JPH06172385A - 新規な環状ペプチド化合物及びその製造法 - Google Patents

新規な環状ペプチド化合物及びその製造法

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JPH06172385A
JPH06172385A JP4351725A JP35172592A JPH06172385A JP H06172385 A JPH06172385 A JP H06172385A JP 4351725 A JP4351725 A JP 4351725A JP 35172592 A JP35172592 A JP 35172592A JP H06172385 A JPH06172385 A JP H06172385A
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Japan
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formula
compound
elastase
cyclic peptide
culture
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Application number
JP4351725A
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English (en)
Inventor
Kyoko Teramura
恭子 寺村
Kenichi Yasumuro
憲一 安室
Yasuto Suzuki
康人 鈴木
Mitsuji Shibazaki
充至 柴崎
Kenji Abe
賢二 阿部
Yoshimitsu Imai
美光 今井
Kenichi Suzuki
賢一 鈴木
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の一般式(I)又は式(II)からなる群
から選択される一の新規環状ペプチド化合物又はその塩
又はこれらの製造法。 【化1】 (式中の各記号は、下記の意味を有する。 R1:ベンジルカルボニル基又はイソバレリル基 R2,R3:夫々水酸基,又は一体となってカルボニル酸
素) 【化2】 【効果】 医薬,特にエラスターゼ阻害剤として,肺気
腫等に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬,殊にヒト白血球由
来のエラスターゼ阻害物質として有用な環状ペプチド化
合物及び発酵法による該阻害物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒト白血球由来のエラスターゼは,肺疾
患[特に肺気腫及び呼吸窮迫症候群(ARDS)]やリ
ウマチ様関節炎等の炎症に関連する結合組織破壊に寄与
していることが既に知られている。エラスターゼは,結
合組織の主要な構成成分の一つであるエラスチンを特異
的に分解する酵素である。エラスターゼの活性調節に
は,ヒト血清中に存在する糖タンパク質であり,エラス
ターゼの天然阻害物質の一つであるα1 −アンチトリプ
シンの関与が大きいと考えられている。遺伝的要因又は
生体内過酸化物質の影響による血清α1 −アンチトリプ
シン量の著明な減少は,エラスターゼ過剰状態を引き起
こし,エラスチンの分解に伴う結合組織破壊が亢進する
結果として上記疾患が発現するものと想定されている。
エラスターゼ阻害剤は,この様なエラスターゼによるエ
ラスチンの分解を抑制することにより,結合組織破壊を
抑えることができると考えられる。従って,エラスター
ゼ阻害剤は,エラスチンが分解されることによって引き
起こされると考えられる肺疾患(特に肺気腫及びARD
S)やリウマチ様関節炎,気管支,骨関節炎,脊椎炎,
狼瘡,乾癬等のような炎症症状の治療又は予防に有用で
ある。
【0003】従来,天然のエラスターゼ阻害作用を有す
る物質としては,ペプチドタイプと非ペプチドタイプの
ものが知られている。これらの内,特に本発明に関連す
るペプチドタイプの阻害物質としては,WO90/12
805に記載のエラスタチナールや特開平3−2183
87に記載のWS7622Aが挙げられる。なお,WS
7622Aは前記公報には化学構造は開示されていない
が,そのスルホネートの部分構造を開示した欧州特許第
465895号公報の記載によれば,非環状ペプチドタ
イプの物質である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で,本発明者らは天然に存在する多くの微生物が生産す
る物質について研究を行っていたところ,フレキシバク
ター属に属する新菌種を培養する事によって,培地中に
優れたエラスターゼ阻害作用を示し,上記阻害物質とは
化学構造を異にする環状ペプチド構造を有する新規物質
が生産されることを見い出し,更にこの物質を単離する
ことにより本発明を完成した。従って,本発明の目的は
新規エラスターゼ阻害物質を提供することにある。ま
た,本発明の別の目的はフレキシバクター属に属する微
生物を用いる発酵法により製造する事を特徴とする,エ
ラスターゼ阻害物質の製造法を提供することにある。更
に本発明の目的は,フレキシバクター属に属する新規微
生物を提供することにある。本発明の更にもう一つの目
的は,本発明化合物(I),(II)またはそれらの塩を
含有する医薬組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち,本発明は下記
一般式(I)又は式(II)で示される新規な環状ペプチド
化合物又はその塩に関する。
【0006】
【化3】
【0007】(式中の各記号は,下記の意味を有する。 R1 :ベンジルカルボニル基又はイソバレリル基 R2 ,R3 :夫々水酸基,又は一体となってカルボニル
酸素)
【0008】
【化4】
【0009】本発明化合物(I)又は(II)は,酸付
加塩を形成する場合がある。また,塩基との塩を形成す
る場合もある。かかる塩としては,具体的には,塩酸,
臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸等の鉱
酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ酸,マロン酸,
コハク酸,フマール酸,マレイン酸,乳酸,リンゴ酸,
酒石酸,クエン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン
酸等の有機酸,アスパラギン酸,グルタミン酸などの酸
性アミノ酸との酸付加塩,ナトリウム,カリウム,マグ
ネシウム,カルシウム,アルミニウムなど無機塩基,メ
チルアミン,エチルアミン,エタノールアミンなどの有
機塩基,リジン,オルニチンなどの塩基性アミノ酸との
塩やアンモニウム塩等が挙げられる。また,本発明化合
物は不斉炭素原子を有しており,光学異性体が存在す
る。本発明の目的化合物には,これら光学異性体の単離
されたもの及びその混合物が含まれる。さらに,本発明
化合物は水和物又はメタノール,エタノール等との溶媒
和物を形成することもある。本発明の目的化合物にはこ
れらのものも含まれる。
【0010】本発明の製造法は,フレキシバクター属に
属する新規環状ペプチド化合物を生産する能力を有する
微生物を培養し,培地中に生成蓄積させ行うことができ
る。また,本発明の製造法は,上記の新規生理活性物質
(新規目的化合物)を生産する能力を有す微生物を培養
し,培地中に該化合物を生産させ,次いで該化合物を採
取することからなる新規環状ペプチド化合物の製造法で
ある。本発明の新規環状ペプチド化合物を生産する菌株
は次のような菌学的性状を有する。
【0011】[フレキシバクター エスピー(Flexibac
ter sp.)Q17897株の微生物学的性質]本菌株は
沖縄県,座間味島より採取された土壌より分離された細
菌で上記の菌株番号を付与された。
【0012】1)形態 肉汁寒天培地上で,33℃,5日間培養した細菌は0.
2〜0.4×0.4〜15μmの桿菌で,胞子を形成せ
ず運動性は無い。グラム染色性は陰性である。また,以
下に示す組成の培地(グルタミン酸ナトリウム0.5
%,イーストエキストラクト(DIFCO LABORATORIES 社
製)0.1%,硫酸マグネシウム0.1%,グルコース
0.2%,寒天1.5%,pH7.2)上で50μm以
上の長い細胞が観察される。
【0013】2)各種培地における生育の性状 普通寒天培地上では,オレンジ色で周縁部の盛り上
がった形状のコロニーが観察され,滑走性が認められ
る。 ハート・インフュージョン液体培地で培養24時間
後に培地上部が濁るのが観察され,培養5日後には培地
全体が濁り皮膜も観察される。 リトマスミルクで培地では2日目頃からペプトン化
が始まり培地が酸性となるが,凝固は認められない。
【0014】3)生理的性質
【0015】
【表1】
【0016】4)炭素源の利用性
【0017】
【表2】
【0018】5)生化学的性質 菌体色素 カロチノイド系色素を生産する。 イソプレノイドキノンの分子種 メナキノン(MK−7)のみを有する。 DNAのGC含量(HPLC法による) G+C(mol%)=47.5
【0019】以上の微生物学的性質をまとめると,本菌
株はグラム陰性,通性嫌気性の桿菌で,培養中に長径5
0μm程度の長い細胞が観察される。運動性は有さな
い。普通寒天培地等で滑走性を示す。生育温度範囲は1
5〜37℃で,オキシダーゼ試験は陰性であり,カタラ
ーゼ試験は陽性である。NaCl2%を添加した培地で
は生育するが3%添加した培地では生育しない。また菌
体色素としてカロチノイドを有し,菌体イソプレノイド
キノンはメナキノン(MK−7)を有し,DNAのGC
含量は47.5mol%である(HPLC法)。このよ
うな性質を有する菌をバージーズ・マニュアル・オブ・
デターミネィテブ・バクテリオロジィ第8版(Baergey'
s Manual of Determinative Bacteriology,8th ed.,197
5),及びバージーズ・マニュアル・オブ・システマテ
ィック・バクテリオロジィ(Baergey's Manual of Syst
ematic Bacteriology,1984),及びその他の文献によっ
て検索した結果,本菌株はフレキシバクター(Flexibac
ter)属に属する細菌であると判断される。次に,本菌
株をフレキシバクター属の公知の種(species)と比較
した結果,本菌株に類似した菌種として,フレキシバク
ター フレキシリス(F. flexilis),フレキシバクタ
ー エレガンス(F. elegans),フレキシバクター フ
ィリホルミス(F. filiformis)が挙げられた。上記3
菌種とQ17897株を比較した結果を以下の表に示し
た。
【0020】Q17897と類似菌種の比較
【0021】
【表3】
【0022】この結果より本菌株は,オキシダーゼ生産
性,カタラーゼの生産性,及び生育温度範囲において上
記3菌種と異なっており,特にフレキシバクター フレ
キシリスとは硫化水素の産生及びDNAの塩基組成が,
フレキシバクター エレガンスとはデンプンの利用性が
異なり,一方フレキシバクター フィリホルミスとはN
aClの生育阻止濃度が異なっていた。従って本菌株と
一致する既知菌種は見あたらず,本菌株をフレキシバク
ター属の新種と判断し,フレキシバクター エスピー
Flexibacter sp.)Q17897と命名した。なお本
菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第
13305号(FERM P−13305)として寄託
されている。
【0023】(製造法)本発明の新規生理活性物質(新
規目的化合物)の製造法を実施するに当たり,該化合物
の生産菌株フレキシバクター エスピー Q17897
株の栄養源を含有する培地に接種し,好気的に発育させ
ることにより,本発明の新規目的化合物を含む培養物が
得られる。栄養物としては,細菌の栄養源として公知の
ものを使用すればよい。たとえば市販されているペプト
ン,肉エキス,コーン,スティープリカー,綿実粉,落
花生粉,大豆粉,酵母エキス,NZ−アミン,カゼイン
水解物,魚粉,硝酸ソーダ,硝酸アンモニウム等の無機
または有機の窒素源,市販されている糖蜜,澱粉,デキ
ストリン,蔗糖,グルコース,マルトース,フラクトー
ス,ラムノース,グリセリン等の炭水化物あるいは脂肪
等の炭素源が使用できる。
【0024】また金属塩として,Na,K,Mg,C
a,Zn,Fe 等の硫酸塩,塩酸塩,硝酸塩,燐酸
塩,炭酸塩等が必要に応じて添加される。さらに必要に
応じてバリン,ロイシン,イソロイシン,スレオニン,
フェニルアラニン,トリプトファン,メチオニン,リジ
ン,アルギニン,システイン,シスチン等の他,通常知
られているアミノ酸類や,オレイン酸メチル,ラード油
シリコン脂,界面活性剤等の,本発明の新規生理活性
物質(新規目的化合物)生成促進物質または消泡剤が適
宜使用される。これらのもの以外でも,該生産菌が利用
し,本発明の新規生理活性物質(新規目的化合物)の生
産に役立つものであれば何れでも使用することができ,
その培養方法は固体培養でも液体培養でもよい。
【0025】液体培養の場合は静置培養,撹拌培養,振
盪培養等のいずれを実施してもよいが,特に通気撹拌培
養が好ましい。また,培養温度は生産菌が発育し,本発
明の化合物を生産する温度,すなわち15℃〜37℃の
範囲で適宜変更出来るが,およそ27℃が好ましい。培
地のpHは4〜9の範囲で適宜変更できるが,pH6〜
8が好ましい。培養時間は種々の条件によって異なり,
10時間〜72時間であるが,通常24時間〜48時間
程度で培養物中に蓄積される目的化合物が最高力価に達
する。培養物から目的化合物を採取するには,微生物の
生産する代謝産物に用いる通常の抽出,分離,精製の手
段が適宜利用される。培養物中の目的化合物は培養物を
そのままか,又は遠心分離により得られた培養上清ある
いは培養物に濾過助剤を加え濾過して得られた培養濾液
に,酢酸エチル,クロロホルム,ベンゼン,トルエン等
の水と混和しない有機溶媒を加えて抽出する。
【0026】また,培養上清または培養濾液を適宜の担
体に接触させ,上清又は濾液中の目的化合物を吸着さ
せ,次いで適当な溶媒で溶出する事により目的化合物を
抽出する事ができる。更に詳しく述べるならば,例えば
アンバーライトXADー2,ダイヤイオンHP20,ダ
イヤイオンCHP20PまたはダイヤイオンSP900
のごとき多孔性吸着樹脂に接触させて目的化合物を吸着
させる。ついでメタノール,エタノール,アセトン,ア
セトニトリル等の有機溶剤と水の混合液を用いて目的物
を溶出させる。この時の溶媒の混合比は,目的化合物が
最も効率よく溶出しうる値にすることはいうまでもな
い。すなわち溶媒比率を低濃度より段階的,または連続
的に高濃度まで上げて行くことにより,目的化合物の含
まれる比率の,より高い画分を得ることが出来る。
【0027】酢酸エチル,クロロホルム等の有機溶媒で
抽出する場合には,培養上清または培養濾液にこれらの
溶媒を加え,よく振盪し,目的化合物を抽出する。つぎ
に上記の各操作法を用いて得られた目的化合物含有画分
は常用の吸着担体,例えば活性炭,アルミナ,シリカゲ
ル,セルロース等を担体に用いたカラムクロマトグラフ
ィーや,シリカゲル系ODS逆相担体のカラムを用いた
高速液体クロマトグラフィー等の常法により,更に純粋
に分離精製することができる。
【0028】
【実施例】以下,実施例により,本発明の新規生理活性
物質(新規目的化合物)の製造法について更に詳細に説
明する。なお,実施例の文章中,Q17897−A,Q
17897−B及びQ17897−H2−1の夫々の記
載は実施例により得られた本発明化合物名を意味し,本
発明の微生物の菌株名をもとに命名したものである。
【0029】実施例 グルコース1%,トリプトース(DIFCO LABORATORIES
社製)0.2%,イーストエキストラクト(DIFCO LABO
RATORIES 社製)0.1%,肉エキス(極東製薬工業社
製)0.1%を含む培地(pH7.0)を作成し,この
培地を500ml三角フラスコに各100mlずつ分注
して,121℃で20分間滅菌した。この培地に,元ス
ラントよりQ17897株の菌糸をかき取って接種し,
毎分210回転の振とう培養を27℃で3日間行い種培
養液とした。次に,ポリペプトン(大五栄養社製)1
%,ドライイースト(DIFCO LABORATORIES 社製)0.
1%,MgSO4 −7H2O 0.05%,CaCl2
0.038%を含む培地(pH7.2)を5l作成し,
この培地を500ml三角フラスコに各100mlずつ
分注し,121℃で20分間滅菌したものに,種培養液
を2%の割合で植菌し,毎分210回転の振とう培養を
27℃で3日間行った。このようにして得られた培養液
を毎分5000回転の遠心分離を20分間行い,得られ
た培養上清液5lを1N塩酸でpH7に調整し,同量の
酢酸エチルで2回抽出を行い,粗活性画分470mgを
得た。この粗活性画分を少量のクロロホルムに溶解させ
た。次いで,クロロホルムで充填したワコーゲルC20
0(和光純薬社製)(2i.d.×19cm)のカラム
に,クロロホルムに溶解させた粗活性画分を乗せ,シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーを行った。1フラクシ
ョンを5mlとして分画し,移動相をクロロホルム(1
59ml),クロロホルム−メタノール/98:2(3
00ml),19:1(600ml),4:1(250
ml)と順次変化させたところ,クロロホルム−メタノ
ール/19:1で溶出したフラクション101から11
4よりQ17897−Bを含む活性画分30mgを,フ
ラクション115から167よりQ17897−Aおよ
びQ17897−H2−1を含む活性画分57mgを得
た。このうち,Q17897−A及びQ17897−H
2−1を含む活性画分を少量のメタノールに溶解させ,
分取高速液体クロマトグラフィー[カラム:STR−O
DS−H 10 i.d.x 250mm(島津社
製),検出:UV 215nm,移動相:33%アセト
ニトリル,流速:5ml/min.]により精製した。
保持時間14〜16分で単一ピークを示す画分を集めて
濃縮後,酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル層
を濃縮乾固することにより,Q17897−H2−1を
白色粉末として8mg得た。同様に,保持時間19〜2
1分で単一ピークを示す画分を集めて濃縮後,酢酸エチ
ルで抽出した。得られた酢酸エチル層を濃縮乾固するこ
とにより,Q17897−Aを白色粉末として17mg
得た。さらに,Q17897−Bを含む活性画分を上記
条件で分取高速液体クロマトグラフィーにより精製し,
保持時間23〜25分で単一ピークを示す画分を集めて
濃縮後,酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル層
を濃縮乾固することにより,Q17897−Bを白色粉
末として11mg得た。上記抽出,分離,精製された化
合物であるQ17897−A,Q−17897−B及び
Q17897−H2−1は,夫々,下記の物理化学的性
質及び化学構造式を示すことが確認された。
【0030】(1)Q17897−A 分子量:934(分子量はFAB−MASSによって決
定した。) 分子式:C4662813 紫外部吸収スペクトル: 末端吸収 赤外線吸収スペクトル:KBr法による赤外線吸収スペ
クトルは,第1図のとおりである。1 H−NMRスペクトル:DMSO−d6 を溶媒とする
500MHzの1 H−NMRスペクトルは,第2図のと
おりである。13 C−NMRスペクトル:DMSO−d6 を溶媒とする
125MHzの13C−NMRスペクトルは,第3図のと
おりである。 比旋光度:[α]D 25−10.1°(c=0.2,アセ
トニトリル) 上記の理化学的性状からQ17897−Aの化学構造は
下式のものが示唆される。
【0031】
【化5】
【0032】(2)Q17897−B 分子量:586(分子量はFAB−MASSによって決
定した。) 分子式:C323865 紫外部吸収スペクトル:220nm(ε=4700
0),281nm(ε=7100),290nm(ε=
5900) 赤外線吸収スペクトル:KBr法による赤外線吸収スペ
クトルは,第4図のとおりである。1 H−NMRスペクトル:CD3ODを溶媒とする50
0MHzの1 H−NMRスペクトルは,第5図のとおり
である。13 C−NMRスペクトル:DMSO−d6 を溶媒とする
125MHzの13C−NMRスペクトルは,第6図のと
おりである。 比旋光度:[α]D 25−85.0°(c=0.5,アセ
トニトリル) 上記の理化学的性状からQ17897−Bの化学構造は
下式のものが示唆される。
【0033】
【化6】
【0034】(3)Q17897−H2−1 分子量:900(分子量はFAB−MASSによって決
定した。) 分子式:C4364813 紫外部吸収スペクトル:末端吸収 赤外線吸収スペクトル:KBr法による赤外線吸収スペ
クトルは,第7図のとおりである。1 H−NMRスペクトル:DMSO−d6 を溶媒とする
500MHzの1 H−NMRスペクトルは,第8図のと
おりである。13 C−NMRスペクトル:DMSO−d6 を溶媒とする
125MHzの13C−NMRスペクトルは,第9図のと
おりである。 比旋光度:[α]D 25−1.8°(c=0.5,アセト
ニトリル) 上記の理化学的性状からQ17897−H2−1の化学
構造は下式のものが示唆される。
【0035】
【化7】
【0036】本発明化合物中,上記Q17897−A及
びQ17897−H2−1は,下記部分構造(A)のト
リケト構造を有する点にも特徴がある。
【0037】
【化8】
【0038】しかしながら,トリケト構造(A)を有す
る化合物は,水分子が付加結合した部分構造(B)のジ
ケトジオール構造を有する化合物(以下便宜上水和物と
称する)の方が熱力学的に安定であるため,水が存在す
る状態においては,その一部または全部がその水和物に
変化するものと予想される。事実,本発明化合物Q17
897−A又はQ17897−H 2−1の理化学的デー
タは,トリケト構造(A)を支持する一方で,1H−N
MRデータにおいては,水和物の2個のプロトンに対応
するピークが化学シフト7.4ppm付近に検出され,
さらに13C−NMRにおいても95ppm付近に水和物
由来のピークが検出されることから,水和物の存在が確
認された。
【0039】このことは,そのNMR測定の際,空気中
あるいはDMSO−d6中に存在した微量の水分と結合
して水和物を形成したことによるものと考えられる。従
って,本明細書特許請求の範囲や詳細な説明において,
本発明化合物Q17897−A及びQ17897−H
−1はトリケト構造だけに限定されず,それらの水和物
をも含むものと解釈されるべきである。
【0040】
【発明の効果】本発明化合物は,ヒト白血球由来のエラ
スターゼに対する優れた阻害作用を示すことから,肺疾
患(特に肺気腫及びARDS)やリウマチ様関節炎,気
管支炎,骨関節炎,脊椎炎,狼瘡,乾癬等のような炎症
症状の治療又は予防に有用である。
【0041】本発明化合物の優れたエラスターゼ阻害作
用は,以下の方法により確認された。 (エラスターゼ阻害活性測定法)ヒト好中球エラスター
ゼを用いて, Schiessler らの方法(Hoppe-Seyler'sZ.
Physiol. Chem. 358, 53(1977))を基本としたわずか
な変法により行った。すなわち,好中球エラスターゼに
比較的特異性の高い合成基質[サクシニル−アラニル−
アラニル−アラニル−p−ニトロアニリド(Suc-Ala-Al
a-Ala-pNA)](ペプチド研究所製)を用いた比色法に
より測定した。0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩
衝液(pH 7.8)の624μlにヒト好中球エラス
ターゼ(アテンズ・リサーチ・アンド・テクノロジー・
インコーポレーション社製)(100μg/ml 0.
001N塩酸)の33μlと測定検体溶液10μlを加
えて,25℃で10分間インキュベートした後, Suc-A
la-Ala-Ala-pNA 液(1.35mg/ml上記緩衝液)
の333μlを加えて1mlとして,さらに20分間イ
ンキュベートした。反応液にフェニルメチルスルホニル
フルオライド(0.1M)の10μlを加えて反応を停
止した後,遊離したp−ニトロアニリドを405nmの
吸光度で測定し,次式によって阻害率を求めた。 阻害率(%)=[1−(検体値−ブランク値)/(コン
トロール値−ブランク値)]×100
【0042】上記方法により算出したQ17897−A
のエラスターゼ阻害活性のIC50値は6.7×10-8
であった。
【0043】本発明化合物(I),(II)またはそれら
の塩を主成分として有する薬剤組生物は,当分野におい
て通常用いられている製剤用担体,賦形剤等を用いて,
通常使用されている方法によって調製することができ
る。投与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,液
剤等による経口投与,あるいは静注,筋注等の注射剤,
坐剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよ
い。投与量は投与する対象,投与ルートなどによって変
動するが,通常0.1〜200mg/kg/日,好まし
くは1〜100mg/kg/日である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Q17897−Aの赤外線吸収スペクトルを示
す。
【図2】Q17897−Aの1H−NMRスペクトルを
示す。
【図3】Q17897−A 13C−NMRスペクトルを
示す。
【図4】Q17897−Bの赤外線吸収スペクトルを示
す。
【図5】Q17897−Bの1H−NMRスペクトルを
示す。
【図6】Q17897−Bの13C−NMRスペクトルを
示す。
【図7】Q17897−H 2−1の赤外線吸収スペクト
ルを示す。
【図8】Q17897−H 2−1の1H−NMRスペク
トルを示す。
【図9】Q17897−H 2−1の13C−NMRスペク
トルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:01) (72)発明者 柴崎 充至 東京都板橋区蓮根3−16−1 山之内製薬 蓮根寮 (72)発明者 阿部 賢二 埼玉県上尾市小泉406−3 (72)発明者 今井 美光 神奈川県川崎市中原区木月599 (72)発明者 鈴木 賢一 埼玉県北本市二ツ家1−67

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中の各記号は,下記の意味を有する。 R1 :ベンジルカルボニル基又はイソバレリル基 R2 ,R3 :夫々水酸基,又は一体となってカルボニル
    酸素) 又は下式(II) 【化2】 からなる群より選択される一の新規環状ペプチド化合物
    又はその塩。
  2. 【請求項2】 フレキシバクター(Flexibacter)属に
    属し,請求項1に記載の新規環状ペプチド化合物を生産
    する能力を有する微生物を培地に培養し,培養物中に生
    成蓄積した新規環状ペプチド化合物を採取することを特
    徴とする該新規環状ペプチド化合物の製造法。
  3. 【請求項3】 フレキシバクター(Flexibacter)属に
    属する微生物が,フレキシバクター エスピー(Flexib
    acter sp.)Q17897(微工研菌寄第13305
    号)である請求項2記載の製造法。
JP4351725A 1992-12-08 1992-12-08 新規な環状ペプチド化合物及びその製造法 Pending JPH06172385A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6780968B1 (en) * 1997-02-07 2004-08-24 Menarini Ricerche S.P.A. Monocyclic compounds with four bifunctional residues having NK-2 antagonist action
US7566765B2 (en) 2000-03-06 2009-07-28 Rigel Pharmaceuticals, Inc. Heterocyclic compounds containing a nine-membered carbon-nitrogen ring

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