JP2012072338A - ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、Al2O3含有量が、0.01〜3質量%で特定の粒径と粒径分布の天然珪石粉砕物(B)を、10質量部を超え100質量部以下、SiH基含有シロキサン化合物(C)を、(B)成分に対し、0.1〜10質量%含有するポリカーボネート樹脂組成物による。
【選択図】なし
Description
特に、パソコン、テレビのようなディスプレイ型電子機器においては、枠状・長尺状の部品が必要とされるが、このような用途においては難燃性と、反りやたわみが発生しない程度の剛性が要求される。
しかしながら、ガラス繊維を用いた場合は、非常に高い剛性が必要な場合には有利であるが、反りやたわみが発生しない程度のわずかな剛性を向上させる為には、配合量でコントロールすることが困難であり、かつ材料物性の異方性が生じる、反りやすい、製品外観を著しく損なう、といった問題のほかに、難燃性を低下させやすいといった課題を有していた。またコスト、エネルギーが大きいため工業的、環境的なデメリットも有している。
一方、珪酸塩化合物を用いる手法は、比較的良好な難燃性が得られやすいが、耐衝撃性が著しく低下し、また熱安定性が低いため、配合量を多くした場合や成形加工温度を高くした場合には、強度が著しく低下したり、外観が著しく低下したりするという欠点を有していた。
しかしながら、このものでは剛性を向上させることはできず、また嵩比重が小さいため、作業性も悪く高充填することもできない。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、天然珪石粉砕物(B)を、10質量部を超え100質量部以下、SiH基含有シロキサン化合物(C)を、(B)成分に対し、0.1〜10質量%含有し、
天然珪石粉砕品(B)が下記(i)〜(iii)を満たすことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(i)Al2O3含有量が、0.01〜3質量%
(ii)レーザー散乱・回折法にて粒度分布を測定したときの平均粒径D50が、0.5〜10μm
(iii)D60/D10で表される均等係数Kが、2〜8。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、特定の珪石(B)と、SiH基含有シロキサン化合物とを、それぞれを特定の量で含有することを特徴とする。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
分子量をこのような範囲に調節するには、後記するような分子量調節剤の量を制御する等の公知の方法で可能である。
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて、具体的に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、なかでも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、天然珪石粉砕物を含有する。天然珪石とは、珪質岩の総称であり、例えば、石英砂などとして産出する天然珪石を微粉砕したものである。このような珪石は、SiO2の他、通常、Al、Fe等の不純物を含有する。
天然珪石としては、日本国内や世界各地で産出される天然珪石を用いることが出来、本発明においては、これらの天然珪石の内でも、(i)Al2O3含有量が0.01〜3質量%で、(ii)レーザー散乱・回折法にて粒度分布を測定したときの平均粒径D50が、0.5〜10μm、かつ(iii)D60/D10で表される均等係数Kが、2〜8のものを用いる。
天然珪石は、ポリカーボネート樹脂を分解させる不純物が少なく、粉砕加工性、ハンドリング性に優れ、安価であるという特性を有し、本発明の樹脂組成物に優れた熱安定性、生産性を付与する。また、難燃剤と組み合わせると難燃性を落とさず、逆に向上させるという特徴も有する。
なお、Al2O3含有量は、ICP法にてAl(アルミニウム)の量を測定し、その量をAl2O3として計算したものである。
このような観点より、D50平均粒径は、0.6μm以上であることがより好ましく、0.75μm以上であることがさらに好ましく、1μm以上であることが特に好ましい。また8μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましく、3μm以下であることが最も好ましい。
なお、15〜500μmの範囲の粒子含有率とは、上記粒度分布測定装置にて測定した際の、15〜500μmの粒子の累計体積頻度(%)のことである。
このような観点より、天然珪石粉砕物(B)の含有量は、12質量部以上が好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。上述の範囲において、目的に応じて剛性と外観、比重等のバランスをとり適宜選択し用いることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、SiH基含有シロキサン化合物(C)を含有する。SiH基含有シロキサン化合物を含有することにより、本発明の天然珪石粉砕物(B)や天然珪石粉砕物(B)に微量含有する不純物の表面処理効果により、ポリカーボネート樹脂の熱分解が抑制され、結果的に本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性を向上させることができる。
SiH基含有シロキサン化合物の含有量が、0.1質量%未満の場合は、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性、熱安定性が高める効果が不十分となるため好ましくない。また、10質量%を超える場合は、得られる成形品の外観が低下し、また成形加工時に金型汚染が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、難燃剤(D)を0.01〜50質量部含有することができる。このように天然珪石粉砕物(B)と同時に難燃剤(D)を配合することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を効果的に高めることができる。
本発明に用いる難燃剤(D)としては、金属塩系難燃剤(D−1)が好ましい。金属塩系難燃剤(D−1)は、通常、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜2質量部含有する。このように難燃剤として金属塩系難燃剤を用いることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性が良好なものとなる。
有機金属塩化合物としては、例えば、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機カルボン酸金属塩、有機ホウ酸金属塩、有機リン酸金属塩等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート樹脂と混合した場合の熱安定性の点から、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機リン酸金属塩が好ましく、有機スルホン酸金属塩が特に好ましい。
なお、金属塩化合物は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に用いる難燃剤(D)としては、リン系難燃剤(D−2)も好ましい。このようにリン系難燃剤(D−2)を用いることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性、流動性を共に向上させることができる。本発明におけるリン系難燃剤としては、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよく、例えば、下記の一般式(2)又は(3)で表されるリン酸エステル化合物が挙げられるが、熱安定性の面から、一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物が特に好ましい。
本発明に用いる難燃剤(D)としては、シロキサン系難燃剤(D−3)であることも好ましい。特に、金属塩系難燃剤(D−1)と同時に配合することが高い難燃性を発揮しやすいため好ましい。
芳香族基の好ましい含有率は、[R0〜3SiO2.0〜0.5](式中、Rは、炭素数1〜12の一価の炭化水素基を表す。)で示される全シロキサン単位中の炭化水素基Rの50モル%以上である。
なお、シロキサン系難燃剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フルオロポリマー(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜2質量部含有することも好ましい。このようにフルオロポリマー(E)を含有することで、ポリカーボネート樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、具体的には燃焼時の滴下防止性を向上させることができる。
また、このフルオロポリマー(E)としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;
グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。なお、これらの単量体は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、フルオロポリマー(E)は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、エラストマー(F)を、ポリカーボネート樹脂100質量部(A)に対して、0.5〜20質量部含有することも好ましい。このように、エラストマーを含有することで、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を改良することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)及び天然珪石粉砕物(B)、SiH基含有シロキサン化合物(C)、必要により、難燃剤(D)、フルオロポリマー(E)、エラストマー(F)並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体(樹脂組成物成形体)として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
特には、電気電子機器や液晶表示機器用の枠体、長尺状部品、反射板等として、好適である。
得られた本発明の成形体は、上述したようにポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、難燃性、機械物性の高い実用的な成形体として用いることが可能である。
後述する表2、表3に記した各成分を、表4〜7に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のサイキャップM−2、型締め力75Tを用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)及び、ISO多目的試験片(4mm)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用試験片を成形した。
さらに、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ60mm、幅60mm、厚さ1.5mmの平板状試験片を成形した。
[耐衝撃性評価]
上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、ノッチ有りシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。なお、表4〜7中、「Charpy」と表記する。
上述の方法で得られたISO多目的試験片(4mm)を用い、ISO178に準拠し、23℃の条件で、曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。なお、表4〜7中、「弾性率」と表記する。
各ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性は、上述の製造方法で得られたペレットのQ値、Q1(単位:102cm3/s)と、上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm)をペレット状にカットしたもののQ値、Q2(単位:102cm3/s)を測定し、その差(Q2−Q1)の大小にて、○〜×を評価した。Q1とQ2の差が大きい場合、成形によって熱劣化が進みやすく、熱安定性に劣ることを意味し、好ましくない。
なお、上述のQ値は、上述のサンプルを120℃で5時間乾燥させた後、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、温度280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で、単位時間あたりの流出量を表す。(単位:102cm3/s)この際使用したオリフィスは、直径1mm×長さ10mmのものである。なお、表4〜7中、熱安定性の評価結果は、「熱安定性」と表記し、各Q値の値は、「Q1」、「Q2」と表記する。
各ポリカーボネート樹脂組成物の外観の評価は、上述の製造方法で得られた平板状試験片の表面状態(シルバーの有無)について観察し、著しくシルバーが認められるものを「○」、シルバーが認められないものを「×」と判断した。
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
射出成形機(住友重機械工業社製、SH100、型締め力100T)を用いて、シリンダー温度:300℃、金型温度:80℃にて、金型:縦100mm、横100mm、厚み3mmの成形品を、射出圧力:147MPaの条件で射出成形し、得られた射出成形品を3枚重ねて、迅速熱伝導率測定装置(京都電子工業社製、Kemtherm QTM−D3)を用いてプローブの電熱線の方向を、3枚重ねた最上部の成形品の流動方向に合うように押し当てて流動方向の熱伝導率を測定した。なお、表4〜7中、「熱伝導率」と表記する。
表4〜5に示す実施例1〜14から、本発明のアルミナ含有量、平均粒径および均等係数を満足する天然珪石粉砕物(B)とSiH基含有シロキサン化合物(C)を所定量含有したポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性、剛性、熱安定性、外観のバランスに優れることがわかる。
一方、本発明の上記規定を満足しない比較例のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性、熱安定性、外観のバランスに劣ることがわかる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、難燃性、耐衝撃性、剛性、熱安定性、外観のバランスに優れるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、天然珪石粉砕物(B)を、10質量部を超え100質量部以下、SiH基含有シロキサン化合物(C)を、(B)成分に対し、0.1〜10質量%含有し、
天然珪石粉砕品(B)が下記(i)〜(iii)を満たすことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(i)Al2O3含有量が、0.01〜3質量%
(ii)レーザー散乱・回折法にて粒度分布を測定したときの平均粒径D50が、0.5〜10μm
(iii)D60/D10で表される均等係数Kが、2〜8 - さらに、難燃剤(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜50質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 難燃剤(D)が、金属塩系難燃剤(D−1)、リン系難燃剤(D−2)およびシロキサン系難燃剤(D−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに、フルオロポリマー(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜2質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに、エラストマー(F)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜20質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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