JP2001332132A - 保護フィルム付き透明導電性フィルムとその使用方法 - Google Patents

保護フィルム付き透明導電性フィルムとその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】波長板や偏光板などの他の基材と重ね合わせら
れる予定の透明導電性フィルムを、高い品質を維持しな
がら工数を減らし低コストで提供する。 【解決手段】プラスチックからなる透明フィルムの一方
の面に透明導電膜を形成し、透明導電膜とは反対側の面
に粘着剤を介して保護フィルムを積層した透明導電性フ
ィルムにおいて、上記粘着剤は透明であって、透明フィ
ルムに対する粘着力が8.0N/50mm以上、保護フ
ィルムに対する粘着力が0.1N/50mm以上1.5
N/50mm以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、保護フィルム付
き透明導電性フィルムとその使用方法に属する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイにおいて液晶を介して
対向する透明電極や、抵抗膜式タッチパネルにおいてス
ペーサを介して対向する透明電極は、いずれも透明基材
の一方の表面にインジウム錫酸化物(ITO)等の薄膜
を蒸着又はスパッタリングなどの方法で形成してなる透
明導電膜である。これら透明導電膜を形成する上記透明
基材として、軽量性、耐衝撃性を考慮してプラスチック
フィルムが用いられている。
【0003】ところで、このように透明導電膜を形成し
たプラスチックフィルムは、透明導電膜面はもとより、
その反対側の面の外観も品質管理上重要であり、傷や汚
れが付かないように製造工程での配慮が必要である。そ
こで、特開平7−68690号公報及び特開平11−2
68168号公報では、所定の粘着剤層を設けた保護フ
ィルムを透明導電膜面と反対側の面に貼り合わせるとい
う解決策が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、液晶ディスプ
レイにしろタッチパネルにしろ、上記透明導電性フィル
ムが完成品中で独立して存在するわけではなく、通常透
明導電膜と反対側の面に波長板や偏光板を積層して用い
られる場合が圧倒的に多い。これら波長板や偏光板は、
粘着剤によって上記透明基材に密着させられる。密着し
ていなければ空気界面が生じ、それに伴って表面反射が
起こって表示コントラストを低下させるからである。従
って、上記透明基材に波長板や偏光板を積層する場合、
完成品に向かう組み立て工程中に上記保護フィルムを剥
がす工程と、透明基材の表面又は波長板もしくは偏光板
の表面に粘着剤を塗布する工程とが必要となり、これが
工数の増大及びコストの上昇につながっている。それ
故、この発明の課題は、波長板や偏光板などの他の基材
と重ね合わせられる予定の透明導電性フィルムを、高い
品質を維持しながら工数を減らし低コストで提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】その課題を解決するため
に、この発明は、プラスチックからなる透明フィルムの
一方の面に透明導電膜を形成し、透明導電膜とは反対側
の面に粘着剤を介して保護フィルムを積層した透明導電
性フィルムにおいて、上記粘着剤は透明であって、透明
フィルムに対する粘着力が8.0N/50mm以上、保
護フィルムに対する粘着力が0.1N/50mm以上
1.5N/50mm以下であることを特徴とする。
【0006】この発明は上記のように透明フィルムに対
するよりも保護フィルムに対する粘着力が弱いので、保
護フィルム付き透明導電性フィルムを波長板や偏光板な
どの他のフィルムと組み合わせるとき、粘着剤を透明フ
ィルム側に残して保護フィルムを剥がし、残った粘着剤
を介して当該他のフィルムを積層することができる。従
って、別途に粘着剤を塗布する工程を省くことができ
る。
【0007】この発明において前記粘着剤の透明フィル
ムに対する粘着力は8.0N/50mm以上、保護フィ
ルムに対する粘着力は0.1N/50mm以上1.5N
/50mm以下である。前記粘着剤の透明フィルムに対
する粘着力が8.0N/50mm以上で保護フィルムに
対する粘着力が1.5N/50mm以下であれば、保護
フィルムを剥がすときに粘着剤が保護フィルムに伴われ
て透明フィルムから離れることはない。また、保護フィ
ルムに対する粘着力が0.1N/50mm以上であれ
ば、加工で加わる熱で保護フィルムが剥離することはな
い。また、透明導電膜を保護フィルム積層より後で形成
した場合でも、後工程で保護フィルムの付いたまま配向
膜形成などの熱処理をすることができる。
【0008】前記透明フィルム及び保護フィルムは、そ
の150℃30分間加熱後の熱収縮率差がMD方向、T
D方向共に0.2%以下であると好ましい。これにより
熱処理工程でのカール量が減るからである。
【0009】
【発明の実施の形態】透明フィルムとしては、パネル形
成時の作業性や性能を考慮して厚さが通常3〜300μ
m、好ましくは5〜250μm、特に好ましくは10〜
200μm程度の薄い樹脂フィルムが適用可能である。
フィルム材質としては、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレ
ン/ブタジエン共重合体、トリアセチルセルロース、ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリア
ミド、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリノルボ
ルネン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォンなど
がある。
【0010】透明導電膜は、真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着、スプレ
ー熱分解などの物理的方法や、化学メッキ、電気メッ
キ、化学気相成長などの化学的方法によって薄膜として
形成される。膜の生成速度や大面積膜の形成性、生産性
より真空蒸着及びスパッタリングが好ましい。その材質
としては、酸化インジウム、酸化錫、インジウム錫酸化
物(ITO)、錫アンチモン酸、酸化チタン、酸化カド
ミウム、これらの混合物等の金属酸化物や、金、銀、
銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、クロ
ム、チタン、鉄、コバルト、これらの合金等の金属や、
ヨウ化銅が用いられる。
【0011】尚、透明導電膜の形成に際しては、透明フ
ィルムの表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラ
ズマ処理、スパッタエッチング処理、アンダーコート処
理などの前処理を施して透明フィルムに対する透明導電
膜の密着性を高めることができる。透明導電膜の厚さ
は、使用目的に応じて適宜決められるが、抵抗膜式タッ
チパネルの電極とする場合、表面抵抗を10Ω/□以
下としたものが一般的で、好ましくは10Ω/□以下
のものである。このような表面抵抗は、金属系の場合で
30〜600Å、金属酸化物系の場合で80〜5000
Åの厚さとすることで達成できる。
【0012】透明フィルムと保護フィルムとを接着する
粘着剤としては、透明性を有する適宜のものを適用可能
である。タッチパネルに用いる場合は、アクリル系粘着
剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などのクッショ
ン性に優れたものが好ましい。指又は入力ペンによる圧
力を吸収するとともに、圧力解除時に入力操作面を元の
状態に速やかに復帰させ得るからである。特に1×10
〜1×10dyn/cm の弾性係数を有して、厚さが1
μm以上就中5〜500μmのものが好ましい。粘着剤
は、透明フィルムと保護フィルムのいずれか一方に塗布
してもよいし、双方に塗布しても良い。
【0013】上記粘着剤のうちアクリル系粘着剤は透明
性の点で優れている。その主成分である粘着性ポリマー
としては、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸プロピルなどのアルキル基の炭素数が
1〜10の(メタ)アクリル酸エステルと、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸
ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなど
の官能基含有不飽和単量体とを主成分として含む単量体
混合物の共重合物が好ましく用いられる。また、ゴム系
粘着剤の主成分である粘着性ポリマーとしては、スチレ
ン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/イソプレ
ン系ブロック共重合体、天然ゴムなどが好ましく用いら
れる。
【0014】保護フィルムは、透明フィルムが波長板や
偏光板などの他のフィルムと積層される際に剥がされて
廃棄されるので、透明性を備える必要はないが、ロール
による巻き取りなどの取り扱い性や上記の熱収縮性を考
慮して、5〜100μmの厚さが好ましく、材質として
は前記透明フィルムに適用可能なものであればよい。ま
た、透明フィルム、保護フィルム及び粘着剤は、タッチ
パネル組立時や導電膜形成時に加熱されることから、1
00℃以上特に200℃以上の耐熱性を備えているのが
好ましい。
【0015】保護フィルムは、粘着剤との粘着力を1.
5N/50mm以下にして剥離を容易にするためにシリ
コン系離型剤を予め塗布しておく。但し、あまり粘着力
が弱くなると所定の剥離工程にたどり着くまでに剥がれ
てしまうので、塗布量を調整して粘着力を0.1N/5
0mm以上にする。
【0016】
【実施例】−実施例1− 片面にITO蒸着膜からなる透明導電膜を有する、厚さ
125μmのPETからなる透明フィルムと、片面に
0.15g/mになるように調整したシリコン系離型
剤(信越化学工業株式会社製KS847T)を塗布し
た、厚さ38μmのPETからなる保護フィルムとを準
備した。透明フィルムと保護フィルムの熱収縮率差は、
MD方向0.1%、TD方向0.0%である。透明フィ
ルムの透明導電膜形成面と反対側の面にアクリル系粘着
剤(日東電工株式会社製)を25μmの厚さに塗布し、
その塗布面に保護フィルムの離型剤塗布面を貼り合わせ
ることにより、保護フィルム付き透明導電性フィルムを
製造した。
【0017】このフィルムを300mm×500mmの
大きさに切断し、150℃の炉内で30分間保持した
後、100×50mmの大きさにし、その後に保護フィ
ルムを剥がし、ガラス板に貼り付けた。その際、透明フ
ィルムが折れ曲がったりすることはなく、保護フィルム
も粘着剤を伴うことなく容易に剥がれた。また、保護フ
ィルムは、ガラス板に貼り付ける作業時まで剥がれるこ
とはなかった。引っ張り試験機にて300mm/分の速
度で180°方向に引っ張ることにより粘着力を測定し
たところ、保護フィルムと粘着剤の界面では0.2N/
50mm、透明フィルムとガラス板との界面では14.
7N/50mmであった。
【0018】−実施例2− 透明フィルムと保護フィルムの熱収縮率差は、MD方向
0.3%、TD方向0.1%である以外は、実施例1と
同一条件で保護フィルム付き透明導電性フィルムを製造
した。このフィルムを実施例1と同じ条件で炉に通した
ところ、MD方向に透明フィルムを上にした状態で凹型
に曲がっていたが、保護フィルムを剥がしガラス板に貼
り付ける際に全く問題はなかった。
【0019】−比較例1− シリコン系離型剤に代えて長鎖アルキル系(安原油脂株
式会社製FIG−30)を0.1g/50mm塗布した
以外は、実施例1と同一条件で、保護フィルム付き透明
導電性フィルムを製造した。このフィルムを実施例1と
同一条件で炉に通した後、保護フィルムを剥がし、ガラ
ス板に貼り付けた。その際、保護フィルムの離型剤処理
側と粘着剤との粘着力が強く、粘着面が若干荒れてい
た。そして、ガラスに貼り合わせた際にその荒れた部分
が外観欠点となってしまった。保護フィルムと粘着剤と
の界面の粘着力は2.45N/50mmであった。
【0020】−比較例2− 離型剤の塗布量を0.3g/mとした以外は実施例2
と同一条件で保護フィルム付き透明導電性フィルムを製
造した。このフィルムを実施例1と同じ条件で炉に通し
たところ、炉から出した際に透明導電性フィルムと粘着
剤が凹型に曲がっていた。また、保護フィルムは端部が
粘着剤と一部剥離しており、露出している部分の粘着剤
に一部汚れが認められた。保護フィルムと粘着剤との界
面の粘着力は0.05N/50mmであった。
【0021】
【発明の効果】以上の通り、本発明の保護フィルム付き
透明導電性フィルムによれば、完成品へ向かう加工工程
を大幅に簡素化できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA33 AG00 AK01A AK42 AT00D BA04 BA10B BA10D CB05C EC182 EH112 EH66 EJ312 EJ91 JA03A JA03D JG01B JL02 JL13C JL14 JN01A JN01B JN01C YY00A YY00C YY00D 5G307 FA02 FB01 FC03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックからなる透明フィルムの一方
    の面に透明導電膜を形成し、透明導電膜とは反対側の面
    に粘着剤を介して保護フィルムを積層した透明導電性フ
    ィルムにおいて、 上記粘着剤は透明であって、透明フィルムに対する粘着
    力が8.0N/50mm以上、保護フィルムに対する粘
    着力が0.1N/50mm以上1.5N/50mm以下
    であることを特徴とする保護フィルム付き透明導電性フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】前記透明フィルム及び保護フィルムの15
    0℃30分間加熱後の熱収縮率差がMD方向、TD方向
    共に0.2%以下である請求項1に記載の保護フィルム
    付き透明導電性フィルム
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の保護フィルム付き
    透明導電性フィルムを、粘着剤を透明フィルム側に残し
    て保護フィルムを剥がし、残った粘着剤を介して波長板
    や偏光板などの他のフィルムが積層されることを特徴と
    する使用方法。
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