JP3777118B2 - 難燃性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、テレビ、プリンター、コピー機、ファクシミリ、パソコンなどの家電機器、OA機器のハウジング材および部品、バッテリーパック、液晶の反射板、自動車の内装用材料などの高い耐熱性とともに耐衝撃性、耐加水分解性が要求される用途において有用な難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリカーボネート樹脂または他の熱可塑性樹脂とのアロイ系の樹脂に代表される熱可塑性樹脂は、耐衝撃性、耐熱性および電気的特性に優れたエンジニアリングプラスチックとして電気・電子・OA分野を始め、広範な分野にて使用されている。これら電気・電子・OAの分野では、パーソナルコンピュータ外装部品のように高度な難燃性(UL94V)や耐熱性、耐衝撃性が要求される。
【0003】
従来、これらの樹脂組成物の難燃性を向上するために、臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマーあるいはポリマーを、ポリカーボネートに多量に配合する方法が採用されていた。しかしながら、臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマーあるいはポリマーを難燃剤として多量に配合すると、確かにポリカーボネート樹脂の難燃性は向上するものの、耐衝撃性が低下して、成形品に割れが発生しやすいという問題があった。また、臭素を含む多量のハロゲン系化合物を配合するため、燃焼時に当該ハロゲンを含むガスが発生する懸念もあり、環境面でも塩素、臭素などのハロゲンを含有しない難燃剤の使用が望まれていた。
【0004】
ハロゲンを含まない難燃剤としては、リン酸エステルとシリコーン樹脂が知られている。たとえば、特公昭62−25706号公報には、ポリカーボネート系樹脂の難燃性を改良するためにリン酸エステルを添加することが提案されている。しかしながら、これらの樹脂組成物の難燃性を向上させるためには、リン酸エステルを大量に添加する必要があり、その結果、樹脂成形体の耐熱性や耐衝撃性が低下するという問題があった。
【0005】
これに対して、シリコーン樹脂は、耐熱性が高く、燃焼時に有害ガスが発生せず、しかもシリコーン樹脂自体の安全性も高いため、ポリカーボネート系樹脂の難燃剤として使用されるようになっている。
難燃剤としてのシリコーン化合物は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合してなるポリマーである。
【0006】
【化2】
【0007】
たとえば特公昭62−60421号公報には、T単位を80重量%以上含有するシリコーン樹脂を熱可塑性樹脂に添加した難燃性樹脂組成物が開示されている。特開平5−86295号公報ではポリカーボネートなどの合成樹脂に、T単位を30〜99モル%、D単位を0〜80モル%、M単位を1〜70モル%、Q単位を0〜50モル%で含むシリコーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの公報に記載されたシリコーン樹脂を単独で添加しても、大きな難燃効果を持つものは極めて少なく、また電気電子機器関係の厳しい難燃基準を満たすためにはシリコーン樹脂を多量に添加する必要があり、その結果、プラスチックスの成形性、混練性および他の必要特性に悪影響が生じることがあり、さらにはコスト的にも不利であるため、実用的ではなかった。
【0009】
そこで、シリコーン化合物自体の難燃効果を向上させ、かつシリコーン化合物の添加量も削減する試みとして、シリコーン化合物と金属塩とを併用する方法も提案されている。たとえば、特開昭56−100853号公報には、ポリカーボネートなどの重合体に、D単位から構成されるシリコーンと炭素数14〜20のカルボン酸のIIa族金属塩を配合した難燃性樹脂組成物が開示され、特公平3−48947号公報には、M単位とQ単位とから構成されるシリコーン樹脂を、他のシリコーン樹脂およびカルボン酸のIIa族金属塩とともに配合した難燃性組成物が開示されている。しかしながら、シリコーン化合物と金属塩とを併用しても、難燃性の面で効果に劣るため、充分な難燃効果を得るにはシリコーン樹脂の添加量を多くしたり、水酸化アルミニウムなどの無機難燃性充填材やハロゲンおよびリン化合物を併用することが必要であった。
【0010】
このように、シリコーン樹脂を難燃剤として添加する場合、添加量を多くしないと充分な難燃効果が得られず、添加量を多くすると樹脂組成物の成形性、成形品の外観や機械的強度などの諸物性が大幅に低下してしまったり、シリコーン樹脂は、それ自体が高価であるため、ポリカーボネート系樹脂に配合したときに、材料コストが高くなってしまうという問題があり、このためより難燃効果の大きいシリコーン樹脂添加剤、またはシリコーン樹脂と併用して効果を向上させられる添加剤の開発が望まれていた。
【0011】
さらにまた、特開平10−139964号公報には、分子量(重量平均分子量)が10000〜270000の範囲にあり、下記式で表されるD単位とT単位とを含むシリコーン樹脂を、芳香族系ポリカーボネートに配合した難燃性樹脂組成物が提案されている。
【0012】
【化3】
【0013】
また、特開平11-140294号公報には、T単位を 50〜90モル%含有し、D単位を 10〜50モル%含有し、フェニル基を全有機置換基の中80モル%以上含有しているシリコーン樹脂が、芳香族ポリカーボネート樹脂に配合された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特開平10−139964号公報、特開平11-140294号公報に記載された難燃性ポリカーボネート組成物では、燃焼時間が長く、かつドリップ性が不十分であり、実際に広く評価されているUL94に基づく燃焼性試験における難燃性がまだ不充分であった。
【0014】
さらにまた、特開平11−217494号公報には、下式で表される構造、すなわちD単位を主要構成単位とし、D単位とともにT単位および/またはQ単位とから構成され、かつ有機官能基として芳香族基を有するシリコーン化合物と、芳香族硫黄化合物の金属塩と、含フッ素ポリマーとを、ポリカーボネート樹脂に配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、RおよびXは有機官能基を示す。)
しかしながら、この特開平11-217494号に記載されている難燃性樹脂組成物では、使用するシリコーン樹脂の分子量が大きく、ポリカーボネート系樹脂へ分散するのが難しく、十分な難燃性を発揮しにくいという欠点もあった。
また、特開平11−222559号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂のように分子中に芳香環を含む合成樹脂:100重量部と、組成式R1 mR2 nSi(OR3)p(OH)qO(4-m-n-p-q)/2(式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基、R3は炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、0.5≦m≦2.0、0≦n≦0.9、0.42≦p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)で表されるフェニル基およびアルコキシ基含有オルガノシロキサン:0.1〜10重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、このようなシリコーンを単独で含むものは、樹脂組成物の難燃性が不充分であり、充分な難燃性を発揮することが困難であった。
【0017】
さらにまた、特開平8−225737号公報には、(A)熱可塑性芳香族ポリカーボネートと、(B)(B-1)スチレン、α−メチルスチレン、環がアルキル置換されているスチレン、アクリル酸C1−C8−アルキル、メタアクリル酸C1−C8−アルキルまたはそれらの混合物と、(B-2)アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸C1−C8−アルキル、メタアクリル酸C1−C8−アルキル、無水マレイン酸、N置換マレイン酸イミド、酢酸ビニルまたはそれらの混合物との熱可塑性コポリマーおよび/または(B-3)熱可塑性ポリアルキレンテレフタレートとから成るコポリマーまたは重縮合物、(C)スチレン、α−メチルスチレン、環がアルキル置換されているスチレン、アクリル酸C1−C8−アルキル、メタアクリル酸C1−C8−アルキルまたはそれらの混合物と、(C)アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸C1−C8−アルキル、メタアクリル酸C1−C8−アルキル、無水マレイン酸、N置換マレイン酸イミドまたはそれらの混合物とを、ガラス転移温度TG≦10℃のゴム上にグラフト化させたグラフトポリマーと、(D)RxSi(OR')yO(4-x-y)/y[式中、Rは、任意にこれ自身が置換されていてもよい一価の炭化水素基を表すが、特にメチルまたはフェニル基を表し、R’は、アルキル基または水素基であり、xは、0.75から1.75の値を有し、そしてyは、0.0001から0.5の値を有する]で表されるヒドロキシル含有シリコーン樹脂であって、このシリコーン樹脂が式SiO4/2、RSiO3/2、R2SiO2/2および/またはR3SiO1/2で表される単位で構成されているシリコーン樹脂と、(E)下記式で表されるリン系化合物とを含む熱可塑性成形用コンパンドが開示されている。
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、nは、1から5の整数を表し、R1は、メチル基を示し、lは0から5の数を表す。R2は、メチル基を示し、mは0から5の整数を表す。)
しかしながら、このような特開平8−225737号公報に記載された樹脂組成物では、難燃性が不充分であり、難燃性を達成するには、大量のリン酸エステルを使用しなければならないという問題点があった。
【0020】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂または他の熱可塑性樹脂とのアロイに、特定のリン酸エステルと特定組成式で表されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを併用することにより、樹脂組成物の難燃性が飛躍的に高くなることを見出した。特に、スチレン−ブタジエン系のような他の熱可塑性樹脂とのアロイに、少量のリン酸エステルとアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを併用することにより、その樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、対加水分解性等の特性を維持しながら、高いレベルの難燃性を達成することを実現し、本発明を完成するに至った。
【0021】
【発明の目的】
本発明は、耐熱性が高く、耐衝撃性と耐加水分解性に優れ、しかも難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0022】
【発明の概要】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、
(A)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂と、
(B)下記式で表されるリン酸エステルと、
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30の炭化水素を示す。Xは、酸素原子および/または窒素原子を含んでもよい炭素原子数1〜30の2価の有機基である。mは0〜5の整数を示す。)
(C)下記平均組成式で表されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンとを含み、R1 aSi(OR2)bO(4-a-b)/2 …(1)
(式中、R1及びR2はお互いに同一または異種の置換または非置換の1価炭化水素基を表し、0.2≦a≦2.7、0.2≦b≦2.4、a+b<3の範囲である。)かつ、樹脂(A)100重量部に対して、リン酸エステル(B)を0.1〜40重量部の量で、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C)を0.01〜20重量部の量で含むことを特徴としている。
( A ) 成分は、 (A-1) ポリカーボネート樹脂、または (A-1) ポリカーボネート樹脂と (A-2) ポリカーボネート樹脂以外の、主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂とのアロイから選ばれる熱可塑性樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂( A-2 )は、 (a) 芳香族ビニル単量体成分を重合体の構成成分として含む重合体; (a) 芳香族ビニル単量体成分および (b) シアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体; (a) 芳香族ビニル単量体成分、 (b) シアン化ビニル単量体成分および (c) ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体;からなる群より選択される1種以上の樹脂である。
【0025】
前記アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C)の重量平均分子量が300〜3000の範囲にあり、置換基R1が、メチル基またはフェニル基であり、フェニル基含有率が20%以上であり、かつ、オルガノポリシロキサンが分岐構造を含むことが好ましい。
【0026】
前記リン酸エステルとしては、ビスフェノールA−テトラフェニルジホスフェート(BPADP)またはビスフェノールAテトラクレジルジホスフェートが好ましい。
【0027】
熱可塑性樹脂(A-2)としては、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂およびポリスチレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂が好ましい。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、さらに、(D)ドリップ防止剤を、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜10重量部の量で含むことが好ましい。
【0028】
前記ドリップ防止剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、さらに、(E)パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜3重量部の量で含んでいることが好ましい。
【0029】
本発明に係る成型品および電気電子機器部品は前記記載の難燃性樹脂組成物から成形されてなる。
【0030】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に難燃性樹脂組成物について説明する。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、(A)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂、詳しくは、ポリカーボネート樹脂に代表される熱可塑性樹脂(A1)または(A1)とポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(A2)とのアロイから選ばれる熱可塑性樹脂と、(B)リン酸エステルと、(C)アルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを含むことを特徴としている。
【0031】
[主鎖に芳香族環を含む熱可塑性樹脂(A)]
[ポリカーボネート系樹脂(A-1)]
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂(A-1)は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ホモポリカーボネートまたは芳香族コポリカーボネートである。
【0032】
カーボネート系樹脂は、一般に、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有するものである。
【0033】
【化7】
【0034】
(上記式中、Aは芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される2価の残基である)
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、官能基であるヒドロキシ基を2個含有し、各ヒドロキシ基が芳香核の炭素原子に直接接合した単核または多核の芳香族化合物が挙げられる。
【0035】
芳香族ジヒドロキシ化合物として具体的には、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物が例示される。
【0036】
【化8】
【0037】
このような式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として、具体的には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆるビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
これら芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましく用いられる。
また、上記式(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物として、下記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を使用することもできる。
【0039】
【化9】
【0040】
(ここで、Rfはそれぞれ独立して、炭素数1〜10個の炭化水素基、該炭化水素基の1以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基、またはハロゲン原子であり、pは0〜4の整数である)
このような化合物としては、たとえばレゾルシン;および3-メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6-テトラブロモレゾルシンなどの置換レゾルシン;カテコール;ヒドロキノン、および3-メチルヒドロキノン、3-エチルヒドロキノン、3-プロピルヒドロキノン、3-ブチルヒドロキノン、3-t-ブチルヒドロキノン、3-フェニルヒドロキノン、3-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノンなどが挙げられる。
【0041】
また、上記式(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物として、次式
【0042】
【化10】
【0043】
で表される2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビ−[1H−インデン]-7,7'-ジオールを用いることもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリカーボネートは、線状のものであっても、分岐を有するものであってもよい。また線状ポリカーボネートと分岐状ポリカーボネートのブレンド物あってもよい。
【0044】
このような分岐ポリカーボネートは、多官能性芳香族化合物を芳香族ジヒドロキシ化合物およびカーボネート前駆体と反応させることにより得られる。このような多官能性芳香族化合物の代表例は、米国特許明細書第3,028,385号、第3,334,154号、第4,001,124号および第4,131,576号に記載されており、具体的には、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル) エタン、2,2',2"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、α-メチル-α,α',α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジエチルベンゼン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン-2、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル) ベンゼン、2,2-ビス-[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン、トリメリット酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などが挙げられる。これらのうち、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなどが好ましく用いられる。
【0045】
このポリカーボネート系樹脂の塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度は、特に制限されるものではなく、目的とする用途、および成形性を鑑み適宜選択されるが、通常、0.26dl/g以上、好ましくは0.30dl/g〜0.98dl/g、さらに好ましくは 0.34dl/g〜0.64dl/gの範囲にあり、粘度平均分子量に換算した場合、通常、10000以上、好ましくは12000〜50000、さらに好ましくは14000〜30000の範囲にあることが望ましい。また、複数の異なる固有粘度のポリカーボネート樹脂を混合して使用できる。なお粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレン中、20℃で固有粘度(極限粘度[η])を測定し、マークフウィンク(Mark-Houwink)の粘度式:
[η]=K×(Mv)a (K=1.23×10-4、a=0.83)
を用いて、計算によって求めた。
【0046】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、公知の製造方法によって製造される。たとえば、
▲1▼芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(たとえば炭酸ジエステル)とを溶融状態でエステル交換反応させて、ポリカーボネートを合成する方法(溶融法)、
▲2▼溶液中で芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(たとえばホスゲン)とを反応させる方法(界面法)などが挙げられる。
【0047】
これらの製造法については、たとえば特開平2−175723号公報、特開平2-124934号公報、米国特許第4,001,184号明細書、同第4,238,569号明細書、同第4,238,597号明細書、同第4,474,999号明細書などに記載されている。
本発明では、このようなポリカーボネート系樹脂(A-1)とともにポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂(A-2)を使用してもよい。
【0048】
[ポリカーボネート系樹脂以外の熱可塑性樹脂(A-2)]
本発明では、上記ポリカーボネートとともにポリカーボネート系樹脂以外の熱可塑性樹脂(単に、熱可塑性樹脂という)が含まれていてもよい。熱可塑性樹脂(A-2)としては、ポリカーボネート以外の樹脂であって、主鎖に芳香族環を含むものであれば、特に制限無く使用することができる。
【0049】
具体的には、
(a)芳香族ビニル単量体成分を重合体の構成成分として含む重合体;
(a)芳香族ビニル単量体成分および(b)シアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体;
(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体;からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
【0050】
上記に示した樹脂はいずれも市販品として購入可能であり特に製法等は制限されない。
( 共 ) 重合体▲1▼
まず、(a)芳香族ビニル単量体成分を含む重合体▲1▼について説明する。
(a) 芳香族ビニル単量体成分としては、たとえばスチレン、α-メチルスチレン、o-,m- もしくはp-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p-tert-ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができる。本発明で使用される重合体はこれらの単独重合体であっても、または2種以上単量体の共重合体であってもよい。これらの単量体のなかでも好ましくは、スチレンまたはα-メチルスチレンである。重合体の好ましい例としては、たとえばスチレン樹脂が挙げられる。
【0051】
この(共)重合体の製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。また、別々に重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
共重合体▲2▼
次ぎに、(a)芳香族ビニル単量体成分及び(b)シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体▲2▼について説明する。
【0052】
芳香族ビニル単量体成分(a)としては前記したものと同様のものが挙げられる。
(b)シアン化ビニル単量体成分としては、たとえばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらからなる成分は共重合体中に、1種または2種以上含まれていてもよい。
【0053】
組成比(a)/(b)は特に制限されず、用途に応じて選択される。(a)/(b)は、好ましくは(a)が95〜50重量%に対して(b)が5〜50重量%であり、さらに好ましくは(a)が92〜65重量%に対して(b)が8〜35重量%である。
上記重合体の好ましい例としては、たとえばSAN樹脂(スチレン-アクリロニトリル共重合体)が挙げられる。この共重合体の製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。また、別々に共重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
【0054】
共重合体▲3▼
次に(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を含む共重合体について説明する。(a)芳香族ビニル単量体成分および(b)シアン化ビニル単量体成分については、前記した同様の例が挙げられる。
(c)ゴム質重合体としては、たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ブタジエン-イソプレン共重合体等のジエン系ゴム、エチレン-プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、エチレン-メタクリレ‐ト、エチレン-ブチルアクリレートなどのエチレン-不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル-ブタジエン共重合体、たとえばブチルアクリレート-ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン-酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン‐プロピレン-ヘキサジエン共重合体などのエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン‐イソブレン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられ、これらを1種または2種以上で使用する。好ましいゴム質重合体としては、エチレン-プロピレン非共役ジエンターポリマー、ジエン系ゴムおよびアクリル系弾性重合体であり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン-ブタジエン共重合体であり、その中のスチレン含有率は50重量%以下であることが好ましい。
【0055】
このような共重合体▲3▼としては、(c)ゴム質重合体の存在下にその他の成分がグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。特に、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリル系弾性体-スチレン共重合体)およびから選択される樹脂が好ましい。
【0056】
上記(共)重合体▲1▼、共重合体▲2▼および▲3▼の重量平均分子量(Mw)は好ましくは30,000〜200,000、より好ましくは30,000〜150,000、特に好ましくは30,000〜110,000であることが望ましい。
上記(共)重合体▲1▼、共重合体▲2▼および▲3▼には、上記の成分(a)、(b)、(c)の他に、これらの成分と共重合可能な単量体が、本発明の目的を損なわない範囲で共重合されていてもよい。このような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸などのα,β-不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のα,β-不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド等のα,β-不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は1種または2種以上で使用される。
【0057】
この共重合体の製造方法については、制限はなく塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合により製造される。
【0064】
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては共重合体▲1▼と▲3▼が好ましく、さらにHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリル系弾性体-スチレン共重合体)から選択される樹脂が好ましく、特に、ABS樹脂およびHIPSが好ましい。
【0065】
このような熱可塑性樹脂(A-2)は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)との重量比(A-1:A-2)が99:1〜1:99の範囲にあることが望ましい。
[リン酸エステル(B)]
リン酸エステルとして、下記式で表される化合物が使用される。
【0066】
【化11】
【0067】
式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30、好ましくは1〜5の炭化水素基を示し、好ましくは置換または非置換の芳香族炭化水素基を示す。置換されている場合、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基などが挙げられる。
このようなR1、R2、R3およびR4としては、フェニル基、クレジル基、キシレニル基(たとえば2,6-キシレニル基)、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、クミル基、ブチルフェニル基等で挙げられる。このように芳香族炭化水素基を含んでいると、特に難燃性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0068】
Xは、酸素原子および/または窒素原子を含んでもよい、炭素原子数1〜30の2価の有機基である。このようなXとしては、たとえば−O−Y1−O−(ここで、Y1は置換または非置換の芳香族炭化水素基であり、好ましくは1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基等である)、または−O−Y2−R5−Y3−O−(ここでY2およびY3は、2価の置換または非置換の芳香族炭化水素基であり、具体的には置換または非置換のフェニレン基等が挙げられる。R5は炭素数1〜8の2価の炭化水素基または炭化水素オキシ基(−R6−O−;R6は炭素数1〜8の2価の炭化水素基)であり、具体的には炭素数1〜9の2価脂肪族炭化水素基であり、たとえば2,2'-プロピレン基等である)である。また、Xとしては、リン原子に窒素原子が直接結合した有機基であってもよく、たとえば1,4-ピペラジンジル基(下記式)などが挙げられる。
【0069】
【化12】
【0070】
mは0〜5の整数である。
好ましいリン酸エステルとしては、ビスフェノールAテトラフェニルジホスフェート(BPADP)、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAテトラクレジルジホスフェート、レゾルシノールテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラキシリルピペラジンジホスフォルアミド等である。これらのうち、リン酸エステルとしては、ビスフェノールAテトラフェニルジホスフェート(BPADP)、ビスフェノールAテトラクレジルジホスフェートが好適である。
【0071】
このようなリン酸エステル(B)を添加すると、難燃性に優れる成形品を形成することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物に配合されるリン酸エステル(B)の量は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)が単独で使用される場合は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)100重量部に対し、ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)とが併用されている場合には(A-1)と(A-2)との合計100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部の量で含まれていることが望ましい。リン酸エステルの量が、下限未満では難燃化効果が不充分であり、上限を越えると、樹脂本来の特性が失われることがある。
【0072】
[アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C)]
本発明における(C)成分のシリコーンとしては、下記平均組成式(I)で表されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンが使用される。
R1 aSi(OR2)bO(4-a-b)/2 …(I)
式中、R1及びR2は、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換または非置換の1価炭化水素基を表す。
【0073】
R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などのアルケニル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフタレンなどのアリール基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ-アミノプロピル基、N-(β-アミノエチル)−γ-アミノプロピル基などが例示される。合成と入手のし易さまたはシリコーン化合物の安全面から、工業的に、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0074】
また、(C)成分であるシリコーン化合物が含有するR1のうち、芳香族基含有率(フェニル基含有率)が20%以上であることが好ましい。この範囲以下であると、ポリカーボネート系樹脂中の分散性が悪く、燃焼時に芳香族同士の縮合も起こりにくくなり、燃焼効果が低下する場合がある。さらに好ましくは50%以上である。なお、90%以上であると、芳香族基同士の立体障害により、オルガノポリシロキサン分子の空間的自由度が低下し、樹脂中で自由に移動することができなくなり、顕著な難燃効果を発現できなくなる場合がある。
【0075】
(C)成分であるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンのアルコキシ基(-OR2)のうち、好ましくは炭素数1〜4の1価炭化水素基からなるアルコキシ基、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基であり、炭素数5以上のアルコキシ基は反応性が低く、難燃効果が期待できないこともある。したがって、アルコキシ基として、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、メトキシ基が特に好ましく用いられる。
【0076】
アルコキシ基の代わりにヒドロキシ基を含んでも良いが、シラノール基が難燃性にほとんど寄与しないことと、シラノール基の含有率が高いと、オルガノポリシロキサン同士の凝集が起こりやすく、保存安定性が低くなることから、アルコキシ基とヒドロキシ基の合計含有量の内、10モル%以下であることが好ましい。
本発明では、ポリカーボネート系樹脂組成物に、リン酸エステルと以上のようなアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを併用した時の飛躍的な難燃性相乗効果が特徴をなす。リン酸エステルあるいはオルガノポリシロキサンの単独添加では、いずれも同様な効果を達成することができない。
【0077】
本発明で使用されるオルガノポリシロキサン中のアルコキシ基はシリコーン化合物に活性を付与するので、リン酸エステルと併用すると、難燃性の相乗効果に寄与するものと考えられる。したがって、含有する全置換基のうちアルコキシ基の割合は10〜70モル%が望ましい。さらに好ましくは、20〜50モル%が望ましい。置換基の割合が前記範囲の下限未満ではオルガノポリシロキサンの活性が低すぎて、充分な難燃化効果が期待できないことがあり、上限を越えると、オルガノポリシロキサン自体の耐熱性が低下し、難燃化効果が低下してしまうことがある。
(C)成分であるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、300〜3000、好ましくは400〜2000の範囲にあることが望ましい。分子量が低すぎると、樹脂組成物に混合した後、オルガノポリシロキサンが成型体表面にブリードしやすいため、難燃効果が低下してしまうことがある。分子量が高すぎると、オルガノポリシロキサンの樹脂中における分散性が悪くなったり、動きにくくなるため、難燃効果が低下することがある。
【0078】
本発明で使用されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンは、分岐構造を含んでいることが好ましい。ここで、分岐構造というのは、オルガノポリシロキサンの1個のSi原子にシロキサン残基が3個または4個結合している場合をいう。具体的には、以下の構造単位のいずれかを含む場合をいう。
【0079】
【化13】
【0080】
(Raはメチルまたはフェニル基、Rbは、炭素数1〜4の1価炭化水素基)
本発明で使用されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンの中には、分岐構造以外に、次のような構造単位(c-1)または(c-2)が含まれていることが好ましい。
Ra 1Si(ORb)2O0.5…(c-1)
Ra 1Si(ORb)O …(c-2)
(RaおよびRb、上記と同じ)
また、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサンの中には、上記構造単位以外に、次のような構造単位(c-3)または(c-4)を含んでもよい。
【0081】
Si(ORb)2O …(c-3)
Si(ORb)3O0.5 …(c-4)
(Rb、前記式(16)と同じ)
さらに、本発明で使用されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンの中には、以下に示すような下記式で表される一個のSi原子に2個の炭化水素基が結合している二官能性単位(c-5)または3個の炭化水素基が結合している単官能性単位(c-6) および(c-7)を含んでもよい。
【0082】
Ra 2SiO …(c-5)
Ra 2Si(ORb)O0.5 …(c-6)
Ra 3SiO0.5 …(c-7)
(RaおよびRbは、前記式(16)と同じ)
ただし、このような(c-5)から(c-7)で表される構成単位は、オルガノポリシロキサン中に、85モル%以下、好ましくは50モル%以下である。二官能性単位や単官能性単位を多く含むと、オルガノポリシロキサンの耐熱性や架橋活性が低くなり、難燃性を低下させることがある。
【0083】
このようなオルガノポリシロキサンは公知の商品として市販されているものを特に制限なく使用することができる。またオルガノポリシロキサンは公知の方法で製造することもできる。たとえば、シロキサン単位を形成し得るオルガノクロロシランを水とアルコールの存在下で、アルコキシ化、加水分解・縮合反応させることによって、調製することができる。
【0084】
本発明の難燃性樹脂組成物へ配合する(C)成分のオルガノポリシロキサンの量は、芳香族熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の量で含まれていることが望ましい。オルガノポリシロキサンの量が前記下限未満では難燃性を充分に付与することができず、前記上限を越えると成形品の外観や強度に悪影響を与える。これらのオルガノポリシロキサンは、いずれも燃焼時には有害なガスを発生させることがない。
【0085】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、(D)ドリップ防止剤、(E)[パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を含んでいてもよい。
[ドリップ防止剤(D)]
本発明に係る樹脂組成物にはドリップ防止剤が含まれている。なお、ドリップ防止剤とは、燃焼の際に、ドリップ(滴下)を抑制する働きのある添加剤であり、公知のものが使用できる。本発明では、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン系共重合体(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン/ヘキサフロオロプロピレン共重合体等)などに代表されるポリカーボネート系樹脂中でフィブリル構造を形成するものがドリップの抑制効果が高いので好適である。
【0086】
このようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の中でも、分散性に優れたもの、たとえば水などの溶液にPTFEを乳化分散させたもの、微粒子化されたフッ素樹脂粉末、マイクロポリテトラフルオロエチレン、またポリカーボネートやスチレン−アクリロニトリル共重合体に代表される樹脂でPTFEをカプセル化処理したもの、またはポリカーボネートやスチレン−アクリロニトリル共重合体に代表される樹脂とPTFEのマスターバッチは、ポリカーボネート組成物からなる成形体によい表面外観を与えるので好ましい。
【0087】
本発明では、ドリップ防止剤(D)として、以上のようなポリテトラフルオロエチレンとともに、ポリフェニレンエーテル(PPE)を併用してもよい。
さらにまた、ドリップ防止剤として、上記のようなポリテトラフルオロエチレンとともに、無機系ドリップ防止剤を併用してもよい。無機系ドリップ剤としては、シリカ、石英、ケイ酸アルミニウム、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、炭化珪素、窒化ケイ素、窒化硼素、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0088】
ドリップ防止剤(D)は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲で添加される。
このようなPTFEとして市販されているものの具体例としては、テフロン(R)30J(商標、 三井デュポンフルオロケミカル(株))、ポリフロン D−2C(商標、 ダイキン化学工業(株))、アフロン AD1(商標、旭硝子(株))などが挙げられる。
【0089】
[パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩(E)]
本発明の樹脂組成物においては、(E)成分としてパーフルオロアルカンスルホン酸が使用される。
パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、好ましくは炭素数1〜19の、より好ましくは炭素数4〜8のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸金属塩である。アルカリ(土類)金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。このうち、好ましくはナトリウムまたはカリウムであり、特に好ましくはカリウムである。
【0090】
このようなパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としてはは、パーフルオロブタンスルホン酸のナトリウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸のカリウム塩、パーフルオロメチルブタンスルホン酸のナトリウム塩、パーフルオロメチルブタンスルホン酸のカリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸のナトリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸のカリウム塩等が挙げられ、特に、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
【0091】
(E)パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、ポリカーボネート100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部、より好ましくは0.02〜0.09重量部、さらに好ましくは 0.03〜0.08重量部の範囲にあることが望ましい。
[その他成分]
本発明の樹脂組成物は、さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、エポキシ安定剤、離型剤などが含まれていてもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。離型剤としては、公知のものであれば、特に制限なく使用できる。またポリオレフィンからなる添加剤(ポリオレフィン系添加剤)を添加することも可能である。エポキシ安定剤としては、公知のエポキシ系安定剤が特に制限なく使用される。このエポキシ安定剤は、加水分解性を向上させる目的で添加される。
【0092】
本発明に係る難燃性樹脂組成物には、その物性を損なわない限り、目的に応じて樹脂組成物の混合時または成形時に、公知の添加剤、たとえば着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミナ、ボロンナイトライド等)、滑剤、可塑剤、難燃助剤、流動性改良剤などが添加されていてもよい。
【0093】
本発明の樹脂組成物を製造するための方法としては、特に制限はなく、公知の方法が使用できる。特に、溶融混合法が望ましい。樹脂組成物を製造する際には、少量の溶剤を添加してもよい。
混合装置としては特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダーなどを例として挙げることができ、これらを回分的または連続的に運転する。このとき、成分の混合順は特に限定されない。
【0094】
以上のような本発明に係る難燃性樹脂組成物は、難燃性に優れ、燃焼時にドリップが発生することがない。
たとえば、本発明に係る難燃性樹脂組成物は、アンダーライターズラボラトリーインコーポレーションのブレテン94「材料分類のための燃焼試験」(以下、UL−94という)に示される試験方法に従って、厚み1/16インチの試料片を作製し、UL−94 Vの評価をしたとき、UL−94 V−0級を満たすものである。なお、UL−94について、各V級の基準は、概略下記表1の通りである。
【0095】
【表1】
【0096】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など任意の成形方法を使用し、任意の形状の成形することができる。
このような難燃性樹脂組成物を成形して得られた成型品は、優れた耐衝撃性を有するとともに高い耐熱性を有しており、しかも難燃性にも優れている。
このため、本発明の樹脂組成物の成型品は、OA機器や家電の外板、ハウジング材、電子電気機器部品として好適であり、特に電子電気機器部品として好適である。
【0097】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、芳香族熱可塑性樹脂に特定のアルコキシ含有オルガノポリシロキサンと特定のリン酸エステルを配合することによって、アルコキシ含有オルガノポリシロキサンと特定のリン酸エステルの相乗難燃効果を発揮し、少量の難燃剤で、熱可塑性樹脂組成物の持っている耐熱性、耐衝撃性、耐加水分解性を失うことなく、高度な難燃性を達成することができる。かつ塩素、臭素化合物等からなる難燃剤を含まないことから燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを含むガスの発生の懸念もなく、環境保護の面においても優れた性能を有している。さらに、ポリオレフィン系添加剤を配合することで、耐熱性を失うことなく、優れた離型性や耐衝撃性、耐薬品性を付与することができる。
【0098】
このため、このような難燃性樹脂組成物は、テレビ、プリンター、コピー機、ファクシミリ、パソコンなどの家電機器、OA機器のハウジング材および部品、バッテリーパック、液晶の反射板、自動車の内装用材料などの高い耐熱性が要求される用途において、極めて有用である。
【0099】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、特にことわりのない限り、実施例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
【0100】
なお、各成分として次の化合物を使用した。
▲1▼ポリカーボネート系樹脂(PC):
ビスフェノールAのポリカーボネート:LEXAN(商品名、日本ジーイープラスチックス社製)、300℃、1.2kg荷重にて測定したメルトインデックス値が12.3g/10分、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.49dl/g、粘度平均分子量(Mv)=21760(計算値)。
▲2▼ABS樹脂:
C29449(GEプラスッチックス製)、ゴム含有量=20%、MI=2.0g/10分(200℃、5kg荷重)。
▲3▼リン酸エステル系化合物:
ビスフェノールA−テトラフェニルホスフェート(BPADP)、CR741S(商標、大八化学株式会社製)
▲4▼ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):
ポリフロン D−2C(商標、ダイキン化学工業(株))。 水にPTFEを乳化分散させたもので、PTFE含有量が60%。
【0101】
なお、ポリフロン D−2Cは、ポリカーボネート系樹脂に対して、0.5%の量で添加されるので、実際のPTFEは、0.3%添加されたことになる。また、水は、樹脂組成物調製時に揮散する。
▲5▼オルガノポリシロキサン:
オルガノポリシロキサンとしては、
(C-1): 組成式 Ph1.4(CH3)0.3Si(OCH3)0.8O0.75(Mw=600)
(C-2): 組成式 Ph1.1(CH3)0.6Si(OCH3)0.7O0.8(Mw=900
(C-3): 組成式 Ph0.4(CH3)1.3Si(OCH3)0.9O0.7(Mw=1000)
(C-4):組成式 Ph1.2(CH3)0.4Si(OCH3)0.5O0.95(Mw=800)
(C-5):組成式 (CH3)1.0Si(OCH3)0.7O1.2(Mw=1200)を使用した。
(Phはフェニル基)
実施例及び比較例で使用したアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンC-1〜C-5は、対応する構造のクロロシランを、水とアルコールの存在の下で、アルコキシ化反応および加水分解縮合反応させるによって得た。
得られたアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンの構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定データよりポリスチレン標準試料で作成した検量線を用いて換算した。
【0102】
【実施例1】
ポリカーボネート84重量部、ABS樹脂10重量部、リン酸エステル4重量部、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C-1)1重量部、PTFE0.5重量部、LDPE1重量部を、スーパーミキサーで予備混合した後、日本製鋼所(株)製の2軸押出機により、スクリュー回転数300rpm、バレル温度240〜250℃の条件にて押出しを行い、所定の長さに切断してペレットを製造した。このペレットを用いて、100t 射出成形機により、バレル温度260℃、金型温度50℃の成形条件にて、所定の大きさの試験片を射出成形した。得られた成形品(厚さ1.6mm)について、UL−94に準拠した難燃性試験を行った。なお燃焼時間は5本の試料の合計燃焼時間である。
【0103】
また、耐衝撃性は、ASTM D256にしたがって、1/8 インチノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。荷重たわみ温度(HDT)は、127×12.7×6.4mmの試験片を用いて、ASTM D−648に準じて、荷重18.6kg、温度上昇速度2℃/分で測定した。耐加水分解性については、調製した樹脂組成物中のポリカーボネートの初期重量平均分子量と、48時間、121℃の100%RH雰囲気下に保持した樹脂組成物中のポリカーボネート中の重量平均分子量を測定した。重量平均分子量の測定はGPCによって行った。なお重量平均分子量が低下するということは、耐加水分解性が低いという意味である。
【0104】
結果を表2に示す。
【0105】
【実施例2〜5】
表2のような組成となるようにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、特性評価を行った。
【0106】
【比較例1〜7】
表2のような組成となるようにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、特性評価を行った。
結果を併せて表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
表2から明らかなように、実施例1〜5の難燃性樹脂組成物は、耐衝撃性が高く、耐熱性、耐加水分解性、難燃性にも優れている。
比較例1〜3および比較例5と6では、難燃性と耐熱性、対衝撃性、耐加水分解性のバランスが取れていなかった。
さらに実施例1と比較例3を比較すると分かるように、燐酸エステルを単独で使うより、オルガノポリシロキサンと組み合わせて使用すると、トータルの難燃剤の使用量が少なくても、高い難燃性を有する樹脂組成物を得ることができ、しかも耐熱性と対衝撃性、耐加水分解性及び難燃性のバランスが取れたものを得ることができる。
【0109】
比較例4のように、フェニル基を含まないシリコーンをリン酸エステルと併用しても、殆ど難燃効果がなく、また、比較例7のように、シリコーンのみを添加したのも、殆ど難燃効果がなかった。
したがって、リン酸エステル(B)とともに特定のオルガノポリシロキサンを併用することで、難燃化に対する相乗効果が見られ、極めて難燃性の高い樹脂組成物が得られることが判明した。
Claims (9)
- (A)主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂と、
(B)下記式で表されるリン酸エステルと、
(C)下記平均組成式で表されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンとを含み、
R1 aSi(OR2)bO(4-a-b)/2 …(1)
(式中、R1及びR2はお互いに同一または異種の置換または非置換の1価炭化水素基を表し、0.2≦a≦2.7、0.2≦b≦2.4、a+b<3の範囲である。)
かつ、
樹脂(A)100重量部に対して、リン酸エステル(B)を0.1〜40重量部の量で、
アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C)を0.01〜20重量部の量で含み、
( A ) 成分が、
(A-1) ポリカーボネート樹脂、または
(A-1) ポリカーボネート樹脂と (A-2) ポリカーボネート樹脂以外の、主鎖に芳香族環を有する熱可塑性樹脂とのアロイから選ばれる熱可塑性樹脂であり、
熱可塑性樹脂( A-2) が、
(a) 芳香族ビニル単量体成分を重合体の構成成分として含む重合体;
(a) 芳香族ビニル単量体成分および (b) シアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体;
(a) 芳香族ビニル単量体成分、 (b) シアン化ビニル単量体成分および (c) ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体;
からなる群より選択される1種以上の樹脂であり、
(C)オルガノポリシロキサンのアルコキシ基が、オルガノポリシロキサンの全置換基の10〜70モル%であり、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が300〜3000である
ことを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(C)の置換基R1が、メチル基またはフェニル基であり、フェニル基含有率が20%以上であり、かつ、オルガノポリシロキサンが分岐構造を含むことを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記リン酸エステルが、ビスフェノールA−テトラフェニルジホスフェート(BPADP)またはビスフェノールAテトラクレジルジホスフェートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A-2)が、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂およびポリスチレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- さらに、(D)ドリップ防止剤を、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜10重量部の量で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記ドリップ防止剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項5に記載の難燃性樹脂組成物。
- さらに、(E)パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜3重量部の量で含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物から成形されてなる成型品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物から成形されてなる電気電子機器部品。
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