JP4361205B2 - 難燃性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP4361205B2
JP4361205B2 JP2000363134A JP2000363134A JP4361205B2 JP 4361205 B2 JP4361205 B2 JP 4361205B2 JP 2000363134 A JP2000363134 A JP 2000363134A JP 2000363134 A JP2000363134 A JP 2000363134A JP 4361205 B2 JP4361205 B2 JP 4361205B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
group
polycarbonate
silicone resin
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000363134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002167498A (ja
Inventor
石 平 馬
Original Assignee
Sabicイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sabicイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社 filed Critical Sabicイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社
Priority to JP2000363134A priority Critical patent/JP4361205B2/ja
Priority to TW90129447A priority patent/TWI292423B/zh
Priority to CNB01145461XA priority patent/CN100469837C/zh
Publication of JP2002167498A publication Critical patent/JP2002167498A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4361205B2 publication Critical patent/JP4361205B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂を含む難燃性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、テレビ、プリンター、コピー機、ファクシミリ、パソコンなどの家電機器、OA機器のハウジング材および部品、バッテリーパック、液晶の反射板、自動車の内装用材料などの高い耐熱性とともに耐加水分解性、耐衝撃性が要求される用途において有用な難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性および電気的特性に優れたエンジニアリングプラスチックとして電気・電子・OA分野を始め、広範な分野にて使用されている。これら電気・電子・OAの分野では、パーソナルコンピュータ外装部品のように高度な難燃性(UL94V)や耐衝撃性が要求される。
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラスチック材料ではあるが、電気・電子・OA分野ではさらなる安全上の要求を満たすため、UL94V−0や94V−1相当の一層高い難燃性が求められている。
そこで、ポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来、臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマーあるいはポリマーを、ポリカーボネートに多量に配合する方法が採用されていた。しかしながら、臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマーあるいはポリマーを難燃剤として多量に配合すると、確かにポリカーボネート樹脂の難燃性は向上するものの、耐衝撃性が低下して、成形品に割れが発生しやすいという問題があった。また、臭素を含む多量のハロゲン系化合物を配合するため、燃焼時に当該ハロゲンを含むガスが発生する懸念もあり、環境面でも塩素、臭素などのハロゲンを含有しない難燃剤の使用が望まれていた。
【0004】
ハロゲンを含まない難燃剤としては、リン酸エステルとシリコーン樹脂が知られている。たとえば、特公昭62−25706号公報には、ポリカーボネート系樹脂の難燃性を改良するためにリン酸エステルを添加することが提案されている。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂にリン酸エステルを添加すると、成形体を作製したときに、耐熱性や耐衝撃性が低下するという問題があった。
【0005】
これに対して、シリコーン樹脂は、耐熱性が高く、燃焼時に有害ガスが発生せず、しかもシリコーン樹脂自体の安全性も高いため、ポリカーボネート系樹脂の難燃剤として使用されるようになっている。
難燃剤としてのシリコーン化合物は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合してなるポリマーである。
【0006】
【化2】
Figure 0004361205
【0007】
たとえば特公昭62−60421号公報には、T単位を80重量%以上含有するシリコーン樹脂を熱可塑性樹脂に添加した難燃性樹脂組成物が開示されている。特開平5−86295号公報ではポリカーボネートなどの合成樹脂に、T単位を30〜99モル%、D単位を0〜80モル%、M単位を1〜70モル%、Q単位を0〜50モル%で含むシリコーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの公報に記載されたシリコーン樹脂を単独で添加しても、大きな難燃効果を持つものは極めて少なく、また電気電子機器関係の厳しい難燃基準を満たすためにはシリコーン樹脂を多量に添加する必要があり、その結果、プラスチックスの成形性、混練性および他の必要特性に悪影響が生じることがあり、さらにはコスト的にも不利であるため、実用的ではなかった。
【0009】
そこで、シリコーン化合物自体の難燃効果を向上させ、かつシリコーン化合物の添加量も削減する試みとして、シリコーン化合物と金属塩とを併用する方法も提案されている。たとえば、特開昭56−100853号公報には、ポリカーボネートなどの重合体に、D単位から構成されるシリコーンと炭素数14〜20のカルボン酸のIIa族金属塩を配合した難燃性樹脂組成物が開示され、特公平3−48947号公報には、M単位とQ単位とから構成されるシリコーン樹脂を、他のシリコーン樹脂およびカルボン酸のIIa族金属塩とともに配合した難燃性組成物が開示されている。しかしながら、シリコーン化合物と金属塩とを併用しても、難燃性の面で効果に劣るため、充分な難燃効果を得るにはシリコーン樹脂の添加量を多くしたり、水酸化アルミニウムなどの無機難燃性充填材やハロゲンおよびリン化合物を併用することが必要であった。
【0010】
このように、シリコーン樹脂を難燃剤として添加する場合、添加量を多くしないと十分な難燃効果が得られず、添加量を多くすると樹脂組成物の成形性、成形品の外観や機械的強度などの諸物性が大幅に低下してしまったり、シリコーン樹脂は、それ自体が高価であるため、ポリカーボネート系樹脂に配合したときに、材料コストが高くなってしまうという問題があり、このためより難燃効果の大きいシリコーン樹脂添加剤、またはシリコーン樹脂と併用して効果を向上させられる添加剤の開発が望まれていた。
【0011】
特開平8−176425号公報には、エポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンと有機スルフォン酸のアルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が、特開平8−176427号公報には、フェノール性水酸基含有オルガノポリシロキサンで変性したポリカーボネート樹脂と有機アルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が記載されている。また、特開平9−169914号公報には、石油系重質油類又はピッチ類をシリコーン化合物と併用して難燃効果を向上させた組成物が記載されている。しかしながら、これらの組成物では、特開平8−176425号公報および特開平8−176427号公報のような高価なシリコーン樹脂を使用する必要があったり、また製造工程が複雑化することに伴うコストアップに見合うほどの充分な難燃化効果は得られないなど、更なる改善が望まれていた。
【0012】
また、上述した従来のシリコーン樹脂は、いずれも、ポリカーボネート樹脂への分散性および相溶性が充分でなかった。
さらにまた、特開平10−139964号公報には、分子量(重量平均分子量)が10000〜270000の範囲にあり、下記式で表されるD単位とT単位とを含むシリコーン樹脂を、芳香族系ポリカーボネートに配合した難燃性樹脂組成物が提案されている。
【0013】
【化3】
Figure 0004361205
【0014】
また、特開平11-140294号公報には、T単位を 50〜90モル%含有し、D単位を 10〜50モル%含有し、フェニル基を全有機置換基の中80モル%以上含有しているシリコーン樹脂が、芳香族ポリカーボネート樹脂に配合された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特開平10−139964号公報、特開平11-140294号公報に記載された難燃性ポリカーボネート組成物では、燃焼時間が長く、かつドリップ性が不十分であり、実際に広く評価されているUL94に基づく燃焼性試験における難燃性がまだ不充分であった。
【0015】
さらにまた、特開平11−217494号公報には、下式で表される構造、すなわちD単位を主要構成単位とし、D単位とともにT単位および/またはQ単位とから構成され、かつ有機官能基として芳香族基を有するシリコーン化合物と、芳香族硫黄化合物の金属塩と、含フッ素ポリマーとを、ポリカーボネート樹脂に配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
【0016】
【化4】
Figure 0004361205
【0017】
(式中、RおよびXは有機官能基を示す。)
しかしながら、このようにD単位を必須成分として含むシリコーン樹脂は軟化点が著しく低く、室温で液状となりやすいので、ポリカーボネート樹脂への配合が極めて困難となることがあった。また、分子量を大きくすることで、D単位を必須成分として含むシリコーン樹脂であっても、室温で固体状のシリコーン樹脂が得られるが、この場合、分子量を大きくするための重合に長時間要することになる上に、添加しても難燃効果が低いという欠点もあった。
【0018】
さらにまた、特開平11−222559号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂のように分子中に芳香環を含む合成樹脂:100重量部と、組成式R1 m2 nSi(OR3)p(OH)q(4-m-n-p-q)/2(式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基、R3は炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、0.5≦m≦2.0、0≦n≦0.9、0.42≦p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)で表されるフェニル基およびアルコキシ基含有オルガノシロキサン:0.1〜10重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0019】
また特開2000-159996号公報には、芳香族ポリカーボネートと下記式で表されるシリケートと、必要に応じて、金属系、ハロゲン系、リン系または無機系難燃剤、トリアジン骨格含有化合物、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ、アラミド樹脂、ポリアクリロニトリル繊維、フッ素系樹脂、ノボラック樹脂などの難燃剤を含む難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0020】
【化5】
Figure 0004361205
【0021】
(式中、R1〜R4は炭素数1〜20の炭化水素であり、またR1とR4とは環形成していてもよく、p、qは0または1であり、同時に0ではない。nは1以上の整数である)
しかしながら、これらのような従来提案されていた難燃性樹脂組成物では、難燃性、流動性、および得られた成形体の耐熱性、耐加水分解性、耐衝撃性などの特性において必ずしも満足しうるものは得られていなかった。
【0022】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、シリコーン樹脂と特定構造のリン酸エステルを併用し、その上に、エポキシ安定剤とドリップ防止剤とを組み合わせてポリカーボネート系樹脂に配合することにより、高いレベルの難燃性を有し、かつ上記した問題点をいずれも解消しうる樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0023】
【発明の目的】
本発明は、耐熱性が高く、耐衝撃性及び耐加水分解性に優れ、しかも難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0024】
【発明の概要】
本発明に係るポリカーボネート系難燃性樹脂組成物は、
(A-1)ポリカーボネート系樹脂と、(A-2)(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体(熱可塑性樹脂)と、(B)シリコーン樹脂と、(C)下記式で表されるリン酸エステルと、
【0025】
【化6】
Figure 0004361205
【0026】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30の炭化水素を示す。Xは、酸素原子および/または窒素原子を含んでもよい炭素原子数1〜30の2価の有機基である。mは0〜5の整数を示す。)
(D)エポキシ安定剤とからなり、
前記シリコーン樹脂(B)が、(i)T単位とM単位とから構成されるシリコーン樹脂、
または(ii)T単位とM単位とQ単位とから構成され、かつシラノール基が、シリコーン樹脂中に0.3重量%以下の量で含まれてなり、
熱可塑性樹脂(A-2)が、(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分
および(c)ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体であり、
ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との重量比(A-1:A-2)が99:1〜1:99の範囲にあり、
かつポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との合計100重量部に対して、シリコーン樹脂(B)を0.1〜15重量部、リン酸エステル(C)を1〜30重量部、エポキシ安定剤(D)を0.01〜10重量部の量で含むことを特徴としている。
【0027】
前記シリコーン樹脂(B)が、シラノール基を含まないことが好ましい。
【0028】
シリコーン樹脂中のT単位とM単位との比が、T単位1モルに対して、M単位が0.03〜1モルであることが好ましい。
【0029】
前記シリコーン樹脂(B)が、含まれる官能基のうち、少なくとも20モル%以上が芳香族基であることが好ましい。
前記シリコーン樹脂を構成する有機基Rは、フェニル基が65モル%以上であることが好ましい。
【0030】
シリコーン樹脂の分子量が1000〜50000であることが好ましい。
【0031】
本発明に係る電気電子機器部品は、前記難燃性樹脂組成物から成形されてなる。また、本発明に係るハウジング材は、前記難燃性樹脂組成物から成形されてなる。
【0032】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に難燃性樹脂組成物について説明する。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、(A-1)ポリカーボネート系樹脂と(A-2)熱可塑性樹脂と、(B)シリコーン樹脂と、(C)リン酸エステルと、(D)エポキシ安定剤とを含むことを特徴としている。
【0033】
[ポリカーボネート系樹脂(A-1)]
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ホモポリカーボネートまたは芳香族コポリカーボネートである。
カーボネート系樹脂は一般に、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有するものである。
【0034】
【化7】
Figure 0004361205
【0035】
(上記式中、Aは芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される2価の残基である)
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、官能基であるヒドロキシ基を2個含有し、各ヒドロキシ基が芳香核の炭素原子に直接接合した単核または多核の芳香族化合物が挙げられる。
【0036】
芳香族ジヒドロキシ化合物として具体的には、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物が例示される。
【0037】
【化8】
Figure 0004361205
【0038】
このような式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として、具体的には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆるビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
これら芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましく用いられる。
また、上記式(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物として、下記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を使用することもできる。
【0040】
【化9】
Figure 0004361205
【0041】
(ここで、Rfはそれぞれ独立して、炭素数1〜10個の炭化水素基、該炭化水素基の1以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基、またはハロゲン原子であり、pは0〜4の整数である)
このような化合物としては、たとえばレゾルシン;および3-メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6-テトラブロモレゾルシンなどの置換レゾルシン;カテコール;ヒドロキノン、および3-メチルヒドロキノン、3-エチルヒドロキノン、3-プロピルヒドロキノン、3-ブチルヒドロキノン、3-t-ブチルヒドロキノン、3-フェニルヒドロキノン、3-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノンなどが挙げられる。
【0042】
また、上記式(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物として、次式
【0043】
【化10】
Figure 0004361205
【0044】
で表される2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビ−[1H−インデン]-7,7'-ジオールを用いることもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリカーボネートは、線状のものであっても、分岐を有するものであってもよい。また線状ポリカーボネートと分岐状ポリカーボネートのブレンド物あってもよい。
【0045】
このような分岐ポリカーボネートは、多官能性芳香族化合物を芳香族ジヒドロキシ化合物およびカーボネート前駆体と反応させることにより得られる。このような多官能性芳香族化合物の代表例は、米国特許明細書第3,028,385号、第3,334,154号、第4,001,124号および第4,131,576号に記載されており、具体的には、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル) エタン、2,2',2"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、α-メチル-α,α',α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジエチルベンゼン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン-2、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル) ベンゼン、2,2-ビス-[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン、トリメリット酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などが挙げられる。これらのうち、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなどが好ましく用いられる。
【0046】
このポリカーボネート系樹脂の塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度は、特に制限されるものではなく、目的とする用途、および成形性を鑑み適宜選択されるが、通常、0.26dl/g以上、好ましくは0.30dl/g〜0.98dl/g、さらに好ましくは 0.34dl/g〜0.64dl/gの範囲にあり、粘度平均分子量に換算した場合、通常、10000以上、好ましくは12000〜50000、さらに好ましくは14000〜30000の範囲にあることが望ましい。また、複数の異なる固有粘度のポリカーボネート樹脂を混合して使用できる。なお粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレン中、20℃で固有粘度(極限粘度[η])を測定し、マークフウィンク(Mark-Houwink)の粘度式:
[η]=K×(Mv)a (K=1.23×10-4、a=0.83)
を用いて、計算によって求めた。
【0047】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、公知の製造方法によって製造される。たとえば、
▲1▼芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(たとえば炭酸ジエステル)とを溶融状態でエステル交換反応させて、ポリカーボネートを合成する方法(溶融法)、
▲2▼溶液中で芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(たとえばホスゲン)とを反応させる方法(界面法)などが挙げられる。
【0048】
これらの製造法については、たとえば特開平2−175723号公報、特開平2-124934号公報、米国特許第4,001,184号明細書、同第4,238,569号明細書、同第4,238,597号明細書、同第4,474,999号明細書などに記載されている。
[ポリカーボネート系樹脂以外の熱可塑性樹脂(A-2)]
熱可塑性樹脂(A-2)としては、ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂が特に制限無く使用されるが、好適には、
▲1▼(a)芳香族ビニル単量体成分を重合体の構成成分として含む重合体;
▲2▼(a)芳香族ビニル単量体成分および(b)シアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体;
▲3▼(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を共重合体の構成成分として含む共重合体;
▲4▼芳香族ポリエステル;
▲5▼ポリフェニレンエーテル;
▲6▼ポリエーテルイミド;および
▲7▼ポリフェニレンサルファイド
からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
【0049】
上記に示した樹脂はいずれも市販品として購入可能であり特に製法等は制限されない。
( ) 重合体▲1▼
まず、(a)芳香族ビニル単量体成分を含む重合体▲1▼について説明する。
(a) 芳香族ビニル単量体成分としては、たとえばスチレン、α-メチルスチレン、o-,m- もしくはp-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p-ter-ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができる。本発明で使用される重合体はこれらの単独重合体であっても、または2種以上単量体の共重合体であってもよい。これらの単量体のなかでも好ましくは、スチレンまたはα-メチルスチレンである。重合体の好ましい例としては、たとえばスチレン樹脂が挙げられる。
【0050】
この(共)重合体の製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。また、別々に重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
共重合体▲2▼
次ぎに、(a)芳香族ビニル単量体成分及び(b)シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体▲2▼について説明する。
【0051】
芳香族ビニル単量体成分(a)としては前記したものと同様のものが挙げられる。
(b)シアン化ビニル単量体成分としては、たとえばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらからなる成分は共重合体中に、1種または2種以上含まれていてもよい。
【0052】
組成比(a)/(b)は特に制限されず、用途に応じて選択される。(a)/(b)は、好ましくは(a)が95〜50重量%に対して(b)が5〜50重量%であり、さらに好ましくは(a)が92〜65重量%に対して(b)が8〜35重量%である。
上記重合体の好ましい例としては、たとえばSAN樹脂(スチレン-アクリロニトリル共重合体)が挙げられる。この共重合体の製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。また、別々に共重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
【0053】
共重合体▲3▼
次に(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を含む共重合体について説明する。(a)芳香族ビニル単量体成分および(b)シアン化ビニル単量体成分については、前記した同様の例が挙げられる。 (c)ゴム質重合体としては、たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ブタジエン-イソプレン共重合体等のジエン系ゴム、エチレン-プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、エチレン-メタクリレ‐ト、エチレン-ブチルアクリレートなどのエチレン-不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル-ブタジエン共重合体、たとえばブチルアクリレート-ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン-酢酸ビニル等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン‐プロピレン-ヘキサジエン共重合体などのエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン‐イソブレン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられ、これらを1種または2種以上で使用する。好ましいゴム質重合体としては、エチレン-プロピレン非共役ジエンターポリマー、ジエン系ゴムおよびアクリル系弾性重合体であり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン-ブタジエン共重合体であり、その中のスチレン含有率は50重量%以下であることが好ましい。
【0054】
このような共重合体▲3▼としては、(c)ゴム質重合体の存在下にその他の成分がグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。特に、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリル系弾性体-スチレン共重合体)およびから選択される樹脂が好ましい。
【0055】
上記(共)重合体▲1▼、共重合体▲2▼および▲3▼の重量平均分子量(Mw)は好ましくは30,000〜200,000、より好ましくは30,000〜150,000、特に好ましくは30,000〜110,000であることが望ましい。
上記(共)重合体▲1▼、共重合体▲2▼および▲3▼には、上記の成分(a)、(b)、(c)の他に、これらの成分と共重合可能な単量体が、本発明の目的を損なわない範囲で共重合されていてもよい。このような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸などのα,β-不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のα,β-不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド等のα,β-不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は1種または2種以上で使用される。
【0056】
この共重合体の製造方法については、制限はなく塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合により製造される。
▲4▼芳香族ポリエステル
芳香族ポリエステルはそれ自体公知のものであり、芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエステルであって、芳香族ジカルボン酸およびジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする重縮合反応により得られる重合体もしくは共重合体である。
【0057】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ナフタレン-2,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ビフェニル-2,2'-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3'-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン-4,4'-ジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボン酸、アントラセン-2,5-ジカルボン酸、アントラセン-2,6-ジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4'-ジカルボン酸、ピリジン-2,5-ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましい。
【0058】
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用してもよい。なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパン-1,3- ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、などの脂肪族ジオール、シクロヘキサン-1,4- ジメタノールなどの脂環式ジオール等、およびそれらの混合物などが挙げられる。なお、少量であれば、分子量400 〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ- 1,3-プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合させてもよい。
【0059】
具体的な芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン-1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等を挙げることができる。なかでも、PBTおよびPETが好ましい。
【0060】
▲5▼ポリフェニレンエーテル
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、置換もしくは非置換のフェニレンエ―テル繰返し単位を有する公知の樹脂である。具体例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジメトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブロモメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジトリル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジベンジル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルなどが挙げられる。
【0061】
またPPE共重合体として、フェニレンエーテル繰り返し単位中にアルキル三置換フェノール、たとえば2,3,6-トリメチルフェノールを一部含有する共重合体を使用することもできる。またこれらのPPEに、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレン系化合物グラフト化ポリフェニレンエーテルとしては、上記PPEにスチレン系化合物として、たとえばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどをグラフト重合して得られる共重合体である。PPEは、たとえば日本ジーイープラスチックス社製、商品名NORYLとして市販されている。
【0062】
▲6▼ポリエーテルイミド
ポリエーテルイミドは公知の樹脂であり、たとえば日本ジーイープラスチックス社から商品名ULTEMとして市販されているものが挙げられる。
▲7▼ポリフェニレンサルファイド
ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、置換もしくは非置換のフェニレンサルファイド繰り返し単位を有する公知の樹脂である。たとえばフィリプス ペトロリアム(株)、および東ソー・サスティール(株)、(株)トープレンおよび呉羽化学(株)等から市販されているものが挙げられる。
【0063】
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては共重合体▲1▼と▲3▼が好ましく、特に、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリル系弾性体-スチレン共重合体)およびから選択される樹脂が好ましい。
【0064】
本発明に係る樹脂組成物中のポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との重量比は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)との重量比(A-1:A-2)が99:1〜1:99、好ましくは99:1〜70:30の範囲にあることが望ましい。
[シリコーン樹脂(B)]
本発明における(B)成分のシリコーン樹脂としては、特に制限されるものではないが、通常、RSiO1.5で表されるシロキサン単位(T単位)、R3SiO1.0で表されるシロキサン単位(D単位)、SiO2で表されるシロキサン単位(Q単位)、およびR3SiO0.5で表されるシロキサン単位(M単位)からなる群から選ばれる少なくとも2種のシロキサン単位を含むシリコーン樹脂(Rは、炭素数1〜10の非置換または置換1価炭化水素基を表す)が使用される。
【0065】
シリコーン樹脂を構成する有機基Rは、同一でも異なっていてもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基などが例示される。
このような有機基Rのうち、シリコーン樹脂としての入手が容易であり、ポリカーボネート系樹脂への分散性および難燃性から、特に有機基Rとしてメチル基および/またはフェニル基を有するシリコーン樹脂が好ましい。特にフェニル基を有するシリコーン樹脂は、難燃性に優れるほか、ポリカーボネートとの相溶性に優れ、しかもポリカーボネートの透明性を向上させる。このようなフェニル基は、シリコーン樹脂中の全有機基に対して20モル%以上が好ましく、さらに好ましくは40モル%以上であることが望ましい。
【0066】
本発明の難燃性樹脂組成物に使用するシリコーン樹脂の分子量は、1000〜50000の範囲が好ましく、より好ましくは2000〜20000、特に好ましくは3000〜10000である。分子量が1000未満であると使用条件においては固体状態を保持することが難しく作業性に劣り、また、分子量が50000を越えるとポリカーボネートへの分散性に劣ることがある。
【0067】
特に、本発明で使用されるシリコーン樹脂(B)としては、T単位とM単位とから構成されるシリコーン樹脂、またはT単位とM単位とQ単位とから構成されるシリコーン樹脂が好適である。
シリコーン樹脂中のM単位は、T単位1モルに対して、0.03〜1モル、好ましくは0.05〜0.3モルの量で含まれることが望ましい。また、シリコーン樹脂中にQ単位が含まれる場合、Q単位は、T単位1モルに対して、0.001〜0.5モル、好ましくは0.01〜0.05モルの量で含まれていることが望ましい。難燃性のためには酸化度の高いQ単位をより多量に含有している方がより有利であるが、シロキサン中のQ単位が多いと、無機微粒子的性質が強くなりすぎるため、ポリカーボネート系樹脂中への分散性が不良となるので、配合量は上記範囲内に抑える必要がある。
【0068】
以上のシロキサン単位含有率範囲から、難燃性、加工性、成形品の性能などのバランスを考慮して、シリコーン樹脂の全重量のうち50〜97モル%をT単位が占めるような領域を選択することがさらに望ましい。
このようなシリコーン樹脂は、公知の方法で合成でき、たとえばオルガノクロロシランやオルガノアルコキシシラン等を過剰の水で加水分解・縮合反応させることにより得られる。具体的には、まず、T単位、Q単位、D単位を形成するシラン化合物を水で加水分解・縮合反応させて、シラノール基含有シリコーン樹脂を作製し、次いでこのシラノール基を、M単位を形成する化合物を用いてトリオルガノシリル化することによってシリコーン樹脂を作製すると、分子量制御が容易に行うことができるので望ましい。
【0069】
たとえば、T単位とM単位とからなるシリコーン樹脂の製造方法としては、(a)[RSiO1.5]T単位からなるシラノール基含有シリコーン樹脂100重量部に対して、(b)(R1 3Si)aZ〔式中、R1は互いに同一または異種の置換または非置換の1価炭化水素基を示し、aは1〜3の整数を表し、Zは、aが1のときは水素原子、ハロゲン原子、水酸基または加水分解性基を示し、aが2のときは−O−、−NX−または
【0070】
【化11】
Figure 0004361205
【0071】
また、Xは水素原子、炭素数1〜4の1価炭化水素基を表す〕で表されるシリコーン化合物5〜100重量部を反応させることにより得ることができる。前記(a)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂は、公知の方法で合成でき、たとえばオルガノクロロシランやオルガノアルコキシシラン等を過剰の水で加水分解・縮合反応させることにより得られる。このような反応において、水の量や加水分解触媒の種類あるいは量、縮合反応の時間や温度等を調整することにより、各種の重合度のシリコーン樹脂が得られる。こうして得られるシリコーン樹脂は一般にシラノール基(−SiOH)を含有している。
【0072】
(b)成分の(R1 3Si)aZで表されるシリコーン化合物は、(a)成分中のシラノール基をシリル化するものであり、Zの加水分解性基としては、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、イソプロポキシル基、ブトキシル基のアルコキシル基、塩素、臭素などのハロゲン、プロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾキシ基等のアシロキシ基、アセエトンオキシム基、ブタノンオキシム基等のオルガノオキシム基、ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のオルガノアミノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基シクロヘキシルアミノ基等のオルガノアミノ基、N−メチルアセトアミド基等のオルガノアミド基等が例示される。
【0073】
(b)成分の具体例としては、トリメチルシラン、トリエチルシラン等のハイドロジェンシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラントリフェニルクロロシラン等のクロロシラン、トリメチルシラノール等のシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン、(CH3)3SiNHCH3、(CH3)3SiNHC25、(CH3)3SiNH(CH3)2、(CH3)3SiNH(C25)2等のアミノシラン、(CH3)3SiOCOCH3等のアシロキシシラン、ヘキサメチルジシラザン[(CH3)2Si]2NH、1,3-ジビニルテトラメチルジシラザン等のジシラザン、ノナメチルトリシラザン[(CH3)3Si]3N等のトリシラザンなどが挙げられる。これらの中でも、反応の制御や未反応物の除去が容易なことから、シラザン類やクロロシラン類が好ましく用いられる。
【0074】
上述した(a)成分と(b)成分との反応は、シラノールをシリル化する公知の条件で行うことができる。たとえば、(b)成分がシラザンやクロロシランの場合、(a)成分と(b)成分とを混合して加熱するだけで容易に反応は進行する。このとき(b)成分の使用量は、(a)成分100重量部に対して5〜100重量部の範囲にあることが好ましい。なお、(b)成分が5重量部未満であると、(a)成分のシラノール基を充分にシリル化することができず、反応中にゲル化するなどの不具合を生じることがある。また、(b)成分が100重量部を越えると、未反応の(b)成分が過剰に残るので、原料的に経済性が悪く、未反応の(b)成分を除くのに長時間を要するので、工程が煩雑化することがある。
【0075】
なお、上記シリル化反応は、反応温度を制御したり、副反応の脱水縮合反応を抑制するために、有機溶媒中で行うことが好ましい。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、工業用ガソリン、ミネラルスピッリット、ケロシン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられる。反応温度は、特に制限されるものではないが、好適には、室温から120℃の範囲である。反応によって生成する塩酸、アンモニア、塩化アンモニウム、アルコール等は水洗による除去もしくは溶媒と同時に留去することができる。
【0076】
上述したような方法で得られるシリコーン樹脂は、一般に室温で液状または固体状である。
ポリカーボネート系樹脂に配合されるシリコーン樹脂は、固体状のものが、ポリカーボネート系樹脂に均一に分散させることができるので好ましい。特に、軟化点が40℃以上、好ましくは70〜250℃の固体状シリコーン樹脂が、好適である。なお、軟化点の異なる2種以上のシリコーン樹脂を混合して、シリコーン樹脂の軟化点を調整してもよい。
【0077】
シリコーン樹脂の分子量は、(a)成分であるシラノール基含有シリコーン樹脂の分子量、シリル化されるシラノール基、シリル化剤となる(b)成分の種類によって制御することよって、シリコーン樹脂の分子量を制御することができる。
本発明で使用されるシリコーン樹脂は、D単位を有していると軟化点が著しく下がり、室温で液状となりやすく、ポリカーボネートへの配合が困難となることがある。また、分子量を高くすれば、D単位を有するシリコーン樹脂でも室温で固体状のシリコーン樹脂が得られるものの、分子量を高くするための重合時間が長くなる上に、T単位とM単位とから構成されるシリコーン樹脂、またはT単位とM単位とQ単位とシリコーン樹脂に比べ、難燃効果が低くなってしまうこともある。
【0078】
本発明で使用されるシリコーン樹脂は、少量のシラノール基を有してもよいが、保存安定性、溶融加工時安定性また難燃性の点からシラノール基量は、少ないことが好ましく、シラノール基はシリコーン樹脂中に0.5重量%以下の量で含まれていることが望ましく、さらには0.3重量%以下が望ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物に配合されるシリコーン樹脂の量は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との合計100重量部に対して、0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で含まれていることが望ましい。シリコーン樹脂の量が、0.1重量部未満では難燃性を充分に付与することができず、15重量部を越えても、さらなる難燃性の向上は見込めないばかりか、成形品の外観および光学的透明性や強度に悪影響を与えることがある。なお、これらのシリコーン樹脂は、いずれも燃焼時には有害なガスを発生させることがない。
【0079】
[リン酸エステル(C)]
リン酸エステル(C)としては下記式で表される化合物が使用される。
【0080】
【化12】
Figure 0004361205
【0081】
式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、好ましくは置換または非置換の芳香族炭化水素基を示す。置換されている場合、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基などが挙げられる。
このようなR1、R2、R3およびR4としては、フェニル基、クレジル基、キシレニル基(たとえば2,6-キシレニル基)、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、クミル基、ブチルフェニル基等で挙げられる。
【0082】
Xは、酸素原子および/または窒素原子を含んでもよい、炭素原子数1〜30の2価の有機基である。このようなXとしては、たとえば−O−Y1−O−(ここで、Y1は置換または非置換の芳香族炭化水素基であり、好ましくは1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基等である)、または−O−Y2−R5−Y3−O−(ここでY2およびY3は、2価の置換または非置換の芳香族炭化水素基であり、具体的には置換または非置換のフェニレン基等が挙げられる。R5は炭素数1〜8の2価の炭化水素基または炭化水素オキシ基(−R6−O−;R6は炭素数1〜8の2価の炭化水素基)であり、具体的には炭素数1〜9の2価脂肪族炭化水素基であり、たとえば2,2'-プロピレン基等である)である。また、Xとしては、リン原子に窒素原子が直接結合した有機基であってもよく、たとえば1,4-ピペラジンジル基(下記式)などが挙げられる。
【0083】
【化13】
Figure 0004361205
【0084】
mは0〜5の整数である。
好ましいリン酸エステル系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAテトラフェニルジホスフェート、ビスフェノールAテトラクレジルジホスフェート、レゾルシノールテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラキシリルピペラジンジホスフォルアミド等である。
【0085】
このようなリン酸エステル(C)を前記シリコーン樹脂(B)とともに添加すると、難燃性に優れるとともに、耐衝撃性、耐熱特性にも優れた成形品を形成することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物に配合されるリン酸エステル(C)の量は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との合計100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜10重量部の量で含まれていることが望ましい。リン酸エステルの量が、1重量部未満では(難燃性を十分に付与することができない)であり、30重量部を越えても、耐熱性が損なわれることがある。
【0086】
[エポキシ安定剤(D)]
本発明に係る難燃性樹脂組成物にはさらにエポキシ系安定剤(D)が添加されている。このエポキシ系安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル -3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5- メチルシクロヘキシル)ブチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-3,4- エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6'-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス- エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス- エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2- ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5- メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5- エポキシ- シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n- ブチル-3-t- ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。
【0087】
このうち脂環式エポキシ樹脂が好ましく、特に3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたはビス-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペートであることが好ましい。
この脂環式エポキシ安定剤は、旭電化工業株式会社製R−51、ダイセル化学工業株式会社製セロキサイド2021Pまたはセロキサイド2080として入手可能である。
【0088】
このようなエポキシ安定剤が含まれていると、樹脂組成物の耐加水分解性を向上させることができる。このような本発明の難燃性樹脂組成物に配合されるエポキシ安定剤の量は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)単独で使用される場合は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)100重量部に対し、ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)とが併用されている場合には(A-1)と(A-2)との合計100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で含まれていることが望ましい。エポキシ安定剤の量が、0.01重量部未満では耐加水分解性の向上を図れないことがある。また10重量部を越えると、樹脂組成物を用いて成形された成形品の機械的強度が低下することがある。
【0089】
[ドリップ防止剤(E)]
本発明に係る樹脂組成物には必要に応じてドリップ防止剤が含まれていてもよい。なお、ドリップ防止剤とは、燃焼の際に、ドリップ(滴下)を抑制する働きのある添加剤であり、公知のものが使用できる。特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などに代表されるポリカーボネート系樹脂中でフィブリル構造を形成するものがドリップの抑制効果が高いので好適である。
【0090】
このようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の中でも、分散性に優れたもの、たとえば水などの溶液にPTFEを乳化分散させたもの、またポリカーボネートやスチレン−アクリロニトリル共重合体に代表される樹脂でPTFEをカプセル化処理したもの、またはポリカーボネートやスチレン−アクリロニトリル共重合体に代表される樹脂とPTFEのマスターバッチは、ポリカーボネート組成物からなる成形体に、よい表面外観を与えるので好ましい。
【0091】
水などの溶液にPTFEを乳化分散させたものの場合、特に制限はないが、PTFEが1ミクロン以下の平均粒子径であるものが好ましく、特に0.5ミクロン以下であることが好ましい。
このようなPTFEとして市販されているものの具体例としては、テフロン30J(商標、 三井デュポンフルオロケミカル(株))、ポリフロン D−2C(商標、 ダイキン化学工業(株))、アフロン AD1(商標、旭硝子(株))などが挙げられる。
【0092】
ドリップ防止剤は、ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との合計100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲で添加される。
成分(E)の量が上記の範囲より少ないと優れた難燃性のポリカーボネート組成物が得られず、上記の範囲より多いと流動性が損なわれることがある。
【0093】
また、このようなポリテトラフルオロエチレンは、公知の方法によって製造することもできる(米国特許第2393967号明細書参照)。具体的には、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどの遊離基触媒を使用して、水性の溶媒中において、100〜1000psiの圧力下で、0〜200℃好ましくは20〜100℃の温度条件のもと、テトラフルオロエチレンを重合させることによって、ポリテトラフルオロエチレンを白色の固体として得ることができる。
【0094】
このようなポリテトラフルオロエチレンは、分子量が50万以上、好ましくは100万〜5000万程度のものが望ましい。
ポリテトラフルオロエチレンが配合された樹脂組成物は、燃焼時のドリップが抑制される。さらに、ポリテトラフルオロエチレンとシリコーン樹脂とを併用すると、ポリテトラフルオロエチレンのみを添加したときに比べて、さらにドリップを抑制し、しかも燃焼時間を短くすることができる。
【0095】
本発明では、ドリップ防止剤として、以上のようなポリテトラフルオロエチレンとともに、ポリフェニレンエーテル(PPE)を併用してもよい。
このようなPPEの具体例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4 -フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4 -フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジトリル-1,4-フェニレン)エーテルなどが挙げられる。特に好ましいPPE系樹脂は、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルである。またポリフェニレンエーテル共重合体としては、上記ポリフェニレンエーテル繰り返し単位中にアルキル三置換フェーノルたとえば2,3,6-トリメチルフェーノルを一部含有する共重合体を挙げることができる。またこれらのポリフェニレンエーテルに、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレン系化合物グラフト化ポリフェニレンエーテルとしては上記ポリフェニレンエーテルにスチレン系化合物として、たとえばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどをグラフト重合して得られる共重合体が挙げられる。
【0096】
さらにまた、ドリップ防止剤として、上記のようなポリテトラフルオロエチレンとともに、無機系ドリップ防止剤を併用してもよい。無機系ドリップ剤としては、シリカ、石英、ケイ酸アルミニウム、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、炭化珪素、窒化ケイ素、窒化硼素、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0097】
[その他成分]
本発明の樹脂組成物は、さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが含まれていてもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0098】
本発明に係る難燃性樹脂組成物には、その物性を損なわない限り、目的に応じて樹脂組成物の混合時または成形時に、公知の添加剤、たとえば着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ)、滑剤、可塑剤、難燃剤、流動性改良剤などが、添加されていてもよい。
【0099】
本発明の樹脂組成物を製造するための方法としては、特に制限はなく、公知の方法が使用できる。特に、溶融混合法が望ましい。樹脂組成物を製造する際には、少量の溶剤を添加してもよい。
装置としては特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダーなどを例として挙げることができ、これらを回分的または連続的に運転する。このとき、成分の混合順は特に限定されない。
【0100】
以上のような本発明に係る難燃性樹脂組成物は、難燃性に優れ、燃焼時にドリップが発生することがない。
たとえば、本発明に係る難燃性樹脂組成物は、アンダーライターズラボラトリーインコーポレーションのブレテン94「材料分類のための燃焼試験」(以下、UL−94という)に示される試験方法に従って、厚み1/16インチの試料片を作製し、UL−94 Vの評価をしたとき、UL−94 V−0級を満たすものである。なお、UL−94について、各V級の基準は、概略下記表の通りである。
【0101】
【表1】
Figure 0004361205
【0102】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など任意の成形方法を使用し、任意の形状の成形することができる。
こうして得られた成形品は、優れた耐衝撃性を有するとともに高い耐熱性を有しており、しかも難燃性にも優れている。このため、本発明の樹脂組成物の成形品は、OA機器や家電の外板、ハウジング材、電子電気機器部品として好適である。
【0103】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、シリコーン樹脂とともに特定のリン酸エステルを含んでいるので、耐衝撃性や成形性を損なうことなく高度な難燃性を具備し、かつ塩素、臭素化合物等からなる難燃剤を含まないことから燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを含むガスの発生の懸念もなく、環境保護の面においても優れた性能を有している。さらに、特定のエポキシ安定剤が添加されているので、ポリカーボネート系樹脂自体の耐加水分解性が向上し、色相、耐衝撃性に優れた成形品を作製可能である。
【0104】
このため、このような難燃性樹脂組成物は、テレビ、プリンター、コピー機、ファクシミリ、パソコンなどの家電機器、OA機器のハウジング材および部品、バッテリーパック、液晶の反射板、自動車の内装用材料などの高い耐熱性が要求される用途において、極めて有用である。
【0105】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、特にことわりのない限り、実施例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
【0106】
なお、各成分として次の化合物を使用した。
▲1▼ポリカーボネート系樹脂(PC):
ビスフェノールAのポリカーボネート:LEXAN(商品名、日本ジーイープラスチックス社製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度が0.49dl/g、粘度平均分子量(Mv)=21760(計算値)。
▲2▼ABS樹脂:
サンタック AT−07 (商標、日本A&L(株)製、ゴム含有量=20%、MI=2.5g/10分)
▲3▼リン酸エステル系化合物:
ビスフェノールA−テトラフェニルホスフェート、CR741S(商標、大八化学株式会社製)
▲4▼エポキシ系安定剤:
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド 2021P、商標、ダイセル化学工業株式会社製)
▲5▼ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):
ポリフロン D−2C(商標、ダイキン化学工業(株))。 水にPTFEを乳化分散させたもので、PTFE含有量が60重量%。 なお、ポリフロン D−2Cは、ポリカーボネート系樹脂に対して、0.5重量%の量で添加されるので、実際のPTFEは、0.3%添加されたことになる。また、水は、樹脂組成物調製時に揮散する。
▲6▼シリコーン樹脂
シリコーン樹脂は下記表2のような組成のものを使用した。
【0107】
【表2】
Figure 0004361205
【0108】
【実施例1】
ポリカーボネート90重量部、ABS樹脂10重量部、シリコーン樹脂(A-1)1重量部、リン酸エステル(CR741S)6重量部、エポキシ安定剤0.3重量部、PTFE0.5重量部で混合し、日本製鋼所(株)製の2軸押出機(TEX44αII)により、スクリュー回転数300rpm、バレル温度250〜260℃の条件にて押出しを行い、所定の長さに切断してペレットを製造した。このペレットを用いて、100t 射出成形機により、バレル温度260℃、金型温度50℃の成形条件にて、所定の大きさの試験片を射出成形した。得られた成形品について、以下の特性試験を行った。
【0109】
(1)耐衝撃性評価
厚さ1/8インチの試験片を用いて、ASTM-1に準拠してアイゾット衝撃強度を評価した。
(2)荷重たわみ温度(耐熱性)
厚さ1/4インチの試験片を用いて、ASTM-D−648に準拠して、荷重18.6kgのときのたわみ温度を測定した。
【0110】
(3)耐加水分解性
調製した樹脂組成物中のポリカーボネートの初期重量平均分子量と、48時間、121℃の100%RH雰囲気下に保持した樹脂組成物中のポリカーボネート中の重量平均分子量を測定した。重量平均分子量の測定はGPCによって行った。なお重量平均分子量が低下するということは、耐加水分解性が低いという意味である。
【0111】
(4)難燃性評価
難燃性は、上記したようにUL−94に準拠した試験、すなわち、アンダーライターズラボラトリーインコーポレーションのブレテン94”材料分類のための燃焼試験”(以下、UL−94という)に示される試験方法に従って、厚さ1.6mmの成形品について測定した。なお燃焼時間は5本の試料の合計燃焼時間である。
【0112】
結果を表3に示す。
【0113】
【実施例2および参考例A】
実施例1において、シリコーン樹脂(A-1)の代わりに、シリコーン樹脂(A-2)または(B-1)を使用した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0114】
【比較例1〜4】
表3のような組成となるようにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、特性評価を行った。
結果を表3に示す。
【0115】
【表3】
Figure 0004361205
【0116】
表3に示されているように、本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂に、シリコーン樹脂とリン酸エステル化合物とともに、エポキシ安定剤およびドリップ防止剤が添加されているので、燃焼時間が短く、しかも、ドリップの発生も抑制され、高度な難燃性(UL94 V−0)を有している。また、本発明の樹脂組成物は、耐加水分解性にも優れているので、熱を受けても加水分解することがない。
【0117】
比較例1のように、シリコーンレジンとエポキシ安定剤が含まれていない樹脂組成物は、難燃性、耐加水分解性が不充分である。また比較例2のようにシリコーンレジンが含まれていない樹脂組成物は、難燃性が不充分である。また比較例3のようにエポキシ安定剤が含まれていない樹脂組成物は、耐加水分解性が不充分である。さらに比較例4のようにリン酸エステルが含まれていない樹脂組成物では、シリコーンレジンの量を増やしても難燃性が低い。したがって、リン酸エステルとシリコーン樹脂をあわせて、ポリカーボネート系樹脂組成物に添加することで、樹脂組成物に対して明らかな難燃性の相乗効果が得られる。

Claims (5)

  1. (A-1)ポリカーボネート系樹脂と、(A-2)(a)芳香族ビニル単量体成分、(b)シアン化ビニル単量体成分および(c)ゴム質重合体を構成成分として含む共重合体(熱可塑性樹脂)、(B)シリコーン樹脂と、(C)下記式で表されるリン酸エステルと、
    Figure 0004361205
    (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30の炭化水素を示す。Xは、酸素原子および/または窒素原子を含んでもよい炭素原子数1〜30の2価の有機基である。mは0〜5の整数を示す。)
    (D)エポキシ安定剤とからなり、
    前記シリコーン樹脂(B)が、(i)RSiO1.5で表されるシロキサン単位(T単位)とR3SiO0.5で表されるシロキサン単位(M単位)[Rは、炭素数1〜10の非置換または置換1価炭化水素基を表す]とから構成され、かつシラノール基が、シリコーン樹脂中に0.3重量%以下の量で含まれてなり、さらにシリコーン樹脂中のT単位とM単位との比が、T単位1モルに対して、M単位が0.03〜1モルであり、
    ポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との重量比(A-1:A-2)が99:1〜1:99の範囲にあり、
    かつポリカーボネート系樹脂(A-1)と熱可塑性樹脂(A-2)との合計100重量部に対して、シリコーン樹脂(B)を0.1〜15重量部、リン酸エステル(C)を1〜30重量部、エポキシ安定剤(D)を0.01〜10重量部の量で含むことを特徴とするポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
  2. 前記シリコーン樹脂(B)が、シラノール基を含まないことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
  3. 前記シリコーン樹脂(B)が、含まれる官能基のうち、少なくとも20モル%以上が芳香族基である請求項1または2に記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
  4. 前記シリコーン樹脂(B)を構成する有機基Rは、フェニル基が65モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
  5. シリコーン樹脂の分子量が1000〜50000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
JP2000363134A 2000-11-29 2000-11-29 難燃性樹脂組成物およびその成形品 Expired - Lifetime JP4361205B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000363134A JP4361205B2 (ja) 2000-11-29 2000-11-29 難燃性樹脂組成物およびその成形品
TW90129447A TWI292423B (en) 2000-11-29 2001-11-28 Flame retardant resin composition
CNB01145461XA CN100469837C (zh) 2000-11-29 2001-11-29 阻燃树脂组合物和其模制品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000363134A JP4361205B2 (ja) 2000-11-29 2000-11-29 難燃性樹脂組成物およびその成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002167498A JP2002167498A (ja) 2002-06-11
JP4361205B2 true JP4361205B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=18834292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000363134A Expired - Lifetime JP4361205B2 (ja) 2000-11-29 2000-11-29 難燃性樹脂組成物およびその成形品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4361205B2 (ja)
CN (1) CN100469837C (ja)
TW (1) TWI292423B (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342271A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Sumitomo Dow Ltd 難燃性熱可塑性樹脂組成物
DE102009005762A1 (de) * 2008-12-23 2010-06-24 Bayer Materialscience Ag Schlagzähmodifizierte Polycarbonat-Zusammensetzungen
CN102964794A (zh) * 2012-11-23 2013-03-13 张家港顺昌化工有限公司 一种阻燃材料的制备方法
TWI664186B (zh) * 2017-10-05 2019-07-01 遠東新世紀股份有限公司 磷酸酯物質及其製備方法、含磷酸酯物質的聚酯樹脂及其製備方法
JP2021038298A (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 住化ポリカーボネート株式会社 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物および樹脂成形品

Also Published As

Publication number Publication date
CN100469837C (zh) 2009-03-18
TWI292423B (en) 2008-01-11
JP2002167498A (ja) 2002-06-11
CN1370803A (zh) 2002-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107531988B (zh) 阻燃组合物、其制备方法及包含其的制品
EP1493776B1 (en) Polycarbonate resin composition
US20070179225A1 (en) Flame Retardant Resin Composition and Molded Products Thereof
US20040063824A1 (en) Flame-retardant resin composition
WO2005097896A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体
JP4322376B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびその成型品
JP2007045906A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP3611227B2 (ja) ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物
JP4361205B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP2008069356A (ja) 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP4072936B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP5794863B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3777118B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびその用途
EP1272565B1 (en) Flame-retardant resin molding
JP4420262B2 (ja) 難燃性樹脂成型品
WO2001038438A2 (en) Flame-retardant resin composition and molded article consisting of the same
JP2000191896A (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物
JP2001139790A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2006335895A (ja) 光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光反射板
JPH10298414A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2006335882A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040408

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060508

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070116

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070319

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070329

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20070525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090626

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090626

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4361205

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term