JP2003082218A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2003082218A JP2001274785A JP2001274785A JP2003082218A JP 2003082218 A JP2003082218 A JP 2003082218A JP 2001274785 A JP2001274785 A JP 2001274785A JP 2001274785 A JP2001274785 A JP 2001274785A JP 2003082218 A JP2003082218 A JP 2003082218A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の難燃剤を配合することなく良好な難燃
性を達成し、それにより環境負荷が極めて小さく、かつ
耐湿熱性に優れリサイクルに好適な難燃性樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂、およびポリアリレート樹脂から
選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A成分)10
0重量部に対し、フィブリル形成能を有するフッ素含有
樹脂(B成分)0.005〜5重量部、並びに少なくと
も金属酸化物成分とSiO2成分とからなる珪酸金属塩
(C成分)w重量部を含んでなる樹脂組成物であって、
該wは下記式(1)の条件を満足するものである難燃性
樹脂組成物。 50≦(10(p-7))×w≦1000 (1) (ここでpは本文記載の方法で求められたC成分のpH
値を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境負荷が小さく
耐湿熱性に優れリサイクルに好適な難燃性樹脂組成物、
殊に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂、およびポリアリレート樹脂は、
機械的特性、寸法精度、電気特性などに優れ、エンジニ
アリングプラスチックとして電気、電子機器分野、自動
車分野、OA分野などさまざまな分野において幅広く使
用されている。そして、これらの用途のなかでもOA分
野、電子電気分野については、OA機器、家電製品の難
燃化の要望が強い。
【0003】これらの要望に応えるために難燃剤として
塩素化合物や臭素化合物などのハロゲン化合物、または
リン酸エステル化合物などを配合した難燃性樹脂組成物
が一般的に提案されている。しかしながら、ハロゲン化
合物を使用した場合には燃焼時にダイオキシン等の有毒
なガス発生の可能性があり、およびリン酸エステル化合
物を使用した場合には廃棄埋め立て時にリン分が土壌へ
溶出することが一部で懸念されている。特に最近では環
境問題への関心の高まりから、より環境負荷の小さい難
燃剤を使用した難燃性樹脂材料が望まれている。
【0004】また、最近ではプラスチック材料の環境負
荷を小さくする為に、プラスチック材料のリサイクル特
性(繰り返しのリサイクル処理に耐える特性)も重要視
されるようになってきている。リサイクル特性を向上す
るためには、使用時の環境(温度及び湿度)による各種
特性の低下が少ないこと、すなわち耐湿熱性に優れるこ
とが重要な要素となる。
【0005】このような要求に対して、難燃剤としてハ
ロゲン化合物やリン化合物を使用せず、シリコーン化合
物や金属塩化合物を使用した難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物が既に提案されている。例えば、特開昭51−
45159号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂に
有機アルカリ(土類)金属塩およびフッ素化ポリオレフ
ィンを配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が記
載されている。特開平11−263903号公報には、
ポリカーボネート樹脂に特定の粘度を有するシリコーン
ワニスと有機スルホン酸金属塩を配合してなる難燃性ポ
リカーボネート樹脂組成物が記載されている。特開平1
1−217494号公報には、ポリカーボネート樹脂に
主鎖が分岐構造でかつ芳香族基を有するシリコーン化合
物、および芳香族硫黄化合物の金属塩、更に繊維形成型
の含フッ素ポリマーを配合してなる難燃性ポリカーボネ
ート樹脂組成物が記載されている。
【0006】しかしながら、これらの公報において具体
的に開示された組成物は、有機スルホン酸金属塩化合物
を比較的多く配合するものである。有機スルホン酸金属
塩は多量に配合すると熱安定性や耐湿熱性が低下しやす
く、ひいては難燃性の向上が認められない場合や特性が
低下する場合がある。また、有機スルホン酸金属塩を多
量に配合した場合には、耐湿熱性が低下しリサイクル時
に機械的特性、耐衝撃性の低下に繋がるという問題もあ
った。したがって難燃剤としてハロゲン化合物やリン酸
エステル化合物以外の難燃剤が求められている。
【0007】有機スルホン酸以外の難燃性を向上させる
化合物としては、芳香族ポリカーボネート樹脂において
以下に示す各種の組成物が提案されている。
【0008】特開昭53−88856号公報には、芳香
族ポリカーボネート、無機アルカリ金属塩、フィブリル
形成ポリテトラフルオロエチレンからなる難燃性成形用
組成物が記載されている。しかしながらかかる公報に記
載された発明は耐湿熱性および難燃性が共に良好な樹脂
組成物を十分に開示したものではなかった。
【0009】特開昭63−312348号公報には、芳
香族ポリカーボネート、アルキルペンタフルオロ珪酸の
ジアルカリ金属塩からなる樹脂組成物が記載されてい
る。しかしながらかかる公報においては、約1.6mm
厚みにおいてUL規格94のランクV−0を達成する良
好な難燃性は、ハロゲン系難燃剤を含む場合についての
み開示されており、珪酸金属塩の特定割合における難燃
性を開示したものではない。
【0010】また特開平5−262974号公報には、
ポリカーボネート系樹脂、極少量のカルボン酸と周期律
表2B族金属の塩、およびフッ素系樹脂などからなる樹
脂組成物が記載されている。しかしかかる公報は珪酸金
属塩を使用した難燃性樹脂組成物について十分に認識す
るものではなかった。
【0011】一方、特開昭57−209955号公報に
は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て、0.025〜5重量部の約0.05〜約20μmの
平均粒子径を有するシリケートからなるポリカーボネー
ト組成物が記載され、かかる組成物から形成されたフィ
ルムが低い静止摩擦係数を有し、また熱安定性にも優れ
ることが記載されている。シリケートは好ましくは0.
025〜1重量部であり、またシリケートとしては、具
体的にカオリン、ベントナイト、および珪灰石などが記
載されている。しかしながらかかるポリカーボネート組
成物は難燃性において十分とはいえない。
【0012】特開昭54−40852号公報には、芳香
族ポリカーボネート、ブタジエン系グラフト共重合体、
難燃剤、およびアルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム
の珪酸塩、ホウ酸塩および炭酸塩の少なくとも1種を含
有せしめることを特徴と難燃性樹脂組成物が記載されて
いる。しかしながらかかる公報においては、上記珪酸塩
などの効果は、樹脂組成物の熱安定性の向上を目的とす
るものであった。更に実施例においてより具体的に記載
された樹脂組成物はいずれもブロム化ポリカーボネート
オリゴマーを含むものであり、かかるオリゴマーを含有
しない場合の難燃性について十分に開示するものではな
い。
【0013】また同様に特開昭54−38347号公報
には、芳香族ポリカーボネート樹脂、AS共重合体、M
BS共重合体、およびアルカリ土類金属、亜鉛、アルミ
ニウムの珪酸塩等からなる樹脂組成物が記載されてい
る。しかしながらかかる公報においても良好な難燃性を
達成する樹脂組成物はいずれもブロム化ポリカーボネー
トオリゴマーを含むものであり、かかるオリゴマーを含
有しない場合の難燃性について十分に開示するものでは
ない。
【0014】更に特開平11−256022号公報に
は、ポリカーボネート系樹脂、特定の環状構造のリン酸
エステル、フッ素樹脂、および少量のタルクからなり、
該リン酸エステル中のリン原子の量とタルクが特定の重
量比であることを満足する難燃性の良好な樹脂組成物が
開示されている。かかる公報においては、少量のタルク
が難燃性を大幅に向上させることが開示されている。し
かしながらかかる公報もリン酸エステルを実質的に含ま
ない場合においても有効な難燃性が達成できることを十
分に開示しているとは言い難い。
【0015】上記のように、従来技術では環境負荷が小
さく耐湿熱性に優れリサイクルに好適な難燃性芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物は十分に得られていないのが
現状である。更にハロゲン化合物やリン酸エステル化合
物を含まない難燃性樹脂組成物が求められていること
は、ポリフェニレンエーテル系樹脂やポリアリレート樹
脂においても同様である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の難燃剤を配合することなく良好な難燃性を達成し、そ
れにより環境負荷の極めて小さい難燃性樹脂組成物を提
供することにあり、殊に耐湿熱性にも優れたリサイクル
性の良好な難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供す
ることにある。
【0017】本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意
検討した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂、およびポリアリレート樹脂から
選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂、フィブリル
形成能を有するフッ素樹脂、および金属酸化物成分とS
iO2成分とからなる珪酸金属塩とからなる樹脂組成物
において、該珪酸金属塩の割合がそのpH値から算出さ
れる特定割合である場合に、極めて顕著な難燃性を達成
することを見出した。すなわち通常難燃剤とは認識され
ていない成分が特定の配合量において極めて顕著な難燃
性を発揮することを見出した。しかもその配合量は場合
により極めて少量でよいことを見出し、珪酸金属塩自体
が天然においても存在することを鑑みると、その環境負
荷も極めて低い難燃性樹脂組成物が達成されているとい
えるものである。そして、更に鋭意検討の結果、本発明
に到達した。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、およ
びポリアリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱
可塑性樹脂(A成分)100重量部に対し、フィブリル
形成能を有するフッ素含有樹脂(B成分)0.005〜
5重量部、並びに少なくとも金属酸化物成分とSiO2
成分とからなる珪酸金属塩(C成分)w重量部を含んで
なる樹脂組成物であって、該wは下記式(1)の条件を
満足するものである難燃性樹脂組成物にかかるものであ
る。 50≦(10(p-7))×w≦1000 (1) (ここでpは本文記載の方法で求められたC成分のpH
値を表す。)
【0019】以下、本発明を詳細について説明する。 (A成分)本発明のA成分は、芳香族ポリカーボネート
樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、およびポリアリ
レート樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑
性樹脂である。
【0020】本発明のA成分である芳香族ポリカーボネ
ート樹脂(A成分)は、二価フェノールとカーボネー
ト前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方
法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボ
ネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状
カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることがで
きる。
【0021】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0022】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましい。
【0023】特にビスフェノールAの単独重合体が好ま
しく使用される。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0024】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0025】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化す
るのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。
また芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族または脂肪
族の二官能性カルボン酸を共重合したポリステルカーボ
ネート樹脂であってもよく、また得られた芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であっても
よい。
【0026】脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例
えば炭素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の
二官能性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官
能性のカルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれで
あってもよい。脂肪族の二官能性カルボン酸は、α,ω
−ジカルボン酸が好ましい。
【0027】芳香族ポリカーボネート樹脂の重合反応に
おいて界面重縮合法による反応は、通常二価フェノール
とホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の
存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物
またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶
媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のた
めに例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアン
モニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウム
ブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合
物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることも
できる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間
は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つの
が好ましい。
【0028】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフ
ェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、
下記一般式(i)で表される単官能フェノール類を示す
ことができる。
【0029】
【化1】
【0030】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0031】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(i
i)および(iii)で表される長鎖のアルキル基を置
換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】(式中、Xは−R−CO−O−または−R
−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1
〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を
示し、nは10〜50の整数を示す。) かかる一般式(ii)の置換フェノール類としてはnが
10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具
体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノ
ール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノー
ル、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、
ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等
を挙げることができる。
【0035】また、一般式(iii)の置換フェノール
類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合で
ある化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜
26のものが好適であって、その具体例としては例えば
ヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシ
ル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息
香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒ
ドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸ト
リアコンチルが挙げられる。
【0036】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0037】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0038】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0039】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えば、ビス(クロロフェニル)カーボネ
ート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニ
トロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニ
ル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネー
ト、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェ
ニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネ
ート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
トおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネ
ート等の化合物を加えることができる。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0040】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル−スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0041】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量と
しては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モル
の割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボ
ネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、よ
り好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0042】ポリカーボネート樹脂の分子量は特定され
ないが、分子量が10,000未満であると強度などが
低下し、50,000を超えると成形加工性が低下する
ようになるので、粘度平均分子量で表して10,000
〜50,000のものが好ましく、14,000〜3
0,000のものがより好ましく、更に好ましくは1
6,000〜25,000である。
【0043】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族
ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液
からオストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0044】上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価
フェノールの異なるもの、末端停止剤を使用したものと
使用していないもの、直鎖状のものと分岐状のもの、製
法の異なるもの、末端停止剤の異なるもの、ポリカーボ
ネートとポリエステルなど、その異なる構造や特性を有
する2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度
平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート
樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0045】本発明では、A成分の一つとして、A成分
がその繰返し単位100モル%中、分岐構造を有する繰
り返し単位を0.05〜0.3モル%含んでなる芳香族
ポリカーボネート樹脂(A2成分)も使用できる(以
下、“分岐芳香族ポリカーボネート樹脂”と称すること
がある)。かかる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を使
用することで、樹脂が燃焼する際の溶融滴下(いわゆる
ドリップ)を抑制し、更に高度な難燃性を達成すること
ができる。かかる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製
造するためには通常三官能以上の多官能性芳香族化合物
を共重合する方法が用いられる。
【0046】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0047】A成分として好適な分岐芳香族ポリカーボ
ネート樹脂において、その多官能性化合物の割合は、芳
香族ポリカーボネート樹脂における繰返し単位100モ
ル%中、分岐構造を有する繰り返し単位を0.05〜
0.3モル%、より好ましくは0.05〜0.2モル
%、更に好ましくは0.05〜0.15モル%である。
【0048】また特に溶融エステル交換法の場合、副反
応として分岐構造が生ずる場合がある。すなわち上記多
官能性芳香族化合物を含有しない場合であっても、重合
反応中のモノマー成分の異性化反応などにより分岐構造
が生ずる。本発明のA成分はかかる分岐芳香族ポリカー
ボネート樹脂も含むものである。尚、かかる割合につい
ては1H−NMR測定により算出することが可能であ
る。
【0049】更に上記分岐構造を有する繰返し単位をA
成分の繰返し単位100モル%中、0.05〜0.3モ
ル%含んでなる芳香族ポリカーボネート樹脂(A2成
分)は、より高い濃度の分岐成分を含有する芳香族ポリ
カーボネート樹脂と、分岐成分の含有量が少ないかまた
は分岐成分を実質的に含有しない芳香族ポリカーボネー
ト樹脂とを混合したものを使用することも可能である。
【0050】本発明では、更にA成分の1つとして、A
成分が粘度平均分子量70,000〜300,000の
芳香族ポリカーボネート樹脂(A3−1成分)、およ
び粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族
ポリカーボネート樹脂(A3−2成分)からなり、そ
の粘度平均分子量が16,000〜35,000である
芳香族ポリカーボネート樹脂(A3成分)(以下、
“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂”と称
することがある)も使用できる。
【0051】かかる高分子量成分含有芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(A3成分)は、A3−1成分の存在に
より、樹脂のエントロピー弾性を大きくし、ブロー成形
などにおけるドローダウン性、燃焼時におけるドリップ
防止性、および射出成形におけるジェッティング防止性
などの機能を発揮する。一方でA3−2成分の低い分
子量成分を含有することにより、全体の溶融粘度を大幅
に低下し、射出成形などの各種成形法における実用性を
十分に満足するものである。すなわち、上記分岐芳香族
ポリカーボネート樹脂と同様に更に高度な難燃性を達成
する一方、同時に上記各種の機能を有するものとなる。
【0052】高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート
樹脂(A3成分)において、A3−1成分の分子量
は70,000〜200,000が好ましく、より好ま
しくは80,000〜200,000、更に好ましくは
100,000〜200,000、特に好ましくは10
0,000〜160,000である。またA3−2成
分の分子量は10,000〜25,000が好ましく、
より好ましくは11,000〜24,000、更に好ま
しくは12,000〜24,000、特に好ましくは1
2,000〜23,000である。
【0053】高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート
樹脂(A3成分)は上記A3−1成分とA3−2
成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足す
るよう調整して得ることができる。好ましくは、A3
成分100重量%中、A3−1成分が2〜40重量%
の場合であり、より好ましくはA3−1成分が3〜3
0重量%であり、更に好ましくはA3−1成分が4〜
20重量%であり、特に好ましくはA3−1成分が5
〜20重量%である。
【0054】また、A3成分の調整方法としては、
(1)A3−1成分とA3−2成分とを、それぞれ
独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5−
306336号公報に示される方法に代表される、GP
C法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマー
ピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内に
おいて製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネ
ート樹脂を本発明のA−1成分の条件を満足するよう製
造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製
造法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、
別途製造されたA3−1成分および/またはA3−
2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
【0055】本発明で使用するポリフェニレンエーテル
系樹脂(A成分)とは、フェニレンエーテル構造を有
する核置換フェノールの重合体または共重合体(以下単
にPPE重合体と称する場合がある)、および必要に応
じてスチレン系重合体、ゴム変性スチレン系重合体を含
んだものである。
【0056】フェニレンエーテル構造を有する核置換フ
ェノールの重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メ
チル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポ
リ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル
−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−
6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル
−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等
が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0057】フェニレンエーテル構造を有する核置換フ
ェノールの共重合体の代表例としては、2,6−ジメチ
ルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの
共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾー
ルとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと
2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾール
との共重合体等がある。
【0058】上記のPPE重合体の製造方法は特に限定
されるものではないが例えば米国特許4,788,27
7号明細書(特願昭62−77570号)に記載されて
いる方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6
−キシレノールを酸化カップリング重合して製造するこ
とができる。
【0059】また、ポリフェニレンエーテル系樹脂の分
子量および分子量分布も種々のものが使用可能である
が、分子量としては、0.5g/dlクロロフォルム溶
液、30℃における還元粘度が0.20〜0.70dl
/gの範囲が好ましく、0.30〜0.55dl/gの
範囲がより好ましい。
【0060】また、本発明のポリフェニレンエーテル系
樹脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂中に存在させてもよいことが提
案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを
部分構造として含んでいても構わない。少量共存させる
ことが提案されているものの例としては、特願昭63−
12698号公報及び特開昭63−301222号公報
に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−
6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−
アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフ
ェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、ポリ
フェニレンエーテル系樹脂の主鎖中にジフェノキノン等
が少量結合したものも含まれる。
【0061】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂に
は、スチレン系重合体、ゴム変性スチレン系重合体を含
んだものを使用することもできる。かかるスチレン系重
合体および/またはゴム変性スチレン系重合体(以下単
にPS系重合体と称する場合がある)とPPE重合体と
の割合は、これらの合計100重量%中、PPE重合体
が少なくとも20重量%以上であることが必要である。
PPE重合体は30重量%以上であることがより好まし
い。難燃性についてはPPE重合体の割合が増加するほ
ど好ましいものであるが成形加工性に劣る場合があるの
で、より好ましくはPPE重合体が30〜80重量%の
範囲である。
【0062】ビニル芳香族化合物重合体としては、スチ
レンのほか、o−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの
核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メ
チル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチ
レン等の重合体、及びこれら1種以上と他のビニル化合
物の少なくとも1種以上との共重合体、これら2種以上
の共重合体が挙げられる。
【0063】ビニル芳香族化合物と共重合可能な化合物
としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
トなどのメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類、無
水マレイン酸等の酸無水物などが挙げられる。これらの
重合体の中で特に好ましい重合体は、ポリスチレン(シ
ンジオタクチックポリスチレンを含む。)、スチレン−
アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)である。
【0064】また、ゴム変性ビニル芳香族化合物重合体
に用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソ
プレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重
合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましく、ゴム変
性芳香族化合物重合体としては、ゴム変性ポリスチレン
(HIPS)、ゴム変性スチレン−アクリロニトリル共
重合体(ABS樹脂)が好ましい。
【0065】さらにA成分のポリフェニレンエーテル
系樹脂には、下記のα,β−不飽和カルボン酸またはそ
の無水物等のエチレン性不飽和化合物により変性された
ポリフェニレンエーテル系樹脂も含むことができる。こ
れらを用いて変性したポリフェニレンエーテル系樹脂を
用いた場合には、ビニル化合物系重合体との混合性に優
れ、相剥離等のない成形体を提供できる。α,β−不飽
和カルボン酸またはその無水物の例として、特公昭49
−2343号公報、特公平3−52486号公報等に記
載される無水マレイン酸、フタル酸、無水イタコン酸、
無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット
酸、無水ハイミツク酸、5−ノルボルネン−2−メチル
−2−カルボン酸、あるいはマレイン酸、フマル酸等が
挙げられ、これらに限定されるものではないが、無水マ
レイン酸が特に好ましい。
【0066】無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその無水物とポリフェニレンエーテル系樹脂
との反応は、有機過酸化物の存在下、または非存在下で
両者を混合しPPE重合体のガラス転移温度以上の温度
まで加熱することによって製造できる。本発明の難燃性
樹脂組成物を製造する際には、あらかじめ無水マレイン
酸等のα,β−不飽和カルボン酸またはその無水物を結
合したポリフェニレンエーテル系樹脂を用いてもよい。
また、難燃性樹脂組成物を製造する際に同時に、無水マ
レイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物を添加することによりポリフェニレンエーテル重合体
と反応させる方法でもよい。
【0067】本発明のポリアリレート樹脂(A成分)
は、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と二価フェノ
ールまたはその誘導体とから得られるものである。ポリ
アリレートの調製に用いられる芳香族ジカルボン酸とし
ては、二価フェノールと反応し満足な重合体を与えるも
のであればいかなるものでもよく、1種または2種以上
を混合して用いられる。
【0068】好ましい芳香族ジカルボン酸成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。またこれら
の混合物であってもよい。
【0069】二価フェノール成分の具体例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
メタン、2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニル、ハイドロキノンなどが挙げられる。これら二価
フェノール成分はパラ置換体であるが、他の異性体を使
用してもよく、さらに二価フェノール成分にエチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ールなどを併用してもよい。
【0070】上記の中でも好ましいポリアリレート樹脂
としては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸およ
びイソフタル酸からなり、二価フェノール成分として
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)からなるものが挙げられる。テレフタ
ル酸とイソフタル酸との割合は、テレフタル酸/イソフ
タル酸=9/1〜9/1(モル比)が好ましく、特に溶
融加工性、性能バランスの点で7/3〜3/7が望まし
い。
【0071】他の代表的なポリアリレート樹脂として
は、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、
二価フェノール成分がビスフェノールAおよびハイドロ
キノンからなるものが挙げられる。かかるビスフェノー
ルAとハイドロキノンとの割合は、ビスフェノールA/
ハイドロキノン=50/50〜70/30(モル比)が
好ましく、55/45〜70/30がより好ましく、6
0/40〜70/30が更に好ましい。
【0072】本発明におけるポリアリレート樹脂の粘度
平均分子量は約7,000〜100,000の範囲が物
性および押出加工性から好ましい。またポリアリレート
樹脂は界面重縮合法およびエステル交換反応法のいずれ
の重合方法も選択できる。
【0073】また本発明に使用するA成分は、上記の芳
香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系
樹脂、およびポリアリレート樹脂から選ばれる2種以上
の混合樹脂であってもよい。尚、混合割合は任意に選択
されるものである。また、A成分として好ましくは、難
燃効果が顕著である芳香族ポリカーボネート樹脂単体、
または芳香族ポリカーボネート樹脂とポリフェニレンエ
ーテル系樹脂および/またはポリアリレート樹脂からな
る樹脂である。後者においては芳香族ポリカーボネート
樹脂がA成分100重量%当たり50重量%以上が好ま
しく、60重量%以上が更に好ましい。
【0074】(B成分)本発明のB成分として使用され
るフィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーとしては
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第43
79910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマ
ー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネ
ート樹脂などを挙げることかできるが、好ましくはポリ
テトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することが
ある)である。
【0075】フィブリル形成能を有するPTFEの分子
量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用
によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示す
ものである。その分子量は、標準比重から求められる数
平均分子量において100万〜1000万、より好まし
く200万〜900万である。かかるPTFEは、固体
形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。ま
たかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中で
の分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特
性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物
を使用することも可能である。
【0076】かかるフィブリル形成能を有するPTFE
の市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル
(株)のテフロン6J、ダイキン化学工業(株)のポリ
フロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げる
ことができる。PTFEの水性分散液の市販品として
は、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオ
ンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフ
ルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル
(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げること
ができる。
【0077】混合形態のPTFEとしては、(1)PT
FEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液
とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開
昭60−258263号公報、特開昭63−15474
4号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水
性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法
(特開平4−272957号公報に記載された方法)、
(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均
一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に
除去する方法(特開平06−220210号公報、特開
平08−188653号公報などに記載された方法)、
(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する
単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に
記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液
と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液
中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法
(特開平11−29679号などに記載された方法)に
より得られたものが使用できる。これらの混合形態のP
TFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタ
ブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャ
リティーケミカル社製「BLENDEX B449」
(商品名)などを挙げることができる。
【0078】混合形態におけるPTFEの割合として
は、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜6
0重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%で
ある。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PT
FEの良好な分散性を達成することができる。
【0079】(C成分)本発明はA成分100重量部に
対するC成分の割合w重量部がそのpH値pとの関係に
おいて、下記式(1)を満足する範囲とすることで、従
来難燃剤とは認識されていない成分から高い難燃性を得
たものである。 50≦(10(p-7))×w≦1000 (1) (ここでpは本文記載の方法で求められたC成分のpH
値を表す。)
【0080】上記(1)式の下限は好ましくは100、
より好ましくは150、更に好ましくは200、特に好
ましくは250である。一方上記(1)式の上限は好ま
しくは700、より好ましくは650、更に好ましくは
600、特に好ましくは550である。
【0081】すなわち、A成分100重量部に対するC
成分の割合w重量部は、そのpH値pとの関係におい
て、下記式(3)を満足する範囲が最も好ましい。 250≦(10(p-7))×w≦550 (3) (ここでpは本文記載の方法で求められたC成分のpH
値を表す。)
【0082】ここでpは8〜12であることが好まし
く、9〜12であることがより好ましく、10〜11.
5であることが更に好ましい。pH値pが高いほど少量
の配合量で良好な難燃性が達成できる一方、あまりに高
い場合は耐湿熱性などの点で不利となる。一方pH値が
低い場合は実質的に多量の珪酸金属塩が必要となり、他
の特性に対する悪影響が大きくなりやすい。
【0083】尚、上記のpH値pは次の方法で求められ
るものである。すなわち、pH値は、C成分1gと、電
気抵抗値が18MΩ・cm以上(すなわち電気伝導度が
約0.55μS/cm以下)である水99gとを23℃
において混合し懸濁液(又は溶液)を作成し、密栓状態
で10分間分間振とうしたのち、pHメーターにより2
3℃にて測定する。
【0084】上記式(1)の好ましい範囲、および上記
pの好ましい範囲などとの関係により、上記C成分の量
wは、上記式(1)を満足し且つ0.005〜1.5重
量部の範囲となるものがより好ましく、更に好ましくは
上記式(1)を満足し且つ0.01〜1重量部となるも
のが更に好適である。
【0085】本発明のC成分の珪酸金属塩について更に
説明する。該C成分は、少なくとも金属酸化物成分とS
iO2成分とからなる珪酸金属塩である。C成分の珪酸
金属塩は、その珪酸イオンの形態としてオルトシリケー
ト、ジシリケート、環状シリケート、鎖状シリケート、
層状シリケート、およびテクトシリケートのいずれの形
態であってもよい。しかしながら上述のごとくpH値p
が比較的高い方が本発明においてはその割合が少量で済
むことから有利であるが、特にC成分が天然鉱物の場合
にはオルトシリケート、ジシリケート、環状シリケー
ト、および鎖状シリケートなどが有利である。これは天
然鉱物の場合SiO2連鎖が極めて大きく、層状シリケ
ートのような構造では取り込まれた金属イオン成分が系
外に出にくくなるためではないかと予想される。
【0086】C成分の珪酸金属塩は結晶状態、ガラス状
態、結晶とガラスの混在した状態のいずれの状態をとっ
たものでもよく、更に該結晶は各珪酸金属塩が取り得る
いずれの変態であってもよい。また結晶の形状も繊維状
や板状などの各種の形状を取ることができる。またC成
分の珪酸金属塩は結晶性であっても非晶性であってもよ
い。
【0087】C成分の珪酸金属塩は複合酸化物、酸素酸
塩(イオン格子からなる)、固溶体のいずれの化合物で
もよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組合
せ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組合せ
のいずれであってもよく、更に固溶体においても2種以
上の金属酸化物の固溶体、および2種以上の酸素酸塩の
固溶体のいずれであってもよい。
【0088】C成分の珪酸金属塩は、水和物であっても
よい。水和物における結晶水の形態はSi−OHとして
水素珪酸イオンとして入るもの、金属陽イオンに対して
水酸イオン(OH-)としてイオン的に入るもの、およ
び構造の隙間にH2O分子として入るもののいずれの形
態であってもよい。
【0089】C成分の珪酸金属塩は、天然物および人工
合成物のいずれも使用できる。人工合成物としては、従
来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、およ
び超高圧反応などを利用した各種の合成法、から得られ
た珪酸金属塩が利用できる。
【0090】C成分の珪酸金属塩は、好ましくはその組
成が実質的に下記式(2)で示されるものである。 xMO・ySiO2・zH2O (2) (ここでxおよびyは自然数を表し、zは0以上の整数
を表し、MOは金属酸化物成分を表し、複数の金属酸化
物成分であってもよい。)
【0091】更に上記式(2)においてはxおよびyの
関係において、x:yが1:5〜10:1であることが
好ましく、1:4〜3:1であることがより好ましく、
1:3〜3:1であることが更に好ましく、5:8〜
2:1であることが特に好ましい。尚、かかるxの値は
複数の金属酸化物成分が存在する場合には、それらの合
計の数を示す。
【0092】上記金属酸化物MOにおける金属として
は、例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム、バリウ
ム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、マグ
ネシウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなどが
挙げられる。ここでこれらの金属酸化物のイオン間結合
力は、陽イオン、陰イオンの電荷をそれぞれe1、e2
とし、陽イオンのイオン半径をrとすると、e1・e2
/r2により近似的に求めることができる。かかるイオ
ン間結合力の大きさの順位は低い方からK2O、Na
2O、Li2O、BaO、CaO、ZnO、MnO、Fe
O、CoO、MgO、Fe23、ZrO2、Al23
TiO2となる(イオン半径はWyckoff(194
8)の実測値(無機化学ハンドブック 技報堂出版
(株)発行などに掲載)に基づく)。
【0093】本発明のC成分における金属酸化物MOの
好ましい態様は、上記のイオン間結合力の順位において
その結合力がAl23以下が好ましく、Fe23以下が
より好ましく、MgO以下が更に好ましい。更にLi2
O以上がより好ましく、CaO以上が更に好ましい。K
2O、およびNa2Oでは良好な難燃性が達成される一
方、耐湿熱性に劣る場合がある。上記好ましい範囲の珪
酸金属塩においては難燃性樹脂組成物の難燃性と耐湿熱
性などの耐環境性との更に優れた両立が達成される。上
記の範囲がより好ましい理由は、イオン間結合力が低い
ものほど他の成分とのイオン的な反応における活性に富
んでおり、活性が強ければ高い難燃性は達成される一
方、湿熱性などのイオン的な分解反応も促進されやすく
なるためだと考えられる。尚、下記の“実質的に含む”
とは金属酸化物MOの中に2種以上の金属酸化物を含む
場合には、(2)式において金属酸化物の合計100m
ol%中、上記の好ましい金属酸化物を20モル%以上
含む場合をいい、より好ましくは25mol%以上、更
に好ましくは40mol%以上、特に好ましくは50m
ol%以上である場合をいう。
【0094】金属酸化物MOにおいて更に好ましい態様
はそのイオン間結合力がCaOからMgOの範囲内であ
る金属酸化物を実質的に含むものであり、特にその入手
容易性の点からCaOまたはMgOのいずれかを実質的
に含むものが好ましい。更に好ましいのは金属酸化物M
Oが、CaOおよびMgOから選択される少なくとも1
種の成分から実質的になる場合であり、殊に好ましいの
はMgOから実質的になる場合である。
【0095】各金属酸化物MOにおける珪酸金属塩の具
体例としては以下のものが挙げられる。ここでカッコ内
の表記はかかる珪酸金属塩を主成分とする鉱物等の名称
であり、例示された金属塩としてカッコ内の化合物が使
用できることを意味する。
【0096】K2Oをその成分に含むものとしては、K2
O・SiO2、K2O・4SiO2・H2O、K2O・Al2
3・2SiO2(カルシライト)、K2O・Al23
4SiO2(白リュウ石)、およびK2O・Al23・6
SiO2(正長石)、などが挙げられる。
【0097】Na2Oをその成分に含むものとしては、
Na2O・SiO2、およびその水化物、Na2O・2S
iO2、2Na2O・SiO2、Na2O・4SiO2、N
2O・3SiO2・3H2O、Na2O・Al23・2S
iO2、Na2O・Al23・4SiO2(ヒスイ輝
石)、2Na2O・3CaO・5SiO2、3Na2O・
2CaO・5SiO2、およびNa2O・Al23・6S
iO2(曹長石)などが挙げられる。
【0098】Li2Oをその成分に含むものとしては、
Li2O・SiO2、2Li2O・SiO2、Li2O・S
iO2・H2O、3Li2O・2SiO2、Li2O・Al2
3・4SiO2(ペタライト)、Li2O・Al23
2SiO2(ユークリプタイト)、およびLi2O・Al
23・4SiO2(スポジュメン)などが挙げられる。
【0099】BaOをその成分に含むものとしては、B
aO・SiO2、2BaO・SiO2、BaO・Al23
・2SiO2(セルシアン)、およびBaO・TiO2
3SiO2(ベントアイト)などが挙げられる。
【0100】CaOをその成分に含むものとしては、3
CaO・SiO2(セメントクリンカー鉱物のエーライ
ト)、2CaO・SiO2(セメントクリンカー鉱物の
ビーライト)、2CaO・MgO・2SiO2(オーケ
ルマナイト)、2CaO・Al23・SiO2(ゲーレ
ナイト)、オーケルマナイトとゲーレナイトとの固溶体
(メリライト)、CaO・SiO2(ウォラストナイト
(α−型、β−型のいずれも含む))、CaO・MgO
・2SiO2(ジオプサイド)、CaO・MgO・Si
2(灰苦土カンラン石)、3CaO・MgO・2Si
2(メルウイナイト)、CaO・Al23・2SiO2
(アノーサイト)、5CaO・6SiO2・5H2O(ト
バモライト、その他5CaO・6SiO2・9H2Oな
ど)などのトバモライトグループ水和物、2CaO・S
iO2・H2O(ヒレブランダイト)などのウォラストナ
イトグループ水和物、6CaO・6SiO2・H2O(ゾ
ノトライト)などのゾノトライトグループ水和物、2C
aO・SiO2・2H2O(ジャイロライト)などのジャ
イロライトグループ水和物、CaO・Al23・2Si
2・H2O(ローソナイト)、CaO・FeO・2Si
2(ヘデンキ石)、3CaO・2SiO2(チルコアナ
イト)、3CaO・Al23・3SiO2(グロシュ
ラ)、3CaO・Fe23・3SiO2(アンドラダイ
ト)、6CaO・4Al23・FeO・SiO2(プレ
オクロアイト)、並びにクリノゾイサイト、紅レン石、
褐レン石、ベスブ石、オノ石、スコウタイト、およびオ
ージャイトなどが挙げられる。
【0101】更にCaOをその成分に含む珪酸金属塩と
してポルトランドセメントを挙げることができる。ポル
トランドセメントの種類は特に限定されるものではな
く、普通、早強、超早強、中よう熱、耐硫酸塩、白色な
どのいずれの種類も使用できる。更に各種の混合セメン
ト、例えば高炉セメント、シリカセメント、フライアッ
シュセメントなどもC成分として使用できる。
【0102】またその他のCaOをその成分に含む珪酸
金属塩として高炉スラグやフェライトなどを挙げること
ができる。
【0103】ZnOをその成分に含むものとしては、Z
nO・SiO2、2ZnO・SiO2(トロースタイ
ト)、および4ZnO・2SiO2・H2O(異極鉱)な
どが挙げられる。
【0104】MnOをその成分に含むものとしては、M
nO・SiO2、2MnO・SiO2、CaO・4MnO
・5SiO2(ロードナイト)およびコーズライトなど
が挙げられる。
【0105】FeOをその成分に含むものとしては、F
eO・SiO2(フェロシライト)、2FeO・SiO2
(鉄カンラン石)、3FeO・Al23・3SiO
2(アルマンジン)、および2CaO・5FeO・8S
iO2・H2O(テツアクチノセン石)などが挙げられ
る。
【0106】CoOをその成分に含むものとしては、C
oO・SiO2および2CoO・SiO2などが挙げられ
る。
【0107】MgOをその成分に含むものとしては、M
gO・SiO2(ステアタイト、エンスタタイト)、2
MgO・SiO2(フォルステライト)、3MgO・A
2 3・3SiO2(バイロープ)、2MgO・2Al2
3・5SiO2(コーディエライト)、2MgO・3S
iO2・5H2O、3MgO・4SiO2・H2O(タル
ク)、5MgO・8SiO2・9H2O(アタパルジャイ
ト)、4MgO・6SiO2・7H2O(セピオライ
ト)、3MgO・2SiO2・2H2O(クリソライ
ト)、5MgO・2CaO・8SiO2・H2O(透セン
石)、5MgO・Al23・3SiO2・4H2O(緑泥
石)、K2O・6MgO・Al23・6SiO2・2H2
O(フロゴバイト)、Na2O・3MgO・3Al23
・8SiO2・H2O(ランセン石)、並びにマグネシウ
ム電気石、直セン石、カミントンセン石、バーミキュラ
イト、スメクタイトなどが挙げられる。
【0108】Fe23をその成分に含むものとしては、
Fe23・SiO2などが挙げられる。
【0109】ZrO2をその成分に含むものとしては、
ZrO2・SiO2(ジルコン)およびAZS耐火物など
が挙げられる。
【0110】Al23をその成分に含むものとしては、
Al23・SiO2(シリマナイト、アンダリューサイ
ト、カイアナイト)、2Al23・SiO2、Al23
・3SiO2、3Al23・2SiO2(ムライト)、A
23・2SiO2・2H2O(カオリナイト)、Al2
3・4SiO2・H2O(パイロフィライト)、Al2
3・4SiO2・H2O(ベントナイト)、K2O・3Na
2O・4Al23・8SiO2(カスミ石)、K2O・3
Al23・6SiO2・2H2O(マスコバイト、セリサ
イト)、K2O・6MgO・Al23・6SiO2・2H
2O(フロゴバイト)、並びに各種のゼオライト、フッ
素金雲母、および黒雲母などを挙げることができる。
【0111】上記珪酸金属塩としては、任意の形状(粒
状、繊維状、針状、板状等)のものが使用できる。また
平均粒子径も任意のものが使用できるが、平均粒子径は
細かいほど好ましく、なかでも平均粒子径20μm以下
のものが好ましく、更に5μm以下のものがより好まし
く、特に2μm以下のものは好適である。一方で下限と
しては0.03μm以上のものが適当であり、それ未満
のものは比較的稀である。尚、平均粒子径が低いほど好
ましい理由は、C成分が特に粒子の表面において難燃効
果を発揮しており、平均粒子径が小さい程重量当たりの
表面積が多くなるためだと考えられる。また平均粒径
は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD
50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を
行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製
Sedigraph5100などを挙げることができ
る。
【0112】(D成分)また、本発明の難燃性樹脂組成
物には、更なる難燃性の改良を目的としてD成分として
芳香族基を有する有機シロキサンを含むことができる。
更にD成分を含むことでより安定した難燃性の達成が可
能となる。かかる有機シロキサンを含む場合、その組成
割合はA成分100重量部あたり0.1〜5重量部が好
ましく、0.3〜3重量部がより好ましい。これによ
り、熱安定性等の特性を損なうことなく高レベルの難燃
化が可能となる。
【0113】本発明に使用する芳香族基を有する有機シ
ロキサン(D成分)は、芳香族基としてフェニル基、ビ
フェニル基、ナフタレン基、またはこれらの誘導体を有
する有機シロキサンであり、中でもフェニル基を有する
有機シロキサンが好ましい。かかる芳香族基の含有量と
しては、D成分中に含有される有機官能基のうち10モ
ル%以上であることが好ましく、更に好ましくは20モ
ル%以上、95モル%以下である。また芳香族基以外の
有機基としてはメチル基が好ましい。更に本発明のD成
分である有機シロキサンには、エポキシ基、カルボキシ
ル基、ビニル基などの官能基が置換されたものであって
もよい。かかる有機シロキサンは1種のみ用いてもよい
し、複数種用いてもよい。
【0114】更に本発明のD成分としては、以下に示す
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法
により測定された重量平均分子量が300〜10,00
0のものが好ましく、より好ましくは重量平均分子量が
400〜5,000、更に好ましくは400〜1,00
0である。尚、本発明のD成分の測定に使用されるGP
C法は、装置:ガリバーシリーズ(日本分光製)、カラ
ム:MIXED−C(PL社製)、移動相:クロロホル
ム、標準物質:イージーキャル(PS−2)、検出器:
示差屈折計を用い、流量1ml/minにて濃度0.1
w/vol%の試料を100μl注入しカラム温度35
℃にて測定したものである。
【0115】上記D成分としては好ましい態様として
は、例えば一般式(iv)および一般式(v)に示され
る化合物から選択される少なくとも1種の化合物があげ
られる。
【0116】
【化4】
【0117】(式中、β1はビニル基、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、並びに
炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示
す。γ1、γ2、γ3、γ4、γ5、およびγ6は炭素数1〜
6のアルキル基およびシクロアルキル基、並びに炭素数
6〜12のアリール基およびアラルキル基を示し、少な
くとも1つの基がアリール基またはアラルキル基であ
る。δ1、δ2、およびδ3は炭素数1〜4のアルコキシ
基を示す。)
【0118】
【化5】
【0119】(式中、β2およびβ3はビニル基、炭素数
1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル
基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキ
ル基を示す。γ7、γ8、γ9、γ10、γ11、γ12、γ13
およびγ14は炭素数1〜6のアルキル基、、炭素数3〜
6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリー
ル基およびアラルキル基を示し、少なくとも1つの基が
アリール基またはアラルキルである。δ4、δ5、δ6
およびδ7は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
(E成分)本発明のE成分として使用される有機アルカ
リ金属塩、有機アルカリ土類金属塩としては、従来ポリ
カーボネート樹脂を難燃化するのに使用されている各種
の金属塩が使用可能であるが、特に有機スルホン酸の金
属塩、または硫酸エステルの金属塩を挙げることができ
る。有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩は、
極少量併用することにより熱安定性や耐湿熱性を低下さ
せることなく更に良好な難燃性を得ることを可能とす
る。これらは単独の使用だけでなく、2種以上を混合し
て使用することも可能である。尚、本発明のアルカリ金
属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジ
ウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属として
は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロン
チウム、バリウムが挙げられ、特に好ましくはリチウ
ム、ナトリウム、カリウムである。
【0120】本発明の有機スルホン酸の金属塩として
は、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホ
ン酸のアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカ
リ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩等が
挙げられる。かかる脂肪族スルホン酸金属塩の好ましい
例としては、アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属
塩、かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩
のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸
アルカリ(土類)金属塩、およびパーフルオロアルカン
スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることがで
き、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用する
ことができる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記
は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含
む意味で使用する)。
【0121】アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属
塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例として
は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンス
ルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン
酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタ
ンスルホン酸等があげられ、これらは1種もしくは2種
以上を併用して使用することができる。またかかるアル
キル基の一部がフッ素原子で置換した金属塩も挙げるこ
とができる。
【0122】一方、パーフルオロアルカンスルホン酸の
好ましい例としては、パーフルオロメタンスルホン酸、
パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパン
スルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフル
オロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンス
ルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフル
オロオクタンスルホン酸等があげられ、特に炭素数が1
〜8のものが好ましい。これらは1種もしくは2種以上
を併用して使用することができる。
【0123】かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土
類)金属塩としては、エタンスルホン酸ナトリウム塩
が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)
金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸カリウ
ム塩を好ましく挙げることができる。
【0124】芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩
に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状また
はポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香
族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状
またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香
族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマ
ー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状
の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン
酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスル
ホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合
体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げる
ことができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して
使用することができる。
【0125】モノマー状またはポリマー状の芳香族サル
ファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩として
は、特開昭50−98539号公報に記載されており、
例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホ
ン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’
−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
【0126】芳香族カルボン酸およびエステルのスルホ
ン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−9
8540号公報に記載されており、例えば5−スルホイ
ソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナト
リウムなどを挙げることができる。
【0127】モノマー状またはポリマー状の芳香族エー
テルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特
開昭50−98542号公報に記載されており、例えば
1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、
4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウ
ム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリ
スルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレン
オキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,
4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウ
ム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポ
リスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−
ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムな
どを挙げることができる。
【0128】芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ
(土類)金属塩としては、特開昭50−98544号公
報に記載されており、例えばベンゼンスルホネートのス
ルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
【0129】モノマー状またはポリマー状の芳香族スル
ホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−
98546号公報に記載されており、例えばベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウ
ム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジ
スルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホ
ン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸
カルシウムなどを挙げることができる。
【0130】モノマー状またはポリマー状の芳香族スル
ホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開
昭52−54746号公報に記載されており、例えばジ
フェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェ
ニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルス
ルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニ
ルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを
挙げることができる。
【0131】芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土
類)金属塩としては、特開昭50−98547号公報に
記載されており、例えばα,α,α−トリフルオロアセ
トフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノ
ン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げるこ
とができる。
【0132】複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属
塩としては、特開昭50−116542号公報に記載さ
れており、例えばチオフェン−2,5−ジスルホン酸ジ
ナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリ
ウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、
ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムなどを挙げるこ
とができる。
【0133】芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカ
リ(土類)金属塩としては、特開昭52−54745号
公報に記載されており、例えばジフェニルスルホキサイ
ド−4−スルホン酸カリウムなどを挙げることができ
る。
【0134】芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩
のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンス
ルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセン
スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げる
ことができる。
【0135】一方、硫酸エステルのアルカリ(土類)金
属塩としては、特に一価および/または多価アルコール
類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げるこ
とができ、かかる一価および/または多価アルコール類
の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル
硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、
ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセ
ライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライド
の硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸
エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エス
テルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリ
ル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げること
ができる。
【0136】また他の有機アルカリ(土類)金属塩とし
ては、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩
を挙げることができ、例えばサッカリン、N−(p−ト
リルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−
(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミ
ド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニル
イミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
【0137】上記に挙げた有機アルカリ(土類)金属塩
のうち、より好ましい成分として芳香族スルホン酸のア
ルカリ(土類)金属塩およびパーフルオロアルカンスル
ホン酸のアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ
る。
【0138】(組成割合)各成分の組成割合は、A成分
100重量部に対し、B成分0.005〜5重量部、お
よびC成分w重量部であり、該wはそのpH値pに対し
て上記式(1)の範囲を満足するものである。B成分は
A成分100重量部に対し、0.01〜3重量部が好ま
しく、0.05〜1重量部がより好ましく、0.1〜
0.5重量部が更に好ましい。尚、B成分が水性分散液
や他の樹脂との混合物形態である場合においても、その
正味のPTFEの量をさす。
【0139】一方C成分の重量割合であるwは、より好
ましくは上記式(1)を満足し且つ0.005〜1.5
重量部であり、更に好ましくは上記式(1)を満足し且
つ0.01〜1重量部である。
【0140】A成分100部に対して、B成分が0.0
05重量部未満ではドリップ防止効果が不十分な場合が
有り、また5重量部を越える場合では機械強度の低下や
成形加工性が不利となる場合がある。また、C成分が上
記wの範囲を外れた場合には十分な難燃効果が発揮され
ない。
【0141】C成分の難燃機構については、詳細は明ら
かになっていないが、かかる粒子表面の珪酸塩部位が、
芳香族ポリカーボネート樹脂等の比較的チャー形成性に
優れた樹脂の分解による炭化を促進し、酸素を遮断する
炭化被膜が出来易くすることにより難燃性が向上すると
推測している。更にその分解効果は珪酸金属塩の塩基性
に起因すると共に、その特定割合において効果的な難燃
性が達成されるものと考えられる。ここでC成分の添加
量に最適な範囲が存在するのは、樹脂の分解が過剰にな
り過ぎると、炭化被膜の形成よりも先に樹脂の溶融粘度
の低下を生じ、変形に伴う新たな樹脂表面の露出によっ
て炭化被膜の形成が進行しないためであると推定してい
る。
【0142】更にD成分を含む場合には、その組成割合
は、A成分100重量部に対して0.1〜5重量部であ
ることが好ましく、0.5〜4重量部がより好ましく、
1〜3重量部が更に好ましい。
【0143】更にE成分を含む場合には、その組成割合
は、A成分100重量部に対して0.0005〜0.2
重量部であることが好ましい。かかる組成割合の下限と
してはA成分100重量部に対して0.001重量部が
より好ましく、0.002重量部が更に好ましく、0.
004重量部が特に好ましい。一方組成割合の上限とし
てはA成分100重量部に対して0.1重量部がより好
ましく、0.05重量部が更に好ましく、0.02重量
部が特に好ましい。E成分が0.2重量部を超える場合
には、耐熱性や耐湿熱性において劣る場合がある。
【0144】更に本発明は、弾性重合体(F成分)を含
んでなる難燃性樹脂組成物とすることができ、該樹脂組
成物は耐衝撃性等が更に求められる場合に好適である。
【0145】ここで弾性重合体とは、ガラス転移温度が
10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは
−30℃以下であるゴム成分と共重合してなる重合体を
いう。ゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエ
ンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリ
ロニトリル・ブタジエン共重合体、並びにアクリル酸ア
ルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルお
よびブタジエンの共重合体など)、エチレンとα−オレ
フィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンラ
ンダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブ
テンのランダム共重合体およびブロック共重合体な
ど)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合
体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、および
エチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレ
ンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢
酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共
役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン
・ヘキサジエン共重合体など)、アクリル系ゴム(例え
ば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシ
ルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エ
チルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びに
シリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴ
ム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴ
ム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互
に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガ
ノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分から
なるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
【0146】かかるゴム成分に共重合される単量体成分
としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アク
リル酸化合物などが好適に挙げられる。その他の単量体
成分としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキ
シ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミ
ド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−
不飽和カルボン酸およびその無水物等を挙げることがで
きる。
【0147】より具体的には、SB(スチレン−ブタジ
エン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−
ブタジエン−スチレン)重合体、MB(メチルメタクリ
レート−ブタジエン)重合体、ASA(アクリロニトリ
ル−スチレン−アクリルゴム)重合体、AES(アクリ
ロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)重合
体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合
体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−ス
チレン)重合体、メチルメタクリレート−(アクリル/
シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができ
る。
【0148】その他弾性重合体としては、スチレン系熱
可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラ
ストマーなど各種の熱可塑性エラストマーが挙げられ
る。
【0149】F成分を含む場合には、その組成割合は、
A成分100重量部に対して0.1〜20重量部であ
り、好ましくは、A成分100重量部に対して0.5〜
10重量部であり、更に好ましくは0.5〜8重量部で
ある。
【0150】(その他の成分)本発明の難燃性樹脂組成
物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の熱可塑性
樹脂および各種の添加剤を含むことができる。各種の添
加剤としては熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型
剤、滑剤、摺動剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チ
タンなどの顔料、染料)、高分子架橋粒子、蛍光増白
剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結
晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微
粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収
剤、フォトクロミック剤などを挙げることができる。樹
脂組成物の劣化を防止する為、熱安定剤、紫外線吸収
剤、光安定剤などは樹脂組成物中に含まれることが好ま
しい。特に熱安定剤は含まれることが好ましい。
【0151】他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹
脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、
AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリ−4−メチ
ルペンテン−1、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン
樹脂、水添ポリスチレン樹脂、液晶ポリマー、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイドなどを挙げることができる(尚、ここでMS樹脂
はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重
合体、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロ
ピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共重合
体、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、および
アクリルゴムから主としてなる共重合体、MAS樹脂は
メチルメタクリレート、アクリルゴム、およびスチレン
から主としてなる共重合体、SMA樹脂はスチレンと無
水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体を指
す。)。
【0152】本発明の難燃性樹脂組成物の熱安定剤とし
ては、リン系安定剤を含むことが好ましい。かかるリン
系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイト系、
およびホスフェート系のいずれも使用可能である。
【0153】ホスファイト系安定剤としては、アルキル
基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化
合物が好ましく挙げられる。例えば、トリス(ジエチル
フェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
トなどが挙げられ、特にトリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0154】更に上記アリール基の一部が環状構造を有
するアリール基を有するホスファイト化合物も使用でき
る。例えば2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−te
rt−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−
ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチル
フェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス
(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−
tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト
などを挙げることができる。
【0155】上記以外のリン系熱安定剤として更に以下
のものを挙げることができる。ホスファイト化合物とし
ては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ
−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールA
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシ
ルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げら
れ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−
イソプロピリデンジフェノールジトリデシルホスファイ
トを挙げることができる。
【0156】ホスフェート化合物としては、トリブチル
ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロル
フェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフ
ェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキ
セニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、
好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホス
フェートである。
【0157】ホスホナイト化合物としては、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、
テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホ
スホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テ
トラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニ
レンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホ
ナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上
記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホス
ファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0158】本発明の難燃性樹脂組成物は各種の安定剤
を含むことができる。酸化防止剤としてはフェノール系
酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることがで
きる。フェノール系酸化防止剤としては種々のものを使
用することができる。
【0159】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピ
オネート、2−tert−ブチル−6−(3’−ter
t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス
{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,
1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス
[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンな
どを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β
−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブ
チルフェニル)プロピオネートをより好ましく挙げるこ
とができる。
【0160】本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例とし
ては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エス
テル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エ
ステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸
エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン
酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプ
ロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β
−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−
メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)
−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタ
デシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,
1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることが
できる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ
(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げる
ことができる。
【0161】本発明の難燃性樹脂組成物は紫外線吸収剤
を含むことができる。紫外線吸収剤としては、例えば2
−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ
−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0162】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−
ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,
2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチ
ル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレング
リコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0163】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げる
ことができる。
【0164】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプ
ロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメ
チル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒン
ダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光
安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用に
おいて、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮
する。
【0165】上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系
酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独
または2種以上併用することができる。
【0166】これら安定剤の組成物中の割合としては、
本発明の難燃性樹脂組成物100重量%中、リン系安定
剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止
剤はそれぞれ0.0001〜1重量%であることが好ま
しい。より好ましくは難燃性樹脂組成物100重量%中
0.0005〜0.5重量%である。更に好ましくは
0.001〜0.2重量%である。
【0167】また紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、本
発明の難燃性樹脂組成物100重量%中0.01〜5重
量%、より好ましくは0.02〜1重量%である。
【0168】本発明の難燃性樹脂組成物は離型剤を含有
することができる。かかる離型剤としては公知のものが
使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪
酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレン
ワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能
基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フ
ッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表され
るフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋など
を挙げることができる。
【0169】好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステ
ルが挙げられる。かかる離型剤の場合には良好な透明性
を維持することができる。例えばステアリン酸のモノグ
リセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどの
グリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステ
アレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等の
ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステア
レートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネ
ートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類
が使用される。離型剤は難燃性樹脂組成物100重量%
中0.01〜2重量%であることが好ましい。
【0170】また、本発明の難燃性樹脂組成物には紫外
線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイ
ング剤を配合することができる。具体的なブルーイング
剤としては、例えばマクロレックスブルーRR、マクロ
レックスバイオレットBやテラゾールブルーRLSなど
を挙げることができる。
【0171】(製造方法)本発明の難燃性樹脂組成物を
製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分
〜C成分、および任意に他の添加剤を、V型ブレンダ
ー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混
合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場
合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどに
より造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表さ
れる溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機
器によりペレット化する方法が挙げられる。
【0172】他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二
軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法や、
各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶
融混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合す
る方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を
有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合す
る添加剤とをブレンドして、パウダーで希釈した添加剤
のマスターバッチとする方法が挙げられる。
【0173】より具体的には、例えばB成分として固体
のフィブリル形成能を有するPTFE、およびC成分と
してタルクやワラストナイトなどのフィラーを使用する
場合は、両者をヘンシェルミキサーなどの高速撹拌混合
機により予備混合する方法などが挙げられる。更にかか
る場合にB成分としてディスパージョンタイプのものを
使用し、分散状態をより微細化するなどの方法や、更に
A成分の粉体の一部を混合する方法なども挙げられる。
また一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法
なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがあ
る場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、
または液添装置を使用することができる。
【0174】本発明の難燃性樹脂組成物は通常かかるペ
レットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品
を製造することができる。かかる射出成形においては、
通常のコールドランナー方式の成形法だけでなくホット
ランナー方式の成形法が可能であり、通常の射出成形法
だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、射出
プレス成形、インサート成形、インモールド成形、局所
高温金型成形(断熱金型成形を含む)、二色成形、サン
ドイッチ成形、超高速射出成形などを使用することがで
きる。
【0175】また本発明の難燃性樹脂組成物は、押出成
形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの
形で使用することもできる。またシート、フィルムの成
形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャステ
ィング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作を
かけることにより熱収縮チューブとして成形することも
可能である。また本発明の難燃性樹脂組成物を回転成形
やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能で
ある。
【0176】かくして得られた本発明の難燃性樹脂組成
物は、難燃剤として塩素化合物、臭素化合物、またはリ
ン酸エステル化合物を実質的に含むことなく、優れた難
燃性を達成する。したがって本発明の難燃性樹脂組成物
は少ない環境負荷と優れた難燃性を両立するものであ
る。更には耐湿熱性にも優れるものである。したがって
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂を60重
量%以上含有し、UL94規格において2.0mm以下
の厚みにてV−0の難燃性を有し、且つ温度120℃×
湿度100%の条件にて48時間処理後の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の分子量低下率が10%以下である難燃
性ポリカーボネート樹脂組成物が達成されることとな
る。より好適には1.8mm以下の厚みにおいてV−0
の難燃性を有し、更に好適には1.5mm以下の厚みに
おいてV−0の難燃性を有する樹脂組成物が提供され
る。上記の耐湿熱性を有することにより本発明の難燃性
樹脂組成物は環境劣化に対する耐性が良好でありリサイ
クル特性に優れるものである。
【0177】したがって、本発明の難燃性樹脂組成物
は、リサイクル特性に対する要求の高いOA機器や家電
製品における内部部品や筐体などに好適である。かかる
用途として具体的には、例えば、パソコン内外装、ノー
トパソコン外装、CRTディスプレー、プリンター、携
帯端末、携帯電話、コピー機、ファックス、記録媒体
(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブ、パラボ
ラアンテナ、電動工具、VTR、テレビ、アイロン、ヘ
アードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、オー
ディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトデ
ィスクなどの音声機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、
タイプライター、ワードプロセッサーなどを挙げること
ができる。またランプソケット、ランプリフレクター、
ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センタ
ーコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケ
ーション部品、カーステレオ部品などの車両用部品を挙
げることができる。その他機械部品や雑貨などの各種用
途にも有用である。
【0178】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げ、本発明の
効果を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定され
るものではない。
【0179】(実施例1〜35、および比較例1〜9)
表1〜表5に記載の原材料を、B成分、C成分およびそ
の他の成分はそれぞれ別のA成分の一部(それぞれの成
分が10重量%となる量)とポリエチレン袋中で均一に
ブレンドした後、タンブラーに表記載の量投入した後約
15分回転させて均一に混合し、スクリュー径30mm
のベント付き二軸押出機[(株)日本製鋼所製、TEX
−30α]にて、下記のシリンダー温度、ベント吸引度
3000Pa、およびスクリュー回転数180rpmで
ストランドを押出し、そのストランドを水冷した後、ペ
レタイザーで切断してペレットを得た。得られたペレッ
トを110℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、
射出成形機[ファナック(株)T−150D]により下
記の温度条件で試験片を成形した。
【0180】(i) A成分としてPC−1〜4を使用し
たサンプルについては、押出時のシリンダ温度280
℃、並びに成形時のシリンダ温度300℃および金型温
度70℃ (ii) A成分としてPARを使用したサンプルについ
ては、押出時のシリンダ温度350℃、並びに成形時の
シリンダ温度380℃および金型温度100℃ (iii) A成分としてPPEを使用したサンプルにつ
いては、押出時のシリンダ温度250℃、並びに成形時
のシリンダ温度270℃および60℃ (iv) A成分としてPC−1とPArとの混合物を使
用したサンプルについては、押出時のシリンダ温度31
0℃、並びに成形時のシリンダ温度330℃および金型
温度90℃ (v) A成分としてPC−1とPPEとの混合物を使用
したサンプルについては、押出時のシリンダ温度270
℃、並びに成形時のシリンダ温度290℃および金型温
度70℃
【0181】C成分の珪酸金属塩(または一部のC成分
以外)のpH値は次のように測定を行った。C成分10
00mgをパイレックス(登録商標)ガラス製のフラス
コの中に電子天秤を用いて測り取った。更に、かかるフ
ラスコ内にヤマト科学(株)製オートピュアWQ500
型を通して得られた電気抵抗値が18MΩ・cm以上
(すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下)で
ある23℃の水99000mgを測り取った。かかる水
とC成分との混合物を密栓した状態で振とう機(ヤマト
科学(株)製MK200D型)で10分間振とうした。
振とう終了後1分間静置させ、静置後すぐにpHメータ
ー(堀場製作所(株)製pHメーターD−24型)によ
り23℃においてpH値を測定した。
【0182】サンプルの特性評価は以下の項目について
実施した。 難燃性 UL94規格に従って作成した厚さ1.6mmおよび
1.2mmの試験片を用いて垂直燃焼試験(V試験)を
行った。試験の結果に基づいてUL−94V−0、V−
1、V−2および規格外Not−Vのいずれかの等級に
評価した。更に5本の試験片の合計燃焼秒数を記録し
た。尚、実施例1〜3および比較例2〜4について、図
1にUL94規格V試験(厚さ1.6mm)の合計燃焼
秒数に対するC成分の添加量依存性を示した。 耐湿熱性 耐湿熱性の評価は、以下の手順にて促進試験を実施し
た。(株)平山製作所製の超加速寿命試験装置(型式P
C−305III/V)を使用し、温度120℃、湿度
100%RHの条件にて、上記方法で得た燃焼性評価用
の成形品を48時間の湿熱処理を実施し、湿熱処理前と
湿熱処理後の粘度平均分子量の差(ΔMv)および分子
量低下率(100×ΔMv/処理前の粘度平均分子量)
を算出した(尚、耐湿熱性はA成分に芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を使用したもののみ評価した。)。
【0183】また、表1〜5に記載の使用した原材料等
は以下の通りである。 (A成分) PC−1:粘度平均分子量19,700の直鎖状芳香族
ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製 パ
ンライトL−1225WX) PC−2:ビスフェノールAとジフェニルカーボネート
の溶融エステル交換反応により得られ、分岐結合成分が
全繰返し単位中約0.1モル%であるポリカーボネート
樹脂ペレット(粘度平均分子量19,700、尚、かか
る分岐結合成分の割合は、1H−NMRの測定より算出
し、同様に測定されたPC−1のポリカーボネート樹脂
では0モル%(該当ピークなし)であった) PC−3:分岐状芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット
(出光石油化学(株)製タフロンIB2500) PC−4:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp
−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界
面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹
脂において、粘度平均分子量15,200のものが10
重量部、粘度平均分子量23,700のものが80重量
部、および120,000のものが10重量部を溶融混
合してなり、その粘度平均分子量が29,500の芳香
族ポリカーボネート樹脂ペレット PAR:ポリアリレート樹脂(ユニチカ(株)製 Uポ
リマーU−100) PPE:ポリフェニレンエーテル系樹脂(旭化成工業
(株) ザイロン300H)
【0184】(B成分)PTFE:フィブリル形成能を
有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業
(株)製 ポリフロンMPA FA500) B449:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオ
ロエチレン粒子とスチレン−アクリロニトリル共重合体
粒子からなる混合物(ポリテトラフルオロエチレン含有
量50重量%)(GEスペシャリティーケミカルズ社製
BLENDEXB449)
【0185】(C成分) TALC:タルク(林化成工業(株)製 HS−T0.
8、pH=9.8) WSN:ワラストナイト(ナイコミネラルズ社製 NY
GLOS4、pH=10.0) 珪酸Mg:含水珪酸マグネシウム試薬(組成式:2Mg
O・3SiO2・5H2O、和光純薬工業(株)製、pH
=11.2) 珪酸Ca:珪酸カルシウム試薬(組成式:CaO・Si
2、和光純薬工業(株)製、pH=11.2) 珪酸Na:珪酸ナトリウム試薬(組成式:Na2O・3
SiO2・3H2O、和光純薬工業(株)製、pH=1
1.3) 珪酸Al:珪酸アルミニウム試薬(組成式:Al23
3SiO2、和光純薬工業(株)製、pH=7.5)
【0186】(D成分) SI:実質的に上記式(iv)で表わされ(一部メトキ
シ基間の反応あり)、ビニル基:メトキシ基:フェニル
基:メチル基の割合(モル比)が、約2:5:7:6で
ある、本文中に規定されたGPC法で測定した重量平均
分子量が約630である有機シロキサン(信越化学工業
(株)製「X−40−9243」)
【0187】(E成分) F114:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩
(大日本インキ化学(株)製「メガファックF−114
P」)
【0188】(F成分) IM−1:ブタジエンゴム強化−エチルアクリレート−
メチルメタアクリレート共重合体[呉羽化学工業(製)
EXL2602] IM−2:ポリオルガノシロキサンゴムとアクリレート
ゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体に
メチルメタクリレートを共重合した共重合体[三菱レー
ヨン(株)製 メタブレンS−2001] IM−3:ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレー
ト共重合ゴム強化−スチレン−メチルメタクリレート共
重合体(呉羽化学工業(株)製 HIA15) IM−4:2−エチルヘキシルアクリレート−n−ブチ
ルアクリレートゴム強化−メチルメタクリレート共重合
体[三菱レーヨン(株)製 メタブレンW−450A]
【0189】(比較例用の成分) CAO:酸化カルシウム(CaO)(和光純薬工業
(株)製、pH=12.1) FP:リン酸エステル系難燃剤(レゾルシノールビス
(ジキシレニルホスフェート)、旭電化工業(株)製ア
デカスタブFP−500) FG:ハロゲン系難燃剤(テトラブロモビスフェノール
Aからのポリカーボネートオリゴマー、帝人化成(株)
製 ファイヤガードFG−7000)
【0190】(それ以外の成分) 酸化防止剤:リン系酸化防止剤(日本チバガイギー
(株)製 Irgafos168) 離型剤:飽和脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン
(株)製リケマールSL900)
【0191】
【表1】
【0192】
【表2】
【0193】
【表3】
【0194】
【表4】
【0195】
【表5】
【0196】この表1〜表5より、本発明の難燃性樹脂
組成物は、従来の難燃剤を配合することなく、天然にも
存在するような環境負荷の低い珪酸金属塩を極少量配合
することで、良好な難燃性を達成するものであることが
わかる。したがって本発明によれば環境負荷が極めて低
い難燃性樹脂組成物を提供される。更に耐湿熱性に優れ
ており、よってリサイクル性も良好である。従来のハロ
ゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等を配合した場
合に比較して、本発明の難燃性樹脂組成物は同等の難燃
性および良好な耐湿熱性を有していることが分かる。
【0197】
【発明の効果】上記からの実施例からより明らかなよう
に、本発明の難燃性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、およびポリ
アリレート樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑
性樹脂、並びにフィブリル形成能を有するフッ素樹脂に
対して、更に金属酸化物成分とSiO2成分とからなる
珪酸金属塩を、該珪酸金属塩の割合がそのpH値pから
算出される特定割合で配合することにより、極めて顕著
な難燃性を達成するものである。すなわち通常難燃剤と
は認識されていない成分が特定の配合量において極めて
顕著な難燃性を発揮させるものである。しかもその配合
量は場合により極めて少量で済むことも明らかであり、
これにより機械的特性や耐湿熱性に対しても良好な効果
が得られるものである。
【0198】本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物は、従来のハロゲン系難燃剤およびリン酸エス
テル系難燃剤を配合する必要がない一方、難燃剤自体が
極少量かつ天然に存在するようなものであるため環境負
荷が小さい。また耐湿熱性にも優れる故にリサイクルに
適したものであり、したがってその奏する産業上の効果
は格別である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3および比較例2〜4におけるUL
94規格V試験(厚さ1.6mm)の合計燃焼秒数に対
するC成分の添加量依存性を示すグラフであり、横軸に
A成分100重量部に対するC成分の添加量(重量部)
を、および縦軸にUL試験の5本のサンプルの合計燃焼
秒数をとり、各実施例等の秒数がプロットしてある。ま
た実線はかかる挙動のおよその輪郭を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/03 C08L 67/03 71/12 71/12 //(C08L 69/00 C08L 27:12 27:12)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェ
    ニレンエーテル系樹脂、およびポリアリレート樹脂から
    選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A成分)10
    0重量部に対し、フィブリル形成能を有するフッ素含有
    樹脂(B成分)0.005〜5重量部、並びに少なくと
    も金属酸化物成分とSiO2成分とからなる珪酸金属塩
    (C成分)w重量部を含んでなる樹脂組成物であって、
    該wは下記式(1)の条件を満足するものである難燃性
    樹脂組成物。 50≦(10(p-7))×w≦1000 (1) (ここでpは本文記載の方法で求められたC成分のpH
    値を表す。)
  2. 【請求項2】 上記C成分のpが8〜12である請求項
    1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記C成分の量wが0.005〜1.5
    重量部である請求項1または2のいずれか1項に記載の
    難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記C成分の珪酸金属塩は、その組成式
    が実質的に下記式(2)で示されるものである請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。 xMO・ySiO2・zH2O (2) (ここでxおよびyは自然数を表し、zは0以上の整数
    を表し、MOは金属酸化物成分を表し、複数の金属酸化
    物成分であってもよい。)
  5. 【請求項5】 上記金属酸化物MOは、少なくともイオ
    ン間結合力の順位において、その結合力がK2O〜Al2
    3の範囲の成分を実質的に含むことを特徴とする請求
    項4に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 上記金属酸化物MOは、CaOおよびM
    gOから選択される少なくとも1種の成分を実質的に含
    むことを特徴とする請求項4に記載の難燃性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 更にA成分100重量部に対し、D成分
    として芳香族基を有する有機シロキサン化合物0.1〜
    5重量部を含んでなる請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 更にA成分100重量部に対し、E成分
    として有機アルカリ金属塩および/または有機アルカリ
    土類金属塩0.0005〜0.2重量部を含んでなる請
    求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 芳香族ポリカーボネート樹脂を60重量
    %以上含有し、UL94規格において2.0mm以下の
    厚みにてV−0の難燃性を有し、且つ温度120℃×湿
    度100%の条件にて48時間処理後の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂の分子量低下率が10%以下である難燃性
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 難燃剤として塩素化合物、臭素化合
    物、またリン酸エステル化合物を実質的に含まない請求
    項1〜9のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
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