JP7254588B2 - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂に特定のリン酸エステル系化合物、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分を有する複合ゴム系グラフト共重合体を配合することにより、耐衝撃性や難燃性に優れた樹脂組成物が得られると記載されている。また、特許文献2には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、リン系難燃剤、ポリフルオロエチレン樹脂及び特定の多層構造重合体を配合してなる樹脂組成物は、難燃性や熱安定性、耐衝撃性に優れ、外観改善効果があるため、大型成形品や薄肉成形品として有用であることが記載されている。さらに、特許文献3には、耐衝撃性、成形性、流動性に優れた材料として、ポリカーボネート樹脂、複合ゴム系グラフト共重合体、リン酸エステル化合物及びポリテトラフルオロエチレンからなる難燃性樹脂組成物が記載されている。
中でもリン系難燃剤によって難燃化されたポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイ組成物は、リン系難燃剤の可塑化効果により成形性に非常に優れるため、薄肉、大型成形品を得るためには最も一般的な組成物である(例えば特許文献4~6参照)。
このように、ポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイでは、難燃性、耐衝撃性、さらに高温成形に耐え得る耐熱性を有し、さらに耐湿熱性に優れることが求められている。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関する。
[2]縮合リン酸エステル化合物(C)が、下記一般式(1)で示す縮合リン酸エステルである上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]オルガノポリシロキサン(D)の主鎖が分岐構造である上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]オルガノポリシロキサン(D)が下記式(I)で表され、0≦D/(T+Q)≦0.4である上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2・・・(I)
[式(I)中、R1からR6は独立して、有機官能基、水素原子から選択される。またR7は有機基であり、M、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4である。]
[6]オルガノポリシロキサン(D)が、オルガノオキシ基を全有機官能基に対して0.01~10mol%の範囲で含有する上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]オルガノポリシロキサン(D)が上記式(I)で表され、0.3≦M≦0.6である上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]オルガノポリシロキサン(D)の重量平均分子量が500~2000である上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]オルガノポリシロキサン(D)が上記式(I)で表され、D=0である上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
なお、本明細書において、「~」を用いてその前後を数値又は物性値で挟んで範囲を表現する場合、その前後の値を含む範囲を意味する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、その種類に制限はない。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂(A)を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂(A)を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物、カーボネートエステルは、上述したものを用いるが、用いるカーボネートエステルとしては、なかでもジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、カーボネートエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、カーボネートエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、カーボネートエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質(原料)、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂(A)が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、なかでも、ポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において使用されるポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは14000以上、より好ましくは16000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有するグラフト共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体成分(b1)、シアン化ビニル単量体成分(b2)、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)を含むグラフト共重合体である。グラフト共重合体(B)は、好ましくは、芳香族ビニル単量体成分(b1)40~80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10~30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10~50質量%及びその他の単量体成分(b4)0~30質量%からなることが好ましい。
芳香族ビニル単量体成分(b1)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは40~80質量%の範囲であり、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。
シアン化ビニル単量体成分(b2)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは10~30質量%の範囲であり、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは14質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは26質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
その他の単量体成分(b4)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは0~30質量%の範囲であり、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は縮合リン酸エステル化合物(C)を含有する。縮合リン酸エステル化合物(C)を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂(A)そのものが有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できる。
かかるkが異なる縮合リン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。
kは、通常0~5の整数であるが、異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は必ずしも整数とはならず、好ましくは0.5~3の範囲である。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。またこれらの置換基を組み合わせた基、あるいはこれらの置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子などにより結合して組み合わせた基などでもよい。
シクロアルキレン基としては、炭素数5~10のシクロアルキレン基が好ましく、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられる。シクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシリデン基、2-アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5~10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5~8のシクロアルキリデン基がより好ましい。
アリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6~14のアリール基が挙げられる。アリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6~14のアリール基が挙げられる。
上記一般式(2)中のlは、3~11の整数であり、環状のアルキル基を形成する。好ましい環状アルキルとしては、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等が好ましく挙げられる。
一般式(2)中のRは、炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル基であり、特にはメチル基が好ましい。mは0~22であるが、好ましくは0~10、より好ましくは0、1、2、3、特に好ましくは、0、2、3である。
一般式(2)中のnは、[]に示された単位の数で、1~10であり、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、分子量分布(Mw/Mn)が1.01~1.4であるオルガノポリシロキサン(D)を含有する。
オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質を指す。オルガノポリシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(I)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2・・・(I)
ここで、上記式(I)中、R1からR6は独立して、有機官能基、水素原子から選択される。またR7は有機官能基であり、M、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに含フッ素樹脂(E)を含有する。含フッ素樹脂を上記した各成分と共に含有することで、樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、燃焼時の滴下防止性を向上させ難燃性をより向上させることができる。
また、この含フッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
含フッ素樹脂(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.005~1質量部であり、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下、なかでも0.4質量部以下、特に0.3質量部以下であることが好ましい。
含フッ素樹脂(E)の含有量を0.005質量部以上とすることで、十分な難燃性向上効果が得られ、1質量部以下とすることにより樹脂組成物を成形した成形品の外観不良が起こりにくく、機械的強度を高く保つことができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、コアシェル型エラストマー(F)を含有することも好ましい。コアシェル型エラストマー(F)としては、ゴム性重合体をコア層とし、その周囲に、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等の単量体成分を共重合して形成したシェル層からなるコアシェル型のグラフト共重合体が好ましい。
ゴム性重合体成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも-20℃以下のものが好ましく、更には-30℃以下のものが好ましい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
ここで、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」の一方又は双方をさす。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、安定剤を含有することが好ましく、安定剤としてはリン系安定剤やフェノール系安定剤が好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP-10」、城北化学工業社製「JP-351」、「JP-360」、「JP-3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)以外のその他の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
樹脂添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、縮合リン酸エステル化合物(C)、オルガノポリシロキサン(D)及び含フッ素樹脂(E)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形して成形品とされる。
成形品を製造する方法は、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
これらのなかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
製造例で製造したオルガノポリシロキサンの評価は、下記の方法で行った。
生成したオルガノポリシロキサンを約50mg秤量し、これらを重アセトンまたは重ジクロロメタン約1gに溶解させ1H-NMR測定用サンプルを調製した。400MHz 1H-NMR(日本電子株式会社製AL-400)にてRelaxation Delayを20秒で測定した、各成分のシグナル強度と内部標準のシグナル強度との比率、および秤量値からフェニル基、メチル基、およびオルガノオキシ基の割合を算出した。
重クロロホルムにTris(2,4-pentanedionate)chromiumIIIが0.5質量%になるよう添加し、29Si-NMR測定用溶媒を得た。測定対象のオルガノポリシロキサンを約1.5g秤量し、上記29Si-NMR測定用溶媒を2.5mL添加して溶解させ、10mmΦテフロン(商標登録)製NMR資料管に入れた。下記の装置および測地条件で測定し、シグナルの強度比から前記式(I)中のM、D、T、およびQの値を算出した。
装置:日本電子株式会社製JNM-ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。試料は約10質量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターで濾過したものを用いた。
装置:TOSOH HL-8220 GPC(東ソー株式会社製)
カラム:KF-G、KF-402.5HQ、KF-402HQ、KF-401HQ(いずれも昭和電工株式会社製)、カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.3mL/分
ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM-103)
ポリテトラメトキシシラン(三菱ケミカル株式会社製 MS-51)
ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM-22)
トルエン(キシダ化学株式会社製)
メタノール(キシダ化学株式会社製)
ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
1N水酸化カリウム水溶液(キシダ化学株式会社製)
オルガノポリシロキサン(D1)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン470部、フェニルトリメトキシシラン1005部、ポリテトラメトキシシラン53.2部、溶媒としてトルエン632部、メタノール632部、触媒として1N塩酸335部とメタノール335部の混合物を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。1N水酸化カリウム水溶液を690部加えた後、さらに30℃で30分間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(D1)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(D1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は895、重量平均分子量(Mw)は989、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。
また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は27.8mol%、メチル基の量は69.3mol%、メトキシ基の量は2.9mol%であり、29Si-NMR測定の結果、前記式(I)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.432、D=0、T=0.526、Q=0.042であり、D/(T+Q)=0となった。
オルガノポリシロキサン(D2)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン375部、フェニルトリメトキシシラン1587部、溶媒としてトルエン406部、メタノール406部、触媒として1N塩酸315部を使用し、40℃で7時間加水分解縮合を行った。2N水酸化カリウム水溶液を286部加えた後、さらに40℃で1時間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(D2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(D2)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は850、重量平均分子量(Mw)は928、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は27.5mol%、メチル基の量は70.3mol%、メトキシ基の量は2.2mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(I)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.459、D=0、T=0.541、Q=0であり、D/(T+Q)=0となった。
オルガノポリシロキサン(D3)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン191部、フェニルトリメトキシシラン471部、ポリテトラメトキシシラン24.9部、触媒として1N塩酸100部を使用し、40℃で6時間加水分解縮合を行った。水相を除去した後、有機相中の未反応成分および生成メタノール留去し2N水酸化カリウム水溶液を286部加えた後、さらに40℃で1時間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、副生した固形物を濾別することで、常温で液状のオルガノポリシロキサン(D3)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(D3)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は720、重量平均分子量(Mw)は772、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は23.7mol%、メチル基の量は71.1mol%、メトキシ基の量は5.1mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(I)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.449、D=0、T=0.480、Q=0.071であり、D/(T+Q)=0となった。
[樹脂ペレット製造]
前記表1に記載した各成分を、後記表2-4に記した割合(質量比)となるように配合し、タンブラーミキサーで均一に混合して、混合物を得た。この混合物を、2軸押出機(東芝機械社製「TEM26SX」)に供給し、スクリュー回転数100rpm、吐出量25kg/時、バレル温度260℃の条件で混練し、押出ノズル先端からストランド状に押し出した。押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットしてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上述の方法で得られたペレットについて、MFR(シリンダー温度260℃、荷重2.16kg)を測定(単位:g/10min)した。MFRの値が大きいほど、流動性が良いことを意味する。
上述の方法で得られたペレットを80℃で4時間乾燥した後、射出成型機(住友重機械工業社製「SE-100」)により、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、125mm×13mm×厚さ0.75mmの燃焼試験用試験片を成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、UL94Vに準拠した垂直燃焼試験を行った。燃焼性結果は良好な順からV-0、V-1、V-2、HBとし規格外のものをNGと分類した。
上述の方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80III」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片3mmtを成形した。
得られたISO多目的試験片(3mmt)を用い、ISO179に準拠して、ノッチつきシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
上述の方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80III」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、ISO多目的試験片4mmtを成形した。
ISO75-1&2に従い、4mm×10mmのISO多目的試験片の中央に一定の曲げ荷重(1.8MPa)を加え(フラットワイズ方向)、等速度で昇温させ、中央部のひずみが0.34mmに達したときの温度(℃)を測定した。
上述の方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80III」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、ISO多目的試験片4mmtを成形した。
ISO多目的試験片(厚さ4mm)を用い、ISO527規格に準拠して引張破壊呼び歪(単位:%)を測定した。
また、ISO多目的試験片(3mmt)を恒温恒湿槽を用いて、温度80℃、相対湿度95%の条件で、24h処理し、引張破壊呼び歪(単位:%)を測定した。この時の湿熱処理前後の引張破壊呼び歪[処理後引張破壊呼び歪/引張破壊呼び歪処理前)×100](単位:%)を求め、耐湿熱性を評価した。この値が、大きいほど耐湿熱性に優れることを意味する。
結果を以下の表2-4に示す。
Claims (9)
- ポリカーボネート樹脂(A)50質量部超97質量部以下と、芳香族ビニル単量体成分(b1)、シアン化ビニル単量体成分(b2)及びジエン系ゴム質重合体成分(b3)を含むグラフト共重合体(B)3質量部以上50質量部未満からなる(A)及び(B)の合計100質量部に対して、下記一般式(1)で示す縮合リン酸エステル化合物(C)3~20質量部、オルガノポリシロキサン(D)0.05質量部以上3質量部未満、含フッ素樹脂(E)0.005~1質量部、及びコアシェル型エラストマー(F)0質量部以上10質量部未満を含有し、オルガノポリシロキサン(D)は分子量分布(Mw/Mn)が1.01~1.4であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- オルガノポリシロキサン(D)の主鎖が分岐構造である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- オルガノポリシロキサン(D)が下記式(I)で表され、0≦D/(T+Q)≦0.4である請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2・・・(I)
[式(I)中、R1からR6は独立して、有機官能基、水素原子から選択される。またR7は有機基であり、M、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4である。] - オルガノポリシロキサン(D)が、オルガノオキシ基を全有機官能基に対して0.01~10mol%の範囲で含有する請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- オルガノポリシロキサン(D)が上記式(I)で表され、0.3≦M≦0.6である請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- オルガノポリシロキサン(D)の重量平均分子量が500~2000である請求項1~6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- オルガノポリシロキサン(D)が上記式(I)で表され、D=0である請求項4または6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1~8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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