JP2001215307A - アンチグレア層及び光学部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像鮮明性の低下なく外景の映り込みを防止
できて耐擦傷性にも優れるアンチグレア層の開発。 【解決手段】 平均粒径１５μm以下の透明微粒子がそ
の平均粒径の２倍以上の厚さを有する皮膜中で空気と接
触する片側に偏在して表面に微細凹凸構造を形成してな
るアンチグレア層及びそのアンチグレア層を偏光板又は
楕円偏光板の少なくとも片側に有する光学部材。 【効果】 画素サイズの小型化等による高精細な画像の
鮮明性を低下させず表示品位に優れる液晶表示装置など
の各種の表示装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、各種表示装置における外
景の映り込み防止に好適なアンチグレア層に関する。

【０００２】

【発明の背景】従来、ＣＲＴやプラズマディスプレイや
液晶表示装置等の各種表示装置において蛍光灯の外光に
よる景色が映り込むことによる画像の視認妨害を防止す
ることを目的に画面の表面などに設けられるアンチグレ
ア層としては、各種の微細凹凸面を設けて外光を散乱反
射させるようにしたものが知られていた。しかしながら
最近の画素サイズの小型化による画像の高精細化やフラ
ットパネル化等による高品位化に伴い、従来のアンチグ
レア層では画像が粗くなるなどの表示品位の低下が大き
く、より木目の細かいアンチグレア層が求められてい
る。

【０００３】

【発明の技術的課題】前記に鑑みて本発明者らは、従来
よりも微細な粒子による表面凹凸構造の形成を試みた。
しかしその場合、微粒子の突出による表面微細凹凸構造
を形成するために皮膜の厚さを薄くする必要を生じ皮膜
が強度低下して耐擦傷性に乏しくなり表面の傷付きが生
じやすくなる難点を誘発することが判明した。本発明
は、それに鑑み画像鮮明性の低下なく外景の映り込みを
防止できて耐擦傷性にも優れるアンチグレア層の開発を
課題とする。

【０００４】

【課題の解決手段】本発明は、平均粒径１５μm以下の
透明微粒子がその平均粒径の２倍以上の厚さを有する皮
膜中で空気と接触する片側に偏在して表面に微細凹凸構
造を形成してなることを特徴とするアンチグレア層、及
びそのアンチグレア層を偏光板又は楕円偏光板の少なく
とも片側に有することを特徴とする光学部材を提供する
ものである。

【０００５】

【発明の効果】本発明によれば、画素サイズの小型化等
による高精細な画像の鮮明性を低下させることなく外景
の映り込みを有効に防止でき、皮膜強度に優れ良好な耐
擦傷性を示して表面に傷付きが生じにくいアンチグレア
層を得ることができ、それを適用した光学部材を用いて
視認性等の表示品位に優れる液晶表示装置などの各種の
表示装置を得ることができる。

【０００６】

【発明の実施形態】本発明によるアンチグレア層は、平
均粒径１５μm以下の透明微粒子がその平均粒径の２倍
以上の厚さを有する皮膜中で空気と接触する片側に偏在
して表面に微細凹凸構造を形成したものよりなる。かか
るアンチグレア層は、例えば透明微粒子含有の樹脂層を
形成するなどにより得ることができる。

【０００７】透明微粒子としては、例えばシリカやアル
ミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウ
ム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等からなる、導電
性のこともある無機系粒子、架橋又は未架橋のポリマー
等からなる有機系粒子などの、併用樹脂等に不溶性の適
宜なものを１種又は２種以上用いることができる。就
中、透明性に優れるものが好ましい。

【０００８】用いる透明微粒子の平均粒径は、画素サイ
ズの小型化等による高精細な画像の鮮明性を低下させな
い表面微細凹凸構造を形成して外景の映り込みを有効に
防止できるアンチグレア層とする点より１５μm以下、
就中０．１〜１０μm、特に０．５〜６μmとされる。

【０００９】透明微粒子を含有させるための透明樹脂と
しては、透明性や硬度に優れる適宜なものを１種又は２
種以上用いうる。ちなみにその例としては、アセテート
系樹脂やカーボネート系樹脂、アリレート系樹脂やスル
ホン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレ
ンナフタレートの如きポリエステル系樹脂、ポリエーテ
ルスルホン系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹
脂やスチレン系樹脂、環状ポリオレフィンの如きオレフ
ィン系樹脂やアクリル系樹脂、あるいはアクリル系やウ
レタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコー
ン系の如き熱や紫外線等で硬化する樹脂などがあげられ
る。表面の傷付き防止等を目的としたハードコート性な
どの耐擦傷性の点よりは硬化型樹脂が好ましく用いられ
る。

【００１０】アンチグレア層の形成は、例えば透明微粒
子を配合した透明樹脂を押出し成形方式等の適宜な方式
でフィルム化する方式、透明微粒子を配合した透明樹脂
の液を塗工乾燥してコート膜を形成する方式、硬化型樹
脂の場合にはそのモノマー系樹脂に透明微粒子を配合し
て塗工したのち硬化処理する方式などの樹脂タイプ等に
応じた適宜な方式にて行うことができる。透明微粒子の
使用量は、外景の映り込み防止性などの点より適宜に決
定しうるが一般には、透明樹脂１００重量部あたり５０
重量部以下、就中２〜４０重量部、特に５〜３０重量部
とされる。

【００１１】前記において本発明にては用いた透明微粒
子の平均粒径の２倍以上の厚さを有する皮膜として形成
することが必要である。かかる厚さが２倍未満では皮膜
強度に不足して耐擦傷性に乏しくなる。耐擦傷性や薄型
化等の点より好ましい皮膜厚は、用いた透明微粒子の平
均粒径の２．１倍以上、就中２．２〜５倍、特に２．５
〜４倍である。

【００１２】また前記の皮膜は、その中で透明微粒子が
空気と接触する片側に偏在して表面に微細凹凸構造を形
成していることが必要である。透明微粒子が皮膜中に均
等に分散した構造では微粒子と皮膜の界面における乱反
射で透過画像の鮮明性が低下し、鮮明画像の品質が低下
する。鮮明画像性等の点より好ましいアンチグレア層
は、皮膜中で透明微粒子が空気と接触する片側に可及的
に単層配列状態で偏在するものである。かかる偏在構造
は、中空の透明微粒子を用いる方式などにより効率よく
形成することができる。

【００１３】アンチグレア層は、適用対象の表示装置に
直接設ける方式、表示装置を形成する例えば偏光板や楕
円偏光板等の部材に直接設ける方式、透明フィルム基材
の表面に付与した防眩シートとして表示装置に直接又は
表示装置を形成する部材に設ける方式などの適宜な方式
で表示装置の表面等における適宜な箇所に１層又は２層
以上を設けることができる。

【００１４】前記においてアンチグレア層を支持する透
明フィルム基材としては、上記のアンチグレア層で例示
した透明樹脂などの適宜なものの１種又は２種以上から
なるものを用いることができ、その形成樹脂について特
に限定はない。就中、透明性や機械的強度、熱安定性や
耐水性等に優れる樹脂からなるものが好ましい。

【００１５】透明フィルム基材の厚さは、強度や光透過
率などに応じて適宜に決定することができる。一般には
薄型軽量性等の点より５００μm以下、就中１０〜３０
０μm、特に１５〜２００μmの厚さとされる。なお透明
フィルム基材の表面には、それに付設する層の密着力の
向上等を目的にコロナ処理や紫外線照射処理、プラズマ
処理やスパッタエッチング処理、アンダーコート処理等
の適宜な処理を施すことができる。

【００１６】一方、上記したアンチグレア層を必要に応
じ防眩シートとして付設する対象の偏光板又は楕円偏光
板としては、偏光フィルムやそれを透明保護層で保護し
たもの、それと位相差板を積層したものなどの液晶表示
装置等の形成に使用される適宜なものを用いることがで
き、その種類について特に限定はない。

【００１７】ちなみに前記偏光フィルムの具体例として
は、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール
化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子
フィルムにヨウ素及び／又は二色性染料を吸着させて延
伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ
塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム
などがあげられる。また偏光フィルムの片側又は両側に
必要に応じて設ける透明保護層は、上記のアンチグレア
層で例示した透明樹脂などの適宜なものを用いて、塗布
方式やフィルムとしたものの積層方式などの適宜な方式
で形成することができる。

【００１８】偏光板と積層して楕円偏光板を得るための
位相差板の例としては、ポリカーボネートやポリビニル
アルコール、ポリスチレンやポリメチルメタクリレー
ト、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリア
リレートやポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフ
ィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルム、配向処理
した液晶ポリマーやその配向層を透明フィルム基材で支
持したものなどがあげられる。位相差板は、２種以上の
位相差フィルム等を積層して位相差等の光学特性を制御
したものであってもよい。

【００１９】アンチグレア層は、上記したよう透明フィ
ルム基材や偏光板、楕円偏光板の片側又は両側に設けて
表示装置の適宜な位置に１層又は２層以上を設けうる
が、その表示装置への適用に際しては、反射防止層等の
適宜な光学層などを付設した状態で適用することもでき
る。アンチグレア層を適宜な部材に設けて光学部材とし
た場合も同様である。

【００２０】ちなみに前記した反射防止層は、外光の表
面反射の抑制を目的に設けられ、例えば屈折率の異なる
無機酸化物の多層コート膜やフッ素系化合物等の低屈折
材料のコート膜等からなる干渉膜などとしてアンチグレ
ア層の上に形成することができる。また例えば真空蒸着
方式やイオンプレーティング方式、スパッタリング方式
等の蒸着方式、メッキ方式やゾルゲル方式などの適宜な
コート方式で下面における微細凹凸構造を反映させた反
射防止層とした場合にはアンチグレア層を兼ねるものと
することもできる。

【００２１】さらにアンチグレア層や光学部材には、帯
電防止や電磁波の遮蔽等を目的に透明導電層を設けるこ
ともできる。透明導電層は、透明フィルム基材又は光学
部材を形成する層の内部や表面の適宜な箇所に１層又は
２層以上を設けることができる。透明導電層の形成は、
例えば透明導電塗料の塗工方式、導電材料の真空蒸着方
式やスパッタリング方式、イオンプレーティング方式や
化学蒸着方式、スプレー熱分解方式や化学メッキ方式、
電気メッキ方式やそれらを組合せた方式などの適宜な方
式にて行うことができる。

【００２２】前記の導電材料には、例えば酸化インジウ
ムや酸化スズ、インジウム・錫混合酸化物や酸化カドミ
ウム、酸化チタンやインジウム、スズや金、銀や白金、
パラジウムや銅、アルミニウムやニッケル、クロムやチ
タン、鉄やコバルト、ヨウ化銅やそれらの合金などの適
宜なものを１種又は２種以上用いることができ特に限定
はなく、公知物のいずれも用いうる。

【００２３】またさらにアンチグレア層や光学部材の表
面には、指紋等の汚れを付着しにくくし、また付着した
汚れを払拭しやすくすることなどを目的にフッ素系表面
処理コートを設けることもできる。そのコートの形成に
は、例えばフッ素系樹脂やフッ素系シランカップリング
剤などの表面エネルギーの小さい膜を形成しうる適宜な
フッ素系化合物を用いることができる。

【００２４】加えて防眩シートや光学部材の片面又は両
面、特にアンチグレア層を有しない面には他部材への接
着を目的とした粘着層を設けることもできる。その粘着
層の形成には、例えばアクリル系重合体やシリコーン系
ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテル
や合成ゴムなどの適宜なポリマーをベースポリマーとす
る粘着剤を用いることができ、特に限定はない。就中ア
クリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ
性と凝集性と接着性等の粘着特性を示すものが好まし
く、それに加えて耐候性や耐熱性などにも優れるものが
特に好ましい。

【００２５】ちなみに前記のアクリル系粘着剤の例とし
ては、メチル基やエチル基、ブチル基やエチルヘキシル
基等の炭素数が２０以下のアルキル基を有する（メタ）
アクリル酸のアルキルエステルの１種又は２種以上を主
成分に用いたアクリル系重合体やそれに必要に応じて粘
着特性の改質等を目的にアクリル酸系アルキルエステル
以外の適宜なモノマー成分の１種又は２種以上を共重合
したものをベースポリマーとするものなどがあげられ
る。

【００２６】透明フィルム基材や光学部材等への粘着層
の付設は、例えば粘着剤液を流延方式や塗工方式等の適
宜な展開方式で透明フィルム基材等の上に直接付設する
方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成
してそれを透明フィルム基材等の上に移着する方式など
の適宜な方式で行うことができる。粘着層の厚さは、接
着力等に応じて適宜に決定でき一般には１〜５００μm
とされる。

【００２７】粘着層には、必要に応じて例えば天然物や
合成物の樹脂類、就中、粘着性付与樹脂、充填剤や顔
料、着色剤や酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合で
き、透明粒子を配合して光拡散性を示す粘着層とするこ
ともできる。また粘着層は、異なる組成又は種類等のも
のの重畳層として設けることもできる。粘着層が表面に
露出する場合には、実用に供するまでの間その表面をセ
パレータなどで被覆保護しておくことが好ましい。

【００２８】なおアンチグレア層や透明フィルム基材、
光学部材には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベ
ンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物や
シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等
の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能
をもたせることもできる。本発明によるアンチグレア層
や光学部材は、ＣＲＴやプラズマディスプレイや液晶表
示装置等の各種表示装置に適用することができる。

【００２９】

【実施例】実施例１ 紫外線硬化型の多官能アクリル系モノマー１００部（重
量部、以下同じ）に平均粒径２．５μmの中空透明微粒
子１５部、光重合開始剤３部及び有機溶剤を配合してホ
モジナイザーで混合した固形分濃度４０重量％の分散液
を厚さ５０μmのトリアセチルセルロースフィルムの片
面にバーコータ＃２０にて塗布し高圧水銀灯を介し紫外
線で硬化処理して硬化皮膜の厚さが７μmのアンチグレ
ア層を形成して防眩シートを得た。

【００３０】前記した防眩シートの断面をＳＥＭで観察
したところ、微粒子が空気側界面に単層で配列した状態
に偏在しており、その微粒子にて表面に微細凹凸構造が
形成されていた。また防眩シートのアンチグレア層の表
面硬度を調べたところ良好で耐擦傷性に優れていた。さ
らに防眩シートを高鮮明画質のカラーＴＦＴ液晶表示装
置にそのアンチグレア層を表面側として適用したところ
画像の鮮明性に低下は認められず、外景の映り込みもな
くて防眩効果にも優れていた。

【００３１】比較例１ 中空微粒子に変えて、球状微粒子を用いたほかは実施例
１に準じアンチグレア層を形成して防眩シートを得た。
この防眩シートは、その断面のＳＥＭ観察で微粒子が皮
膜中に均等に分散しており、表面は平滑で凹凸構造が形
成されていなかった。また防眩シートのアンチグレア層
の表面硬度を調べたところ良好で耐擦傷性には優れてい
たが、高鮮明画質のカラーＴＦＴ液晶表示装置への適用
では画像の鮮明性が低下し、外景の映り込みも生じた。

【００３２】比較例２ バーコータ＃６で塗布して硬化皮膜の厚さを３μmとし
たほかは実施例１に準じアンチグレア層を形成して防眩
シートを得た。この防眩シートは、その断面のＳＥＭ観
察で微粒子が空気側界面に単層で配列し皮膜より突出し
た微粒子で表面に凹凸構造が形成されて画像の鮮明性や
外景の映り込み防止性も良好であったがアンチグレア層
の表面硬度を調べたところ耐擦傷性に乏しかった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 卓也 大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号日東電 工株式会社内 (72)発明者 正田 位守 大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号日東電 工株式会社内 Ｆターム(参考） 2H042 AA09 AA26

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平均粒径１５μm以下の透明微粒子がそ
   の平均粒径の２倍以上の厚さを有する皮膜中で空気と接
   触する片側に偏在して表面に微細凹凸構造を形成してな
   ることを特徴とするアンチグレア層。
2. 【請求項２】 請求項１において、透明フィルム基材に
   支持されてなるアンチグレア層。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載のアンチグレア層
   を偏光板又は楕円偏光板の少なくとも片側に有すること
   を特徴とする光学部材。