JPH10199422A - 機能性フィルムを有する表示装置の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】接着面積が大きな大型の表示装置に対しても簡
便な設備でごみの取り込みを可及的に減らして機能性フ
ィルムを貼り付けることができる表示装置の製造方法を
提供する。 【解決手段】粘着剤層１５が形成された機能性フィルム
１０の一端側から他端側にかけてその粘着剤層１５を介
して表示装置２のパネル面３に順次粘着剤層１５を圧着
させる際に、圧着直前のパネル面に対して静電エアーブ
ロー５を行いつつ機能性フィルム１０を静電エアーブロ
ーを施したパネル面に順次圧着させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、反射防止膜などの
機能膜が形成された機能性フィルムを表示装置や表示装
置の前面板に貼着して機能性フィルムを有する表示装置
を製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】粘着剤のついた機能性フィルムをガラス
面やプラスチック面に貼ることは、例えばビルや自動車
の窓ガラスに使われるガラス飛散防止フィルム、熱反射
フィルムで行われ、液晶ディスプレー（ＬＣＤ）では、
偏光フィルムやカラーフィルターなどで既に行われてい
る。これは、各種の機能を持つフィルムを予めフィルム
に塗布してある粘着剤でガラスやプラスチックに接着さ
せるものである。

【０００３】このような機能性フィルムを接着させる場
合、接着時にシワや折れや歪みが起こらないように基材
に接着するのはいうまでもないが、空気の巻き込み（気
泡）や異物の取り込みを最小限にするのが製造上又は使
用上重要である。特に粘着層の厚みより大きな異物は、
突起となったり、周辺に気泡を伴うなどして異物の大き
さの数倍の欠陥となる。

【０００４】前述の窓ガラス用のフィルムでは、窓ガラ
ス面に使用者の目の焦点が合うことはあまりなく、実用
上異物の混入はある程度無視されている。

【０００５】また、ＬＣＤの場合では、フィルム接着面
と表示面は近接しているが、半導体デバイスの製造環境
（クリーンルームのクリーン度）は一般にクラス１００
０以下とかなり良く、しかも一般に１０インチ以下の大
きさのものを扱うため、ごみの混入確率はかなり低く抑
えられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】一方、陰極線管やプラ
ズマディスプレーなどの大型の表示装置にこれらの粘着
剤付機能フォルムを貼り付ける場合、一般にこれらの表
示装置の製造環境は、それらの製造設備が大型であるこ
とからクラス１００００以上のクリーンルーム又は簡易
的な無塵室で行われ、かつ接着面積が大きいため、ごみ
の取り込み確率は急激に高くなる。

【０００７】そのため、良好な接着面を得ようとするに
は、その面積の大きさからＬＣＤより更に環境が良くか
つ大きなクリーンルームを備えるしか方法がなかった。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、接着面積が大きな大型の表示装置に対しても簡便な
設備でごみの取り込みを可及的に減らして機能性フィル
ムを貼り付けることができる表示装置の製造方法を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、粘着剤層が形成された機能性フィルムの一
端側から他端側にかけてその粘着剤層を介して表示装置
のパネル面に順次粘着剤層を圧着させることにより機能
性フィルムを有する表示装置を製造する方法であって、
圧着直前のパネル面に対して静電エアーブローを行いつ
つ該機能性フィルムを静電エアーブローを施したパネル
面に順次圧着させることを特徴とする機能性フィルムを
有する表示装置の製造方法を提供する。

【００１０】本発明の機能性フィルムを有する表示装置
の製造方法は、機能性フィルムをその一面側に設けられ
ている粘着剤層の一端側から他端側にかけて順次圧着し
て表示装置のパネル面に貼着する際、圧着直前のパネル
面に対して静電エアーブローを施しながら圧着する。

【００１１】静電エアーブローは、電極間に高電圧を印
加して放電を生じさせ、電極間に圧縮空気を送ることに
より、イオンが発生した空気を例えばノズルから噴き出
す装置であり、イオンを含む空気をブローすることで帯
電した物質を除電すると共に、エアーでゴミを飛ばす作
用がある。

【００１２】これにより、帯電しやすく、ごみを引きつ
けやすいガラス、プラスチック等のパネル面の帯電を除
電し、更に付着したごみをエアーで飛ばしてごみを除去
しつつその直後に貼り合わせを行うことでごみの再付着
を防止し、ごみが粘着剤層とパネル面との間に挟まるこ
とを可及的に防止することができる。

【００１３】このような方法によれば、高いレベルのク
リーンルームを必要とせずにゴミの混入を簡便な設備で
防止することができる。

【００１４】なお、本明細書において、表示装置とは、
表示装置の前面板も含まれる概念である。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明するが、本発明は下記の実施の形態に限
定されるものではない。

【００１６】図１は、本発明の製造方法の一形態である
ＣＲＴのパネル面に機能性フィルムを貼着する方法を説
明するもので、（ａ）は貼り付け工程の初期の状態を示
す側面図、（ｂ）はその上面図であり、（ｃ）は貼り付
け後の表示装置を示す側面図である。

【００１７】ＣＲＴ等の表示装置２のパネル面３は、外
光や照明光が画面内に映り込んで画像が見え難くなる場
合があり、このような表面反射を抑制するため、パネル
面に反射防止膜が設けられることが多い。

【００１８】また、表示装置からでるＶＬＦ帯（２〜４
００ｋＨｚ）及びＥＬＦ帯（５〜２０００Ｈｚ）の電磁
界の人体への影響が問題視されつつある。このような漏
洩電磁界に対し、ヨーロッパを中心としてＭＰＲ−ＩＩ
という規格や、ＴＣＯというガイドラインが設けられて
おり、これに対応した製品のニーズが高まっている。こ
れらの表示装置からの電磁界は、回路的にキャンセルす
る方法や適当なシールド板を設けるなどの手法によりあ
る程度低減できるが、表示面に関しては、導電膜を設け
て、それを表示装置のアースに落とすことが最も有効な
方法の一つである。

【００１９】これらの反射防止膜と導電膜をパネル面に
形成する目的で、これらの機能膜が設けられた機能性フ
ィルムをパネル面に貼着することが行われている。図３
は、このような機能性フィルムの一形態を示すものであ
る。

【００２０】この機能性フィルム１０は、例えば厚さ１
００μｍの透明プラスチックフィルム基板１１の一面側
に例えば厚さ１０μｍのハードコート層１２が形成さ
れ、ハードコート層１２の上には例えば厚さが１２０ｎ
ｍのＩＴＯ等の高屈折率膜１３、及び厚さが例えば７０
ｎｍの酸化シリコン（ＳｉＯ₂ ）等の低屈折率膜１４の
２層構成の反射防止膜が形成されている。また、この機
能性フィルムの他面側には厚さが例えば５０μｍの粘着
剤層１５が設けられ、この粘着剤層１５は、貼着前は厚
さが例えば５０μｍの剥離フィルム１６で被覆されてい
る。

【００２１】このような機能性フィルム１０をＣＲＴ２
のパネル面３に貼着する方法として、本発明において
は、例えば図１に示すような方法を用いる。

【００２２】まず、ＣＲＴ２のパネル面３をアルコール
等で洗浄した後、パネル面３に静電エアーブローを施し
て帯電を除電する。

【００２３】次いで、図１（ａ）、（ｂ）に示すよう
に、剥離フィルム（セパレーター）１６をはがした機能
性フィルム１０の粘着剤層１５の一端部を、例えばＣＲ
Ｔのパネル３の左右いずれかの一端部に接触させて位置
合わせをした後、ゴムローラーなどの弾性を有するロー
ラー４を機能性フィルム１０のパネル面と接触している
一端部に押しつけて機能性フィルム１０の一端部をパネ
ル面に圧着させる。機能性フィルム１０の未貼着部１０
ｂをパネル面３から離間させて、未貼着機能性フィルム
１０ｂとパネル面３との間に隙間を形成し、未貼着機能
性フィルム１０ｂがパネル面３から立ち上がる部分のパ
ネル面３に静電エアガン５により静電エアーブローを施
す。

【００２４】静電エアガン５は、近接した２本の電極間
に高電圧を印加して電極間に放電を生じさせ、同時に圧
縮空気を電極間に送風してイオンを含む圧縮空気をノズ
ルから噴き出させる。このイオンを含む圧縮空気を帯電
しているパネル面や粘着剤層に吹き付けることにより、
パネル面や粘着剤層を除電すると同時に、付着している
ゴミを吹き払う。

【００２５】このときの静電エア吹き出し口５ａの位置
は図１（ａ）に示すように、パネルの端縁に近接させ、
エアーブローの方向は機能性フィルムが貼り付けられる
方向と直交方向である。そして、ローラー４をパネル面
３の一端部からもう一方の端部に向かって機能性フィル
ム１０をパネル面３に押圧させながら進行させ、機能性
フィルム１０をパネル面３に順次圧着させて粘着剤層１
５を介して貼着する。そのローラーの進行速度ｖとほぼ
同じ速度ｖで静電エアガン５をパネル面の端縁に沿って
動かし、常に機能性フィルムの貼着部１０ａの少し前を
エアーブローして貼着直前のパネル面３及び粘着剤層１
５の帯電を除電すると共に、表面のごみも除去する。こ
のようにして図１（ｃ）に示すように機能性フィルムを
パネル面に貼着して機能性フィルムを有するＣＲＴを製
造することができる。

【００２６】いわゆるトリニトロン方式では、パネル面
は上下方向が平らな円筒型であるため、ローラーによる
圧着に好都合であり、そのためパネル面の左右端部の一
方から他方に向かって貼着することが有利である。

【００２７】このような機能性フィルムの貼着方法によ
れば、貼着直前のパネル面の帯電を除去し、ごみを吹き
払い、しかも静電エアブローを施した部分をすぐに貼着
するため、ごみの再付着も防止でき、ごみが粘着剤層と
パネル面の間に挟まる不良の発生を可及的に防止するこ
とができる。この方法は、静電エアガンを用いてローラ
ーの進行に合わせて移動させるだけでよく、高いレベル
のクリーンルームを必要とせずにごみの取り込みを防止
するので、コスト的に有利である。とりわけ画面が大き
い大型のＣＲＴ、プラズマディスプレーでは大きなクリ
ーンルームを必要とすることから、これらの生産に特に
有利である。

【００２８】上記貼着方法では、剥離フィルムは始めに
全部機能性フィルムから剥離した後に機能性フィルムを
パネル面に貼り付けたが、図２に示すように、剥離フィ
ルム１６をローラー４ａの進行に合わせて剥離しつつ機
能性フィルム１０ａをパネル面３に貼り付けるようにし
ても良い。剥離フィルム１６を剥離した直後に露出した
粘着剤層１５を貼着するため、粘着剤層１５の露出時間
が短くなってごみが粘着剤層１５に付着することをより
有効に防止できる。

【００２９】上記機能性フィルム１０を構成するフィル
ム基板１１としては、光透過性のプラスチックフィルム
であれば何れのものでも良いが、透明性、屈折率、分散
などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性な
どの諸特性から見て、特に、ポリメチルメタアクリレー
ト、メチルメタクリレートと他のアルキル（メタ）アク
リレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共
重合体などの（メタ）アクリル系樹脂；ポリカーボネー
ト、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート（Ｃ
Ｒ−３９）などのポリカーボネート系樹脂；（臭素化）
ビスフェノールＡ型のジ（メタ）アクリレートの単独重
合体ないし共重合体、（臭素化）ビスフェノールＡのモ
ノ（メタ）アクリレートのウレタン変性モノマーの重合
体および共重合体などといった熱硬化性（メタ）アクリ
ル系樹脂；ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエス
テル；アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化
ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。
また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能で
ある。更に、液晶ディスプレーに用いる場合等は、偏光
フィルムを適用できる。

【００３０】フィルム基板１１は、これらの樹脂を延伸
あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するな
どの方法で得ることができ、厚さは通常２５〜５００μ
ｍ程度である。

【００３１】また、フィルム基板１１の表面に形成され
たハードコート層１２は、プラスチックフィルムの付着
性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向
上させることが可能である。

【００３２】硬度向上のためには従来プラスチックの表
面高硬度化被膜として知られる各種の材料を適用したも
のを用いることができ、例えば特公昭５０−２８０９２
号公報、特公昭５０−２８４４６号公報、特公昭５１−
２４３６８号公報、特開昭５２−１１２６９８号公報、
特公昭５７−２７３５号公報に開示されるような技術を
適用可能である。さらには、（メタ）アクリル酸エステ
ルとペンタエリスリトールなどの架橋剤とを用いてなる
アクリル系架橋物や、オルガノポリシロキサン系などと
いったものであってもよい。これらは単独であるいは適
宜組合せて用いることができる。ハードコート１２の膜
厚は、通常３〜２０μｍ程度である。

【００３３】反射防止膜は、図３に示したように、ＩＴ
Ｏ等の高屈折率膜１３と酸化シリコン等の低屈折率膜１
４の２層構造で実現することができる。なお、３層以上
の膜構成でよいことは勿論である。

【００３４】高屈折率膜１３は、金属膜等の吸収膜で構
成することができ、例えばＡｕ、Ｐｔ、Ｐｄ、Ｎｉ−Ｃ
ｒ、Ａｌ、Ａｇ、Ｉｎ₂ Ｏ₃ −ＳｎＯ₂ 、ＣｕＩ、Ｃｕ
Ｓ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｔｉ等の金属及びその不完全酸化物又
は窒化物を例示することができ、これらの１種又は２種
以上を組み合わせて、例えば蒸着法、ＣＶＤ法、スパッ
タリング法等で成膜することにより得ることができる。
膜厚は、光学的膜厚として低反射率とするために光波長
の１／４乃至はその奇数倍を選択することが好ましい
が、その厚さは、通常１〜５００ｎｍ程度である。この
場合の吸収膜１３の光透過率は、膜厚の制限から、通
常、波長５４６ｎｍで６０〜９８％の範囲である。

【００３５】なお、高屈折率膜１３を金属やＩＴＯ等の
導電性膜で構成し、この導電膜を表示装置のアースと接
続することにより電磁界の人体に対する影響を低減する
ことができる。

【００３６】低屈折率膜１４は、無機酸化物やハロゲン
化合物等の無機物で構成することができ、例えば二酸化
珪素を例示することができる。これらの二酸化珪素を含
めた各種無機物の被膜化方法としては、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法、スパッタリング法に代表される
各種のＰＶＤ（Physical Vapor Deposition ）法の他、
スプレイ法（「漏洩電場対応低反射コーティング」テレ
ビジョン学会技術報告、VOL.10,No.2,'95.1 ）、浸漬
法、ＣＶＤ法、塗布法等がある。

【００３７】低屈折率膜１４を得る上で、上記のＰＶＤ
法に適した無機物としては、ＳｉＯ₂ 以外に、例え
ば、Ａｌ₂ Ｏ₃ 、ＺｒＯ₂ 、ＴｉＯ₂ 、Ｔａ₂
Ｏ₅、ＴａＨｆ₂ 、ＳｉＯ、ＴｉＯ、Ｔｉ₂ Ｏ₃
、ＨｆＯ₂ 、ＺｎＯ、Ｉｎ₂ Ｏ₃ ／ＳｎＯ₂
、Ｙ₂ Ｏ₃ 、Ｙｂ₂ Ｏ₃ 、Ｓｂ₂ Ｏ₃ 、
ＭｇＯ、ＣｅＯ₂ などの無機酸化物が例示できる。な
おこのようなＰＶＤ法によって形成される反射防止膜
は、上記高屈折率膜も含めて２層以上の層構成とするこ
とができるが、その場合、最外表層膜は、主として二酸
化珪素から構成されるものであることが好ましい。二酸
化珪素以外の場合には十分な表面硬度が得られない場合
がある。

【００３８】また、この低屈折率膜１４の膜厚は、反射
防止効果以外の要求性能によってそれぞれ決定されるべ
きものであるが、特に反射防止効果を最大限に発揮させ
る目的には表層膜の光学的膜厚を対象とする光波長の１
／４ないしはその奇数倍に選択することが極小の反射率
すなわち極大の透過率を与えるという点から好ましい。
その厚さは一般に１０〜２００ｎｍ程度である。なお、
反射防止膜の上に防汚膜その他の膜を成膜することも勿
論可能である。

【００３９】粘着剤１５としては、水、溶剤、熱などを
使用せず、常温で短時間圧力を加えただけで接着するこ
とができるものであれば何れのものでも良く、例えば天
然ゴム、ＩＲ、ＳＢＲ、ＮＢＲ等のゴム系、アクリル
系、シリコン系などの各種の粘着剤及びこれらの物質に
紫外線架橋剤を添加したものを利用することができる。
表示装置に貼り付ける粘着剤としては、透明性、耐久性
などの点から、架橋度が高い永久接着用のアクリル系粘
着剤が好適である。また、貼着後、接着剤として機能す
る粘接着剤でも良い。

【００４０】粘着剤層１５は、表示される文字や図形の
品質を落とさないようにするため、ヘイズ値は２０％以
下、好ましくは５％以下の低ヘイズのものが好ましい。
また、染料、顔料などを添加して光透過率を低下させる
ことも可能であり、この場合、吸収率は、波長５４６ｎ
ｍで９５％以下、特に４０〜９０％の範囲が好ましい。

【００４１】粘着剤層１５の形成は、プラスチックフィ
ルム基材１１に溶剤に溶かした粘着剤をドクターコー
ト、グラビア印刷法、刷毛塗り等の方法で成膜した後、
乾燥する方法、あるいはホットメルトコーターで塗布す
る方法等の方法で行うことができる。粘着剤層１５の厚
さは、通常１０〜５００μｍ程度である。通常、保存時
は粘着剤層１５の表面を剥離フィルム１６で覆い、表示
装置等に貼り付けるときに上述したように、剥離フィル
ム１６を剥離して被着物に貼着する。

【００４２】上記説明では、機能性フィルムの機能性膜
としてハードコート、反射防止膜を例示したが、その他
の機能膜としては、例えば熱線反射コート、帯電防止コ
ート、電磁シールドコート、カラーフィルタ等を例示す
ることができる。

【００４３】また、機能性フィルムの貼付の対象となる
表示装置としては、ＣＲＴ、液晶ディスプレイ装置ある
いはプラズマディスプレイのような表示装置のパネルの
他、各種の表示装置のパネルが含まれる。また、透過型
プロジェクターやＣＲＴの前面板等も含まれる。

【００４４】

【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではない。

【００４５】（１）反射防止コート付機能性フィルムの
作製 プラスチックフィルム基材として厚さ１００μｍの透明
なポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルムを用
いた。このＰＥＴフィルムの片面には、あらかじめ表面
硬度を確保するためのハードコート処理が施されてい
る。

【００４６】ここで言うハードコート処理とは、一般的
にアクリル系架橋性樹脂原料を塗布し、紫外線や電子線
等によって架橋硬化させたり、シリコン系、メラミン
系、エポキシ系の樹脂原料を塗布し、熱硬化させたりし
て行われているものである。

【００４７】その上に反射防止膜としてスパッタリング
により、高屈折率膜である厚さ１２０ｎｍのＩＴＯをプ
レスパッタリングし、その上に更に低屈折率膜としてＳ
ｉＯ₂ を７０ｎｍの厚さにスパッタリングで形成した。

【００４８】（２）粘着剤の塗布 プラスチックフィルム基材の他方の面に、アクリル系の
粘着剤を溶剤に溶かして塗布し、厚さ５０±２ミクロン
の厚さで一面に均一に塗布した。その後６０℃で乾燥さ
せ、所定の接着力を持つ粘着剤を形成した。

【００４９】（３）貼り合わせ 通常通りＣＲＴを組み上げた後、クラス２００００の環
境下で表示面（貼り付け面）をアルコールで拭き貼り合
わせを試みた。上記機能性フィルムのセパレーターを剥
がし、端部を表示面に接触させて位置を合わせた後、ゴ
ムローラーで圧力をかけながら、片端より表示面に貼り
付けと同じスピードで静電エアーブローのノズルの位置
を移動させて、常に接触部の少し前をエアーブローする
ようにした。

【００５０】（４）性能評価 このように貼り付け中に静電エアーブローを行った場
合、貼り付け前だけ静電エアーブローをした場合にはゴ
ミの混入により不良率は４０％であったのが、不良率２
０％（４本／２０本）と大幅に改善された。

【００５１】

【発明の効果】貼り付け直前のパネル面に対して静電エ
アーブローを施しつつ機能フィルムをその一端側から順
次表示装置のパネル面に貼り付けることにより、本発明
の機能性フィルムを有する表示装置の製造方法は、以下
に挙げる利点がある。

【００５２】（１）高いレベルのクリーンルームを必要
としないため、製造設備が簡略となる。

【００５３】（２）ゴミの混入が減り、不良率が大幅に
改善される。

【００５４】（３）簡単な設備で実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】機能性フィルムをＣＲＴのパネル面に貼り付け
る工程を説明するもので、（ａ）は貼り付け初期の状態
の側面図、（ｂ）はその上面図、（ｃ）は貼り付け後の
側面図である。

【図２】剥離フィルムを剥がしながら貼り付ける状態を
示す側面図である。

【図３】機能性フィルムの一形態を示す断面図である。

【符号の説明】

２…ＣＲＴ、３…パネル面、４…ローラー、５…静電エ
アガン、１０…機能性フィルム、１１…フィルム基板、
１２…ハードコート、１３…高屈折率膜、１４…低屈折
率膜、１５…粘着剤層、１６…剥離フィルム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市原 香二 愛知県稲沢市大矢町茨島30番地 ソニー稲 沢株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粘着剤層が形成された機能性フィルムの一
   端側から他端側にかけてその粘着剤層を介して表示装置
   のパネル面に順次粘着剤層を圧着させることにより機能
   性フィルムを有する表示装置を製造する方法であって、 圧着直前のパネル面に対して静電エアーブローを行いつ
   つ該機能性フィルムを静電エアーブローを施したパネル
   面に順次圧着させることを特徴とする機能性フィルムを
   有する表示装置の製造方法。
2. 【請求項２】機能性フィルムの一端側から他端側にかけ
   て順次圧着を進行させる方向に対して静電エアーブロー
   のブロー方向がほぼ直交方向である請求項１記載の機能
   性フィルムを有する表示装置の製造方法。
3. 【請求項３】機能性フィルムの粘着剤層の圧着進行速度
   と静電エアーブローの移動速度がほぼ等しい請求項２記
   載の機能性フィルムを有する表示装置の製造方法。