及び(メタ)アクリレート共重合体(B)からなる樹脂成分と衝撃強度改良剤(C)との屈折率差が大きいため、透明性、耐衝撃性、表面硬度のすべて満足した成形品を得ることができない。比較例12は衝撃強度改良剤(C)の代りにゴム成分を含まないスチレン樹脂(K)が添加されているため衝撃強度に劣る。
Eガラス強化材(D)を添加した場合について、実施例20は耐衝撃性及び透明性のバランスに優れ、表面硬度も高い。一方、比較例10は(メタ)アクリレート共重合体(B)が含まれていないため透明性に劣り、表面硬度も低い。比較例11は衝撃強度改良剤(C)を含まないため面衝撃強度が低い。
以上のように、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物と比べて、衝撃強度、表面硬度、透明性のバランスに優れているため、自動車内装機材及び電気電子機器のディスプレイ等の好適な材料といえる。よって本発明の工業的価値は顕著である。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
なお、本出願は、2011年7月20日付で出願された日本特許出願(特願2011−159213)に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (5)

  1. 質量平均分子量が15,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)55〜85質量%と、芳香族(メタ)アクリレート単位(b1)とメチル(メタ)アクリレート単位(b2)の質量比(b1/b2)が10〜30/70〜90で、質量平均分子量が5,000〜30,000である(メタ)アクリレート共重合体(B)15〜45質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、衝撃強度改良剤(C)1〜20質量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、
    前記衝撃強度改良剤(C)が、MBS樹脂、SBS樹脂、及びSEBS樹脂よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
    前記衝撃強度改良剤(C)が、スチレン構造を60〜80質量%含有し、
    前記樹脂成分の波長589nmでの屈折率をnab、前記衝撃強度改良剤(C)の波長589nmでの屈折率をncとした場合、nabとncが下記式i)を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    式i) −0.01≦nab−nc≦+0.01
  2. 前記衝撃強度改良剤(C)を構成するモノマーの分子構造中に水酸基を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. さらに、(D)成分として、Eガラス強化材を前記樹脂成分100質量部に対して1〜100質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 該樹脂組成物により成形された厚み2mmのプレート試験片について、JIS K-7105に準拠して測定したヘイズ(HAZE)が30%以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品。
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