JP2004230562A - ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性や耐摩耗性に優れると共に、簡単な操作で恒久的な指紋付着防止性及び指紋除去性が付与され、特にタッチパネル用ハードコートフィルムや各種ディスプレイの保護用ハードコートフィルムなどとして好適なハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線感応型樹脂組成物の硬化物からなり、かつ表面の水の接触角が70°以下になるようにアルカリ性水溶液で表面処理されてなるハードコート層を設けたハードコートフィルムである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハードコートフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、耐擦傷性や耐摩耗性に優れると共に、指紋が付着しにくく、また付着した指紋を容易に拭き取ることができ、特にタッチパネル用ハードコートフィルムや各種ディスプレイの保護用ハードコートフィルムなどとして好適なハードコートフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、市場が増大している携帯用の情報端末への入力装置として、タッチパネルが利用されている。このタッチパネルは、ディスプレイ画面を直接指、ペンなどで触れることによってデータを入力する装置である。
上記タッチパネルは、現在約9割が抵抗膜方式を採用している。該抵抗膜方式のタッチパネルは、一般に透明プラスチック基材の片面に錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜などの透明導電性薄膜を積層したタッチ側透明プラスチック基板と、ガラスなどの透明基材の片面にITO膜などの透明導電性薄膜を積層したディスプレイ側透明基板とを、絶縁スペーサを介して、各透明導電性薄膜が向き合うように対向配置させた構造を有している。
そして、入力は、ペンや指でタッチ側透明プラスチック基板のタッチ入力面(透明導電性薄膜側とは反対側の面をいう。以下、同様)を押圧し、タッチ側透明プラスチック基板の透明導電性薄膜と、ディスプレイ側透明基板の透明導電性薄膜とを接触させて行う。
しかしながら、このような抵抗膜方式タッチパネルにおいては、入力操作を繰り返すことにより、すなわちタッチ側透明プラスチック基板の透明導電性薄膜とディスプレイ側透明基板の透明導電性薄膜との接触を繰り返すことにより、タッチ側透明プラスチック基板の透明導電性薄膜が摩耗したり、クラックが発生したり、さらには基材から剥離してしまうなどの問題が生じる。そこで、このような問題を解決するために、一般に透明プラスチック基材と透明導電性薄膜との間に、合成樹脂からなるハードコート層を設けることが行われている。また、該透明プラスチック基材の透明導電性薄膜とは反対側の表面にもハードコート層を設けることが、よく行われている。
図1は、一般に用いられている抵抗膜方式タッチパネルの構成の1例を示す概略断面図である。抵抗膜方式タッチパネル10は、両面にハードコート層2、2’が設けられた透明プラスチック基材1の裏面側のハードコート層2’を介して透明導電性薄膜3が積層されてなるタッチ側透明プラスチック基板Aと、透明基材4の片面に透明導電性薄膜3’が積層されてなるディスプレイ側透明基板Bとが、透明導電性薄膜3及び3’が対向するようにスペーサ5を介して配置されている。
このように、タッチパネルにおいては、透明プラスチック基材の片面又は両面にハードコート層が設けられてなるハードコートフィルムが用いられる。
一方、PDP(プラズマディスプレイパネル)、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶表示装置)、ELD(エレクトロルミネッセンス素子)などの各種ディスプレイにおいては、画面に外部から光が入射し、この光が反射して表示画像を見ずらくすることがあり、特に近年、フラットパネルディスプレイの大型化に伴い、上記問題を解決することが、ますます重要な課題となってきている。
このような問題を解決するために、これまで種々のディスプレイに対して、様々な反射防止処置や防眩処置がとられている。その一つとして、例えば各種ディスプレイに用いられる保護用フィルムに対し、防眩機能や反射防止機能を付与することが行われている。このようなディスプレイの保護用フィルムには、上記機能と共にハードコート性能、すなわち表面の耐擦傷性や耐摩耗性が要求されている。
反射防止フィルムは、従来、蒸着やスパッタリングなどのドライプロセス法により、基材フィルム上に、低屈折率の物質(MgF)を薄膜化する方法や、屈折率の高い物質[ITO、TiOなど]と屈折率の低い物質(MgF、SiOなど)を交互に積層する方法などで作製されている。しかしながら、このようなドライプロセス法で作製された反射防止フィルムは、製造コストが高くつくのを免れないという問題があった。
そこで、近年、ウェットプロセス法、すなわちコーティングにより反射防止性能を有するハードコートフィルムを作製することが試みられている。例えば、耐候性に優れるアクリル系樹脂フィルムを基材として用い、これに電離放射線感応型樹脂組成物の硬化層を設けたのち、反射防止処理を施し、携帯電話やPDA(携帯情報端末)、ビデオカメラ等の液晶表示装置などの保護フィルムとして用いられている。
ところで、このようなタッチパネル用ハードコートフィルムや各種ディスプレイの保護用ハードコートフィルムは、一般に製品の最表面に配置されるため、該フィルムのハードコート層表面に汚れや指紋が付着しやすいという問題があった。
そこで、防汚性や汚れ除去性を付与するために、ハードコート層にシリコーン系化合物やフッ素系化合物を含有させ、ハードコート層表面に撥水性を付与することが行われている。しかしながら、この場合、通常のゴミや埃、食品や化粧品などの生活使用品等に対しては効果を有するものの、指紋の付着性や除去性については、必ずしも十分に満足し得るものではなく、むしろ指紋が付着しやすくなる(指紋が目立ちやすくなる)ことがあるという問題があった。また、付着した指紋を除去しようとして指やティッシュで擦ると、添加剤のシリコーン系化合物やフッ素系化合物と混ざり合って、拭き跡が残りやすいという問題もあった。
指紋除去性が付与されたハードコートフィルムとしては、例えばプラスチック基材上に表面処理シリカとアクリレートと光重合開始剤とを含むハードコート膜を塗工したプラスチックフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、シリカとして、粒径1μm未満のコロイドシリカを、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシリルアクリレートで表面処理したものが用いられる。しかしながら、この場合、表面処理シリカが高価なものとなる上、粒径が比較的大きなシリカ粒子(平均粒径1〜30μm程度)が要求される用途、例えばハードコートフィルムに防眩機能を付与する用途では防眩性付与効果は期待できないなどの問題が生じる。
本発明者らは、ハードコート層に対する指紋付着防止性や指紋除去性について研究を重ね、先にレベリング剤として一般的に用いられているポリオルガノシロキサン系レベリング剤は、指紋の除去性に悪影響を与えること、そして、HLB(親水性−親油性バランス)が特定の範囲にある非イオン性界面活性剤は、指紋付着防止性を向上させうることに着目し、ハードコート層に該非イオン性界面活性剤を所定の割合で含有させ、好ましくはポリオルガノシロキサン系レベリング剤を添加しないことにより、指紋付着防止性及び指紋除去性に優れるハードコートフィルムが得られることを見出した。
しかしながら、この場合、非イオン性界面活性剤による指紋付着防止性の効果は恒久的なものではない上、ポリオルガノシロキサン系レベリング剤を添加しない場合には、高精細な防眩性ハードコートフィルムが得られにくいなどの問題があり、必ずしも十分に満足し得るとは云えなかった。
【特許文献1】
特開2000−293895号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、耐擦傷性や耐摩耗性に優れると共に、簡単な操作で恒久的な指紋付着防止性及び指紋除去性が付与され、特にタッチパネル用ハードコートフィルムや各種ディスプレイの保護用ハードコートフィルムなどとして好適なハードコートフィルムを提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた機能を有するハードコートフィルムを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、電離放射線感応型樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層をアルカリ性水溶液で表面処理し、該ハードコート層表面の水の接触角をある値以下にすることにより、ハードコート層中のポリオルガノシロキサン系レベリング剤の有無には関係なく、恒久的な指紋付着防止性及び指紋除去性が付与されたハードコートフィルムが得られ、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)透明基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線感応型樹脂組成物の硬化物からなり、かつ表面の水の接触角が70°以下になるようにアルカリ性水溶液で表面処理されてなるハードコート層を設けたことを特徴とするハードコートフィルム、
(2)透明基材フィルムが、ポリエステル系、アクリル系又はポリオレフィン系フィルムである第1項記載のハードコートフィルム、
(3)ハードコート層が、平均粒径0.005〜30μmの微粒子0.1〜60重量%を含む第1項又は第2項記載のハードコートフィルム、及び
(4)タッチパネル用として用いられる第1項、第2項又は第3項記載のハードコートフィルム、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のハードコートフィルムは、透明基材フィルムの少なくとも片面に電離放射線感応型樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を設けた積層フィルムである。
本発明のハードコートフィルムにおける透明基材フィルムについては特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系フィルム、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式構造含有重合体などのポリオレフィン系フィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム等を用いることができる。
これらの透明基材フィルムの中で、タッチパネル用や各種ディスプレイの表面保護用フィルムなどの光学用フィルムの基材としては、性能及び経済性などの面からポリエステル系フィルム、アクリル系フィルム及びポリオレフィン系フィルムが好適であり、特に耐熱性が要求される用途には、脂環式構造含有ポリオレフィン系フィルムなどが好ましく用いられる。
これらの基材フィルムは、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好適である。
【0006】
これらの透明基材フィルムの厚さは特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常15〜300μm、好ましくは30〜250μmの範囲である。また、この透明基材フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は透明基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
本発明のハードコートフィルムは、上記透明基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を有するものであり、該ハードコート層には、必要に応じ各種の微粒子を含有させることができる。
この微粒子は、ハードコート層に要求される機能、例えば所望屈折率、防眩性、反射防止性、視認性、低収縮性・低カール性などに応じて、平均粒径0.005〜30μmの広い粒径範囲の中から適宜選択することができる。また、ハードコート層中のその含有量は、ハードコート層に要求される前記機能に応じて、0.1〜60重量%の広い範囲の中から適宜選定される。
前記微粒子の種類としては、シリカ系と他の金属酸化物系に大別することができ、まずシリカ系微粒子について説明する。
シリカ系微粒子としては、平均粒径0.005〜1μm程度のシリカゾル、平均粒径0.1〜10μm程度のシリカ微粒子やシリコーン樹脂微粒子、平均粒径0.3〜30μm程度のコロイド状シリカ粒子のアミン化合物による凝集物などを用いることができる。
前記シリカゾルは、ハードコート層に低屈折率及び低収縮性(硬化収縮率、熱湿収縮率が低い)・低カール性などを付与するために含有させることができる。このシリカゾルとしては、平均粒径が0.005〜1μm程度のシリカ微粒子がアルコール系やセロソルブ系の有機溶剤中にコロイド状態で懸濁しているコロイダルシリカを好適に用いることができる。
【0007】
また、シリカゾルとして、このコロイダルシリカ粒子表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和基含有有機化合物を反応させてなる反応性シリカゾルを用いることもできる。この反応性シリカゾルは、単独で用いてもよいし、前記シリカゾルと組み合わせて用いてもよい。
前記シラノール基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば一般式[1]
【化1】
Figure 2004230562
[式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはハロゲン原子又は
【化2】
Figure 2004230562
で示される基である。]
で表される化合物などが好ましく用いられる。
このような化合物としては、例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナ−トエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど及びこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を用いることができる。これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
このようにして得られたラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカゾルは、光硬化成分として、電離放射線の照射により架橋、硬化する。
これらのシリカゾル類は、ハードコート層の屈折率を低下させると共に、得られるハードコートフィルムの硬化収縮性及び熱湿収縮性を低下させ、これら収縮によるハードコートフィルムのカールの発生を抑制する効果を有している。該シリカゾル類の配合量は、通常シリカとして、形成されるハードコート層中に20〜60重量%の割合で含有するように選定することが好ましい。この含有量が20重量%未満ではハードコート層の屈折率を低下させる効果及びハードコートフィルムのカール発生抑制効果が十分に発揮されないおそれがあるし、60重量%を超えるとハードコート層の形成が困難になると共に、ハードコート層の硬度が低下する原因となる。ハードコート層の硬度、屈折率、形成性及びハードコートフィルムのカール抑制などを考慮すると、ハードコート層中のシリカのより好ましい含有量は20〜45重量%の範囲である。
また、平均粒径0.1〜10μm程度のシリカ微粒子やシリコーン樹脂微粒子は、ハードコートフィルムに防眩性を付与する目的で、ハードコート層中に含有させることができる。このシリカ微粒子やシリコーン樹脂微粒子の平均粒径が0.1μm未満では防眩性付与効果が十分に発揮されないおそれがあり、10μmを超えるとハードコート層の表面が粗くなって視認性が低下する傾向がある。防眩性及び視認性のバランスなどの点から、該微粒子の平均粒径は0.5〜8μmの範囲が好ましい。
前記シリカ微粒子としては、平均粒径が前記の範囲にあるものであればよく、特に制限されず、各種のシリカ微粒子を用いることができるが、中でもシリカゲル微粒子が好適である。このシリカゲル微粒子は、主成分がSiOで構成され、その微粒子表面に水酸基(シラノール基)を有するものであってもよいし、有機基で修飾されたものであってもよい。
【0009】
また、前記シリコーン樹脂微粒子としては、特に制限はないが、性能の点から、一般式[2]
(RSiO3/2 …[2]
(式中、Rは有機基、nは重合度を示す。)
で表されるシロキサン結合を有する三次元網目状の架橋構造をもつポリオルガノシルセスキオキサン微粒子が好ましく用いられる。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子は、例えば一般式[3]
Si(OR …[3]
(式中、Rは非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、3つのORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるオルガノトリアルコキシシランを、適当な有機溶媒中において、重合させることにより、得ることができる。
前記一般式[2]で表されるオルガノトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
このオルガノトリアルコキシシランの加水分解、重縮合反応に用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類等が挙げられる。
なお、前記ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の市販品としては、例えば信越化学工業(株)製、商品名「X−52シリーズ」などがある。
前記のシリカ微粒子やシリコーン樹脂微粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ハードコート層中のその含有量は、通常0.1〜20重量%の範囲で選定される。この含有量が0.1重量%未満では防眩性の付与効果が十分に発揮されないおそれがあり、一方20重量%を超えるとハードコート層の他の物性を低下させる原因となる。好ましい含有量は0.5〜15重量%の範囲である。
さらに、平均粒径0.3〜30μm程度のコロイド状シリカ粒子のアミン化合物による凝集物は、ハードコートフィルムに防眩性を付与する目的で、ハードコート層中に含有させることができる。
該凝集物の平均粒径が0.3μm未満では防眩性が十分に発揮されないおそれがあるし、30μmを超えるとハードコート層の表面が粗くなって、視認性が低下する傾向がみられる。防眩性及び視認性のバランスの面から、特に好ましい平均粒径は、0.5〜10μmの範囲である。
また、コロイド状シリカ粒子は、通常水、あるいはアルコールなどの親水性溶媒中に、シリカ粒子がコロイド状に均質に分散されているが、本発明においては、電離放射線感応型樹脂組成物の調製において、水を含有するものは相溶性の点から好ましくないので、アルコールなどの親水性有機溶媒に分散しているものが好ましく用いられる。この凝集前のコロイド状シリカ粒子の平均粒径は、通常10〜20nmの範囲である。
【0011】
該コロイド状シリカ粒子の凝集に使用されるアミン化合物としては特に制限はなく、例えば脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンの中から適宜選択して用いることができる。また、アミン化合物中の窒素原子の数についても特に制限はない。これらのアミン化合物の中で、電離放射線感応型樹脂組成物の保存安定性がよく、かつコロイド状シリカ粒子に対して、適度の凝集性及び凝集速度を有する点から、二級アミン及び三級アミンが好ましく、特に窒素原子をヘテロ原子とする複素環式二級又は三級アミンが好適である。
これらのアミン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アミン化合物によるコロイド状シリカ粒子の凝集は、電離放射線感応型樹脂組成物の調製時に行うことができる。
前記コロイド状シリカ粒子のアミン化合物による凝集物のハードコート層中の含有量は、通常1〜30重量%の範囲で選定される。この量が1重量%未満では防眩性が十分に発揮されないおそれがあるし、30重量%を超えると光透過性が悪くなる傾向がある。防眩性及び光透過性のバランスなどの面から、好ましい含有量は、3〜15重量%の範囲である。
次に、他の金属酸化物微粒子について説明する。
他の金属酸化物微粒子は、ハードコート層の屈折率調整や帯電防止性の向上などのために用いられる他、前述の防眩性付与のために加えられるシリカ系微粒子と併用して、該シリカ系微粒子のもつ良好な防眩性を維持すると共に、透過鮮明度を向上させて、表示画質の低下を抑制するためなどに用いられる。
該金属酸化物微粒子としては、平均粒径1〜60nm程度のものが用いられる。この微粒子の平均粒径が前記範囲を逸脱すると、上記のような効果が十分に発揮されにくい。該効果の点から、この微粒子の好ましい平均粒径は5〜50nmの範囲であり、特に10〜30nmの範囲が好適である。
【0012】
この金属酸化物微粒子は、例えば2種以上の金属を含む複合酸化物であってもよいし、単一の金属を含む酸化物であってもよい。このような微粒子としては、例えばAl、TiO、Fe、ZnO、CeO、Y、MgO、ZrO、PbO、SnO、Ho、SrO、Bi、Nd、Sb、In、Ybなどの単一金属酸化物微粒子、Al/MgO、BaTiO、Y/Eu、アンチモン酸亜鉛などの複合金属酸化物微粒子を用いることができる。これらの微粒子の中で、アンチモン酸亜鉛微粒子が好適である。該アンチモン酸亜鉛微粒子は、例えば商品名「セルナックスシリーズ」[日産化学工業(株)製]としてゾルの形態で市販されており、容易に入手することができる。これらの金属酸化物微粒子は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層における前記金属酸化物微粒子の含有量は、通常5〜60重量%の範囲で選定される。この量が5重量%未満では該金属酸化物微粒子を含有させた効果が十分に発揮されにくく、一方60重量%を超えると透明性や硬度が低下するおそれがあり、またハードコート層の形成が困難となる。この金属酸化物微粒子の好ましい含有量は10〜50重量%であり、特に20〜45重量%の範囲が好ましい。
本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層は、電離放射線硬化性化合物と、必要に応じて用いられる前述の微粒子及び光重合開始剤などを含む電離放射線感応型樹脂組成物を、前述の透明基材フィルムの少なくとも片面にコーティングして塗膜を形成させ、電離放射線を照射して、該塗膜を硬化させることにより、形成することができる。
なお、電離放射線感応型樹脂組成物とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。
【0013】
前記電離放射線感応型樹脂組成物において、電離放射線硬化性化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを用いることができる。上記光重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが用いられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
【0014】
また、光重合性モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能アクリレートが好ましく用いられる。これらの光重合性モノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記光重合性プレポリマーと併用してもよい。
一方、光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、従来用いられている公知のもの、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルアセタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類などのアリールケトン系光重合開始剤、スルフィド類、チオキサントン類などの含硫黄系光重合開始剤、アシルジアリールホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類、アントラキノン類、その他光重合開始剤の中から、任意のものを、1種又は2種以上適宜選択して使用することができる。また、カチオン重合型の光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始剤の配合量は、全光硬化成分100重量部に対して、通常0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部の範囲で選ばれる。
なお、電子線硬化型の場合には、前記光重合開始剤は用いなくてもよい。
【0015】
本発明における電離放射線感応型樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望によりさらに単官能アクリレート系モノマー、光増感剤、重合禁止剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などの各種添加成分を含有させることができる。
ここで、単官能アクリレート系モノマーとしては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの単官能アクリレート系モノマーは、光硬化成分である。
光増感剤としては、例えば第三級アミン類、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、チオール系増感剤などを用いることができる。なお、電子線硬化型の場合は、この光増感剤は、用いなくてもよい。
光増感剤の配合量は、全光硬化成分100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で選ばれる。
また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤としては、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、特に分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する反応型の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤を用いるのが有利である。この場合、電離放射線の照射により形成されたポリマー鎖に、それぞれ酸化防止剤成分、紫外線吸収剤成分、光安定剤成分が結合する。したがって、経時による硬化層からの各成分の逸散が抑制されるので、長期間にわたって、それぞれの機能が発揮される。
本発明における電離放射線感応型樹脂組成物は、必要に応じ、適当な溶剤中に、前述の電離放射線硬化性化合物と、必要に応じて用いられる前述の各種微粒子及び光重合開始剤や各種添加成分を、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際用いる溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された樹脂組成物の濃度、粘度としては、コーティング可能なものであればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
【0016】
次に、前記透明基材フィルムの少なくとも片面に、上記樹脂組成物を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに電離放射線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層が形成される。
電離放射線としては、例えば紫外線や電子線などが用いられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cmであり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この電離放射線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層の厚さは0.5〜30μmの範囲が好ましい。この厚さが0.5μm未満ではハードコートフィルムの表面硬度が不十分となり、耐擦傷性が十分に発揮されないおそれがあるし、30μmを超えると硬化収縮率や熱湿収縮率が大きくなって、ハードコートフィルムにカールが発生しやすくなったり、クラックが発生することがある上、生産面でも不利となる。したがって、該ハードコート層のより好ましい厚さは1〜20μmであり、特に2〜15μmの範囲が好ましい。
本発明においては、このようにして形成されたハードコート層に指紋付着防止性及び指紋除去性を付与するために、該ハードコート層をアルカリ性水溶液で表面処理し、表面の水の接触角を70°以下にする。アルカリ性水溶液で処理された後のハードコート層表面の水の接触角が70°を超える場合には、指紋付着防止性及び指紋除去性の効果が十分に発揮されず、本発明の目的が達せられない。好ましい水の接触角は65°以下である。
アルカリ性水溶液によるハードコート層の表面処理条件(アルカリ性水溶液の種類や濃度、処理温度、処理時間など)については特に制限はないが、該表面処理は、通常浸漬法が採用されるため、ハードコート層が透明基材フィルムの片面のみに設けられている場合には、該透明基材フィルムに、実質上悪影響を及ぼさない処理条件を採用することが肝要である。
【0017】
アルカリ性水溶液としては、一般に水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の中から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液が用いられる。また、その濃度は特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常0.1〜5モル/リットル、好ましくは0.5〜4モル/リットル、より好ましくは0.8〜3.5モル/リットルの範囲で選定される。ハードコート層の表面処理は、このようにして調製されたアルカリ金属の水酸化物を含む水溶液中に、片面又は両面にハードコート層が設けられた透明基材フィルムを浸漬することにより行われる。
この際の処理温度は、前記水溶液の濃度にもよるが、一般的には常温ないし60℃の範囲で選定される。さらに、処理時間は、アルカリ金属の水酸化物の種類や濃度、処理温度などに左右され、一概に決めることができないが、通常1〜5分間程度で十分である。
このようにして表面処理されたハードコート層は、表面の水の接触角が70°以下、好ましくは65°以下となり、指紋付着防止性及び指紋除去性が付与される。この指紋付着防止性や指紋除去性の効果は、表面が汚染されない限り、恒久的に発現される。もちろん、表面の汚染物質(たばこのヤニなど)をクリーニングすることで、該効果は再度発現する。また、該効果は、ハードコート層にポリオルガノシロキサン系レベリング剤が含まれていても、なんら関係なく発現されるため、該ポリオルガノシロキサン系レベリング剤の使用なしでは得られにくい高精細防眩性ハードコートフィルムに対する指紋付着防止性及び指紋除去性付与も可能となる。
さらに、透明基材フィルムの片面のみにハードコート層が設けられている場合、前記のアルカリ性水溶液にてハードコート層の表面処理を施した際に、該透明基材フィルムの種類によっては、その透明基材フィルムの露出表面も処理され、その上に設けられる層との密着性を向上させることができるというメリットもある。
【0018】
本発明のハードコートフィルムにおいては、ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度でH以上であるのが好ましく、鉛筆硬度でH以上であれば、ハードコートフィルムに必要な耐擦傷性を備えることができるが、耐擦傷性をより十分なものにするには、鉛筆硬度で2H以上のものが特に好適である。なお、鉛筆硬度の測定方法については、後で説明する。
本発明のハードコートフィルムにおいては、透明基材フィルムの片面のみにハードコート層を設けた場合、該ハードコート層とは反対側の面に、被着体に貼着させるための粘着剤層を形成させることができる。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用途用のもの、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。この粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
さらに、この粘着剤層の上に、必要に応じて剥離フィルムを設けることができる。この剥離フィルムとしては、例えばグラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙及び各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、ハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
(1)全光線透過率(Tt)及びヘイズ値は、ヘイズメーター[日本電色工業(株)製、NDH2000]を用いて、JIS K 7105に準拠して測定した。
(2)接触角は、接触角計[(株)協和界面科学製、型式「CA−D」]を用いて液滴法によって測定した。液滴法はハードコート層表面に精製水の液滴(直径2mm)を滴下し、ハードコート層表面と精製水の接触角を測定した。
(3)指紋付着防止性は、被検体のハードコートフィルムをハードコート層表面が上になるように黒色板上に置き、ハードコート層表面に指をゆっくり押し当てて、付着した指紋の跡を視認できるか否かを判定した。この判定は無作為に抽出した試験者10人によって行い、付着した指紋の跡を視認できなかった人数で指紋付着防止性を10点満点で表した。指紋付着性には個人差があるが、本試験は10人の試験者を無作為に選択したので、平均的な指紋付着性に対する試験と考えられる。
(4)指紋拭き取り性は、指紋付着防止性試験で指紋の跡が視認できた場合に限り試験を行い、そのハードコート層表面を、試験者10人が綿メリヤス布を指先に巻き、5回軽く拭き、目視観察によって拭き取り性を以下の標準で評価した。A:拭き跡が残らなかった。B:拭き跡がわずかに残った。C:拭き跡が残った。各実施例、各比較例について、試験者10人によるA、B、C評価の人数で表示した。指紋付着防止性試験で指紋の跡が視認できなかった場合の指紋拭き取り性の表示はA10とした。
(5)鉛筆硬度の測定は、鉛筆引掻塗膜硬さ試験機[(株)東洋精機製作所製、型式「NP」]を用いて、JIS K 5400に準拠して測定した。
【0020】
実施例1
電離放射線硬化性化合物として、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化性ハードコート剤[荒川化学工業(株)製、「ビームセット575CB」、固形分濃度100%、光重合開始剤含有]を、シクロヘキサノンとエチルセロソルブとの重量比1:1の混合溶剤で、全体の固形分濃度が40重量%になるように希釈し、電離放射線感応型樹脂組成物を調製した。
次いで、透明基材フィルムとして厚さ188μmの片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着面に、前記樹脂組成物をマイヤーバーNo8で塗布した。80℃で2分間乾燥したのち、乾燥塗膜に紫外線を光量300mJ/cmで照射して硬化させハードコート層を形成した。このハードコート層の厚さは4μmであった。
次に、このハードコートフィルムを、40℃の2モル/リットル濃度水酸化カリウム水溶液中に3分間浸漬処理した。さらにハードコートフィルムを水で洗浄したのち、90℃で5分間乾燥することにより、目的の表面処理ハードコートフィルムを作製した。
このようにして作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
本例の指紋付着防止性の評価結果は、試験者8人が指紋跡なしと判定し、指紋拭き取り性もA10で、試験者全員が拭き跡が残らなかったとの評価であった。
実施例2
実施例1において、紫外線硬化性ハードコート剤「ビームセット575CB」(前出)100重量部に対し、平均粒径1.4μmのシリカゲル[富士シリシア化学(株)製、「サイリシア310」]5重量部を添加した以外は、実施例1と同様な操作を行い、表面処理ハードコートフィルムを作製した。なお、ハードコート層中のシリカゲル含有量は4.8重量%であった。
このようにして作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例2において、2モル/リットル濃度のKOH水溶液の代わりに、2モル/リットル濃度のNaOH水溶液を用いた以外は、実施例2と同様な操作を行い、表面処理ハードコートフィルムを作製した。
このようにして作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
実施例4
実施例2において、2モル/リットル濃度のKOH水溶液の代わりに、1モル/リットル濃度のKOH水溶液を用いた以外は、実施例2と同様な操作を行い、表面処理ハードコートフィルムを作製した。
このようにして作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
実施例5
実施例2において、2モル/リットル濃度のKOH水溶液の代わりに、3モル/リットル濃度のKOH水溶液を用いた以外は、実施例2と同様な操作を行い、表面処理ハードコートフィルムを作製した。
このようにして作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
実施例6
実施例2において、透明基材フィルムを厚さ230μmのアクリル系フィルム[住友化学工業(株)製、「テクノロイフィルム」]とした以外は、実施例2と同様にして表面処理ハードコートフィルムを作製した。作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
実施例7
実施例2において、透明基材フィルムを厚さ188μmの脂環式構造含有ポリオレフィン系フィルム[JSR(株)製、「アートンフィルム」]とした以外は、実施例2と同様にして表面処理ハードコートフィルムを作製した。作製した表面処理ハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1における、2モル/リットル濃度のKOH水溶液で表面処理する前のハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
比較例2
実施例2における、2モル/リットル濃度のKOH水溶液で表面処理する前のハードコートフィルムの性能評価結果を第1表に示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004230562
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、耐擦傷性や耐摩耗性に優れると共に、簡単な操作で恒久的な指紋付着防止性及び指紋除去性が付与され、特にタッチパネル用ハードコートフィルムや各種ディスプレイの保護用ハードコートフィルムなどとして好適なハードコートフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、一般に用いられている抵抗膜方式タッチパネルの構成の1例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明プラスチック基材
2、2’ ハードコート層
3、3’ 透明導電性薄膜
4 透明基材
5 スペーサ
10 抵抗膜方式タッチパネル
A タッチ側透明プラスチック基板
B ディスプレイ側透明基板

Claims (4)

  1. 透明基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線感応型樹脂組成物の硬化物からなり、かつ表面の水の接触角が70°以下になるようにアルカリ性水溶液で表面処理されてなるハードコート層を設けたことを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 透明基材フィルムが、ポリエステル系、アクリル系又はポリオレフィン系フィルムである請求項1記載のハードコートフィルム。
  3. ハードコート層が、平均粒径0.005〜30μmの微粒子0.1〜60重量%を含む請求項1又は2記載のハードコートフィルム。
  4. タッチパネル用として用いられる請求項1、2又は3記載のハードコートフィルム。
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