JP2016084414A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】高度の難燃性と高い低温衝撃特性に優れ、かつ、あばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、環状ホスファゼン化合物(B)を0.05〜8質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.01〜0.1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を1〜7質量部およびフッ素化ポリオレフィン(E)を0.05〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、高度の難燃性と高い低温衝撃特性に優れ、かつあばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば、車両用部品、電気・電子機器部品、住宅用部材、その他の工業分野における部品製造用の材料として幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、車両用部品、パソコン、携帯電話、バッテリーケース等の電気・電子機器部品、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部品として好適に使用されている。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、ハロゲン系難燃剤が従来から使用され、近年はリン系難燃剤や有機スルホン酸金属塩系難燃剤が使用されてきている。このような難燃剤は、滴下防止剤としてのポリフルオロエチレンと共に配合することで燃焼性を抑制することができ、難燃性を向上させることができ、本出願人も各種の提案をしてきた。
すなわち、特許文献1では、芳香族ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤及び、有機重合体被覆ポリフルオロエチレンという特別な滴下防止剤を配合することにより、成形表面における白点異物の発生を抑制したポリカーボネート樹脂組成物を、特許文献2では、芳香族ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤、ポリフルオロエチレン及び、第1、第2のビニル系単量体を特定の割合で共重合させたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体配合したポリカーボネート樹脂組成物を提案した。また、特許文献3では、芳香族ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤、ビニル系単量体をグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム及び滴下防止剤を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物を提案した。
また、特許文献4では、タルクを必須とし、芳香族ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤、ポリフルオロエチレン並びに、ポリオルガノシロキサン粒子の特定量存在下で第1、第2及び多官能性のビニル系単量体を特定の割合で共重合させたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物を提案した。さらに、特許文献5では、ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤、フルオロポリマー、架橋ポリアルキルアクリレート系コアとアルキル(メタ)アクリレート系重合体系シェルを有する多層構造重合体、酸化チタン、カーボンブラック及び染顔料を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物を提案した。
しかしながら、ポリフルオロエチレン系滴下防止剤を含有する場合には、成形品の表面に、凹凸のあるまだら模様、当業界で「あばた(痘痕)」と通称される表面欠陥が生じやすいという問題点を有していた。このあばたは、ガラス繊維等の充填剤入りの強化系に起こるような「浮き」とは異なる現象であって、非強化系において起こる特殊な不具合である。
特開2007−154173号公報 特開2008−280491号公報 特開2009−7487号公報 特開2008−285507号公報 特開2011−57888号公報
近年、電気・電子機器部品、あるいはバッテリーパック等に代表されるように、より高い性能が求められており、難燃性としてはUL94試験にてV−0レベルの高度の難燃性、そして−30℃というような低温での高い耐衝撃性を有することが強く求められている。
本発明はこのような課題に鑑みて創案されたもので、高度の難燃性と高い低温衝撃特性に優れ、かつあばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、環状ホスファゼン化合物、有機スルホン酸金属塩、コア/シェル型グラフト共重合体およびフッ素化ポリオレフィンをそれぞれ特定の量で組み合わせることにより、難燃性と低温衝撃特性に優れ、かつあばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、環状ホスファゼン化合物(B)を0.05〜8質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.01〜0.1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を1〜7質量部およびフッ素化ポリオレフィン(E)を0.05〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]有機スルホン酸金属塩(C)が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩または芳香族スルホン酸アルカリ金属塩である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]コア/シェル型グラフト共重合体(D)がブタジエン系ゴムに少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合してなるグラフト共重合体である上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度が、0.4g/ml以上である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
[6]二次電池装置用部材である上記[5]に記載の成形品。
[7]電動自転車用または電動自動車用電池装置用部材である上記[5]に記載の成形品。
[8]屋外設置蓄電池用二次電池装置用部材である上記[5]または[6]に記載の成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、環状ホスファゼン化合物(B)、有機スルホン酸金属塩(C)、コア/シェル型グラフト共重合体(D)およびフッ素化ポリオレフィン(E)をそれぞれ特定の量で含有することにより、高度の難燃性と高い低温衝撃特性と良好な成形品外観の全てを満足することが可能となる。
実施例における成形品の外観評価に使用した平板状試験片の形状を示す斜視図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
[概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、環状ホスファゼン化合物(B)を0.05〜8質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.01〜0.1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を1〜7質量部およびフッ素化ポリオレフィン(E)を0.05〜1質量部含有することを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂の種類に制限は無い。また、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・ポリカーボネート樹脂の製造方法
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロぺニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
・ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常は10,000を超え、好ましくは13000以上、より好ましくは16,000以上、さらに好ましくは17,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは24,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行うこともできる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2016084414
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[環状ホスファゼン化合物(B)]
本発明において用いられる環状ホスファゼン化合物(B)は、常温で粉体であり、分子中に−P=N−結合を有する環状の有機化合物であり、好ましくは、下記一般式(1)で表される環状芳香族ホスファゼン化合物である。環状芳香族ホスファゼン化合物は、常温で固体の、通常その性状は粉体である。
Figure 2016084414
式(1)中、aは3〜25の整数であり、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。
上記一般式(1)中、アリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル(即ち、トリル)基、ジメチルフェニル(即ち、キシリル)基、トリメチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられるが、なかでも炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
また、アルキルアリール基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数6〜20のアラルキル基が挙げられるが、なかでも炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、ベンジル基が特に好ましい。
式(1)中のR及びRは、なかでもアリール基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。このような環状芳香族ホスファゼンを用いることで、本発明の樹脂組成物の難燃性、耐熱性を効果的に高めることができる。
一般式(1)で表される環状芳香族ホスファゼン化合物としては、例えば、
フェノキシホスファゼン、
o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)トリルオキシホスファゼン、
o,m−キシリルオキシホスファゼン、o,p−キシリルオキシホスファゼン、m,p−キシリルオキシホスファゼン等の(ポリ)キシリルオキシホスファゼン、
o,m,p−トリメチルフェニルオキシホスファゼン、
フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン、
フェノキシo,m−キシリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−キシリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−キシリルオキシホスファゼン等の(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン、
フェノキシo,m,p−トリメチルフェニルオキシホスファゼン等の環状フェノキシホスファゼンが挙げられる。
一般式(1)で表される環状芳香族ホスファゼン化合物としては、R、Rがフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、該環状フェノキシホスファゼン化合物は、一般式(1)中のaが3〜8の整数である化合物が好ましく、aの異なる化合物の混合物であってもよい。
上記aの平均は、3〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
また、なかでも、a=3のものが50質量%以上、a=4のものが10〜40質量%、a=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
環状ホスファゼン化合物(B)は、下記一般式(2)で表される鎖状芳香族ホスファゼン化合物を含有していてもよい。
Figure 2016084414
一般式(2)中、bは3〜10,000の整数であり、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アリール基又はアルキルアリール基を示す。
は、−N=P(OR基、−N=P(OR基、−N=P(O)OR基、−N=P(O)OR基から選ばれる少なくとも1種を示し、Rは、−P(OR基、−P(OR基、−P(O)(OR基、−P(O)(OR基から選ばれる少なくとも1種を示す。
一般式(2)において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられるが、通常メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜14のシクロアルキル基が挙げられるが、中でも炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等の炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜8のアルキニル基やエチニルベンゼン基等のアリール等も挙げられる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル(即ち、トリル)基、ジメチルフェニル(即ち、キシリル)基、トリメチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられるが、なかでも炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
アルキルアリール基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数6〜20のアラルキル基が挙げられるが、なかでも炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、ベンジル基が特に好ましい。
一般式(2)中のR及びRは、アリール基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。
このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、前記した方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、一般式(2)中のbは、好ましくは3〜1,000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
環状ホスファゼン化合物(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜8質量部であり、0.1質量部以上が好ましく、中でも0.5質量部以上、特には1質量部以上であることが好ましく、7質量部以下が好ましく、中でも5質量部以下、特には3質量部以下であることが好ましい。0.05質量部以上とすることにより、難燃性と外観を十分に改良することができ、8質量部以下とすることにより、耐熱性を良好に保つことができる。
[有機スルホン酸金属塩(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、有機スルホン酸金属塩(C)を含有し、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜0.1質量部である。好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、好ましくは0.09質量部以下、より好ましくは0.07質量部以下である。有機スルホン酸金属塩(C)をこのような量で、環状ホスファゼン化合物(B)と共に含有することで、ポリカーボネート樹脂の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できる。
有機スルホン酸金属塩(C)の金属としては、特に制限はないが、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。
これらの中ではアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはリチウムがより好ましく、さらにはナトリウム、カリウム、セシウムが、特にはナトリウム、カリウムが好ましい。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。
有機スルホン酸金属塩(C)のうち、好ましいものとしては、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。
その中でも好ましいものの具体例を挙げると、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸セシウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、デカフルオロ−4−(ペンタフルオロエチル)シクロヘキサンスルホン酸カリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;
ノナフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カルシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;
ジフルオロメタンジスルホン酸ジナトリウム、ジフルオロメタンジスルホン酸ジカリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジナトリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロプロパンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロイソプロパンジスルホン酸ジカリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジナトリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸のアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、
ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドカリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸イミドのアルカリ金属塩;
シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する環状含フッ素脂肪族スルホンイミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;
パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、
サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホンアミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホンアミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物の中でも、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩が、特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩としては、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、具体的にはノナフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
芳香族スルホン酸金属塩としては、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム等のジフェニルスルホン−スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及びパラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム等のパラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩;が特に好ましく、パラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましい。
なお、有機スルホン酸金属塩(C)は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、難燃剤として、環状ホスファゼン化合物(B)及び有機スルホン酸金属塩(C)以外のその他の難燃剤、特に例えば流動改質効果も期待される縮合リン酸エステルを併用することも考えられるが、本発明においては縮合リン酸エステルを実質的に含有しないことがポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性および衝撃特性の観点から好ましい。この場合、「実質的に含有しない」とは、縮合リン酸エステルを含まないか、含んだとしてもポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1質量部以下、特には0.5質量部以下であることを意味する。
[コア/シェル型グラフト共重合体(D)]
コア/シェル型グラフト共重合体(D)としては、ジエン系ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分をグラフト重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。なかでも、乳化重合で行うのが最も容易であり、好ましい方法である。
上記ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下のものが好ましく、更には−30℃以下のものが好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴムなどを挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。ここで、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」の一方又は双方をさす。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
本発明に用いるコア/シェル型グラフト共重合体(D)は、耐衝撃性や難燃性の点からブタジエン系のエラストマーが好ましい。中でもポリブタジエン含有ゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなるコア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ブタジエン系ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸成分は、10質量%以上含有するものが好ましい。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体等が挙げられる。この様なゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
コア/シェル型グラフト共重合体(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1〜7質量部であり、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。コア/シェル型グラフト共重合体(D)の含有量が少な過ぎると、低温耐衝撃性の改良効果を十分に得ることができず、多過ぎると耐熱性が低下し、難燃性が悪化する。
[フッ素化ポリオレフィン(E)]
本発明において、フッ素化ポリオレフィン(E)を含有する。これによりポリカーボネート樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、燃焼時の滴下防止性を向上させることができ、また環状ホスファゼン化合物(B)と併用することであばた等の外観不良を抑制することができる。
フッ素化ポリオレフィン(E)は、その見掛け密度が0.4g/ml以上であることが好ましい。フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度が0.4g/ml以上とすることで燃焼時の滴下防止性がより向上する。フッ素化ポリオレフィンの見掛け密度は、より好ましくは0.45g/ml以上であり、また、ハンドリング性の観点から、好ましくは2.0g/ml以下であり、より好ましくは1.5g/ml以下であり、更に好ましくは1.0g/ml以下である。
なお、フッ素化ポリオレフィンの見掛け密度は、JIS K6820に基づく、見掛け密度測定装置を用いて行う。
フッ素化ポリオレフィン(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜1質量部である。0.05質量部より少ないと難燃性向上効果が不十分になりやすく、1質量部を超えると樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じやすい。フッ素化ポリオレフィン(E)の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上であり、また、0.9質量部以下が好ましく、中でも0.8質量部以下、とりわけ0.6質量部以下であることが好ましい。
フッ素化ポリオレフィンは、通常ポリフルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン重合体が好ましい。
また、このフッ素化ポリオレフィンとしては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフッ素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
また、フッ素化ポリオレフィンとして、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂も好適に使用することができる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形品の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
フッ素化ポリオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体を生成するための単量体としては、ポリカーボネート樹脂に配合する際の分散性の観点から、ポリカーボネート樹脂との親和性が高いものが好ましく、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体がより好ましい。
[リン系安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
リン系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量以下、より好ましくは0.5質量部以下である。リン系安定剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、熱安定効果が不十分となる可能性があり、リン系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[フェノール系安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール系安定剤を含有することも好ましい。フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
フェノール系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、フェノール系安定剤としての効果が不十分となる可能性があり、フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[離型剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有することも好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[紫外線吸収剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の外観や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−n−ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。トリアジン化合物としては、例えば1,3,5−トリアジン骨格を有する化合物等が挙げられる。オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられる。
さらに、マロン酸エステル化合物としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、上記した以外の他の樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・樹脂添加剤
上記した以外の他の樹脂添加剤としては、例えば、染顔料(カーボンブラックを含む)、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、環状ホスファゼン化合物(B)、有機スルホン酸金属塩(C)、コア/シェル型グラフト共重合体(D)およびフッ素化ポリオレフィン(E)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
成形品の製造方法は、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。なかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
[成形品]
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品に用いて好適である。また、特にバッテリーパックの筺体・ケース、電動自転車や電動アシスト自転車、電動自動車のバッテリーパックの筺体に好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例および比較例に使用した各成分は以下の表1のとおりである。
Figure 2016084414
(実施例1〜6、比較例1〜6)
[樹脂ペレット製造]
表1に記載した各成分を、後記表3に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[単位時間あたり流出量 Q値(単位:×10−2cm/sec)]
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、高架式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
なお、表中、「Q値」と表記する。
[難燃性評価 UL94試験]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用試験片を成形した。
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行った。
UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表2に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 2016084414
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(Not Rated)と評価した。
なお、表中、「燃焼性」と表記する。
[成形品の外観評価]
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(東芝機械社製、「EC160NII」)にて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、図1に示すとおりのタテ150mm×ヨコ150mm×厚さ2mm(ゲートは、試験片の上辺中央から25mm下に位置する点に1ゲートのみ)の平板状試験片を製造した。得られた平板状試験片の表面を、光学顕微鏡(キーエンス社製、「VHX−1000」、レンズ:VH−Z100UW、倍率:100倍)にて、ゲート位置から110mm下方に位置する2mm四方の観察域(面積:4mm)を観察し、直径50μmΦ以上の凹凸状の不良点の有無を評価した。
不良点が観察されなかったものを「○」、不良点が観察されたものを「×」として、外観評価を行った。
なお、表中「成形品外観」と表記する。
[耐衝撃性評価 −30℃低温シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)]
ISO179−1及び179−2に準拠し、以下の手順にて測定した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75MII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISO179−1、2に基づく3mm厚のノッチ付耐衝撃性試験片を作製し、−30℃の温度環境下においてノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。数値が大きいほど、低温耐衝撃性が優れていることを意味する。
なお、表中「−30℃低温シャルピー衝撃強度」と表記する。
以上の評価結果を以下の表3に示す。
Figure 2016084414
上記表3より、実施例のものはいずれも難燃性と成形品外観と低温耐衝撃性が優れることが分かる。一方、有機スルホン酸金属塩(C)を含有しない比較例1や含有量が少ない比較例3は燃焼性がV−1と悪化し、また有機スルホン酸金属塩(C)の含有量が多すぎる比較例4、5では燃焼性が悪化することが分かる。
また、環状ホスファゼン化合物(B)を含有しない比較例2は難燃性がV−2と悪く成形品外観も悪化すること、環状ホスファゼン化合物(B)の代わりに縮合リン酸エステル系難燃剤を含有する比較例6は難燃性がV−2と悪く低温耐衝撃性が17kJ/mと非常に悪いことが分かる。
したがって、高度の難燃性と高い低温衝撃特性、さらに外観不良の問題をバランスよく解決するという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高度の難燃性と高い低温衝撃特性に優れ、かつあばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂材料であるので、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品に広く好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、環状ホスファゼン化合物(B)を0.05〜8質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.01〜0.1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を1〜7質量部およびフッ素化ポリオレフィン(E)を0.05〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 有機スルホン酸金属塩(C)が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩または芳香族スルホン酸アルカリ金属塩である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. コア/シェル型グラフト共重合体(D)がブタジエン系ゴムに少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合してなるグラフト共重合体である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度が、0.4g/ml以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
  6. 二次電池装置用部材である請求項5に記載の成形品。
  7. 電動自転車用または電動自動車用電池装置用部材である請求項5に記載の成形品。
  8. 屋外設置蓄電池用二次電池装置用部材である請求項5または6に記載の成形品。
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