JP2003183490A - ポリカーボネート系難燃樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系難燃樹脂組成物

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JP2003183490A JP2001380548A JP2001380548A JP2003183490A JP 2003183490 A JP2003183490 A JP 2003183490A JP 2001380548 A JP2001380548 A JP 2001380548A JP 2001380548 A JP2001380548 A JP 2001380548A JP 2003183490 A JP2003183490 A JP 2003183490A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 極薄肉成形体での難燃性、剛性、溶融流動
性、耐衝撃性、金型汚染性、及び耐熱性に優れたポリカ
ーボネート系難燃樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂A、50〜
85重量部、芳香族ビニル単量体単位b−1、およびシ
アン化ビニル単量体単位b−2を含む共重合体B、35
〜0重量部、芳香族ビニル化合物c−1とシアン化ビニ
ル化合物c−2とをゴム状重合体c−3の存在下で共重
合して得られるシアナイド含有グラフト共重合体C、5
0〜15重量部、及び、以下成分A、成分B、及び成分
Cの合計100重量部に対して、少なくとも1種の有機
リン化合物オリゴマーD5〜30重量部、及びタルクE
0.1〜20重量部、及び、以下成分A、成分B、成分
C、成分D、及び成分Eの合計100重量部に対して、
フルオロポリマーF0.2〜0.5重量部を含むポリカ
ーボネート系難燃樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極薄肉での優れた
難燃性を有し、同時に耐衝撃性、溶融流動性、及び剛性
に優れたポリカーボネート系難燃樹脂組成物に関する。
更に詳細には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、芳
香族ビニル単量体単位、およびシアン化ビニル単量体単
位を含む共重合体(B)、芳香族ビニル化合物とシアン
化ビニル化合物とをゴム状重合体の存在下で共重合して
得られるシアナイド含有グラフト共重合体(C)、少な
くとも1種の有機リン化合物オリゴマー(D)、タルク
(E)、及びフルオロポリマー(F)を含み、必要に応
じて芳香族ビニル化合物とアルキル(メタ)アクリレー
トとをゴム状ブタジエン重合体の存在下で共重合して得
られる(メタ)アクリレート含有グラフト共重合体
(G)を含み、尚かつ、成分(A)、(D)、及び
(E)の配合量が特定の関係式の範囲内にあり、1.2
mmの厚さにおいてUL−94垂直燃焼試験によるV−
0難燃性能を達成することができるポリカーボネート系
難燃樹脂組成物に関する。
【0002】本発明の樹脂組成物は薄肉での優れた難燃
性、耐衝撃性、溶融流動性、及び剛性を有するとともに
低金型汚染性、及び耐熱性にも優れている。本発明の樹
脂組成物は、OA機器や電気・電子機器のハウジング
や、その他の様々な成形体に好適に用いることができ、
特に肉厚1.2mm以下の部分を有する極薄肉成形体に
は好適に用いることができる。
【0003】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂(PC)にアクリ
ロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂(ABS)と
有機リン化合物系難燃剤をブレンドした組成物(以下、
「PC/ABS/リン系難燃剤組成物」と称す。)は非
臭素・非塩素系の難燃樹脂材料として、コンピューター
用モニター、ノートブックパソコン、プリンタ、ワープ
ロ、コピー機等のハウジング材料として利用されてい
る。
【0004】近年、同機器のハウジングは解体、分別し
やすいように構造を簡略化してリサイクル性を高め,尚
且つ薄肉化することにより軽量化とコストダウンを同時
に狙った設計となってきており、特にノートブックパソ
コン等の携帯可能なOA機器ハウジングは、更なる軽量
化を目的として肉厚1.2mm以下の極薄肉ハウジング
とする要望がある。このようなハウジング設計の流れか
ら、そこで使用される材料には極薄肉成形が可能となる
溶融樹脂の良流動性、極薄肉成形体での高度な難燃性、
及び極薄肉成形体での変形、破損を防止するための剛
性、耐衝撃性、耐熱性が同時に求められるようになって
きており、高度な物性バランスを有する樹脂組成物が求
められている。
【0005】上記課題の中で肉厚1.2mm以下の極薄
肉成形体の成形を可能とするためには、溶融流動性に優
れた樹脂組成物を使用することが一般的である。PC/
ABS/リン系難燃剤組成物はPCにABSやリン系難
燃剤が配合されているため、PCのみの場合より溶融流
動性に優れているが、薄肉成形体を容易に成形加工する
ためには更に流動性向上が必要である。そのため、これ
までの技術においてはPCより溶融粘度の低いABS樹
脂配合量を多くする方法や、低分子量のPCを使用する
方法等が用いられてきた。
【0006】しかしながら該方法においてはABS樹脂
配合量を多くすると難燃性、及び剛性が低下しやすい問
題があり、また低分子量のPCを使用した場合は耐衝撃
性が低下しやすい問題があるため、溶融流動性を高める
と同時に難燃性、剛性、及び耐衝撃性を改善することが
容易ではなかった。そこでABS配合量を多くして溶融
流動性を高めると共に難燃性、及び剛性を改善させる方
法としてタルクを配合する技術が特開平13−4910
6、特開平13−72852、特開平12−19189
6、特開平11−199768等に記載されている。し
かしながら該技術では難燃性、及び剛性の改善において
は有効であるが、タルクを配合することにより耐衝撃性
が低下しやすく、特に肉厚1.2mm以下の極薄肉成形
体に充分な耐衝撃性を付与することは困難であった。一
般に、タルクのような鉱石を粉砕して得られる粉体を補
強剤として樹脂組成物に配合する場合は、大粒径より小
粒径の粉体を配合する方が耐衝撃性低下の割合が小さい
傾向にある。
【0007】そのため平均粒子径が2μm以下の小粒径
タルクを配合して耐衝撃性の低下を抑制する方法が特開
平7−316411に記載されている。しかしながら、
該技術においても、特に溶融流動性向上のために低分子
量のPCを使用した場合などは耐衝撃性が低下しやす
く、タルク配合による耐衝撃性低下の抑制方法としては
不十分であった。したがって、これまでのPC/ABS
/リン系難燃剤組成物にタルクを配合する従来技術にお
いては、成形された肉厚1.2mm以下の極薄肉成形体
に、十分な溶融流動性、難燃性、剛性,及び耐衝撃性を
同時に付与することは非常に困難であった。
【0008】一方、最近では成形の際の金型汚染を低減
するためにPC/ABS/リン系難燃剤組成物に配合す
る難燃剤として、揮発成分が少ないオリゴマー系のリン
系難燃剤が注目されている。中でも耐熱性に優れたビス
フェノールAジホスフェート(BDP)型のオリゴマー
系リン化合物難燃剤は、PC/ABS/リン系難燃剤組
成物の金型汚染を低減し、且つ耐熱性を同時に改良でき
る難燃剤として使用されるようになってきている。
【0009】しかしながら、オリゴマー系のリン系難燃
剤は金型汚染を低減できる反面、トリフェニルフォスフ
ェート(TPP)に代表されるモノ系のリン化合物難燃
剤と較べると難燃性能が劣るという問題があった。した
がってPC/ABS/リン系難燃剤組成物のリン系難燃
剤としてオリゴマー系リン化合物を使用した場合、低金
型汚染性、及び耐熱性は満足するものの、該組成物で成
形した肉厚1.2mmの極薄肉成形体にUL94でのV
−0相当の高度な難燃レベルを付与することが困難であ
った。
【0010】上記に示すごとく、PC/ABS/リン系
難燃剤組成物において、肉厚1.2mm以下の極薄肉成
形体においても優れた耐衝撃性、溶融流動性、及び剛性
を有し、同時に優れた難燃性、低金型汚染性、及び耐熱
性を有するポリカーボネート系難燃樹脂組成物が強く望
まれているにもかかわらず、満足できる性能が得られて
いないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、肉厚
1.2mm以下の極薄肉成形体においても優れた耐衝撃
性、溶融流動性、及び剛性を有し、同時に優れた難燃
性、低金型汚染性、及び耐熱性を有するポリカーボネー
ト系難燃樹脂組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、極薄肉成
形体での剛性、難燃性、溶融流動性、及び耐衝撃性に優
れたPC/ABS/リン系難燃剤組成物を得る方法を鋭
意検討した結果、ポリカーボネート、有機リン化合物オ
リゴマー、及びタルクを特定の関係式の範囲内で配合す
ることにより難燃性が著しく向上し、尚かつ優れた剛
性、溶融流動性、及び耐衝撃性を有する樹脂組成物が得
られることを見出した。即ち、本発明者らは驚くべきこ
とに、PC/ABS/リン系難燃剤組成物にタルクを配
合する場合、PC配合量(X)、リン系難燃剤配合量
(Y)、及びタルク配合量(Z)が、下記式(1) X/Z≦−0.4303Y2+13.525Y−71.203 (1) を満たす範囲内で配合することにより、優れた剛性、溶
融流動性及び耐衝撃性を有し、尚かつオリゴマー系のリ
ン系難燃剤を用いた場合においても肉厚1.2mm以下
の極薄肉成形体で優れた難燃性が発現することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、 [1] 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜85
重量部、芳香族ビニル単量体単位(b−1)、およびシ
アン化ビニル単量体単位(b−2)を含む共重合体
(B)35〜0重量部、芳香族ビニル化合物(c−1)
とシアン化ビニル化合物(c−2)とをゴム状重合体
(c−3)の存在下で共重合して得られるシアナイド含
有グラフト共重合体(C)50〜15重量部、及び、以
下成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計10
0重量部に対して、少なくとも1種の有機リン化合物オ
リゴマー(D)5〜30重量部、及びタルク(E)0.
1〜20重量部、及び、以下成分(A)、成分(B)、
成分(C)、成分(D)、及び成分(E)の合計100
重量部に対して、フルオロポリマー(F)0.2〜0.
5重量部を含み、成分(A)、成分(D)、及び成分
(E)の配合量が(1)式で示される範囲にあり、1.
2mmの厚さにおいてUL−94垂直燃焼試験によるV
−0難燃性能を達成することができるポリカーボネート
系難燃樹脂組成物、 X/Z≦−0.4303Y2+13.525Y−71.203 (1) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
(E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦85。)
【0014】[2] 上記[1]記載の成分(A)、成
分(D)、及び成分(E)の配合量が(2)式で示され
る範囲にあり、1.2mmの厚さにおいてUL−94垂
直燃焼試験によるV−0難燃性能を達成することができ
る請求項1記載のポリカーボネート系難燃樹脂組成物、 X/Z≦−0.1819Y2+6.3861Y−34.778 (2) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
(E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦80。)
【0015】[3] 上記[1]記載の成分(A)、成
分(D)、及び成分(E)の配合量が(3)式で示され
る範囲にあり、1.2mmの厚さにおいてUL−94垂
直燃焼試験によるV−0難燃性能を達成することができ
る請求項1記載のポリカーボネート系難燃樹脂組成物、 X/Z≦−0.1778Y2+5.971Y−36.035 (3) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
(E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦75。) [4] 少なくとも1種の有機リン化合物オリゴマー
(D)が各々下記式(4):
【0016】
【化2】
【0017】で表される化合物群より選ばれることを特
徴とする上記[1]〜[3]記載のポリカーボネート系
難燃樹脂組成物、 [5] 上記[1]〜[4]に記載されたポリカーボネ
ート系樹脂組成物で成形された成形体であって、肉厚
1.2mm以下の部分を少なくとも1つ有する薄肉成形
体、である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明について、以下具体的に説
明する。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と
は、下記式(5)で表される繰り返し単位からなる主鎖
を有する。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、Arは、二価の芳香族基であり、
例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリ
ジレンや、下記式(6)で表されるものが挙げられ
る。)
【0021】
【化4】
【0022】(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリ
ーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフ
ェニレン、ピリジレン等の基を表し、Yは式(7)で表
されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0023】
【化5】
【0024】(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ
独立に水素原子、炭素数1〜6低級アルキル基、炭素数
5〜10シクロアルキル基、炭素数6−30アリール
基、炭素数7〜31アラルキル基であって、場合により
ハロゲン原子、炭素数1〜10アルコキシ基で置換され
ていてもよく、kは3〜11の整数であり、R5及びR6
は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に水素
原子、または炭素数1〜6低級アルキル基、炭素数6〜
30アリール基であって、場合によりハロゲン原子、炭
素数1〜10アルコキシ基で置換されていてもよく、X
は炭素原子を表す。) また、下記式(8)で示される二価の芳香族基を共重合
体成分として含有していても良い。
【0025】
【化6】
【0026】(式中、Ar1、Ar2は式(6)と同じ。
Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、
−SO2−、−CO2−、−CON(R1)−(R1は式
(7)と同じ)等の二価の基である。) これら二価の芳香族基の例としては、下記で表されるも
の等が挙げられる。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、
水素、ハロゲン、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1
〜10アルコキシ基、炭素数5〜10シクロアルキル基
または炭素数6〜30アリール基である。m及びnは1
〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ
同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場
合は各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっても良
い。) 中でも、下記式(9)で表されるものが好ましい一例で
ある。
【0030】
【化9】
【0031】特に、上記の式(9)で表されるものをA
rとする繰り返しユニットを85モル%以上(ポリカー
ボネート中の全モノマー単位を基準として)含むポリカ
ーボネートが特に好ましい。また、本発明に用いること
ができるポリカーボネートは、三価以上の芳香族基を分
岐点とする分岐構造を有していても良い。ポリマー末端
の分子構造は特に限定されないが、フェノール性水酸
基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基
から選ばれた1種以上の末端基を結合することができ
る。アリールカーボネート末端基は、下記式(10)で
表される。
【0032】
【化10】
【0033】(式中、Ar3は一価の芳香族基であり、
芳香環は置換されていても良い。) アリールカーボネート末端基の具体例としては、例え
ば、下記式で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化11】
【0035】アルキルカーボネート末端基は下記式(1
1)で表される。
【0036】
【化12】
【0037】(式中、R9は炭素数1〜20の直鎖もし
くは分岐アルキル基を表す。) アルキルカーボネート末端基の具体例としては、例えば
下記式で表されるものが挙げられる。
【0038】
【化13】
【0039】これらの中で、フェノール性水酸基、フェ
ニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネ
ート基、p−クミルフェニルカーボネート等が好ましく
用いられる。本発明において、フェノール性水酸基末端
と他の末端との比率は、特に限定されないが、優れた機
械的強度や耐熱安定性を得る観点からは、フェノール性
水酸基末端の比率が全末端基数の20%以上であること
が好ましく、20〜80%の範囲にあることが更に好ま
しい。フェノール性末端基の比率が全末端基数の80%
を超えると、溶融時の熱安定性が若干低下する傾向にあ
る。
【0040】フェノール性水酸基末端量の測定方法は、
一般にNMRを用いて測定する方法(NMR法)や、チ
タンを用いて測定する方法(チタン法)や、UVもしく
はIRを用いて測定する方法(UV法もしくはIR法)
で求めることができる。本発明に用いられるポリカーボ
ネート樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、一般に
5,000〜50,000の範囲にあることが好まし
く、より好ましくは10,000〜40,000であ
り、さらに好ましくは15,000〜30,000であ
り、特に好ましくは18,000〜25,000であ
る。5,000未満では耐衝撃性が不十分になる傾向が
あり、また、50,000を越えると、溶融流動性が不
十分になる傾向がある。
【0041】本発明において、ポリカーボネートの重量
平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、測定条
件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフラン
を溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポ
リスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲
線を用いて求められる。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレ
ンの分子量)
【0042】本発明の組成物における芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(A)は、公知の方法で製造したものを使用
することができる。具体的には、例えば、芳香族ジヒド
ロキシ化合物とカーボネート前駆体と反応せしめる公知
の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネ
ート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶
液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合
法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)など
を反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法ま
たは溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマー
を固相重合する方法(日本国特開平1−158033
(米国特許第4,948,871号に対応))、日本国
特開平1−271426、日本国特開平3−68627
(米国特許第5,204,377号に対応))等の方法
により製造されたものが用いられる。
【0043】好ましいポリカーボネート樹脂としては、
2価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジ
エステルとからエステル交換法にて製造された実質的に
塩素原子を含まないポリカーボネート樹脂があげられ
る。本発明では異なる構造や分子量の2種以上の異なる
ポリカーボネートを組み合わせて成分(A)として使用
することも可能である。本発明の組成物における成分
(A)の量は、成分(A)、成分(B)、及び成分
(C)の合計100重量部に対し、50〜85重量部、
好ましくは60〜85重量部、さらに好ましくは65〜
85重量部、最も好ましいのは70〜85重量部であ
る。成分(A)が50重量部未満であると耐熱性と薄肉
成形体での難燃性を満足することが困難となり、一方、
85重量部を超えると溶融流動性を満足することが困難
となり好ましくない。
【0044】本発明で用いられる成分(B)とは、芳香
族ビニル単量体単位(b−1)、及びシアン化ビニル単
量体単位(b−2)とを含む共重合体であり、尚かつ、
ゴム状重合体を含まないビニル系重合体である。成分
(B)中の芳香族ビニル単量体単位(b−1)として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチ
ルスチレン、ビニルキシレン、p−ターシャリーブチル
スチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げ
ることができ、これらを1種または2種以上使用する。
好ましくはスチレン、α−メチルスチレンであり、最も
好ましいのはスチレンである。
【0045】成分(B)中のシアン化ビニル単量体単位
(b−2)としては、例えばアクリロニトリル、メタク
リロニトリル等を挙げることができ、これらを1種また
は2種以上使用する。この中で好ましいのはアクリロニ
トリルである。成分(B)中の(b−1)/(b−2)
の組成比は特に限定されないが、(b−1)と(b−
2)の合計100重量部に対して、好ましくは(b−
1)が95〜50wt%、(b−2)が5〜50wt%
であり、より好ましくは、(b−1)が90〜60wt
%、(b−2)が10〜40wt%であり、更に好まし
くは(b−1)が85〜65wt%、(b−2)が15
〜35wt%である。
【0046】また、成分(B)では本発明の趣旨を妨げ
ない範囲で、上記の成分(b−1)及び成分(b−2)
の他にこれらの成分と共重合可能な単量体を使用するこ
とができる。そのような共重合可能な単量体としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)ア
クリレート単量体、アクリル酸、メタクリル酸などの
(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不
飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイ
ミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジ
ル基含有単量体が挙げられる。これらの単量体は、本発
明の趣旨を妨げない範囲で、1種あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0047】成分(B)の好ましい例として、スチレン
・アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)やブチルア
クリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂
(BAAS)等を挙げることができる。この中でBAA
Sは樹脂組成物の耐衝撃性、及び流動性を改良する上で
好ましく、特に上記BAASは成分(B)中にブチルア
クリレート単量体成分を2〜20wt%含むことが好ま
しい。成分(B)の製造方法としては、バルク重合、溶
液重合、懸濁重合、乳化重合など通常公知の製造方法を
挙げることができる。
【0048】成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、
通常、20,000〜200,000の範囲である。好
ましくは60,000〜180,000であり、さらに
好ましくは70,000〜150,000であり、特に
好ましくは80,000〜140,000、最も好まし
いのは80,000〜120,000である。20,0
00未満では耐衝撃性を維持することが困難となり、ま
た、200,000を越えると、高流動の組成物を得る
ことが困難となる。
【0049】成分(B)の割合は、成分(A)、成分
(B)、及び成分(C)の合計100重量部に対し、3
5重量部〜0重量部であり、好ましくは30〜0重量
部、さらに好ましくは25〜0重量部、特に好ましいの
は20〜0重量部、最も好ましいのは15〜0重量部で
ある。配合量が35重量部を超えると樹脂組成物の耐熱
性、耐衝撃性、難燃性を維持することが困難となるため
好ましくない。また成分(B)は異なる構造や分子量の
2種以上の成分(B)を組み合わせて使用することも可
能である。
【0050】また、成分(B)は本発明の趣旨を達成す
るための必須成分ではないが、配合することにより流動
性を向上することができるので必要に応じて配合するこ
とが好ましい。特に、成分(C)100重量部に対して
ゴム状重合体(c−3)が30wt%以上である成分
(C)や、必要に応じて配合する下記記載の成分(G)
100重量部に対してゴム状ブタジエン重合体(g−
3)が70wt%以上である成分(G)を用いる場合に
おいては、流動性向上効果が著しいため配合することが
好ましい。
【0051】成分(C)とは、芳香族ビニル化合物(c
−1)とシアン化ビニル化合物(c−2)とをゴム状重
合体(c−3)の存在下で共重合して得られるシアナイ
ド含有グラフト共重合体である。ゴム状重合体(c−
3)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれ
ば用いることができ、好ましくはガラス転移温度が−1
0℃以下のゴム状重合体であり、更に好ましくはガラス
転移温度が−30℃以下、最も好ましいのはガラス転移
温度が−50℃以下ののゴム状重合体である。
【0052】成分(c−3)としてのゴム状重合体の具
体的例としては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエ
ン共重合ゴム、ブタジエン・アクリル酸ブチル共重合ゴ
ム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム等のジエ
ン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、
シリコン・アクリル複合ゴム、ポリイソプレン、ポリク
ロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プ
ロピレン・ジエン三元共重合ゴム、スチレン・ブタジエ
ンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック
共重合ゴム等のブロック共重合体、およびそれらの水素
添加物等を使用することができる。これらの重合体の中
で、好ましくは、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエ
ン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴ
ム、ポリアクリル酸ブチル等が挙げられ、最も好ましい
のはポリブタジエンである。
【0053】成分(c−3)の平均粒径は0.1〜1.
5μmが好ましく、より好ましくは0.15〜1.0μ
m、更に好ましくは0.2〜0.8μmであり、最も好
ましいのは0.25〜0.7μmである。0.1μm未
満であったり、1.5μmを超えたりすると、樹脂組成
物の耐衝撃性を維持することが困難となるため好ましく
ない。成分(C)中のゴム状重合体(c−3)の割合は
本発明の趣旨に反しない範囲で用いられ、必要とする難
燃性、機械的強度、剛性、成形加工性に応じて決められ
る。好ましい範囲としては成分(C)100重量部に対
して5〜80wt%であり、より好ましくは7〜70w
t%、更に好ましくは8〜60wt%、特に好ましいの
は9〜50wt%、最も好ましいのは10〜40wt%
である。成分(c−3)が多くなりすぎると表面外観が
低下することがあり好ましくはなく、また少なすぎると
樹脂組成物の耐衝撃性を維持することが困難となり好ま
しくない。
【0054】成分(C)に使用される芳香族ビニル化合
物(c−1)としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、ビニルキシレン、p−ターシ
ャリーブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタ
レン等が挙げられる。この中で特にスチレンが好まし
い。成分(C)に使用されるシアン化ビニル化合物(c
−2)としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等を挙げることができ、これらを1種または2
種以上使用する。この中で好ましいのはアクリロニトリ
ルである。
【0055】成分(C)中の(c−1)/(c−2)の
組成比は特に限定されないが、好ましくは(c−1)と
(c−2)の合計100重量部に対して(c−1)が9
5〜50wt%、(c−2)が5〜50wt%であり、
より好ましくは、(c−1)が90〜60wt%、(c
−2)が10〜40wt%、更に好ましくは(c−1)
が85〜65wt%、(c−2)が15〜35wt%で
ある。
【0056】また、成分(C)では本発明の趣旨を妨げ
ない範囲で、上記の成分(c−1)及び成分(c−2)
の他にこれらの成分と共重合可能な単量体を使用するこ
とができる。そのような共重合可能な単量体としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)ア
クリレート単量体、アクリル酸、メタクリル酸などの
(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不
飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイ
ミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジ
ル基含有単量体が挙げられる。これらの単量体は、本発
明の趣旨を妨げない範囲で、1種あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0057】成分(C)の好ましい例として、ABS樹
脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、
AAS樹脂(アクリロニトリル・ブチルアクリレート・
スチレン樹脂)等が挙げられる。この中で好ましいのは
ABS樹脂である。成分(C)の製造方法としては、バ
ルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など通常公知
の製造方法を挙げることができる。中でも、バルク重
合、あるいは溶液重合により製造された成分(C)は、
乳化剤、塩析剤を使用せずに成分(C)を得ることが出
来るために、乳化剤、塩析剤に由来する酸あるいは金属
塩を成分(C)中に実質的に含まないので、成分(C)
として特に好適に使用できる。
【0058】本発明で用いられる成分(D)は、少なく
とも1種の有機リン化合物であり、リン原子をその構造
内に2つ以上有する化合物である有機リン化合物オリゴ
マーである。本発明に用いられる有機リン化合物オリゴ
マーの特に好ましい例としては、下記式(12)で表さ
れる化合物群より選ばれるものを挙げることができる。
【0059】
【化14】
【0060】上記式(12)における置換基Ra、Rb
c、Rdは、それぞれ独立的に炭素数6〜12のアリー
ル基を示し、その1つ以上の水素原子が置換されていて
もいなくてもよい。その一つ以上の水素原子が置換され
ている場合、置換基としては炭素数1〜30のアルキル
基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリー
ル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化
アリール基等が挙げられ、またこれらの置換基を組み合
わせた基(例えばアリールアルコキシアルキル基等)ま
たはこれらの置換基を酸素原子、硫黄原子、窒素原子等
により結合して組み合わせた基(例えば、アリールスル
ホニルアリール基等)を置換基として用いてもよい。
【0061】置換基Ra、Rb、Rc、Rdとして特に好ま
しいアリール基は、フェニル基、クレジル基、キシリル
基、プロピルフェニル基、およびブチルフェニル基であ
る。上記式(12)の化合物における置換基Ra、Rb
c、Rdがアルキル基やシクロアルキル基であると、一
般に熱安定性が不十分であり、溶融混練の際に分解が起
こりやすいので好ましくない。有機リン化合物の例とし
ての化合物群を表す上記式(12)におけるXは、2価
のフェノール類より誘導される芳香族基であり、カテコ
ール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチ
ルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノー
ルF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(3,5ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン
等から誘導される芳香族基を挙げることができるが、本
発明では特に式(4)
【0062】
【化15】
【0063】で表される、Xがジフェニロールジメチル
メタン基(ビスフェノールAより誘導される芳香族基)
であるオリゴマー系有機リン化合物を使用することによ
り、耐加水分解性が向上し、樹脂組成物の滞留安定性を
向上させ、さらに成形の際に金型表面に付着するモール
ドデポジット(MD)の発生を低減し金型汚染性を向上
できるので好ましい。式(4)、及び式(12)で表さ
れる有機リン化合物オリゴマーは、通常、式(4)、及
び式(12)において異なるnの値(nは自然数)を有
する複数の異なる有機リン化合物オリゴマーの混合物と
して使用される場合が多い。この際、複数の異なる有機
リン化合物オリゴマーの重量平均縮合度(N)が1〜
1.2未満であることが好ましい。Nはゲル・パーミエ
ーション・クロマトグラフィーあるいは液体クロマトグ
ラフィーにより異なるnを有するそれぞれの成分の重量
分率(An)を求め、nの重量平均、 N=Σ(n・
n)/Σ(An)により算出される。
【0064】ここで、Anを求めるために、検出器とし
て、UV検出器、あるいはRI検出器が通常使用され
る。ただし、Nの計算において、上記式(4)、及び式
(12)におけるnが0である構造のものが、併用ある
いは含まれる場合(すなわち1分子中のリン原子が1つ
のみである有機リン化合物を用いる、あるいは含まれる
場合)は、nが0の化合物はNの計算から除外する。重
量平均縮合度Nは、通常1以上5以下であり、1以上2
以下が好ましく、1以上1.5以下が更に好ましく、1
以上1.2未満が特に好ましい。Nが小さいほど樹脂と
の相溶性に優れ、溶融流動性に優れ、かつ難燃性が高
い。特に、N=1の化合物は樹脂組成物における難燃性
と溶融流動性のバランスが特に優れる。
【0065】有機リン化合物として式(4)、及び式
(12)の化合物のNが5以上である場合は、該化合物
の粘度が大きくなり、特に高せん断速度領域での溶融流
動性が低下する傾向にあり、また、難燃性が低下する傾
向があるため好ましくない。さらに、本発明で用いられ
る有機リン化合物は、その酸価が0.1mgKOH/g
以下であることが好ましく、より好ましくは0.05m
gKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.01m
gKOH/g以下である。酸価が低い有機リン化合物を
使用することにより、温度60℃以上、且つ相対湿度8
5%以上のような高温高湿下における耐湿熱性に優れた
ポリカーボネート系難燃樹脂組成物を得ることができ
る。
【0066】また、上記一般式(4)で表される有機リ
ン化合物は、米国特許第2,520,090号公報、特
公昭62−25706号公報、特開昭63−22763
2号公報等に記載されている方法により、塩化マグネシ
ウムや塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒の存在下に
オキシ塩化リンとビスフェノールA及び一価フェノール
類を反応させて合成し、その後、粗有機リン化合物を洗
浄精製、乾燥することにより製品とすることができる
が、本発明に使用される有機リン化合物では、有機リン
化合物中に含まれる主に触媒由来のマグネシウム、アル
ミニウムや、洗浄精製にアルカリ、アルカリ土類などの
金属イオンを含む水溶液を用いる場合において導入され
る可能性があるナトリウム、カリウム、カルシウム等の
金属分の総量が、好ましくは30ppm以下、より好ま
しくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以
下、特に好ましくは5ppm以下であることが、温度6
0℃以上、且つ相対湿度85%以上のような高温高湿下
における耐湿熱性により優れたポリカーボネート系難燃
樹脂組成物を得る上で望ましい。
【0067】さらに、有機リン化合物中に含まれる塩素
濃分は、好ましくは20ppm以下、より好ましくは1
0ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、特に好ま
しくは1ppm以下であることが、温度60℃以上、且
つ相対湿度85%以上のような高温高湿下における耐湿
熱性により優れたポリカーボネート系難燃樹脂組成物を
得る上で望ましい。本発明の組成物における成分(D)
の量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合
計100重量部に対し、5〜30重量部、好ましくは7
〜20重量部、さらに好ましくは9〜16重量部、最も
好ましいのは10〜15重量部である。成分(D)が5
重量部未満では薄肉成形体での難燃性、及び流動性が不
十分となり好ましくなく、一方、30重量部を超えると
樹脂組成物の耐衝撃性が不足するため好ましくない。
【0068】本発明で用いられる成分(E)とはタルク
であり、PC/ABS/リン系難燃剤組成物の難燃性や
剛性の向上を目的として使用される。タルクとは一般的
には含水ケイ酸塩であり、層状構造をもった層状ケイ酸
塩である。層構造は電気的にほぼ中性であって、層間物
質をもたない構造となっている。化学式ではMg3Si4
10(OH)2で表されMgO層はSiO2層に挟まれて
存在しており、この両者間に(OH)基が存在し、Mg
O層とSiO2層とはOを共有することにより、化学的
に強く結合した3層板状構造を有するものである。主成
分はMgO、SiO2であるが、タルクの原料となる原
石により化学成分に若干の差異があり、少量のFe2+
Ni、Alなどを含むことがある。本発明においては異
なる原石から製造された化学成分が若干異なるタルクを
それぞれ単独、または混合して使用することもできる。
また、タルクは粉砕方法や分級方法によりさまざまな粉
体特性を有し、例えば平均粒径、粒径分布、白色度、嵩
比容積、比表面積、水分、及び吸油量が異なる粉体とす
ることができる。そのため樹脂組成物に配合した場合、
それぞれの粉体特性が樹脂組成物の物性に影響を与える
ことがあり、特に本発明においてはタルクの平均粒径、
及び粒径分布が樹脂組成物の難燃性に影響するため、タ
ルク種を選択する場合は注意を要する。
【0069】本発明で好ましく用いられる成分(E)と
しては、平均粒径が1〜50μmであり、且つ粒子径が
7μm以上の粒子が成分(E)粒子全体の1〜80%で
ある。より好ましい平均粒径は1〜20μm、さらに好
ましくは1〜10μmである。1μm未満であると薄肉
難燃性が低下するため好ましくなく、50μmを超える
と耐衝撃性が低下するため好ましくない。7μm以上の
粒子の割合で好ましいのは3〜75%であり、より好ま
しくはは5〜70%、更に好ましくは10〜60%であ
る。1%未満では難燃性が低下するため好ましくなく、
80%を超えると耐衝撃性を維持することが困難となる
ため好ましくない。
【0070】本発明では、成分(E)は異なる平均粒
径、及び粒子径が7μm以上の粒子の割合が異なるタル
クを混合し、平均粒径が1〜50μmであり、且つ粒子
径が7μm以上の粒子が成分(E)粒子全体の1〜80
%である範囲に調製して使用することもできる。具体的
には比較的均一粒径よりなる単分散タルクと比較的広い
粒径範囲にある多分散タルクを単独、または混合して平
均粒径が1〜50μmであり、且つ粒子径が7μm以上
の粒子が成分(E)粒子全体の1〜80%である範囲に
調製して使用することもできる。したがって本発明で使
用される成分(E)の粒径分布幅は特に限定されず、平
均粒径が1〜50μmであり、且つ粒子径が7μm以上
の粒子が成分(E)粒子全体の1〜80%であれば、使
用することができる。
【0071】本発明における成分(E)は表面改質され
ていないものを使用したり、場合によっては樹脂との相
溶性を向上させるために表面改質されているものを使用
してもよく、使用方法はそれぞれ単独、または混合して
もよい。ここでいう表面改質とはあらかじめ親油性の有
機化合物を吸着させたり、シランカップリング剤を表面
に塗布したりして、樹脂との親和性を向上させる方法を
意味する。本発明における成分(E)の粒径分布測定方
法はふるい分け法、顕微鏡法、コールタ・カウンタ法、
沈降法、吸着法、透過法、レーザー回析法等があるが、
本発明においては島津製作所社製SALD−2000を
使用し、レーザー回析法により平均粒径、及び粒径分布
を測定し、粒子径が7μm以上の粒子が成分(E)粒子
全体に含まれる割合を測定した。また成分(E)の平均
粒径の定義もメディアン径、モード径、算術平均径、重
量平均径等があるが、本発明における平均粒子径はメデ
ィアン径に相当する。
【0072】本発明における成分(E)の白色度はJI
S・P8123に準拠した測定方法で実施し、東洋精機
製作所社製デジタルハンターSTにより測定した。本発
明に用いる成分(E)の白色度は特に限定されないが、
86%以上であることが好ましく、より好ましくは90
%以上、更に好ましくは94%以上が好ましい。本発明
に用いる成分(E)の比表面積は特に限定されないが
0.5〜40m2/gの範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは1〜35m2/gの範囲であることが好ま
しい。本発明における成分(E)の比表面積は気相吸着
法によるBET法で測定し、島津製作所社製フローソー
プ2300を使用して測定した。
【0073】本発明に用いる成分(E)の水分は特に限
定されないが0.1〜1%の範囲であることが好まし
く、より好ましくは0.2〜0.9%の範囲であること
が好ましい。本発明における成分(E)の水分はJIS
・K5101に準拠した測定方法で実施し、島津製作所
社製STAC−5100を使用して測定した。本発明に
用いる成分(E)の吸油量は特に限定されないが20〜
70ml/100gの範囲であることが好ましく、より
好ましくは30〜70ml/100g、更に好ましくは
40〜65ml/100gであることが好ましい。本発
明における成分(E)の吸油量はJIS・K5101に
準拠した測定方法で実施した。
【0074】本発明に用いる成分(E)の嵩比容積は特
に限定されないが1〜5ml/gの範囲が好ましく、よ
り好ましくは1〜3ml/gの範囲、更に好ましくは
1.5〜2.5ml/gの範囲であることが好ましい。
本発明における成分(E)の嵩比容積はJIS・K51
01に準拠した測定方法で実施した。本発明における成
分(E)の使用量は、成分(A)、成分(B)、及び成
分(C)の合計100重量部に対して、成分(E)の総
量として、0.1〜20重量部の範囲であり、好ましく
は1〜17重量部、より好ましくは3〜15重量部、更
に好ましくは5〜12重量部である。成分(E)が0.
1重量部未満であると組成物の難燃性、剛性を維持する
ことが困難となり好ましくない。一方、成分(E)の使
用量が20重量部を超えると、組成物の耐衝撃性を維持
することが困難となり好ましくない。
【0075】本発明にかかわるポリカーボネート系難燃
樹脂組成物中の成分(E)の含有量は、ポリカーボネー
ト系難燃樹脂組成物を400℃以上の高温で燃焼焼結
後、その残嵯を測定して定量することができる。または
ポリカーボネート系難燃樹脂組成物中のMg、Si等の
元素含量を蛍光X線により定量して、成分(E)の含有
量を求めることもできる。また本発明においては、成分
(E)のタルクの替わりに含水シリカ−アルミナカオリ
ンを高温度で焼成したクレーや、モンモリロナイトを主
成分とするベントナイト、及び珪酸(SiO2)を主成
分とする珪藻土などを用いた場合は、本発明の趣旨を損
なうことがあり、好ましくない。
【0076】本発明で用いられる成分(F)とはフルオ
ロポリマーであり、樹脂組成物の燃焼物の滴下を防止す
る目的で使用する。詳しくは、本発明では樹脂組成物中
においてフィブリル形成能力を有するフルオロポリマー
を使用する事が好ましく、例えばファインパウダー状の
フルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパー
ジョン、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合
物等のフルオロポリマーを使用することが好ましい。
【0077】更に詳しくは、本発明ではフルオロポリマ
ーの水性ディスパージョンを好適に使用する事が好まし
く、該フルオロポリマーの水性ディスパージョンとは、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
・プロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレンポリ
マー、ポリテトラフルオロエチレン以外のパーフルオロ
アルカンポリマー、好ましくはテトラフルオロエチレン
ポリマー、特に好ましくはポリテトラフルオロエチレン
が、例えば、「ふっ素樹脂ハンドブック」(日刊工業新
聞社 1990年刊)に記載のように、懸濁重合または
乳化重合で製造され、さらに、水性ディスパージョンの
形態として使用されるものを示す。
【0078】すなわち、本発明で好適に使用されるフル
オロポリマーの水性ディスパージョンとは、懸濁重合ま
たは乳化重合によって得られるフルオロポリマー微粒子
の分散液を40〜70wt%の濃度に濃縮した後、界面
活性剤により安定化した乳白色状の水性ディスパージョ
ンを示す。フルオロポリマーの水性ディスパージョンに
おけるフルオロポリマーの濃度は分散状態が安定する濃
度であれば水で希釈することも可能であるが、5〜70
wt%が好ましく、更に好ましくは20〜65wt%、
特に好ましくは30〜60wt%である。
【0079】また、水性ディスパージョン中のフルオロ
ポリマーの平均一次粒子径は0.01〜0.60μmが
好ましく、更に好ましくは0.1〜0.40μmであ
り、特に好ましくは0.18〜0.30μmである。ま
た、該フルオロポリマーの水性ディスパージョンを安定
化させる界面活性剤としては、エトキシ化アルキルフェ
ノール、エトキシ化高級アルコール等のノニオン系の界
面活性剤が好ましく使用され、通常、その配合量は1〜
15wt%であり、好ましくは2〜10wt%、更に好
ましくは3〜7wt%である。
【0080】さらに、該フルオロポリマーの水性ディス
パージョンはそのpH値が通常9〜10に調整されてい
るものが好ましく使用される。また、フルオロポリマー
の濃度が60wt%である場合、該水性ディスパージョ
ンの液比重は約1.5であり、粘度(25℃)は15〜
30cpの範囲にある。本発明において好ましく使用で
きるフルオロポリマーの水性ディスパージョンとして、
三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン(登録
商標)30J」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンD
−1」、「ポリフロンD−2」、「ポリフロンD−2
C」、「ポリフロンD−2CE」を例示することができ
る。
【0081】さらに本発明では、フルオロポリマーとし
て、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物と
したフルオロポリマーも好適に使用することができる。
これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリ
マーに関する技術は、特開平9−95583号公報、特
開平11−49912号公報、特開2000−1439
66号公報、特開2000−297189号公報等に開
示されている。本発明において好ましく使用できる、こ
れら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマ
ーとして、GEスペシャリティケミカルズ社製「Ble
ndex 449」、三菱レーヨン(株)製「メタブレ
ンA−3000」を例示することができる。
【0082】本発明におけるフルオロポリマーの配合量
は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分
(D)、及び成分(E)の合計100重量部に対して
0.2〜0.5重量部の範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは0.25〜0.5重量部、さらに好ましく
は0.3〜0.45重量部、最も好ましいのは0.35
〜0.45重量部である。ここでいうフルオロポリマー
の配合量とは、フルオロポリマーの水性ディスパージョ
ンを使用する場合は、水性ディスパージョン中のフルオ
ロポリマー固形分量である。
【0083】ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状
混合物を使用する場合は、第2の樹脂を除いたフルオロ
ポリマー量である。フルオロポリマーの配合量は0.2
重量部未満の場合は、樹脂組成物の燃焼時の滴下防止効
果が不十分となり好ましくなく、特に薄肉成形体におい
て高い難燃性を維持するのが困難となるため好ましくな
い。また、フルオロポリマーの配合量が0.5重量部を
超える場合は、溶融流動性や耐衝撃性が低下する傾向に
あり好ましくない。
【0084】本発明におけるV−0難燃性能とは、UL
(Underwriter Laboratories
Inc.)耐炎性試験規格に規定されたUL94 V
−0垂直燃焼試験を満足する難燃性能を意味する。また
1.2mmの厚さとは試験片の平均厚みが1.20〜
1.29mmの範囲を意味する。本発明に関わるポリカ
ーボネート系樹脂組成物で成形された成形体とは、肉厚
1.2mm以下の部分を少なくとも1つ有する薄肉成形
体である。肉厚とは、その部分の肉厚方向に直角に延び
る2つの対向する表面を有し、該肉厚は該対向する表面
の間の距離として定義される。またガスアシスト成形や
樹脂組成物に発泡剤を配合した場合等、成形体に中空部
分を有する場合においては、本発明における肉厚とは中
空部分を含めた肉厚を意味する。
【0085】本発明のポリカーボネート系難燃樹脂組成
物からなる成形品を得るための成形方法は特に限定され
ないが、例えば、射出成形、ガスアシスト成形、押出成
形、圧縮成形等が挙げられるが、中でも射出成形が好ま
しく使用される。本発明のポリカーボネート系難燃樹脂
組成物を用いた成形品の例としては、モニター、ノート
型パソコン、コピー機、プリンター等のOA機器筐体、
OA機器シャーシ、携帯電話のハウジング等が挙げられ
る。
【0086】また本発明では必要に応じて、芳香族ビニ
ル化合物(g−1)とアルキル(メタ)アクリレート
(g−2)とをゴム状ブタジエン重合体(g−3)の存
在下で共重合して得られる(メタ)アクリレート含有グ
ラフト共重合体(G)を配合することが好ましい。ゴム
状ブタジエン重合体(g−3)としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものであれば用いることができ、好まし
くはガラス転移温度が−10℃以下のゴム状ブタジエン
重合体、より好ましくはガラス転移温度が−30℃以下
のゴム状ブタジエン重合体、更に好ましいのはガラス転
移温度が−50℃以下のゴム状ブタジエン重合体、最も
好ましいのはガラス転移温度が−80℃以下のゴム状ブ
タジエン重合体である。
【0087】成分(g−3)の具体的例としては、ポリ
ブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジ
エン・アクリル酸ブチル共重合ゴム、アクリロニトリル
・ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、およびそれ
らの水素添加物等を挙げることができる。これらゴム状
ブタジエン重合体の中でポリブタジエン、スチレン・ブ
タジエン共重合ゴム、ブタジエン・アクリル酸ブチル共
重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム等
のジエン系ゴムが好ましく、最も好ましいのはガラス転
移温度が−80℃以下のポリブタジエンである。また本
発明においてはガラス転移温度が−50〜−60℃の範
囲にあるスチレン・ブタジエンブロック共重合ゴムは耐
衝撃性の改善効果が満足されるものではないため好適で
はない。
【0088】成分(G)中のゴム状ブタジエン重合体
(g−3)の割合は、成分(G)100重量部に対して
1〜95wt%の範囲で用いられるが、必要とする難燃
性、機械的強度、剛性、成形加工性に応じて決められ
る。好ましくは、10〜95wt%であり、より好まし
くは30〜95wt%、更に好ましくは50〜90wt
%、最も好ましいのは70〜90wt%である。成分
(g−3)の割合は、成分(c−3)の割合が多くない
成分(C)を用いた場合、具体的には成分(C)100
重量部に対して成分(c−3)の割合が30wt%以下
の範囲にある成分(C)を用いる場合においては、特に
成分(G)100重量部に対して成分(g−3)が70
〜90wt%の範囲にある成分(G)を用いることが好
ましい。
【0089】成分(G)に使用される芳香族ビニル化合
物(g−1)としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、ビニルキシレン、p−ターシ
ャリーブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタ
レン等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができ、特にスチレンが好まし
い。成分(G)に使用されるアルキル(メタ)アクリレ
ート(g−2)としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレ
ートなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を
組み合わせて用いることができ、特にメチル(メタ)ク
リレートが好ましい。
【0090】成分(G)中の(g−1)/(g−2)の
組成比は特に限定されないが、好ましくは成分(g−
1)と成分(g−2)の合計100重量部に対して(g
−1)が0.1〜80wt%、(g−2)が99.9〜
20wt%であり、更に好ましくは、(g−1)が10
〜75wt%、(g−2)が90〜25wt%であり、
更に好ましくは(g−1)が20〜70wt%、(g−
2)が80〜30wt%、最も好ましいのは(g−1)
が35〜65wt%、(g−2)が65〜35wt%で
ある。成分(g−1)が0.1wt%未満、特に0wt
%である場合は樹脂組成物の耐衝撃性、及び難燃性を維
持することが困難となるため好ましくない。また成分
(g−2)が20wt%未満、特に0wt%であると樹
脂組成物との相溶性が低下し、樹脂組成物の耐衝撃性を
維持することが困難となるため好ましくない。
【0091】また、成分(G)では本発明の趣旨を妨げ
ない範囲で、上記の成分(g−1)及び成分(g−2)
の他にこれらの成分と共重合可能な単量体を使用するこ
とができる。そのような共重合可能な単量体としては、
アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸
類、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N
−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シ
クロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリ
シジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙
げられる。これらの単量体は、本発明の趣旨を妨げない
範囲で、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。
【0092】本発明における好適な成分(G)の具体例
として、成分(g−1)がスチレン、成分(g−2)が
メチル(メタ)クリレート、成分(g−3)がポリブタ
ジエンであるMBS樹脂(メチル(メタ)クリレート・
ブタジエン・スチレン樹脂)等が挙げられる。成分
(G)の製造方法としては、バルク重合、溶液重合、懸
濁重合、乳化重合など通常公知の製造方法を挙げること
ができる。
【0093】本発明では成分(C)と成分(G)とを併
用することにより、優れた耐衝撃性、溶融流動性、難燃
性、剛性を同時に兼ね備えた樹脂組成物を得ることがで
きる。特に、成分(c−3)の割合が多くない成分
(C)を用いた場合、具体的には成分(C)100重量
部に対して成分(c−3)の割合が30wt%以下の範
囲にある成分(C)と、成分(G)としてMBSを併用
した場合は、本発明の趣旨を満足するのに好適である。
このようなMBSの具体例としては、日本国三菱レーヨ
ン(株)より製造されている「メタブレン C−223
A」および「メタブレン C−323A」、日本国鐘淵
化学工業(株)より製造されている「カネエース M−
511」および「カネエース B−564」、日本国呉
羽化学工業(株)「クレハBTA751」、台湾国台湾
プラスチック社より製造されている「M−51]等を挙
げることができる。
【0094】また、本発明のポリカーボネート系難燃樹
脂組成物では、必要に応じて樹脂組成物の改質を行う目
的で、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭
酸カルシウム、雲母などの無機フィラーや炭素繊維、木
炭等の強化材、あるいはその他の熱可塑性樹脂を添加す
ることもできる。さらに、本発明のポリカーボネート系
難燃樹脂組成物では、本発明の趣旨を損なわない範囲内
で必要に応じて離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、エポキシ化合物、帯電防止剤等を添加すること
ができる。本発明では、これらの離型剤、熱安定剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化合物、帯電防止剤
等の総量が樹脂組成物100重量部に対して0〜5,0
00重量ppmの範囲であることが好ましい。5,00
0重量ppmを超えると本発明の趣旨を損なう可能性が
あり好ましくない。
【0095】本発明にかかわるポリカーボネート系難燃
樹脂組成物の原料である成分(A)、成分(B)、及び
成分(C)中の離型剤、熱安定剤、酸化防止剤の含有量
は、良溶媒/貧溶媒の組み合わせにより、同成分を分離
あるいは抽出して、プロトンNMR法、GC/MS法、
LC/MS法等の分析手法を組み合わせて定量すること
が可能である。また本発明にかかわるポリカーボネート
系難燃樹脂組成物中の離型剤、熱安定剤、酸化防止剤の
含有量も同様の手法により定量可能である。
【0096】次に、本発明のポリカーボネート系難燃樹
脂組成物の製造方法について説明する。本発明の樹脂組
成物は前記の各成分(A)〜(F)、必要に応じて成分
(G)、及びその他の成分を本明細書記載の組成割合で
配合し、押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練する
ことにより得ることが出来る。このときの各構成成分の
配合及び溶融混練は一般に使用されている装置、例え
ば、タンブラー、リボンブレンダー等の予備混合装置、
単軸押出機や二軸押出機、コニーダー等の溶融混練装置
を使用することが出来る。また、溶融混練装置への原材
料の供給は、予め各成分を混合した後に供給することも
可能であるが、それぞれの成分を独立して溶融混練装置
に供給することも可能である。
【0097】溶融混練装置として通常は押出機、好まし
くは2軸押出機が使用されるが、成分(D)が液状であ
る場合は、成分(D)をギアポンプあるいはプランジャ
ーポンプ等使用して押出機に直接フィードして溶融混練
を行うことも可能であり、一般に該方法が製造方法とし
て好ましい。また、樹脂組成物の燃焼時の滴下防止剤と
してフルオロポリマーの水性ディスパージョンを使用す
る場合は、フルオロポリマーの水性ディスパージョンを
予め他の原材料と混合してから押出機にフィードするこ
とも可能であるが、押出機に直接フィードして溶融混練
を行うこともできる。
【0098】溶融混練は通常、押出機のシリンダー設定
温度を200〜300℃、好ましくは220〜270℃
とし、押出機スクリュー回転数100〜700rpm、
好ましくは200〜500rpmの範囲で適宜選択して
行うことができるが、溶融混練に際し、過剰の発熱を与
えないように配慮する。さらに、押出機の後段部分に開
口部を設けたり、必要に応じて減圧脱揮を行うことも有
効である。また、原料樹脂の押出機内滞留時間は通常、
10〜60秒の範囲で適宜選択されるが、本発明のポリ
カーボネート系難燃樹脂組成物の製造では原料樹脂の押
出機内滞留時間を短時間とするほど、機械的特性、及び
耐湿熱性に優れた樹脂組成物が得られるので好ましい。
【0099】予め成分(A)〜(F)、必要に応じて成
分(G)からなる未着色のポリカーボネート系難燃性樹
脂組成物のペレットを溶融混練により製造し、しかる後
に該ペレットと着色剤を混合して、単軸または2軸の押
出機により溶融混練して着色したポリカーボネート系難
燃樹脂組成物を得る方法においては、着色剤の分散性や
着色均一性を向上させるために、着色剤分散剤や着色剤
展着剤としての成分を使用することも可能であるが、本
発明では、これらの着色剤分散剤や着色剤展着剤を含め
た成分の総量が着色したポリカーボネート系難燃樹脂組
成物に対して0〜3,000重量ppmの範囲であるこ
とが好ましい。この場合、溶融混練装置として2軸の押
出機を使用すると、着色剤分散剤や着色剤展着剤の使用
量を低減でき、あるいはこれらを使用せずとも着色剤を
樹脂組成物中に良好に分散できるので、好ましい。
【0100】また、二軸押出機の使用は着色したポリカ
ーボネート系難燃樹脂組成物の着色均一性を向上できる
上でも好ましい。単軸押出機を使用する場合は、混練分
散機能を強化したスクリュー構成を有する、例えば3〜
6段のダルメージスクリューパーツを有する、単軸押出
機を使用するのが好ましい。また成分(F)のフルオロ
ポリマーを配合する場合、成分(A)〜(E)、必要に
応じて成分(G)と同時に押し出し機にフィードする場
合と、成分(A)〜(E)、必要に応じて(G)からな
る未着色のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物のペレ
ットを着色する際にフィードする場合があるが、好まし
くは成分(A)〜(E)、必要に応じて成分(G)と同
時に押し出し機にフィードする方法が本発明には好適で
ある。
【0101】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。実施例あるいは比較例においては、以
下の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、
(F)、及び(G)を使用し、ポリカーボネート系難燃
樹脂組成物を製造した。 1.成分(A) (PC)ビスフェノールAとジフェニルカーボネートか
ら、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノ
ールA系ポリカーボネートであり、重量平均分子量(M
w)=21,500 フェノール性末端基比率(フェノール性末端基が全末端
基数に占める割合)=38モル%
【0102】2.成分(B) (SAN)溶液重合法によって得られた、アクリロニト
リル単位25wt%、スチレン単位75wt%で、重量
平均分子量(Mw)が90,000であるアクリロニト
リル・スチレン樹脂。
【0103】3.成分(C) (ABS1)乳化重合法によって重合し、硫酸塩析法に
て凝固させた後に洗浄、乾燥処理を行って得られた、ブ
タジエンゴム含有量が35wt%、アクリロニトリル単
位22wt%、スチレン単位43wt%で、ゴムの平均
粒径が0.18μmであり、非グラフト共重合体成分の
重量平均分子量(Mw)が100,000である乳化重
合系アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂であ
り、乳化剤残渣としてロジン酸を1,200ppm、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−
3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネートを1,000ppm、また、ホスフ
ァイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイトを500ppm含み、かつ滑
剤成分を全く含まないもの。
【0104】(ABS2)溶液重合法により重合し、A
BSグラフト共重合体を、重量平均分子量(Mw)が1
20,000のAS樹脂(スチレン・アクリロニトリル
樹脂)で希釈混練して得た、ブタジエンゴム含有量が2
2wt%、ゴム平均粒径が0.65μm、アクリロニト
リル単位23wt%、スチレン単位55wt%からなる
溶液重合系アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹
脂であり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を1,00
0ppm含むもの。
【0105】4.成分(D):有機リン化合物オリゴマ
ー (ホスフェート1)前記式(12)で表される有機リン
化合物オリゴマーであって、置換基Ra、Rb、Rc、Rd
が全てフェニル基であり、重量平均縮合度(N)が1.
13であり、マグネシウム含有量が3.5ppmであ
り、塩素含有量が1ppm以下であり、酸価が0.01
mgKOH/g以下であるもの。 (ホスフェート2)大八化学(株)社製 レゾルシノー
ルジホスフェート(CR733S)重量平均縮合度
(N)が1.40であり、マグネシウム含有量が7.0
ppmであり、塩素含有量が1ppm以下であり、酸価
が0.02mg/KOHであるもの。 (ホスフェート3)大八化学(株)社製 トリフェニル
ホスフェート(TPP)モノリン酸エステル化合物
【0106】5.成分(E) (タルク1) 平均粒径=5μm 7μm以上の粒子含量=23% 白色度=96% 嵩比容積=2.3ml/g 比表面積=8.5m2/g 水分=0.2% 吸油量=51ml/100g
【0107】(タルク2) 平均粒径=7μm 7μm以上の粒子含量=54% 白色度=94%嵩比容積=1.5ml/g
【0108】(タルク3) 平均粒径=2.7μm 7μm以上の粒子含量=10% 白色度=96% 嵩比容積=2.1ml/g 比表面積=34.8m2/g 水分=0.7% 吸油量=54ml/100g
【0109】(タルク4) 平均粒径=0.9μm 7μm以上の粒子含量=0% 白色度=96% 嵩比容積=3.0ml/g 比表面積=36.6m2/g 水分=1.0% 吸油量=62ml/100g
【0110】(タルク5) 平均粒径=51.0μm 7μm以上の粒子含量=98.5% 白色度=85% 嵩比容積=5.0ml/g 比表面積=0.7m2/g 水分=0.4% 吸油量=21ml/100g
【0111】6.成分(F) (PTFE1)三井デュポンフロロケミカル(株)製
ポリテトラフルオロエチレンの水性PTFEディスパー
ジョン(商品名 テフロン(登録商標)30J) 固形分含有量=60wt% (PTFE2)GEスペシャリティ・ケミカルズ(株)
社製 ポリテトラフルオロエチレン50wt%とアクリ
ロニトリル・スチレン共重合体50wt%の粉体状混合
物(商品名 Blendex 449)
【0112】7.成分(G) (MBS)乳化重合法により重合し、ブタジエンゴム含
有量が75wt%、ゴム平均粒径が0.23μm、メチ
ル(メタ)クリレート単位10wt%、スチレン単位1
5wt%からなる乳化重合系メチル(メタ)クリレート
・ブタジエン・スチレン樹脂。(−80.8℃にガラス
転移温度を有する。)
【0113】8.その他の成分 (MBA)ゴム状重合体としてブチルアクリレートゴム
を使用したメチル(メタ)クリレート−ブチルアクリレ
ート共重合体。 (MB)乳化重合法により重合し、ブタジエンゴム含有
量が75wt%、ゴム平均粒径が0.22μm、メチル
(メタ)クリレート単位25wt%からなる乳化重合系
メチル(メタ)クリレート・ブタジエン樹脂。(−8
0.4℃にガラス転移温度を有する。)
【0114】(SB)乳化重合法により重合し、ブタジ
エンゴム含有量が75wt%、ゴム平均粒径が0.22
μm、スチレン単位25wt%からなる乳化重合系スチ
レン・ブタジエン樹脂。(−80.4℃にガラス転移温
度を有する。) (MSBS)スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム
含有量が75wt%、スチレン単位10wt%、メチル
(メタ)クリレート単位10wt%からなる共重合体。
(−58.3℃にガラス転移温度を有する。)
【0115】(クレー)English China
Clay社製(商品名:POLESTAR 450) (珪藻土)Celite Corporaion製(商
品名:Super Fine Super Flos
s) (ベントナイト)日本タルク(株)製 (商品名:Cl
oisite 20A)
【0116】
【実施例1〜12、及び比較例1〜28】成分(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、及
びその他の成分を表1〜3に示す量(単位は重量部)で
二軸押出機を用いて溶融混練してポリカーボネート系難
燃樹脂組成物を得た。溶融混練装置は2軸押出機(ZS
K−25、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製)を
使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回
転数250rpm、混練樹脂の吐出速度20kg/H
r、押出機内部の原料樹脂の滞留時間は30〜40秒の
条件で溶融混練を行った。溶融混練中に、押出機ダイ部
で熱伝対により測定した溶融樹脂の温度は255〜26
5℃であった。
【0117】2軸押出機への原材料の投入は、成分
(A)、(B)、(C)、(E)、(F)、(G)、お
よびその他の成分については予め予備ブレンドしたもの
を重量フィーダーにより投入し、有機リン化合物オリゴ
マー(D)は、予め80℃に予備加熱してギアポンプに
より押出機の途中からインジェクションノズルを通じて
圧入することにより配合した。また、押出機の後段部分
では減圧脱揮を行った。得られたペレットを乾燥し、射
出成形機(オートショット50D、ファナック社製)で
成形し、以下の各試験を実施した。
【0118】(1)難燃性 得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度260℃、
金型温度60℃に設定した射出成形機で成形し、燃焼試
験用の短冊形状成形体(厚さ1.2mm、2.0mm)
を作成し、UL94規格20MM垂直燃焼試験を行いV
−0、V−1またはV−2に分類した。(難燃性の程
度:V−0>V−1>V−2>NC) ○:V−0 ×:V−1、V−2、またはNC (NCはNon−Classificationを意味
する。)
【0119】(2)剛性 得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度240℃、
金型温度60℃に設定した射出成形機で1/8インチ厚
短冊片を成形しASTM D790に準じて、曲げ弾性
率を測定した。測定温度は23℃である。(単位:kg
f/cm2) ○:30,000以上 ×:30,000未満
【0120】(3)溶融流動性 得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度260℃、
金型温度60℃に設定した射出成形機で、燃焼試験用の
短冊形状成形体(厚さ1.2mm)を作成する際に、完
全充填されるまで射出圧力を10kgf/cm2刻みで
増加させ、完全充填された射出圧力から10kgf/c
2差し引いた値をショートショットポイント(SS
P)と称し、溶融流動性の尺度とした。溶融流動性はS
SPが低いほど優れる。 (単位:kgf/cm2) ○:2,000未満 ×:2,000以上
【0121】(4)耐衝撃性 得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度260℃、
金型温度60℃に設定した射出成形機でゲート径1m
m、厚さ2mm、縦長さ100mm、横長さ100mm
の平板を成形し、その平板を用いて落錘衝撃試験を実施
し、吸収エネルギ−を測定した。測定値は延性破壊、及
び脆性破壊を区別せず、5枚の平均値とした。落錘衝撃
試験はTOYOSEIKI社製GRAPHIC IMP
ACT TESTER Bを使用し、落下高さ1m、荷
重6.5kg、錘径1インチにて実施した。測定温度は
23℃である。(単位:J) ○:35以上 △:20以上35未満 ×:20未満
【0122】(5)金型汚染性 シリンダー温度260℃、金型温度40℃に設定した射
出成型機(NIIGATA CN75、新潟鐵工所製)
を用いて、射出圧力905kgf/cm2、射出時間3
秒、冷却時間1.2秒、型開閉時間2.1秒、休止時間
2秒、成形サイクル8.3秒の条件で、試験片重量4g
の成形体を連続成形し、100、500、1,000、
及び2,000ショット後の金型表面状態を目視観察し
た。 ○:500ショットでMDの発生が見られない。 △:200〜500ショットでMDの発生が見られる。 ×:200ショット以下でMDの発生が見られる。 ここでMDは金型面に付着した固形状及び液状の堆積物
の両方を含むものとする。
【0123】(6)耐熱性 得られたペレットを乾燥し、シリンダー温度240℃
で、金型温度60℃に設定した射出成形機で1/8イン
チ厚短冊片を成形し、ASTM D648に準じて、加
熱変形温度を測定した。(単位:℃) ○:85以上 △:82以上85未満 ×:82未満 結果を表1〜4に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】実施例1〜12は本発明の組成物の結果で
あるが、薄肉難燃性、剛性、溶融流動性、耐衝撃性、金
型汚染性、及び耐熱性に優れることがわかる。比較例1
〜12は成分(A)、成分(D)、及び成分(E)が式
(1)、式(2)、及び(3)の範囲外にある場合であ
る。いずれも薄肉難燃性を満足しないことが分かる。比
較例13〜21は本発明範囲外の配合組成の場合である
が、いずれも薄肉難燃性、剛性、溶融流動性、耐衝撃
性、金型汚染性、及び耐熱性を同時に満足しないことが
分かる。
【0129】比較例22〜25は本発明範囲外のグラフ
ト共重合体を含む場合である。いずれも薄肉難燃性、耐
衝撃性に劣ることが分かる。比較例26〜28はタルク
の替わりにクレー、ベントナイト、珪藻土を用いた場合
の結果である。いずれも難燃性、剛性、耐衝撃性、金型
汚染性、耐熱性を同時に満足しないことが分かる。比較
例29は(D)成分としてレゾルシノールジホスフェー
トを用いた場合の結果である。金型汚染性のみならず、
耐熱性にも劣ることが分かる。
【0130】比較例30、31は平均粒径、7μm以上
の粒子含量、白色度等が特定の範囲にあるタルクを用い
た場合であるが、難燃性、耐衝撃性を同時に満足しない
ことがわかる。比較例32は(D)成分としてモノリン
酸エステル化合物を用いた場合の結果である。金型汚染
性のみならず、耐熱性にも劣ることが分かる。
【0131】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート系難燃樹脂組
成物は、1.2mm以下の極薄肉成形体での優れた難燃
性、剛性、溶融流動性、耐衝撃性、金型汚染性、及び耐
熱性を同時に満足するポリカーボネート系難燃樹脂組成
物であるので、コンピューター用モニター、ノートブッ
クパソコン、プリンタ、ワープロ、コピー機等のハウジ
ング材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】成分(A)、成分(D)、及び成分(E)の配
合量と薄肉難燃性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 55:02 C08L 27:12 27:12)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50
    〜85重量部、芳香族ビニル単量体単位(b−1)、お
    よびシアン化ビニル単量体単位(b−2)を含む共重合
    体(B)35〜0重量部、芳香族ビニル化合物(c−
    1)とシアン化ビニル化合物(c−2)とをゴム状重合
    体(c−3)の存在下で共重合して得られるシアナイド
    含有グラフト共重合体(C)50〜15重量部、及び、
    以下成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計1
    00重量部に対して、少なくとも1種の有機リン化合物
    オリゴマー(D)5〜30重量部、及びタルク(E)
    0.1〜20重量部、及び、以下成分(A)、成分
    (B)、成分(C)、成分(D)、及び成分(E)の合
    計100重量部に対して、フルオロポリマー(F)0.
    2〜0.5重量部を含み、成分(A)、成分(D)、及
    び成分(E)の配合量が(1)式で示される範囲にあ
    り、1.2mmの厚さにおいてUL−94垂直燃焼試験
    によるV−0難燃性能を達成することができるポリカー
    ボネート系難燃樹脂組成物。 X/Z≦−0.4303Y2+13.525Y−71.203 (1) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
    (E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦85。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成分(A)、成分
    (D)、及び成分(E)の配合量が(2)式で示される
    範囲にあり、1.2mmの厚さにおいてUL−94垂直
    燃焼試験によるV−0難燃性能を達成することができる
    請求項1記載のポリカーボネート系難燃樹脂組成物。 X/Z≦−0.1819Y2+6.3861Y−34.778 (2) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
    (E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦80。)
  3. 【請求項3】 請求項1記載の成分(A)、成分
    (D)、及び成分(E)の配合量が(3)式で示される
    範囲にあり、1.2mmの厚さにおいてUL−94垂直
    燃焼試験によるV−0難燃性能を達成することができる
    請求項1記載のポリカーボネート系難燃樹脂組成物。 X/Z≦−0.1778Y2+5.971Y−36.035 (3) (式中、X、Y、Zはそれぞれ成分(A)、(D)、
    (E)の重量部を表す。式中、Xの範囲はX≦75。)
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の有機リン化合物オリゴ
    マー(D)が各々下記式(4): 【化1】 で表される化合物群より選ばれることを特徴とする請求
    項1〜3記載のポリカーボネート系難燃樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載されたポリカーボネ
    ート系樹脂組成物で成形された成形体であって、肉厚
    1.2mm以下の部分を少なくとも1つ有する薄肉成形
    体。
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