JPWO2006035734A1 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、ハロゲン、リン、窒素等の原子を有する難燃剤を含有せずに高い難燃化効果を発現できる新規難燃性樹脂組成物を提供することである。本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)および芳香族ビニル系樹脂(B)からなる樹脂に、平均組成式(1)で表されるシリコーン化合物(C)、および、pHが8.0以上であり、体積平均粒子径が1nm〜100μmである金属ケイ酸塩化合物(D)を含有する難燃性樹脂組成物である。R1mR2nSiO(4-m-n)/2(1)(式中、R1は脂肪族炭化水素基を表し、R2は芳香族炭化水素基を表す。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)

Description

本発明は、ハロゲン、リン、窒素等の原子を含有せず、高度に難燃化されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は寸法安定性、耐熱性、電気特性、軽量性に優れているため、テレビ、パソコン、プリンターなどのハウジング、シャーシー、高電圧部品等の電子・電気部品、OA機器や雑貨、IC用耐熱トレーなどの分野で使用されている。上記電子・電気分野等では火災に対する安全上の配慮から、使用される材料に対して厳しい難燃規格が設けられている。これまで、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の難燃化にはハロゲン系やリン系の難燃剤が用いられてきたが、近年のヨーロッパを中心とした環境問題に関する関心の高まりから、リン系難燃剤をはじめとしてハロゲンを含まない難燃剤の使用が種々検討されている。
しかしながら、リン系難燃剤である燐酸エステル系化合物、赤燐などを用いて難燃化した場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂は成形加工温度が高いため、押出・成形加工時に臭気が発生したり、金型汚染が生じるといった問題があるほか、樹脂の耐熱性が低下するといった課題があることから、ハロゲン化合物やリン化合物を含まずに高度に難燃化されたポリフェニレンエーテル系樹脂が望まれている。
ハロゲン、リン等の原子を含む化合物を用いずにポリフェニレンエーテル系樹脂を難燃化する方法としては、シリコーン化合物を用いることが知られている。例えば、ポリオルガノシロキサンとポリフェニレンエーテルとの熱可塑性樹脂組成物が開示されており(例えば、特許文献1参照)、また、特定のフェニルシロキサン流体やシリコーン樹脂をブレンドする方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらのシリコーン化合物は、ポリフェニレンエーテル樹脂単体に対してはある程度の難燃性を付与するものの、他の樹脂が複合化された場合には、十分な難燃性を発現することができない。つまり、ポリフェニレンエーテル系樹脂は流動性を改良することを目的に芳香族ビニル系樹脂とアロイ化して用いられることが多く、その場合には、上記シリコーン化合物を含有するだけでは、難燃性が低下するという問題があった。最近、ポリフェニレンエーテル系樹脂と芳香族ビニル系樹脂とのアロイに対して特定シリコーン系化合物を添加することにより難燃性を付与する技術がいくつか開示されており、例えばR2SiO2/2単位とRSiO3/2単位からなるシリコーン樹脂を添加する技術が開示されているが(例えば、特許文献4、5参照)、厚みが1.6mm以下のテストピースではUL−94 V−0(米国アンダーライターズラボラトリー規格)に適合するような高度な難燃性は得られていない。
他方、シリコーン化合物を用いる以外の方法によるポリフェニレンエーテル系樹脂の難燃化技術として特定の金属ケイ酸塩を添加する方法が開示されているが(例えば、特許文献6参照)、ポリフェニレンエーテル系樹脂と芳香族ビニル系樹脂とのアロイに対しては何ら効果がない。さらに、RSiO3/2単位を主単位とするシリコーン化合物とケイ素元素を含む無機充填剤とを含有するポリフェニレンエーテル系樹脂と芳香族ビニル系樹脂とのアロイ組成物が開示されているが(例えば、特許文献7参照)、難燃性が不十分であり、さらなる改善が求められている。
米国特許第3737479号 特公平6−62843号公報 特開2001−294743号公報 特開2000−178436号公報 特開2000−297209号公報 特開2003−82218号公報 特開2002−97374号公報
本発明の目的は、ハロゲンやリン原子を含むことなく高度に難燃化され、耐熱性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記現状に鑑み、特定構造のシリコーン樹脂がポリフェニレンエーテル樹脂と芳香族ビニル系樹脂のアロイでもある程度難燃化効果を示すことに着目し、その難燃性能の向上について鋭意検討した結果、特定の無機化合物との組合せにより少量のシリコーン化合物の添加でも優れた難燃性を有し、樹脂が本来有する耐熱性も低下させないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜100重量部および芳香族ビニル系樹脂(B)0〜70重量部からなる樹脂100重量部に対して平均組成式(1)
1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)で表され、SiO2単位が全Si原子中の10モル%以上を占めるシリコーン化合物(C)0.1〜20重量部および、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、体積平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にある金属ケイ酸塩化合物(D)0.1〜20重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜95重量部および芳香族ビニル系樹脂(B)5〜70重量部からなることを特徴とする、前記の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、さらにフッ素樹脂(E)0.005〜1重量部を含有することを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、(C)成分のシリコーン化合物が、R3SiO3/2単位(式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)およびR4 2SiO2/2単位(式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)を含有するシリコーン化合物であることを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、(C)成分のシリコーン化合物の主鎖骨格が、R3SiO3/2単位(式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても、異なってもよい)とSiO2単位のみからなることを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、(C)成分のシリコーン化合物の主鎖骨格が、R4 2SiO2/2単位(式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)とSiO2単位のみからなることを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、(C)成分のシリコーン化合物の数平均分子量が、1000から200000の範囲であることを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、(D)成分の金属ケイ酸塩化合物がK、Na、Li、Ca、Mn、Ni、Mg、Fe、Al、Ti、Zn、Zrのうちから選ばれる一種以上の金属元素を含有することを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、1.82MPa荷重時の熱変形温度が135℃以上であることを特徴とする、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物に関する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、塩素、臭素、リン、窒素等、一般に用いられている難燃剤を用いなくても非常に優れた難燃性を示し、樹脂が本来有する特徴を損なうことも少ない。かつ安価な原料を用いて比較的容易に合成することが可能である。このような難燃性樹脂組成物は工業的に非常に有用である。
以下に本発明を詳述する。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂(A)とは、下記に示す一般式〔a〕及び/又は〔b〕:
Figure 2006035734
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5、R6は同時に水素ではない)を繰り返し単位とし、構成単位が上記〔a〕及び/又は〔b〕からなる重合体、あるいは共重合体が使用できる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)の単独重合体の代表例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体は、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、あるいはo−クレゾールとの共重合体、あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等が例示され、本発明においては、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含するものとする。
また、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂(A)中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698及び特開昭63−301222に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂(A)の分子量としては、数平均分子量で1,000〜100,000さらには6,000〜60,000が好ましい。本発明において数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。
次に、芳香族ビニル系樹脂(B)とは、少なくとも一種の芳香族ビニル化合物の重合体、もしくは少なくとも1種の芳香族ビニル化合物と少なくとも1種のオレフィン化合物からなる共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。
上記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンから選ばれる1種以上が例示され、オレフィン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のモノオレフィン、あるいはブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体等の非共役ジオレフィンのうちから選ばれた1種以上のオレフィン化合物が例示される。
好ましい芳香族ビニル系樹脂(B)としては、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとから構成されてなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが特に好ましい。
また共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン及び/またはイソプレンが特に好ましい。芳香族ビニル化合物の含有量と共役ジエン化合物の含有量の重量比は、50/50〜90/10の範囲が好ましく、55/45〜85/15の範囲がさらに好ましい。芳香族ビニル化合物の含有量が50重量%より少なくなると樹脂組成物を成形する際、相溶性の不良に起因する相剥離現象が生じ、また流動性にも悪影響が生じる場合がある。
上記ブロック共重合体は、数平均分子量が2,000〜500,000、さらには20,000〜300,000の範囲が好ましい。また分子量分布(重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比)Mw/Mnは1.05〜10の範囲が好ましい。また、ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分枝状、放射状またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。この中でも、直鎖状の構造の物がより好ましい。
上記ブロック共重合体の製造方法としては、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−14979号公報、特公報49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報などに記載された方法が挙げられる。これらはすべて、炭化水素溶剤中でアニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、必要に応じてビニル化剤、カップリング剤等を用い、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物をブロック共重合する方法である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と芳香族ビニル系樹脂(B)との比率は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜100重量部、芳香族ビニル系樹脂(B)0〜70重量部(あわせて100重量部)であることを要する。より好ましくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜95重量部、芳香族ビニル系樹脂(B)5〜70重量部である。ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)が30重量部より少ないと、機械的性質が低下するので好ましくない。
本発明の(C)成分であるシリコーン化合物は、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなり、
1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)の平均組成式で表され、SiO2単位が全Si原子中の10モル%以上を占めるものである。構造中に必須であるQ単位(SiO2)の他には、T単位(RSiO1.5)、D単位(R2SiO)及びM単位(R3SiO0.5)という3種類の構成単位のうち任意の組合わせで構成される。ここでRは、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を表す。
平均組成式(1)で表される芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、分子内に炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1及び炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2の両方を有すること、これら全炭化水素基とSi原子数とのモル比m+nが1.1≦m+n≦1.7という範囲内であること、炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mが0.4≦n/m≦2.5という範囲内であること、を満たす。なお、各元素および各炭化水素基の割合は、水素、炭素およびケイ素のNMRを用いて算出することができる。
炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素基R1としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、メチル基及びエチル基であり、より好ましいのはメチル基である。シリコーン化合物(C)中には複数のR1に該当する部分が存在することになるが、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数が5以上になると、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物自体の難燃性が低下するため難燃化効果が低くなる。
炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2としては特に限定されず、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、芳香族環上に置換基を有しない芳香族基であり、より好ましいのはフェニル基である。シリコーン化合物(C)中には複数のR2に該当する部分が存在することになるが、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。
全炭化水素基とSi原子数とのモル比m+nは、1.1≦m+n≦1.7という範囲内である。上記m+nの値は、好ましくは1.15≦m+n≦1.65であり、より好ましくは1.18≦m+n≦1.6であり、さらに好ましくは1.20≦m+n≦1.55の範囲である。m+nの値が1.1未満であっても1.7を超える範囲であっても、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下する傾向があるため好ましくない。上記のような範囲の構造を構築するにはオルガノシロキサン化合物の骨格中にQ単位を一定量以上導入することにより達成でき、一般にその単位の導入量が多いほど上記範囲を達成できやすい。Q単位の導入量としては全Si原子中の10モル%以上が好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上が最も好ましい。Q単位の導入量が増えるに従い、構造中に同じSiO2構造を有する本発明の(D)成分である金属ケイ酸塩化合物との相溶性が向上するため、より難燃効果の相乗性が向上する。
炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mは、0.4≦n/m≦2.5という範囲内である。n/mが0.4未満であると、分子内に一価の脂肪族炭化水素基R1が多くなるが、この時には芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の耐熱性が低下して芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。また逆にn/mが2.5以上であっても、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。n/mの値は、好ましくは0.43≦n/m≦2.3、より好ましくは0.45≦n/m≦2.1、さらに好ましくは0.47≦n/m≦2.0である。
芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の構造の好適な例は主鎖骨格がQ単位を10モル%以上含有し、残りをT単位とD単位から構成されるものである。また、別の好適な例としては主鎖骨格がQ単位とT単位のみからなるもの、さらにはQ単位とD単位のみから構成されるものである。これら主鎖骨格の末端はM単位で封鎖されていることが好ましい。末端にシラノール基やアルコキシシリル基が残存すると難燃性が低下したり、樹脂の特性に悪影響を及ぼすことがある。
このような芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は既知のシリコーン合成法により容易に合成することができる。すなわち、R3SiXで表される一官能性ケイ素化合物、R2SiX2で表される二官能性ケイ素化合物、RSiX3で表される三官能性ケイ素化合物、四ハロゲン化ケイ素、テトラアルコキシシラン、およびそれらの縮合物である有機ケイ素化合物や、水ガラス、金属ケイ酸塩などの無機ケイ素化合物のなかから必要に応じて選択した少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のケイ素化合物を縮合反応させることにより合成できる。なお、上記式中、Rは、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基などの、縮合してシロキサン結合を形成しうる基を表す。
反応条件は、用いる基質や目的化合物の組成および分子量によって異なる。反応は、一般的に、必要により水、酸及び/又は有機溶媒の存在下で、必要により加熱しながらケイ素化合物を混合することにより行うことができる。各ケイ素化合物の使用割合は、得られる芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が上記条件を満たすよう、各単位の含量、芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の比率を考慮して、適宜設定すればよい。
さらに、上記オルガノシロキサン化合物の数平均分子量は1000〜200000、さらには1500〜150000、特には2000〜100000の範囲が好ましい。一般に、従来技術で挙げたシリコーン系化合物においては分子量と難燃性について議論されているが、本発明においては、分子内のシロキサン結合の任意の比率によりシリコーンの耐熱性を制御することが可能である。数平均分子量が1000より小さい場合にはオルガノポリシロキサンの耐熱性が低く、難燃性も不十分である。また、数平均分子量が200000より大きい場合は、樹脂中での分散性や加工成形性に劣るといった問題がある。
本発明の(C)シリコーン化合物の添加量としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と芳香族ビニル系樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部であり、物性の発現および経済的な面から添加量は0.3〜15重量部が好ましく、0.5〜10重量部が最も好ましい。シリコーン化合物(C)の添加量が0.1重量部未満では難燃性が不十分である場合があり、20重量部以上では特に物性面での問題はないが、不経済である。
本発明の金属ケイ酸塩化合物(D)は、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、体積平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にあるものである。この成分は特定のシリコーン化合物と併用して添加することにより難燃効果を高める目的で用いられ、SiO2単位は30重量%以上であり、難燃性の観点から35重量%以上が好ましく、40重量%以上が最も好ましい。
(D)成分として用いる、SiO2単位が30重量%以上を占める金属ケイ酸塩化合物としては特に限定されないが、K、Na、Li、Ca、Mn、Ni、Mg、Fe、Al、Ti、Zn、Zrのうちから選ばれる一種以上の金属元素を含有するものが好ましい。具体的な物質としては珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、珪藻土、スメクタイト等が挙げられる。なかでも、マイカ、タルク、カオリン又はスメクタイトが、得られる樹脂組成物の難燃性や機械的強度にも優れるため好ましい。
金属ケイ酸塩化合物(D)は、体積平均粒子径が1nm〜100μmの微粒子である。体積平均粒子径が100μmを超えると、得られる成形品の外観が損なわれたり、樹脂組成物の衝撃強度が低下する傾向が見られる。好ましくは1nm〜70μmであり、より好ましくは10nm〜50μm、さらには0.5〜30μmが好ましい。なお、本発明でいう体積平均粒子径とはレーザー回折/散乱法により測定できる。
金属ケイ酸塩化合物(D)の形状については特に限定されないが、代表的なものとして、粉体状、粒状、針状、板状等が挙げられる。この無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。
本発明の金属ケイ酸塩化合物(D)は、pHが8.0以上を示すものである。金属ケイ酸塩化合物のpHが8.0以上であるということは、ケイ酸アニオンと金属カチオンとから構成されるイオン結合的性質を有していることであり、金属ケイ酸塩自身は熱的に安定であるものも、シリコーン化合物が共存する場合にはそのイオン結合性により高温条件でシリコーン化合物と化学的相互作用し難燃性に相乗的に効果を及ぼす。本発明でいうpHは、JIS−K−5101 B法に基づき測定することができる。
このような金属ケイ酸塩化合物(D)は、樹脂との接着性を高めるため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤は、樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。その他にもポリオキシエチレンシラン等を用いることができる。表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
これら金属ケイ酸塩化合物(D)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における金属ケイ酸塩化合物(D)の使用量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)及び芳香族ビニル系樹脂(B)の二成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部である。0.1重量部未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が不十分であり、逆に20重量部を超えると、得られる成形品の難燃性や耐衝撃性が低下するうえ、溶融混練時の樹脂との混練が困難となる傾向がある。好ましくは0.3〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明で用いられうるフッ素樹脂(E)とは、フッ素原子を有する樹脂である。具体的には、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素化ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂などを挙げることができる。また、該フッ素樹脂の製造に用いる単量体と共重合可能な単量体とを併用し重合してえられた共重合体を用いてもよい。
フッ素樹脂(E)は好ましくはフッ素化ポリオレフィン樹脂であり、さらに好ましくは、平均粒径が700μm以下のフッ素化ポリオレフィン樹脂である。ここでいう平均粒径とは、フッ素化ポリオレフィン樹脂の一次粒子が凝集して形成される二次粒子の平均粒径をいう。
さらに、フッ素化ポリオレフィン樹脂で好ましくは、密度と嵩密度の比(密度/嵩密度)が6.0以下のフッ素化ポリオレフィン樹脂である。ここでいう、密度と嵩密度とは、JIS−K6891に記載されている方法にて測定したものである。
フッ素樹脂(E)は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。たとえば、種類の異なるものなどが任意に用いられる。
フッ素樹脂(E)の使用量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)および芳香族ビニル系樹脂(B)の二成分の合計100重量部に対して0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.75重量部、さらに好ましくは0.02〜0.6重量部である。使用量が0.005重量部未満では、難燃性を向上させる効果が小さく、1重量部を越えると本発明の難燃性樹脂組成物の成形流動性、成形体表面外観性が低下する場合がある。
本発明において、1.82MPa荷重時の熱変形温度の測定は、ASTM試験法D648に従って、幅1/4インチ(約6.4mm)、高さ1/2インチ(12.5mm)、長さ5インチ(125.7mm)のASTM型短冊試験片を用いて測定した。本発明の樹脂組成物は1.82MPa荷重時の熱変形温度が135℃以上であることが好ましい。熱変形温度が135℃未満であると、より高度な電子、電気、OA機器部品の使用環境下における寸法の長期安定性を満足できない場合がある。
本発明の難燃性樹脂組成物には、更に成形流動性を高めたり、難燃性を向上させるために、本発明の特性(難燃性等)を損なわない範囲で、本発明以外のシリコーン化合物等を添加することができる。
シリコーン化合物は、広義のポリオルガノシロキサンのことをさし、具体的には、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等の(ポリ)ジオルガノシロキサン化合物;メチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン等の(ポリ)オルガノシルセスキオキサン化合物;トリメチルシルヘミオキサン、トリフェニルシルヘミオキサン等の(ポリ)トリオルガノシルヘミオキサン化合物;これらを重合して得られる共重合体;ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンである場合には、分子末端がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル基等により置換された変性シリコーンも有用である。シリコーンの形状には特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状など任意のものが利用可能である。
さらに本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、金属ケイ酸塩化合物(D)以外の強化充填剤を更に添加することができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維状強化剤;酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物;炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラス粉末、セラミック粉末、金属粉末、カーボンブラック等が挙げられる。これら強化充填剤は単独で用いてもよいが、種類、粒子径や長さ、表面処理等が異なる2種以上を併用してもよい。
上記強化充填剤は、樹脂との接着性を高めるため、表面処理がなされていてもよい。このような表面処理を行うために用いられる表面処理剤としては特に限定されないが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤が、樹脂の物性を低下させることがないため好ましい。表面処理の方法としては特に限定されず、通常の処理方法が用いられる。
これら強化充填剤を使用する場合、その添加量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と芳香族ビニル系樹脂(B)の合計100重量部に対して、100重量以下である。添加量が100重量部を超えると、耐衝撃性が低下するうえ、成形加工性や難燃性が低下する場合もある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら強化充填剤の添加量が増加するとともに、成形品の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、強化充填剤の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物の特性を損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム状弾性体等を単独あるいは2種以上あわせて添加しても良い。
また本発明の難燃性樹脂組成物をより高性能な物にするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤、リン系安定剤等の熱安定剤等を単独または2種類以上併せて使用することが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られた、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤、等の添加剤を単独または2種類以上併せて使用することができる。
本発明で製造された難燃性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、例えば射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形等が適用できる。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
(製造例1):シリコーン化合物(C1)の製造
ジクロロジフェニルシラン(253g)、トリクロロフェニルシラン(179g)、ジクロロジメチルシラン(80g)、多摩化学工業社製Mシリケート51(291g)を5Lフラスコに計りとり、メチルイソブチルケトン(以下、MIBK)(1200g)を加えた後10℃以下で水(395g)を滴下した。その後反応混合物を80℃に加熱して3時間反応させた。室温に戻した後、クロロトリメチルシラン(317g)、次いで水(52g)を滴下し、60℃で3時間反応させた。得られた反応混合物は中性になるまで水洗し、分離した有機相を減圧下溶媒を留去することにより目的のシリコーン化合物(C1)を得た。生成物の分子量はGPC分析の結果、Mn=3229、Mw=4215(ポリスチレン換算、RI検出)であった。NMR分析から、平均組成式(1)で表される構成比率がm=0.80、n=0.57であり、従って、m+n=1.37、n/m=0.71と算出できた。
(製造例2):シリコーン化合物(C2)の製造
トリクロロフェニルシラン(200g)、多摩化学工業社製Mシリケート51(110g)を3Lフラスコに計りとり、MIBK(800g)を加えた後10℃以下で水(100g)を滴下した。その後反応混合物を80℃に加熱して3時間反応させた。室温に戻した後、クロロトリメチルシラン(100g)、次いで水(15g)を滴下し、60℃で3時間反応させた。得られた反応混合物は中性になるまで水洗し、分離した有機相を減圧下溶媒を留去することにより目的のシリコーン化合物(C2)を得た。生成物の分子量はGPC分析の結果、Mn=2583、Mw=3355(ポリスチレン換算、RI検出)であった。NMR分析から、平均組成式(1)で表される構成比率がm=1.07、n=0.46であり、従って、m+n=1.53、n/m=0.43と算出できた。
(製造例3):シリコーン化合物(C3)の製造
ジクロロジフェニルシラン(468g)、ジクロロジメチルシラン(80g)、多摩化学工業社製Mシリケート51(291g)を5Lフラスコに計りとり、MIBK(1200g)を加えた後10℃以下で水(336g)を滴下した。その後反応混合物を80℃に加熱して3時間反応させた。室温に戻した後、クロロトリメチルシラン(268g)、次いで水(44g)を滴下し、60℃で3時間反応させた。得られた反応混合物は中性になるまで水洗し、分離した有機相を減圧下溶媒を留去することにより目的のシリコーン化合物(C3)を得た。生成物の分子量はGPC分析の結果、Mn=2660、Mw=3585(ポリスチレン換算、RI検出)であった。NMR分析から、平均組成式(1)で表される構成比率がm=0.82、n=0.60であり、従って、m+n=1.42、n/m=1.37と算出できた。
(参考製造例1):オルガノシロキサン化合物(C4)の製造
メチルトリクロロシラン(637g)、ジクロロジフェニルシラン(299g)を6Lフラスコに計りとり、MIBK(2500ml)を加えた後10℃以下で水(1040g)滴下した。その後反応混合物を80℃に加熱して3時間反応させた。得られた反応混合物は中性になるまで水洗し、分離した有機相を減圧下溶媒を留去することにより目的のオルガノシロキサン化合物(C4)を得た。生成物の分子量はGPC分析の結果、Mn=2467、Mw=3535(ポリスチレン換算、RI検出)であった。NMR分析から、平均組成式(1)で表される構成比率がm=0.60、n=0.33であり、従って、m+n=0.93、n/m=0.55と算出できた。
実施例、比較例で用いた原料を以下にまとめて示す。
(PPE):対数粘度が0.50のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製PX100F)
(PS):ポリスチレン樹脂(新日鉄化学(株)製エスチレン G−13)
(HIPS):ブタジエン・スチレン共重合体(新日鉄化学(株)製エスチレンH1 H−53)
(C5):オクタフェニルシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製MS0840)
(P1):芳香族リン酸エステル(旭電化(株)製FP−700)
(D1):タルク(日本タルク(株)製 SG−200、pH=9.3、SiO2単位含有量=60重量%、体積平均粒子径=3.2μm)
(D2):マイカ((株)山口雲母工業所製 A−21S、pH=8.0、SiO2単位含有量=45重量%、体積平均粒子径=22.5μm)
(フッ素樹脂):テトラフルオロエチレン(ダイキン工業製ポリフロンFA−500)(以下、PTFEと略記)
(実施例1)
樹脂組成物の調製
ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)90重量部、ポリスチレン樹脂(PS)10重量部、製造例1で製造したシリコーン化合物(C1)2重量部、タルク(D1)1重量部、並びに、燐系及びフェノール系安定剤としてそれぞれアデカスタブHP−10及びAO−60(いずれも旭電化製)各0.1重量部、PTFE0.2重量部を予めドライブレンドした後、シリンダー温度を300℃に設定したベント付き二軸押出機[TEX44(商品名):日本製鋼所製]のホッパーに供給し溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。
試験片の作成
得られたペレットを120℃にて5時間乾燥させた後、35t射出成形機を用い、シリンダー温度295℃、金型温度50℃にて厚み1.6mmバー(幅12mm、長さ127mm)を作成して下記の評価を行った。結果を表1に示す。
評価方法
・難燃性:UL−94規格に従い難燃性をV試験で評価し、総燃焼秒数を算出した。
(実施例2〜14及び比較例1〜6)
樹脂、シリコーン化合物、金属ケイ酸塩化合物の種類、添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。こうして得られたペレットから、上記と同様にして各試験片を作成した。これらの試験片で上記評価を実施した。評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2006035734
Figure 2006035734
表1に示す通り、実施例はいずれも非常に良好な難燃性を示し短時間に自己消火していた。比較例1から比較例3ではシリコーン化合物または金属ケイ酸塩化合物が単独で添加されているが難燃性が不十分であった。比較例4および比較例5ではシリコーン化合物が本発明と異なるシリコーン化合物を難燃剤に用いているため、難燃化効果が不十分であった。表1に示すように、本発明の組成物を形成することにより、いずれも難燃性に優れた樹脂組成物が提供できる。








































Claims (9)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜100重量部および芳香族ビニル系樹脂(B)0〜70重量部からなる樹脂100重量部に対して平均組成式(1)
    1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
    (式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)で表され、SiO2単位が全Si原子中の10モル%以上を占めるシリコーン化合物(C)0.1〜20重量部および、pHが8.0以上であり、SiO2単位が30重量%以上を占める、体積平均粒子径が1nm〜100μmの範囲にある金属ケイ酸塩化合物(D)0.1〜20重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)30〜95重量部および芳香族ビニル系樹脂(B)5〜70重量部からなることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. さらにフッ素樹脂(E)0.005〜1重量部を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. (C)成分のシリコーン化合物が、R3SiO3/2単位(式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)およびR4 2SiO2/2単位(式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)を含有するシリコーン化合物であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. (C)成分のシリコーン化合物の主鎖骨格が、R3SiO3/2単位(式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても、異なってもよい)とSiO2単位のみからなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. (C)成分のシリコーン化合物の主鎖骨格が、R4 2SiO2/2単位(式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基および炭素数6〜24の芳香族基からなる群より選択され、同一であっても異なってもよい)とSiO2単位のみからなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. (C)成分のシリコーン化合物の数平均分子量が、1000から200000の範囲であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. (D)成分の金属ケイ酸塩化合物がK、Na、Li、Ca、Mn、Ni、Mg、Fe、Al、Ti、Zn、Zrのうちから選ばれる一種以上の金属元素を含有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 1.82MPa荷重時の熱変形温度が135℃以上であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。



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