【発明の詳細な説明】
NK-2アンタゴニスト作用を有する
4個の二官能性残基を含む単環式化合物 発明の分野
本発明は、下記の一般式(I)を有する新規化合物に関する。
式中、
X1、X2、X3、X4は互いに同一でも異なっていてもよく、-CONR-、-NRCO-、-OCO
-、-COO-、-CH2NR-、-NRCH2-、-CH2CH2-から選択される基を表し、ここでRはH、
C1-3アルキルまたはベンジルであり;
f、g、h、mは互いに同一でも異なっていてもよく、0、1または2から選択され
る数を表し;
R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよく、-(CH2)r-Ar基を表し、ここ
でr=0、1、2であり、Arはベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ベンゾチオフェ
ン、ピリジン、キノリン、インドール、フラン、ベンゾフラン、チアゾール、ベ
ンゾチアゾール、イミダゾール、およびベンゾイミダゾールから選択される芳香
族基であり、前記Ar基は場合によりC1-3アルキルまたはハロアルキル、C1-3アル
コキシル、C2-4アミノ-アルコキシル、ハロゲン、OH、NH2、NR13R14(R13およびR14
は互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはC1-3アルキルを表す)から
選択される最大2個の基で置換されていてもよく;
R3は、
−水素、
−式CnH2n+1(n=1〜5)を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル、式CnH2n-1(n=5
〜9)を有するシクロアルキルまたはアルキルシクロアルキル基、
−(CH2)r-Arr、ここでr=0、1、2であり、Ar1はベンゼン、ナフタレン、チオフェ
ン、ベンゾチオフェン、ピリジン、キノリン、インドール、フラン、ベンゾフラ
ン、チアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、およびベンゾイミダゾール
から選択される芳香族基であり、前記Ar1基は場合によりC1-3アルキルまたはハ
ロアルキル、C1-3アルコキシルまたはアミノ-アルコキシル、ハロゲン、OH、NH2
、NR13R14(R13およびR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはC1- 3
アルキルを表す)から選択される2個までの基で置換されていてもよい、
から選択される基を表し;
R4は、
−水素またはC1-6アルキル、
−L-Q、ここでLは化学結合または直鎖状もしくは分枝状のアルキルC1-6アルキル
基であり、Qは、
i)H、OH,、OR9、NH2、NR9R10、グアニジン、スルフェート、ホスホネート、ホ
スフェート、ここでR9およびR10は互いに同一でも異なっていてもよく、水素、C1-3
アルキル基、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ジヒドロキシアルキル、C1-3ア
ルキル-CONHR12、C1-3アルキルテトラゾール、C1-3アルキル-COOHを表すか、ま
たは一緒に結合したR9R10は窒素原子と共に4〜6員の飽和複素環(N、O、Sから
選択される1個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい)を形成し、R12はモノ
、ジまたはトリグリコシド基であり、1個以上のC1-3アシル基で保護されていて
も、アミノ基またはC1-3アシルアミノ基で置換されていてもよい、
ii)COOH、テトラゾール、SO2NH2、SO2NHCOOR8、CONHR8、NHCOR8、ここでR8は1
個以上の極性基(OH、NH2、NR15R16、COOH、CONHR12、PO3H、SO3H、OR11から選
択される)を含む直鎖状もしくは環状のC1-6アルキル鎖を表し、R15およびR16は
互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはC1-3アルキル基を表し、R11はC1-3
アルキルまたはC2-4アミノアルキル鎖であり、R12はモノ、ジまたはトリグリ
コシド基であり、1個以上のC1-3アシル基で保護されていても、アミノ基
またはC1-3アシルアミノ基で置換されていてもよく、または一緒に結合したR15R16
は窒素原子と共に4〜6員の飽和複素環を形成し、前記複素環はC1-3アルキル
で置換されていても、少なくとも1個の窒素原子を含む4〜6員の飽和複素環基
で置換されていてもよい、
iii)COOR17、CONHR12、OR12、ここでR12はモノ、ジまたはトリグリコシド基で
あり、1個以上のC1-3アシル基で保護されていても、アミノ基またはC1-3アシル
アミノ基で置換されていてもよく、R17は上記定義どおりのR12基、またはC1-3ア
ルキル、C1-3アルキルフェニルであり、ここでフェニル基はOH、NO2、NH2、CN、
CH3、Cl、Brで置換されていてもよい、
から選択される基を表し;
R5、R6、R7は互いに同一でも異なっていてもよく、水素またはC1-3アルキルを
表す。
本発明には、製薬上許容される塩、それらの調製方法、およびそれらを含む医
薬組成物も含まれる。
式(I)の化合物にはキラル中心が存在するため、個々のエナンチオマーおよび
それらの混合物(ラセミ体と非ラセミ体の両方)も本発明の一部を構成する。従来技術
タキキニンのNK-2受容体は哺乳動物の末梢神経系において広く発現されている
。NK-2受容体の選択的刺激により生ずる種々の作用の一つは平滑筋の収縮である
。それゆえ、NK-2受容体のアンタゴニストは、対応する疾患の発生過程でタキキ
ニンの放出が起こるあらゆる病理学的症状において過度の平滑筋収縮を制御する
ことができる薬剤であると考えられる。
特に、喘息、咳および肺刺激の気管支痙攣性および炎症性成分、腸の痙攣、胆
管の痙攣、膀胱のおよび膀胱炎における尿管の局部痙攣、および腎感染症ならび
に仙痛(腹部の痙攣痛)はNK-2アンタゴニストの投与が有効でありうる症状であ
ると考えられる(E.M.Kudlaczら,Eur.J.Pharmacol.,1993,241,17-25)。
さらに、血液脳関門を通過することができるNK-2アンタゴニストのいくつかは
抗不安薬特性を示した(D.M.Walshら,Psychopharmacology,1995,121,186-
191)。
環式化合物、特に環式ヘキサペプチド(A.T.McKnightら,Br.J.Pharmacol.
,1991,104,355)および二環式ヘキサペプチド(V.Pavoneら,WO 93/212227)ま
たは環式ヘキサシュードペプチド(L.Quartaraら,J.Med.Chem.,1994,37,3
630;S.L.Harbesonら,Peptides,Chemistry and Biology.Proceedings of the
Twelfth American Peptide Symposium,1992,124)は、タキキニンのNK-2受容
体に対するそれらのアンタゴニスト活性が文献において知られている。
驚いたことに、この度、4個のみの二官能性残基がペプチド結合またはシュー
ドペプチド結合を介して一緒に結合されている低分子量の単環式化合物は、ヒト
NK-2受容体に対する相当の選択性に関連した高薬理活性を呈示することが判明し
、それゆえに適切な代替品として提案される。発明の詳細な説明
したがって、本発明は、NK-2受容体に対するアンタゴニスト作用を有し、ペプ
チド結合またはシュードペプチド結合を介して連結された4個の二官能性残基を
含む、先に定義した一般式(I)の新規な単環式化合物を利用することを目的とし
ている。
製薬上許容される塩、それらの調製方法、およびそれらを含む医薬組成物も本
発明の一部を構成している。
式(I)の化合物にはキラル中心が存在するため、個々のエナンチオマーおよび
それらの混合物(ラセミ体と非ラセミ体の両方)も本発明の一部を構成する。
本発明によれば、好ましい化合物は一般式(I)において、
f、g、h、mが互いに同一でも異なっていてもよく、0または1であり;
R1およびR2が互いに同一でも異なっていてもよく、トリプトファン、フェニル
アラニン、チロシン、ヒスチジンから選択される天然アミノ酸の側鎖、またはC1 -3
アルキルもしくはハロアルキル、C1-3アルコキシルもしくはアミノアルコキシ
ル、ハロゲン、OH、NH2、NR13R14(R13およびR14は同一でも異なっていてもよく
、水素またはC1-3アルキル基を表す)から選択される基でモノ置換またはジ置換
されたトリプトファンおよびフェニルアラニンから選択される非天然アミノ酸
の側鎖を表し;
R3が、
−式CnH2n+1(n=1〜5)を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル(メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルからなる群から選択される)
、式CnH2n-1(n=5〜9)を有するシクロアルキルもしくはアルキルシクロアルキル
(シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルからなる群から選択
される)、
−(CH2)r-Ar1、ここでr=1または2であり、Ar1はα-ナフチル、β-ナフチル、フ
ェニル、インドールから選択される芳香族基であり、前記Ar1基はC1-3アルキル
、CF3、C1-3アルコキシル、Cl、F、OH、NH2から選択される2個までの基で置換
されていてもよい、
から選択される基を表し;
R4がL-Q基を表し、ここで
Lは化学結合またはCH2であり、そして
Qは、
−OH、NH2、NR9R10、OR11、ここでR9およびR10は互いに同一でも異なっていても
よく、水素、C1-3アルキル基、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ジヒドロキシアル
キル、C1-3アルキル-CONHR12(R12はリボース、アラビノース、グルコース、ガ
ラクトース、フルクトース、グルコサミン、ガラクトサミンおよびそれらのN-ア
セチル化誘導体からなる群から選択されるDまたはLペントースまたはヘキソース
由来のモノグリコシド基である)、C1-3アルキルテトラゾール、C1-3アルキル-C
OOHを表すか、または一緒に結合したR9R10は窒素原子と共にモルホリンまたはピ
ペリジン環を形成し、R11はC1-3アルキル鎖またはC2-4アミノアルキル鎖である
、
−NHCOR8、ここでR8は2〜4個のOH基を含むシクロヘキサン、極性基(NH2、COO
H、CONHR12(R12は上記定義どおり)または[1,4-ビピペリジンから選択される)を
含むC1-6アルキル鎖である、
−COOH、COOR17またはCONHR12、ここでR12は上記定義どおりであり、R17はR12と
同じか、または4-ニトロベンジル基であり、R12はリボース、アラビノース、
グルコース、ガラクトース、フルクトース、グルコサミン、ガラクトサミンおよ
びそれらのN-アセチル化誘導体からなる群から選択されるDまたはLペントースま
たはヘキソース由来のモノグリコシド基である、
から選択される基であり;
R5、R5、R7が水素である;ものである。
同様に、R3およびR7置換基を有する炭素原子上にR立体配置を示す異性体も好
適である。
式(I)の化合物の製薬上許容される塩としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化
水素酸、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸)および有機酸(例えば、酢酸、プロ
ピオン酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p-トル
エンスルホン酸)との塩、ならびに無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、
カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムの水酸化物)および有機塩基(
例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ト
ロメタミンまたはピペリジンのようなアミン類)の製薬上許容される塩基との塩
が含まれる。
本発明によれば、ペプチド結合またはシュードペプチド結合を含む式(I)の化
合物は、文献に記載される手法を用いて古典的な縮合法により得ることができる
。ペプチド化合物(X1〜X4=-CONR-、-NRCO-)を製造するために我々が選んだ一
般方法は、適切に保護されたアミノ酸、ジカルボキシルまたはジアミン誘導体を
用いて直鎖状のペプチド鎖を溶液中で合成し、C-およびN-末端の選択的脱保護の
後、極性有機溶媒中で希薄溶液において環化することを含む。カルボキシル基の
活性化法として、DMF中のPyBOPおよびDIEAまたはDMF中のHBTおよびEDCを用いる
ことが一般的に好適である。
例を提供するために、式(I)においてX1=X2=X3=X4=-CONH-である化合物の一般
合成を添付スキームに示す。
文献に記載の方法を用いて、R4基を含むジカルボキシル前駆体7およびR3基と
R7基を含むジアミン前駆体4を製造した。
特に、R1=アルキルまたは(CH2)n-Arであるコハク酸誘導体の合成は、R.Conro
wら,J.Org.Chem.,1986,51,938およびS.G.Cohenら,J.Am.Chem.
Soc.,1968,90,3495に記載されており、一方、R4=H、アミン基、ヒドロキシル
基またはカルボキシル基である場合には、それぞれ次のものを使用した。すなわ
ち、適宜に保護された無水コハク酸、アスパラギン酸、リンゴ酸またはカルボキ
シコハク酸である。
R3基とR7基を含むエチレンジアミン誘導体の合成は、対応するN-保護アミノ酸
から出発して、BH3.THFを用いてカルボキシルをアルコールに還元し(C.F.Stanf
ieldら,J.Org.Chem.,1981,46,4797,4799;I.R.Ollmannら,Bioorg.Med
.Chem.,1995,3,969)、対応するメシレートを経てアジドに変換し、続いてア
ミノ基へと還元する(P.G.Mattingly,Synthesis,1990,366;P.M.O'Brienら,
J.Med.Chem.,1994,37,1810)ことにより実施した。
還元されたペプチド結合(X1〜X4=-CH2-NR-、-NR-CH2-)を含む化合物は、公
知の方法に従って溶液中で合成し、例えば、DMF/AcOH中で還元剤としてのNaCNBH4
の存在下に保護アミノ酸またはペプチドのアミン官能基によりアミノ酸のアル
ヒドを還元的アミノ化した(K.A.Jacobsonら,J.Med.Chem.,1983,26,492;R
.F.Borchら,J.Am.Chem.Soc.,1971,93,2897;J.P.Salviら,Tetr.Lett.
,1994,35,1181)。アルデヒドは、J.A.Feherentzら,Synthesis,1983,676
およびInt.J.Peptide Res.,1985,26,236に記載される方法に従って、対応
する保護アミノ酸N,O-ジメチルヒドロキシ-アメートをLiAlH4で還元することで
得られる。
R4がNH2またはCOOHである式10の化合物は、公知の方法に従って、R4がNR9R10
、グアニジン、テトラゾール、NHCOR8、CONHR8、COOR17、CONHR12(ここでR9、R1 0
、R8、R12およびR17は上記定義どおり)である式1の化合物に誘導体化すること
ができる。
上で特定した式(I)の化合物は、タキキニンのNK-2受容体の強力なアンタゴニ
ストであることが判明し、それゆえにタキキニン作動性ニューロンの過度の活性
化による中枢または末梢の徴候を制御しうる薬剤として、特に疾患の発生過程で
タキキニンの放出が起こるあらゆる病理学的症状において過度の平滑筋収縮を制
御しうる薬剤として投与することができる。
特に、喘息、咳および肺刺激の気管支痙攣性および炎症性成分、腸の痙攣、胆
管の痙攣、膀胱のおよび膀胱炎における尿管の局所攣、および腎感染症並びに仙
痛(腹部の痙攣痛)はNK-2アンタゴニストとしての式(I)の化合物の投与が有効
でありうる症状であると考えられる。
中枢神経系への侵入に適した物理化学的特性を有することが判明したこれらの
化合物については抗不安薬としての使用も考えられる。
本発明の主題である式(I)の化合物は、非経口、経口、吸入、舌下経路により
高等動物およびヒトに治療目的で投与するのに適しており、上述した特性に従っ
て薬理効果を奏するものである。非経口(静脈内、筋肉内、皮内)投与のために
は、無菌製剤または凍結乾燥製剤が用いられる。鼻腔、吸入および舌下滴注経路
が関係する場合は、個々の症例に応じて、水溶液剤、エーロゾル剤、粉剤または
カプセル剤が使用される。
上記組成物の活性成分の用量は0.02〜10mg/kg(体重)の範囲でありうる。
本発明は以下の実施例において例示されるが、これらの実施例は本発明を制限
するものではない。実施例1
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式(I)の化合物、ただしX1=X2=X3=X4=-CO-NH-;R1=-CH2-(インドール-3-イル);R2
=R3=-CH2-C6H5;R4=R5=R6=R7=H;m=h=0,f=g=1;炭素原子C-R1およびC-R2はS配置
を有し、C-R3はR配置を有する)
a)BOC-Trp-Phe-OHジペプチドの合成
ジオキサン(30ml)、水(15ml)およびNaOH 1M(15.6ml)中のH-Trp-Phe-OH(5g)の
溶液にジ-tert-ブチルカーボネート(3.4g)を添加し、攪拌しながら0〜5℃に冷却
した。この反応混合物を2時間攪拌しつづけ、その後濃縮してペンタン(2x20ml)
で抽出した。水相を氷冷し、AcOEt(50ml)、KHSO4を添加してpH2〜3とし、分離し
てAcOEt(2x50ml)で抽出した。有機相を合わせ、ブライン(50ml)で洗浄し、減圧
下に乾燥し、30℃で蒸発させて目的化合物6gを白色の半固体残留物として得た
。
TLC:r.f.0.55(クロロホルム/シクロヘキサン/AcOH/H2O=45/45/5/5),0.52
(CHCl3/MeOH=9/1)
b)(R)-1-ベンジル-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-エチルアミンの合成
この合成は、BOC-D-フェニルアラニノールから出発して、P.G.Mattingly,Sy
nthesis,1990,366に記載される方法に従って実施した。
c)BOC-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-Z](5)の合成
窒素下で、無水DMG(l0ml)中のBOC-Trp-Phe-OH(1.19g,2.63mmol)の溶液に、(R
)-1-ベンジル-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-エチルアミン(750mg)、PyBOP
(1.37g)およびDIEA(0.9ml)を添加した。
この反応混合物を室温で一夜攪拌し、AcOEt(80ml)を添加し、この混合物をHCl
1N(3x30ml)、5% Ca2CO3(3x30ml)および水(30ml)で洗浄した。有機相を減圧下に
30℃で蒸発させ、象牙色の固体残留物1.8gを得た。
この粗化合物を加熱下にAcOEtにより、次に室温でMeOHにより懸濁させて洗浄
し、1.15gの目的生成物5を白色固体として得た。MS(TS):[MH+]=718
d)H-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-Z](6)の合成
CHCl3(30ml)中の化合物5(1.1g)の懸濁液に、室温で攪拌しながらTFA(6ml)を加
えたところ、すぐに透明な溶液が形成された。この反応混合物を1.5時間攪拌し
、前駆体の消失をHPLC分析によりモニターした。溶媒の蒸発後、残留物をAcOEt(
100ml)で希釈し、5% NaHCO3(2x30ml)およびブライン(30ml)で洗浄した。
有機相をMgSO4で乾燥し、減圧下に30℃で蒸発させた。固体残留物をフラッシ
ュ-クロマトグラフィー(CHCl3/MeOH=95/5)で精製して821mgの目的化合物6を白
色固体として得た。
TLC:r.f.0.50(CHCl3/MeOH=9/1)
e)HO-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-Z](化合物8、ただしPG2=OH
;PG1=Z)の合成
無水DMF(10ml)中の化合物6(420mg)の溶液に、室温で攪拌しながらNEt3(0.095
ml)と無水コハク酸(68mg)を加えた。この反応混合物を室温で4時間攪拌しつづ
けた。
溶媒の蒸発後、残留物を水に懸濁させ、5分間撹拌した。固体を濾過し、MeOH
を用いて懸濁させて2回洗浄し、242mgの目的化合物8を白色固体として得た。
TLC:r.f.0.50(CHCl3/MeOH=8/2)
f)HO-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH2](9)の合成
化合物8(225mg)をMeOH(10ml)に懸濁させて、10% Pd/C(50mg)の存在下に大気
圧および室温で水素化した。4時間後にHPLC分析にかけたところ、前駆体は完全
に消失していた。
触媒を濾過し、MeOHで洗浄した。溶媒の蒸発後、158mgの目的化合物9が白色
固体として得られた。
融点=142〜144℃;TLC:r.f.0.70(n-ブタノール/AcOH/H2O=6/2/2)
g)シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}(10)の合成
窒素下で攪拌した無水DMF(5ml)中の化合物9(148mg)の溶液に、PyBOP(145mg)
およびDIEA(0.09ml)を加えた。
この反応混合物を5時間攪拌し、溶媒の蒸発後、残留物をAcOEt中に懸濁させ
て10分間攪拌し、濾過して固体の生成物100mgを得た。
この生成物の一部(50mg)をHPLCで精製し、18mgの目的化合物10を白色固体とし
て得た。
実施例1に記載した手順に従って、下記の化合物を製造した。実施例2
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(S)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただし置換基は実施例1で定義したとおりであるが、C-R1、C-
R2およびC-R3原子はすべてS配置を有する)1H-NMR
実施例3
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H11)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしX1=X2=X3=X4=-CO-NH-;R1=-CH2-(インドール-3-イル);R2
=-CH2-C6H5;R3=-CH2-C6H11;R4=R5=R7=H;m=h=0,f=g=1:炭素原子C-R1およびC-R2
はS配置を有し、C-R3はR配置を有する)
実施例4
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H4(4-OCH3))-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしX1=X2=X3=X4=-CO-NH-;R1:-CH2-(インドール-3-イル);R2
=-CH2-C6H5;R3=-CH2-C6H4(4-OCH3);R4=R5=R6=R7=H;m=h=0,f=g=1;炭素原子C-R1
およびC-R2はS配置を有し、C-R3はR配置を有する)
実施例5
シクロ{-Suc-Trp(5F)-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR1=-CH2-(5-フルオロインドール-3-イル)であり、他の
置換基は実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=584実施例6
シクロ{-Suc-Trp(Me)-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR1=-CH2-(N-メチルインドール-3-イル)であり、他の置
換基は実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=580
実施例7
シクロ{-Suc-Phe(3,4-Cl)-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR1=-(3,4-ジクロロベンジル)であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=595実施例8
シクロ{-Suc-Trp-Phe(3,4-Cl)-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR2=-(3,4-ジクロロベンジル)であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=634実施例9
シクロ{-Suc-Trp-Tyr-[(R)-NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR2=-(4-ヒドロキシベンジル)であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=582実施例10
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H3-3,4-ジCl)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-(3,4-ジクロロベンジル)であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=634実施例11
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H4-4-OH)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-(4-ヒドロキシベンジル)であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=582実施例12
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-CH2-C6H5であり、他の置換基は実施例1で定義
したとおりである)MS(ES+):[MH+]=580実施例13
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-2-ナフチル)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-(2-ナフチル)であり、他の置換基は実施例1で
定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=616実施例14
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-インドール-3-イル)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-(インドール-3-イル)であり、他の置換基は実
施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=605実施例15
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-5-F-インドール-3-イル)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-(5-フルオロインドール-3-イル)であり、他の
置換基は実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=623実施例16
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2C6H4-3-F)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2C6H4-3-Fであり、他の置換基は実施例1で定義
したとおりである)MS(ES+):[MH+]=584実施例17
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H3-3,4−ジF)-CH2-NH]-}
(式Iの化合物、ただしR3=-(3,4-ジフルオロベンジル)であり、他の置換基は実
施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=602実施例18
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H4-4-CF3)-CH2-NH]-}
(式Iの化合物、ただしR3=-(4-トリフルオロメチルベンジル)であり、他の置換
基は実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=634実施例19
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH2-CH(CH2C6H5)-NH-]}
(式Iの化合物、ただしX1=X2=X3=X4=-CO-NH-;R1=-CH2-(インドール-3-イル);
R2=R3=-CH2-C6H5;R4=R5=R6=R7=H;f=h=0,m=g=1;炭素原子C-R1およびC-R2はS配
置を有し、C-R3はR配置を有する)
a)(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-フェニル-プロピルアミンの合成
この合成は、BOC-D-フェニルアラニノールから出発して、P.G.Mattingly,Sy
nthesis,1990,366に記載される方法に従って実施した。
b)Z-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-NH-BOC](5)の合成
窒素下で、無水DMF(15ml)中のZ-Trp-Phe-OH(1.4g)の溶液に、(R)-2-tert-ブト
キシカルボニルアミノ-3-フェニル-プロピルアミン(力価65%,1.1g)、PyBOP(1.4
5g)およびDIEA(0.98ml)を添加した。この反応混合物を室温で一夜攪拌し、AcOEt
(100ml)を添加し、この混合物をHCl 1N(3x30ml)、5% Na2CO3(3x30ml)および水(3
0ml)で洗浄した。洗浄中に生成物が一部析出し、それを濾過して有機相と合わせ
た。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物(2.4g)をAcOEtにより懸濁させて洗浄し、P2
O5で減圧下に乾燥させて、1.79gの目的化合物5を白色固体として得た。
TLC:r.f.0.86(CHCl3/MeOH=95/5);r.f.0.78(AcOEt)
c)H-Trp-Phe-[(R)-NH-CH2-CH(CH2-C6H5)-NH-BOC](6)の合成
MeOH(350ml)中の化合物5(1.7g)の懸濁液を、10% Pd/Cの存在下に大気圧および
室温で、前駆体が消失するまで(HPLC分析)水素化した。触媒を濾過し、溶媒を
減圧下で蒸発させた後に、残留物をAcOEtに懸濁して洗浄し、890mgの目的化合物
6を白色固体として得た。
TLC:r.f.0.38(CHCl3/MeOH=9/1);r.f.0.26(AcOEt)
d)HO-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH2-CH(CH2-C6H5)-NH-BOC](化合物8、ただし
PG2=OH;PG1=BOC)の合成
無水DMF(20ml)中の化合物6(840mg)の溶液に無水コハク酸(158mg)とNEt3(0.21
ml)を窒素下で添加した。この反応混合物を室温で一夜攪拌した。30℃で溶媒を
減圧下に蒸発させた後、残留物を40〜50℃の水で処理し、濾過し、MeOH(15ml)に
懸濁して洗浄し、減圧下に乾燥させて600mgの目的化合物8を白色固体として得
た。
TLC:0.63(CHCl3/MeOH=8/2)
e)HO-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH2-CH(CH2-C6H5)-NH2]・TFA(9TFA)の合成
CH2Cl2(15ml)中の化合物8(560mg)の懸濁液に、攪拌しながらTFA(2ml)を添加し
て、透明な溶液を得た。室温で2時間後、溶媒を蒸発させ、残留物をエーテルで
希釈し、濾過し、乾燥して500mgの目的化合物9TFAを象牙色の固体として得た。
TLC:0.58(CHCl3/MeOH=8/2),0.74(n-ブタノール/AcOH/H2O=6/2/2)
f)シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH2-CH(CH2-C6H5)-NH-]}(10)の合成
無水DMF(20ml)中の9TFA(500mg)の溶液に窒素下でPyBOP(447mg)とDIEA(0.37ml
)を添加した。この反応混合物を室温で一夜攪拌した。溶媒の蒸発後、残留物を5
%クエン酸と水に懸濁して洗浄した。生成物をP2O5で乾燥し、AcOEtとMeOHを用い
て加熱下に懸濁して洗浄し、110mgの固体を得た。一部をHPLCで精製して25mgの
目的化合物10を白色固体として得た。
実施例20
シクロ{-Suc-Trp-Phe-[(S)-NH-CH2-CH(CH2-C6H5)-NH-]}
(式Iの化合物、ただしC-R3がS配置をもつことを除いて、置換基は実施例19で
定義したとおりである)
この化合物は実施例19に記載したような手順に従って製造した。
上記実施例1に記載した方法と類似した方法で進行させると、次の化合物が得
られた。実施例21
シクロ{-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]-(CH2)3CO-}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-C6H5およびX3=-CH2-NH-であり、他の置換基は
実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=552実施例22
シクロ{-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-N(CH3)]-(CH2)3CO-}
(式Iの化合物、ただしR3=-CH2-C6H5およびX3=-CH2-N(CH3)-であり、他の置換
基は実施例1で定義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=566実施例23
シクロ{-Suc[l(S)-NH2]-Trp-Phe-[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NH2であり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
a)Boc-Asp[Trp-Phe-[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-Z]-OBz}(化合物8、ただ
しPG2=OBzl、PG1=Z)の合成
無水DMF(30ml)中の化合物6(実施例1d参照)(650mg)の溶液に、Boc-Asp-OBzl
(340mg)、PyBOP(656mg)およびEt3N(0.4ml)を室温で攪拌しながら添加した。この
混合物を室温で2時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた後、残留物を水で処
理して固体残留物を得、これを濾過し、水で洗浄して乾燥した。この固体をエタ
ノールから再結晶すると、640mgの目的化合物8が白色固体の形で得られた。MS(
ES+):[MH+]=923;HPLCを次の条件で行った:シリカカラムC18の粒子サイズ
5μmおよび孔径100A(分析データ:20%炭素およびC18表面付着量3.3μmole/m2)、
長さ:3.9xl50mm;移動相は0.1%(v/v)水性TFA(相A)に対する0.1%(v/v)TFAを含
有するアセトニトリル(相B)の直線勾配、3ml/分の流量にて20分で20%から80%
までのB;220nmでUVにより測定。保持時間:Rt=21.1分。
b)Boc-Asp[Trp=Phe-[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH2]}-OH(9)の合成
化合物8(実施例23aのもの)(600mg)をDMF(2ml)に溶解し、MeOH(30ml)で希釈
し、10% Pd/C(100mg)の存在下に室温、常圧で5時間水素化した。触媒を濾過し
、MeOHで洗った。溶媒の蒸発後、420mgの目的生成物9を白色固体の形で得た。
MS(ES+):[MH+]=663;HPLC(上記と同じ条件):Rt=11.07
c)シクロ{-Suc[1(S)NH-BOC]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2C6H5)-CH2-NH]-}(10)の
合成
無水DMF(900ml)中の化合物9(実施例23b参照)(7.2g)の溶液に、HBT 4gおよ
びEDC 2gを攪拌しながら窒素下に添加した。この混合物を5時間攪拌し、溶媒の
蒸発後、残留物をKHSO4水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。
有機相をブライン、5% NaHCO3および再度ブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発さ
せて、得られた黄色の固体(5.2g)をイソプロパノール/水1:1の混合溶媒から結
晶化させて白色固体3.2gを得た。
MS(ES+):[MH+]=681;HPLC(上記と同じ条件):Rt=14.8
d)シクロ{-Suc[1(S)NH2]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}(10)の合
成
CH2Cl2(20ml)中の化合物10(実施例23d参照)の懸濁液にTFA(7ml)を0℃で攪
拌しながら加え、透明な溶液を得た。その後温度を室温まで上昇させた。この混
合物を室温に90分放置し、その後溶媒を蒸発させ、残留物をNaHCO3および水で処
理し、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて
固体(800mg)を得た。
MS(ES+):[MH+]=581;HPLC(上記と同じ条件):Rt=9.4
サンプル20mgをHPLCで精製して15mgのトリフルオロ酢酸塩、すなわちシクロ{
-Suc[1(S)NH2]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}.TFA(10TFA)を得た。
MS(ES+):[MH+]=581;HPLC(上記と同じ条件):Rt=9.4;1H-NMR
実施例23に記載した手順に従って、次の化合物を製造した。実施例24
シクロ{-Suc[1(R)NH2]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NH2であり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりであるが、炭素原子C-R4はR配置を有する)MS(ES+):[MH+]=581実施例25
シクロ{-Suc[2(S)-NH2]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NH2であり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)MS(ES+):[MH+]=581実施例26
シクロ{-Suc[2(R)-NH2]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NH2であり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりであるが、炭素原子C-R4はR配置を有する)MS(ES+):[MH+]=581実施例27
シクロ{-Suc[1(S)-NH(CH3)]-Trp-Phe[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NH(CH3)であり、他の置換基は実施例1
で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)MS(ES+):[MH+]=595実施例28
シクロ{-Suc[1-COO(CH2-C6H4-4-NO2)]-Trp-Phe-[(R)NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-
}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-COO(CH2-C6H4-4-NO2)であり、他の置換
基は実施例23で定義したとおりである)(C-R4に関してジアステレオ異性体混合
物および2つのエピマーの分離)
a)Boc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH2]の合成
Boc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-Z](5、実施例1c参照)(1.2g)をDMF
(30ml)とMeOH(200ml)の混合溶媒に溶解し、10% Pd/C(200mg)の存在下に室温、常
圧で4時間水素化した。触媒を濾過し、MeOHで洗浄し、溶媒を蒸発させて700mg
の固体残留物を得た。
MS(ES+):[MH+]=584;HPLC(実施例23の条件):Rt=11.1
b)Boc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-COCH[COO(CH2-C6H4-4-NO2)]C
H2COO-tBu
2-(4-ニトロ-ベンジルオキシカルボニル)-コハク酸4-tert-ブチルエステル424
mgをDMF(20ml)に溶解した。この混合物にHOBT(490mg)、EDCおよびBoc-Trp-Phe-[
(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH2]を0℃で攪拌しながら添加した。2時間攪拌しな
がら温度を室温まで上昇させた。溶媒を蒸発させ、残留物を5% KHSO4で処理して
黄色の固体を得、これを濾過し、5% NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥して1.05gの化
合物を得た。
MS(ES+):[MH+]=919;HPLC(実施例23の条件):Rt=20.36
c)H-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-COCH[COO(CH2-C6H4-4-NO2)]CH2
COOH
Boc-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-COCH[COO(CH2-C6H4-4-NO2)]CH2C
OO-tBu(1.05g)を無水トリフルオロ酢酸(20ml)中に0℃で少しずつ添加し、この
混合物を攪拌しながら30分放置し、乾燥させて、残留物をエチルエーテルで処理
した。生成した固体を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、生成物85
0mgを得た。
MS(ES+):[MH+]=763;HPLC(実施例23の条件):Rt=10.6
d)シクロ{-Suc[1-COO(CH2-C6H4-4-NO2)]-Trp-Phe−[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-C
H2-NH-]}の合成
H-Trp-Phe-[(R)-NH−CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-COCH[COO(CH2-C6H4-4-NO2)]CH2CO
OH(100mg)をDMF(5ml)に溶解し、この混合物にPyBOP(80mg)およびEt3N(54μl)を
添加し3時間攪拌した。この反応混合物を乾燥させ、残留物を酢酸エチルに溶解
し、有機相を5% KHSO4、ブライン、5% NaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥さ
せて濃縮した。90mgのエピマー混合物が得られ、これらのエピマーをHPLCで分離
して次の生成物を得た。すなわち、
30mgの凍結乾燥固体、これはHPLC(実施例23の条件)でRt=15.2を示し、MS(ES+)
:[MH+]=745
および
7mgの凍結乾燥固体、これはHPLC(実施例23の条件)でRt=15.7を示し、MS(ES+)
:[MH+]=745実施例29
シクロ{-Suc(1-COOH)-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-COOHであり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりである)〔HPLC(実施例23の条件)でRt=10.7を示すエピマー〕
HPLC(実施例23と同じ条件)でRt=15.2を示すシクロ{-Suc[1-COO(CH2-C6H4-4
-NO2)]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}(50mg)を、K2CO3(19mg)を含
有する水とイソプロパノール1:1の混合溶媒に懸濁し、24時間攪拌した。溶媒を
蒸発させ、残留物を水で希釈し、この溶液を酢酸エチルで洗浄し、1N HClを添加
して固体を分離させ、この固体を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗
浄し、乾燥した。溶媒を蒸発させて35mgの固体残留物を得た。
MS(ES+):[MH+]=610;HPLC(実施例23の条件):Rt=10.7
実施例30
シクロ{-Suc(1-COOH)-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-COOHであり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりである)〔HPLC(実施例23と同様の条件)でRt=11.1を示すエピマー
〕
Rt=15.7を有するシクロ{-Suc(1-COO(CH2-C6H4-4-NO2)]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(
CH2-C6H5)-CH2-NH-]}を実施例29に記載したとおりに加水分解した。
MS(ES+):[MH+]=610;HPLC(実施例23と同じ条件):Rt=11.1
実施例28に記載したようにして、次の化合物を製造した。実施例31
シクロ{-Suc(1-OH)-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-OHであり、他の置換基は実施例1で定
義したとおりである)MS(ES+):[MH+]=582実施例32
シクロ{-Suc(2-COOH)-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしR4=-COOHであり、他の置換基は実施例1で定義したとお
りである)MS(ES+):[MH+]=610実施例33
シクロ{-Suc(2-OH)-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH-]}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-OHであり、他の置換基は実施例1で定義
したとおりである)MS(ES+):[MH+]=582
実施例23、24、25、26、27、29、30および32の化合物は後述するように誘導体
化することができる。実施例34
シクロ{-Suc[1(S)-(2H-テトラゾリル-5-イルメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-
NH-CH(CH2-C6H5)=CH2-NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(2H-テトラゾリル-5-イルメチル)アミノ
であり、他の置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配
置を有する)
a)5-ヨードメチル-1-トリチル-1H-テトラゾールの合成
クロロホルム(100ml)に懸濁した5-クロロメチル-1H-テトラゾール(6.0g)に、
トリチル-クロリド(14.2g)を0℃で窒素下に加え、この混合物が完全に可溶化す
るまで攪拌し、その後クロロホルム(50ml)に溶解したEt3N(7.0ml)を5℃で加え
、温度を室温まで上げて、この混合物を24時間放置した。
この混合物を酢酸エチル(200ml)で処理して6時間放置し、分離した固体を濾
過して除き、溶液にアセトン(70ml)を加え、沈殿した固体を濾過により回収し、
乾燥した9.5gの5-クロロメチル-1-トリチル-1H-テトラゾールを得、これを60℃
のアセトン(200ml)中に可溶化した。この溶液にヨウ化ナトリウム(5.6g)を加え
て6時間還流した。冷却することで化合物を沈殿させ、濾過し、水で洗浄し、乾
燥して5.2gの白色固体を得た。
TLC:R.f.0.55(AcOEt/シクロヘキサン:1/3)
b)シクロ{-Suc[1(S)-(2-トリチル-テトラゾリル-5-イルメチル)アミノ]-Trp-
Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}の合成
無水DMF(5ml)中のシクロ{-Suc[1(S)-NH2]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2
-NH]-}205mgに、攪拌しながら、5-ヨードメチル-1-トリチル-1H-テトラゾール(
147mg)を加え、その後DIEA(0.06ml)を加え、0℃で4時間、室温で3時間維持し
た。この混合物を水で処理し、酢酸エチルで抽出し、有機相をブラインで洗浄し
、乾燥した。溶媒を蒸発させることで固体を得、これをカラムクロマトグラフィ
ーにかけてAcOEt/MeOH=95/5で溶離して精製した。210mgの生成物が得られた。MS
(ES+):[MH+]=905;HPLC(実施例23の条件):Rt=15.4
c)シクロ{-Suc[1(S)-(2H-テトラゾリル-5-イルメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)
-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}.TFAの合成
無水DMF(5ml)に溶解したシクロ{-Suc[1(S)-(2-トリチル-テトラゾリル-5-イ
ルメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}(90mg)に、ジ
オキサン(0.6ml)に溶解した4M HClを0〜5℃で加え、温度を室温に上げ、HPLC
で反応を監視して反応が終了するまで混合物を放置した(室温で14時間、5℃で
は56時間)。その後溶媒を蒸発させ、残留物をAcOEtで処理し、有機相をブライ
ンで洗浄して乾燥した。溶媒を蒸発させると粗製固体が30g得られた。この固体
をHPLCで精製して凍結乾燥固体生成物10gを得た。
MS(ES+):[MH+]=663;HPLC(実施例23の条件):Rt=9.0
実施例35
シクロ{-Suc[1(S)-(モルホリン-4-イル)]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-
NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(モルホリン-4-イル)であり、他の置換
基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
メタノール(20ml)に溶解した過剰の2,2'-オキシジアセトアルデヒド(1mmole)
に、シクロ{-Suc[1(S)-NH2]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}(実施
例23の化合物)58mg、酢酸0.2mlおよびNaCNBH312mgを加えた。2時間後、この混
合物を水(10ml)で希釈し、1N HClで処理してpH3とし、メタノールを蒸発させた
。この溶液を5% NaHCO3で処理し、生成した固体を酢酸エチルで抽出した。有機
相を、ブラインで洗浄し乾燥した後、蒸発させて固体58mgを得、HPLCで精製して
凍結乾燥固体のトリフルオロ酢酸塩10mgを得た。
MS(ES+):[MH+]=651;TLC:R.f.0.20(CHCl3/MeOH=9/1) 実施例35に記載したような還元的アミノ化反応により、次の化合物を製造した
。実施例36
シクロ{-Suc[1(S)-N(CH3)2]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-N(CH3)2であり、他の置換基は実施例1
で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
この合成は実施例23の化合物から出発してパラホルムアルデヒドを用いて行っ
た。MS(ES+):[MH+]=609実施例37
シクロ{-Suc[1(S)-(ピペリジン-4-イル)]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2N
H]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(ピペリジン-4-イル)であり、他の置換
基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
この合成は実施例23の化合物から出発してグルタルアルデヒドを用いて行った
。MS(ES+):[MH+]=649実施例38
シクロ{-Suc[1(S)-(N(CH2CH2OH)2)]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]-}
.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-N(CH2CH2OH)2であり、他の置換基は実施
例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
この合成は実施例23の化合物から出発してグリコールアルデヒドを用いて行っ
た。MS(ES+):[MH+]=669実施例39
シクロ{-Suc[1(S)-(NHCH2CH(OH)CH2OH]-Trp=Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2NH]
-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-NHCH2CH(OH)CH2OHであり、他の置換基は
実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
この合成は実施例24の化合物から出発してD-グリセルアルデヒドを用いて行っ
た。MS(ES+):[MH+]=655実施例40
シクロ{-Suc[1(S)-(3-カルボキシプロパノイル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(C
H2-C6H5)-CH2NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(3-カルボキシプロパノイル)アミノであ
り、他の置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を
有する)
無水DMF(2ml)に溶解した実施例23の化合物(100mg)に、無水コハク酸(30mg)と
ジメチルアミノ-ピリジン(10mg)を加え、この溶液を16時間攪拌した。溶媒を蒸
発させて固体を得、これを酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸、ブラインで洗浄
し、乾燥した。溶媒を蒸発させて固体化合物を回収し(90mg)、HPLCで精製して凍
結乾燥固体60mgを得た。
MS(ES+):[MH+]=681;HPLC(実施例23の条件):Rt=10.8
実施例41
シクロ{-Suc[l(S)-[3-N'-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-カルボキサミドプ
ロパノイル]アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-[3-N'-(β-D-グルコピラノース-1-イル)
-カルボキサミドプロパノイル]アミノ]であり、他の置換基は実施例1で定義し
たとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
実施例40の化合物(90mg)を無水DMF(10ml)中に攪拌しながら窒素雰囲気におい
て溶解し、この混合物に55mgのHBT、25mgのEDCおよび24mgのβ-D-グルコピラノ
シルアミンを添加した。
この混合物を一夜攪拌し、溶媒の蒸発後、残留オイルを10%クエン酸で処理し
て固体を得、これを濾過し、水で洗って乾燥した。得られた80mgをHPLCで精製し
て凍結乾燥固体40mgを得た。
MS(ES+):[MH+]=842;HPLC(実施例23の条件):Rt=8.2
実施例42
シクロ{-Suc[1(S)-[(カルボキシメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5
)-CH2-NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(カルボキシメチル)アミノであり、他の
置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
a)シクロ{-Suc[1(S)-[(ter-ブトキシカルボニルメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R
)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}の合成
無水DMF(3ml)に溶解した実施例23の化合物(130mg)に、DIEA(0.04ml)とブロモ
酢酸ter-ブチル(0.04ml)を加え、この溶液を2時間攪拌した後5% KHSO4中に注入
した。生成した固体を濾過し、NaHCO3、水で洗浄し、乾燥して100mgの生成物を
得た。
HPLC(実施例23の条件):Rt=11.3
b)シクロ{-Suc[l(S)-[(カルボキシメチル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-
C6H5)-CH2-NH]-}.TFAの合成
上記の回収した固体(90mg)をCH2Cl2(5ml)中に懸濁し、TFA(5ml)を攪拌しなが
ら0℃で加え、この混合物を室温で1時間攪拌した。この溶液を濃縮し、得られ
た残留物をHPLCで精製して40mgの凍結乾燥固体を得た。
MS(ES+):[MH+]=639;HPLC(実施例23の条件):Rt=9.4
実施例43
シクロ{-Suc[1(S)-[N'-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-カルボキシアミドメ
チル]アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=−[N'-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-
カルボキシアミドメチル]アミノ]であり、他の置換基は実施例1で定義したとお
りであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
実施例41の手順に従って、実施例42の生成物とβ-D-グルコピラノシルアミン
から出発することで上記生成物を得た。
MS(ES+):[MH+]=800;HPLC(実施例23の条件):Rt=7.6実施例44
シクロ{-Suc[1(S)-(キニル)アミン]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-
}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(キニル)アミンであり、他の置換基は実
施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
キニン酸(50mg)を攪拌しながら窒素雰囲気下で無水DMF(10ml)に溶解し、HBT(2
20mg)、EDC(100mg)および実施例24で得られた化合物(150mg)を加えた。この混合
物を一夜攪拌し、その後溶媒を蒸発させ、残留物を5% KHSO4水溶液で処理して酢
酸エチルで抽出した。有機相をブライン、5% NaHCO3、再度ブラインで洗浄し、
乾燥して蒸発させた。得られた固体(122mg)をフラッシュクロマトグラフィー(Si
O2)にかけ、クロロホルム/メタノール8:2で溶出して目的化合物80mgを得た。
MS(ES+):[MH+]=755;HPLC(実施例23と同じ条件):Rt=10.05実施例45
シクロ{-Suc[1(S)-(4-アミノブタノイル)アミノ]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5
)-CH2-NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-(4-アミノブタノイル)アミノであり、
他の置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4はS配置を有す
る)
実施例44の手順に従って、実施例23の生成物と4-BOC-アミノ酪酸から出発し、
その後保護基BOCを除去することにより上記生成物を得た。
MS(ES+):[MH+]=666実施例46
シクロ{-Suc[1(S)-[(1,4')ビピペリジン-1-イル]アセトアミド]-Trp-Phe-[(R)-
NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}.TFA
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-[(1,4')ビピペリジン-1-イル]アセトア
ミドであり、他の置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素原子C-R4は
S配置を有する)
実施例44の手順に従って、実施例23の生成物と[(1,4')ビピペリジン-1-イル]
酢酸から出発することにより上記生成物を得た。
MS(ES+):[MH+]=789実施例47
シクロ{-Suc[1-N-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-カルボキシアミド]-Trp-Ph
e-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-N-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-カ
ルボキシアミドであり、他の置換基は実施例1で定義したとおりであるが、炭素
原子C-R4はS配置を有する)
実施例44の手順に従って、実施例29の生成物とβ-D-グルコピラノシルアミン
から出発することにより上記生成物を得た。
MS(ES+):[MH+]=771実施例48
シクロ{-Suc[1(S)-[N'-(2-N-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-カルボ
キシアミド]-Trp-Phe-[(R)-NH-CH(CH2-C6H5)-CH2-NH]-}
(式Iの化合物、ただしh=1、g=0、R4=-N'-(2-N-アセチル-β-D-グルコピラノー
ス-1-イル)-カルボキシアミドであり、他の置換基は実施例1で定義したとおり
であるが、炭素原子C-R4はS配置を有する)
実施例44の手順に従って、実施例29の酸と2-N-アセチル-β-D-グルコピラノシ
ルアミンから出発することにより上記生成物を得た。
MS(ES+):[MH+]=812生物学的活性
本発明において記載した化合物はタキキニンのNK-2受容体のアンタゴニストと
して作用する。生物学的活性は、C.A.Maggiら,Br.J.Pharmacol.,1990,100
,588およびP.D'Orleans-Justeら,Eur.J.Pharmacol.,1986,125,37に記載
の方法に従って、ウサギ肺動脈(RPA)およびハムスター気管(HT)を用いる2つのi
n vitro機能試験で評価した。ヒトNK-2受容体アンタゴニストとしての本化合物
の活性は、ヒト小腸のNK-2受容体でトランスフェクトしたチャイニーズ・ハムス
ター卵巣(CHO)細胞の膜および競合実験における濃度100pMの放射性リガンド[125
I]NKA(Amersham、比活性2000Ci/mmol)を用いる結合試験において評価した。試験
に供される物質の濃度は0.01nM〜10mMの範囲とした。インキュベーション(20℃
で30分)の終了時に、Brandel自動濾過システムを用いてWhatman GF/Bフィルター
でサンプルを濾過した。ガンマカウンター(Cobra,Canberra Packard)を使って
放射能を測定した。
機能試験から得られたデータはpA2(O.Arunlakshana & H.O.Schild,Br.J.
Pharmacol.Chemother.,1959,14,48)として表し、結合試験からのデータはpK
i(LIGANDプログラムを用いて計算した-log Ki:P.J.Munsonら,Anal.Biochem.
,1980,107,220)として表した。
本発明の化合物は、5〜9のpA2値を有し、ヒト受容体に対してより高い親和
性を示す一層強力な化合物は8〜10のpKiを有し、上記の試験において活性である
ことが判明した。採用した略語のリスト
アミノ酸の命名法および略号については、生化学命名法に関するIUPAC-IUB共
同委員会の勧告(Eur.J.Biochem.,1984,138,9)を参照のこと。アミノ酸は特
にことわらない限りS配置を有する。
採用した他の略語は次の通りである。
BOC=tert-ブトキシカルボニル;Z=ベンジルオキシカルボニル;-Suc-=スクシニル
;Bzl=ベンジル;PyBOP=(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)tris(ピロリジン)ホ
スホニウムヘキサフルオロホスフェート;DIEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
;NEt3=トリエチルアミン;DMF=N,N-ジメチルホルムアミド;NKA=ニューロキニンA;
TFA=トリフルオロ酢酸;HBT=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;EDC=N-(3-ジメチ
ルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩。
コハク酸基上の置換基の読み方は次の通りである。
-Suc(1-NH2)-=-CO-CH(NH2)-CH2-CO-
-Suc(2-NH2)-=-CO-CH2-CH(NH2)-CO-
スキーム 上記式中、PG、PG1およびPG2はペプチド合成で普通に使用される保護基である。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 13/06 A61P 25/22
25/22 C07K 1/06
C07K 1/06 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID
,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,
TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V
N,YU,ZW
(72)発明者 マッジ,カルロ,アルベルト
イタリア国 アイ―50141 フィレンツェ,
43,ヴィア ミシェラッジ