JPWO2011037172A1 - 強化熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2009年9月24日に、日本に出願された特願2009−218504号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、電子機器においては、より一層の軽量化や薄型化が要求されている上に、鞄等に入れた状態での衝撃や荷重にも充分に耐え得ることが要求されている。その要求を満足させるために、筐体に使用される樹脂には、高い剛性及び耐衝撃性のみならず、製品落下時の耐衝撃性が高いことが必要になってきている。
ここで、製品落下時の耐衝撃性は、UL1950規格の落球試験等で測定した面衝撃強度との相関性が高く、アイゾット衝撃強度又はシャルピー衝撃強度との相関性は低いことが知られている。そのため、筐体に使用される樹脂には、高いアイゾット衝撃強度又はシャルピー衝撃強度ではなく、高い面衝撃強度が求められる。
また、電子機器筐体用樹脂材料としてガラス繊維強化樹脂組成物が使用されることもあるが、剛性と質量とのバランスが不充分であった。
そのため、電子機器筐体用材料として、炭素繊維で強化した熱可塑性樹脂組成物が検討されている。
そこで、その欠点を克服する手段として、特許文献1では、芳香族ポリカーボネート樹脂と、ポリアミドで表面処理された炭素繊維と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選択された少なくとも1種の官能基を有する滑剤とを含む樹脂組成物が提案されている。
特許文献1では、メチルアルコールに溶解したポリアミドで表面処理された炭素繊維を使用しているが、それを用いただけでは高い耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)を達成することはできない旨の記載がある。また、特許文献1の炭素繊維は、面衝撃強度を向上させるものではない。しかも、特許文献1に記載の樹脂組成物では、滑剤を含むため、成形時のガス発生量が多いという欠点を有していた。
しかし、特許文献2に記載の炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物では面衝撃強度を向上させることはできなかった。
また、本発明は、剛性及び製品落下時の耐衝撃性が高い成形品を提供することを目的とする。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%と、グラフト共重合体混合物(B)10〜50質量%(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)と、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体混合物(B)との合計100質量部に対して、6〜22質量部の水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)とを含有し、前記グラフト共重合体混合物(B)は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するグラフトポリマー(B2)がグラフト重合したグラフト共重合体(B’)を含むことを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。
[2]さらに燐酸エステル系難燃剤(E)を含有することを特徴とする[1]に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記燐酸エステル系難燃剤(E)の質量平均分子量が326以上、800以下であることを特徴とする[2]に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)が、水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたことを特徴とする成形品。
本発明の成形品は、剛性及び製品落下時の耐衝撃性が高い。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、グラフト共重合体混合物(B)と、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)とを必須成分として含有する。
なお、本明細書においては、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体混合物(B)とからなる成分を、樹脂主成分(C)という。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから得られる樹脂であり、任意に枝別れしていてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は公知の方法により製造される。例えば、ジヒドロキシ又はポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させる方法や溶融重合法により製造される。また、コンパクトディスク等からリサイクルしたものも使用できる。
ジヒドロキシジアリールアルカンとしては、例えば、ヒドロキシ基に対してオルトの位置にアルキル基を有するものが使用されてもよい。ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい具体例としては、4,4−ジヒドロキシ2,2−ジフェニルプロパン(すなわち、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA及びビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、機械的強度、落球試験による面衝撃強度、流動性のバランスが特に優れることから、17,000〜25,000であることがより好ましい。
樹脂主成分(C)中のポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、50〜90質量%であり、80〜90質量%であることが好ましい(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)。ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が50質量%未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、90質量%を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の成形性が低下する。
グラフト共重合体混合物(B)は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位をグラフト重合反応させることにより得られる反応生成物である。グラフト共重合体混合物(B)は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するグラフトポリマー(B2)がグラフト重合したグラフト共重合体(B’)と、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するがゴム質重合体(B1)を有しない重合体(B”)とを含む。
グラフト共重合体混合物(B)は、アセトンに対して不溶である「アセトン不溶分」と、アセトンに対して可溶である「アセトン可溶分」を含んでなる。
アセトン不溶分は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するグラフトポリマー(B2)がグラフト重合したグラフト共重合体(B’)を含んでなる。
アセトン可溶分は、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するがゴム質重合体(B1)を有しない重合体(B”)を含んでなる。前記重合体(B”)は、グラフトポリマー(B2)を構成する単量体と同様の単量体からなる重合体であるが、ゴム質重合体(B1)にグラフト重合していない。
グラフト共重合体混合物(B)におけるゴム質重合体(B1)としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーン(ポリシロキサン)−アクリル複合ゴムなどが挙げられる。これらの中では、前記強化熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品のめっき性能が良好であることから、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴムが好ましい。
ジエン−アクリル複合ゴムにおけるアクリルゴム成分は、アルキル(メタ)アクリレート(f)と多官能性単量体(g)とが重合されたものである。
本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
ここで、アルキル(メタ)アクリレート(f)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能性単量体(g)としては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム質重合体(B1)の平均粒子径は、強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性をより高くできることから、0.1〜0.6μmであることが好ましい。
グラフトポリマー(B2)は、前記グラフト共重合体(B’)において、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位と、シアン化ビニル化合物単量体(b)単位とを必須成分として有し、これらと共重合可能な単量体(c)単位を任意成分として有するポリマー部分である。これらの組成比には特に制限はないが、耐衝撃性と成形性のバランスに優れることから、好ましくは芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位が50〜90質量%、シアン化ビニル化合物単量体(b)単位が10〜50質量%で、単量体(c)単位が0〜40質量%である(ただし、(a)と(b)と(c)の合計が100質量%である)。
芳香族アルケニル化合物単量体(a)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
シアン化ビニル化合物単量体(b)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
これらと共重合可能な単量体(c)としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。
グラフト共重合体混合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合体(B”)は、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を必須成分として有する重合体であり、これらと共重合可能な単量体(c)単位を任意成分として有していてもよい。前記重合体(B”)は、ゴム質重合体(B1)に芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位等をグラフト重合させる際に同時に生成する。
また、アセトン可溶分の上記還元粘度が0.3dl/g以上であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の引き裂き強度が向上し、0.7dl/g以下であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の成形外観及び成形性がより向上する。
グラフト共重合体混合物2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、65℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpmにて30分間遠心分離する。その後、上澄み液を除去し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾燥後の試料を精秤する。その質量差分([グラフト共重合体混合物2.5g]−[乾燥後の試料の質量])より、グラフト共重合体混合物に対するアセトン可溶分の含有比率(%)を求めることができる。
還元粘度は、0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液とし、25℃で測定する。
グラフト共重合体混合物(B)は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)と、シアン化ビニル化合物単量体(b)と、必要に応じて、他の単量体(c)とをグラフト重合反応させることにより得られる。
グラフト共重合体混合物(B)の重合方法には制限はないが、乳化重合法が好ましい。また、グラフト重合時には、グラフト共重合体混合物(B)の分子量やグラフト率を調整するために、各種連鎖移動剤を添加してもよい。
樹脂主成分(C)中のグラフト共重合体混合物(B)の含有量は10〜50質量%であり、10〜20質量%であることが好ましい(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)。樹脂主成分(C)中のグラフト共重合体混合物(B)の含有量が10質量%未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の成形性は充分なものではなく、50質量%を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の難燃性が低下する。
水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)は、未処理の無機充填材の表面を水溶性ポリアミドで被覆する表面処理が施されて得られる。
未処理の無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、無機繊維に金属コーティングしたもの、ウオラストナイト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、ケッチェンブラック等の無機物、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属や合金、及びそれらの酸化物の繊維、粉末などが挙げられる。未処理の無機充填材の好ましい形態としては繊維状のものが挙げられ、これらの中でも、少ない配合で高い剛性が得られる炭素繊維が好ましい。また、炭素繊維の中でもチョップドファイバーであることがより好ましい。
無機充填材(D)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第3級アミンを有するポリアミドを得るためには、第3級アミンを主鎖に含むモノマー(例えば、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン等)、側鎖に第3級アミンを含むモノマー(例えば、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等)を用いればよい。
水溶性ポリアミドにはさらに界面活性剤が添加されたものがより好ましい。界面活性剤の一例としては、ベタイン型のもの等が挙げられる。
このような水溶性ポリアミドとしては、例えば、松本油脂製薬(株)製「KP2007」や「KP2021A」、東レファインケミカル社製「AQナイロン」等が市販されている。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤(F)としてポリエステル樹脂を含有してもよい。ポリエステル樹脂としては、主として炭素数8〜22個の芳香族ジカルボン酸単位と、炭素数2〜22個のアルキレングリコール単位あるいはシクロアルキレングリコール単位を有し、これらの構成単位の合計が50質量%以上のものである。また、ポリエステル樹脂は、必要に応じて、アジピン酸やセバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを構成単位として含んでもよい。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、表面外観改良剤(G)としてグリシジルエーテル単位含有重合体を含有してもよい。グリシジルエーテル単位含有重合体としては、例えば、ヒドロキシ基を有する化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂などの高分子量体であって、下記式(1)で表される繰り返し単位を持つポリマーを有するもの(例えば、エポキシ基含有フェノキシ樹脂)等が挙げられる。
(mは1以上の整数を表す。)
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、アルキレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルなど)、ポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど)、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
これらグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、燐酸エステル系難燃剤(E)を含有してもよい。
燐酸エステル系難燃剤は、下記式(2)で表される化合物である。
(R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基である。ただし、R1,R2,R3,R4の全てが水素原子であることはない。Aは2価以上の有機基であり、pは0又は1、qは1以上の整数、rは0以上の整数を表す。)
また、2価以上の有機基とは、上記有機基から、炭素原子に結合している水素原子の2個以上を除いて得られる2価以上の官能基を意味する。例えば、アルキレン基、(置換)フェニレン基が挙げられる。炭素原子から取り除く水素原子の位置は任意である。
また、ビスフェノールAビスフォスフェート、ヒドロキノンビスフォスフェート、レゾルシンビスフォスフェート、トリオキシベンゼントリフォスフェート等であるところのビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)等のポリフォスフェートが挙げられる。
燐酸エステル系難燃剤(E)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記具体例のうち、好ましい燐酸エステル系難燃剤(E)は、トリキシルフォスフェート、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)であり、より好ましいものは、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)である。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、燐酸エステル系難燃剤(E)の他に、公知の非ハロゲン系難燃剤を配合して、燐酸エステル系難燃剤(E)と併用しても構わない。非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、赤燐、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤が挙げられる。
赤燐系難燃剤としては、熱硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂及び金属水酸化物で被覆されて安定化されたもの使用される。赤燐系難燃剤は、単独では発火性があるため、あらかじめ樹脂主成分(C)の少なくとも一部又はポリカーボネート樹脂(A)に混合してマスターバッチ化してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、燃焼時のドリップを防止するための難燃助剤(H)が含まれてもよい。難燃助剤として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンを含有する化合物、シリコーン系重合体などが挙げられる。
難燃助剤として、ポリテトラフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレンを含有する化合物を配合する場合、その配合量は、表面外観の点から、樹脂主成分(C)100質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、他の改質剤、離型剤、光又は熱に対する安定剤、帯電防止剤、染料、顔料等を含有してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、グラフト共重合体混合物(B)と、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)と、必要に応じて、燐酸エステル系難燃剤(E)等の他の成分とを、混合装置(例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、ナウターミキサー等)を用いて混合することにより得られる。さらに、混練装置(例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ、コニーダ等)を用いて混練してもよい。
また、本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、滑剤を必須成分として含有しなくてもよいため、成形時のガス発生が少ない。さらに、樹脂材料からなるため、得られる成形品の剛性に優れている。
本発明の成形品は、上記強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたものである。
強化熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法及びインフレーション成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂(A)として、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ノバレックス7021PJ」を使用した。
固形分濃度が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタジエンラテックス100部(固形分として)に、n−ブチルアクリレート単位85%、メタクリル酸単位15%からなる平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス2部(固形分として)を攪拌しながら添加した。次いで、30分間攪拌を続けて、平均粒子径0.28μmの肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを得た。
得られた肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを反応器に仕込み、更に蒸留水100部、ウッドロジン乳化剤4部、デモールN(商品名、花王(株)製、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物)0.4部、水酸化ナトリウム0.04部、デキストローズ0.7部を添加した。次いで、攪拌しながら昇温させ、内温60℃の時点で、硫酸第一鉄0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.4部、亜ジチオン酸ナトリウム0.06部を添加した後、下記成分を含む混合物を90分間にわたり連続的に滴下し、その後1時間保持して冷却した。
アクリロニトリル 30部
スチレン 70部
クメンハイドロパーオキサイド 0.4部
tert−ドデシルメルカプタン 1部
これにより得られたグラフト共重合体混合物ラテックスを希硫酸で凝固したのち、洗浄、濾過、乾燥して、グラフト共重合体混合物(B1−1)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体混合物(B1−1)のアセトン可溶分は27%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.3dl/gであった。
グラフト共重合体混合物2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、65℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpmにて30分間遠心分離した。その後、上澄み液を除去し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾燥後の試料を精秤した。その質量差分([グラフト共重合体混合物2.5g]−[乾燥後の試料の質量])より、グラフト共重合体混合物に対するアセトン可溶分の含有比率(%)を求めた。
還元粘度は、0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液とし、25℃で測定した。
反応器に下記のような割合で原料を仕込み、窒素置換下50℃で4時間攪拌しながら重合させて、ゴムラテックスを得た。
n−ブチルアクリレート 98部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 1部
アリルメタクリレート 1部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部
脱イオン水 300部
過硫酸カリウム 0.3部
リン酸二ナトリウム12水塩 0.5部
リン酸水素ナトリウム12水塩 0.3部
これにより得られたゴムラテックス100部(固形分換算)を、別の反応器に仕込み、イオン交換水280部を加えて希釈し、70℃に昇温した。
これとは別に、アクリロニトリル/スチレン=29/71(質量比)からなる単量体混合物100部に、ベンゾイルパーオキサイド0.7部を溶解し、窒素置換した後、その単量体混合物を30部/時間の速度で、上記のゴムラテックスが入った反応器に、定量ポンプにより添加した。全モノマーを添加した後、反応器内の温度を80℃に昇温し、30分間攪拌を続けて、グラフト共重合体混合物ラテックスを得た。重合率は99%であった。
上記グラフト共重合体混合物ラテックスを、全ラテックスの3倍量の塩化アルミニウム(AlCl3.6H2O)0.15%水溶液(90℃)を仕込んだ凝固槽中に、撹拌しながら投入して、凝固させた。全ラテックスを添加した後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、そのまま5分間放置した。これを冷却後、遠心分離機により脱液、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体混合物(B1−2)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体混合物(B1−2)のアセトン可溶分は21%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.70dl/gであった。
ポリブタジエン/ポリブチルアクリレートの複合ゴムをゴム質重合体とするグラフト共重合体混合物(B1−3)を下記の方法により得た。
固形分濃度が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタジエンラテックス20部(固形分として)に、n−ブチルアクリレート単位82%、メタクリル酸単位18%からなる平均粒子径0.10μmの共重合ラテックス0.4部(固形分として)を攪拌しながら添加した。次いで、30分間攪拌を続けて、平均粒子径0.36μmの肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。
得られた肥大化ジエン系ゴムラテックス20部(固形分換算)を反応器に仕込み、不均化ロジン酸カリウム1部、イオン交換水150部及び下記組成の単量体混合物を添加し、窒素置換し、50℃(内温)に昇温した。さらに、反応器に、10部のイオン交換水に硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガリット0.25部を溶解した溶液を添加して、反応させた。
n−ブチルアクリレート 80部
アリルメタクリレート 0.32部
エチレングリコールジメタクリレート 0.16部
反応終了時の内温は75℃であったが、更に80℃に昇温し、1時間反応を続けて、肥大化ジエン系ゴムとポリブチルアクリレート系ゴムの複合ゴムを得た。重合率は98.8%であった。
次いで、肥大化ジエン系ゴムとポリブチルアクリレート系ゴムの複合ゴムラテックス50部(固形分換算)を反応器に仕込み、イオン交換水140部を加えて希釈し、70℃に昇温した。
これとは別に、アクリロニトリル/スチレン=29/71(質量比)からなる単量体混合物50部に、ベンゾイルパーオキサイド0.35部を溶解し、窒素置換した。その単量体混合物を15部/時間の速度で、上記のゴムラテックスが入った反応器に、定量ポンプにより添加した。全モノマーを添加した後、反応器内の温度を80℃に昇温し、30分間攪拌を続けて、グラフト共重合体混合物ラテックスを得た。重合率は99%であった。
上記グラフト共重合体混合物ラテックスを、全ラテックスの3倍量の硫酸0.5%水溶液(90℃)を仕込んだ凝固槽中に、撹拌しながら投入して、凝固させた。全ラテックスを添加した後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、そのまま5分間放置した。これを冷却後、遠心分離機により脱液、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体混合物(B1−3)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体混合物(B1−3)のアセトン可溶分は20%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.7dl/gであった。
ポリシロキサンゴム/ポリブチルアクリレートの複合ゴムをゴム質重合体とするグラフト共重合体混合物(B1−4)を下記の方法により得た。
オクタメチルテトラシクロシロキサン96部、γ−メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部及びエチルオルソシリケート2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
また、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器及び撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸2部と蒸留水98部とを注入し、2%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し冷却した。
この反応液を室温で48時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)を得た。ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の一部を170℃で30分間乾燥して固形分濃度を求めたところ、17.3%であった。
反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル11.1部、スチレン33.2部及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.2部の混合液を約1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1部の混合液を約40分間にわたって滴下し重合した。滴下終了後1時間保持した後、冷却して、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレートゴムからなる複合ゴムにアクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフトさせたグラフト共重合体混合物のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムを5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に加熱し撹拌した。その酢酸カルシウム水溶液中にグラフト共重合体混合物のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。得られた凝固物を分離し、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体混合物(B1−4)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体混合物(B1−4)のアセトン可溶分は26%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.60dl/gであった。
耐衝撃性改良剤(F)として、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリブチレンテレフタレート樹脂「NOVADURAN 5020S」を使用した。
無機充填材(D−1)として、三菱レイヨン(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「TR06NE」(表面処理剤:水溶性ポリアミド)を用いた。
無機充填材(D−2)として、東邦テナックス(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「HTA−C6−U」(表面処理剤:ウレタン)を用いた。
無機充填材(D−3)として、東邦テナックス(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「HTA−C6N」(表面処理剤:メチルアルコールに溶解したポリアミド)を用いた。
燐酸エステル系難燃剤(E−1)として、大八化学(株)製「PX−200」(質量平均分子量686)を用いた。
燐酸エステル系難燃剤(E−2)として、大八化学(株)製「CR−733S」(質量平均分子量574)を用いた。
燐酸エステル系難燃剤(E−3)として、大八化学(株)製「TPP」(質量平均分子量326)を使用した。
燐酸エステル系難燃剤(E−4)として、味の素ファインテクノ(株)製「BAPP」(質量平均分子量692)を使用した。
また、燐酸エステル系難燃剤(E)により難燃化した例では、難燃助剤(H)としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を添加した。
下記実施例8と比較例5については、表面外観改良剤(G)として、グリシジルエーテル単位含有重合体、ジャパンエポキシレジン(株)製「1256」を配合した。
射出成形で作製した試験片(100mm×100mm×1mm厚)を用いて落球衝撃試験を行った。その試験では、UL1956垂直落球試験法の試験機を使用し、500gの鋼球を用いた際の限界破壊高さを調べた。
[シャルピー衝撃強度]
ISO 179に準じて、シャルピー衝撃強度を測定した。
[曲げ弾性率]
ISO 178に準じて、曲げ弾性率を測定した。
強化熱可塑性樹脂組成物を成形して試験片(幅12.7mm、長さ127mm、厚さ1.0mm)を作製し、UL94に準拠して燃焼試験を行った。燐酸エステル系難燃剤(E)を含有する実施例1〜17及び比較例1〜7の樹脂組成物では垂直燃焼試験を適用し、燐酸エステル系難燃剤(E)を配合していない実施例18〜19及び比較例8〜12の樹脂組成物は水平燃焼試験を適用して、難燃性を評価した。
垂直に支持した前記試験片の下端にバーナー炎をあてて10秒間保ち、その後バーナー炎を試験片から離した。炎が消えた後、再びバーナー炎をあて、同様の操作を行った。そして、1回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計、ならびに燃焼落下物の有無により判定を行った。UL94における各等級の基準は概略下記の通りである。
V−0:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒以内であり、燃焼落下物がない。
V−1:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒超30秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒超60秒以内であり、燃焼落下物がない。
V−2:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒超30秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒超60秒以内であり、燃焼落下物がある。
表1〜3の実施例1〜17、比較例1〜7の難燃性は、以下の記号で表す。
◎;V−0レベルの難燃性を有していた。
○;V−1レベルの難燃性を有していた。
△;V−2レベルの難燃性を有していた。
×;V−2レベルの難燃性を有していなかった。
水平に支持した前記試験片の端部にバーナー炎をあてて30秒間保ち、その後バーナー炎を試験片から離した。接炎終了後、予め試験片に記した標線間(75mm)の燃焼時間を測定して、これより算出される燃焼速度によって判定を行った。UL94における基準は概略下記の通りである。
HB;接炎終了後の消火、ならびに燃焼速度が75mm/分以下。
表2,4の実施例18〜19,比較例8〜12の難燃性は、以下の記号で表す。
○;HBレベルの難燃性を有していた。
×;HBレベルの難燃性を有していなかった。
A4サイズのノート型パーソナルコンピュータの液晶ディスプレイカバー(厚み1mm)を、射出成形機(日本製鋼所J350E、350tアキュームレーター付き)により、以下の成形条件で成形した。その成形の際のショートショット(未充填部分)の有無及びガスやけの有無により、成形性を評価した。
○:未充填の部分はなかった。
△:一部に未充填の部分が見られた。
×:未充填であるか、ガスやけが見られた。
・成形条件
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の成形条件は、成形温度:280℃、射出速度:99%、金型温度:80℃とした。ただし、燐酸エステル系難燃剤が配合された強化熱可塑性樹脂組成物の成形条件は、成形温度:260℃、射出速度:99%、金型温度:80℃とした。
また、実施例2と比較例7、実施例19と比較例11の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーを含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、メチルアルコールに溶解したポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーを含有する強化熱可塑性樹脂組成物よりも、落球試験による面衝撃強度は高いことがわかった。
燐酸エステル系難燃剤(E)の質量平均分子量が686以下であった実施例2,13,14の強化熱可塑性樹脂組成物は、燐酸エステル系難燃剤(E)の質量平均分子量が686を超えていた実施例15の強化熱可塑性樹脂組成物よりも、難燃性が高かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体混合物(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)とを含有するが、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)の含有量が22部を超えていた比較例4の強化熱可塑性樹脂組成物は、成形性が低かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体混合物(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)とを含有するが、ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が90部を超えていた比較例12の強化熱可塑性樹脂組成物は、成形性が低かった。
したがって、シャルピー衝撃強度と落球試験による面衝撃強度は相関性が低いことが分かった。また、シャルピー衝撃強度とアイゾット衝撃強度は相関性が高いことから、アイゾット衝撃強度と落球試験による面衝撃強度も相関性が低いことは明らかである。
本発明の成形品は、高い剛性及び製品落下時の耐衝撃性が高く産業上の利用性が高い。
Claims (5)
- ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%と、
グラフト共重合体混合物(B)10〜50質量%(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)と、
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体混合物(B)との合計100質量部に対して、6〜22質量部の水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)とを含有し、
前記グラフト共重合体混合物(B)は、ゴム質重合体(B1)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及びシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有するグラフトポリマー(B2)がグラフト重合したグラフト共重合体(B’)を含むことを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。 - さらに燐酸エステル系難燃剤(E)を含有することを特徴とする請求項1に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
- 前記燐酸エステル系難燃剤(E)の質量平均分子量が326以上、800以下であることを特徴とする請求項2に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
- 前記水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)が、水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたことを特徴とする成形品。
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