JP2000119402A - 成形体 - Google Patents

成形体

Info

Publication number
JP2000119402A
JP2000119402A JP10290697A JP29069798A JP2000119402A JP 2000119402 A JP2000119402 A JP 2000119402A JP 10290697 A JP10290697 A JP 10290697A JP 29069798 A JP29069798 A JP 29069798A JP 2000119402 A JP2000119402 A JP 2000119402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded article
weight
rubber
polymer
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10290697A
Other languages
English (en)
Inventor
Noritsugu Nanba
仙嗣 難波
Hiroshi Yatani
広志 八谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10290697A priority Critical patent/JP2000119402A/ja
Publication of JP2000119402A publication Critical patent/JP2000119402A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉成形性に優れた高流動性と耐衝撃強
度に優れた樹脂組成物から成形された光沢等の外観に優
れた成形品、更に難燃性に優れた成形品を提供する。 【解決手段】 少なくとも2種類の相分離構造を形成す
る熱可塑性樹脂(A)、(B)と少なくとも2種類のゴ
ム状重合体(C)、(D)及び必要に応じて難燃剤
(E)とからなる樹脂組成物から成形された成形体にお
いて、成形固化後に形成されたゴム状重合体の分配が、
ゴム状重合体(C)が、(A)中に70〜100重量
%、(B)中に0〜30重量%の比率で分配し、ゴム状
重合体(D)が、(B)中に70〜100重量%、
(A)中に0〜30重量%の比率で分配したモルフォロ
ジーを有する耐衝撃性と表面光沢及び難燃性に優れた成
形体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の熱可塑性樹
脂に複数のゴム状重合体が特定の比率で分配したモルフ
ォロジーを有する、光沢等の外観に優れ、且つ高い衝撃
強度を有する成形体に関し、さらに難燃剤が配合されて
も、高い衝撃強度を保持する特定のモルフォロジーを有
する成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、社会の情報化が急速に普及しコン
ピュータ、プリンタ、コピー機等OA機器の需要が増大
すると共に、モバイルコンピュータをはじめとする携帯
情報機器が増大している。その為、該情報機器等に使用
されているハウジングや部品等の熱可塑性樹脂で製造さ
れた成形体の薄肉化や軽量化、良外観化の要求が高まっ
て来ている。
【0003】そのため、上記分野の成形体を製造するた
めに、用いる熱可塑性樹脂組成物のの流動性を向上さ
せ、薄肉の軽量成形体を得る試みがなされてきた。例え
ば、上記用途に広く用いられているポリカーボネートか
らなる成形体では、ABSを配合することで樹脂組成物
の流動性を改善し、薄肉の軽量成形体を得ることが知ら
れている。該成形体を構成する樹脂成分、ゴム状重合体
は図2に示されるようなモルホロジーを形成しているこ
とが知られている(引用文献・「成形加工」第8巻、第
1号(1996年)別冊等)。しかしながら、該モルフ
ォロジーでは近年の更なる薄肉化要求に対応するためポ
リカーボネートを低分子量化すると耐衝撃性が低下し、
高流動性と耐衝撃強度の双方に優れた成形体を得ること
は非常に困難で、これまで高流動性と耐衝撃強度の双方
に優れた成形体を得ることは出来なかった。
【0004】その為、更にシリコンアクリルゴム、コア
ーシェル型ゴム等の特定のゴムを配合したり、ゴム含量
を高くすることで、成形体の耐衝撃性を改良することが
試みられている。例えば、特開平6−1897号公報、
特開平7−207085号公報では、シリコンアクリル
ゴムを配合することにより、衝撃強度の改良が開示され
ている。しかしながら、これらの方法では、特定のゴム
を配合することで流動性が低下すると共に得られた成形
体の光沢が低下し、特に流動性の改善は未だ十分ではな
かった。
【0005】また、難燃化規制の強化に伴い、樹脂の難
燃化技術は各分野で重要な技術となってきており、特に
コンピュータやワープロ、複写機等のOA分野や、テレ
ビ、ゲーム機等の一般家電分野で欠くことのできない特
性の一つとなりつつある。
【0006】その為、樹脂を難燃化し、更に前述の高流
動化と耐衝撃性を保持した成形体を得る方法が必要とな
ってきた、一般に、樹脂を難燃化する方法として、難燃
剤を配合することが行われている。しかし、難燃剤を配
合することにより、難燃性や流動性は改良されるもの
の、得られた成形体の耐衝撃強度の低下は免れなかっ
た。そのため、特開平6−240127号公報では、シ
リコンアクリルゴムの特定のゴムを配合することで、耐
衝撃性を改良することが試みられている。さらに、高流
動性を得るために、特開平8−127686号公報で
は、上記特定のゴムの配合に加えて、材料樹脂を低分子
量化する事が開示されている。しかしながら、これらの
方法では、ゴムを配合することで流動性が低下しすると
共に得られた成形体の光沢や難燃性が低下し、特に高流
動性と耐衝撃性の改善は未だ十分ではなかった。
【0007】以上のように、薄肉成形性に優れた高流動
性の樹脂組成物で、光沢等の成形外観や耐衝撃性に優れ
た成形体は得られておらず、更に難燃化され且つ光沢等
の成形外観や、特に耐衝撃性に優れ成形体は得られてい
なかったのである。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の課
題、すなわち薄肉成形性に優れた高流動性と耐衝撃強度
に優れた樹脂組成物から成形された光沢等の外観に優れ
た成形品、更に難燃性に優れた成形品を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記課
題を解決するために、数多くの高流動性の樹脂組成物を
研究すると共に、該組成物から得られた成形体のモルフ
ォロジーを注意深く観察し、鋭意研究を続けてきた。そ
の結果、相分離構造を形成する複数の熱可塑性樹脂に複
数のゴム成分を配合し、更に該ゴム成分を特定のモルフ
ォロジーで分散させることで、上記課題が解決できると
いう驚くべき事実を見い出し本発明に到達したものであ
る。
【0010】すなわち、本発明は、 1.相分離構造を形成する複数の熱可塑性樹脂(イ)と
複数のゴム状重合体(ロ)からなる樹脂組成物から成形
された成形体において、ゴム状重合体(ロ)の少なくと
も2種類が、該熱可塑性樹脂(イ)の複数の異なる成分
中にそれぞれ独立に、70〜100重量%の割合で分配
されたモルフォロジーを有することを特徴とする成形
体、 2.2種類の相分離構造を形成する熱可塑性樹脂(イ)
が熱可塑性樹脂(A)、(B)であり、2種類のゴム状
重合体(ロ)が、ゴム状重合体(C)、(D)であり、
これらの熱可塑性樹脂とゴム状重合体とからなる樹脂組
成物から成形された成形体において、成形固化後に形成
されたゴム状重合体の分配が、ゴム状重合体(C)が、
(A)中に70〜100重量%、(B)中に0〜30重
量%の比率で分配し、ゴム状重合体(D)が、(B)中
に70〜100重量%、(A)中に0〜30重量%の比
率で分配したモルフォロジーを有することを特徴とする
成形体、 3.相分離構造とは、複数の熱可塑性樹脂(イ)が海−
海、および/または海−島構造となることを表す前記
1.または2.記載の成形体、 4.ゴム状重合体(C)及び、(D)の数平均円相当直
径が、0.05〜3μmの粒径を持つことを特徴とする
前記2.記載の成形体、 5.(A)がポリカーボネート系樹脂、(B)が芳香族
ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を共重合体の構成
成分として含む共重合体、ゴム状重合体(C)がゴム質
重合体に該ゴム質重合体と共重合可能な1種以上のビニ
ル化合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体を
含むゴム含有重合体、ゴム状重合体(D)がポリオルガ
ノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレート
を含む複合ゴムにビニル単量体がグラフトしてなる複合
ゴム系グラフト共重合体であり、各成分の含有比率が
(A)90重量部〜10重量部、(B)1〜90重量
部、(C)1〜50重量部、(D)0.1〜30重量部
であることを特徴とする前記2.または4.記載の成形
体、 6.ポリカーボネート系樹脂が、全末端に占める末端ヒ
ドロキシ基の割合が20〜80モル%の範囲にある芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル
交換法にて製造されたポリカーボネートであることを特
徴とする前記5.記載の成形体、 7.(A)から(D)の合計100重量部に対して、難
燃剤(E)0.1〜30重量部、滴下防止剤(F)0.
01〜5重量部を含有することを特徴とする前記2.、
4.、5.または6.記載の成形体、 8.難燃剤(E)が、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステ
ル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤から選択され
る1種以上の難燃剤である請求項7記載の成形体、 9.滴下防止剤(F)が、テトラフルオロエチレン樹脂
(PTFE)であることを特徴とする前記7.または
8.記載の成形体、 10.該成形体を構成する樹脂組成物を溶融状態から賦
形・冷却固化して成形体を製造するにあたり、該樹脂組
成物の溶融状態での保持条件が、10000Pa・s以
下の溶融粘度で静的に保持されている時間が2分以内に
あること、及び冷却固化の条件が冷却開始直後の溶融状
態から30000Pa・sの溶融粘度になるまでの時間
が20秒以内であることを特徴とする前記1.〜9.記
載の成形体の製造方法、 に関する。
【0011】以下、本発明について、詳細に説明する。
【0012】本発明の樹脂組成物のモルフォロジー形態
の観察方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)で行われ
る。その際、各成分の分配比率と数平均円相当直径の測
定は、得られたTEM写真を画像解析すること等によっ
て求めることが出来る。
【0013】本発明の基本的な技術的思想は、成形体を
構成する樹脂成分の流動性を高めるためにその樹脂成分
を低分子量化しても、成形体が実用上要求される諸特性
とくに十分な耐衝撃性を保持できるような割合で相分離
した樹脂成分中のそれぞれにゴム状重合体を分配するこ
とにある。
【0014】しかし、本発明の実際上より好ましい態様
としては相分離構造を形成する2種の熱可塑性樹脂と2
種のゴム状重合体とからなり、該ゴム状重合体が特定の
比率で該2種の熱可塑性樹脂相に分配された成形体であ
る。そこで、以下にこのより好ましい態様について説明
する。
【0015】本発明の成形体のモルフォロジーについて
模式図を使用して説明する。
【0016】図1に、本発明の要件を満たす、特定のモ
ルフォロジーの一例を模式的に示す。相分離構造を形成
する熱可塑性樹脂(A)と(B)が存在し(図1中、熱
可塑性樹脂(A)相をEで示し、同(B)相をFで示
す。以下図2〜4についても同じ)、熱可塑性樹脂
(A)中に選択的に70重量%以上のゴム状重合体
(D)が分散し、熱可塑性樹脂(B)中には、ゴム状重
合体(C)が選択的に70重量%以上存在する。本願の
成形体は、このようなモルフォロジーを有しており、そ
の結果樹脂成分の低分子量化による高流動化を行っても
優れた耐衝撃性を保持できるのである。
【0017】一方、本願成形体とは異なるモルフォロジ
ーを図2〜4に示す。図2は、PCとABSとからなる
成形体のモルフォロジー模式図である。熱可塑性樹脂
(A:ポリカーボネート)中にはゴム状重合体は分散し
ておらず、熱可塑性樹脂(B:AS樹脂)中のみに分散
している。このような形態の場合、ポリカーボネートを
低分子量化して組成物の高流動化を行うと、ポリカーボ
ネートの補強が充分なされず、耐衝撃性が低下する。
【0018】図3は、2種類のゴム状重合体が、相分離
構造を形成する熱可塑樹脂の一方に偏在する成形体のモ
ルフォロジー模式図である。図2と同様に、熱可塑性樹
脂(A)相の補強が充分なされず、耐衝撃性の改善が不
十分である。このようなモルフォロジーは、例えば、ゴ
ム状重合体の(C),(D)の相溶性が熱可塑性樹脂
(A)よりも(B)の方に相当良好なときに発現する傾
向にある。また、図1のモルフォロジーを形成する樹脂
組成物であっても、成形体の製造条件が、10000P
a・s以下の粘度範囲での溶融状態で、静的に保持され
ている時間が2分より長時間経過した後に冷却固化する
ような条件の場合も発現する。
【0019】図4には、熱可塑性樹脂(A)、(B)双
方と相溶性が低く、比較的大粒径で、熱可塑性樹脂
(A)、(B)のいずれかに偏在することのない、モル
フォロジーの一例を模式的に示す。このようなモルフォ
ロジーでは、熱可塑性樹脂(A)相の補強が充分なされ
ず、耐衝撃強度の改善が不十分であり、劣悪な表面外観
を与える。
【0020】本発明について用いられる熱可塑性樹脂
(A)、(B)としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂や、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチ
レン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等のエンジニアプ
ラスチック類、ポリメチルメタクリレート系樹脂等が挙
げられる。本願においては、該熱可塑性樹脂の中から少
なくとの2つ以上の相分離構造を形成する樹脂が熱可塑
性樹脂(A),(B)として選択される。
【0021】上記熱可塑性樹脂の中でも、特に熱可塑性
樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂、(B)がポリス
チレン系樹脂との組み合わせ、熱可塑性樹脂(A)がポ
リカーボネート系樹脂、(B)がポリエステル系樹脂と
の組み合わせが好ましい。また、ポリスチレン系樹脂の
一種であるゴム変性スチレン系樹脂やABS樹脂の様
に、ゴム状重合体成分を含有しているものも使用でき
る。その際、該ゴム状重合体成分は、成形体中では本願
のゴム状重合体(C)又は(D)として把握される。
【0022】本発明の(A)成分として好ましく用いら
れるポリカーボネート樹脂は、下記化1で表される繰り
返し単位からなる主鎖を有する。
【0023】
【化1】
【0024】(式中、Arは、二価の芳香族残基であ
り、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、
ピリジレンや、下記化2で表されるものが挙げられ
る。)
【0025】
【化2】
【0026】(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリ
ーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフ
ェニレン、ピリジレン等の基を表し、Yは化3で表され
るアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0027】
【化3】
【0028】(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ
独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アラルキル基であって、場合によりハロゲ
ン原子、アルコシ基で置換されていてもよく、kは3〜
11の整数であり、R5及びR6は、各Xについて個々に
選択され、お互いに独立に水素原子、または低級アルキ
ル基、アリール基であって、ハロゲン原子、アルコキシ
基等で置換されても良く、Xは炭素原子を表す。) また、下記化4で示される二価の芳香族残基を共重合体
成分として含有していても良い。
【0029】
【化4】
【0030】(式中、Ar1、Ar2は化2と同じ。Zは
単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−S
2−、−CO2−、−CON(R1)−(R1は化3と同
じ)等の二価の基である。) これら二価の芳香族残基の例としては、下記の化5及び
化6で表されるもの等が挙げられる。
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、
水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル基、C1〜C10アル
コキシ基、C1〜C10シクロアルキル基またはフェニル
基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場
合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであっても
よいし、nが2〜4の場合は各R8はそれぞれ同一でも
異なるものであっても良い。) なかでも、下記化7で表されるものが好ましい一例であ
る。特に、上記の化7で表されるものをArとする繰り
返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【0034】
【化7】
【0035】また、本発明に用いられるポリカーボネー
トは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有し
ていても良い。
【0036】ポリマー末端の分子構造は特に限定されな
いが、フェノール性水酸基、アリールカーボネート基、
アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基
を結合することができる。アリールカーボネート末端基
は、下記化8で表され、具体例としては、例えば、化9
が挙げられる。
【0037】
【化8】
【0038】(式中、Ar3は一価の芳香族残基であ
り、芳香環は置換されていても良い。)
【0039】
【化9】
【0040】アルキルカーボネート末端基は、下記化1
0で表され、具体例としては、例えば下記化11等が挙
げられる。
【0041】
【化10】
【0042】(式中、R7は炭素数1〜20の直鎖もし
くは分岐アルキル基)
【0043】
【化11】
【0044】これらの中で、フェノール性水酸基、フェ
ニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネ
ート基、p−クミルフェニルカーボネート等が好ましく
用いられる。本願発明において、フェノール性水酸基末
端と他の末端との比率は、特に限定されないが、全末端
にしめるフェノール性水酸基末端比率が20〜80モル
%の範囲あることが好ましい。
【0045】フェノール性水酸基末端量の測定方法は、
一般にNMRを用いて測定する方法や、チタン法や、U
VもしくはIR法で求める方法が知られているが、本発
明においては、NMR法で求めた。
【0046】本発明に用いられるポリカーボネートの重
量平均分子量(Mw)は、一般に重量平均分子量で5,
000〜100,000の範囲にあり、特に限定されな
い。
【0047】本発明における重量平均分子量(Mw)の
測定は、GPCを用いて行い、測定条件は下記の方法に
よった。テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを
使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式に
よる換算分子量較正曲線を用いて求めた。
【0048】MPC=0.3591MPS 1.0388 (MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレ
ンの分子量) これらポリカーボネートは、公知の方法で製造できる。
具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート
前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及
び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法
(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニ
ルカーボネートと反応させるエステル交換法(溶融
法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する
方法(特開平1−158033、1−271426、3
−68627等)等の方法により製造できる。
【0049】本発明の、スチレン系樹脂は、スチレンの
単独重合体、スチレンとビニル単量体との共重合体、及
びゴム変性スチレン系樹脂が挙げられる。ビニル単量体
としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチル
スチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチル
アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、
アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸
類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシア
ン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα,β−不飽和
カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレ
イミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド
系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基
含有化合物があげられるが、好ましくは、芳香族ビニル
化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビ
ニル化合物、マレイミド系化合物であり、さらに好まし
くは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレ
イミド、ブチルアクリレートである。これらのビニル化
合物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0050】ゴム変性スチレン系樹脂としては、スチレ
ンの単独重合体及び、上記ビニル単量体との共重合体よ
りなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散し
てなる重合体を言い、ゴム状重合体の存在下にスチレン
や芳香族ビニル単量体および、必要に応じ、これと共重
合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊
状重合、塊状けん濁重合、溶液重合、乳化重合する事に
より得られる。なお、該ゴム変性スチレン系樹脂中のゴ
ム状重合体が、本発明のゴム状重合体(C)および/ま
たは(D)と同一であっても良い。
【0051】本発明のゴム状重合体(C)、(D)とし
ては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプ
レン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−ア
クリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチ
レン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチルなどのアクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリ
コン−アクリルゴム等のゴム状重合体、及び、上記ゴム
状重合体の粒子に更にスチレンや上記ビニル単量体が単
独もしくは2種以上のでグラフト重合された複合ゴム状
重合体が挙げられる。また、複合ゴム状重合体には一般
に、複合ゴム状重合体を製造する過程で、該ゴム状重合
体にグラフトせずに重合したスチレンやビニル単量体の
重合体を含んでいるが、該成分は熱可塑性樹脂として把
握される。
【0052】これらゴム状重合体の中でも、ブタジエン
ゴム、もしくは、スチレン−ブタジエンゴムにアクリロ
ニトリルとスチレンがグラフト共重合された複合ゴム状
重合体と、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分とが交互に絡み合っ
て複合一体化されている構造を有する複合ゴムに、1種
以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴ
ム系グラフト共重合体、例えば、特開昭64−7925
7号広報に記載された方法で製造できるゴム状重合体が
好ましく用いられる。
【0053】複合ゴム状重合体の製造方法としては、特
に限定はされないが、乳化重合で製造されたラテックス
状のゴム状重合体にビニル化合物をグラフト重合させる
乳化グラフト重合方式、および、乳化グラフト重合と溶
液重合や懸濁重合を組み合わせた、二段重合法などが例
示される。これらは、連続式、バッチ式、セミバッチ式
いずれも可能である。また、上記の方法であらかじめ高
ゴム含量の複合ゴム状重合体をつくり、後に塊状重合、
乳化重合や懸濁重合で製造したグラフト重合時に用いた
ビニル化合物を主成分とする熱可塑性樹脂を配合してお
くことも可能である。
【0054】その場合、複合ゴム状重合体はゴム状重合
体成分(C)もしくは(D)として、熱可塑性樹脂は
(A)もしくは(B)成分として把握される。
【0055】ゴム状重合体の好ましい粒子径について
は、マトリックスになる熱可塑性樹脂の種類により異な
るため特に限定されないが、数平均円相当直径で0.0
5〜3μで、好ましくは0.05〜1.5μ、さらに好
ましくは0.05〜1.0μである。粒子径が0.05
μmより小さいと耐衝撃性が得られず、また3μを越え
ると衝撃性が低下し、光沢値が低下する。
【0056】本発明における難燃剤(E)とは、いわゆ
る一般の難燃剤であり、リン系化合物やハロゲン系有機
化合物、シリコン系化合部の他、メラミン等の窒素含有
有機化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム
等の無機化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス、ま
た、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物、赤リン、ホ
スフィン、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリ
ン酸、無水リン酸などの無機系リン化合物、カーボンフ
ァイバー、グラスファイバー、などの繊維、膨張黒鉛、
シリカ、シリカ系ガラス溶融物などが用いられるが、好
ましくはハロゲン系有機化合物、リン系化合物、シリコ
ン系化合部及びこれらの併用である。
【0057】ハロゲン系有機化合物としては、一般のハ
ロゲン系難燃剤および含ハロゲンリン酸エステル全般を
指す。例えば、ハロゲン系有機化合物としては、ヘキサ
クロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタ
ブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタ
ン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキ
シド、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモ
ビスフェノールA、テトラブロモフタルイミド、ヘキサ
ブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等があるが
好ましくは、下記(1)の構造を有するハロゲン系有機
化合物であり、特に好ましいのは下記(2)のハロゲン
系有機化合物である。
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】一方、含ハロゲンリン酸エステルとして
は、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジク
ロロプロピルホスフェート、トリス・β−クロロプロピ
ルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフ
ェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、ト
リス(トリブロモネオペンチルホスフェート)およびこ
れらの縮合リン酸エステル等があるが、好ましくは、ト
リス(トリブロモネオペンチルホスフェート)、トリス
(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロ
モフェニル)ホスフェートである。これらのハロゲン系
有機化合物は1種類でも、2種類以上組み合わせて用い
ることもできる。
【0061】リン系化合物としては、リン酸エステル系
難燃剤や縮合リン酸エステル系難燃剤、例えば、トリメ
チルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロ
ピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペン
チルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシ
クロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフ
ェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチル
ホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロ
キシフェニルジフェニルホスフェートなどのリン酸エス
テルやこれらを各種置換基で変成した化合物がある。
【0062】また、縮合リン酸エステル系難燃剤は、一
般式
【0063】
【化14】
【0064】(式中、nは1〜10の正数であり、Ar
1〜Ar4は各々独立に、フェニル基、トリル基またはキ
シリル基である。また、nが2以上の場合、複数あるA
4は各々同一でも異なってもよい。)で表される。具
体例としては、ビスフェノールAテトラフェニルジホス
フェート、ビスフェノールAテトラキシリルジホスフェ
ート、ビスフェノールAテトラクレジルジホスフェー
ト、レゾルシノールジホスフェート等が挙げられる。
【0065】また、シリコン系難燃剤としては、例え
ば、RSiOを含む化合物が挙げられ、Rは例えば、フ
ェニル基、キシリル基等のアリール基、メチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、また、アルケニル基等がある。
一般的に、ポリオルガノシロキサン類として知られてい
る。
【0066】これらリン系難燃剤は単独または2種類以
上を併用して用いることができる。
【0067】難燃剤の配合量は必要な難燃性のレベルに
応じて決められるが、熱可塑性樹脂とゴム状重合体の合
計量100重量部に対して、0.1〜30重量部である
ことが必要である。0.1重量部未満では必要な難燃効
果が発揮されない。30重量部を超えると樹脂の機械的
強度を低下させる。好ましくは1〜25重量部の範囲で
あり、特に好ましい範囲としては3〜22重量部であ
る。難燃剤としてハロゲン系化合物を用いる場合、難燃
効果を高める為に難燃助剤を用いることが出来る。難燃
助剤として好ましくは、元素周期律表におけるVAに属
する元素を含む化合物で、具体的には、窒素含有化合
物、リン含有化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス等
がある。また、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属
酸化物も効果的である。この中でも特に好ましくは、酸
化アンチモンであり、具体的には三酸化アンチモン、五
酸化アンチモンがあげられる。これらの難燃助剤は樹脂
中への分散を改善する目的および/または樹脂の熱的安
定性を改善する目的で表面処理を施されているものを用
いてもよい。
【0068】難燃助剤の添加量は、0.5〜20重量部
が好ましい、0.5部未満の場合、難燃助剤の効果が十
分でなく、20重量部を越える場合、樹脂の機械的強度
および加工流動性が低下する。より好ましくは1〜15
重量部で、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0069】本発明の成形体を形成するための樹脂組成
物を製造する方法は、従来から公知の方法で行うことが
出来、特に限定されない。例えば、各成分をヘンシェル
ミキサー、スーパーミキサー、ターンブルミキサー、リ
ボンブレンダー等で均一に混合した後、単軸押出機や二
軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等
がある。また、その際、本発明の趣旨を妨げない範囲
で、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、
帯電防止剤、着色剤、フィラー等の添加剤を加えること
は任意である。
【0070】さらに、これらの樹脂組成物から本発明の
成形体を製造する方法は、押し出し成形、圧縮成型、射
出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定されな
い。しかしながら、本発明の特定比率で分配したモルフ
ォロジーを有する成形体を得るためには、樹脂組成物の
成形体を成形するにあたって、該樹脂組成物の溶融状態
での保持条件が、10000Pa・s以下の溶融粘度で
静的に保持されている時間が2分以内にあること、及び
冷却固化の条件が冷却開始直後の溶融状態から3000
0Pa・sの溶融粘度になるまでの時間が20秒以内と
なる条件下で成形されることが必要である。上記冷却開
始直後の溶融状態からとは、例えば、射出成形において
は金型キャビティーへの樹脂の充填が95%以上終了し
た時点を言う。また、30000Pa・sになる時間の
認定は、例えば、レオメーター等で、樹脂温度と溶融粘
度の関係を測定し、30000Pa・sになる温度を決
定する。そして、実際の成形において、金型内での樹脂
温度の変化を、熱電対等で測定し、該温度になるまでの
時間を測定することで決定される。求める固化時間が2
0秒を越えると、ゴム状重合体同士が凝集し、耐衝撃強
度が低下する。好ましくは、10秒以内が好ましい。
【0071】該樹脂組成物の溶融状態での保持条件が、
10000Pa・s以下の溶融粘度で静的に保持されて
いる時間が2分を越えると、マトリックス相を形成して
いる熱可塑性樹脂中に分散しているゴム状重合体が、凝
集し、本発明のモルフォロジーを形成できず、耐衝撃強
度が低下し、また、光沢度も低下する。
【0072】また、樹脂組成物の冷却固化の条件が冷却
開始直後の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度
になるまでの時間が20秒を越えると、本発明のモルフ
ォロジーを維持したまま固化できず、ゴム状重合体の急
速な凝集が発生し、耐衝撃強度が低下し、また、光沢度
も低下する。
【0073】
【発明の実施の形態】本発明の実施例における測定方法
は以下の通りである。
【0074】(1)溶融粘度の測定 Dynamic Analyzer RDAII(レオメ
トリックス社製)を使用して、昇温速度 3℃/分、周
波数1Hzで測定した。
【0075】(2)成型機金型内での樹脂固化時間の測
定 金型内に熱電対をセットし、成型中の温度を連続的にモ
ニターした。金型キャビティーへの樹脂の充填が95%
以上終了した時点から(1)で測定した粘度が3000
0Pa・sになる温度迄の時間を固化時間とした。
【0076】(3)Izod衝撃強度 ASTM D256に従って、射出成形された1/8イ
ンチ厚さの試験片を用いてノッチ付きで測定した。
【0077】(4)MFR ASTM D1238に従って、温度220℃、荷重1
0kgで測定した。
【0078】(5)難燃性 UL94規格5VB燃焼試験(厚み1/10インチ)に
基づく試験により測定した。適合を○で示し、不適合を
×で示す。
【0079】(6)光沢度 10cm×10cm×2mmの平板を射出成形し、AS
TM D523−62Tに基づき、光沢計(Gloss
meter)により、入射角、反射角とも60度として
表面光沢を求めた。
【0080】(7)モルフォロジー形態観察 Izod衝撃強度テストピースを切り出し、オスニウム
酸とルテニウム酸で染色した超薄膜切片を、TEMで観
察した。
【0081】(8)ゴム状重合体の存在率の観察 上記(7)で得られた写真を、画像解析装置IP−10
00(旭化成工業社製)で解析し、円相当面積を求め、
各熱可塑性樹脂中に分配する各ゴム状重合体の存在率を
求めた。
【0082】なお、表中に表している数値は、 分配率(C)/(A):ゴム状重合体(C)(ABS−
1として配合されたブタジエンゴム)が熱可塑性樹脂
(A)に分配した比率(%) 分配率(C)/(B):ゴム状重合体(C)(ABS−
1として配合されたブタジエンゴム)が熱可塑性樹脂
(B)に分配した比率(%) 分配率(D)/(A):ゴム状重合体(D)が熱可塑性
樹脂(A)に分配した比率(%) 分配率(D)/(B):ゴム状重合体(D)が熱可塑性
樹脂(B)に分配した比率(%) 以下に実施例に用いる配合剤を説明する。なお、部数は
重量部とする。
【0083】(PC−1)溶融エステル交換法で製造さ
れたビスフェノールA系ポリカーボネート Mw=20500、ヒドロキシ基末端比率=23% (PC−2)ホスゲン法で製造されたビスフェノールA
系ポリカーボネート Mw=20000 ヒドロキシ基末端比率=2% (ABS−1) スタイラック−ABS 525 (旭化成工業社製) ゴム状重合体としてブタジエンゴムにアクリロニトリル
とスチレンがグラフト共重合した複合ゴム状重合体を3
5重量%含有のABS樹脂 (ゴム状重合体2) メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−ジメチル
シロキサン共重合体 メタブレン S−2001 (三菱レーヨン社製) (ゴム状重合体3) メタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体 メタブレン C−102 (三菱レーヨン社製) (ゴム状重合体4) エチレン−プロピレンゴム EP02P (日本合成ゴム社製) (AS−1) アクリロニトリル−スチレン共重合体 スタイラック−AS T8801 (旭化成工業社製) (難燃剤) CR−741 (大八化学社製) (フッ素系樹脂) テフロン30J (三井デュポンフロロケミカル社製) 実施例1、2、比較例1〜3 表1記載の配合でブレンドし、シリンダー温度を250
℃に設定した2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)
で、回転数300rpmで溶融混練し、押出機の途中か
ら難燃剤をポンプで圧入し、造粒し、ペレットを得た。
【0084】得られたペレットを乾燥し、シリンダー温
度260℃、金型温度65℃、スクリュー回転数100
rpm、射出速度200mm/分、射出保圧時間10
秒、冷却時間15秒に設定された射出成型機(オートシ
ョット50D、ファナック社製)で成形し、Izod衝
撃強度評価用試験片形状成形体と、燃焼試験用試験片形
状成形体、光沢度測定用平板を得た。なお、冷却開始直
後の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度になる
までの時間は、いずれも3秒以内であった。また、10
000Pa・s以下の溶融粘度での溶融状態で、静的に
保持されている時間は5秒であった。
【0085】評価結果を表1及び図5、6、8、9に示
す。
【0086】比較例4 表1記載の配合(単位は重量部)でブレンドし、シリン
ダー温度を250℃に設定した2軸押出機(ZSK−2
5、W&P社製)で、回転数300rpmで溶融混練
し、押出機の途中から難燃剤をポンプで圧入し、造粒
し、ペレットを得た。
【0087】得られたペレットを乾燥し、金型温度26
0℃で圧縮成形し、平板状成形体を得た。該成形におい
て、冷却開始直後の溶融状態から30000Pa・sの
溶融粘度になるまでの時間は、30秒であり、1000
0Pa・s以下の溶融粘度での溶融状態で、静的に保持
されている時間は240秒であった。また、該平板状成
形体からIzod衝撃強度評価用試験片形状成形体と、
燃焼試験用試験片形状成形体を切り出して得た。
【0088】評価結果を表1及び図7に示す。
【0089】比較例5 表1記載の配合でブレンドし、シリンダー温度を250
℃に設定した2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)
で、回転数300rpmで溶融混練し、押出機の途中か
ら難燃剤をポンプで圧入し、造粒し、ペレットを得た。
【0090】得られたペレットを乾燥し、シリンダー温
度260℃、金型温度65℃、スクリュー回転数100
rpm、射出速度200mm/分、射出保圧時間10
秒、冷却時間15秒に設定された射出成型機(オートシ
ョット50D、ファナック社製)で成形し、Izod衝
撃強度評価用試験片形状成形体と、燃焼試験用試験片形
状成形体、光沢度測定用平板を得た。なお、冷却開始直
後の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度になる
までの時間は、3秒以内であった。また、10000P
a・s以下の溶融粘度での溶融状態で、静的に保持され
ている時間は180秒であった。
【0091】評価結果を表1に示す。
【0092】実施例3,4 表2記載の配合で2軸押出機のシリンダー温度を260
℃にする以外は、実施例1と同様に実施した。
【0093】評価結果を表2に示す。
【0094】比較例6 表2記載の配合(単位は重量部)でブレンドし、シリン
ダー温度を260℃に設定した2軸押出機(ZSK−2
5、W&P社製)で、回転数300rpmで溶融混練
し、造粒し、ペレットを得た。
【0095】得られたペレットを乾燥し、比較例4と同
様に圧縮成形して、成形体を得た。
【0096】評価結果を表2に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】薄肉成形性に優れた高流動性の樹脂組成
物から成形された光沢等の外観及び耐衝撃強度に優れた
成形品、更に難燃性に優れた成形品を得ることが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明成形品の分散形態を説明するための模式
図。
【図2】本発明成形品の分散形態を説明するための比較
模式図。
【図3】本発明成形品の分散形態を説明するための比較
模式図。
【図4】本発明成形品の分散形態を説明するための比較
模式図。
【図5】実施例1の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図6】比較例1の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図7】比較例4の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図8】比較例2の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【図9】比較例3の成形品のモルフォロジー形態を観察
した透過型電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
A:PC樹脂相 B:AS樹脂相 C:ゴム状重合体(C) D:ゴム状重合体(D) E:熱可塑性樹脂(A)相 F:熱可塑性樹脂(B)相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA12X AA13X AA14 AA15X AA20X AA22 AA22X AA27 AA33 AA33X AA34X AA35X AA40 AA43 AA50 AA51 AA54 AA67X AA77 AA80 AE07 AF23 AF32 AH16 BC17

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相分離構造を形成する複数の熱可塑性樹
    脂(イ)と複数のゴム状重合体(ロ)からなる樹脂組成
    物から成形された成形体において、ゴム状重合体(ロ)
    の少なくとも2種類が、該熱可塑性樹脂(イ)の複数の
    異なる成分中にそれぞれ独立に、70〜100重量%の
    割合で分配されたモルフォロジーを有することを特徴と
    する成形体。
  2. 【請求項2】 2種類の相分離構造を形成する熱可塑性
    樹脂(イ)が熱可塑性樹脂(A)、(B)であり、2種
    類のゴム状重合体(ロ)が、ゴム状重合体(C)、
    (D)であり、これらの熱可塑性樹脂とゴム状重合体と
    からなる樹脂組成物から成形された成形体において、成
    形固化後に形成されたゴム状重合体の分配が、ゴム状重
    合体(C)が、(A)中に70〜100重量%、(B)
    中に0〜30重量%の比率で分配し、ゴム状重合体
    (D)が、(B)中に70〜100重量%、(A)中に
    0〜30重量%の比率で分配したモルフォロジーを有す
    ることを特徴とする成形体。
  3. 【請求項3】 相分離構造とは、複数の熱可塑性樹脂
    (イ)が海−海、および/または海−島構造となること
    を表す請求項1または2記載の成形体。
  4. 【請求項4】 ゴム状重合体(C)及び、(D)の数平
    均円相当直径が、0.05〜3μmの粒径を持つことを
    特徴とする請求項2記載の成形体。
  5. 【請求項5】 (A)がポリカーボネート系樹脂、
    (B)が芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を
    共重合体の構成成分として含む共重合体、ゴム状重合体
    (C)がゴム質重合体に該ゴム質重合体と共重合可能な
    1種以上のビニル化合物をグラフト重合して得られるグ
    ラフト重合体を含むゴム含有重合体、ゴム状重合体
    (D)がポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル
    (メタ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル単量体が
    グラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体であり、
    各成分の含有比率が(A)90重量部〜10重量部、
    (B)1〜90重量部、(C)1〜50重量部、(D)
    0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項2ま
    たは4記載の成形体。
  6. 【請求項6】 ポリカーボネート系樹脂が、全末端に占
    める末端ヒドロキシ基の割合が20〜80モル%の範囲
    にある芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとか
    らエステル交換法にて製造されたポリカーボネートであ
    ることを特徴とする請求項5記載の成形体。
  7. 【請求項7】 (A)から(D)の合計100重量部に
    対して、難燃剤(E)0.1〜30重量部、滴下防止剤
    (F)0.01〜5重量部を含有することを特徴とする
    請求項2、4、5または6記載の成形体。
  8. 【請求項8】 難燃剤(E)が、ハロゲン系難燃剤、リ
    ン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤か
    ら選択される1種以上の難燃剤である請求項7記載の成
    形体。
  9. 【請求項9】 滴下防止剤(F)が、テトラフルオロエ
    チレン樹脂(PTFE)であることを特徴とする請求項
    7または8記載の成形体。
  10. 【請求項10】 該成形体を構成する樹脂組成物を溶融
    状態から賦形・冷却固化して成形体を製造するにあた
    り、該樹脂組成物の溶融状態での保持条件が、1000
    0Pa・s以下の溶融粘度で静的に保持されている時間
    が2分以内にあること、及び冷却固化の条件が冷却開始
    直後の溶融状態から30000Pa・sの溶融粘度にな
    るまでの時間が20秒以内であることを特徴とする請求
    項1〜9記載の成形体の製造方法。
JP10290697A 1998-10-13 1998-10-13 成形体 Pending JP2000119402A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10290697A JP2000119402A (ja) 1998-10-13 1998-10-13 成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10290697A JP2000119402A (ja) 1998-10-13 1998-10-13 成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000119402A true JP2000119402A (ja) 2000-04-25

Family

ID=17759350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10290697A Pending JP2000119402A (ja) 1998-10-13 1998-10-13 成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000119402A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100526354C (zh) 热塑性树脂组合物及工程塑料组合物
JP3784660B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP3608510B2 (ja) ポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JP2005501953A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP5030541B2 (ja) 薄肉成形品用ポリカーボネート樹脂組成物、ならびに薄肉成形品及びその製造方法
JP7386159B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびこれから形成された成形品
JP2003049077A (ja) 充填材含有難燃樹脂組成物および製法
JP2001002908A (ja) 長期安定性に優れた高流動の難燃ポリカーボネート系樹脂組成物
JP2001151974A (ja) 難燃性樹脂組成物
KR101422661B1 (ko) 난연성 열가소성 수지 조성물
JP3769758B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP5008224B2 (ja) ポリカーボネート系着色難燃樹脂組成物からなるハウジング材料及びその製法
JP2007169616A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品
JP2003041112A (ja) ポリカーボネート系難燃樹脂組成物及び薄肉成形体
JP2003183490A (ja) ポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JPH07316411A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP4159157B2 (ja) 樹脂組成物成形体
JP4489242B2 (ja) 改良された機械的強度を有する高流動のポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JP2000119402A (ja) 成形体
JP2003041114A (ja) 耐衝撃性に優れたポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JP4201906B2 (ja) モールドデポジットが少ない難燃性樹脂組成物
JP2000319497A (ja) 樹脂組成物
JP2002105299A (ja) ポリカーボネート系難燃樹脂組成物
JP2003020396A (ja) 着色ポリカーボネート系難燃樹脂組成物及びその製造方法
JP2000129141A (ja) 難燃性樹脂組成物の製造方法