JP2001514328A5 - - Google Patents

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JP2001514328A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 コーティングのジェットプラズマ蒸着方法と装置、および、そのコーティング
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に有機コーテイングを形成する方法であって、
真空室に基板を用意する工程と、
少なくとも1つのソースから少なくとも1つの成分を含む少なくとも1つの有機材料蒸気を用意する工程であって、当該有機材料蒸気が約130Pa未満の真空中で室温以下で縮合可能である工程と、
前記有機材料蒸気のソース以外の少なくとも1つのソースからプラズマを用意する工程と、
高周波バイアス電圧にさらされるように高周波バイアス電極の近傍にある前記基板に向けて、前記有機材料蒸気及びプラズマを送り出す工程と、
前記プラズマが存在する状態で前記基板上に前記有機材料蒸気を縮合および重合させて有機コーティングを形成する工程と、
を含む方法。
【請求項2】 前記プラズマは不活性ガスから生成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記コーティングは、有機材料の主要成分の被覆前の密度より少なくとも約10%高い密度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記プラズマは、キャリヤガスとフィードガスとから生成され、前記フィードガスが、飽和および不飽和の、炭化水素、窒素含有炭化水素、酸素含有炭化水素、ハロゲン含有炭化水素、およびシリコン含有炭化水素からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】 シリコーンを含むコーティングを有する基板を備えた物品であって、前記コーティングが、
a)約1.6g/cmの密度、
b)2.5g/m/日未満の透湿率、
c)C−HおよびC−Hについて赤外線吸収ピークが無いこと、
の特性のうちの少なくとも1つを有する、物品。
【請求項6】 カーボンリッチ材料を備える第1の層と、少なくとも部分的に重合されているシリコーンを備える第2の層と、前記2つの層の間にある、カーボンおよびシリコーンの複合物を備える中間層と、を有する多層コーティングを有する基板を含む物品。
【請求項7】 基板上にコーティングを形成するジェットプラズマ装置であって、
プラズマ(160)を生成するカソードシステム(40)と、
前記カソードシステム(40)から、アノードシステム(60)を通過して被覆対象基板(75)に向かって前記プラズマが送り出されるように、前記カソードシステムに対して位置決めされているアノードシステム(60)と、
前記基板(75)との接触前または接触時に前記有機材料蒸気と前記プラズマとが相互作用するように、前記カソードシステムに対して前記有機材料蒸気を位置決めする給油システム(124)と、
前記プラズマと前記液体の蒸気とが前記基板(75)に接近するまで前記プラズマと前記液体の蒸気とを分離しておく仕切板(130)と、
を有するジェットプラズマ装置。
【請求項8】 前記カソードシステムは、互いに平行に配置した2つの電極プレートを含む中空カソードスロットシステムであるか、または、内部に中空カソードチューブを有する第1の部屋、前記第1の部屋に接続された第2の部屋、および内部に2つの平行プレートを有する前記第2の部屋に接続された第3の部屋を含む中空カソードスロットシステムである、請求項7記載のジェットプラズマ装置。
【請求項9】 出口端部を有する円筒体と、
前記円筒体の前記出口端部を包囲する磁石と、
前縁部を有する管と、を含む中空カソードシステムにおいて、
前記管が前記円筒体内部に配置され、前記管の前縁部が前記磁石の中央線の平面にくるようにくぼんでいる、中空カソードシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明はコーティング、特に、カーボンおよび/またはシリコンコーティングを含む有機コーティングと、そのようなコーティングのプラズマ蒸着方法および装置とに関する。
【0002】
発明の背景
プラズマ法は、非常に硬質で、化学的に不活性で、腐食に対して耐性があり、水蒸気や酸素を通さないことが可能なコーティングを作製する可能性を提供するものである。これらは、しばしば種々の基板の機械的および化学的な保護コーティングとして使用されている。例えば、カーボンリッチコーティング(例えば、ダイヤモンド状カーボンコーティングやジェットプラズマカーボンコーティングなど)は、ハードディスクや可撓性磁気媒体に用いられている。これらは、音響ダイヤフラム、光学レンズや眼鏡レンズに使用される高分子基板、及び静電写真ドラムにも用いられている。ケイ素含有ポリマーコーティングは、耐摩耗性のために高分子および金属基板に利用されている。また、シリコーンコーティングは、透水性を減少させて機械的な保護を与えるために高分子および非高分子基板に用いられている。
【0003】
ここで使用されているカーボンリッチコーティングは、少なくとも50原子パーセントのカーボン、一般には約70〜95原子パーセントのカーボンと、0.1〜20原子パーセントの窒素と、0.1〜15原子パーセントの酸素と、0.1〜40原子パーセントの水素とを含む。そのようなカーボンリッチコーティングは、それらの物理的および化学的な特性に応じて、“アモルファス”カーボンコーティング、“水素添加アモルファス”カーボンコーティング、“グラフィティック”コーティング、“i−カーボン”コーティング、“ダイヤモンド状”コーティングなどに分類できる。これら各コーティングタイプの分子構造は必ずしも容易に区別できないが、それらは一般に2種類の炭素−炭素結合、すなわち三方晶系結合(sp2)と正四面体結合(sp3)を含む。但し、これは限定的なもの表すものではない。それらはまた、炭素−水素結合および炭素−酸素結合なども含みうる。非カーボン原子の量やsp3/sp2結合の比率に応じて、異なる構造および物理的特性が得られる。
【0004】
ダイヤモンド状カーボンリッチコーティングは、高硬度、極小導電性、低摩擦係数、および広範囲の波長に対する光学的透明という、ダイヤモンドに似た特性を有する。これらは水素添加物のこともあれば非水素添加物のこともある。ダイヤモンド状カーボンコーティングは、正四面体ダイヤモンド結合(sp3)が優勢であると考えられているが、一般に三方晶系グラファイト結合(sp2)と正四面体ダイヤモンド結合(sp3)の両方を有する非結晶材料を含んでいる。グラファイトカーボンコーティングは、水素含有量の多いカーボンコーティング、すなわち炭化水素分子またはその部分を有するコーティングよりも硬く、通常、ダイヤモンド状コーティングは、このグラファイトカーボンコーティングよりも硬い。
【0005】
ケイ素含有コーティングは、通常、ケイ素、炭素、水素、酸素、窒素をランダムな組成で含んでいる高分子コーティング(SiOwxyz)である。これらのコーティングは、一般に、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって形成され、遮断および保護コーティングとして有用である。例えば、米国特許第5,298,587号(Hu他)、同第5,320,875号(Hu他)、同第4,830,873号(Benz他)、および同第4,557,946号(Sacher他)を参照されたい。
【0006】
シリコーンコーティングは、R2SiO(Rは、通常はCH3であるが、H、C25、C65、またはもっと複雑な置換基であってもよい)をその構造単位に含む高分子量の重合シロキサンコーティングである。これらのシリコーン(しばしばポリオルガノシロキサンと呼ばれる)はケイ素原子と酸素原子とが交互に繰り返す鎖(O−Si−O−Si−O)であり、ケイ素原子の自由原子価が通常結合されるR基だけでなく、第2の鎖の(架橋された)ケイ素原子に結合された酸素原子にも結合され、それによって網状結合が形成される。これらのコーティングは、剥離コーティングおよび撥水面に望ましい、その靭性、その平滑潤滑性、制御ガス拡散、および表面張力低下機能が高く評価されている。例えば、米国特許第5,096,738号(Wyman)には、強く架橋結合されたポリマー構造を生じるトリアルコキシメチルシランの加水分解による遮断コーティングの形成が教示されている。
【0007】
プラズマ蒸着すなわちプラズマ促進化学蒸着によるコーティング形成方法が知られているが、これらのいくつかの方法は欠点がある。例えば、特定の方法では、高いガス流、圧力、および電力を用いると、所望の平滑で硬いカーボンフィルムではなく、炭素粉末が形成されることがある。米国特許第5,232,791号(Kohler他)、同第5,286,534号(Kohler他)、および同第5,464,667号(Kohler他)には、これらの欠点のいくつかを解消する、カーボンリッチコーティングのプラズマ蒸着プロセスが開示されている。これらのプロセスでは、メタン、エチレン、ヨードメタン、シアン化メチル、テトラメチルシランのようなガスから、例えば細長い中空カソードで生成される、カーボンリッチプラズマが使用されている。プラズマは、高周波バイアス電圧にさらされている基板に向けて加速される。このプロセスは当業界では極めて進歩的なものであるが、低エネルギーで使用できる広範囲なカーボンコーティングおよび/またはケイ素含有コーティングの蒸着について、他のプラズマ蒸着プロセスが必要とされている。
【0008】
米国特許第5,116,665号(Gauthier他)、同第4,933,300号(Koinuma他)、およびイギリス特許出願公開第2 225 344号(Eniricerche SpA)には、多層コーティングの形成方法が記載されている。これらの方法は、1つの反応器と、多層コーティングの構成に関するプロセスパラメータの連続変更とを利用するグロー放電プロセスに基づくものである。しかしながら、これらの方法には実用上および技術上の制限がある。層の特性を徐々におよび/または急激に変更する必要がある場合、バッチ式プロセスが必要となる。これらの変更は、静止基板への蒸着およびプロセス条件の連続変更によって得られる。また、連続的な蒸着は、ロール間ウェブ輸送システムを収容した反応器の中で行われる。多層コーティングを形成するにはマルチパス操作が必要である。このような環境下で層の特性を漸変しかつ/または界面層を形成することは困難である。
【0009】
したがって、比較的に低エネルギーで使用できる広範囲なカーボンコーティングおよび/またはケイ素含有コーティングの蒸着のための、プラズマ蒸着プロセスが必要とされている。また、層の特性の漸変および/または界面層の形成に対応できるプラズマ蒸着プロセスも必要とされている。
【0010】
発明の開示
本発明は、基板上に有機コーティングを形成する方法を提供するもので、真空中に基板を用意する工程と、少なくとも1つのソースの少なくとも1つの成分を含み、約130Pa未満の真空中で縮合可能な少なくとも1つの有機材料蒸気を用意する工程と、該有機材料蒸気ソース以外の少なくとも1つのソースからプラズマを用意する工程と、有機材料蒸気とプラズマとを基板に向けて送り出す工程と、プラズマが存在する状態で基板上に有機材料蒸気を縮合および重合させて有機コーティングを形成する工程と、を含んでいる。
【0011】
プラズマを用意する工程は、中空なカソードシステムにプラズマガスを導入する工程と、十分な電圧を印加して中空カソードシステム内でプラズマを生成および維持する工程と、プラズマを維持するために十分な真空を真空室に維持する工程とを含むことが好ましい。好適実施態様において、中空カソードシステムは、出口端部を有する円筒体と、円筒体の出口端部を包囲する磁石と、前縁部を有する管とを含み、該管は、円筒体内部に配置され、管前縁部が磁石中央線の平面にくるようにくぼんでいる。
【0012】
また、真空中に基板を用意する工程と、少なくとも1つのソースの少なくとも1つの成分を含み、約130Pa未満の真空中で縮合可能な少なくとも1つの有機材料蒸気を用意する工程と、該有機材料蒸気ソース以外の少なくとも1つのソースからプラズマを用意する工程と、有機材料蒸気とプラズマとを基板に向けて送り出す工程と、プラズマを有機材料蒸気と相互作用させて有機反応種を形成する工程と、基板と有機反応種を接触させて基板上に有機コーティングを形成する工程と、によって作製される基板上の有機コーティング提供される。このコーティングは、単一の有機材料または複数の有機材料から成る1つの層を含むことができる。あるいは、このコーティングは、別々の有機材料から成る複数の層を含むことも可能である。
【0013】
本発明は、少なくとも1つの主成分を含む有機材料から成る、基板上の非ダイヤモンド状有機コーティングであって、有機材料の主成分の被覆前の密度よりも少なくとも約50%以上高い密度を有するコーティングも提供する。ある構成層について、非ダイヤモンド状の有機コーティングは、出発原料のものと同じ組成および構造を実質的に有することが好ましい。
【0014】
本発明はまた、プラズマを生成するカソードシステムと、該カソードシステムから、アノードシステムを通過して被覆対象基板に向かってプラズマが送り出されるように、カソードシステムに対して配置されているアノードシステムと、基板との接触前または接触時に有機材料蒸気とプラズマとが相互作用するように、カソードシステムに対して有機材料蒸気を位置決めする給油システムと、を備えたジェットプラズマ蒸着装置も提供する。
【0015】
本発明は、また、出口端部を有する円筒体と、円筒体の出口端部を包囲する磁石と、前縁部を有する管とを含み、該セラミック管は、円筒体内部に配置され、セラミック管の前縁部が磁石中央線の平面にくるようにくぼんでいる中空カソードシステムも提供する。
【0016】
詳細な説明
本発明は、有機コーティング、詳細には、カーボン含有コーティング(例えば前述のカーボンリッチコーティング)、ケイ素含有コーティング(例えば、前述のシリコーンコーティング)、またはそれらの組合せを形成する方法とシステム、および、コーティング自体を提供するものである。このコーティング形成方法は、一般に大気温度および大気圧において液体である有機材料蒸気とプラズマとの相互作用によって行われる。本発明のシステムの利用することにより、広範囲な特定密度を有することができる、低コストのコーティングを蒸着することができる。これらのコーティングは均一な多成分コーティング(例えば、複数の出発原料から形成された単層コーティング)、均一な一成分コーティング、および/または多層コーティング(例えば、カーボンリッチ材料とシリコーン材料の交互層)にすることができる。
【0017】
一般に、コーティングプロセスでは、プラズマ(すなわち、膨張した気体状で反応電離状態にある原子または分子および中性分子フラグメント)と、少なくとも1つの成分を含み、約1Torr(130Pa)未満の真空中で縮合可能な少なくとも1つの有機材料蒸気とを利用する。これらの蒸気は、(外部スペースまたは従来の真空室内における)真空中で基板に向けて送り出される。この基板は高周波バイアス電極の近傍にあり、高周波バイアス電圧にさらされて負極性に帯電されることが好ましい。重大なことは、これらのコーティングが溶剤を必要としないで形成されることである。
【0018】
例えば、第1のソースからの一方の流れのカーボンリッチプラズマと、第2のソースからの別の流れのジメチルシロキサンオイルなどの高分子量有機液体の蒸気とを利用すると、ワンパス蒸着法により、多層構成のコーティング(すなわち、カーボンリッチ材料の層、少なくとも部分的に重合されているジメチルシロキサンの層、およびカーボン/ジメチルシロキサン複合物の中間すなわち界面層)が得られる。システムの配置を変更することにより、所望に応じて特性および組成が漸変または急変させた均一な多成分コーティングまたは積層コーティングを制御形成できる。また、アルゴンなどのキャリヤガスのプラズマと、ジメチルシロキサンオイルなどの高分子量有機液体の蒸気から、1種類の材料の均一コーティングも形成できる。
【0019】
ここに記載されているジェットプラズマプロセスを利用して形成されるコーティングは、広範囲な特性を備えることができる。これらのコーティングに、強靱さ、耐傷性、および耐薬品性を持たせることが可能で、保護コーティングとして使用するのに適している。これらのコーティングに、液体および気体に対する不浸透性を持たせることも可能で、遮断コーティングとして使用するのに適している。また、これらのコーティングに、分子拡散の場合に選択される制御空隙/細孔構造を持たせることも可能で、剥離膜として使用するのに適している。また、透明な反射防止コーティングにすることも可能で、光学コーティングに適している。これらのコーティングに、特化された表面エネルギーと可変の導電性および固有抵抗を持たせることもできる。したがって、当該コーティングは広範囲な用途を有することができる。
【0020】
好適なカーボンリッチコーティングおよび好適なシリコーンコーティングは、水蒸気および酸素を通さず、一般に、機械的および化学的な劣化を受けにくい。また、例えば磁気媒体や包装フィルムなどに使用される一般的な可撓性基板に利用できるに足る弾性も備えている。
【0021】
そのような好適コーティングは、高重合および/または架橋された物質、すなわち、従来のPECVD法などの広く使用されている蒸着方法を利用した場合に得られるものよりも一般的に大きい架橋結合密度を有する物質である。具体的には、例えば、本発明は、高濃度の架橋シロキサン基(すなわち、高度なSi−O−Si架橋結合)および出発原料に対して低濃度の有機基(例えば、メチル基)とを有する、シリコーンコーティング、好ましくは重合ジオルガノシロキサンが被覆された基板を提供する。
【0022】
本発明のコーティングは、非ダイヤモンド状コーティングでありながら概して極めて高密度であることが好ましい。コーティング密度は、蒸発前の有機材料の主要成分よりも少なくとも約10%(更に好ましくは、少なくとも約50%)大きい(好ましくは、任意の出発原料よりも大きい)ことが好ましい。一般に、有機出発原料はオイルの形で存在し、結果として得られるコーティングは、使用オイルの密度よりも、最大で好ましくは少なくとも約10%(更に好ましくは、少なくとも約50%)大きい密度を有することができる。基板を高周波バイアス電圧にさらさない蒸着方法では、出発材料に対するコーティング密度の増加はごく軽微(例えば、約10%未満)である。ここでは、密度は以下に記載のフローティング法によって測定する。本発明の好適なシリコーンコーティングは、少なくとも約1.0の密度を有する。
【0023】
一般に、ここに記載の方法で基板にかけられる高周波バイアスが増加すると、コーティングの密度と硬度が増加する。密度と硬度が増加すると、水蒸気および/または酸素(および他のガス)に対する遮断特性が増加する。本発明の方法を利用することにより、遮断特性および硬度の大きさを何オーダーか増加させることさえ可能である。
【0024】
本発明は、ヌジョール(Nujol)などの重合鉱油(例えば、脂肪族炭化水素)が塗布された基板も提供する。これにより、密度増加と関係があると考えられている水蒸気透過率の減少が得られる。このように、本発明の方法で出発原料として使用できる有機材料の1つは鉱油である。それ以外の有機材料として、シリコーンオイルおよびペルフルオロポリエーテルなどのケイ素含有または酸素含有炭化水素、および、他の芳香族および脂肪族炭化水素があり、それらは単独で使用することも組み合わせて使用することもできる。適切な有機材料は、主鎖が強力に結合していて真空中で容易に解離しないものである。そのような有機材料は、芳香族、脂肪族、またはそれらの組合せ(例えば、アラルキル基またはアルカリール基を含むコンパウンド)でありうる。複数の有機材料を使用する場合は、気化させる前に混合して1つのソースから供給することもできるし、別々のソースから別々に供給することもできる。
【0025】
ここに記載されている方法を利用することにより、出発材料の特定の物理的および化学的特性がおおむね維持される。すなわち、従来のプラズマプロセスとは対照的に、ここに記載されている方法を利用すると、コーティング形成時に、摩擦係数、表面エネルギー、透明度といった出発原料の特性が著しく変化することはない。このように、本発明の方法によれば分子が低分子量の反応種になるまで著しく解離されることはないので、本発明の方法は従来のプラズマプロセスとは全く異なっている。本発明のジェットプラズマプロセスでは、例えば、シリコンオイルの−Si−O−Si−O−鎖が実質的に残っている。
【0026】
本発明の方法は、プラズマ(例えば米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載のアルゴンプアラズマまたはカーボンリッチプラズマ)と、別個のソースからの少なくとも1つの成分を含む少なくとも1つの有機材料蒸気を用意する工程と、コーティング形成時にそれらを相互作用させる工程とを含んでいる。プラズマは、有機材料蒸気を活性化しうるものである。プラズマは、公知の手段すなわちここに記載されているポイントソースを利用して生成される。すなわち、プラズマは、例えばラジカル生成やイオン化等の結果、有機材料蒸気を活性化できるが、そのような反応種は依然として真空中で縮合して重合コーティングを形成することが可能である。一方、プラズマは、コーティングの厚さ全体にわたって重合が行われるように有機材料蒸気が基板表面に縮合するときに、有機材料蒸気と相互作用する。したがって、プラズマと有機材料蒸気とは基板表面上で、または基板表面に接触する前に相互作用できる。いずれにせよ、有機材料蒸気とプラズマとの相互作用によって有機材料が反応形態となり(例えば、シリコーンからメチル基が損失)、例えば重合および/または架橋の結果、コーティング形成時に材料の密度を高めることができる。したがって、本発明の方法は、有機材料蒸気の縮合速度に迫る高速蒸着手段を提供するとともに、前駆体の物理的および化学的組成および構造が高度に維持されるコーティング形成手段を提供する。
【0027】
本発明の方法は、蒸発前の有機材料の主要成分の密度よりも少なくとも約10%大きい(更に好ましくは、少なくとも約50%大きい)密度を有するコーティングを形成するのに十分な高周波バイアス電圧の利用を含むことが好ましい。バイアス電圧は、基板におけるプラズマの生成も行う約−50V以下である。バイアス電圧は、更に好ましくは約−100V以下、もっとも好ましくは約−200V以下である。一般に、バイアス電圧は約−2500V程度の負電圧にすることもできる。固有バイアス電圧は、一般に、基板を作った材料によって決まる。前述の高バイアス電力は、ここに記載されている中空カソードの利用と組み合わせることによって得られる。上に述べたように、バイアス電力が高くなるほどコーティング密度が高くなる。バイアスが無いと、本発明によって形成されるコーティングの密度は、従来のプロセス(例えば、渋滞のPECVD法)によって作製されっる従来のコーティング(例えば、架橋の無いシリコーンポリマーコーティング)とほとんんど同様である。
【0028】
一般に高密度のコーティング(例えば、ダイヤモンド状カーボン、ジェットプラズマカーボン)は、高周波出力カソードと接触して負バイアスがかけられている基板を利用する、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって形成される。一般に、PECVDシステムは、フィードガス(例えば、アセチレン)の断片種とキャリヤガス(例えば、アルゴン)のイオンとを基板にイオン衝撃させて、コーティングの原子配列/再配列を高密度構造に構成する。また、これと同時に、米国特許第4,382,100号(Holland)に記載されているように、カソードを利用してフィードガスの大規模な解離が行われる。従来のPECVD法は、2つのパラメータ、すなわち、別々に制御される大規模解離とイオン吸引のために、制限があり高速蒸着に不都合であった。この限界は、フィードガスを解離するための中空カソードと、フィルム基板にバイアスをかけてこれらの断片を蒸着させる第2のカソードとを別々に使用することを教示する米国特許第5,464,667号(Kohler他)において克服された。
【0029】
本発明は、出発原料の大規模解離を行わずに高密度なコーティングを蒸着できる、米国特許第5,286,534(Kohler他)および同第5,464,667号(Kohler他)に記載のシステムの変更形態を含んでいる。重大なことは、本発明のプロセスおよびシステムを利用することにより、大規模な解離を行わずに、または、出発原料固有の物理的および化学的特性を著しく損なうことなく、高分子量の有機出発原料を高密度のコーティングに変換できることである。本発明のコーティングと従来の方法によって形成されるコーティングの間の前述の違いは、以下に詳述の実施例1、3、および4と、比較例Aに例示されている。
【0030】
プラズマは、「中空カソードチューブ」(米国特許第5,286,534号(Kohler他)に開示)または「中空カソードスロット」(米国特許第5,464,667号(Kohler他)に開示)などの、中空カソードシステムを利用して、プラズマガスから生成される。好ましくは、スロットは互いに平行に配置した2つの電極プレートを含み、更に好ましくは、チューブとスロットとを一直線に配置する。その後、プラズマは、アノード(米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載)の方向に、アノードを通過して進む。一好適実施形態において、中空カソードスロットシステムは、中空カソードチューブを有する第1の部屋と、上記第1の部屋に接続された第2の部屋と、2つの平行プレートを有し、上記第2の部屋に接続された第3の部屋と、を有する一方、本明細書において「ポイントソース」と呼ばれるシステムを中空カソードシステムとして利用してプラズマを生成することも可能である。これらすべてが中空カソード内でジェットプラズマを生成し、生成されたプラズマはアノードに向けて該アノードを通り送られる。これは、プラズマがカソードとアノードとの間で生成され、ジェット流がカソード/アノード装置から送られる従来の「プラズマジェット」システムと異なる。
【0031】
プラズマガスは、アルゴンなどのキャリヤガスと、任意にフィードガスとを含む。フィードガスは、コーティングの所望組成の任意のソースである。一般に、フィードガスは、カーボンリッチコーティングのソースである。フィードガスは、飽和および不飽和の、炭化水素、窒素含有炭化水素、酸素含有炭化水素、ハロゲン含有炭化水素、およびケイ素含有炭化水素からなる群から選択されることが好ましい。一般に、均一な、多成分すなわち多層コーティングを形成する他の材料を提供するために有機材料蒸気(好ましくは、有機液体の蒸気)が使用されるが、プラズマガスはそのような成分のソースにもなりうる。すなわち、低分子量のケイ素含有コンパウンドを利用してプラズマを生成できる。
【0032】
図1を参照すると、そのようなコーティングの蒸着に特に好適なジェットプラズマ装置が記載されている。この装置は、同時にまたは連続して2つの材料を蒸着するように改修された米国特許第5,464,667号(Kohler他)記載のものと似ている。この装置は、フローコントローラ24、25を介してそれぞれインレットチューブ26、27に接続されている、フィードガスソース20とキャリヤガスソース22を含んでいる。ガスソース22からのキャリヤガス(例えばアルゴン)は、インレットポート28を介して、真空室30および中空カソードシステム40に供給される。ガスソース20からのフィードガス(例えばアセチレン)は、インレットポート29を介して、真空室30および中空カソードシステム40に供給される。図1に記載の中空カソードシステム40は3つの部屋、すなわち第1の部屋41、第2の部屋42、および第3の部屋43に分かれている。キャリヤガスを使用する場合、キャリヤガスは第1の部屋41に供給され、一方、フィードガスは第2の部屋42に供給される。プラズマは、第1の部屋のキャリヤガス、および/または、第3の部屋のキャリヤおよびフィードガスから生成できる。この中空カソードシステムは、米国特許第5,464,667号(Kohler他)に詳述されており、その内容をここに引用したものとする。
【0033】
中空カソードシステム40の他に、真空室30の内側には、接地されていても接地されていなくてもよい。好ましくは調節可能シールド61を含んでいるアノードシステム60がある。また、高周波バイアス電極70、基板75(例えば、ポリエチレンテレフタレート“PET”フィルム)、および給油システム120も設けられている。給油システム120は、基板に蒸着するための有機液体蒸気を供給する。給油システム120は、オイル容器122、冷却システム123、オイル供給システム124、蒸発器室126、出口ポート128、調節可能な仕切板130,基板保護用シールド129を含んでいる。仕切板130は、基板に接近するまでプラズマと液体蒸気とを分離しておくために使用される。基板保護用シールド129は、バイアスがかけられていない基板に対して液体蒸気が縮合するのを回避するために使用される。仕切板130および基板保護用シールド29は、いずれも省略可能である。
【0034】
基板75は第1のロール76から繰り出され、第2のロール78に巻き取られるが、連続的な材料ループであってもよい。プラズマガス、すなわち、フィードガスのみ、またはフィードガスとキャリヤガスとの混合物は、中空カソードシステム40内でプラズマに変換される。次に、プラズマ160は基板75に向けて送られ、基板75は、プラズマによるコーティングの蒸着の間、高周波バイアス電極70と好適に接触する。基板は、広範囲な材料から製造できる。例えば、高分子、金属、またはセラミックの基板であってもよい。好適な実施形態では、基板は薄い、すなわち0.05cm以下の、可撓性の高分子フィルムである。有益なフィルムの例としては、配向ポリエステル、ナイロン、二軸配向ポリプロピレンなどがある。
【0035】
高周波バイアス電極70は、銅、鋼、ステンレス鋼などの金属からなり、ロールの形をしていることが好ましいが、これは必ずしも必要条件ではない。例えば、板の形をしていてもよい。しかしながら、ロールは、電極と基板との間の摩擦が小さく、それによりフィルムの歪みが減少するので好都合である。また、高周波バイアス電極70は室温(すなわち、約25〜30℃)よりも高くない程度、感熱基板を使用する場合に好都合な約0〜5℃まで水冷することが好ましい。高周波バイアス電極は通常約25KHz〜約400KHzの周波数を有するが、周波数範囲をメガヘルツ範囲を含むところまで広げることも可能である。一般に、高周波バイアス電極は、約−100〜−1500Vのバイアス電圧を有する。このバイアス電圧により、別のプラズマが、マイナス電位を基板に印加する高周波バイアス電極70の近傍で形成され、プラズマ種160を基板75に方向に引きつけ、これにより効率的で迅速な蒸着が行われる。
【0036】
プラズマを生成するために、第1の直流電源80が、回路82を介して中空カソードシステム40の第1の部屋41に電気接続され、また回路84を介してアノードシステム60に電気接続されている。第1の直流電源80は、脈動直流電源、濾過直流電源、またはスパッタリングシステムで使用されているような適切な消弧機能を有するプラズマ形成手段であり得る。しかしながら、一般には、フィルタを通さない脈動直流電源が好ましい。また、第2の直流電源85が、回路87を介して中空カソードシステム40の第3の部屋43に、回路84を介してアノードシステム60に、直接に電気接続されている。この配置構成では、、部屋41と部屋43は、互いに電気的に隔離されている。第2の直流電源85は、脈動直流電源、濾過直流電源、または適切な消弧機能を有するプラズマ形成手段でよいが、脈動直流電源が好ましい。濾過直流電源の一例は、ニューヨーク州ニューヨークのヒッポトロニクス社(Hippotronics Inc.)から販売されているものなど、25キロワットの濾過直流電源である。そのような電源は、約10アンペアまでの高電流および比較的低電圧すなわち約−100Vでプラズマを生成する。
【0037】
高周波バイアス電源90[例えば、ニューヨーク州ロチェスタのENIパワーシステム社(ENI Power Systems, Inc.)のPLASMALOC 3 電源]が、回路92を介して高周波バイアス電極70に、回路94を介してアース100に接続されている。直流電源80、85をアース100に接続することもできるが、これは好ましい配置構成ではない。前述の電気接続を、図1の点線105で示す。このように、3つの電源がすべてアース100に接続されている配置構成では、アノードシステム60が接地されている。アノードシステム60が接地されていない前者の配置構成は、後者の配置構成に比べて好都合である。例えば、アノードシステム60が接地されていない場合、プラズマは、接地された金属室とは異なるものとしてアノードシステムを見なすので、生成されたプラズマが一層安定する。一般に、アノードシステム60が接地されていない場合、ウェブ断面のコーティング厚、すなわち基板の幅に沿ったコーティング厚がさらに均一になる。またアノードシステム60に対するプラズマの接触を変化させることにより、プラズマが制限されて、蒸着パターンがさらに簡単に制御できる。
【0038】
上述のように、直流電源80と85は脈動直流電源であることが好ましい。これは、脈動直流電源が非脈動直流電源よりも安定したプラズマ状態を提供し、均一なプラズマ蒸着速度、およびその結果としてのウェブ沿いすなわち基板長手方向のコーティングの均一性に貢献するからである。また、それにより、高電流を使用でき、したがって、比較的に低電圧で高い蒸着速度を達成できるからである。 第1の直流電源80および第2の直流電源85の一方または両方に利用するのに好適な脈動直流電源は、一般に、ゼロ値を約25〜1000回/秒、更に好ましくは約25〜200回/秒、最も好ましくは約100〜120回/秒の割合で通過する電圧を供給する脈動直流電源である。これにより、カソードが所要の電位に達したときに、プラズマを消滅させ、その後に再励起させることができる。そのような脈動直流電源の例として、カリフォルニア州バークレーのエアコ・テメスカル社(Airco Temescal)から販売されている、最大出力500mA、120Hz全波整流直流電圧0〜−5000VのAirco Temescal Model電源などがある。この電源の別仕様は、2つのAirco Temescal変圧器を並列に使用するもので、これにより最大出力1Aを得る。これらの脈動直流電源を、以下に記載の実施例で用いた。また、別の電源を最大出力20アンペアに設定し、やはり以下に記載の実施例で用いた。これは、ミネソタ州ローズビルのマグ・コン社(MAG−CON Inc.)から入手できる大型(1キロワット)の磁気漏れ型変圧器で、脈動直流出力を得るために全波整流器が含まれている。ここで使用される“磁気漏れ型”変圧器とは、安定した負荷動作点を負の動抵抗に与えるものである。一般的な20A電源の出力は、電流0〜20Aで、DC0〜−1500V(直流電圧)である。この電源は電流が制限されており、これによりカソード表面で高強度のアークが形成されるのを防止している。より大きな電流が必要な場合は、更に大きい磁気漏れ型変換器を利用してもよいし、または2つ以上の小型変換器を並列に配置してもよい。
【0039】
特に好適な本発明の実施形態では、電源80と電源85は脈動直流電源である。そのような実施形態では、キャリヤガスが中空カソードシステム40の第1の部屋41に導入され、脈動直流電源、好ましくは500mAの脈動直流電源、を利用して、キャリヤガスからプラズマが生成される。中空カソードシステム40の第3の部屋43でプラズマを生成するために脈動直流電源を使用する場合、この初期キャリヤガスプラズマの生成は必ずしも必要ではないが、非脈動濾過直流電源を使用する場合には第3の部屋でプラズマを励起する必要がある。本発明の特に好適な実施形態でキャリヤガスプラズマが初期励起された後、この初期プラズマは中空カソードシステム40の第2の部屋に進み、そこでフィードガスと混合される。次に、この混合物は第3の部屋43に進み、そこで脈動直流電源を利用して第2のプラズマが生成される。この脈動直流電源は、フィードガスのフラグメント濃度やコーティング蒸着速度に応じて、実施例で使用されているように1〜10Aの電源でもよいし、500mA電源、20A、30A、50A、100A等の電源でもよい。
【0040】
中空カソードスロットシステムなどの中空カソードシステム40の第1の部屋41において生成および維持される電圧は、好ましくは約−200〜1000V、更に好ましくは約−200〜−500Vである。第1の部屋に供給される電力は、通常約20〜10,000W、好ましくは20〜1000W、さらに好ましくは100〜500Wである。中空カソードスロットシステム40の第3の部屋43において生成および維持される電圧は、好ましくは約−50〜−500V、更に好ましくは約−80〜−120ボルトVである。第2の部屋に供給される電力は、通常、約50〜3000W、更に好ましくは約1000〜3000Wである。
【0041】
適正な条件を与えることで、安定したジェットプラズマ160が真空室に形成され、中空カソードスロットシステム40の出口スロットの形状に概ねに似ている拡大パターンに拡散される。好ましいプラズマは、カーボンリッチコーティングを基板75上に高速蒸着できるように、高いガスフラグメント濃度を有する、すなわちフィードガスの解離が高速で生じる。つまり、システムの構成や供給される電流と電圧に応じて、より望ましいプラズマが形成されるほど、コーティングの蒸着速度が速くなり、コーティングが均一になる。また、極めて均一なカーボンリッチコーティングが低電力で比較的高速に蒸着できれば、実用的な配慮(例えば、コスト、安全性、および過熱防止)の点でシステムはより好ましいものとなる。
【0042】
真空室の状態を監視するために、質量スペクトロメータ、発光スペクトロメータ、およびキャパシタンスマノメータなど、種々の計器を真空室に接続できる。真空を生成するために通常使用される任意の手段(例えば、拡散ポンプおよび/または機械的ポンプ)によって、真空室内に真空が生成および維持される。一般に真空室は、約0.13〜130Pa(パスカル)、好ましくは約0.13〜1.0Paの圧力に保たれる。当業者には、ここに記載の方法と装置が、宇宙空間に生じるような自然発生する真空中で使用できることが理解されるであろう。
【0043】
液体を蒸気の形態で真空室30に供給するために、給油システム120を使用して、蒸発用オイルの供給速度を制御する。図1に記載されているように、オイル121は、真空室30内に配置された容器122から、オイル供給オリフィス124を介して供給される。給油システム120は、オイルを蒸発器126に供給して蒸発させ、蒸発器出口ポート128から高周波バイアス電極70に送り出す。オイル121が脱気されるように、バルブシステム140を利用してオイル121を真空にさらす。この脱気プロセスの間、液体(例えば、オイル121)上方および給油オリフィス124における圧力を等しくすることによって、給油オリフィス124からのオイル排出を妨げる。その後、バルブシステム140の構成は、容器122内のオイル121の上方の空間に空気を導入して、所望の圧力をオイル上方にかけるように変更される。一般に、給油オリフィス124は注射針のような管またはニードルであるが、他の形状の別の給油オリフィスを使用することも可能である。オイル供給速度は、粘度を制御する供給手段温度と、質量流量を制御する供給手段サイズと、を適正に選択することによって制御される。希望する結果に応じて、広範囲にわたってオイル供給速度を変更できる。給油オリフィス124の温度は、冷却システム123によって調節される。冷却システム123は、液体冷却式であっても、気体冷却式であっても、電気冷却式システムであってもよい。給油オリフィス124および蒸発器126の温度は、例えば、熱電対を利用して監視できる。
【0044】
図1には、仕切板130および基板保護シールド129も記載されている。一般に、これらの構成要素は石英で作製されているが、蒸着時にシステム内で受ける温度に耐えられるのであれば、金属、プラスチック、またはセラミックなど、任意の材料を使用できる。前述のように、これらの構成要素は省略可能である。
【0045】
図2に、給油システム120を、バルブシステム140とともに更に詳細に示す。給油システム120は、オイル容器122と、伝熱材料(例えば、アルミニウム)で作られた1つ以上のスペーサ127から構成される瞬間蒸発器126と、を含んでいる。スペーサ127は、バリアック制御式のカートリッジタイプ抵抗ヒータ(図2には不図示)などの種々の手段のいずれかによって加熱できる。給油オリフィス124(例えば、ニードル)を収容できる水冷式銅スリーブなどの冷却システム123が、瞬間蒸発器126の入口ポート125に配置されている。入口ポート125は、瞬間蒸発器126の裏側領域に位置することが好ましく、また、瞬間蒸発器126と冷却システム123との間の熱交換を防止するために、シリコーンゴム製のスリーブインサートなどスリーブインサートを含んでいることが好ましい。しかし、給油オリフィス124(例えば、ニードル)の先端は、オイルを一定かつ均一に蒸発させるために、加熱される入口ポート125に直接接触している。別個に形作られたスペーサ127は、オイル蒸気が瞬間蒸発器の幅全体にわたって(点線で示されるように)上下に何回も案内された後に、出口ポート128から真空室(図2では不図示)に均一に蒸気が吐出されるように間隔を与えることが好ましい。
【0046】
有機材料を蒸発させる前に、有機材料を噴霧する(すなわち、材料の液滴を形成する)ために噴霧器を使用することもできる。噴霧器は、飽和状態の有機材料と組み合わせて使用することもできるが、飽和していない有機材料の場合に特に必要である。これは、飽和していない有機材料は蒸発気のオリフィスを詰まらせる可能性があるので、長時間(例えば、数分以上)にわたって蒸気を使用する場合に特に当てはまる。バルブシステム140とともに給油システム220が詳細に示されている図3に、噴霧器を含むシステムを示す。この実施形態では、給油システム220は、オイル容器222と、1つ以上のスペーサ227から成る瞬間蒸発器226と、冷却システム223と、給油オリフィス224、瞬間蒸発器状は付き226内の入口ポート225、および図2に関して説明された出口ポート228と、を含んでいる。また、有機材料を噴霧するために、当業界において公知の超音波変換器229に取り付けられた超音波ホーン230も含まれている。有用な超音波システムは、最高の噴霧化が行われるように調整されたBranson VC54ユニット(40kHz、コネチカット州ダンベリのソニックス アンド マテリアル社(Sonics and Materials, Inc.)より市販)である。有機材料を噴霧化することが可能な他の手段は、例えば米国特許第4,954,371号に記載されている。
【0047】
別のジェットプラズマ蒸着装置300を図4に示す。このシステムは、(本明細書では、バイアス式チルロールまたは簡単にチルロールとも呼ばれる)高周波バイアス電極310を含んでおり、個別の蒸着領域314を形成するために、アルミニウムシートなどの暗黒部接地シールド312によって該高周波バイアス電極310の一部が覆われることが好ましい。高周波バイアス電極310の表面の少なくとも約75%が暗黒部接地シールド312で覆われることが好ましい。暗黒部接地シールド312を接地し、高周波バイアス電極310の表面から約0.3〜2.5cm離して配置して暗黒部を作り、それにより高周波バイアス電極310の露出表面領域全体にバイアスワット数を集める。
【0048】
図4のジェットプラズマ蒸着装置300は、ポイントソースカソード316、フィードガスソース317、およびキャリヤガスソース318を含み、プラズマを生成する中空カソードシステム315と、バルブシステム321に取り付けられた給油システム320と、およびアノードシステム322(例えば、本明細書に記載されているアノードワイヤ)と、を更に含んでいる。この配置構成では、給油システム320と、取り付けられたバルブシステム321とは必須ではない。図4に記載の特定実施形態では、高周波電極310の中心から任意の給油システム320のスロット開口に向かって、覆われていない表面領域(すなわち、蒸着領域314)を二分する、仮想の水平面を引くことができる。ポイントソースカソード316は仮想平面の上方に配置され、アノードシステム322は仮想平面の下方に配置されている。プラズマは、ポイントソースカソード316から真空中に円錐形状に広がり、高周波バイアス電極310の近傍でアノードワイヤ322に集まる。図4はそれほど大規模ではないが、このシステムの一実施形態において、ポイントソースカソード316は、仮想平面の約7.5cm上に、高周波バイアス電極310の表面から約7.5cm離して配置されている。アノードワイヤ322と蒸着領域の方向にプラズマが確実に下向きに広がるように、ポイントソースカソード316は水平位置から約60°傾けられている。アノードワイヤ322は、仮想面の約17.5cm上に、高周波バイアス電極310から約5cmはなして配置されている。暗黒部接地シールド312は、アノードワイヤ322と蒸着領域とが直線上に並んで見えないようにする。これらの距離、長さ、角度、および他の寸法は一例として示されているに過ぎない。それらは、限定的なものではない
【0049】
図5を参照すると、磁石408、好ましくは円形の磁石に囲まれて球形の高電圧電極410などの電極、を備えている中空の円筒体402の小さいオリフィス403からのプラズマの生成を可能にするポイントソースカソード400が記載されている。カソード400は、導電性と伝熱性を備えたグラファイトなどの金属から作製することもできるが、一般的には銅から作製される水冷円筒体402を含むことが好ましい。好ましくは円形の断面を有する管404が円筒体402のボア406の内側に挿入されており、円筒体402の前縁部405が、シリンダ402の出口端部を囲む円形の磁石408の中央線の平面に前縁部405がくるように、円筒体402のボア406の奥に設けられている。管404はセラミック製であることが好ましいが、高温に耐えることができる電気絶縁体の他の材料から作製することも可能である。円筒体402の外面は、プラズマのアーク発生を回避するために石英412で遮蔽(石英のスリーブを使用するなど)ことができる。この配置構成は、線A−Aについて切ったポイントソースカソード400の断面であるとともに水の入口417および水の出口418も示されている図5Aで詳しく見ることができる。
【0050】
この特定の構成を利用することにより、円筒体402の延長部416によって確定される領域414に、安定したプラズマを維持および収容することができる。磁石408が取り付けられていることに加え、円筒体402の構成により、プラズマは、プラズマがポイントソースとして円錐形状に真空中に広がるように集められる。セラミック管404の前縁部405が、円形マグネット408の(その幅に対する)中央と直線状になった場合に最も強いプラズマが生成されることに注目することが重要である。また、磁界の磁束密度は、好ましくは少なくとも約0.15Kガウス、更に好ましくは少なくとも約1.5Kガウスである。磁石408は、セラミック材料で作られることが好ましいが、合金を使用することもできる。セラミック材料は、一般に、温度安定性に優れ、キュリー温度(すなわち、磁性が失われる温度)が高いので、好適である。
【0051】
本発明の特に好適な実施形態は、アノードシステム(図1の60または図4の322)、好ましくは米国特許第5,464,667号(Kohler他)の図4に記載の調節可能なアノードシステム、を含んでいる。アノードシステム、特に調節可能なアノードシステムは、安定したプラズマの維持および均一なコーティングに寄与する。しかしながら、ここで使用されるアノードシステムの好適実施形態では、米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載の閉鎖されたガラスボックスが省かれている。2つのタングステンワイヤをアノードとして機能させることが一般的であり、また、好ましい。それぞれのワイヤは、所望の温度を提供するのに十分な直径と、所望のコーティング幅と提供するのに十分な長さを持っている。一般に、約800〜1100℃の温度の場合、プラズマから維持される電流が10〜20Aで、直径約0.1〜0.3cmの2本のタングステンワイヤがアノードとして有効に機能する。ワイヤの一部は、米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載されているように覆うこともできる。繰り返すが、ワイヤの直径および長さは、一例として示されているに過ぎない。それらは限定的なものではない。プラズマがカソードで生成されて、アノードに向けてアノードを通過して送り出されるのであれば、どのようなアノードを使ってもよい。
【0052】
ここに記載されているようにプラズマを生成する、1つ以上の別の蒸発器/中空カソード管、スロット、ポイントシステムも、本発明のシステムに含まれることを理解されたい。複数のシステムを利用することにより、基板上に1層以上を形成することも可能であるし、または、蒸着速度を早くすることも可能である。
【0053】
本発明のプロセスおよびシステムは、高密度アモルファスコーティング、積層コーティング、均一な多成分コーティング等といった種々のカーボン含有および/またはケイ素含有コーティングリッチコーティングのいずれかを作製するために使用できる。
【0054】
コーティングの組成は、中空カソードに通すフィードガスおよび蒸発器で蒸発させる有機材料の、濃度と組成によって制御できる。コーティングの密度は、真空室の圧力と、直流および高周波電源から供給される電力(電流と電圧)とによって制御される。高密度のコーティングを形成するための条件は、一般に、出発材料の濃度に対するバイアス電力のバランスがとれるように選択される。すなわち、固有電力密度には、バイアス電力密度と、反応時間と、出発材料の濃度とが含まれている。一般に、固有電力密度は、バイアス電力密度を高くして反応時間を長くすることによって増加し、出発材料の濃度を高くすることによって減少する。一般に、電力密度が高くなるほど、コーティングが高密度になる。
【0055】
バイアス電力密度は、一般に、約0.1〜10W/cm2(好ましくは、約0.5〜50W/cm2まで)である。バイアス電圧は、一般に、約−50〜−2000V(好ましくは、約−100〜−1000V)である。バイアス電流密度は、一般に、約0.1〜50mA/cm2(好ましくは、約1〜5mA/cm2)である。ジェットプラズマ電圧は、一般に、約−50〜−150(好ましくは、約−80〜−100V)である。ジェットプラズマ電流は、一般に、少なくとも約0.1A(好ましくは、0.5A)である。ジェットプラズマ電流の上限は、一般に、電源の限界によって指示される。
【0056】
真空室の圧力は、一般に、約1Torr(130Pa)未満である。反応室の圧力は、約8mTorr(1.0Pa)未満であることが好ましい。概して、圧力が小さいほど(すなわち、真空度が高いほど)、コーティングの密度が高くなる。基板のウェブ速度(すなわち、コーティング速度)は、通常、約1フィート〜1000フィート/分まで(好ましくは、約0.3〜300フィート/分)である。好ましくは、ウェブ速度は約0.9〜6m/分である。反応時間は、一般に約0.01〜10秒、好ましくは約0.1〜1秒である。
【0057】
以下に説明され、図6に示されているように、高バイアス電力を印加することは、優れた遮断特性を得るための要素である。高いバイアスワット数を実現するため、空中カソードは、通常、フィルム基板/チルロールが直線上に並んで見えるように配置されている。この配置構成により、ジェットプラズマと、バイアスをかけられたフィルム基板とを、十分に相互作用させることができる。プラズマが無い場合には、印加可能な電力ワット数が著しく減少する。バイアスがかかっているフィルム基板からジェットプラズマを遮蔽すると、バイアス電力も減少する。これは、バイアスがかかっているフィルム基板へのジェットプラズマ流を最大にするには、特殊な装置構成が必要であることを示すものである。ジェットプラズマシステムは、プラズマの閉込めと指向性の両方を提供することが好ましい。本発明のポイントソース以外のプラズマソースおよび米国特許第5,232,791号(Kohler他)、同第5,286,534号(Kohler他)および同第5,464,667号に記載のものを利用した従来のシステムは、閉込めと指向性を組合せることをしなかった。このように、本発明の好適システムは、これらの要素(parameter)に対して改良がなされている。
【0058】
上に述べたように、プラズマは、キャリアガスまたはキャリアガスとフィードガスとの混合物から生成される。本明細書では、これを「プラズマガス」と呼ぶ。キャリヤガスの流速は約50〜500sccm(標準立方センチメートル)、好ましくは約50〜100sccmであり、フィードガスの流速は約100〜60,000sccm、好ましくは300〜2000sccmである。例えば、約20〜800Å/秒のカーボン蒸着速度の場合、フィードガスの流量は約50〜350sccmで、キャリヤガスの流量は約50〜100sccmで、フィードガスの流量を大きくするとともにキャリヤガスの流量を低くする(通常は蒸着速度が高くなる)。通常、コーティングを硬くするには、キャリヤガス流量を増加するとともにフィードガス流量を減少する。
【0059】
フィードガスすなわちカーボンソースは、任意の飽和または不飽和炭化水素ガスである。そのようなガスは、例えば、窒素、酸素、ハロゲン化物、ケイ素を含み得る。適当なフィードガスの例として、限定的ではないが、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、ブタジエン等の飽和および不飽和炭化水素、メチルアミンやシアン化メチルなどの窒素含有炭化水素、ヨードメタンやメチル臭化物等のハロゲン含有炭化水素、メチルアルコールやアセトンなどの酸素含有炭化水素、およびテトラメチルシラン、クロロトリメチルシラン、テトラメトキシシランなどのケイ素含有炭化水素などがある。フィードガスは、使用する温度および圧力においてガス状であるもの、または容易に気化する液体であればよい。特に好適なフィードガスはアセチレンである。
【0060】
前述のように、キャリヤガスはフィードガスと一緒に使用することができる。例えば、キャリヤガスからの補助的なプラズマ無しで、脈動直流電源または濾過直流電源を用いてフィードガスプラズマを約−100ボルトに維持するのは困難である。例えば、フィードガスだけを使用する場合、1Aの脈動直流電源では、ときとして電圧が約−100ボルトまで上昇し、10Aの非脈動濾過電源では、ときとしてプラズマが消滅する。
【0061】
キャリヤガスは、任意の不活性ガス、すなわち本発明によるプロセスの圧力および温度条件下では、通常、選択フィードガスと反応しないガスでもあってもよい。適切なキャリヤガスとして、限定的ではないが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、窒素などがある。一般に、分子量の高い分子(例えば、アルゴン)が好ましい。「不活性」および「キャリア」という用語は、そのようなガスが蒸着プロセスにまったく寄与しないとことを意味するものではない。
【0062】
本発明の方法により形成されるコーティングの厚さは、通常約5nm以上、好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは約10〜40nm、最も好ましくは約10〜20nmである。基板は指定の速度でプラズマの中を通過し、所望の厚さのコーティングが形成される。図1において、基板75をロール76からロール78に搬送する速度は、約10〜4000mm/秒であるが、前述のガス流量と圧力、および装置の場合は、一般には約10〜1500mm/秒である。
【0063】
実施例
以下の非限定的な実施例によって本発明を更に説明する。これらの実施例は、種々の好適な特定実施例および技術を説明するために提案されるものである。しかしながら、本発明の範囲内で多くの変形や修正が実施可能であることを理解すべきである。
【0064】
試験手順
ここで、以下のいくつかまたは全部の実施例で利用した試験を簡単に説明する。
【0065】
ミネソタ州ミネアポリスのモダン・コントロールズ社(Modern Controls, Inc.)製造のPermatran W6 Permeability Testerを使用して、コーティングの水蒸気透過性を測定した。ASTM試験方法F1249−90は、アルミ箔と標準較正用のPETフィルムを、脱イオン水を脱イオン水を半分まで満たしたセルで終夜、サンプル調整を行い、15psi(1.0×105)の窒素ガス圧を利用して60分試験を実施することを含む。
【0066】
2つのASTM試験法を組み合わせて、耐摩耗性を測定した。テーバ式摩耗試験ASTM D4060−95を、”CALIBRASE” CS−10Fホイール付き”TABER”摩耗試験器モデル503[ニューヨーク州ノーストナワンダのテレダインテーバ社(Teledyne Taber)]と一緒に使用した。総荷重500gを2つのCS−10Fホイールに均等にかけた。周期は0〜100サイクルとした。第2の試験法は、ガードナー透過率計”HAZAGARD”システム、モデルXL211[ミッドランド州シルバースプリングのパシフィックサイエンティフィック、ガードナー/ネオタックインストラメントディビジョン(Pacific Scientific, Gardner/Neotac Instrument Division)]を利用するASTM D1003であった。この方法では、試験片をテーバ摩耗する前後で光の散乱率を測定した。測定値が低いほど、耐摩耗性および硬度が高い。
【0067】
次に、90°ピール粘着試験法によって粘着性を測定した。フィルムサンプルのコーティングされていない面を、両面接着テープでステンレススチールのパネルに取り付けた。接着力の強いシリコーンベースの感圧接着テープを、通常、7ポンドのローラを使用してコーティング面に貼り、テープの各方向に2回ずつロールをかけた。試験片は、幅1.27cm、長さ約30.5cmであった。Instron Instrument, Model 1122を使用して、12インチ/分の速度でシリコーンベースのテープをコーティングから90°剥離によってはがした。
【0068】
硬度は、クシロ社[CSIRO(オーストラリア)]の超マイクロ硬度計UMIS2000を使って測定した。圧痕法は、円錐角65°のベルコビッツ(Verkovich)圧子を利用した。圧子はダイヤモンドから作った。硬度値は、ロード/アンロードデータを分析することによって求めた。
【0069】
密度は、浮遊法によって測定した。粉末状のサンプルを種々の濃度の液体に懸濁し、懸濁粒子の動きを観察した。上方への移動は、粒子が液体より小さい密度であることを示し、下方への移動は、粒子が液体より大きな密度であることを示す。動かない場合は、同じ密度であることを示す。粒子が液体の一番上に上昇した時点または底に沈んだ時点から12時間後に最終的な測定を行った。増分式に密度の異なる複数の液体を利用することにより、粒子の密度の見解計算を推定することができた。使用した種々密度の液体を表1に記載する。
【0070】
【表1】
Figure 2001514328
【0071】
フィルム基板上のジェットプラズマコーティングの厚さおよび均一性は、シリコーンウェーハ上のコーティングによって生成される干渉色から評価した。シリコーンウェーハの小片を、コーティング蒸着前にフィルム基板上の戦略上重要な位置に配置した。そのような方法は、厚さ1500Åまでのコーティングに適している。それより大きなコーティング厚については、カリフォルニア州マウンテンビューのテンカーインスツルメンツ社(Tencor instruments)製造のステッププロフィロメータを使用した。この計器で、コーティングと、蒸着時に接着テープでマスキングされ、コーティングされていない隣接領域とによって形成される段差を測定した。
【0072】
屈折率を求め、また、シリコンウェーハ上のコーティングから求めた偏光値からコーティングの厚さも求めた。前述の測定は、イリノイ州シカゴのガーテナーサイエンティフィック社(Gaertener Scientific Corporation)製造の偏光解析器モデル116Bで行った。
【0073】
静摩擦係数は、斜面法によって測定した。通常は、幅2cm、長さ5cm程度のサンプルを、傾斜可能な水平面上に固定した。U形のスチールワイヤ(直径1mm)の自由端を固定アームに取り付けた。U形ワイヤの丸い方の端部(ペーパークリップ状)を、サンプルの表面に、自己支持式に垂直においた。U形スチールワイヤがすべり始めるまで傾斜面を起こした。静摩擦係数は、滑動が開始する角度のタンジェントである。
【0074】
実施例1
図4に記載のシステムで、幅30cm、厚さ0.04mmの未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)上にシリコーンコーティングを蒸着した。このシステムは、ポイントソースカソードや給油システムを含むいくつかの変更が施されているが、米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載されている蒸着室と同様である。
【0075】
このシステムは、直径48.2cm、幅33.5cmのバイアスチルロールを備えていた。蒸着領域を覗き、高周波バイアス電極の表面の約76%をアルミシートで覆った。アルミシートは接地を施して、電極表面から約0.6cm離して配置して暗黒部を設け、表面領域の残りの24%の上にバイアスワット数を集めた。高周波バイアス電極の中心から給油システムのスロット開口に向かって、覆われていない表面領域を二分する仮想水平面を引くことができた。ポイントソースカソードを、仮想平面の約7.5cm上に、高周波バイアス電極の平面から約7.5cm離して配置した。ポイントソースカソードは、中空の円筒形に加工し、その水平位置から約60°傾けて、アノードワイヤおよび蒸着領域に向けてプラズマが確実に下向きに広がるようした。アノードワイヤを、仮想面の約17.5cm下に、チルロールから約5cm離して配置した。接地済みのアルミニウムシートにより、アノードワイヤが蒸着領域と直線上に並ばないようにした。
【0076】
米国特許第5,464,667号(Kohler他)の中空カソードスロットと異なり、小さなオリフィスからのプラズマ生成を可能にする中空カソードポイントソースを使用した。図5に記載されていうように、カソードは、長さ5cmの水冷銅円筒体より構成した。この円筒体の内腔にセラミック管を挿入した。セラミック管の内項は0.35cmであった。カソードの前方端部に、外径5.0cm、内径2.0cmの円形の円形のセラミック磁石を図5に示されているように取り付けた。磁石中心の磁束密度は、測定により、0.45Kガウスであった。プラズマのアーク発生を回避するために厚さ0.3cmの石英でカソードの外面を被覆した。カソードの先端から真空中にポイントソースとして達し、高周波バイアス電極とアノードワイヤの近傍に集まっている150sccmのアルゴンにより、安定したプラズマを維持した。
【0077】
カソードの先端から真空中にポイントソースとして達し、高周波バイアス電極とアノードワイヤの近傍に集められた150sccmのアルゴンにより、安定したプラズマを維持した。直径0.1cm、長さ40cmのタングステンワイヤ2本を、プラズマによって維持される電流10〜20Aにより温度800〜1100℃に達するアノードとして機能させた。タングステンワイヤの中間部分は、石英の管状物で被覆した。
【0078】
液体を蒸気の形態で真空室に供給するために、給油システムを開発して、オイル供給速度したがってオイルの蒸発を制御した。これは、図1と4,詳細には図2と3に記載されている。図2と3に示されているバルブ構成により、脱気されるようにオイルを真空にさらした。これは、最初に真空室30(図1)を真空にし、その後に、バルブV3を所望の調整流用に設定した状態で、バルブV1とV2を開いてバルブV4を閉じることによって行った。真空室は安定化され、すべての残留ガスが抜けるまでオイルからガスを抜いた。液体上方における圧力とニードルにおける圧力を等しくすることによって、給油ニードルからオイルが排出されるのを防止した。バルブV1を閉じて、バルブV2、V3、およびV4を開くなどしてバルブ構成を変更することにより、オイル上方の空間に空気を導入した。オイル上方に望ましい圧力がかかるように、真空計141で測定しながら流量調節バルブであるバルブV3を調節して圧力を制御した。望ましい圧力に達した時点で、バルブV2を閉じた。また、計器とニードルの温度を適切に選択することによってオイル供給速度を制御した。ニードルの温度は、取り付けた水温制御銅スリーブで調節した。
【0079】
図2に記載されているように、蒸発器は、バリアック制御式のカートリッジタイプの2つの抵抗ヒータによって加熱される複数のアルミスペーサから構成した。給油ニードルを収容している銅スリーブを、このヒータの入口ポートの中に配置した。入口ポートは、ヒータの後部に配設し、ヒータの銅スリーブの間の熱交換を防止するためにシリコンゴムのスリーブインサートを詰め込んだ。しかし、ニードルの先端は、オイルを一定かつ均一に蒸発させるために、加熱される入口ポートに直接接触している。別個に形作られたスペーサにより、オイル蒸気が瞬間蒸発器の幅全体にわたって上方および下方に数回案内された後、図1に記載されているようにスロットを通って真空室に案内されるように、複数の間隔を与えた。
【0080】
米国特許第5,464,667号(Kohler他)に記載されているように、最大出力20Aの脈動直流電源によってカソードのポイントソースに通電した。Airco Temescal CL−2A電源は磁気漏れ型変換器であり、交流電力を全波ブリッジ整流器に供給して変換器の出力電圧の絶対値、すなわち0Vから開始して約5000Vの負のピーク値に向かう開路の負の絶対値である出力をもたらす。この電源は、100Ωの純粋な抵抗負荷下で、500mAに制限された電流で、電圧−200Vまで上昇する。負荷としてのプラズマにより、電源の出力電圧は、装置の破壊電圧まで上昇し、その後、500mAに制限された電流により、定常状態のアーク電圧まで急激に降下する。このように、採用された磁気漏れ変圧器は、一般的なグロー放電システムの抵抗安定器と同様な方法で、負荷またはプラズマによる電流を制限するように作用する。更に詳細には、電源出力電圧のサイクル(T0開始)が120Hzの波形で進むと、時間が経過するのにともなって、電圧は、定常状態のアーク電圧を著しく上回る負の電圧値まで増加する。この時点で、プラズマジェットに電圧破壊が起こってアークが生じ、電源出力は、定常状態アーク電圧約−100V、電源変圧器の飽和電流役500mA(CL−2A電源の場合)まで降下する。サイクルで時間が経過するにつれて電源電圧がアーク電圧以下に降下し、アークは消滅する。電源出力電圧が下がり続けてT0+1/120秒で0Vに達すると、プロセスが再開される。このサイクル全体の時間は、1/120秒、すなわち、電源へ交流所要電源電圧の周波数の2倍である。電源1Aの作用とおよび電源20Aの作用は、限界電流がそれぞれ1Aおよび20Aであることを除いて全く同じである。
【0081】
電源の陽極をアノードワイヤ結合した。高周波バイアス電極を5℃に冷却し、RFバイアス電源(例えば、ニューヨーク州ロチェスタのイー・エヌ・アイ・パワーシステムズ社(ENI Power Systems)製のPLASMALOC 3)に結合した。真空室全体を電気的に接地した。真空室の減圧時、オイル容器の圧力は真空室の圧力と同じだった。オイル(商品名”DC200”でダウコーニング社(Dow Corning)から市販されている、粘度50cSt(センチストローク)、分子量3780のジメチルシロキサン)を、真空室の真空引きのときに脱気した。約15分間の脱気後、オイル容器の上部に、圧力が325Paになるまで空気を導入した。ゲージ22の給油ニードルを20℃に維持し、結果としてオイル供給速度0.36ml/分を得た。オイル蒸発器を約370℃に加熱した。アルゴン150sccmをポイントソースカソードに導入し、−100V、15Aで安定したプラズマを生成して維持した。真空室の圧力は、0.13〜0.26Paであった。ウェブ速度約3m/分で、図6のようにバイアス電力を変更することによって一連の実験を実施した。
【0082】
図6に示されているように、プラズマ重合シリコーンコーティングの遮断特性は、バイアス電圧およびワット数が高くなるほど向上した。すべてのコーティングの接触角度は、約95°(水)であることが測定された。コーティングされていないPETフィルムの接触角度は75°であった。
【0083】
ワット数400W、速度6m/分で、同一オイルの別のサンプルを用意した。ウェブ方向を5回反転することによって、11層のコーティング(サンプルA)を得た。PETフィルム上に置かれた、同時にコーティングしたシリコンチップの段を形状測定することによって、コーティングの厚さが約3800Åであることを求めた。11層のコーティングサンプルから、単層のコーティングは約690Åであると予測した。元素分析のためのラザフォード後方散乱法により、サンプルAのコーティングを分析した。分析から、原子百分率で、炭素30%、ケイ素30%、酸素40%であることを得た。化学式−(Si(CH3O)O)n− を有するモノメチルシリコーンの理論収量は、炭素28.6%、ケイ素28.6%、酸素42.8%である。このデータと、IRスペクトルと、以下の表6記載のピーク位置から、サンプルAの組成がモノメチルシリコーンの組成と似た組成を有していることが示唆される。
【0084】
以下の表2に、コーティングされていないPETフィルムと、バイアスワット数400Wで作製したPETフィルム上の1層および11層の、テーバ式摩耗試験の結果を示す。ヘーズ率(percent haze)が低いほど、耐摩耗性が大きかった。このように、ジェットプラズマシリコーンコーティングの耐摩耗性は、コーティング厚の増加するにつれて大きくなった。
【0085】
【表2】
Figure 2001514328
【0086】
シリコンウェハ上の11層のコーティング(3800Å)の硬さは、8.14GPaであった。以下の表3に示されているように、シリコーンコーティングの硬さを、コーティングされていないシリコンチップ、VWRサイエンティフィック社(VWR Scientific)から求めた顕微鏡用スライドガラス(カタログ番号48300−C25)、および比較例Aに記載されているように蒸着された従来のモノメチルシロキサンのハードコートの硬さと比較した。
【0087】
【表3】
Figure 2001514328
【0088】
このデータから、シリコーンコーティングは顕微鏡用スライドガラスよりもかなり硬いが、シリコンウェハよりも柔らかいことが分かった。
【0089】
バイアス電力50Wおよび400Wで作製された単層のシリコーンコーティングと、バイアス電力400Wで作製された11層のシリコーンコーティングについて、PET基板への粘着性を評価した。KRATONをベースに使用しているテープ(ミネソタ州セントポールの3M社から市販されているSealing Boxテープ #351)により、90°剥離強度の測定を実施した。剥離強度値は、約2.6kg/cmであった。接着剤の凝集不良による層間剥離が発生した。このように、シリコーンコーティング/PETの結合力は、測定剥離強度を超えるものであった。
【0090】
比較例A
従来通りに調製されたモノメチルシロキサンの組成が、ジェットプラズマ重合シリコーンの組成と似ていることが分かった。しかし、従来のモノメチルシロキサンコーティングの特性と、特定のジェットプラズマ重合シリコーンコーティングとを比較したときに、重大な違いが認められた。
【0091】
15mlのトリメトキシメチルシラン((CH3O)3CH3Si)を85mlの水に加え、氷酢酸によりpH4に調整し、この混合物を、溶液が透明になるまで約5分間攪拌する。溶液の3分の1を、100℃のオーブンに12時間置いた。無色の残さ物が得られ、それを何回かの分析に使用した。密度値は1.14〜1.31g/cmであり、IRスペクトルはジェットプラズマ重合シリコーンのものとほとんど同じであった。WAXS(広角X線散乱)により、8.7Å(オングストローム)でブロードピークを確認した。燃焼分析によって水素を測定し、水素が4.2重量%であることを求めた。重量分析とICP分析とによってケイ素を測定し、ケイ素が40.4重量%であることを求めた。化学式 −(Si(CH3O)O)n− を有するモノメチルシリコーンの理論値は、酸素が4.47重量%、ケイ素が41.9重量%であるので、サンプルはモノメチルシリコーンと思われる。
【0092】
加水分解トリメトキシメチルシラン溶液の残りに、数滴の1N KOH溶液を加えることによってpH8〜9に調整し、コーティングを作製するのに使用した。
【0093】
シリコンウェハへのコーティング: シリコンウェハを、3N KOH溶液に約1分間浸し、蒸留しですすぎ、加水分解トリメトキシメチルシラン溶液中で約10秒間浸けた。ウェハをオーブンの中に入れ、100℃で12時間加熱した。コーティングの厚さは均一ではなく、干渉色によれば、約100Å〜数ミクロンの幅があった。コーティングの硬さは約1.33GPAであった。
【0094】
PETフィルムへのコーティング: PETフィルム(0.074mm)にエアコロナ処理を施し、加水分解トリメトキシメチルシラン溶液に10秒間浸した。フィルムサンプルをオーブンの中に吊り下げて、100℃で12時間加熱した。連続的なコーティングを得た。フィルム厚さゲージ(ソニーマグネスケール社(Sony Magnescale Inc.)のデジタルインジケータU12A)により、厚さが約1〜2μであることを測定した。コーティングは、ガス拡散遮断特性を有しなかった。コーティングしたPETとコーティングしていないPETで、水蒸気透過度の値は全く同じで、約8g/(m2・日)であった(ミネソタ州ミネアポリスのモデムコントロール社(Modem Controls, Inc.)製のPermatran W−6透過性テスタで測定)。
【0095】
次の表4に、従来のモノメチルシロキサンと、一般的なジェットプラズマ重合シリコーンの特性の比較の概要を示す。
【0096】
【表4】
Figure 2001514328
【0097】
実施例2
幅30cm、厚さ14×10-3cmで、SiO2の滑剤(ドイツ国デグッサ社(Degussa)のOX−50)を約1%以下含む、ビデオグレードのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、カーボンリッチコーティングを蒸着した。まず、フィルムはコロナ処理して保管用にラップし、蒸気遮断特性を有するパッキングフィルム(ミネソタ州セントポールの3M社製)の中で処理した。この実験は、中空カソードスロットを、実施例1に記載の中空カソードポイントソース(すなわち、ポイントソースカソード)に置き換えた点を除き、参照により本願明細書に引用したものとする米国特許第5,464,667号(Kohler他)の実施例3と同様であった。ポイントソースカソードの開発により、カソードシステムが単純化され、アルゴンプラズマ用電源付きアルゴンプラズマの部屋およびアセチレンの部屋などの中空カソードスロットシステムのいくつかの構成要素が取り除かれた。
【0098】
ポイントソースカソードは、バイアス印加チルロールから約17.5cm離して配置した。真空システムを約1mTorr(0.13Pa)に真空排気した後、35sccmのアルゴンと1000sccmのアセチレンとを一緒にポイントソースカソードに導入した。カソードのオリフィスから安定したプラズマが発生および維持され、蒸着領域に向かって円錐状に広がった。直流脈動電源は、15A、−75〜ー95Vに設定した。高周波バイアス電極は、−300Vでバイアスした。消費電力は、320〜400Wであった。ウェブ速度は約15m/分とした。圧力は、2.3Paと3.0Paの間で変化した。この実験は約3〜4時間かけて実施され、その間、コーティングの遮断性に著しい変化はなかった。水蒸気透過度が約30g/(m2・日)である非コーティングサンプルと比較し、コーティングサンプルの水蒸気透過度は約1g/(m2・日)で一定のままであった。長時間にわたる安定プラズマ(すなわち、約3〜4時間)は、ポイントソースカソードの重要利点である。円形磁石が無いと、小さいオリフィスが数分間のうちにカーボンで閉鎖する。
【0099】
実施例3
デュポンドヌムールズ社(DuPont de Nemours)(デラウェア州ウィルミントン)から商品名KAPTONフィルムで市販されている幅15cm、厚さ2.54×10-3cmのフィルム上にシリコーンコーティングを蒸着した。給油システムが追加された点を除き、蒸着システムの他のすべての構成要素は、米国特許第5,464,667号(Kohler他)の実施例1に記載されているものと同一であったが、蒸着システムの配置構成を変更した。中空カソードスロットシステムは、チルロールから9cm離した。高周波バイアス電極の中止からカソードに向かって仮想水平面を引くと、カソードスロットは、この平面の約1.6cm下にあった。アノードワイヤは、カソードスロットから約4cm離れ、仮想平面の約6cm下にあった。パイレックスガラスの板(幅20cm、長さ5cm、厚さ0.3cm)を、ガラス板とチルロールの間に約4cmを残してカソードボックス前部から高周波バイアス電極に達する仮想平面と平行に、この平面の約0.6cm下に配置した。オイル蒸発器をガラス板に配置した。蒸発器のスロットを、仮想面の約1.2cm上に、チルロールから約4cm離して配置した。別のガラス板を上方向45°に配置し、ガラス板間に約1.5cmのスロット開口を残した。この配置構成により、バイアス印加チルロールと接触しているフィルム基板上でオイル蒸気が縮合および重合できた。高周波バイアス電極上方でのその後のオイル蒸気の縮合は高度に回避された。中空カソードスロットは幅約15cmであり、グラファイトプレートは、約0.6cmの間隙を有した。高周波バイアス電極は、直径5cm、長さ18cmで、5℃に冷却した。接地箱すなわちアノードは、幅約20cmで、直径0.1mmのタングステンワイヤを備えた。アノードを含む前部の電源を、共通アースに接続した。真空室を圧力約0.13Paまで真空排気した後、アルゴンプラズマ室、すなわち中空カソードスロットシステムの第1の部屋、に100sccmのアルゴンを導入した。エアコテメスカル社(Airco Temescal)のモデルCL−2A電源(最大出力0.5A)を利用して、プラズマを、−450V、脈動直流電流0.5Aで維持した。中空カソードスロットは、ヒッポトロニクス(Hippotronics)社製の25kW非脈動式濾過直流電源によって賦活した。電流は、約−100Vで8000mAであった。実施例1に記載の手順により、粘度50cts(センチストローク)、分子量3780のダウコーニング社(Dow Corning)のDC200シリコーンオイルを蒸発させた。前述のように、約50cmのKAPTONのフィルムをループ状にして、高周波バイアス電極と、ウェブ駆動システムの2つのロールとにかけて給送した。ウェブ速度、ループ回転数、およびフィルムとチルロールとの接触領域から蒸着時間を求めた。接触領域の長さは3.3cmであった。このフィルムは、楕円偏光解析法およびFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)によって、蒸着されたシリコーンの特殊特性を測定するためのシリコンシップ(silicon ship)とゲルマニウム結晶体とをそれぞれ含んでいる。図5に示すように、バイアス電力をはじめとする蒸着パラメータの変化により、コーティング特性に著しい相違がもたらされた。表5に、バイアス印加サンプルAと非バイアス印加サンプルBの特性の相違を示す。
【0100】
【表5】
Figure 2001514328
【0101】
バイアス印加ジェットプラズマ重合の結果、サンプルBとDC200シリコーンオイルのIRスペクトルは、構造に違いが認められる。吸収ピークの位置および強度を、下の表6に記載する。
【0102】
【表6】
Figure 2001514328
【0103】
バイアス印加プラズマ重合は、吸光率に基づいて、コーティングのメチル濃度を約40%まで減少させ、多少のSi−H結合を導入した。C−HおよびC−H2部分に吸収ピークが無いことにより、シリコン原子とメチル基との間でバンド切断(band cleavage)が生じ、その後に、形成シリコーンラジカルの重合が行われたことが示唆された。ESCAの結果から分かるように、酸素が重合に関係し、おそらくSi−O−Si架橋結合を生じたものと思われた。Si:C:O比が24.95:50.66:24.39である従来のシリコーンポリマーの原子百分率比と比較すると、サンプルBの酸素濃度は著しく高かった。
【0104】
実施例4
チルロールの周囲にKAPTONフィルムを巻いた点除き、蒸着システム、ジェットプラズマ状態、および基板は、実施例3に記載のものと同じものにした。表面の約25%をプラズマにさらし、残りの表面は、約2mmの隙間ができるようにナイロンカバーで覆った。ナイロンカバーは、裸のチルロールを保護するために実施例1で使用されたものと同じものを使用した。電極を約10rpmで回転させながら、約25W、−450Vでバイアスしつつ、DC200シリコーン蒸気を、約15分間、フィルム上にジェットプラズマ重合させた(サンプルA、本発明のプロセスにより作製)。第2の実験では、バイアス電力を約250W、約−1200Vまで上げた(サンプルB、本発明のプロセスにより作製)。コーティングのフィルムをかき落とし、粉末の形で回収した。チルロールの近傍に位置するガラス板から、第3のサンプルを収集した。このサンプルを、非バイアス印加プラズマ重合シリコーンコーティングの典型と考えた(サンプルC、本発明のプロセスにより作製)。以下の表7のデータは、種々のコーティングの炭素および水素分析を比較したものである。表7には、DC200シリコーンオイル(サンプルD、出発材料)と従来のモノメチルシロキサン(サンプルE、比較例Aに記載の従来プロセスを利用して作製)の分析、および全サンプルの密度値も記載されている。
【0105】
【表7】
Figure 2001514328
【0106】
バイアス無し(サンプルC)でDC200シリコーンオイル(サンプルD)をジェットプラズマ重合させると、炭素および酸素の濃度が僅かに変化する。炭素および酸素濃度の著しい減少は、バイアス印加サンプル(サンプルAとB)で顕著であった。C:H原子比は3よりも大きく、これはFTIR分光結果、すなわち、メチル基が失われてSi−H結合が形成されたことを立証するものであった。
【0107】
結晶性の存在を確認するために、広角X線分散法(WAXS)によってサンプルA、B、C、D、Eを検査した。フィリップス垂直回折計と、銅Kα放射線と、散乱放射線の比例検出器記録とを利用してデータを集めた。すべての材料で、7.2Xのオーダーの妨害ピークが生じ、それが観察された唯一の構造的特徴であった。オイルで生じた妨害最大値の位置は、重合時に位置変化しなかった。このことは、オイルに存在する構造特徴が、重合を受けた後にも、そのおおよその配列を維持していることを示すものである。観察されたピークが十分に広かったので、材料は結晶性を有さずに、長さ7Xでそれ自体が繰り返される構造特徴を有していると考えられた。しばしば遮断コーテイングとして使用されるアモルファスカーボンおよびアモルファスシリカは、4.5〜3Xのオーダーの距離に対応する、かなり高い角度、通常は20〜30°で、ピークを生じる。これらのデータは、重合された材料と、アモルファスカーボンおよびシリコン材料とが、明らかに異なっていることを示した。8.7Åで広いピークを示したサンプルEから別の構造特徴を得た。
【0108】
実施例5
脂肪族炭化水素オイルNujolを、実施例3に記載のシステム構成を利用して、実施例3に記載の基板上に蒸着した。手順も、給油を除いて同じであった。液体は、オイル容器の圧力が1300Paのときに、280℃に加熱された蒸発器に導入された。給油ニードルゲージおよび温度は、それぞれ、22℃および20℃であった。123秒以内にフィルムを4ループ回転し、結果的に3.5秒の蒸着時間となった。ジェットプラズマ重合時の圧力は、そのほとんどの時間で0.26Pa以下であった。コーティングの水蒸気透過度は、約40g/(m2・日)であった。この値は、非コーティングフィルムの透水性(>約55g/(m2・日))よりも低く、したがって、炭化水素ポリマーの遮断性を示すものであった。このコーティングおよび最初のNujolのIRスペクトルが示す構造変化は僅かあった。対応吸光率は10%と20%の間であった。
【0109】
実施例6〜8
蒸着手順は、ジェットプラズマフィードガスとしてアセチレン/アルゴン混合物を使用し、アセチレン/アルゴンフィードガスとシリコーン蒸気の2つのソースの間にガラス板の形態の仕切を設置したことを除き、実施例3に記載のものと同じであった。一連の実施例は、多層コーティングの形成を明らかにし、仕切の位置による特性の変化を示した。
【0110】
実施例6
中空スロットシステム、接地ボックス、および高周波バイアス電極を含む装置構成は、実施例3に記載のものと同様とした。給油システムは、シリンジポンプと、このシリンジに結合され、真空室につながっているテフロン管状物(直径約1mm)と、このテフロン管状物に結合され、実施例1に記載の蒸発器に挿入されているゲージ25のマイクロシリンジニードルとから構成されている。DC200シリコーンオイル[50cts、ダウコーニンング社(Dow Corning Inc.)]を、約350℃に加熱した蒸発器に、約0.05〜0.5ml/分で供給した。給油システムの早期開発段階の不備により、シリンジポンプの設定値によって示される流量から、蒸発および蒸着に利用可能なオイルの正確な量を推定できなかったことを重要視すべきである。基板としてPETフィルム(厚さ1.27×10-3cm、幅15cm)を使用し、ウェブ速度3m/分で、第1のロールから連続的に巻き戻して第2のロールに巻き付けた。仕切はできるだけチルロールに接近させた(約0.3cm)。直流脈動電源を利用して流量50sccmでアルゴンプラズマを0.5A、−475Vに維持した。中空カソードスロットを、ヒッポトロニクス社(Hippotronics)製の25kW濾過直流電源によって賦活した。流量200sccmのアセチレンで、プラズマを約8A、約−100Vに維持した。高周波バイアス電極を約10℃に冷却し、約−1000Vでバイアスした。コーティングは、約1350Åの厚さを得た。PETフィルム上のコーティングは、静摩擦係数0.15および水蒸気透過値約2.5g/(m2・日)を有する。コーティングされた(PETフィルム上に設けられた)ゲルマニウム結晶のFTIRスペクトルは、シリコーンオイルDC200の吸光バンド特性を主として示した。トルエンですすいだ後にシリコーンオイルは完全に除去されたが、これは、ジメチルシリコーンオイルの重合が生じなかった強い証拠である。
【0111】
実施例7
この実施例は、ジメチルシリコーンの重合の場合の仕切位置の重要性と感受性を示した。仕切とフィルム基板の間の間隙を広くしたこと(0.9cm)を除き、実施例6と全く同じ条件を利用した。FTIRスペクトルは実施例6のものと同一であった。しかしながら、トルエンで全体をすすいだ後にコーティングの75%が除去された。これは、プラズマカーボンとジメチルシリコーン蒸気の相互作用が増加し、結果として、部分重合されたジメチルシリコーンが生じたことを示すものである。
【0112】
部分重合されたシリコーンコーティングは、すぐれた潤滑コーティングになることが分かっている。表6に、1.27×10-3cmのコーティングされたKAPTONフィルムについて得られた、ソックスレ抽出(トルエン中で約16時間)の前と後の静摩擦係数をまとめた。ウェブ速度を1〜18メートル/分の間で変化させることによって、異なる厚さを得た。コーティングしたシリコーンウェハ上の干渉色から厚さを評価した。表8に、きわめて薄いコーティングの場合、および、高度に重合されたシリコーン部分(マトリクス)と低度に重合または重合されないシリコーンオイルの両方を含むコーティング構造の場合に高度の潤滑性を示す静摩擦係数を示す。
【0113】
【表8】
Figure 2001514328
【0114】
実施例8
この例により、完全重合には、仕切の十分な間隔が重要であることが確認された。条件は、仕切と基板の間の距離が大きい(約1.5cm)ことを除き実施例7のものと同じだった。FTIRスペクトルは、前述のものと非常に似ていた。しかしながら、実施例6および7と異なり、トルエンによるすすぎで、FTIR吸光ピークの強度は、認められるほど減少しなかった。このように、仕切と基板の間の距離を広げたことにより、ジェットプラズマカーボンとジメチルシリコーン蒸気との間に十分な相互作用が生じ、完全に重合および架橋され、基板へのすぐれた付着性を備えたジメチルシリコーン構造が保証された。PETフィルム上のコーティングは、静摩擦係数が0.23、水蒸気透過値約1.5g/(m2・日)であった。シリコーンウェハ上のコーティングの深さプロフィールを、オージェ分光法によって導き出した。スペクトルは、基材に隣接する炭素層とシリコーン層との別個の2層を示し、図7に記載されているように炭素層とシリコーン層の間に小さな界面層領域があった。
【0115】
実施例6〜8の多層コーティングの粘着性を、90°剥離強度試験によって評価し、表9にまとめた。すべてのケースで、コーティングと接着テープの間の境界に層間剥離が発生した。詳細には、実施例8のサンプルで得られた高い剥離強度値は、完全重合されたジメチルシリコーン層とカーボン層との粘着、および、カーボン層とPETフィルム基板との粘着が、少なくとも5.5N/dm以上であることを示した。シリコーンコーティングの高い粘着性と低い固有表面エネルギー値は、剥離コーティングなどの低表面エネルギーコーティングとしての用途を提案するものであった。
【0116】
【表9】
Figure 2001514328
【0117】
実施例9
ポリペリフルオロエーテル(Fomblin)は、従来の重合可能な官能基性を含まずに重合される別のオイルである。優れた潤滑特性を備えた多層コーティングを得た。装置構成およびプロセス条件は、実施例7のものと同様にした。PET基板(3M磁気記録フィルム)および2.5×10-3cmのKAPTONフィルム上に、実験蒸着したCo/Niフィルムを基板として利用した。高周波バイアス電極を−300Vでバイアスした。コーティングのFTIRスペクトルは、Fomblinに典型的な吸光ピークを示したが、コーティングされたゲルマニウム結晶をFC77で洗浄したところ、Fomblinの約75%が洗い落とされた。このコーティングは独特な多層構造を呈し、部分重合されたポリペリフルオロエーテルのトップコートは潤滑剤として機能し、ジェットプラズマカーボンベースは基板に対する保護および下塗り層として機能していた。表10に、FC77でのソックスレ抽出(16時間)の前と後のコーティングの厚さに依存する静摩擦係数値を示す。これに対し、Sony Hi 8 ME Co/Niテープの静摩擦係数値は0.26〜0.32であった。
【0118】
【表10】
Figure 2001514328
【0119】
実施例10
2つのフィードソースを利用する手順によって均質なコーティングを用意した。この方法は、新しいコーティング特性を獲得する方法を与えた。装置構成およびプロセス条件は、実施例3に記載のものと同様であった。中空カソードスロットと蒸発器のスロットを平行に、そして、高周波バイアス電極の近傍(7cm未満)に配置した。仕切は無くした。デュポンのタイプ100Hから得た厚さ2.5×10-3cm、幅15cmのKAPTONフィルムを、ウェブドライブの2つのロールおよび高周波バイアス電極のまわりをループ状に搬送されてマルチパス蒸着されるフィルム基板として使用した。シリコンウェハにもKAPTONフィルムを対応させた。真空室を圧力1mTorrまで真空排気した後、アルゴンプラズマ室、すなわち中空カソードスロットシステムの第1の部屋、に100sccmのアルゴンを導入した。プラズマは、約−475V、脈動直流電流約500mAで維持した。アセチレンを流量150sccmで混合チャンバ、すなわち中空カソードスロットの第2の部屋、に導入した。中空カソードスロットを、第2の脈動直流電源によって賦活した。電流は、約−100Vで1Aであった。高周波バイアス電極は、約5〜10℃に冷却した。バイアス電圧は−1500Vであった。マイクロシリンジポンプにより、ジメチルシリコーンオイルを供給速度0.05〜0.5ml/分でオイル蒸発器に導入した。ゲージ25のシリンジニードルを使用した。作業は、20パス後に終了した。コーティングは、厚さ約2800Åで、0.17 g/(m2・日)というすぐれた水蒸気遮断値を示した。接触角度および静摩擦係数は、それぞれ、99°と0.22であった。オージェ深さプロフィールは、炭素、ケイ素、および酸素を含むコーティング全体が均一な構成であることを示した。
【0120】
以上、種々の特殊で好適な実施形態と技術を参照しながら本発明を説明した。しかしながら、本発明の精神および範囲内にありながら多くの変形や修正を行うことが可能であることを理解すべきである。すべての特許、特許明細書、および出版物を、参照により、個々に組み込まれているように本願明細書に引用したものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のジェットプラズマ蒸着装置の概略図である。
【図2】 本発明の一好適給油システムの拡大透視図である。
【図3】 本発明の別の好適給油システムの拡大透視図である。
【図4】 本発明の別のジェットプラズマ蒸着装置の概略図である。
【図5】 本発明の好適中空カソードポイントソースの側断面図である。
【図6】 透湿時のバイアス効果のプロット図である。
【図7】 シリコンウェハ上の本発明のコーティングのオージェ分光深さプロフィールである。
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