JP2000186213A - 樹脂組成物成形体 - Google Patents

樹脂組成物成形体

Info

Publication number
JP2000186213A
JP2000186213A JP10365494A JP36549498A JP2000186213A JP 2000186213 A JP2000186213 A JP 2000186213A JP 10365494 A JP10365494 A JP 10365494A JP 36549498 A JP36549498 A JP 36549498A JP 2000186213 A JP2000186213 A JP 2000186213A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded article
sea
weight
flame retardant
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10365494A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4159157B2 (ja
Inventor
Noritsugu Nanba
仙嗣 難波
Hiroshi Yatani
広志 八谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP36549498A priority Critical patent/JP4159157B2/ja
Publication of JP2000186213A publication Critical patent/JP2000186213A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4159157B2 publication Critical patent/JP4159157B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉成形性に優れた高流動性と耐衝撃強度に
優れた樹脂組成物から成形された光沢等の外観に優れた
成形品、更に難燃性に優れた成形品を提供する。 【解決手段】 海−島、または、海−海構造となる熱可
塑性樹脂(A)、(B)と、ゴム状重合体(C)からな
り、ゴム状重合体(C)の分配が、該熱可塑性樹脂が海
−島構造を形成する場合は、海相中に、また、該熱可塑
性樹脂が海−海構造を形成する場合には、一方の海相に
選択的に70〜100重量%の比率で分配したモルフォ
ロジーを有することを特徴とする成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種類以上の熱可
塑性樹脂のうち、一方の熱可塑性樹脂中に、ゴム状重合
体が特定の比率で分配したモルフォロジーを有する、光
沢等の外観に優れ、且つ高い衝撃強度を有する成形体に
関し、さらに難燃剤が配合されても、高い衝撃強度を保
持する特定のモルフォロジーを有する成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、社会の情報化が急速に普及しコン
ピュータ、プリンタ、コピー機等OA機器の需要が増大
すると共に、モバイルコンピュータをはじめとする携帯
情報機器が増大している。その為、該情報機器等に使用
されているハウジングや部品等の熱可塑性樹脂で製造さ
れた成形体の薄肉化や軽量化、良外観化の要求が高まっ
て来ている。
【0003】そのため、上記分野の成形体を製造するた
めに、用いる熱可塑性樹脂組成物のの流動性を向上さ
せ、薄肉の軽量成形体を得る試みがなされてきた。例え
ば、上記用途に広く用いられているポリカーボネートか
らなる成形体では、ABSを配合することで樹脂組成物
の流動性を改善し、薄肉の軽量成形体を得ることが知ら
れている。該成形体を構成する樹脂成分、ゴム状重合体
は図2に示されるようなモルホロジーを形成しているこ
とが知られている(引用文献・「成形加工」第8巻、第
1号(1996年)別冊等)。しかしながら、該モルフ
ォロジーでは近年の更なる薄肉化要求に対応するためポ
リカーボネートを低分子量化すると耐衝撃性が低下し、
高流動性と耐衝撃強度の双方に優れた成形体を得ること
は非常に困難で、これまで高流動性と耐衝撃強度の双方
に優れた成形体を得ることは出来なかった。
【0004】その為、更にシリコンアクリルゴム、コア
−シェル型ゴム等の特定のゴムを配合したり、ゴム含量
を高くすることで、成形体の耐衝撃性を改良することが
試みられている。例えば、特開平6−1897号公報、
特開平7−207085号公報では、シリコンアクリル
ゴムを配合することにより、衝撃強度の改良が開示され
ている。しかしながら、これらの方法では、特定のゴム
を配合することで流動性が低下すると共に得られた成形
体の光沢が低下し、特に流動性の改善は未だ十分ではな
かった。また、難燃化規制の強化に伴い、樹脂の難燃化
技術は各分野で重要な技術となってきており、特にコン
ピュータやワープロ、複写機等のOA分野や、テレビ、
ゲーム機等の一般家電分野で欠くことのできない特性の
一つとなりつつある。
【0005】その為、樹脂を難燃化し、更に前述の高流
動化と耐衝撃性を保持した成形体を得る方法が必要とな
ってきた、一般に、樹脂を難燃化する方法として、難燃
剤を配合することが行われている。しかし、難燃剤を配
合することにより、難燃性や流動性は改良されるもの
の、得られた成形体の耐衝撃強度の低下は免れなかっ
た。そのため、特開平6−240127号公報では、シ
リコンアクリルゴム等の特定のゴムを配合することで、
耐衝撃性を改良することが試みられている。さらに、高
流動性を得るために、特開平8−127686号公報で
は、上記特定のゴムの配合に加えて、材料樹脂を低分子
量化する事が開示されている。しかしながら、これらの
方法では、ゴムを配合することで流動性が低下しすると
共に得られた成形体の光沢や難燃性が低下し、特に高流
動性と耐衝撃性の改善は未だ十分ではなかった。以上の
ように、薄肉成形性に優れた高流動性の樹脂組成物で、
光沢等の成形外観や耐衝撃性に優れた成形体は得られて
おらず、更に難燃化され且つ光沢等の成形外観や、特に
耐衝撃性に優れ成形体は得られていなかったのである。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の課
題、すなわち薄肉成形性に優れた高流動性と耐衝撃強度
に優れた樹脂組成物から成形された光沢等の外観に優れ
た成形品、更に難燃性に優れた成形品を提供することを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記課
題を解決するために、数多くの高流動性の樹脂組成物を
研究すると共に、該組成物から得られた成形体のモルフ
ォロジーを注意深く観察し、鋭意研究を続けてきた。そ
の結果、海−島構造を形成する2種以上の熱可塑性樹脂
では海相に、また、海−海構造を形成する2種以上の熱
可塑性樹脂では一方の海相にゴム成分を配合し、更に該
ゴム成分を特定のモルフォロジーで分散させ、特に、ポ
リカーボネート系樹脂を海相とする樹脂組成物において
は、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル単量
体、シアン化ビニル単量体を共重合体の構成成分として
含む共重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアル
キル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル単量
体がグラフトしたゴム状重合体成分との組み合わせで、
上記課題が解決できるという驚くべき事実を見い出し本
発明に到達したものである。
【0008】すなわち、本発明は、1.海−島、また
は、海−海構造となる熱可塑性樹脂(A)、(B)と、
ゴム状重合体(C)との組成物からなり、ゴム状重合体
(C)の分配が、該熱可塑性樹脂が海−島構造を形成す
る場合は、海相中に、また、該熱可塑性樹脂が海−海構
造を形成する場合には、一方の海相に選択的に70〜1
00重量%の比率で分配したモルフォロジーを有するこ
とを特徴とする成形体。 2.ゴム状重合体(C)が、数平均円相当直径が、0.
05〜3μmの粒径を持つことを特徴とする2.記載の
成形体。 3.組成物が、(A)から(C)の合計100重量部に
対して、難燃剤(D)0.1〜30重量部、滴下防止剤
(E)0.01〜5重量部を含有することを特徴とする
1.、2.記載の成形体。 4.熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂(a
−1)、熱可塑性樹脂(B)がアルキル(メタ)アクリ
レート単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単
量体を共重合体の構成成分として含むビニル化合物共重
合体(b−1)、ゴム状重合体(C)がポリオルガノシ
ロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含
む複合ゴムにビニル単量体がグラフトしてなる複合ゴム
系グラフト共重合体(c−1)であり、各成分の含有比
率が(a−1)90重量部〜10重量部、(b−1)1
〜90重量部、(c−1)1〜30重量部であることを
特徴とする1.〜3.記載の成形体。
【0009】5.ポリカーボネート系樹脂(a−1)
が、全末端に占める末端ヒドロキシ基の割合が20〜8
0モル%の範囲にある芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカ
ーボネートであることを特徴とする4.記載の成形体。 6.難燃剤(D)が、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難
燃剤、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系
難燃剤から選択される1種以上の難燃剤である3.〜
5.記載の成形体。 7.組成物が、滴下防止剤(E)テトラフルオロエチレ
ン樹脂(PTFE)を含有することを特徴とする3.〜
6.記載の成形体。 8.該成形体を構成する樹脂組成物を溶融状態から賦形
・冷却固化して成形体を製造するにあたり、該樹脂組成
物の溶融状態での保持条件が、10000Pa・s以下
の溶融粘度で静的に保持されている時間が2分以内にあ
ること、及び冷却固化の条件が冷却開始直後の溶融状態
から30000Pa・sの溶融粘度になるまでの時間が
20秒以内であることを特徴とする1.〜7.記載の成
形体の製造方法に関する。
【0010】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物のモルフォロジー形態の観察方法
は、透過型電子顕微鏡(TEM)で行われる。その際、
各成分の分配比率と数平均円相当直径の測定は、得られ
たTEM写真を画像解析すること等によって求めること
が出来る。本発明の成形体のモルフォロジーについて模
式図を使用して説明する。図1に、本発明の用件を満た
す、特定のモルフォロジーの一例を模式的に示す。相分
離構造を形成する熱可塑性樹脂(A)と(B)が存在
し、熱可塑性樹脂(A)中に選択的に70重量%以上の
ゴム状重合体(C)が分散している。本願の成形体は、
このようなモルフォロジーを有しており、その結果樹脂
成分の低分子量化による高流動化を行っても優れた耐衝
撃性を保持できるのである。
【0011】一方、本願成形体とは異なるモルフォロジ
ーを図2〜3に示す。図2は、PCとABSとからなる
成形体のモルフォロジー模式図である。熱可塑性樹脂
(A:ポリカーボネート)中にはゴム状重合体(C)は
分散しておらず、熱可塑性樹脂(B:AS樹脂)中に大
部分が分散している。このような形態の場合、ポリカー
ボネートを低分子量化して組成物の高流動化を行うと、
ポリカーボネートの補強が充分なされず、耐衝撃性が低
下する。図3は熱可塑性樹脂(A)、(B)双方に同等
に分散している、粒子径の大きいゴム状重合体(C)を
示す。この場合、ゴム状重合体(C)は熱可塑性樹脂
(A)(B)中に均等に分散しているので、ゴム状重合
体(C)の熱可塑性樹脂(A)(B)中への存在率は、
(A)対(B)の組成比にほぼ等しくなる。このよう
に、熱可塑性樹脂と相溶性のないゴム状重合体は、粒子
径も大きくなり、耐衝撃性の改良には効果がない。
【0012】本発明について用いられる熱可塑性樹脂
(A)、(B)としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂や、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチ
レン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等のエンジニアプ
ラスチック類、ポリメチルメタクリレート系樹脂等が挙
げられ、スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合
体、スチレンとビニル単量体との共重合体、及びゴム変
性スチレン系樹脂が挙げられる。ビニル単量体として
は、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリ
レートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、アクリ
ル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニ
ル単量体、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン
酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、
N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量
体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有化
合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル化合
物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル
化合物、マレイミド系化合物であり、さらに好ましく
は、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイ
ミド、ブチルアクリレートである。これらのビニル化合
物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。本願においては、該熱可塑性樹脂の中から少な
くとの2つ以上の相分離構造を形成する樹脂が熱可塑性
樹脂(A),(B)として選択される。
【0013】上記熱可塑性樹脂の中でも、特に熱可塑性
樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂、(B)がアルキ
ル(メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体、
シアン化ビニル単量体を共重合体の構成成分として含む
ビニル化合物共重合体が好ましい。本発明で好ましく用
いられるポリカーボネート系樹脂(a−1)は、下記化
1で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【0014】
【化1】 (式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フ
ェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、
下記化2で表されるものが挙げられる。)
【0015】
【化2】 (式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれアリーレン基で
ある。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、
ピリジレン等の基を表し、Yは化3で表されるアルキレ
ン基または置換アルキレン基である。)
【0016】
【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水
素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、
アルコキシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の
整数であり、R5及びR6 は、各Xについて個々に選
択され、お互いに独立に水素原子、または低級アルキル
基、アリール基であって、場合によりハロゲン原子、ア
ルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表
す。) また、下記化4で示される二価の芳香族残基を共重合体
成分として含有していても良い。
【0017】
【化4】 (式中、Ar1 、Ar2 は化2と同じ。Zは単なる結
合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、
−CO2 −、−CON(R1 )−(R1 は化3と同じ)
等の二価の基である。) これら二価の芳香族残基の例としては、下記の化5及び
化6で表されるもの等が挙げられる。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】 (式中、R7 及びR8 は、それぞれ独立に、水素、ハロ
ゲン、C1 〜C10アルキル基、C1 〜C10アルコキシ
基、C1 〜C10シクロアルキル基またはフェニル基であ
る。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には
各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい
し、nが2〜4の場合は各R8 はそれぞれ同一でも異な
るものであっても良い。) なかでも、下記化7で表されるものが好ましい一例であ
る。特に、下記の化7で表されるものをArとする繰り
返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【0020】
【化7】 また、本発明に用いられるポリカーボネートは、三価以
上の芳香族残基を共重合成分として含有していても良
い。
【0021】ポリマー末端の分子構造は特に限定されな
いが、フェノール性水酸基、アリールカーボネート基、
アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基
を結合することができる。アリールカーボネート末端基
は、下記化8で表され、具体例としては、例えば、化9
が挙げられる。
【0022】
【化8】 (式中、Ar3 は一価の芳香族残基であり、芳香環は置
換されていても良い。)
【0023】
【化9】 アルキルカーボネート末端基は下記化10で表され、具
体例としては、例えば下記化11等が挙げられる。
【0024】
【化10】 (式中、R7 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アル
キル基を表す。)
【化11】 これらの中で、フェノール性水酸基、フェニルカーボネ
ート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−
クミルフェニルカーボネート等が好ましく用いられる。
【0025】本願において、フェノール性水酸基末端と
他の末端との比率は、特に限定されないが、全末端にし
めるフェノール性水酸基末端比率が20〜80モル%の
範囲あることが好ましい。フェノール性水酸基末端量の
測定方法は、一般にNMRを用いて測定する方法や、チ
タン法や、UVもしくはIR法で求める方法が知られて
いるが、本発明においては、NMR法で求めた。
【0026】本発明に用いられるポリカーボネートの重
量平均分子量(Mw)は、一般に重量平均分子量で5,
000〜100,000の範囲にあり、特に限定されな
い。本発明における重量平均分子量(Mw)の測定は、
GPCを用いて行い、測定条件は下記の方法によった。
テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、
標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算
分子量較正曲線を用いて求めた。
【0027】MPC=0.3591MPS 1.0388 (MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレ
ンの分子量) これらポリカーボネートは、公知の方法で製造できる。
具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート
前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及
び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法
(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニ
ルカーボネートと反応させるエステル交換法(溶融
法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する
方法(特開平1−158033、1−271426、3
ー68627号等)等の方法により製造できる。
【0028】本発明の(b−1)ビニル化合物共重合体
の構成成分である、アルキル(メタ)アクリレート単量
体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げ
られ、好ましくは、ブチルアクリレートである。芳香族
ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチ
レンである。シアン化ビニル単量体としては、アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる、好ま
しくは、アクリロニトリルである。本発明の(b−1)
ビニル化合物共重合体中に占める、アルキル(メタ)ア
クリレート単量体成分の割合が、0.5〜80重量%で
ある必要があり、好ましくは、0.5〜60重量%、さ
らに好ましくは、1〜40重量%である。0.5重量%
未満の場合は、高流動性が得られず、さらに耐衝撃強度
の改善効果も小さい。また、80重量%を越える場合
は、耐熱性が著しく低下する。
【0029】本発明のゴム状重合体(C)としては、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プ
ロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルな
どのアクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリコン−ア
クリルゴム等のゴム状重合体、及び、上記ゴム状重合体
の粒子に更にスチレンや上記ビニル単量体が単独もしく
は2種以上のでグラフト重合された複合ゴム状重合体が
挙げられる。また、複合ゴム状重合体には一般に、複合
ゴム状重合体を製造する過程で、該ゴム状重合体にグラ
フトせずに重合したスチレンやビニル単量体の重合体を
含んでいるが、該成分は熱可塑性樹脂として把握され
る。
【0030】本発明のゴム状重合体(c−1)は、ポリ
オルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)ア
クリレートゴム成分とが交互に絡み合って複合一体化さ
れている構造を有する複合ゴムに、1種以上のビニル系
単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共
重合体、例えば、特開昭64−79257号公報に記載
された方法で製造できるゴム状重合体が好ましく用いら
れる。
【0031】複合ゴム状重合体の製造方法としては、特
に限定はされないが、乳化重合で製造されたラテックス
状のゴム状重合体にビニル化合物をグラフト重合させる
乳化グラフト重合方式、および、乳化グラフト重合と溶
液重合や懸濁重合を組み合わせた、二段重合法などが例
示される。これらは、連続式、バッチ式、セミバッチ式
いずれも可能である。また、上記の方法であらかじめ高
ゴム含量の複合ゴム状重合体をつくり、後に塊状重合、
乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に用いた
ビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合してお
くことも可能である。 その場合、複合ゴム状重合体は
ゴム状重合体成分(C)として、熱可塑性樹脂は(A)
もしくは(B)成分として把握される。
【0032】ゴム状重合体の好ましい粒子径について
は、マトリックスになる熱可塑性樹脂の種類により異な
るため特に限定されないが、数平均円相当直径で0.0
5〜3μで、好ましくは0.05〜1.5μ、さらに好
ましくは0.05〜1.0μである。粒子径が0.05
μmより小さいと耐衝撃性が得られず、また3μを越え
ると耐衝撃性が低下し、光沢値が低下する。
【0033】本発明における難燃剤(D)とは、いわゆ
る一般の難燃剤であり、リン系化合物やハロゲン系有機
化合物、シリコン系化合部の他、メラミン等の窒素含有
有機化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム
等の無機化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス、ま
た、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物、赤リン、ホ
スフィン、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリ
ン酸、無水リン酸などの無機系リン化合物、カーボンフ
ァイバー、グラスファイバー、などの繊維、膨張黒鉛、
シリカ、シリカ系ガラス溶融物などが用いられるが、好
ましくはハロゲン系有機化合物、リン系化合物、シリコ
ン系化合部及びこれらの併用である。
【0034】ハロゲン系有機化合物としては、一般のハ
ロゲン系難燃剤および含ハロゲンリン酸エステル全般を
指す。例えば、ハロゲン系有機化合物としては、ヘキサ
クロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタ
ブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタ
ン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキ
シド、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモ
ビスフェノールA、テトラブロモフタルイミド、ヘキサ
ブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等があるが
好ましくは、下記化12の(1)の構造を有するハロゲ
ン系有機化合物であり、特に好ましいのは下記化13の
(2)のハロゲン系有機化合物である。
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】 一方、含ハロゲンリン酸エステルとしては、トリス・ク
ロロエチルホスフェート、トリス・ジクロロプロピルホ
スフェート、トリス・β−クロロプロピルホスフェー
ト、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリ
ス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブ
ロモネオペンチルホスフェート)およびこれらの縮合リ
ン酸エステル等があるが、好ましくは、トリス(トリブ
ロモネオペンチルホスフェート)、トリス(トリブロモ
フェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)
ホスフェートである。これらのハロゲン系有機化合物は
1種類でも、2種類以上組み合わせて用いることもでき
る。リン系化合物としては、下記化14で表される。
【0037】
【化14】 (式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は、それぞれ
独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基で
ある。これら、芳香族残基、シクロアルキル基、アリー
ル基は、アルキル基やアルコキシ基等で置換されていて
もよい。nは0〜5の自然数であり、単独の化合物であ
っても良いし、nの異なる化合物の混合物であってもよ
い。) 式中、Rは下記化15、化16より選ばれる基。
【0038】
【化15】
【0039】
【化16】 具体的には、例えば、トリメチルホスフェート、トリエ
チルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニ
ルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェー
ト、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸エ
ステル類や、化16に示される縮合リン酸エステル類が
挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフェー
トおよび下記化17に示される縮合リン酸エステル類が
好ましく用いられる。
【0040】
【化17】 また、シリコン系難燃剤としては、例えば、RSiOを
含む化合物が挙げられ、Rは例えば、フェニル基、キシ
リル基等のアリール基、メチル基、プロピル基等のアル
キル基、また、アルケニル基等がある。一般的に、ポリ
オルガノシロキサン類として知られている。これらリン
系難燃剤は単独または2種類以上を併用して用いること
ができる。
【0041】難燃剤の配合量は必要な難燃性のレベルに
応じて決められるが、熱可塑性樹脂とゴム状重合体の合
計量100重量部に対して、0.1〜30重量部である
ことが必要である。0.1重量部未満では必要な難燃効
果が発揮されない。30重量部を超えると樹脂の機械的
強度を低下させる。好ましくは1〜25重量部の範囲で
あり、特に好ましい範囲としては3〜22重量部であ
る。難燃剤としてハロゲン系化合物を用いる場合、難燃
効果を高める為に難燃助剤を用いることが出来る。難燃
助剤として好ましくは、元素周期律表におけるVAに属
する元素を含む化合物で、具体的には、窒素含有化合
物、リン含有化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス等
がある。また、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属
酸化物も効果的である。この中でも特に好ましくは、酸
化アンチモンであり、具体的には三酸化アンチモン、五
酸化アンチモンがあげられる。これらの難燃助剤は樹脂
中への分散を改善する目的および/または樹脂の熱的安
定性を改善する目的で表面処理を施されているものを用
いてもよい。
【0042】難燃助剤の添加量は、0.5〜20重量部
が好ましい、0.5部未満の場合、難燃助剤の効果が十
分でなく、20重量部を越える場合、樹脂の機械的強度
および加工流動性が低下する。より好ましくは1〜15
重量部で、特に好ましくは1〜10重量部である。本発
明の成形体を形成するための樹脂組成物を製造する方法
は、従来から公知の方法で行うことが出来、特に限定さ
れない。例えば、各成分をヘンシェルミキサー、スーパ
ーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等
で均一に混合した後、単軸押出機や二軸押出機、バンバ
リーミキサー等で溶融混練する方法等がある。また、そ
の際、本発明の趣旨を妨げない範囲で、公知の酸化防止
剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色
剤、フィラー等の添加剤を加えることは任意である。
【0043】さらに、これらの樹脂組成物から本発明の
成形体を製造する方法は、押し出し成形、圧縮成型、射
出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定されな
い。しかしながら、本発明の特定比率で分配したモルフ
ォロジーを有する成形体を得るためには、樹脂組成物の
成形体を成形するにあたって、該樹脂組成物の溶融状態
での保持条件が、10000Pa・s以下の溶融粘度で
静的に保持されている時間が2分以内にあること、及び
冷却固化の条件が冷却開始直後の溶融状態から3000
0Pa・sの溶融粘度になるまでの時間が20秒以内と
なる条件下で成形されることが必要である。上記冷却開
始直後の溶融状態からとは、例えば、射出成形において
は金型キャビティーへの樹脂の充填が95%以上終了し
た時点を言う。また、30000Pa・sになる時間の
認定は、例えば、レオメーター等で、樹脂温度と溶融粘
度の関係を測定し、30000Pa・sになる温度を決
定する。そして、実際の成形において、金型内での樹脂
温度の変化を、熱電対等で測定し、該温度になるまでの
時間を測定することで決定される。求める固化時間が2
0秒を越えると、ゴム状重合体同士が凝集し、耐衝撃強
度が低下する。好ましくは、10秒以内が好ましい。
【0044】該樹脂組成物の溶融状態での保持条件が、
10000Pa・s以下の溶融粘度で静的に保持されて
いる時間が2分を越えると、マトリックス相を形成して
いる熱可塑性樹脂中に分散しているゴム状重合体が、凝
集し、本発明のモルフォロジーを形成できず、耐衝撃強
度が低下し、また、光沢度も低下する。また、樹脂組成
物の冷却固化の条件が冷却開始直後の溶融状態から30
000Pa・sの溶融粘度になるまでの時間が20秒を
越えると、本発明のモルフォロジーを維持したまま固化
できず、ゴム状重合体の急速な凝集が発生し、耐衝撃強
度が低下し、また、光沢度も低下する。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の実施例における測定方法
は以下の通りである。 (1)溶融粘度の測定 Dynamic Analyzer RDAII(レオ
メトリックス社製)を使用して、昇温速度 3℃/分、
周波数1Hzで測定した。 (2)成型機金型内での樹脂固化時間の測定 金型内に熱電対をセットし、成型中の温度を連続的にモ
ニターした。金型キャビティーへの樹脂の充填が95%
以上終了した時点から(1)で測定した粘度が3000
0Pa・sになる温度迄の時間を固化時間とした。 (3)Izod衝撃強度 ASTM D256に従って、射出成形された1/8イ
ンチ厚さの試験片を用いてノッチ付きで測定した。 (4)MFR ASTM D1238に従って、温度220℃、荷重1
0kgで測定した。 (5)難燃性 UL94規格5VB燃焼試験(厚み1/10インチ)に
基づく試験により測定した。
【0046】適合を○で示し、不適合を×で示す。 (6)光沢度 10cm×10cm×2mmの平板を射出成形し、AS
TM D523−62Tに基づき、光沢計(Gloss
meter)により、入射角、反射角とも60度として
表面光沢を求めた。 (7)HDT ASTM D648に基づく試験により測定した。 (8)モルフォロジー形態観察 Izod衝撃強度テストピースを切り出し、オスニウム
酸とルテニウム酸で染色した超薄膜切片を、TEMで観
察した。 (9)ゴム状重合体の存在率の観察 上記(7)で得られた写真を、画像解析装置IP−10
00(旭化成工業社製)で解析し、円相当面積を求め、
各熱可塑性樹脂中に分配する各ゴム状重合体の存在率を
求めた。
【0047】なお、表中に表している数値は、 分配率(C)/(A):ゴム状重合体(C)が熱可塑性
樹脂(A)に分配した比率(%) 分配率(C)/(B):ゴム状重合体(C)が熱可塑性
樹脂(B)に分配した比率(%)
【0048】以下に実施例に用いる配合剤を説明する。
なお、部数は重量部とする。 ・熱可塑性樹脂(A) (PC−1) 溶融エステル交換法で製造されたビスフェノールA系ポ
リカーボネート Mw=20500、ヒドロキシ基末端比率=23% (PC−2) ホスゲン法で製造されたビスフェノールA系ポリカーボ
ネート Mw=20000 ヒドロキシ基末端比率=2% ・熱可塑性樹脂(B) (BAAS) ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重
合体 スタイラック−AS T8704 (旭化成工業社製) ブチルアクリレート含有量10重量% (AS) アクリロニトリル−スチレン共重合体 スタイラック−AS T8801 (旭化成工業社製)
【0049】・ゴム状重合体 (ゴム状重合体−1) メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−ジメチル
シロキサン共重合体メタブレン S−2001 (三菱
レーヨン社製) (ゴム状重合体2) ABSレジン RC (三菱レーヨン社製) (ゴム状重合体−3) エチレン−プロピレンゴム EP02P (日本合成ゴム社製) ・難燃剤 (難燃剤−1) CR−741 (大八化学工業社製) (難燃剤−2)
【0050】以下の方法で合成した、化式17の(1
0)の混合物を主成分とする縮合リン酸エステル系難燃
剤。ビスフェノールA114g(0.5モル)、オキシ
塩化リン192g(1.25モル)、及び無水塩化マグ
ネシウム1.4g(0.015モル)を攪拌機・還流管
付きの500ml四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下
70〜140℃にて4時間反応させた。反応終了後、反
応温度を維持しつつ、フラスコを真空ポンプにて200
mmHg以下に減圧し、未反応のオキシ塩化リンをトラップ
にて回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、2,
6キシレノール122g(1.0モル)、及び無水塩化
アルミニウム2.0g(0.015モル)を加え、10
0〜150℃に加熱して4時間反応させた。ついでフラ
スコを室温まで冷却し、フェノール94g(1.0モ
ル)を加え、100〜150℃に加熱して4時間保持
し、反応を完結させた。そのままの温度で1mmHgまで減
圧し、未反応のフェノール類を溜去した。反応時に発生
する塩化水素ガスは水酸化ナトリウム水溶液にて捕集
し、中和滴定によりその発生量を測定して反応の進行を
モニターした。生成した粗リン酸エステルを蒸留水で洗
浄した後、濾紙(アドバンテック社製#131)により
固形分を除去した。真空乾燥して淡黄色透明な精製物を
得た。
【0051】HPLC測定(島津製LC−10A、カラ
ム:東ソーTSKgel ODS−80T、溶媒:メタ
ノール/水 90/10)の結果、式(10)成分の純
度は75重量%であった。 (難燃剤−3) 2,6キシレノール122g(1.0モル)をシクロヘ
キサノール99g(1.0モル)に代えた以外は難燃剤
−2と同様の方法で製造、精製した。 (フッ素系樹脂) テフロン30J (三井デュポンフロロケミカル社製)
【0052】
【実施例】(実施例1〜4、比較例1、2,5,6)表
−1記載の配合でブレンドし、シリンダー温度を250
℃に設定した2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)
で、回転数300rpmで溶融混練し、押出機の途中か
ら難燃剤をポンプで圧入し、造粒し、ペレットを得た。
【0053】得られたペレットを乾燥し、シリンダー温
度260℃、金型温度65℃、スクリュー回転数100
rpm、射出速度200mm/分、射出保圧時間10
秒、冷却時間15秒に設定された射出成型機(オートシ
ョット50D、ファナック社製)で成形し、Izod衝
撃強度評価用試験片形状成形体と、燃焼試験用試験片形
状成形体、光沢度測定用平板を得た。なお、冷却開始直
後の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度になる
までの時間は、いずれも3秒以内であった。また、10
000Pa・s以下の溶融粘度での溶融状態で、静的に
保持されている時間は5秒であった。評価結果を表−1
及び図4、5に示す。
【0054】(比較例3)表−1記載の配合でブレンド
し、シリンダー温度を250℃に設定した2軸押出機
(ZSK−25、W&P社製)で、回転数300rpm
で溶融混練し、押出機の途中から難燃剤をポンプで圧入
し、造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを乾燥
し、シリンダー温度260℃、金型温度65℃、スクリ
ュー回転数100rpm、射出速度200mm/分、射
出保圧時間10秒、冷却時間15秒に設定された射出成
型機(オートショット50D、ファナック社製)で成形
し、Izod衝撃強度評価用試験片形状成形体と、燃焼
試験用試験片形状成形体、光沢度測定用平板を得た。な
お、冷却開始直後の溶融状態から30000Pa・sの
溶融粘度になるまでの時間は、3秒以内であった。ま
た、10000Pa・s以下の溶融粘度での溶融状態
で、静的に保持されている時間は180秒であった。評
価結果を表−1に示す。
【0055】(比較例4)表−1記載の配合(単位は重
量部)でブレンドし、シリンダー温度を250℃に設定
した2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で、回転
数300rpmで溶融混練し、押出機の途中から難燃剤
をポンプで圧入し、造粒し、ペレットを得た。得られた
ペレットを乾燥し、金型温度260℃で圧縮成形し、平
板状成形体を得た。該成形において、冷却開始直後の溶
融状態から30000Pa・sの溶融粘度になるまでの
時間は、30秒であり、10000Pa・s以下の溶融
粘度での溶融状態で、静的に保持されている時間は24
0秒であった。また、該平板状成形体からIzod衝撃
強度評価用試験片形状成形体と、燃焼試験用試験片形状
成形体を切り出して得た。評価結果を表−1及び図6に
示す。
【0056】(実施例5〜7)表−2記載の配合で2軸
押出機のシリンダー温度を260℃にする以外は、実施
例1と同様に実施した。評価結果を表−2に示す。 (比較例8)表−2記載の配合(単位は重量部)でブレ
ンドし、シリンダー温度を260℃に設定した2軸押出
機(ZSK−25、W&P社製)で、回転数300rp
mで溶融混練し、造粒し、ペレットを得た。得られたペ
レットを乾燥し、比較例4と同様に圧縮成形して、成形
体を得た。評価結果を表−2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】薄肉成形性に優れた、特に高流動性の樹
脂組成物から成形された光沢等の外観及び耐衝撃強度に
優れた成形品、更に難燃性に優れた成形品を得ることが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願成形品の分散形態を説明するための模式図
【図2】本願成形品の分散形態を説明するための比較模
式図
【図3】本願成形品の分散形態を説明するための比較模
式図
【図4】実施例1の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図5】比較例1の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図6】比較例4の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
A:熱可塑性樹脂(A)相 B:熱可塑性樹脂(B)相 C:ゴム状重合体(C)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51:04 27:18) Fターム(参考) 4J002 AC033 AC063 AC073 AC083 AC093 BB01W BB01X BB153 BC02W BC02X BC03W BC03X BD13 BG043 BG06W BG06X CB00W CB00X CF00W CF00X CG00W CG00X CH07W CH07X CL00W CL00X CP033 CP163 EW056 EX036 FD136 GQ01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海−島、または、海−海構造となる熱可
    塑性樹脂(A)、(B)と、ゴム状重合体(C)との組
    成物からなり、ゴム状重合体(C)の分配が、該熱可塑
    性樹脂が海−島構造を形成する場合は、海相中に、ま
    た、該熱可塑性樹脂が海−海構造を形成する場合には、
    一方の海相に選択的に70〜100重量%の比率で分配
    したモルフォロジーを有することを特徴とする成形体。
  2. 【請求項2】 ゴム状重合体(C)が、数平均円相当直
    径、0.05〜3μmの粒径を持つことを特徴とする請
    求項1記載の成形体。
  3. 【請求項3】 組成物が、(A)から(C)の合計10
    0重量部に対して、難燃剤(D)0.1〜30重量部、
    滴下防止剤(E)0.01〜5重量部を含有することを
    特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート
    系樹脂(a−1)、熱可塑性樹脂(B)がアルキル(メ
    タ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体、シアン
    化ビニル単量体を共重合体の構成成分として含むビニル
    化合物共重合体(b−1)、ゴム状重合体(C)がポリ
    オルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリ
    レートを含む複合ゴムにビニル単量体がグラフトしてな
    る複合ゴム系グラフト共重合体(c−1)であり、各成
    分の含有比率が(a−1)90重量部〜10重量部、
    (b−1)1〜90重量部、(c−1)1〜30重量部
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記
    載の成形体。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネート系樹脂(a−1)が、
    全末端に占める末端ヒドロキシ基の割合が20〜80モ
    ル%の範囲にある芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ
    ステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボ
    ネートであることを特徴とする請求項4記載の成形体。
  6. 【請求項6】 難燃剤(D)が、ハロゲン系難燃剤、シ
    リコン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸
    エステル系難燃剤から選択される1種以上の難燃剤であ
    る請求項3〜5のいずれか1項記載の成形体。
  7. 【請求項7】 組成物が、摘下防止剤(E)テトラフル
    オロエチレン樹脂(PTFE)を含有することを特徴と
    する請求項3〜6のいずれか1項記載の成形体。
  8. 【請求項8】 該成形体を構成する樹脂組成物を溶融状
    態から賦形・冷却固化して成形体を製造するにあたり、
    該樹脂組成物の溶融状態での保持条件が、10000P
    a・s以下の溶融粘度で静的に保持されている時間が2
    分以内にあること、及び冷却固化の条件が冷却開始直後
    の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度になるま
    での時間が20秒以内であることを特徴とする請求項1
    〜7のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
JP36549498A 1998-12-22 1998-12-22 樹脂組成物成形体 Expired - Lifetime JP4159157B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36549498A JP4159157B2 (ja) 1998-12-22 1998-12-22 樹脂組成物成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36549498A JP4159157B2 (ja) 1998-12-22 1998-12-22 樹脂組成物成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000186213A true JP2000186213A (ja) 2000-07-04
JP4159157B2 JP4159157B2 (ja) 2008-10-01

Family

ID=18484402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36549498A Expired - Lifetime JP4159157B2 (ja) 1998-12-22 1998-12-22 樹脂組成物成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4159157B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020565A (ja) * 2000-07-05 2002-01-23 Toray Ind Inc 難燃性樹脂組成物、その製造方法および難燃性成形品

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104987687B (zh) * 2015-06-08 2018-04-27 金发科技股份有限公司 一种聚碳酸酯组合物及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020565A (ja) * 2000-07-05 2002-01-23 Toray Ind Inc 難燃性樹脂組成物、その製造方法および難燃性成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4159157B2 (ja) 2008-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100526354C (zh) 热塑性树脂组合物及工程塑料组合物
JP2005501953A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
KR101945270B1 (ko) 강화 열가소성 수지 조성물 및 그 성형품
JP5030541B2 (ja) 薄肉成形品用ポリカーボネート樹脂組成物、ならびに薄肉成形品及びその製造方法
KR101677246B1 (ko) 강화 열가소성 수지 조성물 및 그 성형품
WO2000058402A1 (fr) Composition de resine retardatrice de flamme a base de polycarbonate
JP7386159B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびこれから形成された成形品
US20220259421A1 (en) Thermoplastic Resin Composition and Molded Article Formed Therefrom
JP2001002908A (ja) 長期安定性に優れた高流動の難燃ポリカーボネート系樹脂組成物
JP3888759B2 (ja) 難燃性を有する帯電防止性樹脂組成物及び成形品
JP4159157B2 (ja) 樹脂組成物成形体
JP3769758B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP5008224B2 (ja) ポリカーボネート系着色難燃樹脂組成物からなるハウジング材料及びその製法
JPH07316411A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2017179105A (ja) 強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2000319497A (ja) 樹脂組成物
JP4372285B2 (ja) 加工安定性が改良されたポリカーボネート系高難燃樹脂組成物
JP4201906B2 (ja) モールドデポジットが少ない難燃性樹脂組成物
JP3137955B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0959505A (ja) 難燃性樹脂組成物
JP2002105299A (ja) ポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JP4306872B2 (ja) 難燃性樹脂組成物の製造方法
JP2000191877A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000119402A (ja) 成形体
JP2000239544A (ja) 難燃性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20031203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040218

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080318

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080715

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120725

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130725

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term